24/10/29 00:10:07.65 f4r89qYd0.net
>>103
続き
「え?」
不意に、Bの驚く声が聞こえました。
見れば私たちが力の限り押さえつけていた10円玉が、ゆっくりと動き出していたのです。
さらに奇妙なことに、本来動かしている時は紙の摩擦や下の畳のせいで10円玉がスムーズに動くことは無いのですが、この時はまるで氷の上でも滑るように動いていたのです。
私たちの指を乗せた10円玉は、文字の上へ次々に移動していきました。
『じ』
『こ』
『に』
『あ』
『う』
事故に遭う…その時初めて、歯の根が合わないという感覚を経験しました。全身に鳥肌がたち、背中を冷や汗が流れていくのが分かるほどでした。
そのうちにCの指先が尋常でないほどに震え始め、とうとう10円玉から人差し指が離れました。