【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】at UNIX【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト154:125-129 NG NG.net >>150 「…IDを、見せてくれますか?」 検査官の冷静な声に、おびえきった子どもは、おずおずとIDを差し出した。 「バカ、差し出したら…それこそ…。」 検査官は、しばしそのIDを見詰めていた。すると何を思ったのか、 彼のIDをポケットにしまうと、代わりのIDを彼の手に握らせた。 「これを持って、今来た道を戻りなさい。」 「…許してくれるの?」 検査官は、穏やかな笑みを浮かべる。 「ええ。あなたは例外です。今すぐあなたの御主人の元に帰り、こう言うのです。 『80番は空いていました。』と。」 「…それだけ?」 「ええ。それだけで、あなたの送り主は理解されるはずです。それに…。」 検査官は、足元の残骸を見渡しながら呟いた。 「時として…返事の無いことが、返事になる時もあります。」 検査官の言葉が理解できなかったのか、子どもは、まだその場を 立ち去りかねていた。 検査官は俺にした時と同じように、彼の背中を軽く叩いた。 「さあ、行きなさい。あなたの身元は控えておきます。今度来る時は、 もっと人に喜ばれる言葉や、写真などを運んできてくださいね。」 子どもは、コクリとうなずくと。くるりと今来た道を走り出した。 検査官はしばらく、その後ろ姿を見送っていたが、再び身をかがめ、 残骸の中からIDを拾いはじめた。 まるで無縁仏の遺骨を拾い上げるように。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch