09/08/23 11:58:13.31 YlVCBDWf
>>412の続き
ちょうどその頃、明の使者に三跪九叩頭の作法を咎められ懲罰を受けたばかりの世宗王が、
天下に轟くふたりの名人を見て、憂さ晴らしの残酷な思いつきを得た。そして初めて親子を同
時に王宮に呼んだ王は、にやりと笑うと言い放った。
「是非見たいのう、天下の名人同士の勝負を・・・満韓糞試じゃ、異存は無かろう!勝負は来
月・・両者仕度せい!」
当時、王の命令は絶対であった。
六十年ぶりに行われる、命すら失うやも知れぬ過酷な嘗糞勝負である満韓糞試。しかも造船
嘗糞界の総本山とも言える名家の親子が対決し、どちらかは滔滔と積み上げて来たその名誉を
失うのである。それからの城下は、この噂でしきりであった。
その当日。重々しい銅鑼の音と共に、満韓糞試は始まった。
主当て、隠味の吟味、聴香、踊り食い・・・・あらゆる嘗糞の技術と教養を競う凄まじい勝負は、
しかし三十五品目に至るまで、全くの互角と見えた。
勝負は、すでに三日目に入っていた。それは恐ろしいまでの接戦であり、そしてまた、観客の
神経をもすり減らす苛烈の戦いであったが、世宗王をはじめ、この天下の勝負の立会人になら
んと猫車に乗り駆けつけた両班から、特別に見物を認められ闘場を遠巻きに見守る白丁達に至
るまで・・満場の誰一人としてその場を辞する事無く、固唾を呑んでこの勝負の行方を見守って
いたのである。
つづく