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【劇場版予告】千と千尋の神隠し
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危機や不満を持った少年少女が、異世界へと誘われる。
物語の定型だけど、その系譜では、どういうのが好みか。
となると、超有名だが、千と千尋の神隠し、特にその冒頭部分は、凄くストライク。
後半は力業っぽい強引さや、スケールに上映時間の長さが合わない感じもするけど、序盤だけでお釣りがくるくらい。
馴染みのクラスから離れ、転校し、新しい土地へと家族で出かける場面で始まる。
ブレイブストーリーのような暴力、離婚といった、分かりやすい欠落や危機感は演出されない。
が、巧みに自然にそれらは配置されている。
別れの華やかな花束を持て余し、退屈そうに新天地へと向かう千尋。その欠落感とアイデンティティーの所在なさ。
見知らぬテーマパーク跡地に向かう。
大きな仲たがいをする親子ではない何気ない場面。
しかし、二人で勝手に進み食べ物を手に取っていく両親。帰りたがる千尋。
社会や家族の関係の何気ない危機や、不満感を燻ぶらせる。
そこに異世界突入に際し、大きな危機が加わる。
両親は姿を豚に変える。容姿や理性を失う。
のに対し、千尋は自分の名前を失う。
生まれた時からの自分への呼び名の改ざん、アイデンティティークライシスはマックスになるが、そこでも名前を文字にしてシンボルにして視覚化して、そのその消失を強調するのを忘れない。
ここからのおにぎりを食べてほっとするまでの一連の流れは、出色。
大きな危機だけではなく、こうした細かい共感可能な悩みや問題を、自然と流れの中に置く。
巧み。