18/09/22 17:46:57.91 tLZlhfpL.net
日本の左翼主義は、その後、急速に力を失ってゆくが、
私には、それは、多くの人が感じていた戦後日本のもつ根本的な欺瞞を直視して、
それを論議の俎上にあげることができなかったからではないか、と思う。
沖縄返還問題にせよベトナム戦争問題にせよ、その根本にあるものは、
米軍(日米安保体制)によって日本の平和も高度成長も可能になっている、という事実であった。
そのおかげで、日本は「冷戦」という冷たい現実から目を背けることができた…
この欺瞞が、利己心や金銭的貪欲さ、責任感の喪失、道義心の欠如、
といった戦後日本人の精神的な退嬰をもたらしている、というのが三島の主張であった。
三島は、あるところでこんなことを述べている。全共闘の諸君の言っていることは実に簡単なことだ。
それは、国から金をもらっている大学教授が、
得々として国の批判ばかりしているのはおかしいということだ、と。
もちろん、三島は、国立大学の教授は国家批判をしてはならない、などといったわけではない。
精神の道義を問うたのであり、この道義を戦後日本は失ったのではないか、と問うたのだ。