暇つぶし2chat OCCULT
- 暇つぶし2ch26:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 19:40:47.25 rKZkpF2O0.net
「…そうだ!うつ伏せになって手ぇ伸ばしたら届くんじゃない?」
俺の案をKはすぐに試そうとしたが、岩場は潮溜まりの水面に向かって落ち込むように下り坂になっており、腹這いになって手を離したら頭から水に突っ込んでいってしまいそうだった。
「お前、ちょっと俺の足押さえてろ」
そう言われ、俺はアシカみたいな体勢になっているKの足をまたいで足首あたりに腰を下ろし、ヒザの裏あたりをしっかりと押さえた。
ズリ落ちないのを確かめると、Kは再びタモ網を水に入れた。
肩近くまで水に浸けながらKが腕を伸ばすと、タモ網の先端は今度は手を軽々と越えて向こう側の砂地を突いた。
意を得たKはそのまま手前に引き寄せながら手を網の中に入れようとするが、向きが悪くてなかなか入らない。
しかも岩に押し当てられているヒザが痛かったらしく、いてーやべーもうムリだーと喚きながら飛び起き、デコボコに岩の痕が付いたヒザを押さえて悶絶し始めた。
「近いとこまで転がったから、あとお前やれ!」
げぇー、と露骨に嫌な顔をする俺に、Kは容赦なくタモ網を投げてよこした。
仕方なくタモ網を水の中に入れると、Kの言った通り、手はしゃがんだ体勢の俺でも十分に網が届く位置まで転がってきていた。
網の中に入れ易いようにつついて向きを変えていくと、気になっていた断面がこちらを向いた。
網を止めて目を凝らすと、幸いそれは肉の赤と骨の白ではなかったが、マネキンの断面とも違っていた。
断面は手や腕の部分と同じ色をしていたが、マネキンのような真っ平らではなく、イボのような丸っこい形状のもので一面びっしりと覆われていた。
あまりの気持ち悪さに怖気づいて一向に網を動かせない俺の背中に、「何ビビってんだよ、早く上げろよー」とKの不機嫌そうな声がぶつけられる。
そりゃこんなキモイの見たらビビるだろ、と思いながらも、口で説明するより見せた方が早いと判断して作業を再開する。
輪っかになっている網の縁で指の先を引っ掛けて持ち上げ、水中に全体が浮いたところで網の中にすくい取る。
そのままの勢いで水から引き揚げたが、水面を出た瞬間の予想外の重さに耐えかねて、半ば取り落とすような感じで自分の左側の岩場に網を下ろした。

27:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 19:43:54.04 rKZkpF2O0.net
「おー、獲れた獲れたー!」
テンションの上がったKが真っ先に網先へと駆け寄った。
続いて俺も網先に近付き、網の中に入ったままの手を見た。
置いた拍子に網の輪っかから半分飛び出した断面を見て、Kは顔をしかめた。
「うわ、気持ちわりぃなー…なんだこれ」
親指以外の指はクシャっとなった網に隠れてよく見えなかったが、だからといってとても触る気にはなれず、俺達はしゃがみこんだ状態で様々な角度から覗きこみながら観察を開始した。
見た感じは若い男の右手で、マネキンのような無機質さは全くないが、妙に青白い肌をしていた。
親指には関節のシワも爪もあり、腕には全体的にうっすらと毛が生えていた。
イボのようなもので覆われている断面部分には毛がないようだったが、他はまさ


28:に人間の皮膚そのものだ。 見れば見るほど気味が悪く、俺は立ち上がって二三歩あとずさった。 「これ、なんかヤバイ気がする。大人に見せた方がいいんじゃないかな」 難しい顔で謎の手を見つめながら、Kも立ち上がった。 「そうだな、じゃあじいちゃん呼んでくる。海のこと詳しいし。お前、ここで見張ってろ」 「ちょっ、やだよ!」 地元民で元漁師のじいちゃんを選んだ事には何の文句もなかったが、こんな所にこんなモノと取り残されるのは御免だった。 「でも潮が満ちてきてるし、これが波にさらわれちゃったら意味ないだろ。それにお前、足遅いじゃん。俺が行くからお前残って見張れって」 「やだよ、やだってば!じゃあ持っていこうよ、これ網ごと持って二人でじいちゃんのとこに持っていこうよ!」 俺の言葉にKはタモ網の中の手と半泣きの俺の顔を交互に眺めると、怒ったような顔をしてしゃがみこんだ。 「ああもう、分かったよ!じゃあせめてお前も一緒に持てよな」 「やだよ、Kが持ってよ!」



29:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 19:49:45.93 rKZkpF2O0.net
丸投げしたい俺と丸投げされたくないKとでケンカになりかけた時、立ち上がろうと一歩踏み出したKの足が偶然タモ網の柄を蹴ってしまった。
二人とも一瞬ハッとしたが、幸いにもタモ網は水に落ちるほどには動かなかった。
一応の確認のつもりで二人そろって手の方に視線を向けた、その時。
ガランガランと網の縁を岩にぶつけながら、手が、暴れ出した。
それは手首を支点に、おいでおいでをするような動きで激しくのたうちまわっていた。
あまりの事に茫然とそれを見つめていた俺は、Kが腰を抜かして尻餅をついた事で我に返り、わあああああ!と叫びながらKを置いて逃げ出した。
が、数歩も行かない所で蹴躓いて転び、結局はKと同様に腰が抜けて動けなくなってしまった。
声にならない悲鳴をもらしながら、体をよじって手の方を振り返る。
がくがく震えているKの向こうで、手は動きを少し緩めて指を複雑に動かし、ちょうど網から抜け出したところだった。
自由になった手は、指と手首を器用に動かして潮だまりの縁を登りきり、ドプンという音を立てて海へと飛び込んだ。
数秒の沈黙の後、俺達は大声を上げながら一目散に逃げ出した。
二人とも足がもつれて何度も水に落ちたり転んだりしたが、もうそれどころではなかった。
じいちゃんの家に帰り着いた俺達は今見たものを必死になって大人達に説明したが、子供の戯言と笑うばかりで取り合ってはもらえなかった。
ただ、俺達の忘れてきたタモ網とバケツを回収しに行ったじいちゃんだけは否定も肯定もせず、こう言った。
「海にはいろんなもんが棲んどる。わしらの知っとるもんなんてほんの一部にすぎん。それが何かなんて事は考えても埒が開かん。忘れろ」
夜になってKは高熱を出し、その日のうちに家族に連れられて自宅へと帰っていった。
俺はそれから二日間じいちゃんの家にいたが、もう海へは出なかった。
【了】

30:わらび餅(進行) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 19:51:41.92 uO4SmEpe0.net
5本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
川瀬 ◆/dSdUme0iMさん、第6話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

31:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 19:52:41.93 uO4SmEpe0.net
【6話】川瀬 ◆/dSdUme0iM 様
『霊がしつこい』
うちの市内に大手堀という掘割があって、普段から薄気味悪い場所だった
大学時代に帰省した時、地元の友人と一緒に興味本位で大手堀の近くに遊びに行ったのだが
そのとき堀の水面に丸い物が浮いているのを見た
初めは何だか分らなかったが段々それはこちらに近づいてきた、なんとそれは
水死体のようにむくんで白目をむいた女の首だった。
慌てて友人にも教えたが、友人にはどうしても見えないようだった
10秒ぐらいして突如その首は水中に沈んでしまった
俺は見間違いだったと思う事にしたが、しばらくして妙な事に気づいた
地面に映る自分の影が、なぜか友人の影よりずっと長いのだ
身長がほぼ同じなのになんで自分の影だけが長いのか
そのとき偶然 堀の水面に映る自分の姿をみて驚いた
水に映る俺の肩の上には年とった女が肩車のように乗っているのだ!
その顔は白目をむい膨れあがり水死体のよう、さっき見たやつだ!
俺の影が長くなっていたのはこいつが肩の上に乗ってたせいだった

32:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 19:53:32.59 uO4SmEpe0.net
憑かれた!?、と俺は焦ったが、ともかくも友人と共に近くの神社に行き、頼み込んでお祓いをしてもらった
お払いの最中に神主さんが険しい顔をしていたので、恐ろしくて教わった印を真剣に結んでいた
20分ほどでお祓いは終わり、脱力したような気分で神主さんに礼を言い、料金を払った
外で待ってた友人とともに外に出た
地面に映る自分の影は友人と同じくらいの長さになっていた
神社の池に自分の姿を映してみたが、もうあの女は乗っていない
改めて安堵したが、なんか神主さんと女の人がこっちを相変わらず険しい顔で見ている
不思議に思って池を振り返ったら、背中の方にあの女が張り付いてるのが映っていた
自分と友人は神主さんに食ってかかり、料金とっておいてそれは無いだろと抗議した
神主さんも困ったらしく、隣の市の大きな神社を紹介してくれた
車で隣の市まで行ったら、そこの神主さんに「大変でしたね」と言われて涙が出た
1時間半ほど待たされてお祓いが始まり、こんども30分くらいで終わった
神社にあった池で今度こそ後ろに前にもあの女が映ってない事を確認し、来た甲斐があったと喜んだ。

33:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 19:55:45.18 uO4SmEpe0.net
神主さんに礼を言い、神社を出ようとして、自分の影が前と後ろに2つあるのに気づいた
もしやと思い、さっきの池に足もとまで映したら、足首を掴んでいる腕がある
あの女は足首にしがみついていたのだ
神主め俺が足先までは確認しないとタカをくくってたな~
またも文句を言ったが、どうにもならないと言われて家に帰った
帰って寝る前に般若心経をネットで1時間ほど流しまくって寝たら次の日から不思議とあの女は見えなくなった
何のかんので退散したのかもしれない
しかし今でも風呂などで水面にあの女が映るのではないかと時々心配になる
それにしても、こっちの神明宮の神主はいいかげんなヤツだった



34:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:00:46.27 9PgS3cT70.net
6本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第7話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

35:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:03:33.58 uO4SmEpe0.net
【7話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『療養所』
私は持病があり、幼少期から入退院をくりかえしていました。
あまりに入院が長期になることが多くて学校にもいけない状態になってしまったので養護学校の隣接する療養所に入院することになりました。
その療養所は戦時中からあるとても古い病院でしたので色々な噂がありました。
看護学生寮に出る、など。
養護学校があった場所は兵隊の施設だったのか、学校の敷地内にかつて処刑場だったといわれている場所もありました。
子どもが遊ぶにはもってこいな環境だったのですが噂が噂だけに誰もはいらず、怖い雰囲気だけはみちていたと記憶しています。
その療養所は学校の長期休みに入ると帰省という、1~2週間家に帰れるシステムがありました。
しかし私は家に帰るとすぐ体調を崩し、仕方なく帰省を中断して療養所に戻るということが度々あったのです。

36:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:07:02.99 9PgS3cT70.net
丁度夏休みのお盆のときでした。
その時も体調を崩してしまい療養所に戻るハメに。8月15日だったのは確かです。
17日にはみんな戻ってくるから、という理由で普段の6人�


37:秤ョで一人寂しく寝かされました。 また戻ってきてしまった、寂しいとぐすぐす泣きながら寝ようとしたとき、ある噂を思い出してしまったのです。 終戦記念日には夜中0時に廊下を兵隊さんが歩く足音が聞こえると・・・・。 よくあるような怪談ですが、場所が場所なだけにリアルさがありました。 寂しいのと怖いのとで目がぱっちりねむれそうにありません。 刻々と近づく0時。ナースセンターに逃げ込めばよかったのかもしれませんが、廊下で会ったらどうしようとへやを出ることもできない。 ずっと耳をふさいでいました。 しかし、やはり・・・・ざっざっざっざっ・・・・・聞こえます。 確実に看護師さんではない足音。 怖い怖い怖い怖い怖い・・・・・ 頭もパニックになりすぎたせいか気を失ったのか気づけば朝でした。 気づかぬうちに漏らしてしまっていた私は本当の理由も看護師さんにはいえませんでした。 怖すぎてみんなが帰ってきたあともいえなかったですね。嘘つきよばわりされるのも目に見えていたので。 今や、入院患者も少なくなりその病棟もなくなり更地になったと聞いていますが15日に歩く彼らはまだそこを歩いているのでしょうか・・・・ おわり



38:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:09:18.70 9PgS3cT70.net
7本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
セキ ◆OCtDMhDM/sさん、第8話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

39:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:10:23.97 uO4SmEpe0.net
【8話】セキ ◆OCtDMhDM/s 様
『版画の傷』
私の通っていた小学校は、モナリザのレプリカもベートーベンの肖像画も飾られてはいなかったけれど、やはり七不思議というものはあってね。
私は全部は知らないけれど、たぶんあの学校独自の怪談だろうと思う話を今からしようと思う。
まずはその学校について説明しなきゃならない。
今思うと変わった造りじゃないかと思うんだけど、特別教室棟の2階が体育館になってた。
1階は真ん中を廊下が通っていてその両側に理科室、家庭科室、図工室、視聴覚室、突き当たりが音楽室。
各教室の引き戸についた小さなガラス窓しかないその廊下は、昼間でも薄暗くて、一人で通るのは少し躊躇われた。
廊下の電気はひどく曇った日とか、冬の夕方とか、それくらい暗い日じゃないとつけられていなかったから、本当にいつも薄暗かったんだ。
さらにそこが不気味に思えたのは、壁に飾られた大きな版画のせいもあったと思う。
ずっと前の卒業生の、たぶん卒業制作か何かだろうと思うけれど、特に小柄だった私のこととはいえ、両腕を目一杯広げてもその幅には足りないほどに大きな版画。それが6枚ほども飾られていただろうか。
学校行事を模したその版画は、一枚だけ大きな傷がついていた。
それは大縄跳びの様子を表したもので、その傷はあろうことか、描かれたうちの一人の児童の頭を両断していた。
しかも、その版画は緑の色で刷られているのに、なぜかその傷のところはいつも、赤茶色に汚れていたんだ。
今から話すのは、その版画の傷の話。

40:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:12:53.46 9PgS3cT70.net
学校行事の一つに縄跳び大会というのがあった。全学年全クラスが大縄跳びを跳んでその回数を競うというもの。
低学年は左右に揺れる縄を跳ぶけれど、高学年になると回した縄を跳ぶ。高学年くらいになると、100回くらいは大体跳べた。
数週間前から練習が本格化して、体育館でも、外でも、大繩が回るのがよく見られた。
そんな頃、あの版画の傷が見つかったそうだ。最初は悪質ないたずらだと思われたらしい。版画とはいえ、児童の頭を傷つけて、しかもそこに赤の絵の具で血みたいな落書きをした者がいると、相当な問題になったと聞く。
汚れた部分はきれいに拭われたけれど、犯人は見つからなかった。
その翌朝また、版画は汚されていた。やはり傷の部分に、赤で。
きれいにしても、きれいにしても、翌朝にはまた汚されている。いつやっているのか、誰がやっているのか、それは誰にもわからなかった。
そんな中で、縄跳び大会の本番の日が来た。
その日は版画の傷の部分から、たらりと赤い液体が滴っていた。ふき取った用務員さんは、やけに鉄くさい絵の具だと思ったそうだ。

41:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:15:47.53 9PgS3cT70.net
縄跳び大会は滞りなく進んだ。1学年は大体1クラス、たまに2クラスあるくらいの小さな学校だったから、クラスごとに順番を回してもさほど長い時間がとられるわけでもなかった。
5年生の順番になって、事故は起こった。100回を越えて少しした頃に、一人の児童が足をもつれさせて転んだのだ。その子はうまく手を付けずに、頭を床に強打した。
今でこそ体育館の床は板張りだけれど、その頃はリノリウムというのか、廊下と同じ固い床材がむき出しの状態だったんだそうだ。
児童は流血こそしたものの幸い命に別条はなく、数日の入院で済んだ。
それを機に体育館は改装されて、衝撃を吸収できる木の床になった。
全てが終わってから、誰かが気付いた。
怪我をした子は縄の中で、傷つけられた版画の中の子とちょうど同じ場所を跳んでいたのだ。
その後もたびたび、傷に赤がにじむことがあった。そういう日に限って、児童の中に流血を伴う怪我を負う者が出る。赤がにじむせいで怪我人が出るのか、
怪我人が出ることを教えようとして赤がにじむのか、それは誰にもわからなかったけれど、敢えてその赤い汚れに触れようとする人はいなくなった。
私が卒業してから、もう二十年近くは経つけれど、今もきっと、あの版画は血を流しているんだろうと思う。



42:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:17:48.00 uO4SmEpe0.net
8本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
松屋の虎 ◆s8FSqGDfDYさん、第9話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

43:松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY @\(^o^)/
15/08/29 20:20:12.84 CHH62SdA0.net
【お宮籠り】
(1/3)
自分の地区には毎年立秋の間に行われる肝試しみたいな行事があります。
お宮籠りとよばれる行事ですが その内容は、「夜中に神社の境内に籠る」というものです。
いわれは分かりませんが、毎年、20歳を迎えた男性がひと晩「神社警備員」になります。
過疎った地区なので今年は自分が一人で籠ることとなり、先月からワクテカ状態でした。
神社は、北関東に多い○○神社で、普段は無人の山の中の小さい社です
立秋の日、ここでひと晩すごし、深夜の10時、12時、2時、4時に見廻りと称して拝殿と
本殿の周囲を蝋燭1本持って巡回を行います
それ以外は拝殿の横にある天幕小屋で控えています(寝たら駄目)。
やることはそれだけです。神社の建物には入りません(入るほどの広さもない)。
まともな神事と言うより、昔の肝試しを形式化したみたいに見えますが、大正時代から
続く伝統ある行事という話なのです。
境内は真っ暗らしく、過去にやったことのある年上の人からは
「真夜中に誰もいないのに拝殿の扉が開く」とか「3時過ぎに幽霊が出る」とか聞かさ
れてましたが、自分的には暑さと虫と眠気が心配でした。
以下は今年8月9日(立秋初日)に自分がお宮籠りをした体験談です。
当日、夕飯食べて家を出て、神社に到着したのが午後7時過ぎ
山の中の境内は既にかなり暗く、携帯で家族に到着を連絡したあと、床にタオルを敷い
て今晩の準備をしてました。
準備が終わった頃には8時すぎで既に真っ暗でした。
夏とは思えないほど空気が冷たく心配していた暑さと虫は問題なかったのですが
周囲に強い風が渦巻き「うおおぉぉぉ」と人の叫び声のような音が響きます。
あと、どこからかたまに拍子木のような音がカシーンと鳴ります。

44:松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY @\(^o^)/
15/08/29 20:22:08.25 CHH62SdA0.net
(2/3)
そして10時、最初の見廻りです 蝋燭一本持って小屋を出て拝殿の前へ
拝殿で一礼した後、左回りで廻る決まりです、逆に廻ると祟られるそうです
目の前は真っ暗で、さすがに恐る恐るでしたが何もなく、ただ真っ暗なだけでした
しかし12時の2度目の見廻りの時、慣れてきて退屈してきた自分は 決まりとは逆に
右回りに廻ってみようとしました。
何もあるはずがない、そう思って本殿の裏まで来たとき、向こうから誰かが見ている
感じがします。
この場に人などいるはずもないのですが真っ暗な向こう側から強い視線を感じました
蝋燭をかざしてみたり、呼んでみたりもしましたが、当然返事はありません
しかも、その視線が段々と自分に近づいてくる気配がします
自分は怖くなって走って拝殿前まで戻り、拝殿で謝ったのち、左から廻り直しました、
すると今度は何事もありませんでした
2時になって三回目の見廻り
先ほどの事が気になった自分は、もう一度確認したくてまたも右から廻ってみました。
そろりそろりと歩いて本殿の裏を曲がると、またも強い視線を感じます!
怖ろしいのを我慢して用意していた携帯で奥の暗闇を写し、すぐ引き返しました
拝殿で謝り倒してのち、小走りで左から廻り直しました
自業自得とはいえ ここまでで精神的にかなりテンパった感じだったのですが、3時頃
ウトウトしていたら拝殿の方でバン!!と大きな音がして何かが参道から鳥居の方へ
走りぬけたような気配がしました。
慌てて拝殿を確認に行きましたが扉は閉じたままでした。
これで帰りたいモードMAXになった自分は、最後の見廻りは素直にささっと廻って
5時になったら早々に帰宅しました。

45:松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY @\(^o^)/
15/08/29 20:23:32.94 CHH62SdA0.net
(3/3)
帰宅すると、お宮籠りを達成したことでお酒を飲まされ、9時ごろに寝ました。
午後に起きてから、携帯で撮った写真を見てみましたが、ただ真っ暗なだけでした。
実は帰ってから、前に親から聞いたことを思い出したのですが
神社に祀られている○○様は夜には本殿で西の方角(京の方角)を睨んでいるそうです。
あの神社を右まわりに廻ると本殿の裏で西を睨む○○様と鉢合わせの形になりますが
そうならないように左まわりに廻っていたのかもしれません
とすれば、あのとき2度感じた強い視線は○○様だったのかもしれません
実は、帰った後で少々 変なことが続いたり体調を崩したりもするので少し怖いです
拝殿奥の路地で撮った写真を貼っておきます(真っ暗で見えません!)。
URLリンク(s1.gazo.cc)
URLリンク(s1.gazo.cc)
【おわり】

46:松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY @\(^o^)/
15/08/29 20:25:01.79 CHH62SdA0.net
9本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
キツネ ◆8yYI5eodysさん、第10話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

47:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:26:18.60 9PgS3cT70.net
【10話】キツネ様◆8yYI5eodys 様
『笑顔』
医療とは生と死の狭間。
とりわけ病院にまつわる怪異の数は知れず。
このお話は残念ながら病院が舞台ではございません。
病院の傍に佇む、町の薬局にて起きた出来事にございます。

薬局に勤務する薬剤師のUさん。
来局する患者さんも落ち着き、子供たちが読んでいた絵本を片付けていた時のことでした。
パタパタ、と足音に気付いたUさん。
目を遣ると、そこには見知った女の子がジッ、と絵本の棚を見つめておりました。
数日前に来局し、感冒症状の薬が処方された女の子。
確か、薬局に置いてある迷路の本を気に入って、手放そうとせずにお母さんを困らせた子です。
あ、風邪が治って絵本の続きが気になったのかな?
そう思った彼女は笑顔で件の絵本を手渡しました。
椅子に座って静かに絵本に没頭する女の子。
お母さんは一緒じゃないのかな?
そう気にはなりましたが、患者さんが来局したので彼女は仕事に戻ったそうでございます。
患者さんに薬を渡した時。
ふと、女の子の傍らに初老の男の人が立っているのに気付きました。
目を細めてニコニコと女の子を見ている男性。
――そうか、今日はお爺ちゃんと一緒なのね。
そうこうしている内に絵本を読み終えたのでしょう。
女の子はちらりとUさんを一瞥すると、外へ駆け出して行きました。

48:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:28:46.07 uO4SmEpe0.net
それから数日後。
そろそろ辺りが暗くなり、閉局の時間に差し掛かった頃。
1人の患者さんが来局いたしました。
入院して暫くお会いしていなかったお婆ちゃん。
いつも取り留めの無い話をしては笑っているような常連さんです。
恐らく退院されたのでしょう。
スッとカウンターまで歩いて来ると、Uさんの方をじっと見つめます。
まだ体調が優れないのかな。
そう感じたUさんは、
「お加減はどうです?」
「近所の○○のお婆ちゃんも寂しがっていましたよ?」
などと気さくに声を掛けますが、何も答えてくれません。
単に無表情でUさんをじっと見つめるだけ。
その背後を見て、Uさんはギョッとしました。
いつの間にそこに居たのでしょうか?
若い男性がお婆さんの背後で目を細め、笑顔を浮かべておりました。
不自然に白い歯を見せ、ニタニタと。
介護士かな?
何とか驚きを隠しながらも、
「あのー……今日は処方箋は?」
そう問いかけたと同時に、お婆ちゃんは寂しそうに出口に向かって行きました。

49:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:31:50.17 9PgS3cT70.net
そして去り際に、
「貴女なら、助けてくれると思ったんだけどねえ」
それだけを呟き、お婆ちゃんの姿は見えなくなりました。
その背後には、相変わらずニタニタ笑いの男を伴って。
何か不自然なものを感じたものの、顔見知りの患者さんが退院して嬉しかったのでしょう。
Uさんは薬局の奥にいる年配の薬剤師に、
「さっき××さんの家のお婆ちゃんが見えましたよ。退院できたみたいで安心しました」
「××さんって、あの?いやいやいや!」
年配の薬剤師もそのお婆ちゃんと顔馴染みだった筈ですが……どうも様子がおかしい。
首を傾げるUさんに、年配の薬剤師は今日の新聞を渡しました。
ほら、ここ……
そう言って指差した先には通夜・お葬式の案内。
そこにハッキリと件のお婆さんの名前。
「Uちゃん、××さんの話、よく親身になって聞いてあげてたからねえ。きっとお別れが言いたかったんだよ」
そうしんみりと年配の薬剤師に言われましたが、
どう考えてもお別れとは別の意味を持った最後の言葉が頭から離れなかったそうでございます。
それから暫くして。
いつものように絵本を整頓していた時のことでした。
Uさんの手が、ふと迷路の絵本に触れました。

50:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:34:20.04 uO4SmEpe0.net
あの女の子が読んでいた絵本だ。
何気なく手に取ってページを捲っていると、
「ひぃッ!?」
Uさんは悲鳴ともつかない声をあげました。
迷路の絵本の最後のページ。
そこには爪で何度も引っ掻いたような文字でこう、削られておりました。

 お ね え さ ん
   た す け て

後に彼女が聞いた話では、その女の子は既に


51:亡くなっていたのだそうで。 それも、あの絵本を読みに来た前日のことだったそうでございます。 果たして、あのニタニタと笑う者たちは何だったのでしょう。 女の子とお婆さんは何から助けて欲しかったでしょうか? 皆様もお知り合いにお会いする際にはお気を付けくださいまし。 もし、その傍らに目を細めてニタニタと笑う誰かが見えたとしたら…… そのお知り合いは既に、この世の者ではないかもしれません。 そして、あなたに何某かの助けを求めているのかもしれませんよ? 【完】



52:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:36:27.33 9PgS3cT70.net
10本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
猫虫 ◆JmJaz0BtVcさん、第11話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:スレリンク(occult板)】へ
雑談、感想は【雑談スレ:URLリンク(jbbs.shitaraba.net)】でお願いします。

53:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 20:39:23.30 rKZkpF2O0.net
【結婚祝い】
人に話すなと言われていたが、本人が亡くなってからもう30年くらい経つし、そろそろ時効だろう。
ひいばあちゃんの仕事についてと、亡くなった時の出来事を話そうと思う。
俺のひいばあちゃんは、拝み屋みたいな事をやっていた人だった。
といっても除霊やお祓いをするわけではなく、所謂『呪い返し』が専門だったそうだ。
呪いと言うと藁人形みたいな儀式めいたものを想像しがちだが、ただ誰かに対してほんの少し悪意や嫉妬を抱いただけでもそれは小さな呪いなのだという。
ひいばあちゃんはそういった負の感情みたいなものを跳ね返す術に長けていた。
…と書くとイマイチ効果がなさそうだが、向けられた悪意が大きければ大きいほど返ってくる力も大きくなるので、それこそ藁人形などを使って本格的に死を願った者に返れば、逆に本人が死んでしまうほどだったそうだ。
ほんとかよ、と俺も思っているけど。
ひいばあちゃんはそれを『呪返し(しゅがいし)』と呼んでいた。
呪返しには鏡を使う。
悪い事が続いたりした依頼者は壁掛け可能な鏡を持ちこみ、ひいばあちゃんに念を込めてもらう。
この時、ひいばあちゃんは依頼者の話は絶対に聞かない。
話を聞いたところで、呪っている犯人が誰かなんて事は依頼者本人にもひいばあちゃんにもはっきりとは分からない。
それに、誰々の呪いに決まっています!なんて依頼者の話を鵜呑みにして特定の誰かに返るように仕向ければ、それは呪返しでも何でもなく純粋な呪いそのものになってしまうからだ。
まさに鏡のように、向かってくる悪意の力をただそのままに反射するのが正しい呪返しだ。
弱いものは弱く、強いものは強く、どれだけ多くが向かって来ようとも正確にそれぞれの発信元へと返す。
尚且つ、善意や幸運は跳ね返さずに通さなければならない。
ひいばあちゃんは鏡が正しくその働きをするように念を込め、依頼者へと渡す。

54:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 20:41:30.92 rKZkpF2O0.net
呪返しの鏡を受け取った依頼者は、それを自宅の玄関に入って真正面にあたる壁に掛ける。
入ってすぐ廊下だったりして壁が遠すぎる場合には、天井から吊ったりしても良い。
どちらにせよ、玄関から入る時に自分の顔が映らない位置にセットし、普通の鏡のように身だしなみを整えたりする事にはなるべく使わないというのが決まりだ。
そして、数日に一度は必ず綺麗に磨く。
鏡が汚れて曇ったり割れたりすると、呪返しの効果は失われてしまう。
ひいばあちゃんがそんな仕事をしている人だったから、一族の者は必ず玄関に鏡を飾っていた。
というか、ほとんどの家が未だに飾っていると思う。
すでに日常風景の一部になっているから敢えて外そうとも思わ�


55:ネいし、ばあちゃんが各家庭に贈ったその鏡は趣味のいい木彫り枠に嵌まっていて、インテリアとしても悪くない物だからだ。 その鏡は、一族の者が結婚する時に結婚祝いとして贈られる。 枠は地元の名産品である木彫りの伝統工芸で、ひいばあちゃんと懇意にしていた職人さんが何週間もかけて仕上げた物だ。 結婚式を挙げる季節に合わせた花や植物が彫られ、ひいばあちゃんの念が込められた鏡がセットされてから、式の当日に渡される。 反撃重視の依頼物とは少し異なり、祝い鏡の効果は防御重視だ。 災いが降りかかる事なく末長く幸せでありますように、という願いがそのまま効果になっている。 ちなみにサイズはiPadくらいで、壁掛けと立て置きの2WAY仕様だ。 そうやって一族の幸せを願い続けてきたひいばあちゃんが亡くなった。 最後の最後までボケもせず大病もなく元気そのものだったが、ある日突然、眠っている間に心臓が止まってしまい、眠るように…というか眠ったまま安らかに息を引き取った。 92歳の大往生だった。



56:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 20:43:38.58 rKZkpF2O0.net
葬儀の日、いつも祝い鏡を頼んでいた職人が弔問に訪れたのだが、焼香を済ませて家族に挨拶をする段になった時、妙な事を言い出した。
先月、ひいばあちゃんが工房を訪れて祝い鏡の枠を大量発注し、代金と依頼枚数分の鏡を置いていったらしく、このまま依頼品を仕上げて良いのか遺族の意見を聞きたいとのことだった。
その場でゴーサインを出すにはあまりにも枚数が多かったので、ともかく詳しい話を後日聞かせてもらってからという事となった。
初七日の法要を終えた後、職人が本家を訪れた。
「とりあえず、お預かりした鏡を持ってきました」
職人が風呂敷を開けると、中から大量の鏡が出てきた。
どれも枠の付いていない切りっぱなしの四角い鏡で、いつも祝い鏡に使うものだった。
「これの裏に書かれた通りの順番で作るようにと言われまして」
そう言って職人が一枚を裏返すと、一族の中のある独身男性の名前と1の数字が中央に並んでいた。
次々にめくっていくが、その全てに独身者の名前と通し番号が書かれている。
成人だけでなく、当時まだ赤ちゃんだった子の名前まであった。
それだけなら、ひいばあちゃんが自分の死後のために独身者全員分の鏡を用意していたという美談で終わる。
だが、その鏡に書かれた文字には奇妙な点が幾つかあった。
ひとつは、通し番号が必ずしも年齢順になっていないという事。
当時25歳の者より20歳の者の方が早い番号になっていたりするのだ。
次に、独身者全員分ではないという事。
大半の者には鏡が用意されていたが、28人中4人だけ鏡のない者がいた。
そして何より奇妙だったのは、彫る花が決められていた事。
左下に小さく『牡丹』『桜』『桔梗』といった花の名前が書かれており、職人はそれぞれの鏡を指定された花の枠で仕立てるよう言われたというのだ。
ひいばあちゃんの人智を超えた力をよく知っていた本家の者達は、「多分、まぁそういう事なんでしょうね」と納得し、ひいばあちゃんが注文した通りに全てを仕上げてもらう事に決めた。
ただ、一気に作ってもらうのはあまりにも迷惑がかかるので、一族の者の結婚が決まり次第、本家の者が「誰々の鏡の製作をお願いします」と工房に頼みに行く形となった。

57:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 20:48:38.50 rKZkpF2O0.net
かくして、一族の独身者はその後どんどん結婚していき、祝い鏡は職人の息子の代になっても作られ続けた。
それはやはり通し番号の順番通りであり、結婚式も指定された花の季節であった。
ただ、一度だけ通し番号と花がズレた事があった。
ある女性が、通し番号通りに結婚が決まりかけた後で破談となり、ひいばあちゃんの予知とは異なる時期に結婚したのだ。
その時は本家と職人が相談して正しい花の枠を誂え、花嫁は自分の結婚式が行われた晩秋の花である『山茶花』の祝い鏡を受け取った。
ひいばあちゃんの死後は、鏡の裏の文字が見えるように穴を開けた裏板を貼るのが習わしとなっているのだが、件の花嫁の祝い鏡だけは花の種類の部分が塞がれているのだそうだ。
ちなみに、鏡がなかった4人の内の1人だった女性は、未婚のまま早逝した。
そのため、鏡がないのは単に生涯未婚という意味ではなく、早死にするという暗示だと考える者もいる。
通し番号の順番・花の種類・鏡の有無は、今も本家の者と職人だけが知る秘密である。
ただ、ひいばあちゃんの死から30年くらい経つ今では、鏡の有無は段々察しがつき始めてきた。
当時4歳だった俺を含め、残る未婚者は6人。
自分に鏡がないかも知れないと思うと、生涯未婚にしろ早死にするにしろ、正直ちょっと怖くなる。
【了】

58:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:50:17.09 uO4SmEpe0.net
11本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第12話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

59:猫虫(代理投稿) ◆Ax39zFrW6I @\(^o^)/
15/08/29 20:51:58.43 rKZkpF2O0.net
【12話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『座敷わらし』
うちの父は今でこそ落ち着いたものの引越しが好きな父でした。
母の結婚指輪がなくなった時に絶対引越しをし、その後なぜか指輪は発見されるという今思えばこれも不思議な現象でしたね。
そんな繰り返し引越ししていた幼少期すんでた家でのことです。
3歳くらいの頃だったと思いますが、当時すんでいた家は記憶によると割と変な間取りでしたが大きな平屋で庭もあり蔵もある家でした。
当時我が家は縫製業で両親ともずっと仕事をしていましたし、仲のよかった年の近い姉も保育所に通いだし結果私一人で家で遊ぶことが多くなっていました。
あとで母から聞いた話では私は、台所におばちゃんがいるよ、そのおばちゃんと庭で遊んだよなどいっていたようです。
夜中にトイレに起きて不思議なものをみることも多かったです。
お風呂の前で青白い光をみたり、2段ベットの上から下をみると木のおじさん(なんというか、木でできた人形のような)が新聞を読んでる、など。
子どもなので夢だったのかなーとも思ったりもしますが、リアルだったので今でも忘れられません。
でも怖くはなかったのです。
ある夜、また私は夜中にトイレに起きました。
でもいつもは絶対行かない仕事場になぜか呼ばれてるような気がしていっていました。
すると床に半分日本人形が光って埋まっていたのです。これは探検好きな私でしたので家にある人形ではないとわかりました。
なんだろう?と思いながら床に押し込むように押さえると人形は床に消えて行きました。
今なら怖くてできないと思うのですが全く怖くなかったんですよね。そのときも「あれーなくなっちゃったー」くらいでした。
翌日こんなことがあったよーと母に報告したら「きっとそれは座敷わらしじゃない?」といわれたのですが、座敷わらしにしてはなんか気持ち悪いですよね。
そういうふうに色々私だけ見ることが多かったので母はそう言っていたのかもしれませんが。
その人形をみたあと、大病をしましたし今もその病気をもったままです。
果たしてあれはよい座敷わらしだったのでしょうか。それとも・・・・・

60:わらび餅(進行) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 20:58:41.32 uO4SmEpe0.net
12本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzsさん、第13話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

61:ずんちゃ虫(実は統括者) ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:00:37.25 M2JR/Zcj0.net
『幼稚園時代の恐怖』
1/2
私が通っていた幼稚園は寺が経営しておりました
幼稚園の裏側が寺に繋がっており、普段は間には柵がしてありました
私と友達のM君はいつも「あっちに行ってみたいなあ」と言っていたのですが、ある日の昼休み
いつもは閉まっている柵の戸がなぜか開いているのをM君が見つけたのです
私とM君の二人は これ幸いとばかりに先生たちの目をぬすんで寺側に忍び込み探検を始めました
本堂の方に行くと他人に見つかるかと思い、二人は脇にある大きな黒塗りの蔵に向かいました
石垣の上に組まれた蔵は古そうな造りで何か宝物でもありそうに思えたのです
一番下の板がはがれて四角い穴が開いており、そこから覗いてみましたが暗くてよく見えません
扉の前まで行ってみると残念ながら施錠されていました
二人はそれでも鍵を揺すったりして暫くゴソゴソやってましたが、結局あきらめて他を当たろうとしました

62:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:01:43.53 M2JR/Zcj0.net
2/2
私たちが蔵から離れて行くときに、蔵の方からコトンと音がしました
振り返った私たちは驚きました
さっき覗いてみた蔵の下の四角い穴から人の顔がこっちを覗いてたのです
私たちは立ちすくみました、中に人がいたとは、カギがかかってたのに
どうやら蔵の床に寝そべって穴に顔を寄せているようです
相手はこっちよりも2歳くらい年上の感じです、私たちを見つめていますが、その表情まではよくわかりません
私たちはイタズラが見られた事と相手への恐怖感で青くなって幼稚園の方へ逃げました
直後、蔵の方から床を這いずり回るようなゴロゴロ、ズザザザ という音が聞こえてきましたが構わずに逃げました
その日はM君と二人で夕方までまんじりともせず、今日の事は絶対に口外しない事を互いに約束しました
次の日幼稚園に行くと、講堂で他の子たちが騒いでいました
中に入ってみると講堂の床に擦れたような跡が講堂をを一周するようについていました、
それは大きな蛇でも這いずり回ったかのようでした
私とM君は昨日の事を思い出し、夜にあいつがこっちまで来たんじゃないかと恐ろしくなりました、
相手はこっちの顔を見ているのですから
あとで親にそれとなく裏の寺の事をたずねたりもしましたが全くわかりません
小学校にあがってから親にあの日の事を話しましたが、夢でも見たんだろう と言われました
この件を一緒に体験したM君は小学校二年の時に転校してしまいそれっきりだけど、あいつも覚えているはず
《了》

63:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:02:41.97 M2JR/Zcj0.net
13本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第14話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

64:猫虫(代理投稿) ◆Ax39zFrW6I @\(^o^)/
15/08/29 21:04:01.19 rKZkpF2O0.net
【14話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『挨拶』
霊感の強い姉(Yとします)の話です。姉は看護師をしています。
20年ほど前に勤めていた総合病院での話です。
ある患者さん(仮にAさんとします)は長らく病床についていたそうです。
それゆえに看護師さんとの付き合いも長く仲が良くなっていたそうです。
ある日そのAさんが遂に手の施しようがなくお亡くなりになってしまいました。
看護師はやはりプロなので長らく付き合った患者さんであってもいつまでも気持ちをその方にむけることはできません。
それほどに激務ですしね。「ずっとしんどかったから楽になれたね」と当時思ったと姉は語っていました。
数日後、「Yさん、Yさん」と声をかけてくる患者さんがいます。
振り返ると「よくしていただいてありがとうございました。お世話になりました。」と挨拶にこられたのです。
姉は「あ、今日退院される方かな?」と思い、「いえいえ~これからもお身体大事にしてくださいね~」と返事をしました。
すると他のスタッフから「Yさん、何してんの?誰に挨拶してんの??」と・・・・・。
姉は「あ・・・・今のAさんや・・・・」と気づいたそうです。
その後、霊感の強い他のスタッフから「Aさん、挨拶にきはったやろ?」といわれて「あぁ、できることはできたのかなぁ。満足してくれてたのだろうか。」と思ったと言っていました。
亡くなられてからもきちんと挨拶にこられる、丁寧な方だったのですね。
おわり

65:わらび餅(進行) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:06:22.99 uO4SmEpe0.net
14本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
コワリ ◆ityfMlfdbAさん、第15話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

66:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:07:33.47 uO4SmEpe0.net
【15話】コワリ ◆ityfMlfdbA 様
『心霊プリクラ』
高校生の時、プリクラを撮るのが好きな子と仲が良かった。
私とも沢山一緒に撮ったけど、他の子と遊んだ時も必ずと言っていいほど撮っていたので、月曜の朝なんかは学校に到着するやいなや、真っ先に彼女から新しく撮ったプリクラを何種類かもらうっていうのが挨拶みたいになっていた。
彼女(名前をPとします)には、高校で離れてしまった幼馴染のCがいた。
私とCは直接面識は無いものの、PはCとよく一緒に遊びに行き、撮ったプリクラも私にくれるため、私のプリクラ帳の結構な割合をPとCのペアが占めていた。
さて、そんな平和な日常を過ごしていたある朝。
いつも通りPはCと撮ったプリクラを私含む仲良しメンバーと交換していたんだけど、1人が妙な事に気が付いた。
「あれ、なんでこのプリクラだけ3人なの?」
プリクラは一枚のシートに何種類かの小さな写真がついてくる。
問題のプリクラは、同じシートの他のものはPとCの二人っきりなのに対し、一種類だけ、三人で写っている…ように見えるのだ。
いや、ぱっと見では2人なのだが、PとCが並んだ肩の間から、短い髪の毛が生えていて、それを辿ると頭の形をしており、生え際とおでこの部分のような部分が確認できた。
Pは「肩にかかった私の髪だよ~」と笑っていた。
しかし、見れば見るほどPの頭部からの髪の流れとは全く別物にしか見えない。
当時よくプリクラを撮っていた私たちは機種もよく知っていた。
細かい落書きはできないし、こんなリアルなホラースタンプだって無い。それに、撮影スペースだって知らない人がこっそり紛れ込んでイタズラできるようなものじゃない。
何よりPは超が付くほどの人見知りなので、他人と撮るなんてありえないのだ。
「これ、心霊写真じゃね?」

67:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:09:05.17 uO4SmEpe0.net
心霊写真、もとい心霊プリクラをめぐる騒ぎを聞きつけた他のクラスメイトも集まってきてちょっと騒然となったけど、もう朝のHRが始まる時間だったのでチャイムと共にそこで騒ぎは収束した。
しかし気になって朝のHR中、自分のプリクラ帳とにらめっこをしていた私はもう一つの発見をしてしまった。
それはその当時からさらに遡ること2、3ヶ月前にPがみんなに渡していたプリクラだった。それも例によってPとCのものだったが
Pの指が9本あったのだ。
ここで私は別の考えに至る。
(ひょっとして気付かないだけでプリクラって近くのものが滲んだり増えたりして、心霊写真みたいに撮れちゃう現象がよくあるのかも?)
そう思い、自分の持ってる数百枚のプリクラが収められたプリクラ帳を頭から全部見返した。
しかしその推理とは裏腹に…不思議な写りをしたプリクラはこの2枚だけしか存在しなかった。
Pは怖がってる様子ないし、私たちへのドッキリなのか?それともCがホラー好きでPを怖がらせるためにやったのか?
HRが終わり、私たちの中から様々な憶測が出たものの、


68:結局本物の『心霊プリクラ』ではないかいう結論に落ち着いた。 よくある怖い話だと、この後そのプリクラ機を皆で一緒に検証しそうなものだが、 グループの人々はクールで、オカルト好きな人も居なかったので『そういえばPって心霊写真みたいなプリクラとってたよね~』みたいな話題が笑い話として出る程度で、その後、深い追求はされなかった。



69:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:10:32.04 uO4SmEpe0.net
それから月日は流れ、10年ほど経った去年の春。Pは結婚し、第一子を出産した。
私は出産祝いも兼ねて、当時の友人達とPを訪ねていた。
そこでふと高校時代の心霊プリクラの話題になったのだ。
改めて聞いてみたが、やはり、撮ろうと思って撮ったトリックではなかったらしい。
「もし撮ろうと思って撮ったものなら、皆と撮る時にもやりまくったよ~!」と。
アレがなんだったのか改めて見てみたいねーという話になり、Pは当時のプリクラ帳を持ってきてくれた。
懐かしいプリクラが沢山あって、話が弾んだ。そして、呆気なくプリクラ帳は最後のページまで来てしまった。
盛り上がりすぎて見過ごしてしまったのか?
もう一度、最初から。今度は当時の話題に逸れることなく、純粋にPとCの撮った奇妙なプリクラを探す。
しかし、やはり見当たらない。
Pに確認してみると「記憶にはないし、自分はそんなことしないと思うけど…ひょっとしたら当時、気持ち悪くなって捨ててしまったのかもしれない」と言っていた。
まあ、当事者はそうだよね。という話になり心霊プリクラの話はそこまでで、後は違う話題になっていった。

70:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:12:25.80 uO4SmEpe0.net
それから。
Pの家から帰宅し、私も心霊プリクラを探してみた。
しかし、見つけられなかった。私のプリクラ帳からも、消えていたのだ。
年代や顔ぶれからこの時代のプリクラ帳で間違いない。
大学生になってから、例の心霊プリクラを複数の友人に見せた事もある。
びっしりと貼られたシール台紙に後から剥がしたような隙間は無く、ページごと破られた形跡だって無い。
まるで初めから存在しなかったかのようだった。
しかもその消失現象は私とPの身だけに起こったのではない。
Pの出産祝いに一緒に行ったた内の1人がプリクラ帳を確認したが、やはり見つけられなかったというのだ。
「見つけたら写メを撮ってグループLINEに載せようと思ったのに…」と悔しそうにコメントしていた。
そのコメントを受け、「実家にプリクラ帳置いているから帰省したら探してみる!」と言っている友人が他にもいるが
…個人的にはもはや、見つかってほしいような欲しくないような。背中が薄ら寒い気分だ。
ちなみにその『心霊プリクラ消失騒動』から1年以上経過しているが、見つかったという報告は今のところ、無い。


71:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:13:56.52 uO4SmEpe0.net
15本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
猫虫 ◆5G/PPtnDVUさん、第16話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

72:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:15:06.38 rKZkpF2O0.net
【竹】
仕事の関係で、道の駅に品物を卸している方々と親しくさせてもらっていた時期があった。
野菜や果物を卸す農家さんばかりでなく、山で採れた山菜や茸を卸している人もいたし、民芸品を作って卸している人もいた。
これは山菜と竹細工を卸していたMというおじいさんから聞いた話だ。
Mさん夫妻は竹細工を作るのが昔からの趣味だった。
ざるやかご、置物などを作っては近所の人にプレゼントしていたのだが、知人に勧められて道の駅にも品物を卸すようになった。
裏山から切り出した竹は二三カ月ほど陰干ししてから巨大な鍋で煮て下処理をするのだが、Mさんは切り出した直後に鍋サイズに切り分けてから干していた。
ある時、その切り分け作業をしていると、妙に重い竹があった。
持つ場所を変えたり回したりしてみると、ひとつの節にやたらと重みが集中�


73:オているのが分かった。 中に雨水でも溜まっているのかと思い、Mさんはノコギリでその節の端を切り始めた。 案の定、切り口からは液体が垂れ始めたのだが、雨水にしてはやたらと粘っこい感じがした。 何だか薄いハチミツみたいだな、と思いながら節を完全に切り落とすと、中にはつるんとした丸っこいピンク色の物体が詰まっていた。 左手の上に切り口を向けて軽く振ると、粘液にまみれているおかげでそれは抵抗もなくつるりと出てきて、手のひらに落ちた。 「なんじゃこりゃ」 手のひらの上の物体を見て、Mさんは頭をひねった。



74:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:21:49.72 rKZkpF2O0.net
大きさはおはぎくらいで、勾玉のような形をした本体部分から短い手足が生えている。
表面は半透明なピンク色で、勾玉の穴にあたる部分には皮膚の下の目が透けて見えていた。
どう見ても、それは何かの胎児だった。
気味が悪いと思いながらも矯めつ眇めつ見ていると、突然ピクリとそれの左手が動いた。
驚いたMさんは「うわあ!」と声を上げながら、思わずそれを放り投げてしまった。
べちゃりと嫌な音を立てて、それは土の上に落ちた。
いかん、と思って慌てて拾おうとしたMさんだったが、異変に気付いて手を止めた。
それは土の上に水分を染み出させながら、見る間に潰れていった。
広がっていく水たまりの中、薄い皮の中に黒い眼球が二つ入っているだけの状態になり、その眼球も水分を放出して、最後はぺったんこの皮だけになった。
溢れた水分を土が吸収していく中、残った皮も溶け始め、最後には土の上に濡れた黒いシミだけを残して跡形もなく消えてしまったのだという。
「あれはかぐや姫ですよ、骨なしのかぐや姫。もうちょっと育つまで置いといてやったら、ちゃんとしたかぐや姫になったかもしれませんがねぇ」
Mさんはそう言って笑ったが、多分それはそんなかわいらしいものにはならないだろうと俺は思った。
【了】

75:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:23:02.68 uO4SmEpe0.net
16本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第17話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

76:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:24:44.10 rKZkpF2O0.net
【17話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『海釣りにて』
数年前に起こった父の体験談です。
父は磯釣りが趣味で仕事のないときはプラプラと釣りにでかけます。
その日も自分で開拓した穴場スポットでのんびり釣りをしていたそうです。
突然、ザバーッ!!!!!と海からびしょ濡れの女性が現れたというのです。
父は当然驚愕しましたし、これはなんだ!?と焦ったそうです。
幸いその女性は生きている人間でした。
入水自殺をしようと海にはいったけれど苦しくてだめだった、と。
驚いたけれど、ただ事ではないと感じた父は「そんなことはやめなさい。何があったんや。」と話を聞いてやったり
びしょびしょなので近くの衣料品店に行き、服を用意して銭湯にも連れて行ってやったそうです。
警察は嫌だというので、父がその女性の両親に連絡し事情を話し、両親が迎えに来るまで一緒にいてやったそうです。
死のうと思った理由は嫁ぎ先で子どもを産んだらもういないような扱いをされ、実の子供にさえ人間扱いされていなかったようです。
そうしてある日手切れ金だと30万ばかりをもたされ家を出された、実家には迷惑をかけられないしもう死ぬしかない、と思ったようでした。
ただそれだけの話ではあるのですが、本当にこういうことがあるのだなぁと驚いたのと、人を追い詰める人間というのが一番怖いなと感じた出来事でもありました。
おわり

77:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:26:07.61 uO4SmEpe0.net
17本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzsさん、第18話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

78:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:2


79:8:03.78 ID:M2JR/Zcj0.net



80:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:28:24.88 M2JR/Zcj0.net
2/2
ところで林幽寺といえば、私の小さい頃には なんと言っても血を吸う仏像の噂が有名だった
それはこの寺の本堂にある御本尊なのだが、昼間は普通の仏像だが、夜になると
恐ろしい形相になり、口から舌をだらりと垂らしていたという
夜にこの仏像を見てしまった者は長い舌で首を絞められ血を吸われるといわれ、当時の
私たち子供は本気で怖ろしがっていた
この恐怖のお化け本尊も、最近、鉄深の真言冥界波だかなんだかを受けて爆散してしまって
もう無いらしい
本堂には鉄深が自分で持ち込んだ仏像が代わりに安置されたのだが、これがなんとも
おどろおどろしい姿の三面阿弥陀像なのだそうだ
この新しい本尊は夜中にゴォーと火を吐くと噂されている
以上はいま小学校に通っている姪から聞いた話だ
今では近所の小学生は寺の前を避け、わざと一本向こうの路地を回り道して帰るらしい
葬式で寺に行かなくてはならず泣いて嫌がった子供もいたという
小学校以来ひさしぶりに林幽寺の噂を聞いたが、相変わらず健在と言うか、近所の小学生の恐怖の的のようだ
《了》

81:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/29 21:29:16.39 M2JR/Zcj0.net
18本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
キツネ ◆8yYI5eodysさん、第19話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

82:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:30:05.08 uO4SmEpe0.net
18本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
キツネ ◆8yYI5eodysさん、第19話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は>>1の【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

83:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:30:29.56 rKZkpF2O0.net
【10話】キツネ様◆8yYI5eodys 様
『オフィス街の焼き鳥屋』
蒸し暑い夜が続きます今日この頃。
こんな晩はキンキンに冷えたビールが恋しいものでございます。
炭火で香ばしく焼き上げた熱々の焼き鳥も一緒に、如何でございましょうか。
これは行き付けの焼き鳥屋の大将が暑い夜の酒のツマミに、と語ってくれたお話。
大将の店はオフィス街の狭間にポツン、と佇んでおります。
周囲に飲み屋はおろか飲食店も無く、夕方以降は仕事帰りの客でごった返している様子をよく目に致します。
開店当初はなぜこんないい場所に店が無いのか疑問にも思ったそうですが、そこは商売人。
競合店が出てくる前に馴染みの客を掴んでしまおうと、日々商売に精を出したそうでございます。
開店から2週間ほど経った頃でしょうか。
夜の11時を過ぎた頃。
小雨がしとしとと降る夜のこと。
最後のお客を笑顔で送り出した大将は、暖簾を外して1人で片付けをしておりました。
さて、炭の火を消そうと火消壷に炭を移し終えた、その時。
テバぁ……てください……
突然の囁くような、か細い女性の声にギクリ、と大将は驚きながらも
「すみません、今日は手羽先は終わっちゃって」
と、背後のカウンターに目を遣るが、そこには誰もいない。
大将は首を傾げながら、その日はいそいそと片付けを済ませて帰宅したのでございます。

84:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:36:26.35 rKZkpF2O0.net
それから数日は何事もなく過ぎ、ある晩のこと。
暖簾を入れる際に雨が降っているのを見た大将は、あの晩のことを思い起こしました。
あれは気のせい、と決め込んで炭火を片付けようとした時、
おじちゃん……モツ……焼いて……
今度は絞り出すような子供の声でした。
気のせいじゃない、これは尋常じゃないぞ、と考えながらも
「臓物の類は切らしてるんだよ、ごめんねえ」
グッと堪えながらそれだけ告げると、背中のカウンターへ振り返らぬよう手早く片付けを済ませて大将は帰宅いたしました。
その後も時折夜になると声が聞こえる。
その時々によって声も老若男女、好みも各々違うのか焼いて欲しいメニューも違う。
不思議と、雨の晩に限って聞こえてくるのでございます。
これはとんでもない外れ物件を手にしてしまったと思った大将は、本気で閉店を検討したそうで。
しかし、店仕舞の前にせめて声の正体は確認しよう、そう心に誓ったのでございます。

次の雨の晩。
換気扇から聞こえる雨の音を聞きながら待つこと暫く。
…………さい……
あの声でございます。
次第に近づいて来る声。
……テバぁ……焼いて…さい…
…アシばぁ……焼いてください…
ゾウモツばぁ…焼いてくださいまし…

85:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:39:37.14 rKZkpF2O0.net
ままよ、と振り返る大将。
しかしながら、すぐ背後に聞こえた筈の声の主は見当たらず。
ホッとして調理場を振り返った時でした。
炭火の前に立つ黒い影が目に飛び込んで参りました。
まるで火の消えた炭のように、煤けた影。
炭火に照らされたソレは、焼け焦げた人の形をしております。
髪は半分ズルリと皮ごと剥け落ち、目鼻口は窪んで黒く、所々四肢の表面が赤黒く光っており、
その腕には……不自然に白く生々しい、骨の飛び出した手首から先、足首から先を抱えておりました。
流石の大将もその姿には恐怖を覚え、呆然と見ていることしかできません。
黒い影はゴトリ、ゴトリと手足を炭火の中にくべ始めました。
鶏肉や豚肉とは違う、何かの焼け焦げるような不快な臭気。
ジリジリと音を立てながら、脂の燃える黒い煙が上ってゆく。
どれほどの間その光景を眺めていたのでしょうか。
不意に影が大将の方を振り返り、スーッと頭を下げ、そのまま黒い靄となって換気扇に吸い込まれていったのでございます。
ふと我に返った大将は慌てて調理台に駆け寄ると、そこには手足など無く、只々火の消えた炭が転がっているだけ。
顔の筋肉が麻痺したような感覚に囚われながら、大将は淡々と炭を片付けて帰宅したそうです。

86:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 21:46:54.78 rKZkpF2O0.net
これは後日、大将が常連の老爺から聞いたそうなのですが……
大戦末期、この辺りは手酷い空襲を受け、多くの方が亡くなったそうでございます。
日が昇ってから遺体を収集してゆくのですが、
最も近い火葬場では遺体の処理が間に合わず、それでも次から次と遺体が増えていく。
その為、近くの小学校の敷地で廃材を組んで仮火葬をするのですが、折しも小雨が降り始めなかなか上手く燃えない。
漸く火が着いても火力が足りず、取分け水分の多い内臓は燃えにくかったり、手先や足先が焼け残ることが多かったとか。
それでも増え続けるご遺体を処理せねばならない。
ある程度燃えたところで遺骨とし、残った手足や臓物は小学校跡の敷地にそのまま埋葬されたそうでございます。

それから数十年も経った今日。
何度か飲食店や飲み屋が出来ては、数か月持たずに潰れる。
そうしてこの土地はオフィスのみが立ち並ぶ街になったのだそうで。
もしかすると、その潰れた飲食店の人々も大将と同じような何かを見たのかもしれません。

その話を聞いて以来、大将は時々雨の降る晩になると、店仕舞の後も炭が燃え尽きるのを待ってから帰宅するのだそうでございます。
その甲斐あってか、大将のお店は潰れる事無くつい最近、無事に5周年を迎えたそうで。

オフィス街にただ1件だけの焼き鳥屋。
雨の晩に訪れると、閉店間際、そこでは客以外の何者かに出会えるのかもしれません。

【完】

87:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:49:38.57 uO4SmEpe0.net
19本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
肴 ◆4zQNaTWiYAさん、第20話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は>>1の【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

88:肴 ◆4zQNaTWiYA @\(^o^)/
15/08/29 21:50:04.77 uh5nE5Jy0.net
【瓶】
まだ小学生のころ、母方の祖父の弟が死んだ時の事。俺は、葬式のために祖父に連れられて祖父の実家まで行くことになった。忙しかった母親の代わりだったようだ。
家に着いてしばらく経って、親戚と話している祖父を眺めているのにも飽きたので、遺体を見に行くことにした。寝室に寝かせてあると聞いていたので一人でも迷わなかった。
ところが部屋に入ろうとしたとき、他にも誰かいることに気付いた。襖の陰から覗いてみると、それは自分と同じくらいの女の子だった。
女の子は赤と白の服を着ていて、どう見ても今からお通夜という格好ではなかったし、それに親戚の中でチビは俺だけだったから、何とも怪しい子だと思った。
女の子は俺が覗いていることに気付いていないようで、遺体をじっとりと見つめていたが、やがて服のポケットから何かを取り出した。よく見ると、ジャムの入っていたような透明な瓶だった。
そして、彼女は躊躇いもせずにそれを遺体の顔の上に落とした。
ゴン、という鈍い音がした。瓶は割れて、破片が枕元に飛び散った。
数秒あけて、枕に血が滴り始めた。その血は遺体から出ているのではなく、瓶の割れ目から出ているように見えた。

89:肴 ◆4zQNaTWiYA @\(^o^)/
15/08/29 21:51:10.91 uh5nE5Jy0.net
呆然と眺めていると、女の子はやっと俺に気付いたようで、こちらに目を向けてきた。その目が凄く黒くて、何だか怖かった。
しばらくして、帰りが遅いので探しに来た祖父に声をかけられ、俺は我に帰った。もう一度部屋を覗いてみたものの、女の子どころか血さえ残っていなかった。
十年ほど経って、今度は祖父が亡くなった。そして女の子はまた現れた。
吸い込まれそうな不気味な瞳も、十年前と変わっていなかった。祖父の弟にしたことを、そのまま祖父の遺体にもやって見せた。まるでデジャブのようだった。
しかし、今度は瓶が割れなかった。祖父の頭にぶつかった瓶は、そのままゴロゴロと部屋の隅まで転がっていった。
祖父と祖父の弟に何の違いがあったのか分からないけども、彼女の黒い瞳だけはずっと忘れることが出来ない。
[了]

90:肴 ◆4zQNaTWiYA @\(^o^)/
15/08/29 21:54:09.46 uh5nE5Jy0.net
20本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJo さん、第20話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は>>1の【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

91:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 21:56:46.30 uO4SmEpe0.net
さて、20本の蝋燭の火が消されました……。
皆様、身の回りに不思議なことは起こっ�


92:トおりませんでしょうか? 体調に変化があったりといったことはございませんか? それでは、ここで一つ小休止をとらせて頂きたいと思います。 再開は【20:10】を予定しております……。



93:わらび餅 ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:11:47.43 uO4SmEpe0.net
……時間となりました。
おや? どうやら開始時刻が異空間に迷い込んでしまったようですね……。
それではぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第21話をよろしくお願いいたします。

94:わらび餅 ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:12:43.70 uO4SmEpe0.net
【21話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『家』
今住んでる家のことです。
転勤族なので引越しは多いのですが、今住んでいる物件はかなりいい条件の借家です。
変な時期の引越しだったのによく空いてたな、と思えるほどの綺麗な一軒家です。
しかしハイツなので同じ敷地内に何件かの一軒家が入っている、という環境です。
以前住んでいた家のほうが築年数は遥かに長いのに今の家はちょっと変です。
まず家鳴りがひどい。気温差などでピシッパシッとなることは多いかとは思います。
しかし時間を問わず、常に。特に私が一人でリビングにいるときがひどいです。
そしておそらく・・・います。
階段の途中で気配がしますね。おそらく男性では、と思っていますが。
特に実害もないので共存できるレベルなので時々驚かされても平気です。
リビングにはこれないようで、2階を歩き回ったり(誰もいないときに歩き回る音がするので最初はよく見に上がってました)、時間関係なく玄関がガチャっと音がする程度です。
出て行きたければ出て行ってもらっても構わないんですが、お買いものにでもいってるんでしょうか。
そういえば、主人は2階で寝てるときに私がいないのにキッチンの換気扇が時々回ってる、というのを聞いたことがあるので私がいるせいでリビングにこれないのかもしれないですね。
守護霊がとても強い、といわれたことがあるので。
唯一困ったことといえば、子供部屋で眠れないことです。
どうも行動範囲が階段か子ども部屋が多いらしく、影響してるのかそこで寝ると悪夢をみるか、もう寝れないかのどちらかです。
2階はそこにしかエアコンがないのできついですねぇ。
この話を投下しようか悩んでいるときはラップ音が激しかったです。壁を叩く音もしていました。
ですが、別に悪く思ってないと理解してもらったのか書き始めるとすごく静かになりました。
・・・・・むしろ怒ってるのかな?
おわり

95:わらび餅 ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:13:30.86 uO4SmEpe0.net
21本目の蝋燭が消えました・・・

                    γ
                    (
                    _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
猫虫 ◆5G/PPtnDVUさん、第22話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は>>1の【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

96:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:16:02.20 rKZkpF2O0.net
【脳内彼氏】
元カノと同棲していた頃の話。
俺の勤めてた会社と元カノの勤めてた会社は取引先同士で、互いの会社の人間とは幾らか面識があったので、家に帰ってからもよく仕事や職場の話をしていた。
その中でも特によく話題に上っていたのは、元カノの職場の先輩であるYという女性だった。
Yは当時、彼氏のいない30代半ばの独身女性だった。
女性の少ない職場だったせいもあるが、その部署の独身女性はYを含めても四人だけで、うち二人には彼氏がいた。
Yは自分と同じく彼氏のいない唯一の女性とだけ仲良くし、それ以外の社員に対しては男女問わず所謂『お局対応』だった。
ところが、その女性は昔の彼氏とヨリを戻して電撃結婚する事になり、相手の転勤に合わせて寿退社が決まった。
途端にYはその女性と一切口をきかなくなり、挙句に全員参加の送別会では開始五分で帰って場の空気を凍らせたそうだ。
寿退社の一件から半月ほど経った頃、Yは職場の女性達に突然すり寄り始めた。
これまではネチネチと嫌味ばかり言っていたYが妙に優しくなり、女性達は困惑した。
特に元カノのいたグループは何故かYのお気に入りとなってしまい、同期を中心とした若い仲間内でのランチに毎日あたりまえのように同席するようになった。
Yを避けてグループは次第に細分化されていき、二三人ずつの組み合わせで去っていったが、取り残された元カノと通称『天然さん』という女性は最後までYの標的となってしまった。
ある日のランチタイム、天然さんが持ち前の天然っぷりを発揮して、誰も聞けなかった質問をYにぶつけた。
「Y先輩、最近急に優しくなりましたよねー。なんかあったんですかー?」
Yは無遠慮な質問に腹を立てるどころか、待ってましたとばかりに話し始めた。
「やだ、分かる?最近彼氏ができてね、ちょっと幸せオーラ出ちゃってるのかも!」
会社帰りのYをナンパしてきたというその相手は開業医の一人息子で、三つ年下のイケメンなのだそうだ。
やっぱ女性は愛されてこそなんたらかんたらと、Yは昼休みが終わるまで延々と熱弁を振るったらしい。

97:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:18:23.59 rKZkpF2O0.net
それからというもの、Yはランチタイムの度に毎日毎日のろけ話を延々と語るようになった。
いつもプラス思考の天然さんも、さすがにこの事態には相当落ち込み、「ほんとごめんね…私、パンドラの箱を開けちゃったみたい」と元カノに謝った。
毎日飽きもせずのろけ話を繰り返していたYだったが、しばらくすると話の内容に変化が生じ始めた。
曰く、別の男性(イケメン弁護士)からも猛烈なアプローチを受けて二股状態になった、との事。
どっちもすっごい愛してくれてるから選べなくて、などと嬉々として語るY。
無論、内容がどう変わろうとも元カノと天然さんのウンザリ度は変わるはずもなく、二人は作り笑顔を必死に貼り付けた顔で適当に相槌を打っていた。
その空気を感じ取ってか、Yはしきりと「あなた達はどう思う?」「あなただったら何て答える?」などと話を振ってくるようになり、当時の二人のストレスは相当なものだった。
しばらく経つと、今度は四股になりかけて困っていると言いだした。
某俳優と某ジャニーズに似た男性二人から、またしても言い寄られたのだという。
これまでは半信半疑ながらも一応はYの話を信じていた元カノと天然さんだったが、ここにきて「これは明らかにおかしい」と感じ始めた。
次々に繰り出されるYと男達のエピソードも、どんな乙女ゲーだよとツッコミたくなるような内容ばかりだった。
そりゃ、人にはモテ期もあるだろうが、得てしてそれは何らかの変化に伴って始まるものだと思う。
『痩せた』『服や化粧を変えた』『進学や就職などで新しい人間関係が始まった』等、何かしらのきっかけがあってこそモテ始めるものだ。
だが、Yは女性社員へのお局対応をやめた以外、これまでと何ら変わった様子はない。
容姿も『地味』を体現したような雰囲気のままで、相変わらずぽっちゃりをだいぶ通り越してもいた。
勿論そういう女性に目がない男もいるわけだが、ほんの三カ月足らずの間にそういう趣味嗜好をもつイケメン高学歴の男ばかりが突然集まりだすというのは考えにくい。
出会いが婚活パーティーなどであれば多少なりとも話は違うのかもしれないが、なぜか四人ともYをナンパしてきたのが始まりだというのだから、さすがにちょっと無理がある気がする。

98:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:22:17.59 rKZkpF2O0.net
どんな話でも、あまり盛りすぎれば当然ボロが出る。
話が五股になったあたりから、Yのモテ自慢は急激に辻褄が合わないものになっていった。
Aとの思い出が数日後にはBとの思い出に変わっていたり、Cの実家が六本木から代々木に移動していたり、取り繕えば取り繕う程さらに矛盾が増えていった。
Yが今後どう話の収拾をつけていくのか、この頃には元カノも結構面白がっていた。
やがてYは六股目の男を登場させ、その男一人に決めて他の五人とは別れることにした、と言い出した。
広げすぎた風呂敷の畳み方としては悪くない設定だと俺も元カノも思った。
だが、今になって思えば、これこそ彼女が語った唯一の真実だったのかも知れない。
形はどうあれ、彼女はその男に人生を捧げる事になるのだから。
本命を決めたYは、これまでのようにのろけ話を延々と語るような事はしなくなった。
下手に話してボロが出るのを恐れているのかとも思ったが、「彼の事が大事だから、あんまり軽々しく話したくないの」と笑うYは本当に恋をしている顔だった、と元カノは言っていた。
綺麗に化粧をし、明るい色柄の流行りの服を着るようになり、少しずつ痩せてきているようでもあった。
ただ、その一方で何故か仕事のミスが増えていき、上司にこっぴどく叱られる姿をよく目にするようになった。
一度、さすがにちょっと可哀想と思った天然さんが声をかけたらしいが、「いいの、夜になれば彼に会えるから全然平気」と幸せそうに笑っていたという。
本命決定宣言から二カ月もすると、Yは見違えるほど細身になっていた。
だが、目の下には化粧で隠せないほどのクマができ、頬はこけ、どう見ても健康的な痩せ方ではなかった。
同僚達は無理なダイエットや病気を心配したが、Y本人は別にダイエットもしてないし元気だと言って一向に取り合わなかった。
しかし実際、常に上の空でまともに仕事をこなせず、出先で貧血を起こして倒れたりもするような状態だった。

99:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:25:24.17 rKZkpF2O0.net
ある日、事態を重く見た上司に今すぐ健康診断に行けと厳命され、Yは病院へ行くため出勤直後に退勤した。
そして、それきり会社には二度と来なかった。
三日後に上司がYの住むアパートを訪れたのだが、Yはチェーンをかけた状態のドアを少しだけ開けて応対し、近日中に辞表を郵送するとだけ言ってドアを閉めてしまったらしい。
その日の夜に元カノと天然さんもアパートへ見舞いに行ったのだが、どれだけ呼びかけてもYは出てこなかったそうだ。
数ヵ月後、俺と元カノはクリスマス一色になった新宿をぶらぶら歩いていた。
マルイの前まで来た時、「あっ」と小さく叫んで急に元カノが足を止めた。
向こうからふらつきながら歩いてきた女性も、彼女に気付くと同じく足を止め、小さく手を振った。
ガリガリに痩せこけたその女性は、Yだった。
「久しぶりね、元気だった?」
街に流れるクリスマスソングに掻き消えそうな小さな声でYは元カノに話しかけてきた。
仕事で面識があったので俺にも挨拶をしてくれたが、実際ほとんど聞き取れないほど弱々しい声だった。
異常なほど厚着をしているせいで体は膨らんで見えたが、そのぶん骨と皮しかないような顔の異様さが目立っていた。
一体どうしちゃったんですか、体は大丈夫なんですか、今どこでどうしてるんですか、と元カノは矢継ぎ早に質問を並べたが、Yはそれには答えず、うふふと笑ってからこう言った。
「あのねぇ、私、今とっても


100:幸せなの」 「え…あの、幸せって…?」 怪訝な顔で元カノが聞くと、Yは左手の手袋を外して骨ばった手を差し出した。 「ほら、見て。先週もらったのよ。彼、一緒になろうって言ってくれたの」



101:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:28:55.62 rKZkpF2O0.net
Yが嬉しげに右手の指でいじってる左手の薬指には、指輪も何もついてはいなかった。
そんなYの姿に、俺は背筋が凍るような悪寒を感じた。
隣で元カノも絶句していた。
そんな俺達の様子に気付くと、Yは手袋をはめ直しながら真顔になり、「あなたたちには見えないのね」と低い声で呟いた。
一瞬の後、再び満面の笑みをこちらに向け、妙に明るく弾んだ声で続けた。
「いいのよ、私には見えるから。指輪も、彼も、私にはちゃんと見えてるんだもの。クリスマスに彼と一緒になるんだから。もうすぐよ、本当にすぐよ」
じゃあね、と言い残してふらつく足取りで去っていくYの後ろ姿を茫然と見送りながら、元カノはYの言った言葉を反芻した。
「今、『彼も』って言ったよね…」
俺も同じ部分が気になっていたが、元カノには「聞き間違えじゃない?声、小さかったし」と返した。
俺達には見えない『彼』と『一緒』になる、なんて事は考えたくなかった。
その後、Yがどうなったのかは分からない。
Yに会った二日後には元カノと天然さんが再びアパートを訪れたのだが、すでに部屋は引き払われていて空室だったそうだ。
クリスマスから年末にかけては訃報が入るんじゃないかと内心怯えながら過ごしたのだが、結局その後も元カノの会社にそういった連絡は入らなかった。
Yが霊的なものに取り憑かれていたのか、単に正気を失っていただけなのか、今はもう確かめようもない。
ただ、人が短期間でこれほどまで壊れてしまったという事実が俺は本当に怖かった。
【了】

102:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:32:31.66 rKZkpF2O0.net
22本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
下級選民 ◆55t.r6W7pAさん、第23話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

103:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:34:23.68 uO4SmEpe0.net
【23話】下級選民 ◆55t.r6W7pA 様
『無題』
祖父の七日法要の時の話。
祖父の家は車で40分かかる場所にあり、通夜の日から八泊ほど泊まらせてもらっていたのだが、
俺は朝が弱く、その日も一番最後に起きた。
俺が寝ていたのは仏壇のある部屋の隣で、二つの部屋の横には縁側がある(旧みたいな感じで)。
親が俺を呼んでいたので、リビングに行こうとしたとき、縁側からトトトトトト…と犬が走るような音がした。だが縁側は戸が完全に閉まっていて、猫すらも入ることは不可能だ。
その音は俺のいる部屋の方の突き当たりまで来た後、仏壇の部屋の方の突き当たりにむかって進んでいった。
そして縁側を突き当たりまで行き、また戻り、再び行く…を何度か繰り返す。
ところが、音が仏壇側の突き当たりいったきり、戻ってこなくなった。
気のせいだったのか、と思った俺が向かおうとしたとき、

重い仏壇がガタリと揺れた
【了】

104:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:35:51.56 rKZkpF2O0.net
23本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
下級選民 ◆55t.r6W7pAさん、第24話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

105:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:37:16.54 uO4SmEpe0.net
【24話】下級選民 ◆55t.r6W7pA 様
『無題』
一人暮らしをしていたある日、深夜に起きると、部屋の中に知らない人が大勢いた
しばらく話をしていたが、朝日が昇るのと同時に意識を失い、次に目が覚めた時に全員消えていた
嘘のようで本当の、夢のようで現実の、とある盆の切ない話です
【了】

106:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:39:24.72 rKZkpF2O0.net
24本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第25話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

107:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/29 22:40:50.74 WCE2gmw+0.net
『公園の怪異』

 こいつは先日、久々に会った大学時代の友人の話。自分の体験談では無いため、そいつの脚色も多少入っている可能性はあるものの、いつも冗談の好きな彼が
この時ばかりは心底嫌そうな表情を浮かべていたのが印象に残っている。

 とある春の日の夜、入社した先の歓迎会であまり得意では無い酒をしこたま飲まされた彼は、千鳥足で帰路についていたそうだ。
「むう、駄目だわこれ。そこの児童公園でちょいと酔い覚まししていくかな」
 あまり規模の大きくない公園に足を踏み入れて年代物のベンチに腰掛けた彼は、ため息まじりで手に持ったウーロン茶のペットボトルのキャップをキュルッと開ける。
 子供たちの歓声に溢れる日中とは異なり、深夜の公園は人っ子一人居ない別世界だ。蛍光管が切れかけてでもいるものか、しきりに明滅を繰り返す街路灯に照ら
された遊具をぼんやりと眺めていた彼は、ふと妙な事に気がついた。
 主の居ないブランコが、春の生温い夜風の中でかすかに揺れていたそうである。
「あはは。風もないのにブ~ラブラ、か」
 酔いのためか若干焦点の定まらぬ視線で、その光景を見やる彼。その時はまだ、彼には笑みをうかべる余裕があったと言う。
 そうしてしばらくするうちに、今度はそのブランコの手前にある球形の骨組みに覆われた回転遊具が鈍い擦過音を伴いながら少しずつ回り始めたそうだ。
「あれれ、今度はあの遊具か。シャフトの軸がどうかしてんじゃないの?あんなのに子供が乗って万が一の事でもあったらどうするつもりだよ。全くお役人ってやつは、
何か事が起きなきゃ重い腰上げねえんだから」
 独り言を呟きながら、それでもなお状況の不自然さを把握しきれていない彼。最初こそじんわりゆっくりとした回転であったその遊具は、あれよあれよという間にまるで
目に見えぬ何者かが勢いよく漕いでいるかの様に、ギュルギュルと力強く回り始めたものである。
「え?まだ酔ってるのか俺…」
 目をこすり、己の頬を平手で勢いよくはたいて見ても、その遊具は自らの回転を止めようとはしなかった。
「ち、ちょっとこれまずいんじゃないの?」
 ようやく我に返って不安に駆られ始めた彼は、震える膝に力を込めて腰掛けたベンチから立ち上がった。
 その時である。

108:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/29 22:42:27.65 WCE2gmw+0.net
「ギイギイギイ…ガンッ!」
 彼の間近で更にいきなり、今度は何か重いものでも地面に叩きつけたかの様な派手な音が響き渡った。
「ひっ!」 
 プルシェンコのトリプルアクセル並みの回転速度でその音がした方向に首を向けた彼の視線のすぐ先では、これまた誰も乗っていないシーソーが、
通常ではあり得ない勢いで左右交互に上下運動を繰り返し始めているではないか。
 不気味な叩音は、地面に敷かれたタイルとシーソーの端を覆う金属部とがぶつかり合って生じるそれであった。
「ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ…」
 いつ果てるとも無く、夜の帳が降りた公園に不気味な音を響かせ続けるシーソー。
 先ほどまでの酩酊状態はどこへやら、すっかり酔いも覚め切った彼は、叫ぶ事すら忘れて涙目になりながらそのまま転がる様に公園の入口まで
駆けだしたとの事だそうだ。

「ガンガンガンガン!って、ゲッターロボの主題歌みたいだなおい」
 無理矢理冷やかした俺の軽口にも、彼は苦々しげな面持ちを崩さない。
「それでね、這々の体でその公園の入口から出かけた時に初めて、一陣の風が園内の木々の枝を揺らしたと思ってくれよな。そしたらさ…」
「うん、それからどうした?」
 俺の問いにひと呼吸置いて重い口を開いた彼曰く、
「あのさ、確かに聞いたんだよ俺。耳を塞ぎたくなるくらいうるさい木々のざわめきの中で、ほんのかすかに消え入りそうな女の子の声でひと言、『遊んでよ』って…」

【了】

109:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/29 22:45:56.96 WCE2gmw+0.net
25本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
チッチママ ◆pLru64DMboさん、第26話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

110:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:47:12.53 uO4SmEpe0.net
【26話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『火で焼けた黒い人』
実母の体験談です。
母の実家は昔から地元で有名な大きな農家でした。
母はその末っ子で、母の時代には小さくなっており家族だけになっていました。
大地主の農家の名残で大きな蔵や物置があったそうで、祖父の道楽のガラクタ置場なんかもあったそうです。
母は霊感はなかったのですが、盆と彼岸の時期になると姉妹全員でその日は過ごすようにと言われていたそうです。
ある盆の日に母の持っていた送り火の提灯が突然燃えた事から全てが始まりました。
周囲にいた人たちは騒然となったそうです。7人姉妹の母だけ風もないのに提灯が燃えた事の意味を子供たちだけは知りませんでした。
その日からお守りを持たされ学校の生き返りも必ず姉たちが付き添い、放課後に遊びに行くのも禁止になったそうです。
庭が広かったのでそこで一人で遊んでいると、何か影が見える。
目をこらすとユラユラとゆれて近づいてくる蜃気楼のようだったと。
ただ近づくにつれて「ヴォーヴァー」と小さな音が聞こえてきたそうです。
だんだんとそれが近づいてくるので、母は必死で自宅に戻り祖父に話すと問答無用で塩を頭からかけられ
その足で祖父は外に塩をまきに走って行ったそうです。
次の日に近くの神社で意味のわからぬままにお祓いをされ、数か月は何もなかったそうで皆が安心していました。
母の外出禁止もなくなり友達の家に遊びに行った帰り、とても夕陽が綺麗だったのを覚えているそうです。
帰宅途中のつり橋を渡るときに、急になぜか怖くなってしまったそうです。

111:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:48:09.98 uO4SmEpe0.net
何度も慣れたつり橋でしたが、その時だけは地獄への道のようで渡ると帰れないと感じてしまい
でも通らないと帰れないと涙目で渡って行きました。
足元がガクガク震え、なんとか掴まってわたっていると、突然に前からユラリとあの黒い影が出たそうです。
その時に母は見ました。女性だったそうですが焼け焦げて髪もなく、目だけ穴が開いてお腹が異様にポッコリしていたそうです。
そして母は気絶しました。夜になっても帰らぬ母を心配して地元の人たちが探してくれて母は橋の手前で発見されました。
母は三日目には目が覚めた様子ですが、ただ「ヴァー」と犬のように泣くだけで目も虚ろで、ひたすら水をガブ飲みしていたそうです。
母は記憶を失っており今でも、その間の記憶はありません。記憶が戻ったのは一週間後だそうです。
母がずっと持っていたお守りがボロボロになっていたそうで、一時は地元でも有名になりました。
あの黒い影の正体はハッキリとはわかりません。家が古いので土地で何かあったのか?あの女性は何者なのか?
ただ母だけは盆に送り火禁止となり、毎年一族で行っていた場所に近づくのを�


112:ヨ止されました。 そして、その子である私も近づくことを禁止されており、今では本家の跡取りだけが行っています。 母は記憶がない間に夢を見たそうです。女性の名前も当時は覚えていたそうです。 なんでも愛人の身分で虐げられ、子ができた途端に捨てられてお腹に子がいるのに自殺した女性らしいです。 そして、その女性を捨てたのは私たちの一族の血筋の者。あくまで夢ですが祖父母はその話をきくと激怒したそうです。 夢の中で最初は怖い顔だった女性も、母が延々と「おかーちゃん」と泣いていると、次第に優しい顔になり 慰めてくれたそうです。最後は彼女の腕にいた赤ん坊を抱かせてくれ、母が「可愛いね」と言うと 「お前は許してやる」と言われ、青い花畑を追い出されたそう。 私の母方の身内の男性はいまだに運がありません。それとどう関係あるのかはわかりませんが 真相を知る祖父母も亡くなりました。私も母の実家に近づくと気分が悪くなるので近づきません (終)



113:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:48:53.80 rKZkpF2O0.net
26本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第27話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

114:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 22:49:49.45 uO4SmEpe0.net
【27話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『しなない』
昔から、九死に一生ばかり続いています。
幼少期、3階建てくらいの高さから落ちたのに歯が欠けただけ。
何度も病院で「今日が山場です」といわれたけども、翌日元気に。
車と自転車の衝突事故であと数センチで崖下。
何度も持病で昏倒し、絶対普段人が通らない場所でも発見してもらえる、など。
偶然といえばそれまでなのですが、本当に本当にしなないんです。
関わった人には不思議がられます。
先日たまたま占い師の方に見てもらう機会がありそのとき「守護霊がすごく強いね、しなないでしょ?」といわれびっくりしました。
確かにそうなんです。いわれたからそう感じただけ、とも言えるのですが実際自分自身よく生きてるなとも思うので・・・・。
そういえば小さい時にもなんか言われたことあるなぁと思い出しました。
なにかすごく強いものに守られていると。
偶然であれなんであれ、何かに守られてるのかなと思い日々周りの人、もの、見守ってくれてるモノたちに感謝して生きていたいです。
おわり

115:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 22:50:37.30 rKZkpF2O0.net
27本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
                      (
                      _ノ
                   /
.                __
             ,、'"   .  `' 、
             i`ー  _    ',
.             l| !|      i""!|
                 }: }i    |{  !j
               〈| 'J |!   }j  :}
            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第28話をお願いします
.-----------------------------------------------------
語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch