09/08/17 12:27:52 +sqH6TeH
>>313
今の人たちはあまり知らないと思うけれど、土方ってのは決して差別用語
なんかじゃないんですよ。土方って穴掘り人足の事じゃないんです。
相当に技術、それも経験でしか蓄積出来ない技術が必要なんですよ。
ケンチン積みとかハツリとか。家基礎だって今ではコンクリでやりますから
カネが見れて、寸法が読めればできちゃいますけど、昔の家は石の置き基礎
なんで、土の沈みから知らないとできない。地震国の知恵なんですけどね。
ケンチン積みはあたしなんかが実際に見た最後の世代かも知れないけれど、
きちんとした職人の積んだケンチン石垣は、そりゃ見事なもんです。3m、4m
なんて高さの石垣が裏土も入れないでしっかり立ってますし、垂直方向に
湾曲させ、その曲率が石垣の始めと終わりで寸分違わないとかね。
使うのは自然石ですからね。それの組み合わせを見極めて積む。石刀と言う
樽型の中ハンマーで面を叩いて合わせ込んで行きます。
ハツリは今でもRCの建物ではやりますが、エアブレーカーとか振動ドリルとか
で機械化されてます。でも、職人さんがハツリノミ(材料は鉄筋が多い)から
作って手でハツった穴は25mmの電線管一本通る穴、って指定すると、どれだけ
長いハツリ溝でも、繋いだ電線管がまっすぐにぴたりと収まりますからね。
ハツリでもノミを打つのに石刀を使いますが、これ、3Kgちょいのハンマー
なんですが、柄はウバメ樫の直径が1Cmくらいしかないものが付けてある。
当然ですが凄く撓って、普通の金槌の感覚では打てない。ところが、慣れたら
ハンマー打つのにまったく力が要らないんですよ。
ノミもコークス熾して、ふいごを使って鉄筋を焼いて、鎚で打って先を作る。
それを廃油で焼き入れして使うんです。水だと堅くなり過ぎて折れる。
土方の本来の仕事ってのは、こういうノウハウの固まりなんですよ。穴掘りも
上ではバカにしたように書いてありますが、本職は1m角の深さ1mって言うと
ミリ単位で合わせてきますよ。これが出来ないと、排水溝なんか掘ったら逆流
しますからね。どっかの鼠ハウスみたいに。w