【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★2at NEWS
【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態★2 - 暇つぶし2ch1: チドリソウ(兵庫県)
09/06/13 00:34:24.64 2xC7Wyrp BE:323730195-PLT(12000) ポイント特典
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~スレ立て依頼所~
スレリンク(news板:494番)

494 名前: チドリソウ(東京都)[] 投稿日:2009/06/13(土) 00:24:40.27 ID:32cNxekE
お止め組が実況


けいおん!紅茶267杯目
スレリンク(anime板:184番)
184 名前:雑用@お止め組。 ★[sage] 投稿日:2009/06/12(金) 02:28:34 ID:???
京アニま~た学祭エンドか?


スレスト野郎がけいおんスレで実況。腐ってやがる


まえ
【速報】お止め組が実況 腐った2ちゃん運営の実態
スレリンク(news板)

2: ムシトリナデシコ(三重県)
09/06/13 00:34:44.04 zSHD+J+L
物凄い勢いで前スレ埋まってたぞ

3: レウイシア(東京都)
09/06/13 00:35:09.65 /mC3zeRZ
この種の困った人は昔からいたってば。

4: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:09.73 zd8wXOj1
 いわゆる日射病だった。

5: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:09.87 zd8wXOj1
「はいはいマリアちゃん、ケダモノからは離れましょうねー」

6: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:09.88 zd8wXOj1
 花梨、この期におよんでも、まだ自分のミスに気づいていないらしい。

7: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:09.76 zd8wXOj1
 しかも和泉ちゃんは、しごく真面目な声で返事をしてくれた。

8: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:09.90 zd8wXOj1
「知らないけど、いいじゃない。態度が悪くても卒業はできるんだからさ」

9: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.03 zd8wXOj1
 あの日の彼女とは、違う感触。

10: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.07 zd8wXOj1
「ほめてるんだからいいじゃない」

11: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.26 zd8wXOj1
「うん、楽しみにしてる」

12: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.45 zd8wXOj1
「その牧野が…いちど目覚めたってよ」

13: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.45 zd8wXOj1
 なんにせよ、最後の『また』という言葉を聞いて、僕は内心、ほっとしていた。

14: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.46 zd8wXOj1
 夢が、夢じゃなくなってしまった。

15: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.53 zd8wXOj1
 祭りの後、家に戻ると誰もいなかった。

16: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.53 zd8wXOj1
「そうだな。…お、そろそろお姫さまの登場みたいだぜ。場所取り場所取り」

17: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.56 zd8wXOj1
 あれが不可抗力?―そんな馬鹿な。

18: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.69 zd8wXOj1
「ぁ…ぁ…ぁぁぁ…」

19: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.85 zd8wXOj1
(けっきょく、わかったようなわからない ような…)

20: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.88 zd8wXOj1
「茶化すんじゃないのー」

21: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.90 zd8wXOj1
「なんで…」

22: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.93 zd8wXOj1
 無意識にうなずき、気がつけば笑っている。

23: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.99 zd8wXOj1
 偶然、奇跡?

24: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.99 zd8wXOj1
「でも、あなたは違う。ママの死を否定するために死を肯定した」

25: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.99 zd8wXOj1
「あ、あの、だから…想像とかしちゃ…」

26: チドリソウ(東京都)
09/06/13 00:35:10.95 32cNxekE
この速さなら言えるww













今日私の誕生日wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

誰も祝ってくれなくて私涙目wwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ニュー速民のみんなwww祝ってくれwwwwwwwwwwwwwwwwww

寂しすぐる   ウッ(´;ω;`三´;ω;`)ウッ

27: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.99 zd8wXOj1
「私もマリアが言い出すまでと思って、我慢してたんだけど…」

28: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.11 zd8wXOj1
「でも、マリアちゃん、それじゃあ、自分のことは?」

29: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.12 zd8wXOj1
 世界に再生された瞬間、あるべきものすべてを見失っていた、うつろな今の僕と。

30: ガザニア(東京都)
09/06/13 00:35:10.82 KqcTjTNV BE:2440303698-PLT(12000)
sssp://img.2ch.net/ico/sii_zonu.gif
意味がわからん

31: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.13 zd8wXOj1
 自然には自然の美しさがあるだろう。

32: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:10.99 zd8wXOj1
「あっ、えっ、ええと…雪、ひょっとしてからかわれていました?」

33: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.24 zd8wXOj1
「本人が気にしてないんだから、いいじゃない」

34: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.24 zd8wXOj1
「暑いですね」

35: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.25 zd8wXOj1
 月っていう、確かに存在する、だけど手の届かない場所。

36: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.24 zd8wXOj1
「僕は、和泉ちゃんの家の事情を、ぜんぶ知ってるわけじゃないけど、それだけは違うと思う」

37: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.31 zd8wXOj1
「ボクも勉強するー」

38: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
「信用してるよ。…少なくとも、この前の告白は」

39: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
 僕の背中に寄り添っていたぬくもりが、そっと離れる。

40: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
「あるよ。…そう言えば、水着のこと気にしてたよね」

41: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
 誰もいなければ、すぐに帰ってくればいいだけのことだ。

42: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
「だんな、ひゃまぁ…いけっ…いけまっ…せんわ」

43: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.38 zd8wXOj1
“ぱたぱたぱた…”

44: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.59 zd8wXOj1
 露わになった、細い足を撫でながら、僕は指先でつつくようにして、ショーツの上をいじった。

45: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.61 zd8wXOj1
「…駄目だよ、和泉ちゃん」

46: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.68 zd8wXOj1
『旦那、さま―』

47: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.62 zd8wXOj1
「なんで嘘つくのー、アリスちゃん」

48: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.71 zd8wXOj1
「確認と、報告だけしておこうと思って」

49: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.72 zd8wXOj1
「抑えられたら、苦労しないよ」

50: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.84 zd8wXOj1
 僕は、首を持ち上げ、それに応えた。

51: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.82 zd8wXOj1
「いちおう、お祭りですからね」

52: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:11.96 zd8wXOj1
「庄一で頼む。おまえには違和感があるかもしれないが、なに、すぐ慣れるさ」

53: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.03 zd8wXOj1
「三人が最初に知り合ったのも、そこ。私たちが中学に入るのと同時に、なくなっちゃったけど」

54: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.08 zd8wXOj1
 彼女の家を訪ねるのってちょっと怖いけど、まあ仕方がない。

55: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.11 zd8wXOj1
 恋人なのか?―だけど、わざわざみんながいる場所でするなんて、まるで…

56: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.11 zd8wXOj1
 僕には、答えられない。

57: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.13 zd8wXOj1
 どうせなら一人の写真も欲しい―料理してるところとか、無理に撮ったら怒るかな…?

58: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.14 zd8wXOj1
 彼女は、眠っていた。

59: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.07 zd8wXOj1
「やっぱり、じかに触ると違うね」

60: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.24 zd8wXOj1
「い…ずみ、このままするよ?」

61: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.25 zd8wXOj1
「だって、朝じゃないとキミの面倒見られないんだもん」

62: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.25 zd8wXOj1
 ぎしぎしとしなる弓に、もう、僕の手は震えたりしなかった。

63: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.28 zd8wXOj1
「花梨ちゃん、どうしたの?」

64: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.30 zd8wXOj1
 マヨイガ、神隠し―僕が望んでいたのは、きっとこの空間なんだ。

65: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.30 zd8wXOj1
 自分の体を抱きしめるようにしながら、布団の中にもぐりこむ。

66: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.30 zd8wXOj1
「透矢さん…今ね、とても…気持ちいいんですの」

67: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.34 zd8wXOj1
「じゃあ…牧野さんのことを…」

68: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.42 zd8wXOj1
 そして、どうかしている僕は、そこに口をつけた。

69: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.38 zd8wXOj1
「気にしてないよ。それじゃあ、僕も約束があるから、そろそろ行くね」

70: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.44 zd8wXOj1
 彼女なら、何か…

71: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.45 zd8wXOj1
「妹を頼んだぞ…っと。じゃ、そんな感じで決まりな」

72: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.44 zd8wXOj1
「そんなに痛いの?」

73: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.44 zd8wXOj1
「そうだね。あ、それで、明日のことなんだけど…」

74: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.46 zd8wXOj1
 何も見えない、こんな不確かな世界は、もうたくさんだ。

75: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.59 zd8wXOj1
 雑音混じりの、だけど、とても綺麗な歌声。

76: チドリソウ(神奈川県)
09/06/13 00:35:12.61 8vVoP2rg
瞬殺ワロタw

77: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.69 zd8wXOj1
「庄一、真面目に見てやってよね」

78: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.67 zd8wXOj1
 しかめっつらで思いきりベロをつき出すと、首を引っ込めてしまった。

79: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.68 zd8wXOj1
「真似するなー」

80: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.68 zd8wXOj1
「無理だよ。和泉ちゃんがいるし…」

81: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.85 zd8wXOj1
「なんで…って…」

82: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.85 zd8wXOj1
 小さな小川だった。

83: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.99 zd8wXOj1
「…前に、ちょっと」

84: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.87 zd8wXOj1
 和泉ちゃんは、スカートのすそをきゅっと握りしめると、言葉の半ばでうつむいてしまった。

85: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.13 zd8wXOj1
 少し出したくらいで、どうにかなるものじゃなかった。

86: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.09 zd8wXOj1
 お互いを想って、お互いの言い分がすれ違うんだから素直じゃない。

87: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.13 zd8wXOj1
 と、何か、固い物が転がるような音がした。

88: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:12.67 zd8wXOj1
 風になびく髪を気にしながら、僕のほうに首を傾ける牧野さん。

89: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.25 zd8wXOj1
 まだだ…まだ、いた。

90: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
 さっき見ていた夢だろうか。

91: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.27 zd8wXOj1
 和泉ちゃんの家に向かう途中、雪さんは何度も何度も、その言葉をくり返していたから。

92: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
「ちょっと。良く似ているけど、もしかして、双子だったりする?」

93: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
「むむむむ…」

94: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.28 zd8wXOj1
「…妹がわがままだと苦労するわよね」

95: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
「私たちって、僕も?」

96: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
 彼女は、きっとあそこにいる。

97: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
「良くしてくれているようだし、嫌いということはないね?」

98: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
 何か怒ってるような…

99: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
「花梨の巫女さん姿か。見てみたいね」

100: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.29 zd8wXOj1
 花梨の言うことは、たぶん間違っていない。

101: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.37 zd8wXOj1
 反論できない。

102: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.49 zd8wXOj1
 あの夢は、たぶん現実にあったこと。

103: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.56 zd8wXOj1
「どっちでもいいよ。僕以外の人間にわからなければ」

104: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.60 zd8wXOj1
 夢をつなぐことができたなら、そのときは消えてなくなると思うんだ。

105: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.67 zd8wXOj1
 和泉ちゃんが取り出したのは、父さんが書いたという、那波町の伝承について著した本だった。

106: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.72 zd8wXOj1
「あー、たこ焼きね」

107: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.77 zd8wXOj1
 彼女は、アリスが行おうとしていた洗礼をすでに受けていたんだ。

108: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.84 zd8wXOj1
「そうだね…。時間なんか、止まっちゃえばいいのに」

109: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.84 zd8wXOj1
「慣れたって、何度もやったの?」

110: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.91 zd8wXOj1
「花梨ちゃんと、和泉ちゃんには内緒ね。怒られちゃう」

111: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.92 zd8wXOj1
 全身が固くなり、ぶるっと震えた。

112: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.01 zd8wXOj1
「庄一も、開発には反対なの?」

113: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.96 zd8wXOj1
 もっとみんなのことを知りたい、と。

114: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.01 zd8wXOj1
 ふっと耳に息をふきかけて、花梨はまたぺろぺろと、僕の唇を舐めた。

115: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.08 zd8wXOj1
「あー、悪い悪い」

116: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.93 zd8wXOj1
「うん。それで、雪ちゃんとボクがママ。透矢ちゃんがパパ」

117: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.08 zd8wXOj1
 僕は、和泉ちゃんの肩を押し、そっと体を離した。

118: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.00 zd8wXOj1
 僕に言葉をはさませず、雪さんは妙なことを言い始めた。

119: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.06 zd8wXOj1
「ママ…嫌だよ…」

120: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.10 zd8wXOj1
「いつも、あと何点かじゃありませんか」

121: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.20 zd8wXOj1
「そう…じゃあ、頑張って」

122: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.21 zd8wXOj1
 砂がなくなったところで、ハンカチを当てて、その上から包帯を巻いた。

123: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:13.77 zd8wXOj1
「和泉の気持ち、知ってたのに。告白したのも知ってたのに」

124: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.29 zd8wXOj1
「充分だよ、ありがとう、花梨」

125: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.34 zd8wXOj1
 また、ちゅっ。

126: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.38 zd8wXOj1
 照れているのか、彼女の小さい体では、それが精一杯だったのか。

127: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.50 zd8wXOj1
「透矢、顔色悪いけど、大丈夫?」

128: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.50 zd8wXOj1
「海の中のこと、海を越えた向こう側のこと、時を越えたはるか昔のこと」

129: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.50 zd8wXOj1
「あくまで保険なんだからね、保険」

130: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.46 zd8wXOj1
「ねー、はずかしいよぉ」

131: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.54 zd8wXOj1
 くたびれた様子を見せるでも、不満を漏らすでもなく、雪さんがおっとりと言う。

132: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.54 zd8wXOj1
 それでも、夢といえば僕も心当たりのあるところなので続けてもらうことにした。

133: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.59 zd8wXOj1
『せい!』

134: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.62 zd8wXOj1
「ごめんなさい。私のせいで、危ない目にあわせちゃって」

135: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.74 zd8wXOj1
「だって…私には…その力が…」

136: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.75 zd8wXOj1
「ば、場所までは知らなかったんだよ」

137: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.75 zd8wXOj1
 どうしてそんなに優しいの?

138: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.82 zd8wXOj1
「まあ…」

139: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.82 zd8wXOj1
 当たり前だけど…事故の直後は疲れていて、本当に何か不思議な事が起こっているような気がしていた。

140: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.88 zd8wXOj1
「アリス、いい?」

141: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.82 zd8wXOj1
「私たち、冷たいのかなぁ」

142: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.89 zd8wXOj1
「寝苦しそうだったので、勝手にさせていただきました。寝心地は、あまり良くなかったようですけど」

143: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:14.96 zd8wXOj1
「うん。大事を取って病院のほうに入るみたい」

144: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.07 zd8wXOj1
 少しずつ少しずつ、腰の動きを大きくしていく。

145: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.13 zd8wXOj1
 あれはつまり、一年に一度きりの、ふたりの再会の時をあらわしているのだ。

146: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.16 zd8wXOj1
「僕が断る理由は、何もないんだけど」

147: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.17 zd8wXOj1
「う…うれしいですけど、そういう時は、できるだけ、お風呂かどこかで…」

148: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.20 zd8wXOj1
「ふぁぁ…」

149: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.40 zd8wXOj1
 戸惑っていると、車の中から、もうひとりの人物が姿を現した。

150: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.40 zd8wXOj1
 とにかく普通じゃない、異常だ。

151: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.22 zd8wXOj1
「めくってしまって、けっこうですよ」

152: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.43 zd8wXOj1
 とりあえず、ここにいちゃいけないな、と思い、外に出た。

153: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.47 zd8wXOj1
 どくん、心臓が跳ねる。

154: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.57 zd8wXOj1
 振り返った女の子の顔は、マリアちゃんに良く似ている、というより、ほとんどそのものだった。

155: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.52 zd8wXOj1
「今日は良く笑ってくれるね」

156: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.67 zd8wXOj1
『い、いいってば。動物が相手じゃ仕方ないよ。また次の機会に見せてよ。楽しみにしてるから』

157: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.67 zd8wXOj1
“パンパン”

158: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.68 zd8wXOj1
「でも、僕が好きなのは花梨だ」

159: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.71 zd8wXOj1
「そういう事があるから、おねえちゃんも心配するんですよね」

160: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.72 zd8wXOj1
「あれ? こっちって事は、わざわざ、僕を呼ぶために来てくれたんだ」

161: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.82 zd8wXOj1
 弓を引く手にも力がこもる。

162: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.82 zd8wXOj1
「ええ。ええ…本当に…」

163: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.92 zd8wXOj1
 オッケーということだと解釈し、続けさせてもらうことにした。

164: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.84 zd8wXOj1
「…アホくさ。もう、なんでもいいから行こうよ」

165: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.84 zd8wXOj1
「明日…透矢さん、明日も、ご一緒していただけますか?」

166: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:15.97 zd8wXOj1
 花梨は、ぶんぶんと手を振りながら病室を出ていった。

167: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.14 zd8wXOj1
「なんですの?」

168: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.15 zd8wXOj1
「あそこ」

169: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.19 zd8wXOj1
 ふっと耳に息をふきかけて、花梨はまたぺろぺろと、僕の唇を舐めた。

170: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.15 zd8wXOj1
「あ、ああ…いいよ」

171: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.15 zd8wXOj1
 どこ、だ?

172: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.14 zd8wXOj1
 額から伝わる熱も、少し、上がったような気がする。

173: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.15 zd8wXOj1
「まーたやってんのか。ホントにその気があるんじゃねーだろうな」

174: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.34 zd8wXOj1
「今は、変わった?」

175: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.39 zd8wXOj1
「だけど、仕方ないじゃないか。どうしても怖いんだ。僕にはもう、弓なんか引けない」

176: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.48 zd8wXOj1
 今、そのすべてが、温かい。

177: チドリソウ(アラバマ州)
09/06/13 00:35:16.37 Xw1eTS26
前スレどうやったのあれ
久々に戦慄したわ

178: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.48 zd8wXOj1
「透矢さん? 少々お待ち下さい」

179: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.50 zd8wXOj1
 神聖な場所と、そうでない場所の境界線を示すもので、一種の結界のようなものらしい。

180: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.52 zd8wXOj1
 和泉ちゃんは図書『室』なんて、ひとことも言っていない。

181: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.60 zd8wXOj1
「ぅ…いや、あの」

182: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.62 zd8wXOj1
 それにしても、父さんの論法は、ずいぶん押しつけがましいというか…

183: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.51 zd8wXOj1
「また、からかおうとして…図書館は逃げないよ。体調が大丈夫そうなら、本当に明日つき合うからさ」

184: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.67 zd8wXOj1
「一分は六十秒?」

185: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.63 zd8wXOj1
 怖い。

186: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.85 zd8wXOj1
「ならない」

187: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.85 zd8wXOj1
「透矢さっ…だ、めぇ…」

188: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.85 zd8wXOj1
 どこかに行きたいらしい。

189: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.85 zd8wXOj1
「良かったね、雪の調子良くなって」

190: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.85 zd8wXOj1
「ちょっ、やめてよ変態!」

191: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.51 zd8wXOj1
「透矢ー、スイッチ入れてー」

192: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:16.84 zd8wXOj1
「マリア…お姉ちゃんは…」

193: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.51 zd8wXOj1
 毎日のように練習していた、あの構え。

194: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.44 zd8wXOj1
「しゃべり方でなんとなく。それに、今日は七夕ですしね」

195: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.74 zd8wXOj1
「体調が良くなり次第、参加するって」

196: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.74 zd8wXOj1
「恋人とかじゃなかったけど…うん、こんな感じ。あ、まあ、こんなふうに教えたりはしなかったけど」

197: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.73 zd8wXOj1
「勘弁してよ…」

198: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.75 zd8wXOj1
「透矢さん…雪の、止まりません…」

199: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.75 zd8wXOj1
「キミ、誰が尻にしいてるって?」

200: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.75 zd8wXOj1
「人が悪いなぁ、和泉ちゃんも」

201: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.75 zd8wXOj1
「無理しないでよね。じゃあ、他の所に行く?」

202: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.81 zd8wXOj1
「お疲れさまでした。今、おいしいお茶をいれますからね」

203: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.86 zd8wXOj1
「あれ、雪、いないんだね」

204: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.86 zd8wXOj1
 だから、さようなら。

205: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.86 zd8wXOj1
 今さらながらに、二人きりっていうのが意識された。

206: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.87 zd8wXOj1
「さあ、参りましょう」

207: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.92 zd8wXOj1
 何度目だろう、僕は息をのんだ。

208: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.82 zd8wXOj1
 見ているだけで、おだやかな、優しい気持ちになってしまう。

209: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.94 zd8wXOj1
「新城和泉さん? えっと、今度はどう呼んだらいいのかな」

210: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.92 zd8wXOj1
「どうだか。で、真面目な話、あれから大丈夫だった?」

211: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.97 zd8wXOj1
 ほどなくして、道が完全に途切れた。

212: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.97 zd8wXOj1
「庄一は大丈夫なの? 自分だって、花梨と同じ立場でしょう?」

213: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.97 zd8wXOj1
「好きだよ。だから、ずっと僕の側にいてほしい」

214: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:17.91 zd8wXOj1
「幸せそう。僕が?」

215: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
「えっ、どうして和泉さんが謝っちゃうんですか?」

216: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
「あむ…ん…っ…」

217: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
 雪さんの震えが、大きくなった。

218: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
「そうなんですよ。もう少し静かに鳴いていただけると、うれしいんですけど」

219: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.03 zd8wXOj1
 雪さんが、僕を呼んでいる。

220: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.00 zd8wXOj1
「いつも、あと何点かじゃありませんか」

221: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
「ん、ときどき、瀬能くんが助けてくれるからね」

222: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.04 zd8wXOj1
 手を離し、花梨が駆けだした。

223: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.02 zd8wXOj1
「才能と偶然。あなたはどうして幽霊がいないと思うの?」

224: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.04 zd8wXOj1
 ぞくり。

225: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.09 zd8wXOj1
「お父様と呼ばないでくれ…あなたは」

226: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.09 zd8wXOj1
 和泉ちゃんは、僕らから目を逸らし、何も言おうとしなかった。

227: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「お尻…?」

228: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.09 zd8wXOj1
「約束…やぶってしまわれたんですね」

229: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
 彼女は、僕の体を知りすぎている。

230: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
 牧野那波さん―彼女は、なんなんだ?

231: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「じゃあ…僕と結婚しよう、雪さん。一生僕のものになって」

232: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「なんか心配で。よけいなお世話だったみたいだね」

233: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「今日はありがとう。おかげでマリアに暴れられなくて済んだわ」

234: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.11 zd8wXOj1
「大事な約束だからじゃない?」

235: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.15 zd8wXOj1
「でも、言い過ぎじゃないかな? アリスのことだから、考えなしってことはないだろうけど…」

236: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
 まぶたが落ちる。

237: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「まあ、さっきから、我慢してるし」

238: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.09 zd8wXOj1
「あらあら。どうされたんです?」

239: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.16 zd8wXOj1
「うん。つまらないことで心配かけちゃったみたいで、ごめん」

240: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「ったた! そんなにしなくても、送るから大丈夫だよ」

241: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.12 zd8wXOj1
「那波…どうしたの?」

242: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.20 zd8wXOj1
「抜け出して来ちゃったわけだね」

243: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.16 zd8wXOj1
「そんな暗い顔しないでよ。一生の別れってわけじゃないんだしさ」

244: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.21 zd8wXOj1
「気持ち良かった?」

245: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.25 zd8wXOj1
「…そうかも」

246: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
 自分の裸の写真を見て、可愛いなんて思うもんか。

247: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.27 zd8wXOj1
「え? あ、ぁぁ…そうかな」

248: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
 見えないはずの目をまぶしげに細め、彼女は正確にみんなのいる方向をとらえながら言った。

249: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.10 zd8wXOj1
「じゃあさ、きっと、その先までやってるよね」

250: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.25 zd8wXOj1
「あのー、マリアちゃん、あんまり跳ねないほうが…」

251: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.27 zd8wXOj1
「…ありがとうございます。ですけど、透矢さんは…わたくしと一緒に来ることができませんわ、きっと」

252: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
「透矢、牧野がそうだって言ったらそうなんだよ」

253: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.31 zd8wXOj1
「あっ、そうだそうだ…」

254: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
「少なくとも、僕はここでナナミが倒れていたのを覚えている」

255: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
 だから、今まで、滅多なことでは泣かなかった。

256: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
 もう少しだけ、進んでみよう。

257: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
 偶然なのか、彼女の視線の先には雪さんの背中があった。

258: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.34 zd8wXOj1
「楽しいはずのデートで、そんなに疲れてどうするのさ。足は?」

259: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.38 zd8wXOj1
「…ほにうるいなんだよ?」

260: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.40 zd8wXOj1
「思い知った。次からは気をつける」

261: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.39 zd8wXOj1
 少しずつ、彼女のそこは湿り気を帯びていく。

262: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.44 zd8wXOj1
 顔を伏せて集中している―わけじゃなかった。

263: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.20 zd8wXOj1
 窓際にたたずむ彼女。

264: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.46 zd8wXOj1
「ただいまー?」

265: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.53 zd8wXOj1
 それはつまり、最終的には僕に受け止めろってことか。

266: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.55 zd8wXOj1
 あの日、彼女は確かに存在していた。

267: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.56 zd8wXOj1
「でも、悪いよ。それに疲れたでしょう?代わろうか?」

268: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.57 zd8wXOj1
 なにしろ無理をする人だし、ひょっとしたら、ものすごく苦しんでいたりしないだろうか?

269: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.58 zd8wXOj1
 洗い物の手を止め、外に出たけど、誰もいない。

270: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.59 zd8wXOj1
 にっこり、顔を見合わせて、お互いの口をふさいだ。

271: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.64 zd8wXOj1
「あ…うん…」

272: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.67 zd8wXOj1
「その研究課題っていうのは何?」

273: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.79 zd8wXOj1
「はい、宮代ですけど」

274: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.80 zd8wXOj1
「ああ、体調が悪いんだってさ」

275: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.83 zd8wXOj1
 彼女にとってもまた、これは好機だったと言えるだろう。

276: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.84 zd8wXOj1
 いつもの笑顔を見せて、雪さんは、アルバムのページをめくった。

277: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.85 zd8wXOj1
「じゃあ、私も練習してるから。何かあったら声かけて」

278: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.86 zd8wXOj1
「だ、だよね。アリスってキツイんだけど何か言われても、あまり嫌な気持ちにならないし」

279: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.88 zd8wXOj1
「だいたい、牧野さんって、まだ戻ってないはずだよね、和泉」

280: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.88 zd8wXOj1
「僕だって本番前だよ。花梨は?」

281: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.89 zd8wXOj1
「悪かったね。こんな時間までつき合わせてしまって」

282: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.90 zd8wXOj1
「前向きでいいね…」

283: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.91 zd8wXOj1
 だって僕のは…調子が悪いとか、そういう次元のものじゃないから。

284: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.93 zd8wXOj1
 そして、ついには、この町を離れることになってしまった…。

285: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.93 zd8wXOj1
「勘弁してよ…」

286: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.95 zd8wXOj1
「ちょっとね。これのおかげで、ここまで来られたんだよ」

287: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.96 zd8wXOj1
「大和神社って、それじゃあ」

288: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.96 zd8wXOj1
 なんだろう、あれ。

289: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.98 zd8wXOj1
「…っ…はい」

290: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.98 zd8wXOj1
 視界が一点し、目の前にはさびれた村の光景が広がっていた。

291: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:18.99 zd8wXOj1
 僕は覚えている限りの事を伝えることにした。

292: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.00 zd8wXOj1
 いたずら電話だと思って、受話器を置こうとすると、

293: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.01 zd8wXOj1
「うん…今日は…ありがと」

294: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.02 zd8wXOj1
 やりきれなさのようなものを感じ、僕は彼女を抱き寄せていた。

295: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.03 zd8wXOj1
「あ、あそこあそこ」

296: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.04 zd8wXOj1
「…すごく感じてる」

297: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.06 zd8wXOj1
「ジロジロ見ないでよぉぉぉ」

298: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.06 zd8wXOj1
 僕は、彼女の目のことも、夢のことも、七夕の夜のことも、ぜんぶ忘れている自分に気がつき動揺した。

299: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.08 zd8wXOj1
「…そうですね。でしたら、雪は食堂でお待ちしていますから」

300: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.10 zd8wXOj1
「ね、透矢さん、行きましょうよー」

301: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.10 zd8wXOj1
「なんにも言ってくれなくていいよ。優しくされると、辛いもの」

302: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.11 zd8wXOj1
「那波は…幸せで…」

303: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.12 zd8wXOj1
「でも初対面なんでしょう?」

304: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.14 zd8wXOj1
「ふーん。でさ、けっきょく、あの夢は何だったわけ?」

305: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.15 zd8wXOj1
「ナナミが、助けてくれたんでしょう?」

306: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.16 zd8wXOj1
「みんな来たー。何して遊…ぶふっ!」

307: ノミノフスマ(九州)
09/06/13 00:35:19.28 mCOjgfuI
スレ埋め立てスクリプト↓

308: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.30 zd8wXOj1
 和泉ちゃんが、きのうと同じ顔をした。

309: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.31 zd8wXOj1
「冷たいものはゆっくり食べなさいって、いつも言って…」

310: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.32 zd8wXOj1
 下半身を温かいものが伝い、流れ落ちていく。

311: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.33 zd8wXOj1
「うん、すぐ行く」

312: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.34 zd8wXOj1
「マリアから、なんか聞いた?」

313: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.36 zd8wXOj1
「和泉ちゃんは、おまえと違ってか弱い女の子だから、車が来るまでが危ないの」

314: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.38 zd8wXOj1
「その夢を見るたび、とても悲しい気持ちになりますの。それで、いてもたってもいられなくて…」

315: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.38 zd8wXOj1
 もっとも、彼女のそれは、暗くなりがちな雰囲気に気を配った結果だったのかもしれない。

316: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.40 zd8wXOj1
「少しは、元気になってくれたかな」

317: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.40 zd8wXOj1
 嘘のようにおだやかな顔をして…彼は、本当に、眠りについてしまった。

318: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.41 zd8wXOj1
「ああ、ごめん。誓いの口づけを」

319: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.42 zd8wXOj1
「んー…どう?」

320: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.44 zd8wXOj1
『雨―』

321: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.45 zd8wXOj1
 初めて見た小さいポットには、直接、お茶がいれてあって、こっちも文句なし。

322: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.45 zd8wXOj1
 花梨が指さすほうを見ると、道の小脇にぼんやりと、小さな人影のようなものが見えた。

323: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.47 zd8wXOj1
 彼女が座ったのを見て、スイッチをいれる。

324: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.49 zd8wXOj1
 牧野さんと別れ、弓場を訪ねると、

325: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.49 zd8wXOj1
「はりゃ、違った?」

326: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.50 zd8wXOj1
 これが夢じゃなくて、雪さんが夢だったなら、どうしてずっと寝かせておいてくれないんだ。

327: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.52 zd8wXOj1
「本?」

328: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.53 zd8wXOj1
 庄一の言う通りだった。

329: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.54 zd8wXOj1
「というわけで、錯覚か人違いか。キミ、本当に体は大丈夫?」

330: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.54 zd8wXOj1
「この温もりだけが…ナナミの確かなものですわ」

331: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.56 zd8wXOj1
「じゃあ、気分転換につき合って」

332: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.57 zd8wXOj1
「あり得ないよ」

333: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.58 zd8wXOj1
 女の子は祈っているというわけでもないみたいで、ただ、正面にある像らしきものを見上げていた。

334: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.69 zd8wXOj1
「…小さいって思ったでしょう?」

335: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.70 zd8wXOj1
「ぅー」

336: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.72 zd8wXOj1
「危ないからじゃないですか?」

337: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.72 zd8wXOj1
「ば、馬鹿…」

338: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.73 zd8wXOj1
「でも、駄目だね。いちばん別れたくない人になんか会ったら、駄目」

339: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.76 zd8wXOj1
 ともあれ、絵に描いたようなハイキング日よりになった。

340: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.76 zd8wXOj1
 今日に限って庄一もいないし、心細い。

341: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.79 zd8wXOj1
 どうして彼女がメイドなんてやっているのか、きっかけは、もう覚えていない。

342: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.80 zd8wXOj1
「手伝うだなんて、やめてください。それからもうひとつ、お友達のみなさんが、お見舞いに」

343: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.81 zd8wXOj1
「そういえば、作者の苗字、あなたと一緒ね。もしかして親戚筋とか?」

344: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.82 zd8wXOj1
「言っとくけど、日本史はばっちりだよ」

345: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.83 zd8wXOj1
「あの、僕と雪さんはずっと前から一緒に暮らしていたってこと?」

346: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.84 zd8wXOj1
「雪、今日は撫でていませんけど…」

347: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.85 zd8wXOj1
 受話器を置いて、電話を受ける前より、落ちついた気持ちになっている自分に気づかされた。

348: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.86 zd8wXOj1
「僕も、手伝うよ」

349: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.87 zd8wXOj1
「手だよ。起きてから、ずっと手をさすってるじゃない。夢を見たって言う時はいつもそう」

350: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.87 zd8wXOj1
「朝の分も昼の分も、ちゃんと作って来ました」

351: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.89 zd8wXOj1
「和泉の手紙に、ごめんなさいって、あったのね」

352: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.90 zd8wXOj1
「本当にそれがいいの?」

353: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.92 zd8wXOj1
「…あのー、でもさ、アリスがいない間にひとりであそこに行く可能性は?」

354: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.93 zd8wXOj1
 だけど、道場の練習とは違う。

355: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.93 zd8wXOj1
 その後、すべての家を見て回ったけど、どこも同じような惨状だった。

356: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.95 zd8wXOj1
「当たり前ですよぅ。おねえちゃんとは、ずっと一緒なんですから。いつも私のこと守ってくれますし…」

357: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.96 zd8wXOj1
「ありがとう。でも、まだ大丈夫だから。それより、暗くなる前に、この辺りを見て回らないと」

358: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.98 zd8wXOj1
「しかし、根本的な解決にはならねーし、なんていうか…大変だな、おまえも」

359: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:19.98 zd8wXOj1
「それ、気持ちいいってことだよね。だったらいいじゃないか」

360: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.02 zd8wXOj1
「本気だよ」

361: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.08 zd8wXOj1
 今さらそんな事を悔やんでも仕方ないけれど…

362: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.10 zd8wXOj1
 完全に固まってしまった。

363: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.10 zd8wXOj1
 花梨は、確かに前から可愛かったけど、なんていうか、こういうんじゃなくて…

364: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.13 zd8wXOj1
「わかってるよ、わかってるけど」

365: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.14 zd8wXOj1
「残念ながら、まだまだですわ」

366: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.15 zd8wXOj1
 汗を拭うフリをし、涙を拭ってから、僕は振り向いた。

367: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.16 zd8wXOj1
「他に誰の心配をして、こんなところに来るのさ。それより、病院を抜け出してまで、どうしたの?」

368: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.16 zd8wXOj1
 事を終えて、なぜだか泣き出しそうになる僕を、花梨はきつく抱き寄せてくれた。

369: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.19 zd8wXOj1
「宮代、いちおう部活なわけだしな…」

370: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.19 zd8wXOj1
「透矢くんの、元気…」

371: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.20 zd8wXOj1
「う…。と、とにかく、朝から騒がせてごめんね。そろそろ帰るよ」

372: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.21 zd8wXOj1
 同じ疑問を、花梨は率直にぶつけた。

373: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.22 zd8wXOj1
 真剣に起こすべきか悩み始めたところで次の指名がかかった。

374: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.24 zd8wXOj1
「うん、すぐ行く」

375: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.24 zd8wXOj1
「ぅぁぁ…っく…ぅ…」

376: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.27 zd8wXOj1
「あっ…うああああああ!」

377: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.27 zd8wXOj1
「あんまり、寝られなかったかな」

378: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.28 zd8wXOj1
「ちっ…が…違うんです…雪のは…」

379: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.30 zd8wXOj1
 当たり前だろう―彼女にはもう、これしかなかったんだ。

380: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.30 zd8wXOj1
 彼女のノドの粘膜に、ぴったりと張りついた先端から、ひっきりなしに、熱い塊が吐き出される。

381: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.31 zd8wXOj1
「……良かった、花梨ちゃんの舞が成功して」

382: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.33 zd8wXOj1
「こんなところで、何、やってるの?」

383: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.34 zd8wXOj1
「別に…」

384: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.35 zd8wXOj1
「なんなのって言われても」

385: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.36 zd8wXOj1
 地の利でも、戦力でもなく、神が味方したとしか、言いようがない。

386: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.38 zd8wXOj1
 父には本当に気をつけてください。

387: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.41 zd8wXOj1
 しーっと小さな僕を黙らせると、すっと目を閉じさせる。

388: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.45 zd8wXOj1
「あー…嘘ついてるって顔だよ、この人」

389: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.48 zd8wXOj1
「僕は、いったい…」

390: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.49 zd8wXOj1
「大丈夫。僕は、いいんだ」

391: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.49 zd8wXOj1
 この人はこういう人だった―朝から、こんな話、するもんじゃない。

392: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.50 zd8wXOj1
「ふふ、冷たいですわ、透矢さん」

393: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.53 zd8wXOj1
 事故に遭ってからというもの、眠る前に暗闇の中で、翌日のことを考えるのが僕の日課になっていた。

394: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.53 zd8wXOj1
 それは、ささやかで、素敵な奇跡。

395: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.54 zd8wXOj1
 僕も、あんな感じだったんだろうか。

396: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.55 zd8wXOj1
「わかってるけど」

397: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.58 zd8wXOj1
「透矢おにーちゃーん」

398: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.58 zd8wXOj1
「どう考えるかって問題だろ。予備知識がなければ、不思議な薬としか映らないかもしれない」

399: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.59 zd8wXOj1
「どの辺が良かったかを、三十文字以内で述べなさい」

400: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.61 zd8wXOj1
 なんだか、放っておくと、延々お説教されそうな気配だ。

401: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.62 zd8wXOj1
「遊んだ遊んだ。たまにはこういうのもいいよね」

402: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.62 zd8wXOj1
「いいんです。目覚められた時から、ずいぶんと気にしていましたし…」

403: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.65 zd8wXOj1
「っ…っ…っぅぅ…」

404: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.66 zd8wXOj1
「やっ…はぁ…」

405: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.67 zd8wXOj1
 彼女の中にすべてを埋めるということはそれくらい気持ちがいい。

406: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.67 zd8wXOj1
 半泣きの、砂にまみれた顔があわれで、なんとなく頭を撫でた。

407: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.69 zd8wXOj1
「あ…えっとぉ…怒った?」

408: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.70 zd8wXOj1
 マリアちゃんは真っ赤になって目を逸らしてしまった。

409: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.72 zd8wXOj1
 どんぴしゃり、だ。

410: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.72 zd8wXOj1
「そういうこと。理解した?」

411: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.75 zd8wXOj1
 保険ってなんのことだろう?

412: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.77 zd8wXOj1
「調べたいことがあるの。そうだ、あなたの通ってるところよね、大きい図書館があるのって?」

413: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.79 zd8wXOj1
 花梨はまた、僕のものを口にふくんで、さっきよりはげしく顔を上下させた。

414: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.80 zd8wXOj1
『透矢くんも、何かお願いしよう』

415: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.82 zd8wXOj1
「父さん、話って…」

416: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.83 zd8wXOj1
「花梨、まさか…駄目だったのか?」

417: チドリソウ(兵庫県)
09/06/13 00:35:20.84 D1BCAwy6
またきたか
音恵み糞だな

418: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.86 zd8wXOj1
「…だって、マリア」

419: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.87 zd8wXOj1
「僕、花梨のこと、好き…みたいだ」

420: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.87 zd8wXOj1
 タイムリーすぎて、思わず吹き出してしまった。

421: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.89 zd8wXOj1
「そんなことありません…ありませんからね?」

422: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.90 zd8wXOj1
 タイミングがいいんだか悪いんだか、雪さんが笑顔でやってきた。

423: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.92 zd8wXOj1
 …そんな授業に限って当てられるし。

424: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.94 zd8wXOj1
「…ん、そんなこと、初めて言われた」

425: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.94 zd8wXOj1
 薄い布をへだてた向こう側から、温かいものがにじみ出し、唇を濡らす。

426: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.96 zd8wXOj1
「ああ…瀬能雪ちゃん」

427: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.97 zd8wXOj1
「そしたら、また…ね」

428: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.98 zd8wXOj1
「思い出したっていうのとは、少し違うんだけど」

429: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.99 zd8wXOj1
 大丈夫だ。

430: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:20.99 zd8wXOj1
「ええと…でも、それじゃあ?」

431: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.01 zd8wXOj1
「そんなことないよ。和泉ちゃんのこと…好きだし」

432: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.02 zd8wXOj1
 まさか反応するとは…。

433: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.03 zd8wXOj1
「ああ、調子どう?」

434: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.04 zd8wXOj1
「同じものを、見たのかな?」

435: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.05 zd8wXOj1
「お出かけになると言っていましたけど、教会に用事があったんですか?」

436: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.08 zd8wXOj1
 夢で彼女を射抜いた、だからなんだって言うんだろう?

437: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.08 zd8wXOj1
「よろしかったんですの?」

438: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.09 zd8wXOj1
「山って、いいものですね」

439: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.12 zd8wXOj1
「ごめんなさい、本当なんです」

440: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.15 zd8wXOj1
 あそこで止めておけば、こんなことにはならなかった。

441: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.16 zd8wXOj1
「今、森の奥に、人影みたいなものが見えなかった?」

442: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.16 zd8wXOj1
「そんなことは。最近、娘さんとも会ってなかったですし…。ねえ、牧野さん」

443: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.19 zd8wXOj1
 男女合わせて三十人くらいはいる。

444: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.20 zd8wXOj1
「透矢さん…もう大丈夫ですから、動いて下さい」

445: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.20 zd8wXOj1
 僕はぎりぎりのところで欲望を振り払った。

446: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.22 zd8wXOj1
「ほらー、雪ちゃんと那波ちゃんはボクの味方ー」

447: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.24 zd8wXOj1
「駄目です…っ!」

448: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.25 zd8wXOj1
 目を覚ました、記憶を無くした、母さんは死んだ、父さんも重態。

449: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.27 zd8wXOj1
「僕が、ついていくっていうのは無し?」

450: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.28 zd8wXOj1
「どうかされました?」

451: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.29 zd8wXOj1
「和泉ちゃん! 落ち着いて…」

452: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.30 zd8wXOj1
 限界が近かった。

453: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.31 zd8wXOj1
 ぺこぺこぺこぺこ。

454: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.32 zd8wXOj1
 僕を死に引き込む音。

455: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.33 zd8wXOj1
「私たちっていうか和泉だけでしょ。よだれ出てるし」

456: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.35 zd8wXOj1
 そう言って、庄一は人の間をぬってスイスイと舞台に接近していく。

457: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.37 zd8wXOj1
 割れ目を押し開き、入り口に小指の腹をあてがう。

458: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.37 zd8wXOj1
 上がり症だっていう花梨だけど、舞だけは特別のようだ。

459: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.38 zd8wXOj1
「そう思ったら悔しくなっちゃって。私、初めて本気で神様にお願いしたんだ…助けてください、って」

460: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.39 zd8wXOj1
 しばらくじっとしているだけでも、僕は達してしまうだろう。

461: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.41 zd8wXOj1
 マリアちゃんを寝かしつけて、ようやくひと段落。

462: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.43 zd8wXOj1
「応援というか様子見というか…。とにかく、明日はいよいよ本番だからね…ごちそうさまでした」

463: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.45 zd8wXOj1
「はぁ…こういうことになると、ホントにお馬鹿さんになっちゃうんだから。つき合いきれません」

464: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.46 zd8wXOj1
「ありがとうございます。次は、本業のほうを頑張りますね」

465: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.48 zd8wXOj1
「あり得ますわ」

466: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.49 zd8wXOj1
「よろしくねー、私は行く気ないから」

467: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.50 zd8wXOj1
「間違い電話?」

468: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.52 zd8wXOj1
 逆を言えば、彼女といる間は誰もいなくなる。

469: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.53 zd8wXOj1
「透矢さんは亡くならなかった」

470: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.56 zd8wXOj1
「…そうさせていただきます」

471: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.56 zd8wXOj1
「うれしいなぁ。そんなこと言ってくれるの、透矢くんだけだよ」

472: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.57 zd8wXOj1
「昨日は、どうも」

473: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.60 zd8wXOj1
「…意地悪なこと、言わないでください」

474: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.61 zd8wXOj1
 金属片は、花梨がそこらに落ちてるのを拾い上げただけのものだ。

475: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.62 zd8wXOj1
 困り果てていると、後ろから肩を叩かれた。

476: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.63 zd8wXOj1
「だから、俺にもわからないんだって。花梨に聞いたほうがいいんじゃないか?」

477: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.63 zd8wXOj1
「和泉ちゃーん、ボクもー」

478: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.65 zd8wXOj1
「断られちゃった?」

479: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.66 zd8wXOj1
 夜の山?

480: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.68 zd8wXOj1
「そうだよね。和泉の気持ち、わかってたはずなのに…いなくなった途端に、これだもん」

481: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.70 zd8wXOj1
「どう思われたっていいわよ。マリアが元に戻ったなら、それで」

482: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.71 zd8wXOj1
「お父様…」

483: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.72 zd8wXOj1
 あの、赤い目。

484: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.73 zd8wXOj1
「でも、わからないはずがないって…」

485: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.74 zd8wXOj1
 世界は、こんなにも美しいものなんだ…

486: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.75 zd8wXOj1
「いいことなのかなぁ…ひゃっ…」

487: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.77 zd8wXOj1
「花梨ちゃんの真似ー」

488: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.77 zd8wXOj1
 彼女は川べりにたたずみ、また、空を見上げていた。

489: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.79 zd8wXOj1
 ひどい言われようだけど、どうにも反論の余地がない。

490: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.79 zd8wXOj1
「いっっっ!」

491: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.81 zd8wXOj1
「な、なんでわざわざ巫女服なのさ」

492: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.81 zd8wXOj1
 しばらく、何かぶつぶつ言っていたけど結局、和泉ちゃんは何も言わず、がくっと頭を垂れた。

493: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.81 zd8wXOj1
 花梨には『まあ、行けたらね』と返事をしてしまった。

494: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.84 zd8wXOj1
「この写真に写っているのは…」

495: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.85 zd8wXOj1
「防空壕のこと調べようと思うんだけど、つき合わない?」

496: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.86 zd8wXOj1
「ここが、おうちなんですの」

497: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.86 zd8wXOj1
「ホントにぃ? 走れるくらい?」

498: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.87 zd8wXOj1
「いえ、特に。本は好きですけど」

499: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.89 zd8wXOj1
「じゃあ、次にやる時は声をかけてよ。手伝うから」

500: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.92 zd8wXOj1
「寂しい、ですか?」

501: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.93 zd8wXOj1
「ウチはおまけなんだよ、おまけ。まあ、後かたづけくらいは手伝うさ」

502: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.93 zd8wXOj1
「実際、そうだと思うよ」

503: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.94 zd8wXOj1
「も、もう…鈴蘭ちゃん、私と一緒に短冊飾ろ」

504: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.96 zd8wXOj1
「僕と牧野さんみたいだったけど、いつもと雰囲気が違ったね。過去って雰囲気でもないし…」

505: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:21.97 zd8wXOj1
 そういうことに、なるんだろうか?

506: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.00 zd8wXOj1
「花梨が一緒にいてくれれば、もう少し頑張れそうだから」

507: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.02 zd8wXOj1
 マリアちゃんのためだとわかっていても可哀想だ…彼女にしろキツネにしろ。

508: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.04 zd8wXOj1
「それは…ひどいね」

509: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.06 zd8wXOj1
 足音が近づいてきた。

510: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.07 zd8wXOj1
「じゃあ、今まで通りに、和泉ちゃんでいいかな?」

511: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.08 zd8wXOj1
 それをつまむようにしながら、胸全体をゆっくりこねるようにして、もみしだく。

512: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.09 zd8wXOj1
 元よりしめつけが厳しい中で我慢していたせいもあってか、限界が近かった。

513: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.10 zd8wXOj1
「感じ悪いなぁ…」

514: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.13 zd8wXOj1
「家にいると、ちょっとな。試合前で練習も実践が多いだろうし、出てもいいかと思ってさ」

515: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.14 zd8wXOj1
 言葉をつなぎあぐねる僕に、彼はおもむろに右手をさし出してきた。

516: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.15 zd8wXOj1
「あら…さあ、どうぞ」

517: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.16 zd8wXOj1
「病気?」

518: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.17 zd8wXOj1
「今度は、僕がしてあげる」

519: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.18 zd8wXOj1
「普段だって、何?」

520: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.19 zd8wXOj1
 腰の動きに合わせて吐息を漏らす。

521: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.21 zd8wXOj1
「出入り禁止って、どういうこと?」

522: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.20 zd8wXOj1
 僕はひとり、家路についた。

523: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.23 zd8wXOj1
「綺麗だね…」

524: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.23 zd8wXOj1
「いいよ、何回でも…可愛い顔、見せて」

525: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.25 zd8wXOj1
「はい、座って良し」

526: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.27 zd8wXOj1
 そうだな…。

527: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.27 zd8wXOj1
「あのぅ…それでですね…」

528: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.27 zd8wXOj1
「じゃあ私はこれで。明日の夜、忘れないでね。七時に宮代神社だから」

529: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.29 zd8wXOj1
 それは緊張するでも、なれ合うでもない自然体での口づけ。

530: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.31 zd8wXOj1
「…もう少しだけ、お母さんの代わり、させて」

531: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.32 zd8wXOj1
「和泉ちゃんにだって、やることはあるでしょう?」

532: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.32 zd8wXOj1
「透矢っ、聞いてる?」

533: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.34 zd8wXOj1
 困惑気味のマリアちゃんを引きずるようにして、アリスは元気良く、急勾配の坂を上っていった。

534: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.36 zd8wXOj1
 この場合、他にどうしようもない。

535: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.37 zd8wXOj1
「こんにちはー」

536: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.38 zd8wXOj1
 地面に、黒いシミのようなものが広がっていた。

537: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.39 zd8wXOj1
「なるほど、事情が飲み込めた。おまえ、花梨から何も聞いてないな」

538: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.40 zd8wXOj1
(だけど…僕が挑もうとしているのは、普通のことじゃない…)

539: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.43 zd8wXOj1
「黙っててよ。マリアには関係ないんだから」

540: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.43 zd8wXOj1
 実際に写真を取りだして仰天した。

541: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.46 zd8wXOj1
「駄目」

542: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.47 zd8wXOj1
 雪さんは、感謝の気持ちを表したいからと、僕のメイドになるっていう選択肢を選んでくれた。

543: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.50 zd8wXOj1
 淡々とした庄一の言葉に、鈴蘭ちゃんはおどろくほどおとなしくなった。

544: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.51 zd8wXOj1
 言われなくても―

545: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.52 zd8wXOj1
 笑い顔の時にチラリと覗く鋭い八重歯がとても可愛らしくて、印象的だった。

546: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.54 zd8wXOj1
 頭を撫でつつ、そう漏らすと、彼女は不意に顔を上げて、自分から唇を重ね合わせてきた。

547: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.54 zd8wXOj1
「うん。僕は好きかな」

548: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.56 zd8wXOj1
「私が脱ぎたいの」

549: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.58 zd8wXOj1
 腕を引く…一瞬、ぞくりとした感覚が走りはしたけど…いける。

550: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.58 zd8wXOj1
「かもね。でも、これが本当の花梨なんでしょう?」

551: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.60 zd8wXOj1
 そんな具合で、面会時間中、呼びかけていたけど、彼女が目覚める気配は一向になかった。

552: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.62 zd8wXOj1
 それでも、最後の最後に泣きそうな顔をして、

553: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.63 zd8wXOj1
 シャツの繊維をかいくぐり、雪さんの吐息が僕の背を愛撫する。

554: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.63 zd8wXOj1
「ぅ…ん…」

555: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.64 zd8wXOj1
「あのぅ、そういうのじゃなくてですね」

556: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.66 zd8wXOj1
「透矢は…どう?」

557: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.67 zd8wXOj1
 忘れる気だ…。

558: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.69 zd8wXOj1
「っ、那波…僕…そろそろ」

559: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.70 zd8wXOj1
「…ぅ…ん」

560: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.70 zd8wXOj1
 庄一あたりなら知っているかもしれないし、あとで聞いてみようか…。

561: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.71 zd8wXOj1
「あの、私たちに用とか、ある?」

562: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.73 zd8wXOj1
「本当に申しわけありません」

563: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.73 zd8wXOj1
 僕は泣いていた。

564: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.75 zd8wXOj1
「お姉ちゃんっ、冗談でも、都合のいいなんて言ったら駄目!」

565: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.75 zd8wXOj1
「あ、カブト虫ですよ、カブト虫」

566: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.76 zd8wXOj1
 見るたび、意識がはっきりしていくような、この夢の中で、僕は何度もそう叫んでいた。

567: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.78 zd8wXOj1
「体調が悪いとかじゃないからね。そんな事言ってたら、授業もおちおち受けていられなくなっちゃうよ」

568: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.79 zd8wXOj1
「あの子のこと、気になりますか?」

569: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.80 zd8wXOj1
「ばっ!」

570: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:22.82 zd8wXOj1
 アリスの口内には、今も、我慢しきれずあふれたものが、注がれている。

571: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
「ついさっきだけど」

572: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
『ママ…』

573: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.63 zd8wXOj1
「じゃ、そんな感じで決まりだ。やっぱり和泉ちゃんがいると違うな」

574: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
「あ…雪、そんなつもりじゃ」

575: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
「宮代さんが、舞に失敗してしまって、泣き崩れて…その後…彼女は目覚めないんですの」

576: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
「だってぇ、那波ちゃんばっか見てるんだもん。透矢ちゃんのエロー」

577: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
 良くわからなかったけど、なんだか放っておくこともできなくて、僕は、その手を撫でた。

578: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
 足下から、眠たそうな庄一の声がした。

579: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.64 zd8wXOj1
「透矢ー、この前ってなんの話だよ」

580: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.74 zd8wXOj1
 夜の山で迷うという絶望的な状況と、目の前の少女の発する魔力のようなものに怯え。

581: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.74 zd8wXOj1
 べっ、と舌を出されてしまった。

582: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
 赤くなった部分をさすると、顔をしかめた。

583: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.79 zd8wXOj1
 彼女の行為からは、いつも二種類の愛情が感じられる。

584: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
「防空壕なんだし戦争中のことでしょう?敵に見つかったんじゃないかしら」

585: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「きれいだ…」

586: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「はわっ!?」

587: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「花梨は、どこかで見なかったの?」

588: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
 でも、残念ながら返事は芳しいものではなかった。

589: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「じゃあ、戻る?」

590: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
 …聞かれてるのか?

591: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
 彼女は、歓喜の表情を浮かべながらも、押し殺したような声をあげた。

592: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「お姫さまは、大げさで」

593: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「隠してない」

594: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.77 zd8wXOj1
「うん。ね、アリス?」

595: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
「ま、まあ、とにかく今は涼しくなった。ありがとうね、雪さん」

596: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
 私は、少女に膝まくらをされており、彼女は私の頭を優しく撫でてくれていた。

597: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
 きついしめつけに、吸い上げるような感触。

598: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.79 zd8wXOj1
 ああ…何かが終わったんだ、という気持ちで満たされる。

599: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
「この子たちは、もう…」

600: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
 にしても、今回のアリスの態度はどうにも解せないし、マリアちゃんのことも心配だ。

601: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
「はぁ…じゃあ逆に苦手な教科は?」

602: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
「っっ。か、花梨、つま先で蹴らなくてもいいのに」

603: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.83 zd8wXOj1
「嫌なんでしょう? それに…同じ時間なら、弓道よりも大切なものに使ったほうがいいよ、きっと」

604: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.87 zd8wXOj1
 僕の気持ち。

605: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.92 zd8wXOj1
「っぁ…んぁ、っぁ、っぁ…」

606: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.92 zd8wXOj1
 手紙の内容を考えると、わかっていながら無視してしまうのは、気が引けた。

607: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:23.78 zd8wXOj1
 後ろめたさから、どうしても、窺うような調子になってしまう。

608: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.00 zd8wXOj1
「…そういうものですの?」

609: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.00 zd8wXOj1
「透矢さん、朝ですよ」

610: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.00 zd8wXOj1
「マリアちゃん、大和神社にいたの?」

611: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.00 zd8wXOj1
「そんなんじゃないけど…」

612: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.00 zd8wXOj1
 ピンク色のきれいなひだの中にある、小さな穴。

613: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.05 zd8wXOj1
「本気にしてしまいますから。はい、お弁当ですよ」

614: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.06 zd8wXOj1
 てっきり、もう女の子に譲ってしまったと思っていたのに。

615: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.08 zd8wXOj1
 とりあえず、ショーツ越しに軽く撫でてみる。

616: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.10 zd8wXOj1
 和泉ちゃんの話。

617: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.12 zd8wXOj1
「鈴蘭ちゃん、なめるって、なんのことを言ってるわけ?」

618: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.12 zd8wXOj1
「ご、ごめん。これを渡そうと思って」

619: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.14 zd8wXOj1
「代わったげよーか?」

620: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.15 zd8wXOj1
 例のキツネか。

621: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.17 zd8wXOj1
「あ、え…?」

622: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.30 zd8wXOj1
 気がつけば、そうだ、確かに僕はここにいる。

623: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.32 zd8wXOj1
「僕は反対だよ。そんなこと言ったって、花梨に嫌な思いをさせるだけだ」

624: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.49 zd8wXOj1
 ふたりは行ってしまった。

625: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.50 zd8wXOj1
 でも…もう少しの間だけ、僕が僕のままでいても、いいよな―?

626: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.51 zd8wXOj1
「えへー、透矢ちゃーん、また遊びにくるからねー」

627: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.52 zd8wXOj1
「ストップ。じゃあ、そのあと何をするかホントにわかってる?」

628: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.54 zd8wXOj1
 指先で根本をつまんで、しごき始める。

629: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.55 zd8wXOj1
「花梨は、ズルなんか…」

630: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.56 zd8wXOj1
 なにせ、僕自身、昔のことらしい夢を見たり、おかしな幻を見たりするんだから。

631: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.58 zd8wXOj1
「…お手やわらかに。じゃあ僕も、もっと雪さんのこと勉強しないとかな」

632: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.59 zd8wXOj1
 先生は横顔だけで僕を振り返ると、すぐまた黒板のほうを向いてしまった。

633: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.58 zd8wXOj1
 しかも、よりによって正面から全身をとらえているようなものが、これまた多い。

634: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.61 zd8wXOj1
「さあ、参りましょう」

635: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.60 zd8wXOj1
「とにかく、いい気持ちなんだ…あったかい…ううん、居心地がいいのかなぁ」

636: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.62 zd8wXOj1
「拗ねる、ですの?」

637: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.63 zd8wXOj1
「お茶が入りましたよ」

638: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.64 zd8wXOj1
「ああ…行こうか…」

639: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.66 zd8wXOj1
「あ、ちょっと…」

640: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.65 zd8wXOj1
 大丈夫だよ―幼い僕が、彼女をなだめる時に使った、無責任な決まり文句だったことを。

641: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.68 zd8wXOj1
 かき氷を消化したかったわけじゃなくて僕に食べさせる事、が重要だったらしい。

642: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.68 zd8wXOj1
 僕は、外出する旨だけを乱暴に書き置きし、家を出た。

643: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.70 zd8wXOj1
「やらないよりマシか…」

644: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.70 zd8wXOj1
 本当に、優柔不断というか気が多いと言うのか。

645: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.72 zd8wXOj1
 二重人格?―なんだかわからないけれど、僕の好きな那波は、こうじゃないはずだ。

646: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.73 zd8wXOj1
 板張りの床は、ひんやりしていて気持ちいいけど、ちょっと固い…

647: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.73 zd8wXOj1
 お尻の下敷きになっている部分だけ、腰を浮かせて持ち上げる。

648: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.76 zd8wXOj1
 マヨイガ、神隠し―あれも夢や幻の一部だったのか…?

649: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.89 zd8wXOj1
 と、考えることをやめて力をぬいた僕は自分の体に異変が起こっていることに気がついた。

650: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.91 zd8wXOj1
「いや、すごく似合ってると思うよ。お世辞とかじゃなくて」

651: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.93 zd8wXOj1
 二人は契りを結んだ。

652: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.94 zd8wXOj1
 いくら軽いって言っても、女の子を抱きかかえたまま、坂を上るのは辛い。

653: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.94 zd8wXOj1
 まさか舞をやめろとは言えない。

654: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.96 zd8wXOj1
 柔らかそうな乳房が、ゆがむ。

655: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.97 zd8wXOj1
「来てくれると思わなかった」

656: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.98 zd8wXOj1
 いや、これ自体、夢なのか。

657: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:24.99 zd8wXOj1
「なんて言ったらいいのかな。不便なこととかあったら、遠慮なく言ってほしいんだけど」

658: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.00 zd8wXOj1
「もぉっ、幼なじみのあいさつにしてはぎこちない」

659: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.01 zd8wXOj1
 …みんなして、僕をからかっていたのかもしれない。

660: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.02 zd8wXOj1
 戦の危険から彼女を遠ざけるという点でこれほど適した場所もない。

661: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.03 zd8wXOj1
「だから、言えないの」

662: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.04 zd8wXOj1
「久しぶりですよ。こんなふうに、自転車のうしろに乗せていただくなんて」

663: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.04 zd8wXOj1
 牧野さんの手は、冷たい。

664: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.06 zd8wXOj1
「ヘッドドレスのことですか?」

665: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.07 zd8wXOj1
「おまえらの場合、腐れる前にどうにかしたほうがいいと思うぜ」

666: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.08 zd8wXOj1
「ええ。ついでに、そんなことを聞かされたところで、どうにもしようがないんだけど…」

667: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.10 zd8wXOj1
「いや、ちょっと…」

668: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.11 zd8wXOj1
 笑いながら、今度は、僕に向かって水を蹴り始めた。

669: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.12 zd8wXOj1
「す、鈴蘭ちゃん?」

670: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.13 zd8wXOj1
「何それ? ひょっとして、気でもつかってくれてるの?」

671: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.13 zd8wXOj1
「いいけど、何するの?」

672: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.14 zd8wXOj1
「まだ、家に戻られていないと。心当たりはありませんか?」

673: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.16 zd8wXOj1
 ただ、彼女や僕―人という生き物に、わずかでも奇跡を望む力があるというならば、

674: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.16 zd8wXOj1
「緊張してるみたいだから。もうちょっと力を抜こうよ」

675: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.18 zd8wXOj1
「続き、してくれる? 今から…」

676: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.20 zd8wXOj1
「はは…」

677: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.20 zd8wXOj1
「可愛かったよ。雪さんには悪いけど、最後のは、あったかくて気持ち良かった」

678: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.21 zd8wXOj1
「ほんっとぉに、ぜんぜん覚えてないものなの?」

679: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.24 zd8wXOj1
 ぎょっとして、口を止める。

680: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.25 zd8wXOj1
「ええと…それで、どうする?」

681: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.29 zd8wXOj1
 …看病するのは、ちょっと楽しいけど。

682: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.30 zd8wXOj1
 そこに迷い込んだ者は、神隠しに遭ったと言われる。

683: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.33 zd8wXOj1
「っぁ」

684: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.33 zd8wXOj1
「んー、いつも負けてる気がするけど」

685: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.35 zd8wXOj1
「明日、私とデートして。部活の後でいいから」

686: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.35 zd8wXOj1
「おねえちゃんが変なところに打つからだよぅ。大丈夫ですか、透矢さん?」

687: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.36 zd8wXOj1
「いいえ、特には…宮代さんは、倒れられましたけど…」

688: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.40 zd8wXOj1
「あーーーっ!」

689: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.41 zd8wXOj1
 彼女を抱きしめ、すべてを受けいれてあげることも、

690: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.42 zd8wXOj1
 神様も何も、信じられたものじゃない。

691: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.42 zd8wXOj1
「そうだよ。大丈夫だ」

692: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.44 zd8wXOj1
「どんなふうに?」

693: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.44 zd8wXOj1
「遊びじゃないっつってんだろうが。大人しくしとけ」

694: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.46 zd8wXOj1
「お願い、お書きにならないんですの?」

695: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.47 zd8wXOj1
「でも、なんとかしなきゃいけないんだ、なんとかするよ。涙石なら、僕も持ってる」

696: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.48 zd8wXOj1
「あーーーっ!」

697: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.49 zd8wXOj1
 視線を戻すと、親子は、まだじゃれあっていた。

698: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.50 zd8wXOj1
「行っちゃったな…」

699: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.52 zd8wXOj1
「もう半分は?」

700: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.53 zd8wXOj1
「しかし、当然の成り行きだろう。あいつもわかってるだろうし…」

701: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.54 zd8wXOj1
「気持ち良さそうだったけど…」

702: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.55 zd8wXOj1
「ええ。ですから、あるべき場所に帰りますわ」

703: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.57 zd8wXOj1
 僕には母さんなんていない。

704: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.57 zd8wXOj1
 とにかく、彼女は意外にすんなり受け入れてくれた。

705: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.58 zd8wXOj1
 背筋に寒気のようなものが走り、一気に射精感が高まる。

706: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.60 zd8wXOj1
(思いっきり涙目で言われても…)

707: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.60 zd8wXOj1
 僕はそんな彼女のブラウスの下のほうのボタンを外し、隙間から手を差し込んだ。

708: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.62 zd8wXOj1
 僕のそれを、きゅうくつな場所から解放してくれた。

709: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.65 zd8wXOj1
「あの、かり…?」

710: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.68 zd8wXOj1
 牧野さんと別れ、弓場を訪ねると、

711: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.69 zd8wXOj1
「はは…花梨には、僕がつき合うから、ふたりで行っておいでよ」

712: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.73 zd8wXOj1
 その笑顔に、僕は、スイカ割りをして良かったな、なんて、いかにも単純そうなことを考えた。

713: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.75 zd8wXOj1
 本当か?

714: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.75 zd8wXOj1
 なんて訴えてくるあたり、雪さんは、変なところで子供っぽい。

715: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.77 zd8wXOj1
「ちゃんと、苗字から…です」

716: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.79 zd8wXOj1
 偶然、奇跡?

717: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.80 zd8wXOj1
 マリアちゃんにとって、あれは確かにお母さんで、存在もしていた。

718: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.81 zd8wXOj1
「それじゃあ、また…明日はあそこにいると思うから暇があったら来て。あ、本は返しといてねー」

719: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.82 zd8wXOj1
「花梨ちゃんに言いたいことがあるの。いいかな?」

720: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.84 zd8wXOj1
「ひがむ? どうして…おねえちゃん、なんでもできるし、頭もいいのに」

721: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.85 zd8wXOj1
「い、いや、寂しくなかったわけじゃないんだけど…」

722: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.87 zd8wXOj1
 花梨は、もうふっきれたのか、さっぱりした表情で練習の支度を始めていた。

723: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.88 zd8wXOj1
 同じ方向から雪さんの声がかかる…彼女なら安心だ。

724: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.88 zd8wXOj1
「いいえ。あの、それでですね、お客様がみえられているんですが」

725: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.90 zd8wXOj1
「那波が、殺されてしまう夢ですわ」

726: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.91 zd8wXOj1
「はは…ちょっと意外だったかな」

727: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.92 zd8wXOj1
「いいんだよ、それで」

728: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.93 zd8wXOj1
 でも…雪さんにだって、僕しかいないんだ。

729: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.94 zd8wXOj1
 …やっぱり、甘い。

730: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.94 zd8wXOj1
「おかげで朝練にも集中できるねぇ…」

731: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.95 zd8wXOj1
 お腹から、性器、お尻の上にいたるまで何度も何度も、白濁した欲望をまき散らして。

732: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.97 zd8wXOj1
「…どんな夢?」

733: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.98 zd8wXOj1
「もう写すって言ってる。あっ、あと一問でおしまいだよー」

734: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:25.99 zd8wXOj1
「私の、おっきくなったよ」

735: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.01 zd8wXOj1
「もう…」

736: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.02 zd8wXOj1
「…僕から話すよ」

737: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.04 zd8wXOj1
 普段の夢とは違って、僕じゃない僕の意識が介入して来なかった。

738: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.04 zd8wXOj1
「あ?」

739: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.09 zd8wXOj1
「そこー」

740: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.12 zd8wXOj1
「おねーちゃん! もう、そんなつもりで見てたわけじゃないですよね?」

741: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.12 zd8wXOj1
 なんだろう?

742: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.14 zd8wXOj1
「…謹んでお受けします」

743: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.15 zd8wXOj1
 彼女は、休むことなく体を入れ替えるとそそり立ったそれを口にふくみ、舌を絡めはじめた。

744: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.17 zd8wXOj1
 顔を真っ赤にして、行ってしまった。

745: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.17 zd8wXOj1
「ふたり一度に口説こうなんて、考えが甘いのよ」

746: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.19 zd8wXOj1
「もうすぐテストってことは、そろそろ、夏休みの予定を立てないとってことだよねー」

747: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.22 zd8wXOj1
「ボクのバカ兄ちゃん」

748: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.22 zd8wXOj1
「うん。ベッドにしておけば良かった」

749: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.24 zd8wXOj1
「ぅぅ、今日はすみませんでした」

750: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.24 zd8wXOj1
「じゃあ、好きな本とか、面白かった本とかについて話をしていた?」

751: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.26 zd8wXOj1
「…好きだよ」

752: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.28 zd8wXOj1
「大丈夫かなぁ…」

753: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.29 zd8wXOj1
 でも、わざとらしく腕を組んできたところを見ると、半分は嘘に違いない。

754: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.30 zd8wXOj1
「ええと、胸に手を当てて考えろ?」

755: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.33 zd8wXOj1
「…すごく、良かった」

756: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.34 zd8wXOj1
「体調が良くなり次第、参加するって」

757: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.34 zd8wXOj1
「っく…ふぁ…」

758: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.34 zd8wXOj1
 仰天した。

759: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.36 zd8wXOj1
「寝坊じゃないかな。那波ちゃんって、すごい低血圧みたいで、朝に弱いの」

760: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.37 zd8wXOj1
 急に手が離れ、花梨はふんと顔をそむけると、ひとりで歩き出した。

761: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.38 zd8wXOj1
 初めてだけど、体は近い状態になった事があるっていうことか。

762: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.40 zd8wXOj1
「よろしくねー、私は行く気ないから」

763: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.42 zd8wXOj1
「何から?」

764: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.42 zd8wXOj1
「透矢さんは…雪がいて…」

765: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.43 zd8wXOj1
「うん。再来週くらいかなぁ…」

766: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.44 zd8wXOj1
「…仕方がありませんの。夢の中の那波はそのための存在ですから」

767: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.44 zd8wXOj1
「自信、あるんだ」

768: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.45 zd8wXOj1
 きっと夢だと、心の中では思っていた。

769: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.48 zd8wXOj1
「あら、ですけど、おいしいですわ。不思議な味がします」

770: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.50 zd8wXOj1
 いや、もっとも正しい形容は、そう―

771: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.51 zd8wXOj1
「正確には、答えてないんだ。僕にはわからなかった…」

772: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.53 zd8wXOj1
「ぁ…ぅん……して」

773: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.53 zd8wXOj1
「知っているっていうことはね、もう、それを可能性として認めているって事」

774: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.61 zd8wXOj1
「花梨…あの…」

775: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.64 zd8wXOj1
 だから、キミまで消えるな。

776: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.65 zd8wXOj1
「…もしもし?」

777: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.66 zd8wXOj1
「へ? ふぐっ!」

778: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.66 zd8wXOj1
 でも、こういうときって、何を話したらいいのか、わからない。

779: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.68 zd8wXOj1
「それに餌づけしてるってわけよ」

780: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.68 zd8wXOj1
「あの、バスローブを…っあああ!」

781: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.69 zd8wXOj1
 食材にしろなんにしろ、二人分しか必要がないから大した荷物にもならない。

782: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.70 zd8wXOj1
「え、ええっと……ありがとう」

783: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.71 zd8wXOj1
「それも、わかりませんわ」

784: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.73 zd8wXOj1
「なんか懐かしいね、こういうの」

785: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.74 zd8wXOj1
「透矢…」

786: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.75 zd8wXOj1
 花梨の用意してくれた花火がなくなったところで、今年の七夕はお開きになった。

787: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.77 zd8wXOj1
「うんうん。私たちも、無理に泳げなんて言う気はないしさ…」

788: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.77 zd8wXOj1
「前はつかみかかってきたものだが…少しは受け入れてくれたということか」

789: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.78 zd8wXOj1
 心配なんだろうか?―自分でも、よくわからない。

790: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.79 zd8wXOj1
 パタパタパタ…

791: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.80 zd8wXOj1
 まあ、お姉ちゃんとしては叩いて当然の場面かもしれないけど。

792: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.82 zd8wXOj1
 局部との間に伸びる糸が確認できた。

793: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.82 zd8wXOj1
「ああ。じゃあ、ちょうどいいから、この本の続きから読んでみるよ」

794: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.85 zd8wXOj1
 まして、こっちには記憶がない。

795: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.86 zd8wXOj1
 それだけのことであると思う。

796: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.87 zd8wXOj1
「僕は何もしてないよ。でも、人が死ぬって…なんでそんなものを見たのかな?」

797: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.88 zd8wXOj1
「…ええ。ですけど、最初は雪にさせていただきたいんです」

798: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.88 zd8wXOj1
「申しわけありません。ですけど…こうしなければ、透矢さんを巻き込んでしまいます…」

799: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.90 zd8wXOj1
「よろしいんですか? 遅刻してしまっても」

800: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.92 zd8wXOj1
 忌々しげに言いながら、花梨は日本史の参考書を閉じた。

801: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.94 zd8wXOj1
「…行こうか」

802: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.95 zd8wXOj1
「…起きろっ、このねぼすけ!」

803: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:26.99 zd8wXOj1
 そして、股間にあてがっていた指先で、くわえていたシーツをつかみ、それを口もとへ運んで、

804: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.00 zd8wXOj1
「ああ、借りっぱなしの本があった?」

805: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.02 zd8wXOj1
 やっぱり慣れている。

806: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.02 zd8wXOj1
(ひょっとして、牧野さんも同じ夢を…)

807: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.03 zd8wXOj1
 ぱんぱんに張ったブラを下からめくり上げると、ちょうど、てっぺんの辺りで引っかかった。

808: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.07 zd8wXOj1
「わぁ」

809: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.08 zd8wXOj1
「良かった…私、おねえちゃんとしか比べたことないから…でも、おねえちゃんだと、まるで同じだし」

810: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.09 zd8wXOj1
 坂を下っていくと、静かな住宅地のような場所にさしかかった。

811: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.10 zd8wXOj1
 そして何より、私は山に生きる、人喰いの話を聞いていた。

812: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.11 zd8wXOj1
「いなくなっちゃった時」

813: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.12 zd8wXOj1
 心の底から嫌悪している、っていうわけでもないようだ。

814: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.13 zd8wXOj1
 僕は、そのまま、彼女の体を自分のほうに引き寄せた。

815: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.15 zd8wXOj1
「…違うよ」

816: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.15 zd8wXOj1
「マリアなら、もっと上手にやる。早くに見つければ助けることだって、できたかもしれない」

817: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.17 zd8wXOj1
 美しい彼女からは、想像もできない…

818: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.18 zd8wXOj1
「だって、めんどーい」

819: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.19 zd8wXOj1
「ホントに長い髪だね」

820: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.21 zd8wXOj1
「どうして、みんな、僕だけ置いていこうとするのさ」

821: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.22 zd8wXOj1
「私って、いつもこうなんですよ。帰るおうちはあそこしかないのに。ホント、馬鹿みたいです」

822: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.23 zd8wXOj1
 そういうところが、花梨の中では引っかかっているのかもしれない。

823: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.24 zd8wXOj1
 あわてた自分が、ちょっと情けない。

824: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.25 zd8wXOj1
「花梨ちゃんと?」

825: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.27 zd8wXOj1
「変態さんだし」

826: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.28 zd8wXOj1
 光が舞う。

827: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.29 zd8wXOj1
「和泉ちゃんの声が聞きたくて…」

828: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.29 zd8wXOj1
「ん…っふぁ…まりあ…?」

829: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.31 zd8wXOj1
「和泉さんの協力があればこそですわ」

830: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.31 zd8wXOj1
 そんなものが存在するのかどうかはわからないけど、それはそういう感触で、

831: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.35 zd8wXOj1
 真っ直ぐ純粋なマリアちゃん、彼女を現実から守るために強くなったアリス。

832: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.36 zd8wXOj1
 と、そんな調子で、三時間も話し続けてしまった。

833: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.37 zd8wXOj1
 あれは、ナナミ?

834: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.39 zd8wXOj1
 続いて、香坂姉妹、和泉ちゃんが、暗がりの向こうから姿を現した。

835: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.42 zd8wXOj1
 僕が守るべきだったもの。

836: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.43 zd8wXOj1
「雪さんの起こし方、優しくて好きだよ。明日もよろしくね」

837: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.44 zd8wXOj1
 ゆるやかな昇り坂の向こうで、高くそびえる門を見上げながら、僕は内心でゾッとしていた。

838: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.45 zd8wXOj1
「だ、だってぇ! いま、あんまり動くといっぱい…こぼれちゃう」

839: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.46 zd8wXOj1
 なんだ、今の声は。

840: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.47 zd8wXOj1
 少し、舌を入れてみる。

841: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.50 zd8wXOj1
「この、馬鹿マリア」

842: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.51 zd8wXOj1
「あ、え!?」

843: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.51 zd8wXOj1
 ぼんやりした瞳で見上げる和泉ちゃん。

844: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.52 zd8wXOj1
 芝居がかった調子で言うと、口元だけで笑ってみせる。

845: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.54 zd8wXOj1
「雪でしたら、どこにも行きませんよ」

846: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.55 zd8wXOj1
「来てないわよ。山に帰っちゃったんじゃない?」

847: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.56 zd8wXOj1
「まあまあ…」

848: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.56 zd8wXOj1
 そのまま、僕は那波を抱き続けた。

849: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.57 zd8wXOj1
「いいんだけどね、慣れてるし」

850: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.58 zd8wXOj1
 行為が終わっても、双子は舌を絡めるのをやめようとしなかった。

851: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.58 zd8wXOj1
「…!」

852: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.59 zd8wXOj1
「透矢くん、席、こっちだよ」

853: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.61 zd8wXOj1
「怒ってたというより…痛いところを突かれてムキになってた。花梨の言い分は、もっともだったし」

854: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.61 zd8wXOj1
 女の子ひとり止めることができない、僕には、どうしても、そんなふうには思えなかった。

855: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.64 zd8wXOj1
「あれは人権ないからいいの。でも、何かわかるといいね。ちょっと楽しみ」

856: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.62 zd8wXOj1
 共通しているのは、波の音と、それからきれいな女の子が出てきたこと。

857: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.64 zd8wXOj1
「あのぅ、透矢さん、ひょっとして、恋人さんかなにかですか…?」

858: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.66 zd8wXOj1
「わふ?」

859: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.67 zd8wXOj1
「あの、バスローブを…っあああ!」

860: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.68 zd8wXOj1
「ホント、ごめんね。病人がいて…」

861: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.68 zd8wXOj1
「そんなわけないじゃん。だいたい、苗字がそんな簡単に変えられますか」

862: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.69 zd8wXOj1
「夢のことを医者に相談っていうのは…」

863: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.71 zd8wXOj1
「雪さん…子供ができたら、雫っていう名前にしない?」

864: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.73 zd8wXOj1
 彼女を押し返し、つき放してしまうことも、

865: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.74 zd8wXOj1
「なんだか、久しぶりのような気がしますわ」

866: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.74 zd8wXOj1
「詳しい事情はわかりません。すべては、透矢さんのお父様からうかがった話ですから」

867: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.76 zd8wXOj1
「本当にね。それにしても…キミ、また夢見たの?」

868: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.78 zd8wXOj1
「…はは、ふたりっきりだと、よけいに広く感じるね」

869: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.83 zd8wXOj1
 やっぱり、彼女がスイカ割りにこだわったのは、『単純にスイカが食べたかっただけ』のようだ。

870: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.85 zd8wXOj1
「久しぶりっていうのは、僕が入院していたせい?」

871: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.87 zd8wXOj1
『こんな気持ち、初めてだもの』

872: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.89 zd8wXOj1
 誰もいなければ、すぐに帰ってくればいいだけのことだ。

873: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.90 zd8wXOj1
 やっぱり…。

874: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.90 zd8wXOj1
「そ、そうですか」

875: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.91 zd8wXOj1
 服や髪型が可愛らしくなったからって、中身までこんな…

876: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.91 zd8wXOj1
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、私も立候補しちゃおっかな」

877: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.93 zd8wXOj1
「そんなこと、ないけど…」

878: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.94 zd8wXOj1
 僕も、和泉ちゃんに負けないくらい真っ直ぐ、花梨のことを想っていられたらいいな…。

879: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.95 zd8wXOj1
「ほんの少し、興奮はした…かも」

880: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.96 zd8wXOj1
 本当に、中途ハンパに顔を出したりするものじゃないな。

881: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.98 zd8wXOj1
「ああ、死にやしないだろ。なんかあっても病院だし」

882: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:27.98 zd8wXOj1
「こんばんは、鈴蘭ちゃん」

883: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.00 zd8wXOj1
『雪は、おまえが守れ』

884: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.00 zd8wXOj1
 軽くうなずき、ひと呼吸。

885: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.03 zd8wXOj1
 足にしがみつかれた。

886: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.06 zd8wXOj1
「だって、事実あなた自身、覚えていないんでしょう? 自分が何者なのか」

887: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.09 zd8wXOj1
「ねえ、どうして、こんなところに住んでいるの?」

888: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.11 zd8wXOj1
「もうすぐテストってことは、そろそろ、夏休みの予定を立てないとってことだよねー」

889: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.12 zd8wXOj1
「ばかぁ。そんなとこ舐めたらくすぐったいってば」

890: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.14 zd8wXOj1
『透矢、雪は…』

891: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.14 zd8wXOj1
 そんな気がしたから、ふたりには何も言わずにおいた。

892: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.16 zd8wXOj1
「え? あ、ちょっと…」

893: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.17 zd8wXOj1
 あのときだけ、彼女は僕のことを旦那様と呼んでいたけど、それとも、何か関係があるんだろうか?

894: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.19 zd8wXOj1
 心なし、ほほが赤い。

895: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.19 zd8wXOj1
「自分の言ったことぜんぶに、責任が持てる人間なんていないと思うよ?」

896: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.20 zd8wXOj1
「ったく、これだから男って…私、着替えてくるけど、変なことするんじゃないわよ!」

897: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.21 zd8wXOj1
「元気がありませんね。また夢ですか?」

898: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.23 zd8wXOj1
「あの、今度はちゃんと…顔、見せて」

899: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.25 zd8wXOj1
「不安だなぁ。また、ナナミさまにでもお願いしておかないと」

900: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.25 zd8wXOj1
 そういえば、入院中に、山のほうを調べるとか調べないとか言ってたっけな…。

901: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.26 zd8wXOj1
 僕はゆっくり、腰を前に突きだした。

902: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.28 zd8wXOj1
 子供の頃の記憶がそうさせているのか、それとも、遺伝子に眠る、はるかな、過去の、記憶…

903: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.29 zd8wXOj1
 アリスが何も言わずに手を差しだした。

904: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.29 zd8wXOj1
「ですけど、うれしいですわ。とりあえず上がってくださいな」

905: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.31 zd8wXOj1
「花梨、自信をもつんでしょう?」

906: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.33 zd8wXOj1
 ぐりぐり―アリスの口調は軽いけど、マリアちゃんのほっぺたは、もう真っ赤になっている。

907: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.34 zd8wXOj1
「今の僕が首を突っ込むことじゃないと思うんだ。冷たいかな」

908: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.34 zd8wXOj1
 足のケガのせいか、花梨の体は、簡単にバランスを失い、倒れこんでしまった。

909: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.35 zd8wXOj1
「そんなこと、ないけど。こっちも、胸とおんなじで大きいから、あんまり…」

910: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.38 zd8wXOj1
「ママ、って言ったほうがいいのかな」

911: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.39 zd8wXOj1
「でも、同じだよ。月だ」

912: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.41 zd8wXOj1
 鼻をひくひく、辺りを気にしている。

913: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.42 zd8wXOj1
「…牧野さん?」

914: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.43 zd8wXOj1
「ん。ね、そろそろ、見たくない?」

915: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.44 zd8wXOj1
「それも嫌」

916: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.48 zd8wXOj1
「…ん…っぅ」

917: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.48 zd8wXOj1
「あはは、これ、しばらくネタにできそうだねー」

918: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.49 zd8wXOj1
「じゃあ、僕はそろそろ行くね」

919: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.51 zd8wXOj1
「あのぉ、透矢さん?」

920: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.51 zd8wXOj1
「ぷぁ…おねえちゃん、気持ち良かったよね?」

921: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.53 zd8wXOj1
「僕だって雪さんのためなら、これくらい苦じゃないよ」

922: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:35:28.54 zd8wXOj1
「くそっ…」


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