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南ア:安全とされるショッピングモールで強盗殺人が多発
サッカーW杯が来年開かれる南アフリカで、観光客が唯一安全に買い物ができるとされてきた
ショッピングモールを舞台にした強盗殺人事件が多発、今月だけでも少なくとも4人が射殺された。
武装警備員を配置したモールが強盗団の「新たな標的」として浮上したことで、W杯観光が
「命がけ」にもなりかねないと、政府は対策に頭を痛めている。
事件が発生したのは、政治経済の中心地ハウテン州のショッピングモール6カ所。今月3~10日の1週間で
7件の強盗事件が集中して発生、警備員らが殺された。26日には、ヨハネスブルク北郊のモールで、
不審者を取り締まろうとした警備員1人が射殺された。
南ア警察によると、10日にミッドランド・レナシアで起きた事件では、現金自動受払機(ATM)に現金を
投入に来た現金輸送会社の警備員2人が死傷した。4人が警備員の頭を撃つなどし急襲、他の4人が
駐車場で待機して現金と警備員の銃を奪って逃走した。現金輸送車の警備は厳重で、一瞬のすきを
狙った計画的犯行とみている。
ショッピングモールは、経済成長の結果生まれた新富裕層を目当てに開設されたもので、高い柵で囲まれ、
武装した警備員も随所に配備されている。1日約50件の殺人事件があるとされる南アでは、気軽に買い物し、
飲食店を利用できる数少ない場所とされてきた。
事件が発生したモールを訪れた40代の女性は「最後の安全な場所も失った気持ちだ」と話し、
警備員のシーボさん(32)は「給料が良くても殺されたら終わり。転職も考えたい」と恐怖を語る。
首都プレトリアや商都ヨハネスブルクを抱える同州はW杯の競技会場や宿泊施設も多い。モールでの犯罪の
多発は、ファンの行き先が一層制限され、W杯の経済効果への阻害要因ともなりかねない。
事態を重く見た南ア政府は犯罪情報の共有化やモールも含めた犯罪多発地帯での警備強化を打ち出したが、効果は薄いのが実情だ。
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