09/02/09 19:06:53.65 xLz5235f BE:497243636-PLT(12399) ポイント特典
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松田優作さんと下関の「ちゃんぽん」
山口県・下関漁港の近くに、一際古ぼけた木造の定食屋がある。1947年創業の「大阪屋」。
昨年二十回忌を迎えた下関市出身の俳優・松田優作さんが、帰省のたびに立ち寄っていた店だ。
小さなテーブルが四つ。10人も入ればいっぱいになる店内は少し薄暗かった。
「優作は、狭くて暗い場所を好んだ」という知人の話を思い出した。
「長身を折り曲げるようにしてのれんをくぐり、『ただいま帰りました』って厨房(ちゅうぼう)を
のぞきに来たものです」。店主・中西茂さん(78)は回想する。
中西さんは俳優について一度尋ねたことがある。
「吉永小百合さんとの共演はどうでした?」。優作さんは「きれいな人ですねえ」とうなってみせた。
中西さんの妻が「今度、渡哲也を連れてきて」とせがむと、ふふっと笑みをこぼしたという。
この店で優作さんは、決まってちゃんぽんを注文した。漁業で栄えた港町らしく、
さっぱりとしたかつおダシのスープが特徴。中西さんは「優作さんが中学時代、
同級生と連れだって来ていた頃からずっと同じ味です」と強調した。
優作さんが10代で下関を飛び出したのは、「韓国人の非嫡出子という出自に悩んでいたから」
と旧友たちは口をそろえた。しかし、故郷への愛着を示す逸話に触れて、少し胸が軽くなった。
遠洋漁業の漁師たちが大金を手に通りを闊歩(かっぽ)した当時の活気はない。
町を歩いても、優作さんの青春時代をイメージできるような風景は少ない。
だが、初めてなのに、懐かしい味と香りがするちゃんぽんをすすり、
ようやく昭和の名優を近くに感じることができた。(豊浦潤一)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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