22/04/17 22:35:15.49 US3BS/P10.net
翌朝。ハッと目が覚めると、Yさんは布団の中にいた。部屋を見回したがFさんはいない。
(怖い怖い怖い、えっ夢? なに、どういうこと?)
Yさんは昨夜の記憶を夢だと思いたかったが、起き上がるとお尻が痛かった。しりもちをついたためだろう。
(いや、あれは絶対夢じゃないって……)
そう思いながら1階に降りると、なんだか慌ただしい。
食卓にお父さんとFさんがいて、せっせと何かの準備をしている。お父さんはすでに外に出かけるような格好に着替えていた。
「どうしたの?」
思わず声をかけると、Fさんの口から思いがけない言葉が飛び出てきた。
「あー先輩、すみませんね。入院してたお母さんが、ちょっと危篤状態になったから今から病院に行かなきゃいけなくなったんですよ」
Fさんは真顔だ。ふざけている感じではない。
(へ?)
きょとんとしているYさんに構わず、Fさんは荷物を準備しながら、
「すみませんねほんと、せっかく来てもらったのに」
と言葉を続けていく。