15/06/19 23:57:37.73 Ocx6iokj.net
●7割以上に変調
SSRIは1970年代から欧米で開発され、日本では99年に発売された。SSRIは副作用が比較的少なく、
効果も高いとして広まった。しかし、その後、攻撃性や自殺衝動が高まるなどの副作用が報告されるようになった。
抗うつ薬に詳しい田島治・杏林大名誉教授は、SSRIを初めて服用するうつ病患者55人(18〜70歳)を対象
に、飲み始めから3カ月間の変化を調査した。その結果、3割の17人が不安感、不眠、自傷、よく動き回るといっ
た「賦活(ふかつ)症状」と診断された。賦活症状の疑いを含めると7割以上の41人に何らかの副作用があったという。
田島名誉教授はSSRIについて「不安がなくなる、くよくよしなくなるなど、患者によっては非常に効果が高い」
とした上で「医師が賦活症状を副作用と理解せず、別の薬を増やしてしまう例が多い」と話す。
厚生労働省の調査によると、全国の双極性障害の患者数は96年に5万2000人だったが増加を続け、2011年
には12万人に達している。田島名誉教授は「双極性障害は遺伝的な素因があると考えられ、急増は考えにくい。
SSRIの副作用を双極性障害と診断する例が増えていることも要因の一つではないか」と指摘する。
●「安易に飲むな」
SSRIの副作用が多剤併用につながる危険性について、独協医科大越谷病院こころの診療科の井原裕教授は
「うつ病から双極性障害に診断変更される人が08〜09年ごろから増えた。落ち込んでいる気分をSSRIで
持ち上げ、その軽い躁状態を抗精神病薬で治そうとする。薬の作用で気分の上下動を増幅させている」と分析する。
井原教授は、睡眠リズムや生活習慣の改善指導によって徐々に薬を減らし、最終的に薬をゼロにする治療を提唱する。
日本うつ病学会は、12年7月に発表した治療ガイドラインで、軽症のうつ病について「薬物の有用性そのものは
否定できないが、少なくとも安易な薬物治療は避けるという姿勢が優先されるべきであろう」と注意を促した。多剤併用
についても「原則としては単剤で十分な用量を十分な期間使用すべきである」としている。【和田明美】