09/06/17 03:53:28.62 1Gwuj5kz BE:821368229-PLT(12345) ポイント特典
sssp://img.2ch.net/ico/2nida.gif
朝日 天声人語
井原西鶴の浮世草子「世間胸算用」に、大勢が左右に分かれて言いたい放題、ののしり合う場面がある。
「お前は餅がのどに詰まっておだぶつだ」「お前なんぞ、鬼に漬物にされろ」……。
辛辣(しんらつ)だが、けんかではなく神社の祭事の描写である▼参詣する人が故意に悪口を言い合う
「悪口祭(あっこまつり)」や「悪態祭」などと呼ばれる祭りは、いまも各地に残っている。日ごろ積もったものを発散しつつ、
言い勝った者が福運を得るという習わしが多いそうだ ▼さて国会に目をやれば、与野党共催の「悪口祭」が、
このところ随分かしましい。「議会の華」といわれるヤジである。特に党首討論は晴れ舞台とみえ、
轟々(ごうごう)とわき起こる。あまりの聞き苦しさに国民から批判がわき、双方が自制を申し合わせた▼品格ばやりの昨今だが、
ヤジは騒々しいばかりで品がない。寸鉄人を刺す機知もない。それらが備わってこその「華」だろう。
でなければ、デシベルの単位で計測される物理的な騒音と変わらない▼〈菅直人の鼻の向こうにいる議員野次(やじ)
に飽きたか二度も欠伸(あくび)す〉と今月の朝日歌壇にあった。子どもっぽい、締まらぬ姿を、テレビを通して国民は見ている。
〈議事堂で歳費を食ってるやじの群れ〉と、こちらは小紙川柳欄▼党首討論の元祖、英国のチャーチル元首相は
「議会の目的は殴り合いを議論に代えること」だと言っていた。裏を返せば、議会は言葉の格闘技場にほかならない。
正々堂々の切り結びと、華の名に恥じない「ヤジ道」を、きょう午後からの麻生・鳩山討論で見たいものだ。
URLリンク(www.asahi.com)