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自民党の日本国憲法改正草案(以下、単に「自民党案」という。)によれば、第9条第5項において、
「国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、
法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く」のだという。
ここでいう審判所とは、いわゆる軍法会議のことである(自民党案Q&A12頁)。すなわち、戦前に存在した軍法会議の復活を企図したものである。
そして、自民党案Q&Aによれば、「裁判官や検察、弁護側も、主に軍人の中から選ばれることが想定され(12頁)」るといい、
また、同Q&Aの説明によると、軍事審判所を置く理由として、「軍事機密を保護する必要があり、また、迅速な実施が望まれる(同頁)」からだというのである。
要するに、軍人が軍人を裁くのが軍事裁判所ということになるが、かかる組織を置くことが、果たして妥当なことであろうか。
そもそも、例えば、①軍人が職務中に正当な軍事行動によるのでなしに、他人を殺害した、②軍人が職務中に性犯罪を犯した、
③軍人が戦車を走行中に誤って他人を轢き殺した、ような場合に、裁判官として職業裁判官よりも軍人のほうがふさわしい理由が果たして存在するのであろうか。
そして、軍事機密を保護する必要があるとはいうものの、一般的に裁判官は守秘義務を負っているのであるから、機密の保護としてはそれで十分であり、
あえて軍人に裁判をさせなければいけない理由とはならないというべきであろう。せいぜい、上記の裁判をいわゆる裁判員裁判から外す程度の立法措置で十分であるというべきである。
また、そもそも、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない(同項後段)」のであるから、
上訴がなされた時点で、Q&Aの前提とするところの「機密の保護」は失われるはずなのであり、そもそも理屈として破綻しているのである。