18/08/08 11:00:29.62 zUvvPpb600808.net
返事がきたのは十日後だった。遺体は淳子さんと確認された。
すぐに現地に飛んだ。動揺が激しい妻は連れて行かなかった。
正さんは、病院の遺体安置所で遺体を確認した後、現地の警察に向かった。
三時間近く待たされ、事情聴取を受けた。
「所持品は何があったのか」「娘さんは他人に気軽に付いていく人なのか」。
日本大使館職員の通訳を介したやり取りは約三時間かかった。
正さんも聞きたいことがたくさんあった。
「娘の遺体はどんな状態だったのか」「事件なのか、事故なのか」…。
日本の新聞には「全裸の他殺体」「女性の一人旅また悲劇」と
書かれていた。
通訳を通しての会話がうまくいかなかったのか、
結局、満足な答えは何一つ得られなかった。
翌日、遺体発見現場に向かった。
普段は列車も通らない引き込み線沿いの草っぱらだった。
同行した警察官は「遺体のそばにリュックの中身が散乱していた」と言った。
周辺を歩いていると、見覚えのある花柄のハンカチが落ちていた。
淳子さんのものだった。
ずさんな捜査しか行われなかったことが手に取るように分かった。