24/04/14 03:17:30.10 e+TL75EI.net
二重支保工
このように高規格な支保部材を使用していても、脆弱な地層ではロックボルトがねじ切れて破断し、トンネル内に弾け飛んだ。脆弱な地層に加え、土被りの増加に伴い、大きくなる土圧に抵抗するため、吹付けコンクリートの厚さを25㎝から35㎝、さらには、45㎝まで厚くしていった。しかし、土被りが400mを超える断層帯で、トンネルの変形が急激に大きくなり、ロックボルトが破断し、吹付けコンクリートにはひび割れが発生した。
安全性や施工性を考慮して、吹付けコンクリートの厚さは45㎝が限界と判断し、二重支保工に移行した。二重支保工は、この土被りの大きい区間に備え、施工検討委員会で1年間をかけて検討を重ねてきた工法であった。
「トンネルの外周に吹付けるコンクリートの厚さは、一般的には悪い地山でも15㎝くらいです。しかし、池島トンネルは通常の4倍の厚さ60㎝が必要でした」
(湯本)
二重支保工とは文字通り支保工を二重に施工する工法である。まず設計上の断面より大きく掘削して外側の支保工を設置し、その後、断面の変形を注視しつつ、内側にもう一つの支保工を施工することで、必要な吹付けコンクリートの厚さを二層に分けて施工する。二重支保工は、日本国内のトンネルでも10例前後の施工例を数えるほどの極めて特殊なものである。トンネル工事の経験が豊富な安藤ハザマとしても、二重支保工の本格的な施工は初めてであった。
「問題は、二重支保工の施工方法、二重目の支保工を施工するタイミングでした。大きな土圧がかかる切羽の近くで、二重にすると、支保工に大きな土圧がかかってしまいます。土圧の増分が小さくなってくる切羽から離れた位置で二重にすると、支保工の負担は軽くなりますが、トンネルの変形が大きく出てしまいます。そこで、ここまで掘削してきた実績を振り返り、このトンネルの変形の仕方や土圧のかかり方などを分析しました。このトンネルの特徴や施工性、安全性などをよく考えたうえで、切羽から少し離れた位置で二重にするという方法をとりました。これが非常にうまくいきました」
(湯本)
静岡工区も二重どころか三重支保工を検討すべきです。