21/11/17 01:53:11.90 Qy1gFzg3.net
>>731
まづ、占領統治の要諦となつたポツダム緊急敕令(昭和二十年緊急敕令第五百四十二號)に關して、占領憲法によつて設置された最高裁判所は、占領下で占領憲法施行後の昭和二十三年六月二十三日に、裁判官全員一致で次のとほりの大法廷判決をなした。
「昭和二十年敕令第五四二號『ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件』は、舊憲法第八條に基いて發せられた所謂緊急敕令であって、この敕令は、周知のごとく、我が國がポツダム宣言を受諾して、同宣言の定むる諸條項を誠實に履行すべき義務を負い、
且つ降伏文書に調印して、同文書の定むる降伏條項を實施するため適當と認むる措置をとる連合國最高司令官の發する命令を履行するに必要な緊急處置として制定されたものである。
降伏條項の實施は廣汎の範圍に亘っている。
その實施に關する連合國最高司令官の要求はその時期と内容を豫測することができない。
しかも、その要求があれば迅速且つ誠實にこれを履行することを要する。
そのためには急速に所要の法規を設けることが要請され、到底いちいち議會の協贊を經る手續をとることは不可能である。
ここにおいて、政府はこの緊急の必要に應ずるため、緊急敕令を制定し、これに基く敕令、政令、閣令、省令によって、從前の法律、命令の改廢、新法令の制定を行うこととしたのである。
緊急敕令が命令に委任した立法の範圍は廣汎である。
しかしながら、降伏條項の誠實な實施はポツダム宣言の受諾及び降伏文書の調印に伴う必然の義務であり、その實施が廣汎で且つ迅速を要することを考慮するときは、緊急敕令が立法委任の範圍を
『ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ連合國最高司令官ノ爲ス要求ニ係ル事項ヲ實施スル爲必要アル場合』
と定めたことは、まことに已むことを得ないところであって、これを目して舊憲法第八條所定の要件を逸脱したものと言うことはできない。」