09/08/23 12:04:50.80 YlVCBDWf
>>415の続き
「勝った!・・・このわしはついに父上を超えたのじゃ!それも王様の眼前で!!」
その後、勧められるまま大いに酒肴を採り、犬肉や幼児の肝、烏の目玉など、抱えきれぬほどの
褒美を手にして帰路についた嘗淑であった。
未だ興奮の冷めやらぬまま、灯をかざしうっすらと月明かりの差す貧民街を歩く彼が、ふと路傍に
屈み込む人影に気付いて一瞥した。
「乞食か・・・」そのまま通り過ぎようとし、しかし何か違和感を覚えてふたたびその影を確認した嘗淑
は、あっと我が目を疑った。何とその姿は、とうに王宮を辞したはずの父であったからである。おぼろ
げな月明かりの下・・先程まで激烈な勝負を自分とたたかった父が、路傍に跼り、ひたひたと糞を嘗
めている。
あの三日間に渡る満韓糞試の後で、が、この老いた達人は未だ糞を嘗め足り無いかに見えた。し
かも、大通りまで出れば、いくらでも新鮮な人糞が落ちているというのに・・・父はそれすら待ちきれぬ
のか、この溝の脇の狭い道で、上等とはとても言えぬ干乾びかけた犬の糞を、しかしぴちゃぴちゃと・・
聞いている者も思わずふるいつきたくなるような舌の音と共に、陶然と舐めていた。
だが、ならば何故あの時・・・そして嘗淑は、はっとその理由に想いあたった。父はあの、あまりに
見事な逸品を、勝負の道具とすることを恐れたのだ。それに気付いた瞬間、嘗淑の全身は稲妻に打
ちのめされたかのように震えたことであった。
この父の、まるで赤子のように糞にむしゃぶりつく姿、何としても糞を嘗めたいというその心・・・それ
こそが、まさに我々造船_人の本来持っていた嘗糞道の本質ではなかったか。到底敵わぬ、この存在
には!所詮、自分の技は糞を愛する心、そして何より嘗めたいという心を欠いた、理の技に過ぎなかった!・・・
つづく