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明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか 板垣恭介著 大月書店 1200円 206頁
この本を読んでみてまず思ったことは、「皇室に関する本としては一級のものであろう」という感想であった。
1961年から1993年まで、宮内庁記者として皇室の人々に、身近に接してきた記者だからこそ書ける内容である。
そこには、昭和天皇に対する厳しい批判が色々な資料を駆使して述べられているが
(その論点も説得力に富み素晴らしい)、一方、特に美智子さん、明仁さんに対する敬愛の念が通底している。
そして、最も大事な視点として、著者が最後の頁に書いているのが以下の文章である。
― しかし、皇族を特殊あつかいにして、政治の仕掛けの中に取り込み、
それを国家のまとまりに利用することは、とても非人間的なことだ。
この本で、昭和天皇を批判する文章を書いた。しかし、天皇に生まれてしまったのは、彼の罪ではない。
昭和天皇をもう作ってはいけない。かれもまた被害者である。
なによりもの加害者は、人間をカミに仕立て、
ナニモカモこの人に押しつけてしまい、そのことを忘却している日本人である。
昔には戻れない。けれども同じ事を繰り返すのはやめられる。
その決意をこめて「明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか・・・・・」である。
この視点は、現在の我々の社会状況にも当てはまる。小泉氏を熱狂的に迎え入れたマスコミと大衆。
しかし、その市場原理主義による歪みが、格差社会として日本全体を覆おうとしている今、
その困難から抜け出すには、国民無視の政治を変えるしかないし、
それを行えるのは、われわれ国民の意思しかないのである。
そのことに、思い至らない国民の多いこと、
それはかって天皇の名による戦争を熱狂のうちに始めてしまったマスコミと国民の責任に良く似ている。
何の疑問も差し挟むことなく天皇制を許しつづけている社会は、
過去の物言われぬ社会の再びの到来を防ぎ得ないのではなかろうか。