09/06/13 00:28:15.30 O+CC3ZCG
ちんこ
3: センダイハギ(岡山県)
09/06/13 00:28:22.88 pOK6obR2
>>1 これやるから落ち着けw
URLリンク(www1.axfc.net)
4: ミゾコウジュミチノクコザクラ(大阪府)
09/06/13 00:28:46.43 PwJMOTa3
うんうん
5: クロッカス(アラバマ州)
09/06/13 00:28:52.13 qnClWbjY
スクリプトが勝つかスレストが勝つかsakuが先か
6: レウイシア(東京都)
09/06/13 00:28:56.80 /mC3zeRZ
昔から結構ヤバい系の人はいたしね。
虹さんとか。
あまり言っちゃだめか。
7: チドリソウ(福岡県)
09/06/13 00:29:01.67 XZWd1QFx BE:328918638-PLT(15101)
sssp://img.2ch.net/ico/u_naoruyo_bath.gif
運用ボラなんてみんな萌えヲタじゃん
8: ナガバノスミレサイシン(北海道)
09/06/13 00:29:04.18 gv4y1OIF
だからなんだよ
9: チドリソウ(兵庫県)
09/06/13 00:29:15.56 D1BCAwy6
乙女組ってまだいたの?空気だしキモイよ
10: 水芭蕉(アラバマ州)
09/06/13 00:29:16.50 sBhlJaMG
URLリンク(www.dotup.org)
11: シュロ(愛知県)
09/06/13 00:29:17.47 DZC5t0XI
he-
12: サポナリア(愛知県)
09/06/13 00:29:18.58 KZjMV0wA
さっさと涙目を復旧させろ
13: チドリソウ(茨城県)
09/06/13 00:29:29.39 DEnRE3jq
ポイントください
14: ヘラオオバコ(広島県)
09/06/13 00:29:44.92 m12F3WRD
別にいいだろ
15: キソケイ(愛知県)
09/06/13 00:29:46.31 WOk8IEp+
ひろゆき = クズ
運営 = クズ
利用者 = クズ
みんな一緒でハッピーじゃないか
16: オウバイ(京都府)
09/06/13 00:29:54.39 Biwf+FRk
しらんがな(・∀・)
17: チドリソウ(兵庫県)
09/06/13 00:30:00.57 0JkiJSYc
すれたったか
18: ノボロギク(北海道)
09/06/13 00:30:11.50 XRIe/v8G
人気アニメ「けいおん!」 13話「番外編」があった
URLリンク(www.j-cast.com)
釣られて早とちりして騒いだバカはとっとと死ね
19: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.24 yN1tFzPc
「花梨ー、僕が勝手にやったことだけど、なんか言ってくれないと寂しいよ…」
20: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.48 yN1tFzPc
和泉ちゃんは悔しそうな顔を、自分の足下に向けた。
21: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.52 yN1tFzPc
「あは。自分に都合の悪くなることなんて言わなきゃいいのに。お人好しなんだか馬鹿なんだか…」
22: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.57 yN1tFzPc
なんだか、やるせなかった。
23: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.66 yN1tFzPc
「もうじきだと思うけど。そんなにスイカ割りがやりたいの?」
24: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.66 yN1tFzPc
「うるさいなぁ。仕方ないでしょう、いきなり二人して抱き合ってるんだもん」
25: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.75 yN1tFzPc
庄一は沈黙を退屈の合図とでも受け止めたのか、そう言って、へらっと笑った。
26: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.79 yN1tFzPc
悲しそうな顔をする雪さんを、僕は制した。
27: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:39.99 yN1tFzPc
「じゃあ僕、花梨ママの胸に甘え―」
28: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.03 yN1tFzPc
それだけで安心した、うれしかった。
29: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.03 yN1tFzPc
「しかし、当然の成り行きだろう。あいつもわかってるだろうし…」
30: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.05 yN1tFzPc
「はは、可愛いと思うよ」
31: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.05 yN1tFzPc
「鈴蘭ちゃんは、いいのかな…また、ずるいとか言われるんじゃない?」
32: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.15 yN1tFzPc
「ダメ」
33: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.16 yN1tFzPc
「透矢さんが…雪の…お尻に…」
34: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.18 yN1tFzPc
「うん…いくよ?」
35: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.18 yN1tFzPc
平穏だった水面が波立ち、月だったものが光のつぶてに変わる。
36: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.19 yN1tFzPc
和泉ちゃんも似たようなことを考えていたらしい。
37: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.52 yN1tFzPc
あれは明らかにお別れの言葉だ。
38: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.65 yN1tFzPc
「わかった、体育!」
39: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.01 yN1tFzPc
何かの間違いで、夕飯の支度がしてないかな、などと、あるわけのない事を考えてしまう。
40: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.13 yN1tFzPc
つまり、こういうことらしい。
41: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.01 yN1tFzPc
「安心できないよぉ…った!」
42: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.12 yN1tFzPc
「あれ、庄一は来ないの?」
43: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:40.89 yN1tFzPc
「え? や…そっちは…」
44: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.00 yN1tFzPc
日が落ち始め、室内に、光と影の斜線が走る。
45: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.35 yN1tFzPc
下手に口を開くと泣いてしまいそうで、これを悲劇だなんて思いたくなくて、だから…。
46: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.24 yN1tFzPc
口を開いたまま、どちらともなく、顔を寄せた。
47: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.35 yN1tFzPc
だけど牧野さんは、ナナミは、弓を取れと言った。
48: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.46 yN1tFzPc
「ふふ。今だから白状しますけど、雪、病気の時は、よくタヌキ寝入りをしていたんです」
49: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.51 yN1tFzPc
「うーん、確かに多いね。マリアちゃん、こんなにお願い事があるの?」
50: フサアカシア(関西地方)
09/06/13 00:30:41.57 PeOUIc5Q
まさにゴミ
51: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.66 yN1tFzPc
「…鈴蘭ちゃん、いいなぁ」
52: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.67 yN1tFzPc
「いいって。その時さ、透矢のお母さんが私に声をかけてくれたんだ」
53: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.68 yN1tFzPc
「じゃあな」
54: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.72 yN1tFzPc
「うげー」
55: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.24 yN1tFzPc
「同じなんだ…僕の夢と」
56: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.78 yN1tFzPc
ぴしゃりと言い放ち、彼女は立ち上がった。
57: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.79 yN1tFzPc
「はは、和泉ちゃんがあんな声をあげるなんて思わなかったな」
58: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.79 yN1tFzPc
彼女は、あのとき『旦那さま』と言っていた。
59: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.80 yN1tFzPc
「…だろうな。確かにあの人は特別だ」
60: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.88 yN1tFzPc
僕が事故の時に持っていたのと、ほぼ同じものだけど、光の加減のせいか、やけに輝いて見える。
61: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.92 yN1tFzPc
「大切なことだよ。雪さんの声がしたから僕は早く起きなきゃって気になれた」
62: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.97 yN1tFzPc
「雪さんが一緒にいてくれるなら、僕は、大丈夫だよ」
63: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:41.94 yN1tFzPc
「ええ。もしかしたら、ひとめぼれでも、されてしまったのかもしれませんよ」
64: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.05 yN1tFzPc
「い、和泉ちゃん、だいじょう…ぶ?」
65: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.08 yN1tFzPc
「牧野さん…体調、悪いの?」
66: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.13 yN1tFzPc
「ありがとう。じゃあ、行ってくる」
67: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.15 yN1tFzPc
僕にできたのは、彼女の頭を撫でることくらいだった。
68: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.27 yN1tFzPc
「任せてちょうだい。って、それだけのために来たの?」
69: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.29 yN1tFzPc
「毎日、したほうが良いですか?」
70: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.37 yN1tFzPc
「…行かないよ。花梨を迎えに来たんだから」
71: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.37 yN1tFzPc
「迷惑だなんて、思ってないから」
72: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.37 yN1tFzPc
「内緒ですわ」
73: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.43 yN1tFzPc
今だって、僕は彼女の唇に、見とれている。
74: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.47 yN1tFzPc
「わー、洞窟だ洞窟!」
75: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.49 yN1tFzPc
「気をつけてな」
76: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.54 yN1tFzPc
「っ、っぁん」
77: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.54 yN1tFzPc
「アリス…マリアちゃん?」
78: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.52 yN1tFzPc
「わからないけど…うん、ちゃんと話すことにする。ただ、今はちょっと…」
79: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.65 yN1tFzPc
第一印象は、寂しい場所。
80: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.76 yN1tFzPc
和泉ちゃんは、真っ直ぐな目で僕を見上げたまま続ける。
81: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.78 yN1tFzPc
そうして顔をそらした先には、なんの因果か、髪の長い、はかなげな少女の姿。
82: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.76 yN1tFzPc
「ばっ…吸っても…っ…出ないよぉ…」
83: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.78 yN1tFzPc
僕は、思わず彼女の頭に手をのばしていた。
84: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.76 yN1tFzPc
それでも、言わずにはいられなかった、陳腐なセリフ。
85: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.85 yN1tFzPc
「あのぅ…それでですね…」
86: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:42.86 yN1tFzPc
「ここまでバレちゃったんだし、今さら隠さなくてもいいじゃない…」
87: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.01 yN1tFzPc
香ばしい匂いに、引き寄せられるように屋台へ向かった。
88: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.05 yN1tFzPc
「ひしゃくの先端にあるふたつの星を結んでください…その先にあるはずですわ」
89: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.11 yN1tFzPc
「おい」
90: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.11 yN1tFzPc
「今さら遅い。そうそう、巫女服って言えば、帰り、ちょいつき合わない」
91: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.11 yN1tFzPc
「そうですか…でしたら、どうぞ」
92: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.11 yN1tFzPc
庄一も、周りに感化されたのか、めずらしく無駄口を叩かずに練習を続けている。
93: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.19 yN1tFzPc
波の音すら、別世界からのいざないのように聞こえてくる。
94: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.24 yN1tFzPc
「………え?」
95: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.26 yN1tFzPc
「負け惜しみ?」
96: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.34 yN1tFzPc
「っっ…」
97: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.30 yN1tFzPc
「だ、大丈夫だよ」
98: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.18 yN1tFzPc
「キミ、どうして?」
99: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.34 yN1tFzPc
「お友達の方が見えられるとしか」
100: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.44 yN1tFzPc
花梨はぼやきを収めると、ひらひら手を振り、そっぽを向くように首をひねった。
101: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.50 yN1tFzPc
「悩み事なら、相談に乗るけど?」
102: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.50 yN1tFzPc
「…そっか…そういうことなんだ」
103: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.52 yN1tFzPc
心配顔の雪さんが、額の汗をぬぐってくれた。
104: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.56 yN1tFzPc
「いつか、幸せな終わり方ができるように頑張ってくださいな」
105: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.59 yN1tFzPc
無防備に大口を開けた―どちらかと言えば間抜けな顔だ。
106: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.64 yN1tFzPc
「お母さん?」
107: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.72 yN1tFzPc
「雪さん、それって…」
108: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.82 yN1tFzPc
「きっ…ぃひ…っひぁぁぁぁ!」
109: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.81 yN1tFzPc
「もう、嫌だよ」
110: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.81 yN1tFzPc
そう言った雪さんの顔は、もともと極端に色白なこともあって、まるで死人みたいだった。
111: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.82 yN1tFzPc
「まあ、なんでもいいけどよ。で、久しぶりに会ったと思ったら、どうしてこういう事になってるんだ?」
112: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.85 yN1tFzPc
「戻って来られたようですね」
113: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.90 yN1tFzPc
「そうか。僕もよくよく気が回らないな。ホントにごめん」
114: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.82 yN1tFzPc
「透矢おにーちゃん」
115: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.00 yN1tFzPc
「私のは用事じゃないし、構わないよ」
116: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.02 yN1tFzPc
「雪、透矢さんが考えているような、メイドじゃ、っ、ないんです」
117: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.02 yN1tFzPc
“カチ、カチ”
118: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:43.99 yN1tFzPc
「っ…これが…感じるっていうこと?」
119: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.10 yN1tFzPc
「図書館? そーいえば、まだ案内してないね。行く?」
120: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.10 yN1tFzPc
「当然ですよ」
121: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.14 yN1tFzPc
「いや、花梨が言うのはどうかと」
122: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.15 yN1tFzPc
「誰もいないじゃない」
123: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.23 yN1tFzPc
マリアちゃんのノドの辺りを指先でくすぐりながら、アリスはやけにあっさりと言う。
124: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.28 yN1tFzPc
「雪も、お口でさせていただくのは、好きみたいですから」
125: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.33 yN1tFzPc
「悪いとは思ってるけどさ、あれは庄一が自分から行ったんだよ」
126: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.38 yN1tFzPc
「…透矢、自分で言ったことには責任を持ちなさいよね」
127: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.42 yN1tFzPc
「素敵な思い出を、ありがとうございました―」
128: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.41 yN1tFzPc
「頼むわ。しかし、おまえさんも、困ったお友達を作ったもんだな」
129: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.47 yN1tFzPc
「瀬能、大和」
130: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.47 yN1tFzPc
この状態で、だっこするような状態になられても、困る。
131: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.47 yN1tFzPc
「言いましたけど、透矢さんは、また弓を引きたいと思いますか?」
132: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.47 yN1tFzPc
人ならざる者、怪。
133: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.53 yN1tFzPc
魔女…その言葉から連想できるものは、いろいろあるけど。
134: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.62 yN1tFzPc
女子は、団体戦のみ優勝という結果に終わった。
135: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.58 yN1tFzPc
「嘘なんかついてないわよ」
136: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.65 yN1tFzPc
名前は、一つしかなかった。
137: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.69 yN1tFzPc
「…ナナミですわ」
138: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.71 yN1tFzPc
目の前に、牧野さんと、まったく同じ顔があった。
139: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.74 yN1tFzPc
その神々しい光の下で、双子の舌が、体が絡み合っている。
140: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.79 yN1tFzPc
心の中で念じてみる。
141: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.84 yN1tFzPc
「熱烈な歓迎ありがとう…」
142: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.90 yN1tFzPc
夢の不吉な印象も、全部吹き飛ばしてくれそうな真夏の日射しが清々しい。
143: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.90 yN1tFzPc
「キミ、馬鹿でしょ」
144: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.93 yN1tFzPc
でも、本人に痛みはないのか、むしろ、人一倍に感じてくれる。
145: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:44.97 yN1tFzPc
窓枠に区切られた狭い世界―切り抜かれた青空を、見上げる。
146: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.02 yN1tFzPc
「あの、瀬能なんですが…」
147: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.03 yN1tFzPc
「アリス、大丈夫? だいぶ疲れたみたいだけど」
148: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.09 yN1tFzPc
「透矢さん、申しわけないんですが、その子を、雪に譲っていただけると」
149: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.12 yN1tFzPc
「私と話すの、そんなにつまらない?」
150: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.15 yN1tFzPc
「けっこう、ちゃんとした神社だね」
151: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.18 yN1tFzPc
「ああ、大丈夫」
152: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.17 yN1tFzPc
「おー、よちよち。明日からは、花梨ママも一緒でちゅからね」
153: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.23 yN1tFzPc
なんなんだ、これは。
154: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.26 yN1tFzPc
「ホント、ごめんね。なんだか今日は暴走しちゃったというか…」
155: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.24 yN1tFzPc
みんなで遊んだ、あの木の下に…
156: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.26 yN1tFzPc
その奇跡の力で、海を風を味方につけ、自分を迎えに来たという同族を退けた。
157: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.31 yN1tFzPc
涼しいんじゃない…寒気がした。
158: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.31 yN1tFzPc
「あはは…」
159: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.40 yN1tFzPc
月光が照らし出す赤い瞳―僕に抗う術なんて、なかった。
160: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.48 yN1tFzPc
「そうみたい。実際、そういうの嗅ぎつけて、聞きに来る人なんかもいるんだよ」
161: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.50 yN1tFzPc
「透矢ちゃーんっ!」
162: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.52 yN1tFzPc
「捨ててしまわれたんでしょうか?」
163: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.56 yN1tFzPc
「何があったのか知らないけど、そんな暗い顔しないで。ね?」
164: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.74 yN1tFzPc
紹介されたその家は、周囲を白壁が取り囲み、正面入り口には厚い木戸―
165: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.85 yN1tFzPc
筋肉の組織が、骨が、どす黒く変色し、流れ出る体液は、膿んだように、糸を引き黄色く染まっていた。
166: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.85 yN1tFzPc
大して困っていなさそうに言うと、雪さんは小走りで家の中へ戻っていった。
167: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.85 yN1tFzPc
感傷的になる、ってやつだ。
168: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.87 yN1tFzPc
「私たちの気が触れてるってことが?」
169: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:45.96 yN1tFzPc
「鈴が気にしてんのはキミの顔。なんか、おっかない顔してたよ、大丈夫?」
170: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.03 yN1tFzPc
夢が、魔法の力で、現実になった。
171: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.06 yN1tFzPc
だけど、ちょっと疲れたような顔をして和泉ちゃんは笑った。
172: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.14 yN1tFzPc
「ふっ、ぅん…」
173: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.18 yN1tFzPc
マリアちゃんは、気まずい空気をどうにかしたいんだろう。
174: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.22 yN1tFzPc
その代わりに、僕は彼女の首筋へとかじりついた。
175: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.27 yN1tFzPc
そうだ…
176: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.28 yN1tFzPc
けっきょくのところ、僕は、自分の気持ちにすら自信が持てないってことなんだろう。
177: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.47 yN1tFzPc
彼女が泣きやむまで、僕は、じっとしていた。
178: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.43 yN1tFzPc
「だから…ありがとう。おかげで、私は今ここにいられるよ」
179: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.47 yN1tFzPc
弓道の経験があるからこそ見た映像。
180: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.51 yN1tFzPc
(きのう見た写真って、こんな雰囲気だっ たっけ?)
181: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.46 yN1tFzPc
「おまえさ、牧野の都合って考えてる?」
182: ◆aLICeotiAI
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どうして、平気でいられるもんか。
183: ◆aLICeotiAI
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一度目は、あの告白の時か…。
184: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.63 yN1tFzPc
周りの期待に応えるとか、そんなことまで考えて、馬鹿みたいだな…
185: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.60 yN1tFzPc
「はい。ふたりでお風呂に入った時ですとか…」
186: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.65 yN1tFzPc
当たり前だけど…事故の直後は疲れていて、本当に何か不思議な事が起こっているような気がしていた。
187: ◆aLICeotiAI
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「どうして? それに、ますます、あの男が何者なのかって話になるわよ」
188: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.85 yN1tFzPc
「透矢くっ…ぃぃっ…よぉ…」
189: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.87 yN1tFzPc
「手を、撫でてください…」
190: ◆aLICeotiAI
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「行ってらっしゃい」
191: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.94 yN1tFzPc
「なんだ、まだ気にしてたのか。兄妹の俺が大丈夫だって言ってんだ。信用してくれよ」
192: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.97 yN1tFzPc
「はは、仕方ないよ。それで、雪さんもああいう事に興味があるの?」
193: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.01 yN1tFzPc
「さっきの人ー」
194: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.54 yN1tFzPc
乳首に歯を立てると、雪さんの体がのけぞった。
195: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:46.37 yN1tFzPc
前にも、同じようなことがあったのかもしれない。
196: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.08 yN1tFzPc
「マリアね、少し、家を出ることになったから」
197: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.14 yN1tFzPc
「ぜんぜん気にならないって言えば嘘になるけど…花梨はきっと大丈夫だよ」
198: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.14 yN1tFzPc
「さきほど、誰か見えられていませんでしたか? 可愛らしい声が聞こえましたけど…」
199: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.14 yN1tFzPc
受話器の向こうからは聞き覚えのある、ほがらかな声がした。
200: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.20 yN1tFzPc
ブラの下側に手をかけると、花梨はそれを、そのままめくり上げた。
201: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.21 yN1tFzPc
それ自体は別に構わないけど『わからない』と言うたびに、僕の足をヒザでつつくのはやめてほしい。
202: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.21 yN1tFzPc
身につまされる話だ。
203: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.30 yN1tFzPc
「和泉ちゃん」
204: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.32 yN1tFzPc
「べーっ!」
205: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.30 yN1tFzPc
このペースでしばらく尻に敷かれ続けるのかもしれない。
206: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.41 yN1tFzPc
だけど、雪さんは、確かに泣いていた。
207: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.41 yN1tFzPc
だけど、ここにはそれがなかった。
208: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.49 yN1tFzPc
「天の岩屋戸か…。まあ、そう考えると、納得できなくもない」
209: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.59 yN1tFzPc
「あ、お茶、もう一杯いかがです?」
210: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.61 yN1tFzPc
それは、雪さんが僕と父さんの話を全面的に信用しているから成立する考えだ。
211: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.63 yN1tFzPc
体が、熱い…
212: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.67 yN1tFzPc
駆け寄ろうとすると、那波はそれを手で制した。
213: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.70 yN1tFzPc
「牧野さん」
214: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.79 yN1tFzPc
「気になさらずに。さ、おしゃべりはこれくらいにして、お勉強を始めましょう」
215: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.89 yN1tFzPc
「…ありが…と…」
216: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.91 yN1tFzPc
「本人が気にしてないんだから、いいじゃない」
217: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.95 yN1tFzPc
「う…いや、言ってみただけ」
218: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:47.95 yN1tFzPc
「手伝い?」
219: ◆aLICeotiAI
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「雪が体調良くないのを表に出すなんて、めずらしいね。一人にしといて大丈夫なのかな?」
220: ◆aLICeotiAI
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つがえた矢の、鋭い切っ先の向こうには少女が一人。
221: ◆aLICeotiAI
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「ユキノハナ」
222: ◆aLICeotiAI
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「透矢さん、どう、されたんです?」
223: ◆aLICeotiAI
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まあ、いつもの光景だ。
224: ◆aLICeotiAI
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少女の幻像は、波間に消えた。
225: ◆aLICeotiAI
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「悪くなんかないし、いいよ」
226: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:48.21 yN1tFzPc
言葉を続けることもできず、マリアちゃんはガタガタと体をわななかせ、はげしく嗚咽をもらした。
227: ◆aLICeotiAI
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目を向けさせたり見るなと言ったり、どうしたいのやら…。
228: ◆aLICeotiAI
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「ちょっと待って。それじゃあ、僕の父さんも?」
229: ◆aLICeotiAI
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「少し期待していましたの。電話が鳴った時には、もう、決めつけていましたわ」
230: ◆aLICeotiAI
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腰を動かせば動かすほどに、それは増していくようだった。
231: ◆aLICeotiAI
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だから、キツネの死体は、あのとき茂みに隠れていた、隠されていた。
232: ◆aLICeotiAI
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「今朝の夢のこと?」
233: ◆aLICeotiAI
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マリアちゃん曰く、いちばん綺麗な教室がここだった。
234: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:48.58 yN1tFzPc
嫌がるかもしれないけど、あとで雪さんと二人で写真を撮ろうか。
235: ◆aLICeotiAI
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「いったい、何を…」
236: ◆aLICeotiAI
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(引くな!)
237: ◆aLICeotiAI
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「別にいいのになぁ」
238: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:48.62 yN1tFzPc
この様子だと、取り越し苦労だったかもしれない。
239: ◆aLICeotiAI
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「それはあるかも」
240: ◆aLICeotiAI
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殴られる!―そう観念した僕に対して彼女は意外な行動を取った。
241: ◆aLICeotiAI
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震えてる?
242: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:48.85 yN1tFzPc
「…キミさ、玄関の鍵よりも忘れちゃいけない大事なこと、あるんじゃない?」
243: ◆aLICeotiAI
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和泉ちゃんが、密着した僕たちの様子をやや非難がましい目で、じっと見つめる。
244: ◆aLICeotiAI
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入れと言われているようなものだ。
245: ◆aLICeotiAI
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「んく…ふぅ、っ…」
246: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.00 yN1tFzPc
少女の幻像は、波間に消えた。
247: ◆aLICeotiAI
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「花梨、目を開けて」
248: ◆aLICeotiAI
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「はい、どうぞ。ちょっと熱いかもしれませんけど、落ちつくと思いますよ」
249: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.05 yN1tFzPc
「無理しないほうがいいよ。それで…きのうのアレ、何かわかりそう?」
250: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.11 yN1tFzPc
それは、愛と言って、いいのかもしれない。
251: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.15 yN1tFzPc
「それが、役目を終えたということです。わたくしのことも、今日で忘れていただきますわ」
252: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.17 yN1tFzPc
「見る前からそんなこと言わないでよ。他人事じゃないんだし」
253: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.31 yN1tFzPc
それに、真っ黒な頭髪の他は…体毛らしいものがまるで見あたらない。
254: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.34 yN1tFzPc
さっきから、ぶーぶー言ってるわりに、機嫌がいい。
255: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.36 yN1tFzPc
いったい、僕はあとどれだけのことを忘れているんだろう?
256: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.34 yN1tFzPc
「なにやってるんだか…」
257: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.37 yN1tFzPc
妙に大人っぽい…そのアンバランスさが不思議な色気を醸し出していた。
258: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.10 yN1tFzPc
「待ち合わせの時間とか決めてたの?」
259: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.55 yN1tFzPc
背中からお尻にかけてのラインをなぞると、アリスは体をのけぞらせた。
260: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.55 yN1tFzPc
「別にノロけてるつもりはないんだ。そう見えたなら、ごめん」
261: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.58 yN1tFzPc
「えー、だからですね」
262: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.63 yN1tFzPc
だから、勘違いだったのかもしれない。
263: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.60 yN1tFzPc
言いながら、雪さんが入り口わきの、こじんまりとした戸をくぐる。
264: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.56 yN1tFzPc
その証拠に、僕の意思とは裏腹に弓は容赦なく引かれていくじゃないか。
265: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.49 yN1tFzPc
手を引くたびに、全身の粟立つような感覚が強くなっていく。
266: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.63 yN1tFzPc
「雪さん、どうかしたの?」
267: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.74 yN1tFzPc
「ありがとうございます。ふふ、もっとほめていただけるように頑張りますね」
268: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.78 yN1tFzPc
「うん。無理に誘うのもかわいそうだし、あまり調子も良くなさそうだったから」
269: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.91 yN1tFzPc
「っはは」
270: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.91 yN1tFzPc
「そのひとりに、憑かれた?」
271: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:49.94 yN1tFzPc
花梨は涙石を両手で包み込み、祈るようなポーズを取った。
272: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.02 yN1tFzPc
「嫌だよ、もう…目が覚めたら、また頑張らなきゃいけないんだもん」
273: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.02 yN1tFzPc
「二人ともありがとう。口はもういいよ…今度は僕がしてあげる番」
274: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.02 yN1tFzPc
たくさんの検査が行われたけど、結果はというと、記憶喪失の他は大した怪我もなし。
275: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.07 yN1tFzPc
「んー、雪さん、おはよう」
276: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.13 yN1tFzPc
「そう。あの…さ、正直、キツネ憑きとか言われても、まだピンと来ないんだ。どういう状態なの?」
277: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.13 yN1tFzPc
笑いかけると、アリスはいかにも迷惑そうな表情で、ツンと顔をそらした。
278: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.13 yN1tFzPc
「わからないよ…」
279: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.13 yN1tFzPc
隙間がひろがり、舌に、熱い液体が絡みつく。
280: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.30 yN1tFzPc
「あのさ、もう…」
281: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.32 yN1tFzPc
「…あとで、ご両親にも報告に行こうね」
282: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.39 yN1tFzPc
「無理だよ…」
283: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.39 yN1tFzPc
子供たちの声を聞きながら、僕は、手近なベンチに腰を下ろした。
284: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.44 yN1tFzPc
ただ、それと同時に、彼女はもう現れないだろうという予感もあった。
285: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.45 yN1tFzPc
鼓動が強まる。
286: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.45 yN1tFzPc
「こんな時間にどうしたの?」
287: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.56 yN1tFzPc
「なんとなく、不気味な場所だね」
288: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.55 yN1tFzPc
ただ僕の名をつぶやく彼女と、手を重ね合わせる。
289: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.64 yN1tFzPc
「行ってらっしゃい、透矢さん」
290: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.72 yN1tFzPc
白い肌に青ざめた月光が映り込んで、ぼんやり、まるで発光しているようにも思えた。
291: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.79 yN1tFzPc
感じるということ自体、未知のものだったんだろうし、まあ、無理もない。
292: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.81 yN1tFzPc
「あ、ちょっと、マリアちゃん」
293: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.80 yN1tFzPc
「私は、透矢さんとお話がしたいの」
294: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.81 yN1tFzPc
「和泉ちゃんが落ちつくのを、待つしかないよ。それよりごめんね。ほったらかしにしちゃって」
295: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.90 yN1tFzPc
涙を流しながら、必死に伸ばされた彼女の小さな手に、僕は…
296: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.90 yN1tFzPc
「わかるけど…あれ?」
297: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:50.97 yN1tFzPc
「そうだね。…じゃあ、ときどき、電話すると…思います」
298: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.13 yN1tFzPc
「それに、いちおうマリアの友達だしね」
299: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.18 yN1tFzPc
「…ばーか」
300: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.18 yN1tFzPc
彼女はいよいよ僕に体重をあずけ、深く深く口づけを、
301: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.18 yN1tFzPc
「雪は、ここがいいんです」
302: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.17 yN1tFzPc
僕は、外出する旨だけを乱暴に書き置きし、家を出た。
303: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.18 yN1tFzPc
背中に胸の感触が伝わる。
304: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.28 yN1tFzPc
「あはは…じゃあバイバイ。庄一ぃ、もし明日、透矢が体調崩してたりしたら殺すからねー」
305: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.31 yN1tFzPc
言葉と裏腹に、震えは収まらない。
306: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.33 yN1tFzPc
「透矢さんたら…こういうこと、意外とお好きみたいですね」
307: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.33 yN1tFzPc
しかし、ナナミは逃げなかった。
308: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.46 yN1tFzPc
「違いますよ」
309: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.47 yN1tFzPc
軽い気持ちの僕とは対象的に、花梨は、真剣な調子で話し始めた。
310: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.50 yN1tFzPc
これで、ひとつ接点が見えた。
311: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.51 yN1tFzPc
「はわ!?」
312: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.51 yN1tFzPc
「ううん、みんなには悪いけど、助かったよ。だけど…」
313: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.58 yN1tFzPc
金属片は、花梨がそこらに落ちてるのを拾い上げただけのものだ。
314: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.43 yN1tFzPc
僕は、彼女への愛撫を再開した。
315: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.61 yN1tFzPc
ぽんぽん、と鈴蘭ちゃんの頭を撫でながら、僕は、その光景に見とれていた。
316: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.66 yN1tFzPc
一年前に牧野那波さんを亡くしてしまったという事を。
317: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.75 yN1tFzPc
はむはむ。
318: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.79 yN1tFzPc
それを見ていた和泉ちゃんが、くすくすと、おかしそうに笑う。
319: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.78 yN1tFzPc
「覚えてない。夢中だったから、手あたり次第だった」
320: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.83 yN1tFzPc
自分のほっぺたを、とんとん、と指先でつつく。
321: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.64 yN1tFzPc
「可愛いね」
322: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.87 yN1tFzPc
「流れでね、そうなっちゃった」
323: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.91 yN1tFzPc
いちど忘れた記憶だ。
324: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.00 yN1tFzPc
だから、この調子でいけば、すぐにでも夢は終わる。
325: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:51.97 yN1tFzPc
「…ぁ、っぁ…」
326: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.06 yN1tFzPc
「ありがとう。ええっと…まず、僕の名前は、透矢でいいのかな?」
327: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.05 yN1tFzPc
「あ、いや…普通に起こしてくれればいいよ。ありがとう、雪さん」
328: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.19 yN1tFzPc
この子がいるという事は当然、彼女もいる。
329: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.12 yN1tFzPc
「はふ…」
330: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.20 yN1tFzPc
雪さんはこうなることがわかっていたのか、あきらめ顔だった。
331: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.26 yN1tFzPc
「楽に、おいしいところだけ持っていくのが俺のやり方なんで」
332: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.39 yN1tFzPc
「あ、やっぱり嫌?」
333: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.40 yN1tFzPc
巫女服を着れば、誰でも巫女になれるなんて思ってたけどそうじゃない。
334: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.44 yN1tFzPc
僕たちは、歩き続けた。
335: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.40 yN1tFzPc
実際、ここ数日、何度も同じようなことをしているけど、このキツネ、僕にだけなつく様子がない。
336: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.52 yN1tFzPc
次から次へと―庄一じゃないけど、ホント、どうして僕ばっかり。
337: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.52 yN1tFzPc
「うん…僕も、そんなことがあったよ」
338: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.55 yN1tFzPc
「へええええ~。和泉さんは、それを川に流したりしたんですか?」
339: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.71 yN1tFzPc
「だけど、本当に痛くなくなったから」
340: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.65 yN1tFzPc
「はいはいマリアちゃん、ケダモノからは離れましょうねー」
341: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.71 yN1tFzPc
じっとしていても、余計な事ばかり考えてしまう。
342: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.78 yN1tFzPc
「えっち…」
343: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.78 yN1tFzPc
「牧野さん、もうやめようよ。僕はこんな夢、見たくない」
344: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.84 yN1tFzPc
「…そんなことないよ」
345: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.89 yN1tFzPc
「…いいけどね。確かに、最近、ちょっと忙しくて、相手できなかったし」
346: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.87 yN1tFzPc
ひんやりした空気が漏れだしている。
347: カタクリ(東京都)
09/06/13 00:30:52.78 gzQaihvC
ゲハ931まだ?
348: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:52.97 yN1tFzPc
「あ…大丈夫?」
349: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.00 yN1tFzPc
「いつか、ふわっと、雪だけが別の世界に連れていかれるんじゃないかって…」
350: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.00 yN1tFzPc
「そうそう、夢に牧野さんが出てくるとかいう話はどうしたの?」
351: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.06 yN1tFzPc
「あのさ、それ、悪い病気とかっていうのに関係ある?」
352: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.17 yN1tFzPc
僕は、上からひとつひとつ、ボタンを外しにかかった。
353: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.19 yN1tFzPc
「信用してるよ。…少なくとも、この前の告白は」
354: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.23 yN1tFzPc
「あれ? でも、習い事は…」
355: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.22 yN1tFzPc
気まずい沈黙。
356: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.29 yN1tFzPc
「…キツネの時と同じよ。逃げたり、きのうみたいに引っかかれたり」
357: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.37 yN1tFzPc
僕は、彼女のほっぺたにキスをし、頭を撫で、乱れた衣服を整えた。
358: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.42 yN1tFzPc
いやにあっさり終わってしまった。
359: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.46 yN1tFzPc
「ヘッドドレスのことですか?」
360: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.37 yN1tFzPc
「毎年、同じですから」
361: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.49 yN1tFzPc
足がつかないのは当たり前としても、滝なんかあるせいか、流れも強いし、なんだか不安をあおられる。
362: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.59 yN1tFzPc
「おまえ、そういう変な言葉の使い方は間違えないのな…」
363: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.60 yN1tFzPc
僕は、馬鹿の一つ覚えみたいに、そんな言葉を返していた。
364: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.59 yN1tFzPc
「大丈夫よ、そのうち帰ってくるから」
365: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.61 yN1tFzPc
山中に廃村がある、なんて話、長いことこの町に住んでいる庄一や花梨が、知らないはずもないだろう。
366: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.60 yN1tFzPc
「いーから早く!」
367: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.74 yN1tFzPc
そう、信じるしかない。
368: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.74 yN1tFzPc
午前中に個人戦、午後に団体戦という具合だ。
369: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.73 yN1tFzPc
そして、それでも抑えきれなかった想いを、直接、耳に吹き込んだ。
370: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.83 yN1tFzPc
「可愛かったよ。雪さんには悪いけど、最後のは、あったかくて気持ち良かった」
371: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.83 yN1tFzPc
「今日は顔色いいんだね」
372: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.83 yN1tFzPc
抑揚のない声で言って、彼女は一度も振り返ることなく行ってしまった。
373: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.89 yN1tFzPc
彼女は、僕のほっぺたにキスをした。
374: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.96 yN1tFzPc
「ナナミ…それじゃあキミは?」
375: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.01 yN1tFzPc
夢では、このあとどうなったんだっけ?
376: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.04 yN1tFzPc
「お父さん、遅いね」
377: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.05 yN1tFzPc
「雪、今日は撫でていませんけど…」
378: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.04 yN1tFzPc
「私も、いろいろと助けられちゃってるんだよね。どこかで返さなくちゃ」
379: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.15 yN1tFzPc
僕は身支度を整え、情けない顔をどうにか引っ込め、『お友達』のところに向かった。
380: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.16 yN1tFzPc
「はは、どうしたの?」
381: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.16 yN1tFzPc
「旦那、様」
382: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.15 yN1tFzPc
「…なんだ、そういうこと」
383: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.24 yN1tFzPc
いつもの道を、いつも通り花梨と歩いていた。
384: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.27 yN1tFzPc
次々とあふれ出す愛液の絡み合う音が、淫らに響く。
385: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.28 yN1tFzPc
当然、触れても痛みはない。
386: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.14 yN1tFzPc
「そう言われても、雪さんの胸は、僕がどうこうしたわけじゃ…」
387: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.31 yN1tFzPc
「っくちゅ」
388: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.32 yN1tFzPc
「わかってる。それにしても、この辺はあまり人通りがないみたいだけど」
389: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:53.59 yN1tFzPc
夢の中のことだから、お手伝いって言われても困る。
390: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.41 yN1tFzPc
「そういうことなんだ」
391: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.45 yN1tFzPc
「雪さんがいなくなっちゃう夢」
392: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.48 yN1tFzPc
「…見過ごした可能性?」
393: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.47 yN1tFzPc
「こんなところで…って、あぅぅ」
394: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.59 yN1tFzPc
「朝の、あれのせい?」
395: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.62 yN1tFzPc
「はいはいマリアちゃん、ケダモノからは離れましょうねー」
396: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.62 yN1tFzPc
じゃあ、さっきのは、夢?
397: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.62 yN1tFzPc
それだけで、達してしまいそうになる。
398: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.64 yN1tFzPc
「那波の誕生日は、七月七日ですの」
399: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.81 yN1tFzPc
僕は、二人の頭、ほっぺた、首筋、と撫で、次に胸へと手をやった。
400: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.83 yN1tFzPc
「そうですの…」
401: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.96 yN1tFzPc
「…出資者?」
402: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.90 yN1tFzPc
彼女がどうして急に戻ってきたのか。
403: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.97 yN1tFzPc
「申しわけありません。透矢さんは特別なんですよ」
404: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:54.93 yN1tFzPc
夕陽に染まり、怪しく赤く、燃えるような色をした瞳で。
405: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.03 yN1tFzPc
「それより、どう? 花梨ちゃんの巫女服は」
406: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.03 yN1tFzPc
くいくい、今度はマリアちゃんが、ひかえめに袖を引く。
407: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.15 yN1tFzPc
「なんにもしてあげられなかった」
408: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.17 yN1tFzPc
「馬鹿、いつまでも持ってんな!」
409: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.16 yN1tFzPc
彼女の視線は僕を通り越した、その先に注がれている。
410: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.17 yN1tFzPc
「探すって言っても、この町には山が多いみたいだし、こんな写真だけじゃ…」
411: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.32 yN1tFzPc
妙なことまで、よく知っている。
412: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.28 yN1tFzPc
牧野さんの話を思い出そう。
413: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.34 yN1tFzPc
「花梨を…?」
414: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.36 yN1tFzPc
「あら…? ふふ、わかりました。そのようにいたしますよ」
415: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.41 yN1tFzPc
きのうとは、明らかに雰囲気が違う。
416: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.48 yN1tFzPc
「雪は、そちらのほうがいいです。着る時と脱ぐ時は、手伝ってくださいね?」
417: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.47 yN1tFzPc
「透矢さん、起きてくださいな」
418: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.53 yN1tFzPc
「…かもしれないね」
419: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.57 yN1tFzPc
「あら、庄一さんは、そのことについて何かご存じなんですか?」
420: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.57 yN1tFzPc
「んじゃ、そういうことで」
421: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:55.66 yN1tFzPc
「大会で優勝したときに付けてたとか?」
422: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.58 yN1tFzPc
「終わったー」
423: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.50 yN1tFzPc
「感じてくれたんだ?」
424: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.39 yN1tFzPc
花梨が行きそうなところ。
425: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.65 yN1tFzPc
奇妙な配置に首をかしげながら、僕はインターフォンを押した。
426: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.61 yN1tFzPc
「和泉ちゃん…牧野さんのことがショックなのはわかるんだけど…」
427: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.00 yN1tFzPc
「緑の匂いですか? 雪は、いい匂いだと思いますけど…」
428: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.66 yN1tFzPc
「だって、庄一くん、すぐに嘘つくんだもん」
429: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.69 yN1tFzPc
「…なら、仕方ないけど。とにかくそういうわけよ。そっちは?」
430: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.17 yN1tFzPc
飛び散ったしぶきが、輝き、彼女の足下を照らす。
431: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.67 yN1tFzPc
(落ちつけ)
432: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.79 yN1tFzPc
そして、となりにたたずむ牧野さんも、どこか様子がおかしかった。
433: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.19 yN1tFzPc
僕の覚えていないことで、彼女はこんなにも幸せそうに笑っている―そう考えると悔しい。
434: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.18 yN1tFzPc
「我慢して。念のためだから」
435: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.18 yN1tFzPc
「まあ、覚えていた通りだったわ。キツネは警戒心が強い動物なんだって」
436: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.22 yN1tFzPc
花梨は目を覚まさない。
437: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.78 yN1tFzPc
雪さんの体が断続的に震え始めた。
438: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:57.86 yN1tFzPc
「…ちゃんと名前があったんだ」
439: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.43 yN1tFzPc
「和泉だって好きでやってるって言ってんでしょうが。それに、私だっていろいろあるんだからね」
440: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.46 yN1tFzPc
アリスも同じことを考えたのか、今までに増して険しい顔をしている。
441: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.46 yN1tFzPc
実際、花梨が的に当てる確率と、他の子が的に当てる確率とでは大きな差がある。
442: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.39 yN1tFzPc
はむ。
443: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.51 yN1tFzPc
「本気にしてしまいますから。はい、お弁当ですよ」
444: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.52 yN1tFzPc
口に出すたび、自分の中で彼女への想いが深まっていく。
445: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.46 yN1tFzPc
「ひどいなぁ、ぱっと見だけしか知らないくせに」
446: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.46 yN1tFzPc
何かが発光しているのは間違いない。
447: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.64 yN1tFzPc
「そうだよ、透矢くんまで…」
448: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.65 yN1tFzPc
僕は、ひとりぼっちじゃないんだから。
449: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.65 yN1tFzPc
「ごめん…僕は怖くて、そればっかりでぜんぜん気づかなかった」
450: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.60 yN1tFzPc
(絶技・四十八手…?)
451: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.72 yN1tFzPc
「無理に雪を誘わなくても…花梨さんも和泉さんもいらっしゃいますし」
452: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.84 yN1tFzPc
道は下へ下へ。
453: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.79 yN1tFzPc
「はぁ…っん…けほっ…」
454: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.87 yN1tFzPc
僕をからかっているのか、それとも真剣に聞いているのか、彼女の笑顔からは何も読みとれない。
455: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.95 yN1tFzPc
「お守りだよ。あそこに行って、取ってきたの」
456: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.95 yN1tFzPc
「ふふ、半分だけ正解ですわ」
457: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.04 yN1tFzPc
「いいよ。大げさだな、雪さんは」
458: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.97 yN1tFzPc
「だったら呼んでよ。夢になんかしなくてもいい」
459: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.08 yN1tFzPc
「別の言語の点字、もしくは…現在主流になっているものとは、対応の違う点字ということになりますわ」
460: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:58.95 yN1tFzPc
なんて、たぶん負け惜しみにしか聞こえないセリフを内心でつけ加えて。
461: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.12 yN1tFzPc
「ぅん……うん……」
462: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.18 yN1tFzPc
誰か…そうだ、女の子と一緒にいて…
463: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.25 yN1tFzPc
あいかわらず、やることがオヤジだ。
464: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.33 yN1tFzPc
あの岩が、綺麗さっぱり消えてなくなっている。
465: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.32 yN1tFzPc
「な…」
466: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.30 yN1tFzPc
「あの、そのまま巻いてくれれば、大丈夫だと思うから」
467: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.35 yN1tFzPc
彼女を抱いて、うかれていて…そのまま会えなくなってしまったから、忘れていたけど…
468: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.28 yN1tFzPc
「ぅ…っ…透矢さぁ…ん」
469: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.39 yN1tFzPc
「花梨ちゃん、大丈夫かなぁ…」
470: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.53 yN1tFzPc
振り返った庄一は、いつもの皮肉っぽい笑みを浮かべていた。
471: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.54 yN1tFzPc
「んー、本当に個人的なことなんだ。夢の謎がちょっとだけ解けたかも」
472: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.59 yN1tFzPc
少し興奮気味だったのかもしれない。
473: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.62 yN1tFzPc
「なあ…おまえにも多少の責任があるって事くらい、わかってるんだろう?」
474: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.64 yN1tFzPc
いちど思い出してしまえば、崩れるのは簡単だった。
475: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.98 yN1tFzPc
わざわざ言ってくるあたり、たぶん、そうしてほしいんだろう。
476: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.15 yN1tFzPc
『えい!』
477: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:30:59.98 yN1tFzPc
そして、どうしたわけだろう?
478: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.15 yN1tFzPc
「変態さんだし」
479: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.23 yN1tFzPc
考えながら、僕は、まぶたを下ろした。
480: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.23 yN1tFzPc
でも、その手つきと裏腹に、ハンカチはきれいに折りたたまれていた。
481: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.22 yN1tFzPc
そんなことを言いながら、雪さんが戻ってきた。
482: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.33 yN1tFzPc
「あの、いろいろ、あると思うんだけど、そんなに、避けないで」
483: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.30 yN1tFzPc
謝らなきゃ。
484: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.35 yN1tFzPc
「透矢さんの人徳ですよ。雪がいい人かどうかは置いておきますけど」
485: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.36 yN1tFzPc
僕も、こんな曲を覚えてるくらいなら、英単語のひとつも覚えておけばいいのに。
486: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.30 yN1tFzPc
「いえ、洗わなくて、いいですから」
487: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.31 yN1tFzPc
「いや、なんとなく」
488: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.31 yN1tFzPc
「いや、だから、期待に応えられなかったり、いろいろ」
489: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.31 yN1tFzPc
戻るきっかけをつかめなければ、一生、彼女とふたりきりってことか?
490: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.39 yN1tFzPc
「馬鹿! 誰も見つからないなんて思ってないわよ」
491: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.41 yN1tFzPc
さすがの牧野さんも、続く言葉をかけあぐねていた。
492: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.39 yN1tFzPc
ぱっと見ただけで、ていねいに取ってくれたものだということがわかる。
493: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.30 yN1tFzPc
那波ちゃんは、ちょっと変わっているけど、きれいだしなんでもできるし、お似合いだと思うよ?
494: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.52 yN1tFzPc
「マリアちゃんは、危なくないの?」
495: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.52 yN1tFzPc
幸せは、いつまでも続かない。
496: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「鈴蘭ぱんちと間違えたんだってばー」
497: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「いいけど、何?」
498: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.52 yN1tFzPc
扉の向こうに、泣きじゃくる雪さんがいるって知りながら、僕は何をしてあげることもできなかった。
499: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.58 yN1tFzPc
違う―きっと、僕が弓を手に取らなくなった時からだ。
500: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.58 yN1tFzPc
「まあ…那波のこと、心配してくださったんですの」
501: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.58 yN1tFzPc
「うるさいなぁ…。あなたも食べてみなさいよ」
502: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.62 yN1tFzPc
「……宮代さん、遅いねぇ」
503: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.58 yN1tFzPc
「違うって。ど忘れでもしたの? マリアちゃんだよ。退院した日に手を振ってくれた…」
504: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.62 yN1tFzPc
「それじゃあ、行ってきます」
505: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.65 yN1tFzPc
「漠然とはわかったけど、なんか、話がつながらないような…」
506: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.64 yN1tFzPc
と、参加者の名簿をながめていると、ひとつ、奇妙な点に気づいた。
507: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.67 yN1tFzPc
「大したおもてなしは、できないけどね。ただし、今日だけだよ?」
508: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「でも、同じだよ。月だ」
509: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.70 yN1tFzPc
「いっ…!」
510: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.70 yN1tFzPc
「理屈では、ですわ。現実のわたくしたちには、昔も夢も、確かに存在していますから」
511: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.52 yN1tFzPc
「ほら、せっかくのお祭りなんだからケンカしない」
512: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.52 yN1tFzPc
「ちぇっ」
513: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.57 yN1tFzPc
「う、うん。また…今度、電話するね」
514: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
大きなしぶきをあげて、海に飛び込む和泉ちゃん。
515: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「欲情って言わないでよ」
516: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
彼女の期待を裏切るそのひとことが、どうしても言えなかった。
517: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.70 yN1tFzPc
和泉ちゃんにキスされた時と、どっちがドキドキしているだろう?
518: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.70 yN1tFzPc
「最初から、そう言ってたじゃないか」
519: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.78 yN1tFzPc
「なんて言ったらいいのかな。不便なこととかあったら、遠慮なく言ってほしいんだけど」
520: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
確かに、僕のほうがよほどマンガじみている。
521: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.67 yN1tFzPc
「良かったね、雪の調子良くなって」
522: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「うっそ! 庄一が来てる」
523: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.53 yN1tFzPc
「おまえが不幸なのは、俺様としょっちゅう一緒にいることだな。おかげで、この魅力に気づけない」
524: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.78 yN1tFzPc
僕の背中に寄り添っていたぬくもりが、そっと離れる。
525: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.78 yN1tFzPc
「透矢さっ…だ、めぇ…」
526: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.82 yN1tFzPc
「じゃあ、しよっか?」
527: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.89 yN1tFzPc
「透矢くん、見てー。マリアちゃん、欲張りなんだよ」
528: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.84 yN1tFzPc
今夜、夢の中で会いましょう、だ。
529: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
さらに…何時間が経ったんだろう?
530: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
前に雪さんから聞いた話だと、涙石は川や海、水辺でよく見つかると言っていた。
531: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.82 yN1tFzPc
「雪さん…」
532: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.91 yN1tFzPc
「知らないし、言わないで行くつもり」
533: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.82 yN1tFzPc
「防空壕…ああ、そういうことか」
534: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.91 yN1tFzPc
「雪さん、もうちょっと昇ってみようと思うんだけど、いい?」
535: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.94 yN1tFzPc
「来て、くれましたわ」
536: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
「どれどれ、貸してみなさい」
537: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.82 yN1tFzPc
「ああ、体調が悪いんだってさ」
538: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.89 yN1tFzPc
口をつけると、確かに熱すぎず冷めすぎず、ちょうどいい温度だった。
539: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.97 yN1tFzPc
入り口を指でつつくと、派手な水音がした。
540: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.96 yN1tFzPc
「なに、もしかして、私の胸に触りたかっただけ?」
541: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.99 yN1tFzPc
「でも…こればっかりは、二人一緒にっていうわけにもいかないよ?」
542: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
「元医者とか言ってたね。父さんのことも瀬能って呼び捨てにしてたし、知り合いなのかな?」
543: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
と、色素が薄いのかと思えば、髪は夜の闇を飲み込むほどの、長く艶やかな黒をたたえていた。
544: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.96 yN1tFzPc
そのまま、手をお腹へ。
545: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.82 yN1tFzPc
「牧野さん、もうやめようよ。僕はこんな夢、見たくない」
546: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
「前向きでいいね…」
547: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.06 yN1tFzPc
「無理に手伝わされていたとか、そんなことはない?」
548: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.07 yN1tFzPc
何か、盲点があるのかもしれない。
549: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.00 yN1tFzPc
「そんな顔しないでよ。ほら、無理に手なんか入れて、洋服がやぶけちゃったら嫌だなぁと思って」
550: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.02 yN1tFzPc
彼女だ、僕にあんな事を言ったのは。
551: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.08 yN1tFzPc
口をつけると、確かに熱すぎず冷めすぎず、ちょうどいい温度だった。
552: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.05 yN1tFzPc
「冗談ですよ。経過も良好ということでしたし…記憶が戻らないのは透矢さんのせいではありませんもの」
553: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
「和泉の場合、お子様すぎて、比べっこにならないだけっていう話もあるけど」
554: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.83 yN1tFzPc
「かなわないな、わかったよ」
555: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
「決まりですね。鈴蘭さん?」
556: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.12 yN1tFzPc
「いいんだ、僕のことは。それより…」
557: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
夢で父さんを責めていた自分が、なんだか滑稽に思える。
558: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.08 yN1tFzPc
額に、ほっぺたに、胸やお腹のやわらかさが伝わってくる。
559: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
恐る恐る下ろしてみると、真っ白な肌の上に綺麗な縦線が一本。
560: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
それに、自分が離れてしまった時に、混乱した身内が馬鹿な事を考えないとも限らない。
561: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.07 yN1tFzPc
「ま、帰ったってことはないんだろうし」
562: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.17 yN1tFzPc
そして、よじ登られた。
563: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.16 yN1tFzPc
「何かあるの?」
564: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.17 yN1tFzPc
「めっちゃくちゃ嬉しそうだね…なんか嫌だなぁ。キミ、そういうこと、そんなに好きだったっけ?」
565: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
「…子供じゃないんだから」
566: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.19 yN1tFzPc
実感はなかったけど、これは自分の家なんだと思い、僕は無造作に靴を脱ぎ捨てて廊下に立った。
567: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.04 yN1tFzPc
戦の危険から彼女を遠ざけるという点でこれほど適した場所もない。
568: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.17 yN1tFzPc
花梨が笑う、庄一がポンと肩を叩く。
569: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.17 yN1tFzPc
「ときどき、今みたいに、透矢さんとお勉強をさせてもらうんです」
570: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.16 yN1tFzPc
「僕は、僕だ…」
571: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.19 yN1tFzPc
「そう、ですか」
572: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.19 yN1tFzPc
「海岸に誰もいないみたいだけど、工事でもしてるの?」
573: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:00.86 yN1tFzPc
「どこ見てんの、変態」
574: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.25 yN1tFzPc
双子の姉妹に出くわした。
575: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.29 yN1tFzPc
「えっ、どうして和泉さんが謝っちゃうんですか?」
576: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.26 yN1tFzPc
「…僕や父さんがそうだっていうこと?」
577: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.29 yN1tFzPc
「んんーーーーっ」
578: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.28 yN1tFzPc
「気持ち良さそうってこと。もっとしてほしい?」
579: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.32 yN1tFzPc
『っぁ、孕ませて、んっ…いただこうと、 思いましたのに』
580: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.32 yN1tFzPc
「っ…ぁ…ぁぁぁぁぁぁ…」
581: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.33 yN1tFzPc
「…そもそも、幽霊だって気づかないってこと?」
582: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.34 yN1tFzPc
彼女の辞書に普通って言葉はないのか?
583: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.36 yN1tFzPc
ホント、こういうことには、良く鼻が利くというか、マメというか。
584: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.36 yN1tFzPc
「ぼんやりしていて…『あれ?』と思った時にはいなかったんです。見ませんでしたか?」
585: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.37 yN1tFzPc
「透矢と俺ね。いやーな予感」
586: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.38 yN1tFzPc
一人でいたら、おかしくなっていたかもしれない。
587: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.41 yN1tFzPc
「居間にお通ししておきますから、そちらへ。お話が済んだら、おいしい朝ご飯が待っていますからね」
588: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.42 yN1tFzPc
言葉をつなぎあぐねる僕に、彼はおもむろに右手をさし出してきた。
589: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.45 yN1tFzPc
「鈴蘭ちゃんも見たいの? それじゃあ、午後は、三人で一緒に行こうか?」
590: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.52 yN1tFzPc
自信がないから、遠慮して、あんなに小さな文字で書いたのかもしれない。
591: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.52 yN1tFzPc
「い、和泉ちゃん?」
592: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.53 yN1tFzPc
「あ、だからですね、えっと、また明日にでも、一緒に遊んでくれませんか?」
593: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.54 yN1tFzPc
放物線を描き、勢いよく流れ落ちるそれが、僕にはとても美しく思えた。
594: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.56 yN1tFzPc
「じゃあ、マリアちゃんの、いい?」
595: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.56 yN1tFzPc
「…好きだよ」
596: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.58 yN1tFzPc
「あれはあれで良かったけど、今も可愛いよ。花梨は可愛い」
597: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.59 yN1tFzPc
『七月七日 午後五時 公園で待っていま す』
598: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.61 yN1tFzPc
「和泉ちゃん…助けてくれたの?」
599: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.61 yN1tFzPc
笑いながら、今度は、僕がそうしたみたいに、乳首を口に含んだ。
600: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.62 yN1tFzPc
「雪は、透矢さんによろこんでいただきたいだけなんです。労働というよりもご奉仕になりますね」
601: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.63 yN1tFzPc
でも、これはこれで不意打ちだ。
602: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.64 yN1tFzPc
「っぅ」
603: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.66 yN1tFzPc
何を言っているのやら。
604: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.66 yN1tFzPc
「で、何かな?」
605: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.68 yN1tFzPc
僕には、とても素敵に思えたから―
606: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.70 yN1tFzPc
花梨がいちばん激しく反応する場所―まだ歯形の残る乳首に吸いついた。
607: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.71 yN1tFzPc
「はぅぅぅ、おね~ひゃふ、ひたひ~」
608: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.83 yN1tFzPc
「花梨、幽霊見えるか?」
609: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.84 yN1tFzPc
「それで、どうしたの?」
610: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.90 yN1tFzPc
頭の中が、真っ白になる。
611: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.91 yN1tFzPc
「んー、好きだから」
612: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.95 yN1tFzPc
なんだか、うまいこと口車に乗せられた気がするけど…まあ、頑張ってるし、いいかな…。
613: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.96 yN1tFzPc
頭をひと撫でし、僕は早速、マリアちゃんと同じように、ワンピースをまくりあげてしまうことにした。
614: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.96 yN1tFzPc
「兄弟かな…?」
615: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:01.99 yN1tFzPc
「もう思い出す必要もないけどね。ったく何が悲しくてこの歳で家中の家事を…」
616: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.00 yN1tFzPc
「…でしたら、最後のお願いです。雪のこと、たくさん気持ち良くしてください」
617: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.00 yN1tFzPc
言われた通り、小さな体を抱きしめた。
618: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.01 yN1tFzPc
そうだ、僕は彼女を知っている。
619: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.02 yN1tFzPc
「旦那さまぁ…じら…じらさ…ないで」
620: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.03 yN1tFzPc
水中のところどころに、何か発光するものが沈んでいるのが見えた。
621: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.05 yN1tFzPc
今度は僕が出ることにした。
622: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.06 yN1tFzPc
言っていることはよくわからないけど、とにかく、僕をはげましてくれているらしい。
623: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.07 yN1tFzPc
「道祖神ですね。こうして道ばたに立って外からの疫病や悪霊を防いでくれるんだそうですよ」
624: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.08 yN1tFzPc
「んっ…ずるいなぁ。私なんて、苦しいのに」
625: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.08 yN1tFzPc
「はいはい。って、最初に話を振ったあんたが言うな!」
626: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.09 yN1tFzPc
「あは…あははっ…」
627: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.10 yN1tFzPc
「そうなんですか、透矢さん?」
628: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.12 yN1tFzPc
「あ…うあ…」
629: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.13 yN1tFzPc
波間を漂う光の帯のように、すっ、と僕の中に入り込んできた、あったかいもの。
630: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.13 yN1tFzPc
「ガキね。いちおう忠告はしたから。それじゃあね」
631: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.14 yN1tFzPc
真顔で言う。
632: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.16 yN1tFzPc
ただ―それでも、僕はふたりから離れることができずにいる…。
633: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.18 yN1tFzPc
「雪さんだって、暑いでしょう?」
634: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.19 yN1tFzPc
その動きに、アリスの体はあやつり人形のような、敏感な反応を見せる。
635: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.20 yN1tFzPc
それを止めるのが僕の仕事か…そう考えて、ずしんと肩が重くなった。
636: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.20 yN1tFzPc
汗だくで、みっともなく息を切らしていたけど、構わず、僕は彼女の体を抱きしめた。
637: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.23 yN1tFzPc
「うるさい、うしー」
638: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.35 yN1tFzPc
僕が言うと、ふたりは顔を見合わせ、しばらく思案するふうを見せた。
639: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.36 yN1tFzPc
「はぁ…っん…けほっ…」
640: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.37 yN1tFzPc
「震えながら言っても説得力ないぞー」
641: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.38 yN1tFzPc
「な、何かな?」
642: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.40 yN1tFzPc
何を言われたって、できないものはできないんだから、構わない。
643: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.41 yN1tFzPc
傷は意外に深いのか、何度か舌をはわせても出血がおさまらない。
644: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.42 yN1tFzPc
「そういえば、和泉さんと一緒にいるものと、思いこんでいましたね…」
645: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.43 yN1tFzPc
花梨に蹴り飛ばされた足から靴を脱がせると、愛おしいものにでも触れるように、そこをなで始めた。
646: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.44 yN1tFzPc
素晴らしいタイミングで、雪さんが入ってきた。
647: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.45 yN1tFzPc
「お返しです。私たちも、気持ち良くしてもらいましたから…こうすると、いいんですよね…?」
648: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.46 yN1tFzPc
「ふぁぁ…」
649: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.47 yN1tFzPc
笑いながら体重をかけてくる花梨を、僕はあきらめて受け止めた。
650: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.49 yN1tFzPc
「疑り深いね。はい、どうぞ」
651: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.50 yN1tFzPc
幸いにも転ばなかった…らしくないと言えばらしくないけど。
652: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.52 yN1tFzPc
「嘘は良くないと思うな」
653: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.53 yN1tFzPc
庄一の悲しそうな顔、初めて見たかもしれない…。
654: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.54 yN1tFzPc
「日記って、父さんの?」
655: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.55 yN1tFzPc
「心からの呼びかけね。すごく難しいとか言ってたけど…」
656: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.55 yN1tFzPc
「みっともないところ、見せちゃったね」
657: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.56 yN1tFzPc
「二人とも、そろそろ…」
658: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.58 yN1tFzPc
「理屈では、ですわ。現実のわたくしたちには、昔も夢も、確かに存在していますから」
659: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.58 yN1tFzPc
「年下趣味はわかるけど、行き過ぎると犯罪だと思うのよねぇ」
660: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.60 yN1tFzPc
「覚えているもいないも、僕は目を覚ます前のことを、ほとんど何も覚えていないらしいよ」
661: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.60 yN1tFzPc
『っぁ、孕ませて、んっ…いただこうと、思いましたのに』
662: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.65 yN1tFzPc
「保険って、なんの?」
663: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.65 yN1tFzPc
「ごめん。ちょっと嫌になったんだ。きっと昔の僕のほうが、雪さんのこと笑わせてあげられたから」
664: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.68 yN1tFzPc
どこかで、そんなふうに考えている自分に嫌悪を覚えながら。
665: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.69 yN1tFzPc
実際、これを一人でゆっくり見られるのは僕だけの特権なわけで、ちょっとした自慢ではある。
666: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.74 yN1tFzPc
今、和泉ちゃんがいる。
667: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.76 yN1tFzPc
ちょっとだけ―と自分に言い聞かせ、僕たちは防空壕の中に入った。
668: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.77 yN1tFzPc
「ひぁっ…」
669: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.79 yN1tFzPc
「で、言い訳は?」
670: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.80 yN1tFzPc
「あなたとマリアのふたりを、野放しにできるわけないでしょ!」
671: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.81 yN1tFzPc
要望に応えて、さらに刺激を与えてみることにした。
672: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.82 yN1tFzPc
「えっ、どうして和泉さんが謝っちゃうんですか?」
673: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.82 yN1tFzPc
それとも、あれが雪さんなのか?
674: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.84 yN1tFzPc
「ここも…こっちもだよ」
675: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.85 yN1tFzPc
「このまんまだと思うけど。身長も体重も胸もお尻も腰も、一年くらい変化していないんだから」
676: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.88 yN1tFzPc
「那波と、読んでみませんか?」
677: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.89 yN1tFzPc
「ふたりとも、いろいろ騒がせちゃってごめんね。やっぱりダメだったみたい」
678: ニガナ(大分県)
09/06/13 00:31:02.58 nDmM8lbJ
奪取
679: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.90 yN1tFzPc
「雪のことを、毎晩、夢に見ていただけるなんて」
680: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.91 yN1tFzPc
「気色悪い。せめてアリスって呼んで」
681: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.92 yN1tFzPc
生まれのために、っていうのは、いったいなんだ?
682: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.93 yN1tFzPc
「嘘だ」
683: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.93 yN1tFzPc
「もう、いいよ、入れても?」
684: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.94 yN1tFzPc
(花梨…だよなぁ)
685: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.96 yN1tFzPc
ほーんとにそれでいいんですかっ! どうなっても知りませんよ?
686: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.98 yN1tFzPc
「冗談だったのになぁ…和泉、あとはよろしく」
687: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:02.98 yN1tFzPc
庄一は、さっきから黙々と練習に打ち込んでいた。
688: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.01 yN1tFzPc
保険の仕事、か…
689: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.01 yN1tFzPc
「そ、そうなんだ…」
690: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.04 yN1tFzPc
そう、つぶやいた。
691: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.04 yN1tFzPc
母親みたいなことを言う雪さんに苦笑しながら、僕は家を出た。
692: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.06 yN1tFzPc
こんな仕草を見せられたら、たとえ理不尽な状況でも、彼女を受け入れないわけにはいかない。
693: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.08 yN1tFzPc
「親しき仲にも礼儀ありってね。読書の邪魔をしたのは確かだよ」
694: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.11 yN1tFzPc
「ねえ、そんなのどうでもいいからさ、早く行こうよ」
695: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.15 yN1tFzPc
僕の気持ちが偽りになってしまう気がして。
696: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.07 yN1tFzPc
一瞬だけ、不安がよぎった。
697: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.13 yN1tFzPc
「聞かないの!」
698: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.19 yN1tFzPc
「あ、あの、だから…想像とかしちゃ…」
699: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.20 yN1tFzPc
「ううん、私は何も聞いてないけど」
700: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.19 yN1tFzPc
「あ、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしちゃって」
701: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.22 yN1tFzPc
「いいえ。授業はお休みさせていただきました。寝坊してしまって」
702: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.19 yN1tFzPc
牧野さんが死んでしまうなんて、そんなこと、あるわけが…
703: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.24 yN1tFzPc
花梨は、動かない。
704: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.22 yN1tFzPc
「可愛いのもあるけど、他にもたくさん、好きなところがあるから」
705: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.25 yN1tFzPc
巻き上がった砂煙の中、不愉快そうに顔をしかめた雪さんの言葉に、僕は深々とうなずいていた。
706: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.26 yN1tFzPc
光が、近づき、広がって―
707: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.28 yN1tFzPc
翌朝、僕は落ち着いた―まあ、多少ぐずってはいたけど―マリアちゃんを家に帰すことにした。
708: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.29 yN1tFzPc
「可愛い子、多いもんね」
709: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.29 yN1tFzPc
二人の間にはさんで…っていうことらしい。
710: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.30 yN1tFzPc
そう言われたとき、これを言うためにかけてきたのか、なんて考えて、自分が嫌になった。
711: ◆aLICeotiAI
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確かに楽ではない…けど、男としては、比較的うれしい疲れだ。
712: ◆aLICeotiAI
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「僕からすると、アリスの記憶力もマリアちゃんの勘もすごいんだけど…」
713: ◆aLICeotiAI
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僕は、物音を立てないように、明かりのついた食堂に向かった。
714: ◆aLICeotiAI
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「んー、僕はいつも片手」
715: ◆aLICeotiAI
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『ナナミ様、ナナミ様…』
716: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.41 yN1tFzPc
顔を真っ赤にして、行ってしまった。
717: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.42 yN1tFzPc
例えば、知能指数の高さが、恐らく僕らとは比べものにならないほど高いこと。
718: ◆aLICeotiAI
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幼い頃につかみ損ねた風船。
719: ◆aLICeotiAI
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構える、矢を放つ、彼女は死ぬ。
720: ◆aLICeotiAI
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「ええと、そんなに見られると」
721: ◆aLICeotiAI
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海では、あんなにはしゃいで、
722: ◆aLICeotiAI
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「それは、まあ」
723: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.53 yN1tFzPc
夢を…見よう…雪さんの夢。
724: ◆aLICeotiAI
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「でも、二人きりになれてうれしいでしょう?」
725: ◆aLICeotiAI
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「私がこの事を話すと、いつも、さっきみたいに『そんなことないよ』の一点ばりだったから」
726: ◆aLICeotiAI
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「ぅぅ、変ですか?」
727: ◆aLICeotiAI
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あの時、僕は彼女に、自分のママになってほしいと願った。
728: ◆aLICeotiAI
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「雪さんの中、すごく熱い」
729: ◆aLICeotiAI
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花梨の表情が曇った。
730: ◆aLICeotiAI
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月っていう、確かに存在する、だけど手の届かない場所。
731: ◆aLICeotiAI
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「………え?」
732: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.74 yN1tFzPc
「ふふ、おどろいていただけましたか?」
733: ◆aLICeotiAI
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「…お互い、そういったことを望んでいるのかもしれませんわ」
734: ◆aLICeotiAI
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「良いではないか良いではないか…」
735: ◆aLICeotiAI
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「うん…あそこ」
736: ◆aLICeotiAI
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「七夕の夜、お風呂で、お姉ちゃんが」
737: ◆aLICeotiAI
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花梨には『まあ、行けたらね』と返事をしてしまった。
738: ◆aLICeotiAI
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「アリス…マリアちゃん?」
739: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.78 yN1tFzPc
鉛筆のすべる音、ひそやかにおこなわれている談笑の声も、ここまでは届かない。
740: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.81 yN1tFzPc
そんな僕の気持ちを読みとったのか、アリスは僕のほうを見ると、ふふんと笑い、
741: ◆aLICeotiAI
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別に庄一の頼みを聞く気もないけど、僕はもうひとふんばりしてみることにした。
742: ◆aLICeotiAI
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「こういう場所が、ですわ」
743: ◆aLICeotiAI
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「え? あ、あのぉ…雪、何か透矢さんのお気に障るようなことを?」
744: ◆aLICeotiAI
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その力を受け継いだという人が。
745: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:03.88 yN1tFzPc
なのに、どうして彼女は、悲しそうな顔をするんだろう。
746: ◆aLICeotiAI
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こんなふうに見てくれていたなんて…うれしい。
747: ◆aLICeotiAI
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「もういいから、今日は休んでてよ」
748: ◆aLICeotiAI
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(きのう見た写真って、こんな雰囲気だっ たっけ?)
749: ◆aLICeotiAI
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「アリスちゃんとマリアちゃんもおんなじでしょう?」
750: ◆aLICeotiAI
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「ならいいけど…」
751: ◆aLICeotiAI
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「お待たせ。どうしたの?」
752: ◆aLICeotiAI
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「透矢さんは、また、悪い夢を見られたんですか?」
753: ◆aLICeotiAI
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「なるほど、ね」
754: ◆aLICeotiAI
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牧野さんに手を引かれ、我に返る。
755: ◆aLICeotiAI
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「おねえちゃんが意地悪すぎるから、あきれちゃったんですよね?」
756: ◆aLICeotiAI
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花梨はマヨイガでのことをあまり覚えていない。
757: ◆aLICeotiAI
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でも、僕は知っている。
758: ◆aLICeotiAI
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「違いますわ。これは、わたくしの夢」
759: ◆aLICeotiAI
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どうして、気づいてあげられなかったんだろう…。
760: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.10 yN1tFzPc
「わかっています。メイドさんは、ご主人様の気持ちも考えないといけないんですよね…」
761: ◆aLICeotiAI
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本当か?
762: ◆aLICeotiAI
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「そうそう、髪の長い子」
763: ◆aLICeotiAI
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「ねー、和泉ぃ、ここに置いてある短冊ってあんたのじゃない?」
764: ◆aLICeotiAI
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いい匂い…
765: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.16 yN1tFzPc
おわびをしながら、マリアちゃんの舌がアリスの口周りをペロペロと舐める。
766: ◆aLICeotiAI
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「うん…確かにそうかもね」
767: ◆aLICeotiAI
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「頑張って。いーち」
768: ◆aLICeotiAI
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花梨の様子を見に行かなきゃいけない。
769: ◆aLICeotiAI
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「う、うん…それじゃあ、ちょっと、公園に寄りたいなぁ」
770: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.22 yN1tFzPc
「どういう夢でしたの?」
771: ◆aLICeotiAI
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「くぅん…」
772: ◆aLICeotiAI
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「責任取る気がなかったら、あんなことしないよ。子供が出来る可能性だってあるわけだし」
773: ◆aLICeotiAI
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那波の父親が、じっと僕らのほうを見つめていた。
774: ◆aLICeotiAI
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「梓弓って?」
775: ◆aLICeotiAI
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二人とも、今とそれほど印象が変わらない。
776: ◆aLICeotiAI
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しかし、このまま、ただ寝転がって終わりにするわけにもいかない。
777: ◆aLICeotiAI
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僕は和泉ちゃんに告白されて、キスだってした。
778: ◆aLICeotiAI
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「透矢さんと一緒だから、いっそう素敵な場所になるんですよ。ひとりで来ても怖いだけだと思います」
779: ◆aLICeotiAI
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そこまで考えて、牧野さんのお父さんの姿が頭をよぎる。
780: ◆aLICeotiAI
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僕は、少しだけ彼女との距離をつめ、手を引いた。
781: ◆aLICeotiAI
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点字?
782: ◆aLICeotiAI
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夢が夢である理由、現実が現実である理由―
783: ◆aLICeotiAI
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彼女が話を終えた瞬間に、大きなため息を一つ。
784: ◆aLICeotiAI
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無表情だけど、雰囲気でわかる。
785: ◆aLICeotiAI
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「おまえ、こいつに甘過ぎ」
786: ◆aLICeotiAI
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環境は人を左右するだろう。
787: ◆aLICeotiAI
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「お疲れになられたでしょう?」
788: ◆aLICeotiAI
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「あ、あっちー!」
789: ◆aLICeotiAI
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「雪さ…ん?」
790: ◆aLICeotiAI
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そんな調子で、僕の番まで回ってきてしまった。
791: ◆aLICeotiAI
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中にいるのは、雪さんだろう。
792: ◆aLICeotiAI
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今度は、こういう素直さならいいな、なんて、節操のないことを考えてしまった。
793: ◆aLICeotiAI
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「無理しちゃ、駄目だよ」
794: ◆aLICeotiAI
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「んぅ…っ…うん…っ…わたし…も…」
795: ◆aLICeotiAI
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「おわかりいただけましたか?」
796: ◆aLICeotiAI
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「…アホくさ。もう、なんでもいいから行こうよ」
797: ◆aLICeotiAI
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「ほらーっ、おねえちゃんも急がないと。透矢さん、待ってますから」
798: ◆aLICeotiAI
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「声、出ちゃう…」
799: ◆aLICeotiAI
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妙に大人っぽい…そのアンバランスさが不思議な色気を醸し出していた。
800: ◆aLICeotiAI
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「お父様と呼ばないでくれ…あなたは」
801: ◆aLICeotiAI
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だったら、なんだ?
802: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.64 yN1tFzPc
「花梨ちゃんは女の子らしくして…それで透矢くんに…」
803: ◆aLICeotiAI
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人としての生活を捨てられなかった僕に彼女たちと共に歩む資格はなかった。
804: ◆aLICeotiAI
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「二人そろってタチの悪い。いいわよ、後でも先でも。どうせ、見せるつもりだったんだから」
805: ◆aLICeotiAI
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時が止まってしまったような感覚。
806: ◆aLICeotiAI
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ずっと前から考えていたことだけど…父との生活に、我慢ができなくなりました。
807: ◆aLICeotiAI
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「あんた、ちょっと前まで、めちゃくちゃ楽しそうだったような…」
808: ◆aLICeotiAI
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ただでさえ気乗りがしない日なのに、よけいに嫌な気持ちになる。
809: ◆aLICeotiAI
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「雪、透矢さんは、良いお友達に恵まれていると思います」
810: ◆aLICeotiAI
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目をつり上げて言う。
811: ◆aLICeotiAI
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「それを、おまえは涼しい顔でこなしてたんだぜ。ほら、やってみろよ」
812: ◆aLICeotiAI
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誰もいない。
813: ◆aLICeotiAI
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「家の間取りは、なんとなく覚えてた。でも、他はぜんぜんだね」
814: ◆aLICeotiAI
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僕は、異様な夢の恐怖から逃れるため、動き出していた。
815: ◆aLICeotiAI
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ゆさゆさと揺すられながら、和泉ちゃんが懇願する。
816: ◆aLICeotiAI
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庄一とのやりとりを見ていたせいか、まるで信用できないけど…とりあえず乗ってみることにする。
817: ◆aLICeotiAI
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「んっ…いつもと、一緒だね」
818: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.89 yN1tFzPc
弓矢ですらない…ただゴムを引くこともできなかった。
819: ◆aLICeotiAI
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「瀬能、とりあえず引いてみなさい」
820: ◆aLICeotiAI
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そんな調子だから庄一の軽口にも、普段のキレがない。
821: ◆aLICeotiAI
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「じゃあ、我慢できなくなったら言って。できるだけ気をつけるようにするから」
822: ◆aLICeotiAI
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「透矢くぅ…ん…お願いだから…」
823: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.97 yN1tFzPc
自分の中にある感覚を、うまく処理できていないのかもしれない。
824: ◆aLICeotiAI
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そう言って、マリアちゃんは、ぶるりと身を震わせた。
825: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:04.99 yN1tFzPc
「少しだけ、お待ちくださいね」
826: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.00 yN1tFzPc
進めば進むだけ、嫌な予感が増大していく。
827: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.00 yN1tFzPc
「あーあ、話そらしてるし」
828: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.02 yN1tFzPc
「じゃあ…あれかなぁ」
829: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.02 yN1tFzPc
複雑な気持ちで、僕はふたりの背中を見送った。
830: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.04 yN1tFzPc
じっと見上げる和泉ちゃん。
831: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.04 yN1tFzPc
「透矢くん、どうする?」
832: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.06 yN1tFzPc
ある意味、花梨より強い。
833: ◆aLICeotiAI
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(やっぱり…)
834: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.08 yN1tFzPc
とか言いながら、ちゃっかり荷台に飛び乗った。
835: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.09 yN1tFzPc
軽く腰を浮かせ、マットの反動を利用して体を揺らす。
836: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.10 yN1tFzPc
「こんなことしたいなんて、変なの」
837: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.10 yN1tFzPc
「痛いですけど…動いてくれないと、気持ち良くなれません」
838: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.11 yN1tFzPc
「みんな、見る目がないんだよ」
839: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.11 yN1tFzPc
「僕は、アリスも鈴蘭ちゃんも喜んでくれるのが、一番いいけどね」
840: ◆aLICeotiAI
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僕は彼女といた。
841: ◆aLICeotiAI
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「あ、透矢、来たんだ。ほら、練習始めるから帰った帰った」
842: ◆aLICeotiAI
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確かに、洞窟で恐ろしい目に遭う夢は何度か見ている。
843: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.16 yN1tFzPc
「そんなわけないじゃん。だいたい、苗字がそんな簡単に変えられますか」
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「大声で言わないの…もう少し品を持ちなさい、品を」
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「うん、ホントにそんな感じだった」
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09/06/13 00:31:05.31 yN1tFzPc
ただ、ひたすらに出口を求めて。
847: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.32 yN1tFzPc
「…そんなことないよ」
848: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.32 yN1tFzPc
「わかってる、ねぇ。まあ、俺も花梨を避けたくなる気持ちはわかるつもりだけどな」
849: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.34 yN1tFzPc
すべて夢だったのか?
850: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.35 yN1tFzPc
「透矢ちゃーん、たこ焼きー」
851: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.37 yN1tFzPc
「ご勝手にどうぞ。野郎の応援なんざ、最初から期待してないんだ」
852: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.38 yN1tFzPc
「那波…那波…!」
853: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.39 yN1tFzPc
現実には、ありえない。
854: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.40 yN1tFzPc
「そんな。和泉ちゃんは?」
855: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.40 yN1tFzPc
「何?」
856: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.41 yN1tFzPc
「和泉ちゃんに誘われて、一緒に勉強をさせてもらうことになったんだ」
857: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.42 yN1tFzPc
「うん…っ…ひっ…く」
858: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.44 yN1tFzPc
僕は、いつしか泣きだしたいような気持ちになっていた。
859: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.45 yN1tFzPc
お尻も…濡れるんだろうか…何度も行き来するうちに、だいぶ指の通りが良くなってきた。
860: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.46 yN1tFzPc
「言っちゃだめー! これとこれ、引くんでしょー?」
861: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.47 yN1tFzPc
「…馬鹿だなぁ」
862: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.47 yN1tFzPc
止まっていた時が、動き始めた。
863: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.49 yN1tFzPc
「雪、さん」
864: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.50 yN1tFzPc
「だって、なんか他に手があるわけ?」
865: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.51 yN1tFzPc
「透矢がノロノロしすぎなの! だから変に緊張して…」
866: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.51 yN1tFzPc
「別に悪くないよ。じゃ、また明日ねー。和泉も、ばいばい」
867: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.54 yN1tFzPc
「素直にタクシーでもなんでも、お願いすれば良かったよ」
868: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.55 yN1tFzPc
夢の終わりが、近いのか。
869: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.56 yN1tFzPc
「和泉、今日はやめとく?」
870: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.57 yN1tFzPc
「いやいや。って、あのさぁ…わざと話を逸らしてない?」
871: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.59 yN1tFzPc
「お姫様が目を覚ますために、王子様がすることって、ひとつしかないよ」
872: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.59 yN1tFzPc
僕のせい…そうなのか…そうなのかもしれない。
873: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.62 yN1tFzPc
「肉がついただけじゃない。しかも、マリアちゃんったら、私より身長低かったわよねー」
874: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.68 yN1tFzPc
「牧野さんの事にしてもそうなんだ」
875: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.72 yN1tFzPc
「…和泉って、前世は亀だよね」
876: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.74 yN1tFzPc
問題は、この寒気だ。
877: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.75 yN1tFzPc
僕は、なんとなく忍び足になりながら、部屋の前まで近づいた。
878: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.76 yN1tFzPc
マリアちゃんがゆっくり、腰を前後に動かし始めた。
879: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.76 yN1tFzPc
と、マリアちゃんの唇を見つめてしまった。
880: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.78 yN1tFzPc
彼女の胸に顔をうずめ、唇を貪り、何度も、彼女の中に精を吐き出した。
881: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.78 yN1tFzPc
人差し指と薬指が、ずぶずぶと埋没していく様子が、壁をへだて、こちらまでつたわってきた。
882: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.81 yN1tFzPc
「願います、願いますから…」
883: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.82 yN1tFzPc
「たまにはあの夢のように、二人でお出かけしてみませんか?」
884: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.82 yN1tFzPc
「ああ…そうか、そうだな」
885: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.84 yN1tFzPc
実際、けっこうな行程だった。
886: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.85 yN1tFzPc
「…でも、うれしいですね」
887: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.85 yN1tFzPc
「あやしいですね。ちょっと失礼します」
888: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.86 yN1tFzPc
「おい」
889: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.88 yN1tFzPc
だけど、さいわい、すぐに花梨はくたっとなってしまった。
890: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.90 yN1tFzPc
おでこをつけるだけだって、それくらいわかるけど―どうして、手でしてくれないんだ。
891: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.91 yN1tFzPc
「別にいいよ。マリアちゃんも、呼びやすいように呼んでくれていいからね」
892: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.92 yN1tFzPc
「マリアに言っても無駄か」
893: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.93 yN1tFzPc
「仕方なくなんか、ないです!」
894: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.93 yN1tFzPc
「それならもういいよ。でも、どうして公園なの?」
895: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.95 yN1tFzPc
夜―『案の定』の孤独。
896: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.95 yN1tFzPc
ふたりとも、特にマリアちゃんは、恐ろしく勘がいい。
897: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.97 yN1tFzPc
「あんなところにガラスがあるほうがおかしいんだよ。大丈夫?」
898: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.99 yN1tFzPc
加えて忘れかかっていた、という事実までが自分を責めるようになる。
899: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:05.99 yN1tFzPc
先生役に呼んだはずの彼女は、驚異的な集中力で参考書にかじりついてしまった。
900: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.00 yN1tFzPc
「あ、ああ。でも、怖いって…それも、今までずっと我慢してたわけ?」
901: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.03 yN1tFzPc
『今日は家を空ける用事がある…良かったら、面倒を看てやってくれないか?』
902: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.07 yN1tFzPc
「…っはぁ、っはぁ」
903: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.11 yN1tFzPc
「もー、わがままだなー」
904: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.12 yN1tFzPc
「はは…花梨には、僕がつき合うから、ふたりで行っておいでよ」
905: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.15 yN1tFzPc
「そろそろ、行くよ」
906: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.15 yN1tFzPc
僕は、舐めても舐めてもあふれてくる愛液を、それでも、飽きることなく舐め続けた。
907: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.16 yN1tFzPc
「はぁ?」
908: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.17 yN1tFzPc
後頭部を、したたかに打ちつけた。
909: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.18 yN1tFzPc
「…う、うん」
910: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.20 yN1tFzPc
「雪さん、相談してくれなきゃ」
911: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.20 yN1tFzPc
なんとなくわかった。
912: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.22 yN1tFzPc
「明日も約束をしていたな。断るなら、適当な言い訳をしておくぞ」
913: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.23 yN1tFzPc
なんだかぼんやりしてしまって…
914: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.24 yN1tFzPc
「私より、和泉が」
915: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.26 yN1tFzPc
僕も、つられて笑う。
916: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.27 yN1tFzPc
「そうだよ。それって…」
917: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.27 yN1tFzPc
「大丈夫。あのさ、花梨」
918: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.29 yN1tFzPc
“くいくい”
919: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.29 yN1tFzPc
「っ…ごめん」
920: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.30 yN1tFzPc
「んっ、んっ? 雪のことジロジロ見て、どうしたの」
921: ◆aLICeotiAI
09/06/13 00:31:06.32 yN1tFzPc
「いつもそんな感じなの?」