09/01/03 13:32:06.97 DrRqqgfD BE:494280544-PLT(12349) ポイント特典
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「5カ月だって」。産婦人科病院の診察室を出た彼女が満面の笑みで近づいてきた。「そうか」。平静を装ったつもりだったが、たばこを持つ手が震えていた。2人はまだ二十歳だった。
久慈市夏井町のホテル従業員、下野智さん(37)と妻ユカリさん(37)は高校の同級生。2年生で付き合い始め、卒業後は就職して八幡平市と盛岡市の遠距離恋愛に。
「週末を一緒に過ごした後、駅で別れるのが寂しくて、今でも別れの舞台として駅が一番苦手」と2人は声をそろえる。新しい命が授かった時は、まだ結婚していなかった。
厚生労働省の調査では、07年の県内の平均初婚年齢は夫29・7歳、妻27・6歳。2人が結婚する前年の90年でさえ、夫28・2歳、妻25・7歳だった。
「子供が子供を育てられるのか」。周囲の視線は厳しかった。保育園や幼稚園の保護者はみんな5~10歳年上だ。少しでも老けて見られたくて、
智さんは近所の男性が着るようなスエットを好んで着た。生活も楽ではない。智さんの両親と同居して、畑で取れる野菜を食べた。ユカリさんは
化粧品を買わず、配布されるサンプルを大事に使った。
17歳になった長男優貴さんをみて、「今思えばあの時、子供が子供を育てると言われたのも理解できる」とユカリさん。だからこそ次男翔吾さん(15)、
三男秀智さん(12)、長女リカさん(11)の4人の子供とは友達感覚でいられるのだと思う。中学校でトラブルを起こしても頭ごなしに怒鳴らなかった父親を、
翔吾さんは「自分にも覚えがあるから分かると言われてうれしかった。何でこんなばかなことをしたのかと反省した」と振り返る。
ユカリさんは結婚以来、必ず両親を含めて家族8人の誕生日とクリスマスを手料理で祝う。ユカリさんが中学時代から続けてきた剣道は、智さんが30歳で始め一家の趣味になった。
「家族は宝物。生きていくうえでの励み」と智さん。だから優貴さんが進学のため家を出た時は心に穴が開いたような気分だった。最近、翔吾さんも県外への進学を決めた。
「一緒にいられる時間はだんだん減っていく。でもお祝いが続くといい」
夫婦は今も駅での別れが苦手。智さんが、週末に帰省した優貴さんを送るのは専ら車だ。【念佛明奈】=つづく
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