19/11/09 09:26:17.21 IntOXLqo.net
アンネローゼもかなりスパルタだったらしいからな
「ラインハルト、ごはんよ」
粗末だが清潔な衣服をまとった黄金の髪の少女の呼び声に少年ラインハルトは喜び勇んで
食堂に飛び込み--それを見た。
「これなぁに?」
無邪気な問いに姉の優しい笑みが応じる。
「いいから、気にしないでおあがりなさい」
「これ、食べ物なの?」
「そうよ、おさしみと言うの」
違う。これは--どこか違う。ラインハルトは子供心にそう思ったものだ。
「食べたくない」
「まぁ、そんな我が儘を言うものではなくってよ」
ラインハルトの天性の勘は忍び足で近づいてくる危険を察知していたが、このおさしみという
名の凶悪なシロモノが放つ戦慄の波動は、それを圧して余りあった。
「でも、なんだか気味が悪いんだもの」
言い終える前に、彼は既に後悔していた。
そのときの姉の悲しげな表情と、半俊の後、絶妙の手さばきで両頬に往復二回ずつくらった
ビニールのスリッパの痛みはしっかりと魂に刻印されている。