24/10/29 00:12:07.07 f4r89qYd0.net
>>105
続き
甲高い音を立てて道路に転がり、側溝に吸い込まれて行ったのが10円玉と気づくのにそう時間はかかりませんでした
「どうしよ、10円、3日以内に使わないといけないのに」
子供の力では開けられそうにない側溝の蓋に、Cの顔は真っ白になっていました。「どうしたの」と前を歩いていたAも戻り、
「これも使ったうちに入るよ」
と私たちはCを慰めました。Cは最後まで浮かない顔をしていたものの、私たちはどうにか家へと帰りました。
家に着いてもしばらくの間、私は怯えていました。今日10円玉を動かす係は私だったので、Cが親に告げ口するのでは無いか、怒られるのではないかと。
あの瞬間、10円玉が勝手に動きだしたことは恐らく全員が理解していたと思います。しかしそれを説明出来る確固たる証拠はなく、私はあの不吉な言葉が自分のせいにされ、叱られるのを何よりも恐れていました。
今にして思えば何故超常現象より大人からの叱咤を怖がるのかと不思議ですが、とにかく当時の私にとって他所の親に叱られることが一番怖かったのです。
それから私たちは誰に叱られることもなく、何事もない日々を送りました。しかし、この一件以来、私たちはこっくりさんをやりませんでした。顔を合わせることすら気まずく、遊ぶことも次第になくなっていきました。
進級の際に全員別のクラスに別れた事でそれぞれが新しいグループに入り、卒業するまで私たち4人が再び揃うこともありませんでした。