22/03/21 16:47:19.65 NV8p70MA.net
「右は高等動物の上に就て信は先ず知から起るという一つの証拠である。まず以て知るという第一の現象がなければ決して信ずるという第二の現象は起らぬという道理を説いたのである。然るに独りわれわれ人間に至っては必ずしも右の如き自然法のみでなくして、先ず知るという現象を待たずして先ず信ずるという超自然的現象が往々起り得るものであるなどと考えるのは甚だわからぬことではないか。これがすなわち妄りに人間と他動物との間に別を立て独り人間を特殊のもの即ち神秘的のものとして人間の上には自然法の外になお超自然法が働くものであるとする所のいわゆる二元主義になるのである。しかるに人間と他動物との間に絶対の相違を認めずしてただ程度の相違のみを認めるところの進化主義に於ては、どうしても信すなわち正信というものは必ずまず知というものから始めて生ずるという道理を取らぬければ(注:取らなければ、の意。以下同)ならぬ。知を俟たずして起る所の信なるものは決して正信でない。必ず迷信であるという道理を知らぬければならぬ……」