NG NG.net
>>138
それから何年もたったある日、小十郎は白沢の岸を登っていた。
白沢から峰をひとつ越えたとこに、一匹の大きなやつがすんでいたのを、
夏のうちにたずねておいたのだ。小十郎がその頂上で休んでいた時だ。
いきなり犬uxが火のついたように吠えだした。小十郎がびっくりして
後ろを見たら、あの夏に目をつけておいた大きな熊が、両足で立って
こっちへかかってきたのだ。
小十郎は落ち着いてふんばって鉄砲を構えた。ぴしゃというように
鉄砲の音が小十郎に聞こえた。ところが熊は少しも倒れないで、
あらしのように黒く揺らいでやってきたようだった。犬uxがその足元にかみついた。
と思うと小十郎は、があんと頭が鳴って画面が一面真っ青になった。
それから遠くでこう言うことばを聞いた。
「おお小十郎、おまえを殺すつもりはなかった」
もうおれはシャットダウンした、と小十郎は思った。
そして、ちらちらちらちら青い星のような光が、そこら一面に見えた。
「これがクラックされたしるしだ。クラックされる時見るエラーだ。熊ども、許せよ」と
小十郎は思った。それからあとの小十郎の心持ちは、もう私には分からない。