08/09/20 11:17:12 iqDDGpqS
我が輩は子犬である。名前はまだ無い。
・・・いや、我が輩の世話をかいがいしくしてくれる黒髪の少女が、
我が輩を「シンシン」と呼ぶので、それがわが輩の名前なのかも知
れないが、まだそれは分からない。
我が輩は物心ついて間もない若輩者ゆえ、よく病に罹るが、その
たびに黒髪の少女は付きっきりで看病してくれるのである。
先日なぞ、わが輩を医者に診せるために、金髪の娘が住む遠方
の家まで抱きかかえて連れて行ってくれたものである。
おそらく黒髪の少女は我が輩のことを好いておるのやも知れぬが、
我が輩は幼き者ゆえ、気恥ずかしげに「クーン」と鳴くことしか出来
ぬのが残念である。
時折、隣家の男の子がよだれを垂らしながら我が輩を見ていると
きには、えも言えぬ恐怖に襲われることもあるが、おおむね黒髪の
少女と共にある今の生活に満足である。
我が輩は子犬である。名前はまだ無い。
わが輩の夢は、大きくなって黒髪の少女と共に、大草原を力一杯
駆けめぐることである。