暇つぶし2chat OCCULT
- 暇つぶし2ch250:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:54:41.62 AgCPeYID0.net
……時間となりました。
それでは雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、第61話をよろしくお願いいたします。

251:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 02:56:03.90 slHZZ5U50.net
【61話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『入ってはいけない小路』
知り合いの話。
彼の実家の山村に「入ってはいけない」と言われていた袋小路があったという。
駄目と禁止されると行きたくなるのが子供心。
という訳で、ある時、従兄弟と二人で足を踏み入れたのだそうだ。
小路の終わりには赤く錆びた鎖が掛けられていて、その先に獣道のような細い道が続いていた。
鎖を跨いで猶も進んでいくと、割りと広い川に突き当たる。
川にはボロボロに朽ちた橋が架けられていて、それを渡った向こう側に廃屋が二軒並んでいた。

気持ち悪くなって引き返したのだが、このことを祖父に話すと酷く怒られた。
「橋は渡ってないだろうな!?」
聞けば、随分と前の大雨で、その橋は流されているのだそうだ。
「お前等、誘われてたんだよ。渡ってたら多分帰ってこれなかったぞ」
そんな馬鹿な、と次の日もこっそり二人で確認しに向かったのだが。
昨日有ったはずの橋はどこにも見当たらず、川が轟々と流れているだけだった。
(終)

252:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:56:26.23 Mp8aiubx0.net
61本目の蝋燭が消えました・・・

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、引き続き 第62話をお願いします
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語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

253:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:00:01.32 AgCPeYID0.net
【62話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『違法駐車』
知り合いの話。
まだ学生だった頃のことだ。
彼が違法駐車をして車を離れ、しばらくしてから戻ってくると、
自分の車の下から人間の足が飛び出していた。
周りのアスファルトが赤黒く汚れている。
吃驚して覗き込むと、それは人ではなく、精巧に造られたマネキンだった。
何か重い物に踏まれたのか、頭が半分潰れている。
赤黒い液体も、血ではなくて何かの塗料のようだ。シンナー臭い。
「誰の悪戯だよ、タチが悪いな!?」
そう怒ったものの、違法駐車をしていた自分も決して褒められたものではない。
マネキンを車の下から引っ張り出し、邪魔にならない場所に退けると、
そこを後にした。
おかしなことになったのはそれからだった。
彼が路上駐車をする度、必ずマネキンが車の下に放置されるようになったのだ。
頭が潰れていたり、胴が抉れていたり、腕や脚が千切れていたりと違いはあったが、
毎回同じように事故を模していた。
幾度も隠れて見張ってみたが、その時には悪戯はされない。
油断して車から離れた時に限って、マネキンが出現したという。
すっかり根負けしてしまい、彼は違法な駐車をしないようになった。
以来、不気味なマネキンも現れなくなったという。
(終)

254:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:00:26.36 AgCPeYID0.net
そしてつい最近の話。
久し振りに、彼と再会する機会があった。
話が弾んでいると、途中でこんなことを言ってくる。
「そういや、あのマネキンストーカーの話を憶えてるか?
 俺の車の下で、事故者の格好させてたって奴」
「憶えているよ」と返すと、続けてこんなことを言う。
「アレがまた出やがった。この前、女房の実家へ里帰りした時だよ。
 一寸の間だけ路上駐車したんだけど、車を実家へ移動させようと戻ってみたら、
 昔のようにマネキンの足が突き出していやがった。
 だあぁー! しつこいよ、一体誰なんだよ、何がしたいんだよ!?」
彼はそう言って頭を掻き毟っていた。
「……まぁ、路上駐車は出来るだけ止めた方が良いね」
私にはそう言うことしか出来なかった。
(終)

255:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:00:27.40 Mp8aiubx0.net
62本目の蝋燭が消えました・・・

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、引き続き 第63話をお願いします
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256:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:02:59.81 slHZZ5U50.net
【63話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『髪の毛


257:』 友人の話。 彼は偶に、口の中から長い髪の毛が出てくるのだという。 特に口を開けたりしていないのに、ふと口内に違和感を感じることがある。 そういう時は決まって、口の中に髪の毛が出現しているのだと。 以前、私と一緒にゼミのレポートをまとめていた夜に、いきなり彼が口をモゴモゴし始め、 次いで口から長い髪の毛を引っ張り出した際にはかなり驚いた。 二人とも短髪で、とてもその髪の持ち主には成り得ない。 その時初めて、彼のその特異な体質を聞かされたのだった。 理由は不明で、もう気にしないことにしているのだと、平然と彼は言った。 レポートが完成するまでに、彼は都合十五本の髪の毛を吐き出していた。 「今度から、俺の部屋でレポートはまとめないからね」 そう宣った私に、彼は苦笑を返してきた。 (終)



258:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:04:21.85 Mp8aiubx0.net
63本目の蝋燭が消えました・・・

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キツネ ◆8yYI5eodys さん、第64話をお願いします
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259:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:07:47.17 AgCPeYID0.net
【64話】キツネ ◆8yYI5eodys
『ナナツカ様』
(1/4)
昔、親戚の爺さんの家にひと夏の間預けられた時の話。
親戚の爺さん、というのは私の大叔父に当たる人だと後に知りました。
大叔父が住んでいたのは山に囲まれた農村。
山一つ越えると駅や新興住宅地の造成が進んでいましたが、叔父の住むのは寂れた農地。
家が十数件そこらあるか無いかのド田舎でした。
その農村には7人ほどの子供たちがいて、最初はおっかなビックリではありましたがすぐに馴染むことができました。
中でも小学6年の1番年上のお姉ちゃんは面倒見が良く、
よそ者の私と妹に色んな山遊びや川遊びを教えてくれたものです。
その日はちょうど8月の終わりに差し掛かった頃。
ちょうど今日のように朝晩が涼しく感じる時期でございました。
いつものように田んぼ沿いの沢でカニ捕りや水遊びに興じていた時でした。
1人の地元の子が、橋げたに何か引っかかっているのに気付きました。
拾い上げてみると、それは布のようなもの。
小さな子供用の服でございました。

260:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:09:17.18 AgCPeYID0.net
(2/4)
その服を投げたりしていると、いつの間にでしょうか。
1番年上のお姉ちゃんが集落のお年寄りを連れてきて、その服を指差していました。
しばらくすると集落の大人たちが集まって参ります。
そして口々に、
「流れてきてしまったか」「今年もナナツカ様が気に入らんかった」
「今年は何年目ね?」「…7年目だ」
「どう思う?」「来るやろうな」
そんな事を言っていたのを記憶しています。
私たち子供はすぐに川から上がり、すぐに家に帰るよう言われました。
後に知った話をまとめると、
集落の傍の山には『ナナツカ様』という7基の石の塚が並んでいて、
その塚に毎年、夏の初めに子供用の服を1着お供えする風習があるのだそうで。
『ナナツカ様』が気に入らないと、その服が山から集落の沢へ流れて来る。
その年は7年続けて沢に流れてきた、ということらしいのです。
そしてその日の夕刻。
私たち兄妹は大叔父に連れられて集落の公民館へ。
そこには集落の子供全員、それどころか集落の大人たちも集まっておりました。
大人たちは公民館の庭で火を焚き、子供たちは公民館の中へ追い遣られます。
「朝まで出ちゃいかんぞ」
普段優しい大叔父が怖い声で言ったのが印象的でした。
子供たちはと言うと、強張った顔の大人たちとは対照的でした。
普段は夕方には別れる友達と夜も遊べる――
そう思ったのか、大人が公民館の外にいるのをいいことに、テンションMAXではしゃいでおりました。

261:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:11:05.08 AgCPeYID0.net
(3/4)
夕飯を終える頃には幾分か落ち着いたのか、小さい子たちを中心に眠そうな目。
そんな子たちを年長者のお姉ちゃんと一緒に布団へ運んでいると、
妹がガラス戸の方を見るなり、ギャーっと火のついたように泣き始めました。
瞬く間に鳴き声が小さい子たちに伝染。
そんな子たちを宥めて寝かし付けるうちに、私も眠ってしまっておりました。
翌朝。
公民館の中に年長者のお姉ちゃんが居ません。
周囲を見回すと、ほかの子は静かに眠っておりましたが、お姉ちゃんだけが見当たらない。
外に出ると、大人たちが沢の橋の方に集まっているのが見えました。
慌てて駆けて行くと、すぐに気付いた大人に頭を抱きすくめられ、
「見ちゃいかん!」
と怒鳴られました。
聞こえたのはすすり泣く声。
雰囲気は重く、蝉の声と沢の水音がやけに大きく聞こえたと記憶しております。
そしてポツポツと、
「流されてきたのは○○ん家の長女か」
「服は着ちょらん」
「うわっ!皮まで持っていかれとる」
確か、そんな事を言っておりました。
その後すぐに私は公民館へ連れて行かれました。
沢で亡くなっていたのはやっぱり年長者のお姉ちゃんで、翌々日にはお葬式に参加。
最後のお別れにと、お棺を覗こうとした子が親にビンタされて吹っ飛んだのを見て、
――ああ、あのお姉ちゃん大変な目に遭ったんだな、と怖さと寂しさで泣いたのを覚えております。

262:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:12:59.69 AgCPeYID0.net
(4/4)
後に妹から聞いたのですが、あの公民館での晩のこと。
妹はガラス戸の向こうに見たのだそうでございます。
ガラス戸の向こうには子供が数人、あの年長者のお姉ちゃんを指差していたとか。
その子供たちは一様に真っ赤な目でニイっと笑っていたそうです。
また別の子は、夜中に目を覚ました時。
たくさんの真っ赤な目をした子供達にお姉ちゃんが囲まれ、
じたばたもがきながら引きずられていくのを見てしまったそうでございます。
その後、親戚の集まりで大叔父に会った時に聞いた話なのですが、
酔った大叔父が言うには、昔、戦時中に1度だけ子供の服が流されてきたことがあるそうです。
その時は学童疎開してきた子供の1人が、同じように身ぐるみを剥がれて沢を流れてきたのだそうで。
それから大叔父と疎遠になり十数年。
集落からはどんどん人がいなくなり、とうとう大叔父だけになったと聞いていました。
先日、久々に実家へ大叔父から電話がかかってきて、こう言っていたそうです。
「今年も流れてきた。7年目だ、今後は盆も一切、夏には誰もあそこに近づくな」
そのまま大叔父はすぐに高齢者施設に入所し、集落からは誰もいなってしまったのです。
そうです、ナナツカ様に服を納める人は、誰も。
今年は例の七年目。
ナナツカ様は集落に下りて来るのでしょうか。
それとも誰も居ないのに気付いて、山向こうの住宅地に下りるのでしょうか?
夏も終わりに差し掛かりました。
山沿いの住宅地にお住いの皆様。
どうぞ窓の外には目を向けない方がよろしいかと。
真っ赤な目をした子供達が、笑いながらあなたを指差しているのかもしれませんから。
【完】

263:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:15:37.62 Mp8aiubx0.net
64本目の蝋燭が消えました・・・

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Big ◆iq3nGde8rU さん、第65話をお願いします
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264:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:16:31.87 slHZZ5U50.net
【65話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『フィールドアスレチック』
これから話すのは、全部わたし自身が目撃したものです。
最初は、あそこで働き始めて1ケ月目のことです。
ある小学校の5年生が一泊で来てて、
子どもらは東の広場のフィールドアスレチックで遊んでたんですよ。
木とタイヤとロープでできた遊具が10以上あるところで、
遊んでも面白いし、障害物競走にも利用できる。
しかも体力もつきますしね。
わたしは、事故がないように近くで見張ってました。
小さい子どもさんは、ロープがからまってしまうことがときおりあるんです。
でね、見ていたら一人の男の子が、「ヘビ」と呼ばれてる遊具に入ってったんです。
タイヤ15本くらいを並べて、ロープで中空に吊ってあるんです。
そのぐらぐら揺れる中をくぐっていくやつです。
でも、アスレチック遊具の中では、そんなに難易度は高くないんです。
見ていたら、その子は足場にのって上半身をタイヤにくぐらせ、
その格好で止まってしまったんです。揺れるのが怖くて動けないんだと思いました。
で、30秒以上その姿勢のままだったんで、助けに行こうかとしたとき、
もう一方のはしからひょっと男子の子が顔を出したんです。
「え!」と思いました。だってね、中にいるのはその子だけなんですから。
タイヤの列は4mほどの長さがあるんですよ。
顔を出した男の子もね、わたしと同じように「あれ?」という顔をして、
そのまま頭から下に落っこちていったんですが、
胴体がびょーんと長く伸びたように見えたんです。

265:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:19:47.03 slHZZ5U50.net
で、男の子の頭が地面に着くあたりで、入り口のほうに見えていた
その子の足と腰が、すっとタイヤの中に飲み込まれた・・・
わたしは話が下手なんで、状況を想像できますかね。
男の子が落ちるとき、長く伸びていた胴体がしゅっと縮んだように見えたんです。
そうですね、蛇笛ってありますでしょう。
ピーと鳴らすと伸びるやつ。あれが縮んでいくときのような感じでした。
地面に横たわっている男の子の体は普通に戻ってたんです。
その子は医務室に運んでしばらくしたら目をさましました。
脳震盪が疑われるので、両親を呼んで病院に連れていってもらいましたが、
その子は、アスレチックのタイヤに入ったとたん、大蛇に飲み込まれたような
気がしたって言ってました。蛇みたく伸びてたのはその子のほうなんですけどねえ。
(終)

266:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:21:39.45 Mp8aiubx0.net
65本目の蝋燭が消えました・・・

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267:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:23:38.55 AgCPeYID0.net
【66話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『電撃柵』
宿舎のほうと、野外炊飯場は電撃柵に囲まれてるんです。
これは熊用のもので、まだ大きな事故は起きていませんが、
その施設から続く山には熊は普通にいるんです。
私らが山に入って作業するときには、熊よけの鈴をつけますし、
宿舎の建物のすぐ近くで、熊が木につけた縄張りのしるしを見たこともあるんです。
それで、宿舎と炊飯場は食べ物をあつかうでしょう。
ですからね、臭いにつられてこないよう柵で囲ったわけです。
電撃は三千ボルトで、これで熊が死ぬということはありません。
やつらも学習しますしね。だんだん自分から近づかないようになりますから、
今ではね、バチッとなるのは年に数回のもんです。
で、その夜はわたしが宿直だったんです。
郊外にあるので、警備保障が来るまで時間がかかる。
それで宿直制度が残ってるんですが、翌日は休みです。
その日はどこの学校も来てなくて、飲酒等はもちろんできませんが、
気楽なもんでした。でね、夜10時の見回りのときでした。
懐中電灯をつけて宿舎の外を歩いていると、バチバチ音がしたんです。
そっちに回っていくと緑色の光が明滅してるのが見えたんで、
何か動物が柵にひかっかって動けなくなり、
電撃を浴び続けてるんだろうと思ったんです。
建物の東側でしたね。光ってる柵の正面にいくと、
外側で何が起きてるのかはっきり見えました。熊・・・でしたけど、
立ち上がって両腕で何かを抱えてたんです。

268:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:24:13.81 AgCPeYID0.net
で、それを電撃柵に押しつけている。熊自身も感電してるんだろうけど、
その抱えてるものを通してだから、たいしたことはないんです。
最初、抱えているものは狸だと思いました。それくらいの大きさでしたから。
ところが、バチッと光るたびに、柵に押しつけられたそいつの顔が見えて・・・
体つきは猿に見えましたが、顔に木の面を被っていたんですよ。
つるつるした材質の無表情なお面です。面の目の穴から、
本来の猿の目がのぞいてて、それは白目になってました。
もう電撃で気絶してたんでしょう。熊のほうはわたしが来たのに気がついたようで、
その生き物を抱えたまま後じさりするようにし、生き物を口に咥え直して、
四つんばいに戻って駆け去っていきました。ねえ、変な話でしょう。
あの生き物が猿だとして、誰が何のために面をかぶせたんでしょうか?
(終)

269:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:26:27.26 Mp8aiubx0.net
66本目の蝋燭が消えました・・・

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270:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:26:43.97 slHZZ5U50.net
【67話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『玄関の絵』
これが今回最後の話です。宿舎の正面昇降口には、ずっと靴棚が並んでいて、
その上に大きな絵が飾られてあるんです。
わたしは美術はあまり詳しくないんで、何号とかはわかりませんが、
2m×2mもあるようなものです。油絵でして、寄贈品なんです。
これを描いたのが、この○○の家の初代の所長さんです。
元は中学校の美術の先生で、校長で退職してからここの所長になったんです。
山が好きな人で、施設まわりをよく歩き回っていたそうですよ。
で、この絵の題材が、山の中にあるダム湖なんですが、
実際にスケッチしたものを元に油絵に仕上げたんです。
施設の東の方面、数km離れたところにあるダム湖ですね。
その下には、数十件の世帯でしたが、小集落が沈んでいるんです。
いえ、すべてダム造成のときに立ち退いていただいて、
たいそうなお金をもらっ街中に移ってったはずです。
その工事のときに死者が出たって話もありませんでした。
だからね、この絵が祟る理由なんて一つもないんです。

271:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:36:32.85 AgCPeYID0.net
なのにねえ、これも年に数回のことなんですが、
朝になると絵の前のコンクリの床が濡れていることがあるんです。
そこは昇降口だし、生徒が来ているときには泥足で踏むところですから、
濡れても別にかまわないんですが、施設に宿泊者がないときでも
それが起きるんです。ねえ、考えられないですよね。
まさか絵の中のダム湖の水がこぼれてくるわけはなし。
ある晩、これも宿直のときでした。
照明をつけては消ししながら、宿舎内を回っていたんです。
でね、ここの昇降口は最後のほうになるんです。
異常なし、と思って照明を消そうとしたとき、ボコッボコッという、
泡が弾けるような音が聞こえたんです。壁の絵のほうからでした。
そっちに懐中電灯を向けると、絵の中央の表面が盛り上がってました。
あのほら、2つ目の話で出てきたお面ですよ。
あれが絵の中から浮き上がるようにして出てきていたんです。
同じものだと思いましたね。ただ、目の穴の中は空洞で黒々としていました。
そのときは動けなかったです。呆然と見ていると、面はあるとこまで出てきて止まり、
横長の口の穴から大量の水を吐いて、そして引っ込んでいったんです。
絵の表面は元のダム湖の油絵のままで、何の痕もなかったですよ。
(終)

272:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:38:31.60 Mp8aiubx0.net
67本目の蝋燭が消えました・・・

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ぺそ ◆qyVZC3tLJo さん、第68話をお願いします
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雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

273:ぺそ ◆qyVZC3tLJo @\(^o^)/
15/08/30 03:39:23.94 5Ask03Be0.net
[68話]
『今の出来事』
今現在起こっている出来事。
21話で我が家にいるであろう誰かの話をしました。
それからです。
2階を走り回る音、今までなかった電気をつけたり消したりする音(これは見に行きましたが本当についたり消えたり)
階段の上り下り、私がいるのに換気扇が回る、エアコンついてないのに寒い・・・・
おまけに胃痛がすごいです。
見世物みたいに扱われて怒っているのか、ヒャッホー状態なのか・・・・
でも私はいいたい。邪険になど扱ってないことを。
共存を認めていることを。
なので深夜は静かにしてください。
そして胃痛を治めてください、お願いします。
おわり

274:ぺそ ◆qyVZC3tLJo @\(^o^)/
15/08/30 03:40:52.97 5Ask03Be0.net
68本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第69話をお願いします
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275:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:41:47.26 AgCPeYID0.net
【69話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『隠れ里』
結婚時代の話です
夫の実家は私の田舎よりさらに田舎(高速道路もまだでした)
けれど古い歴史だけはある山奥でした
そんな夫の実家で初めての正月を迎えた時の話です
夫の家は先祖が武士だったらしく、姫をかばって山奥に隠れ住んだとの事
その末裔だとかいう話を上の空で聞いていました
夫の祖母が「生まれた村に私の親神様がある、あんたを新しい嫁として紹介したい」
との事で夫も初めての廃村である祖母の生まれ故郷に行くことになりました
確か午前中に出発しました
地図のうえでは隣の村で、地図明記はただの山地で祖母の記憶だけを頼りに
車も通れるのか?という獣道(舗装されていない)を一時間もかけてグルグルと向かいました
途中で霧のようなのも出てきて視界も悪くなり崖も多くて危険でした
印象的だったのは、奥の山のところどころに赤い布きれが巻かれていました
人気もなく生き物の気配がしない場所に突然と崩れかけた木造の建物が見えました
数はそんなに多くなかったと思います、ボロボロの家
見た時に「えっ?ここに降りるの?」と怖くなってしまいました

276:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:42:33.02 AgCPeYID0.net
昼過ぎ暗いなのに霧と青い光で気味悪く、まるでホラー映画みたいだと思いました
人はいないのに人が住んでいた感じで、昭和より古いというか、家具とかも割れた窓から見えました
戸口も横開きの木の板で土間とかまども見えたのですが、かまどに木がつっこまれたまんまでした
祖母いわく国の命令で手荷物だけしか持って行けなかったそうです
私が「ここに降りるの?」とこわごわと聞くと祖母は「降りちゃなんねえ降りなくていい」
と静かに言い、ゆっくりとそこは通り過ぎました
なんというか落ち着かない雰囲気で帰れるのか?と冷や汗が出ましたが
祖母の故郷だし失礼な事を言ったら可哀想と思って黙っていました
少し一本道をそのまま奥に進むと、ボロボロの白い神社でよくみる白い紙が沢山ついた
縄が見えてきました
でも白い紙もボロボロで黄色がかかっており、奥に大きな木が見えました
とても大きな木で手前に小さな赤い鳥居と賽銭箱が見えましたが
「これ行っちゃダメだ」と瞬間的に口から出てしまいました
車がそこで突然エンジンが切れてしまい、私は祖母の親神様はアレだ
祖母は車から降りて行くのだろうか?と恐る恐る祖母を見ましたが
なぜか祖母は悲しげに「もういい」と言いました
霧となぜか道が雨水を含んだようにドロドロで見えにくかったのですが
白い縄の奥に木の橋がかかっており、その橋は潰れていました
とりあえず帰ろうと、何回かエンジンをかけてやっとかかり、Uターンをするために
バックでそのまま廃村集落の辺りまで戻りました
その間は私は助手席ですが前方の親神様の木の方向を見るのが嫌で夫と共に後ろを見ていました
廃村は少しくぼんだ土地にあったので、その入り口の下り坂に少し車を入れて、やっと方向転換ができました
さぁ帰るぞと私は後ろを振り返ると、誰もいないはずなのに壊れた家の一軒から
色鮮やかな着物の帯のようなのがヒラヒラと舞っていました
「え?何あれ?」と思いましたが夫に「気のせい」と言われてしまい、そのまま舗装された道路に出た時に
やっと安堵し、自分が汗ビッショリなのに気づきました
あれからあの場所には行っていません、そして行った話を誰もしません
地元の地図や歴史も調べましたが、過疎村の移動は書いてあっても、あの場所の詳しい事はわかりませんでした
(終)

277:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:43:35.94 Mp8aiubx0.net
69本目の蝋燭が消えました・・・

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もうやだ ◆GC4X4Nuhmkさん、第70話をお願いします
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278:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:44:12.72 AgCPeYID0.net
【70話】もうやだ ◆GC4X4Nuhmk 様
『山に居たおじさん』
中学2年生の頃の話
当時俺は思春期っで母親や父親にゴミ箱の中身を見られたくなかった訳だ
んでバレずにどう処理するか考えててそこで外に捨てようって考えに至ったんだよね
んでどこに捨てようかとか考えながら親が寝てる深夜にゴミ袋をデカイ鞄に入れて静かに外出たわけよ

んで適当に歩いてたら公園があって隣に山がある場所があったわけさ
おここで適当に捨てればいいんじゃねって思ってよさげな場所探してたら
ビニールの??????て音とビニールに水を入れて振ったら出るような??????????って言う水の音がしたんだ

んで何かと思うとおじさん?お兄さん?まあ男がデカくて黒い袋担いでて そこで俺に気づいたらしく近づいてきて
「君もゴミ捨てるの?」って質問してきたんだよね
まあ見つかったし仕方ないかって思ってそうですよ~って答えたんだがおじさんが自分のゴミと一緒に捨ててくれるって言ってくれたのね
まあ勿論そこでお願いしておじさんはまあ埋める作業に入ってたんだが俺は勿論手伝いますとも言えなくてすぐ帰ったんだよね
んで5日くらい経ってからかな?隣町の小学生?中学生?かどっちか、女子学生が深夜出歩いて誘拐されたってニュースになってたんだ

んでニュースで誘拐されたと思われる映像って言って監視カメラっぽい映像映されたんだが…
監視カメラの映像はまあ犯人は勿論真っ黒い服で誰かわかんないんだが
まあ映像の内容は殴って蹴って動かなくなって黒い袋に詰め込んで1台車が来て車が逃げていくって映像だった
ニュース見た後俺は怖かったね、あの映像で詰め込むのに使ってたのは黒くてデカい袋 あのおじさんは殺して袋に詰め込んだ女子学生をあの山のどこかに埋めたんだって
[終]

279:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:45:22.56 Mp8aiubx0.net
70本目の蝋燭が消えました・・・

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デッドエンド ◆JY70SElFKIさん、第71話をお願いします
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280:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:45:37.13 AgCPeYID0.net
【71話】デッドエンド ◆JY70SElFKI 様
『六甲山』
神戸で有名な山、六甲山。友人3人と私を含め四人で夜のドライブをしていた時、老人が1人歩道を歩いていました。
こんな時間にこんな場所を歩いてるのおかしくない?と友人達と話しながらゆっくり横を通り過ぎました。
そしたら、友人のうち1人が「老人1人で道に迷ったんかも?乗せてあげた方がいいんちゃう?」と言い出しました。
私たちはどう考えてもおかしいし軍服みたいなの着てるし正直気持ち悪かったので全力で拒否しました。
翌日、職場で昨日こんなことあったと話してたら、1人の先輩がその話なんか知ってるぞ!と言い、どっかに走って行きまた走って戻ってきました。
「これ!この本のここ読んでみ!自分と同んなじ話が載ってるわ」そこには私たちと同じ体験をした人たちの話が載っていましたが、、その人たちは車に老人を乗せたみたいでそのうちの1人が行方不明になったとかなんとか書いてありました。
あの時、乗せてたらヤバイことになってたかもとゾッとした話でした。


281:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:46:28.45 Mp8aiubx0.net
71本目の蝋燭が消えました・・・

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コソコソ ◆.PiLQRq.0Aさん、第72話をお願いします
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282:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:47:26.52 AgCPeYID0.net
【72話】コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『雑木林に潜む』
あるバーで、毎年夏になると怪談会が行われている。
マスターが怖い話好きで、もう何年も続いている恒例行事だ。
毎年参加させてもらっているが、選ばれた何人かの語り部が順番に話していき、
最後の方は飛び入りで参加者から語り部を募るという形式は変わらない。
今年も用意された語り部たちの話が終わり、会場は良い感じに冷え切っていた。
飛び入りの参加者を募るが、当然ながら手を挙げる人は少ない。
いつもはしばらく時間がかかるのだが、今年はすっ、と手が上がった。
五十路を少し過ぎた、がっしりとした体格の男性だった。仮にAさんとしておく。
「上手く喋れるかどうか……」と一人ごちながら、Aさんは席に着く。
もう四十年近く前の話である。
当時小学生だったAさんは、虫を捕まえるために朝早く家の近くの雑木林に出掛けたらしい。
一人じゃ危ないということで、Aさんの父親が着いてきたが、
父親的には早く帰りたい気持ちでいっぱいだっただろう。
「今となっては親父の気持ちが分かるんですよ。仕事で疲れて、朝早くから虫探しなんて……」
正気の沙汰じゃない、とAさんは苦笑いした。
「それでもその時は、そんな親父の態度が気に食わなかった。だから悪戯して困らせてやろうと思って」
Aさんは父親が見ていない隙に藪の中に隠れたそうだ。
しばらくしてAさんがいないことに�


283:Cが付いた父親が声を上げ始めた。



284:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:48:28.12 AgCPeYID0.net
―お父さん、困ってる困ってる
Aさんは父親の狼狽する姿を想像してほくそ笑んでいたらしい。
「最初は『しめしめ』と思っていたんですけどね、だんだん父親の声の調子が変わってきて…」
―お父さん怒ってる……
父親は突然居なくなった我が子を必死になって探しているのだろうが、
子供のAさんからすると「怒っている」と感じられて無理はない。
Aさんは藪の中から出るに出られなくなってしまった。
―出たら怒られる。
そう思いながらじっと身を縮めていると、徐々に父親の声が遠ざかっていった。
途端に辺りの音が大きくなる。遠くの方でかすかに父親が自分を探す声がする。
―このまま置いて行かれたらどうしよう……
段々と心細くなってきた。
怒られるのを覚悟で声を上げようとした時、
「Aー Aー」
自分のすぐ横から声がした。
自分の名前を呼ぶ声。父親の声。
でも、それは抑揚がない。合成音のような平坦な調子で
「Aー Aー」
と繰り返す。
「……誰?」
泣きそうになりながら、Aさんが声をかけた。

285:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:49:20.35 AgCPeYID0.net
「だれー だれー」
声が変わる。自分の声になった。
Aさんは声の正体を探して藪の中を見渡しても誰もいない。
でも自分のすぐ隣で
「だれー だれー」
と声は繰り返している。
「お父さーーん!」
耐えられなくなったAさんは藪から飛び出して、父親の声のする方に泣きながら走っていった。
大泣きしながら現れたAさんを父親が抱きかかえて宥めてくれた。
背中をさすられながら、雑木林を父親と連れ立って抜け出した。
「―そして、親父の車に戻りました。ずっと怖くて泣いていたんで、親父はなんとかご機嫌取ろうとしたんでしょうね。
 『大丈夫大丈夫』って頭を撫でて『また来ような』って言ってくれました。
 『もう来たくない』って断ろうとしたんですけどね……」
Aさんはここまで話して、難しい顔をして黙り込んだ。
「気のせいかもしれないし、もう記憶も定かじゃないんですけど……」
Aさんの父親が『また来ような』とAさんに声をかけた直後、
車の後部座席から
「またいくからー」
と、声がしたそうだ。


286:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:49:46.71 Mp8aiubx0.net
72本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第73話をお願いします
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287:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:50:37.70 slHZZ5U50.net
【73話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
「老人施設」
私の母は介護福祉士で施設で働いています
病院と一緒で人が亡くなる場所であり母も何度かみたそうです
夜勤をしていると4階のエレベータ前でよく影が出るそうです
不思議なのは黒い影ではなく白いそうで、担当者だった人には
「あ、亡くなった〇さんだ」とわかるそうです
何度か内緒でお坊さんにも来てもらい供養はして貰ったそうですが
なぜか4階だけに出るそうで、ここの職員は長持ちしないそうです
母は幼い時に色々と霊体験はしていますが本人は恐怖漫画を笑ってみるタイプ
そんな母ですので皆が4階の夜勤を嫌がる中で母だけが移動もせず働いていたそうです
そんな母ですがお盆が終わって、その当時一番懇意にしていた担当の方が亡くなられました
なんでも正月と盆を過ぎると亡くなる率が高くなるそうです
母はいつもの通り夜勤をしていると、なんとなくゾワッとした感覚になったそうで
「ああ、こりゃいるな」と思ったそうです
ですが、気にしたらダメと無視しようとすると、いつもはエレベータ前から動かない気配が
スッと母の前に出たそうです
母の体を白い影がつきぬけて母は「あっ」と思ったそうです
白い影は母が担当していた、あの患者さんだと直感でわかったそうで
その影は母の前にたち母においでおいでをしたそうです
母は「ダメ!!ちゃんと家族さんの所に行きなさい!!私は私の家族があるの〇さんダメ!!」
と必死で咄嗟に言うと、影は少し停止したあとに、小さく頭を下げて消えたそうです
流石に母もその次の週から2階に移動して貰いました
(終)

288:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:52:58.57 Mp8aiubx0.net
73本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、第74話をお願いします
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289:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:53:07.69 AgCPeYID0.net
【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『土蔵の狸』

知り合いの話。

彼の実家には�


290:テくて立派な蔵があるそうだ。 これは、彼がまだ幼い頃のこと。 夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。 「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。 同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。 取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。 「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。 数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。 ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。 人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。 家人たちは口々に不思議だと言い合った。 ただ祖父だけは笑ってこう言った。 「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。  昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」 まだ幼かった知り合いは、 「え? あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。 彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。 家族皆に大笑いされたそうだ。 「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」 祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。 (終)



291:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:54:25.26 Mp8aiubx0.net
74本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、引き続き 第75話をお願いします
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292:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:59:05.01 AgCPeYID0.net
【75話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『義実家の人々』


元同僚の話。

彼の奥さんの実家は、人の死が見える家族なのだという。
義両親は共にはっきりと、義妹はボンヤリと見えるのだそうだが、
なぜか奥さんだけはまったく見えない質らしい。

夫婦で実家に遊びに行くと、
「あぁ、君は○○で死ぬだろうから、準備をしておいてくれ」
「娘を必要以上に苦労させたくないから、保険とかもきちんとしておいてね」
などと反応に困るようなことを言われたそうだ。

奥さんが泣きながら「あの人たちには、本当に人の死に目が見えるの」と訴えた。
「ま、用心しておくさ」と彼は返し、自分が可能な対応をすることにした。
○○から連想される場所に、絶対に近寄らないよう暮らし振りを変えてみる。

その少し後、再び訪れた実家で、今度はこんなことを言われた。
「おや、○○で死ななくなったみたいだねぇ」
「でもまだ△△かもしれないし」

「だから今は△△を避けて生活しているんだ。
 かなり天然入っているけど、義実家の人たちって悪い人じゃないんだよ。
 見方を変えれば、危険を未然に注意してくれているとも言える訳だし」
ニコニコとそう述べる彼の横で、乾いた笑いを浮かべる奥さんが印象的だった。
彼自身も強烈な天然であるのだが、当の本人はそれに気がついていない様子である。

(終)

293:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:00:23.34 Mp8aiubx0.net
75本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、引き続き 第76話をお願いします
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294:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:00:49.18 AgCPeYID0.net
【76話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『旧校舎の肝試し』


友人の話。

学生時代の夏休み、取り壊される予定の旧校舎で肝試しをしたのだという。
学校からかなりうるさく言われたので、かっちりとした計画を立て、
使用許可もちゃんと出して、スケジュール通り執り行った。
イベント自体は何も起こらず無事に終了したのだが、校舎から出た途端、
先生方が怒りながら飛んできた。

「こんな時間までどこで何やってた!?」

時計を見ると、もう少しで日が変わる刻限になっていた。
おかしい。
計画ではどんなに遅くとも、21時までには終了する予定だったのだが。

295:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:01:38.32 AgCPeYID0.net
先生方が言うには、帰りが遅いので心配し、旧校舎内を確認したのだが、
誰一人として姿が見つからなかったと。
さては連絡もせずに帰ったかと家に電話をすると、まだ誰も帰っていない
と言われたので、手分けをして探していたのだという。
しかし彼らは旧校舎からは出ていない。

彼ら生徒たちの腕時計は、皆揃ったように五時間以上遅れた時刻を指していた。

「結局、俺たちが時間を忘れて遅くなったという仕舞をつけられてさ。
 親にも学校にもえらく怒られたよ。
 でも、警察の人にまで怒られたのは困ったなぁ。
 あの人たち、マジに怖いんだもん」

彼はそう言うと肩を竦めた。

(終)

296:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:02:18.19 Mp8aiubx0.net
76本目の蝋燭が消えました・・・


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Big ◆iq3nGde8rUさん、第77話をお願いします
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297:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:03:11.50 AgCPeYID0.net
【77話】Big ◆iq3nGde8rU 様

山の中の濃霧は、登山界ではガスと言うことも多いですね。
ひどいときには、まったく視界を失って遭難の原因となることもあります。
実際、すぐ目の前を行く人の後頭部や、
自分のはいている登山靴さえ見えなくなることもあるのです。
登山をしない人でも、飛行機が雲海に突っ込み窓の外が一面に白くなるのを、
見た経験がある方もいるのではないでしょうか。霧と雲は基本的には同じものです。
「五里霧中」という故事成語があります。
国語の試験問題に出て、「夢中」という誤答例が紹介されることがありますが、
「五里霧」は五里四方に立ち込める深い霧という意味で、
中国の正史の一つである『後漢書』に初出します。
今夜させていただく話は、こうした山中での濃霧に関するものです。

『体をつかめ』

山行、この場合は近代的な登山ではなく、山菜採りや渓流釣り、
猟などで山に入った場合の山人の心得ですが、一寸先も見えないような濃霧の中では、
行動をせずに晴れ間を待つのがベストです。
しかしなかなかそうも言ってはいられません。時間的な制約もあり、
どうしても先へ進まなければならない場合、
例えば4人同行であれば、リーダーが先頭に立ち、
後ろの3人は両手を空けて前の人の腰をつかんで、そろそろと行動をします。
このとき、ザイルを伸ばしたものをつかんだり、
前を行く人のザックをつかんだりするのはあまりよくないことのようです。
こういう話があります。あるとき4人の一行が、冬に集団で巻き猟をした帰り、
ひどい濃霧に出くわしました。そこらの山塊一体がつつまれてしまったのです。

298:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:04:27.17 AgCPeYID0.net
リーダーの指示で、先にお話したように一列縦隊になり、前の者の腰をつかんで、
そろそろと下っていったのですが、3番目の男は手に獲物のウサギを下げておったため、
前の者の腰から手を離してザックの一部をつかんでしまいました。
そのまま20分ほど下ったところで、前の者がまったく動かなくなったのです。
視界はきかなくとも、ザックをつかんだ感触は間違いないので、
「おおい、どした。なんで止まっとる」と声かけをしても返事はなし。
今度は最後尾の者が声をかけましたが、やはり同じでウンともスンとも言わない。
そこで手探りでザックの前を探ってみると、驚いたことにザラザラとした木の感触。
立木がザックを背負っているとしか思えませんでした。
しかし、そんなことがあるはずはない。それはそうでしょう。
そこまで前の者をつかんで、立ち止まりもせずに歩いてき


299:たんですから。 これは何かに化かされていると感じた男は、後ろの男に、 その場に腰掛けるように言い、2人でブカブカと煙草をふかし始めました。 物の怪や獣の化かしには、煙草の煙がよいとされていたのですよ。 そうして、霧が晴れるのをじっくりと待ちました。 視界が回復してびっくり仰天、やはりさきほど手さぐりしたとおりに、 大きなブナの木がザックを背負った形になっていたのです。 そして、そのザックは2人目の男のものに間違いはありませんでした。 ためすがめつ調べても仲間のザックなので、少々気味悪くとも持って山を降りました。 幸いなことに、前にいた2人もすでに山を下りて里に入っていましたが、 2人目の男のザックは当然ながら、なし。両腕を通して背負っているものが、 本人が気づかないうちにするりと脱げてなくなってしまっていたのです。 (終)



300:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:05:27.56 Mp8aiubx0.net
77本目の蝋燭が消えました・・・


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Big ◆iq3nGde8rUさん、引き続き 第78話をお願いします
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301:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:06:40.87 AgCPeYID0.net
【78話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『反魂』

このような濃霧の中では、何かがくるとも言われます。
何か・・・とは、前の話のようにキツネやタヌキなのかもしれませんし、
あるいは人や獣どころか、この世のものではないかもしれません。
やはり猟をしていた5人組が、山中で濃霧に遭遇し、
前の者の腰をつかんで、そろそろとムカデ歩きをしていたときのことです。
最後尾の男が、「おやあ、何か来た」と声を出しました。
こういう場合、前に立つリーダーは、「何も来ねえ、気をしっかり持て」
と声をかけます。仮に他の登山者が後ろにいるのだとしても、
何もしてやることはできませんし。お話したように、
来たのがこの世のものとはかぎらないからです。
「うんだな」最後の男はつぶやきましたが、またしばらくして、

「何か来た、何か来た」と叫びました。「何かが俺の腰に取りついとる!」と。
リーダーが「何も来てねえ」とまた言い、残りの者も「んだ。何も来てねえぞ」
と復唱します。最後尾の男は黙りましたが、またしばらくして、
「来たぞ、来てるぞ。女の手だあ。こらあ俺の女房の手だろう」
これを聞いて皆はぞっと背筋が寒くなりました。
男の女房は去年の冬に肺炎で死んだのを知っていたからです。
それもちょうど今頃の時期に。「〇〇さぁ」最後尾の男はリーダーの名前を呼びました。

302:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:07:24.61 AgCPeYID0.net
「俺、ここに残ってもいいかあ。女房が来てるようだども」
「ダメだあ!」リーダーが叫び、残りの者も復唱します。
「おめえの女房はもう鬼籍に入っとるだろうに。そら、おおかたメス狐だろうて」
リーダーはそう言うと4人目の男の名を呼び、
「□□が離れねえようにおめえ、手首を引いてやれ」こう指示したのです。
しばらく進むとまた、最後尾の男の声が聞こえて、
「今よう、俺の女房が隣について歩いておる」こんな内容です。
リーダーは「この霧じゃあ見えるわけがなかろう。そら、この世のもんではねえから」
そしてひときわ声を張り上げて、「オン アビラウンケンソワカ」と唱えました。
そのあたりの山はいわゆる霊山でもあり、修験者の姿を見かけることも多く、
猟師連中も真言(マントラ)を知っていたのです。一行はそのまま、
「阿 毘 羅 吽 欠 蘇 婆 訶」と地水火風空の真言を唱和しながら、
ムカデ姿のまま、ゆっくりとゆっくりと山を下ったのです。
もしもはたから見ることができれば、さぞや異様な光景だったことでしょう。
ともかく、そうしているうちに霧は晴れ、一人の脱落者も出さず戻ることができたそうです。

(終)

303:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:09:48.10 Mp8aiubx0.net
78本目の蝋燭が消えました・・・


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Big ◆iq3nGde8rUさん、引き続き 第79話をお願いします
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304:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:10:17.35 AgCPeYID0.net
【79話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『遊郭』

前の話で


305:、最後尾の男に働きかけてきたものは何だったのでしょう。 キツネやタヌキなど山の獣がちょっかいを仕掛けてきたのでしょうか。 そうかもしれませんし、本当に、男の死んだ女房が姿を見せたのかもしれません。 そうです。このような濃霧のときには、この世とあの世の道がつながるということも、 けしてないとは言えないでしょう。 さて、前の話ではリーダーがしっかりした山の男だったので、 無事に戻ることができたのですが、そういうケースばかりではありません。 リーダーには歳はあまり関係がなく、仲間に信頼のあるものがなるのです。 せまい集落で生まれ育ったものどうし、気性は子どもの頃から知っているわけですから。 ただし毎回そううまくいくとも限りません。 そのリーダーねらわれてしまうこともあるのです。 やはり霧の中で、4人がそろそろとムカデ歩きをしておりますと、 まったく視界がない中ながら、どうも道が違うような気がしてきました。 そこで2番めの男がリーダーに、「これはどうも道がおかしくねえか」と聞くと、 「これでええんじゃ」という答え。まあ、一本道のはずですから気のせいかと思ったものの、 やはりおかしい感がある。そのうちに下ってるはずの道が登り始め、 これは絶対におかしいと後ろの3人は確信しました。 「〇〇さあ、これで本当にええんか」とリーダーに呼びかけると、 「ええんじゃよ。もうすぐ着くし、着いたらまずはゆっくり風呂につかろう」 これを聞いて仰天「風呂って何のことだ? 温泉は山の向こうだろうが」 そう言うと、「うんにゃ温泉でねえ。△△閣だって」 「△△閣!?」 皆が絶句したのも無理はありません。



306:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:11:55.54 AgCPeYID0.net
それは大正時代、そのあたりが木材の集積地だった頃にできた遊郭の名前ですが、
なくなってからもう数十年がたっていたのですから。
リーダーにしても子ども時分の話で、△△閣に入ったことがあるとは思えませんでした。
「おめえ、こら、気をしっかり持て。△△閣など、そんなものはもうどこにもねえ」
一行は止まって、リーダーを無理矢理に交代させ、
いっそうぴったりとくっつくようにして山を下ったのです。
後になってから、途中までリーダーを務めていた男に、
「おめえ、何であんなことを言った?」と聞いてみましたら、
発言そのものは覚えてましたが、そこからは自分でもわけがわからない様子で、
「△△閣はなあ、確かに子ども時分に何度か前を通ったことはあるがなあ。
 夜でもたくさん明かりがついて、きれいだったなあ」こんな述懐をしました。

(終)

307:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:13:05.27 Mp8aiubx0.net
79本目の蝋燭が消えました・・・


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クラリス ◆LdeleVChTEさん、第80話をお願いします
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308:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:14:39.37 AgCPeYID0.net
【80話】クラリス ◆LdeleVChTE 様
『音』

夜中過ぎ、布団に入ってもなかなか寝付けずにいる時に決まって聞こえてくる音がある。
枕元の窓の外、ベランダに敷いてあるパネルを踏みしめるようなグググッという音。
不思議に思ってベランダをライトで照らしてみても何も無い。
気のせいかと思って横になるとまた音がする。

出処を探ろうと聞き耳を立ててみるが、少し左右に動くことはあるものの、やはり頭の上、ベランダから聞こえてくるような気がする。
音が聞こえる間隔は不規則で、音自体もククッと軽くて短い音もあれば、ググググと重く少し長い音もある。

ベランダや部屋の中で音源を探してみてもそれらしきものは見当たらない。
起きている時や布団に入っていても日付が変わる前に眠ってしまう時には聞こえない。
夜中過ぎ、布団の中で睡魔を待っているときに限って耳にするのだ。


今夜、音は聞こえるだろうか?

(終)

309:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:16:41.74 Mp8aiubx0.net
80本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、第81話をお願いします
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310:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:18:31.35 AgCPeYID0.net
【81話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『夏祭り』


知り合いの話。

彼女が夏祭りに出かけたある夜のこと。
屋台を冷やかしていると「ママ」と呼ぶ声が耳に届いた。
娘の声だ。彼女を呼んでいる。

慌てて姿を探すも、人混みのどこにも見つからない。
人がいない寂しい方へ進む内に、友人たちと出会う。
「娘を探しているの! 探すの手伝って!」
とパニックになりながら伝えると、不思議そうな顔で聞き返された。

「誰の娘のこと? あなた、まだ結婚していなかったよね?」

そこで我に返る。
自分には彼氏も旦那もいない。未婚だし、子供など当然産んだこともない。
そもそも、誰と一緒に祭りへ来たのか、それさえも思い出せない。

311:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:19:45.16 AgCPeYID0.net
別のパニックに襲われた彼女を見て、友人たちは只事ではないと感じたらしい。
彼女を落ち着かせようとする者、彼女の家へ連絡する者に別れ、場は騒然とした。
皆に送られて家へ帰ったのだが、そこで母親から奇妙なことを聞かされた。

「あれ貴女、一緒に出かけた男性と女の子はどうしたの?
 え、誰のことかって? 家の前を三人で並んで歩いていたじゃない。
 ”知り合いなの?”って声を掛けても振り返らないから、そっとしといたんだけど」

すると父親がこれまたおかしなことを言う。
「わしが車で帰ってきた時、お前と擦れ違ったんだが、気がつかなかったみたいだな。
 でもお前、どう見ても一人だったんだが」

家族間で言い争いになりかけたが、友人たちが取りなしてくれてその場は治まった。
その後は、特におかしなことも起こっていないそうだ。

しかし、今でも気になって仕方がないのだという。
あれは一体、誰の声だったのか。
彼女はあれ以来、夏祭りがどうにも恐ろしく感じられるのだといっていた。

(終)

312:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:21:24.00 Mp8aiubx0.net
81本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、引き続き 第82話をお願いします
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313:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:22:39.38 AgCPeYID0.net
【82話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『消された刺青』


知り合いの話。

彼は結婚する以前、風俗に嵌まっていたのだという。
よく利用したのがデリバリー・ヘルスというやつで、彼が言うには
「今思うと、素人っぽい女の子が来るのが良かったんだろうな。
 性的にスレていないっていうか、ちと初心っぽく恥ずかしがるのが」
ということだった。
実際にそうなのかは私は知らない。残念ながら知らない。

ある晩に呼んだ女の子が、正にそんな女の子だったらしい。
行為自体に抵抗感はないけれど、マジマジと見られるのは恥ずかしい。
そんな反応に興奮しながらシャワーを浴び、ベッドインした。

イチャイチャしている内、彼女の手首に古傷があることに気がついた。
一瞬、手首を切った痕かとも思ったが、それにしては範囲が広い。
切ったと言うより、手首野辺り一面を引っ掻いて毟ったような傷。

傷痕を凝視していると、彼女の方も見られていることに気がついた様子で、
こんなことを説明してきた。

「あぁこの傷、別に自殺しようとしたとか、そんなのではないですよ。
 前に若気の至りで、当時付き合ってた彼氏の名前を彫り込んでいたんです。
 彫るっていっても本格的な刺青でなく、自分たちでやったんですけどね。
 彼氏もあたしの名前を自分の腕に刻んでました」

「”若気の至り”って、きみ、まだまだ全然若いんだけど……」
数年前に不惑を越えてしまっている彼は、聞いて少し複雑だったらしい。

314:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:24:33.30 AgCPeYID0.net
彼の心中には気がつかず、彼女は喋り続けた。
「この元彼ってヤツが本当に浮気者で。
 何度も何度も泣かされて、結局喧嘩別れしちゃったんですよ。
 もう哀しいやら情けないやらで、別れた夜に思わず、手首の名前を
 バリバリ毟り上げたんです。
 もう血�


315:hれになっちゃって、やってる時は夢中で感じなかったけど、  落ち着いてきたら痛くて痛くて……泣いちゃいました」 「皮を毟れば、そりゃ痛いだろうさ」 想像してどうしようもなく顔を顰める彼を気にせず、彼女は更に続ける。 「で、夜中に病院行ったりバタバタしてたら、ヤツのことで悩んでるのが  何か急に馬鹿らしくなって。一気に冷めたんです。  あー、もうこれで気にせずに済むわ、なんて考えたんですが……」 「私が刺青を毟ったその翌日にですね。  元彼、死んでたんですよ。ポックリと。  詳しくは聞いてないんけど、心臓発作か何かだったらしくて。  思わず、自分の手首を見つめちゃいました。  ……私が彼の名前を消しちゃったから、彼が死んじゃった……?  落ち着いて考えると、すごく馬鹿馬鹿しい考えだと思うんですけど、  どうしても連想しちゃうんですよね」



316:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:25:46.92 AgCPeYID0.net
話の意外な展開に、彼が口をパクパクしていると、これまた気にせず
彼女はアッケラカンと宣った。
「だから、ちゃんとした整形外科で、この傷消すことに決めたんです。
 死んでからもあたしに気に掛けさせるなんて、本当むかつきますよね!
 もう綺麗さっぱりと消してしまいます」

「……えっと、ひょっとしてこの仕事を始めたのは……」
「勿論、手術代を稼ぐためです!」

頑張ります、と手を握り混む彼女の姿は、それはそれで可愛かったという。
この後、彼は風俗遊びを控えるようになり、そのまま知己に紹介された女性と
結婚をしたそうだ。

(終)

317:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:26:34.35 Mp8aiubx0.net
82本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、引き続き 第83話をお願いします
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318:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:28:07.71 AgCPeYID0.net
【83話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『豪邸の犬小屋』

顔馴染みから聞いた話。

彼の家の前には、ものすごい豪邸があるらしい。
そこの庭の一角に、これまた豪華な犬小屋が置かれている。
ちょっと前まで立派な犬がいたのだが、今は死んでしまったのか、何もいない。

ある寝苦しい夜、ボンヤリとそこの庭を眺めていると、何やら動く影が見えた。
芝生の上を大きな物がうろうろしている。

どう見ても、四つん這いになった人の影だった。

息を殺してみていると、やがて影は犬小屋の中へ入っていった。
それからすぐに、母屋から人が出てきた。顔見知りの住人だ。
懐中電灯で足元を照らしながら、犬小屋の方へ向かっている。
小屋の前まで辿り着くと、電灯の光をその中へ向けた。

犬小屋の中には、何の姿も見えなかった。
彼の目線からでも、空っぽの小屋内が見えたのだという。

彼が見ていた間に、犬小屋から出ていったものは無い。
さっき入っていった影は、宙に溶けるように消えていた。

住人は首を傾げながら、母屋へ帰っていく。
彼はそこでカーテンを閉め、それ以上庭が見えないようにしたのだという。

その後、何度かその住人と顔を合わし会話をしたが、あの夜の影については、
結局聞けていないままなのだそうだ。

(終)

319:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:29:42.56 Mp8aiubx0.net
83本目の蝋燭が消えました・・・


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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第84話をお願いします
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320:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:30:24.52 AgCPeYID0.net
【84話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『たった今きいた事』

さっきまで友人に会ってたんですよ
友人は女ですが、あまり家庭環境が良くなくて私も母子家庭だったので気が合いました
友人の家は父親が酒飲みで、でもお店しててお金はありました
母親が出て行って彼女と幼い弟と父親の三人家族でした
父親は人の良いおじさんだったけど、たまに化粧の濃い女性を怒鳴りつけてるのとか見て
ちょっと怖いなーって感じでした
友人はあまり家庭の事は話してくれませんでした
私も話しなかったし、まあ互いに気遣うタブーみたいな感じです
父親は何度も女性を母親代わりに家に入れていました
私も友人を誘いに行くたびに女性がコロコロ違う人なのを知ってます
さっき会った友人と他愛もない話をしながら、友人はふと笑いつつ
「私ってさ、なんか嫌いな奴に消えろ!!って思うと本当に消えるのよ」
と仕事の愚痴を言いつつ教えてくれました
それで思い出したんですけど、彼女と幼い頃に七夕の祭りに行ったことがあります
当時の私たちはおまじないが流行していて、今でもあるかな?
赤い文字で書くと呪いになって寿命が縮むってやつ
彼女の持ってきた七夕の笹は綺麗に沢山飾られていて、まとめて燃やして貰うんだけど
赤い短冊にいっぱい名前が書かれてた
なんとか子とか漢字が難しくてわかんなかったけど、赤い字で赤い短冊にビッシリだった
なんか怖くて、その時は見ないフリした
それを思い出した
「あんた、あんま人を恨んだらダメだよ」と言うと友人は笑って「だね」って言ってた
「ところでこれネットで書いていい?」に「いいよ」って言うから今書いてます
でね、たって今外で突然に雨降ってきました

(終)

321:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:31:50.13 Mp8aiubx0.net
84本目の蝋燭が消えました・・・


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安納芋 ◆hJ/HYR69s6さん、第85話をお願いします
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322:安納芋 ◆hJ/HYR69s6 @\(^o^)/
15/08/30 04:33:37.15 M0q+yl87O.net
第85話『ホトトギス』

数年前郊外に引っ越してから、様々な鳥のさえずりを耳にする様になった。山鳩やカッコウもいいけれど、特に気に入ったのが初夏の日没後から夜明けまで、水笛に似た声で鳴く鳥だ。
裏の土手にある緑地や、川向こうの山から聞こえて来る。
ピョキョキョ、ピキョキョキョキョ……調べたところホトトギスの声が一番近い。良い声で鳴くものだ。
鳴き声が聞こえる晩はたびたび窓を開け、ホトトギスのさえずりを楽しんでいた。

今年の6月の事。夜1時過ぎに帰宅し車から降りると、ホトトギスの鳴き声がする。かなり近くからだ。
何処にいるんだろう?見える訳もないのに音のする方向…真っ暗な土手に目を凝らした。すると、小さな明かりが土手の上を移動している。高さや大きさ、スピードからして自転車のライトらしい。
夜中にサイクリングをする人もいるだろうが…おかしな事に、どうもライトが近づくにつれホトトギスの声が大きくなっている様なのだ。
耳を澄まし土手を見上げる私の前を、鳴き声と共にライトが通り過ぎる。自転車から鳴き声が聞こえているのに違いなかった。

深夜、真っ暗な土手を自転車で走りながら、水笛を吹いてる人がいる…

正直ゾッとした。今まで聞いてきたホトトギスの声の内、幾つかはコレだったのではないか?
そう考えると恐ろしくなり、慌てて家に入ろうとした。そんな私の目に再び明かりが飛び込んで来る。あの自転車がUターンして戻って来た。
いや、自転車にしてはありえない動きの明かりがこちらに向かって来たのだ。
それはまるで蛇の様に上下にくねり、大きさも先程の三倍はある。鳴き声はキャキャキャア!ギャギャギャア!と原型を留めていなかった。
今度こそ家に駆け込んだ。それでも鳴き声が聞こえそうで、布団を頭から被り耳を塞いで朝を待った。

幸い、この夜以降コレには遭遇していない。が、今ではホトトギスの声が聞こえると、窓を閉め鍵をかけている。

【了】

323:安納芋 ◆hJ/HYR69s6 @\(^o^)/
15/08/30 04:36:15.30 M0q+yl87O.net
85本目の蝋燭が消えました・・・


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柚子 ◆jQbx36WU5o1jさん、第86話をお願いします
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324:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:37:01.92 AgCPeYID0.net
【86話】柚子 ◆jQbx36WU5o1j 様
『無題』

姉が小学生の時に体験した話です
小5の頃、姉のクラスメイトにYちゃんという子がいました
しかしYちゃんは事故で亡くなってしまったんです
小6になった
ある時、仲良しグループのMちゃんがこんな事を提案しました
?かごめかごめってあるでしょ?あれでね鬼がいないままやると霊が出るんだって。その時に亡くなった人が鬼としていることにしてやると、その亡くなった人が現れるんだって?
?もしYちゃんがいるとしてやったらYちゃんが来るのかな?
姉が何気なくそんな事を呟くと
?Yちゃんに会えるのかな??やってみる??
姉たちはそのかごめかごめをやることになりました

その日の昼休み、姉たちは音楽室に行きました
ここなら昼休み中でもあまり人が来ないいため選んだようです
集まった5人は手を繋いで輪になりかごめかごめを始めました
?最初の鬼はYちゃんね?
?誰が後ろにいるかちゃんと当ててね?
5人はあたかもそこにYちゃんがいるかのように声を掛けました
?かーごめかーごめ、かごのなーかのとーりーはーいーついーつでーやーる、よーあけのばーんに、つるとかめとすべったーうしろのしょうめんだぁれ?

?ア…ア…ア…?

聞こえてきたうめき声に5人はとっさにそこから駆け出しました
?今の何!?今の何!??
?さっきのMちゃんでしょ!?
?違う違う?
?ねぇもしさっきの声がYちゃんだったら逃げたのはまずくない。怖がったりしたらYちゃんが可哀想だよ!?
姉も確かにYちゃんなら逃げるのは酷い行為なのではないかと思ったそうです
音楽室に戻ることになりましたがそこで昼休み終了のチャイムが鳴ってしまい放課後また来ることにしました

325:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:38:06.24 AgCPeYID0.net
放課後姉たちはまたかごめかごめをしました
しかし今度は何も声はしません
?Yちゃんさっきは逃げてごめんね?
?もしYちゃんなら出て来て。もうYちゃんのこと怖がったりしないよ?
みんな謝りましたが何も起こりませんでした

昼休みに聞こえた声はYちゃんだったのか
もしかしたら気づかなかっただけで音楽室に誰かいたのかもしれません
姉たちは帰ることにしました
校門を出て少し離れたところでふと姉は立ち止まり音楽室を見ました
三階の一番端の窓
そこに誰が立っていました
距離があるので顔までは分かりません
なんとなくYちゃんに似てる気がする
姉は?ねぇあそこ見て?
他のみんなも姉が指す音楽室を見ました
Yちゃんに似てる女の子はこちらに向かって手を振っている
?もしかしたらYちゃんじゃない??
?本当に会いに来てくれたのかも?
『Yちゃーん』
5人は音楽室に向かって手を振り返しました
すると突然女の子は真っ黒な影になったかと思うとドロリと溶けるように形をなくし
黒い塊はべちゃりと窓に貼り付いて煙のように消え失せました
姉たちは悲鳴をあげそこから急いで逃げ去りました

果たしてあの黒い影はYちゃんだったのか



326:サれとも別の何かだったのか 姉たちは後日Yちゃんのお墓参りに行き謝ったそうです (終)



327:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:38:49.91 Mp8aiubx0.net
86本目の蝋燭が消えました・・・


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デッドエンド ◆JY70SElFKIさん、第87話をお願いします
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328:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:40:28.45 AgCPeYID0.net
【87話】デッドエンド ◆JY70SElFKI 様
『おんぶ』

まだ携帯電話がなかった時代の話です。
晩に電話ボックスで友人と電話をしていた時、空の月の話になって外をみようとしたら、なぜか四方をガラス面で囲んだ電話ボックスの1面だけ見えない。
近ずくと見えなくなるわけです。ん?どうゆうこと?そのことを電話相手に話すと「霊が張り付いてんねん(笑)」と私を怖がらさるためなのか笑えないことを言ってきました。
そして「なんか音聞こえるけどなに?」と聞かれ私もその音に気づきました。
それは水が落ちてきて竹がスコーンって鳴るやつ。
あれに似た音でした。これってラップ音てやつ?そうこうするうちに友人がちょと待っててと言うので受話器を耳に当てたままボックスの中でしゃがみこんで待っていたら、なんか誰かと目が合ってる。
膝ぐらいの高さの草むらから顔だけ出してる男の人の目と合ってるんです。
友人の呼びかけにもしばらく気づかずただ頭が真っ白で目が釘ずけになっていました。
やっと友人のもしもしに気づき、目が合ってたと言うと、はぁ?と返され今起こってたことを話すと、もうそこ離れた方かいいよと言われ電話を切って家に帰ることにしました。
ふと横を向くと、ボックスのガラス面って夜に見ると鏡のように自分の姿が映るですが白いシャツを着た男の人が映ってるです。
その前に私の姿、よく見ると私におぶさっている。
首から上が無い男の人が、、その途端急に体調が悪くなり汗、冷汗?が流れだし体が重い重い。
重い足どりでヨチヨチと家まで辿りついて、友人に無事に帰ったことを報告するために受話器を取りプッシュホンを押す。
ピッピッ、、ピッ、ん?なんか口もとが濡れてる。血吐いてる!?慌てて洗面所に行き電気を付けて自分の顔を見る。
なにも出ていない。いったい何が何だかわからない怖い体験をしました。



329:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:40:43.52 Mp8aiubx0.net
87本目の蝋燭が消えました・・・


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こげ ◆b9EIe80Jrg.5さん、第88話をお願いします
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330:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:42:05.08 AgCPeYID0.net
【88話】こげ ◆b9EIe80Jrg.5 様
『無題』

私はサバイバルゲームのチームに所属しています。
サバイバルゲーム中、変なモノを見てしまうことが良くあります。
昼間も見ますが…数はやっぱり夜の方が圧倒的です。
管理されていない雑草や樹木が伸び放題の公園で春先に夜戦をやったとき、
元は芝生だったと思われる草むらを挟んで決戦の場となったところを、ふらふらと歩く人影が横切っていきました。
人がいると分かった時点で即座にゲームを中断して、その人影の動向を見守っていたのですが…
背を弓のように反らせてケタケタと笑い始めたんです。
もう、狂ったように大声をあげて…もしかしたら気の毒な人かもしれないと、
チームリーダーが立ち上がって草むらに一歩踏み入れた途端、
その場へ仰向けで倒れこむようにして…
そして、消えてしまいました。
BB弾がヒットして安全地帯で待機している人以外が見守っている中で…


夏の夜に同じ公園でのことです。
ゲームを始めてから30分足らずで雷雨になってしまい、
駐車場前の東屋に避難して雨が止むのを待っていました。
叩きつけてくるような雨に、雷鳴と雷光がひっきりなしで…
そこでメンバーの1人が雨の中、誰かいるぞと、元は芝生だったと思われる草むらを指をさしました。
私には全然、見えません。
誰かが警察や軍の特殊部隊が使っている強力な懐中電灯で草むらを照らしてみましたが見つかりません。
雷が光った時だけ見えると、指をさした人は言いました。
十数秒後、目に焼き付き現象が起こるほどの


331:眩い白光で周囲が塗りつぶされ、 草むらの中ほどで、ネガとポジが反転したような真っ黒い人が立っているのが本当に見えました。 全部で9人いましす。 さっきはもっと遠くにいたと、最初に見た人が雷鳴に声がかき消されない為か、大声で叫びます。 それからまた、辺りが白く染まるほどの雷光… 草むらを四分の三ほど進んだところに黒い9人がいます。 確かに、稲光を放つ度に近づいてきています。



332:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:43:14.64 AgCPeYID0.net
次でたぶん、私達がいる東屋へかなり近づいてきている筈です。
そして、雷光が周囲を覆い尽くして、草むらの端にずぶ濡れで立つ9人の女性を浮かび上がらせました。
この世のものとは思えない程の酷い表情をしてます。
彼女等が草むらの端まで到達した姿を浮かび上がらせた後、
雷雨はぴたりと止みました。


彼岸を過ぎた秋の夜、河川敷でゲームを行っていたときのことです。
川辺に近い枯れ草の後ろでVSR-10を構えてアンブッシュしている時、
子供のはしゃぎ声を聞いた気がしました。
気のせいだと思うことにして30mmチューブのスコープへ目を戻します。
すると、また声が…1人とかじゃなくて複数で…楽しく遊んでいるような声…確かに聞きました。
私の背後から…
射撃体勢を一時中断して振り返ってみました。
おかしなところは別に…いえ、なんだか後の方の川面が明るくなって…枯れた水草もほんのり明るく…
それを見た途端に悪寒が…ゾクゾクと背筋が…
思わずライフルを抱いて場所移動を行おうとしたところでチームリーダーが突然、現れ…
今夜はこれでゲームは中止だと宣言しました。
あれが出たからだと川面を指さします。
明かりが川を下ってきます。
まるで月が水面に映っているみたいに…
そこでまた、子供達のはしゃく声が聞こえてきました。
今度はかなり大きくはっきりと…
丸い明かりが私とリーダーの目の前を通り過ぎていきます。
黄色く光る輪の中で小さな髑髏が幾つも浮き沈みを繰り返してました。
溺れて助けを求めているみたいに見えます。
はしゃぎ声じゃなくて、悲鳴でした。
遥か昔に川で死んだ子供が子供を呼び…同じように溺死させる…それがまた、子供を呼んで溺死させる…
連綿と続く死の鎖がアレなのだと…
アレを見てもゲームを続けると、お持ち帰りの確率が高くなるんだとか

333:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:44:19.66 AgCPeYID0.net
廃校となった小学校で凍えるような寒い冬の晩にゲームをしたとき、
何故かゲーム開始早々に激しい射撃音が聞こえてきました。
2チームに分かれて旗の取り合いをする…俗に言うフラッグ戦なので…
私達の方はスタート地点からほとんど動いていないというのに…
相手が何か策を弄しているのかも…でも、自分達がいる場所を教えているようなものだし…
何人かが突出し、釣られてホイホイ寄ってきた私達を待ち伏せする作戦でしょうか?
でも、射撃音なんですが…あちらの全員で行っているみたいで…
只事じゃないと、それで全員で向かったんです。
一応、警戒はしながら…
相手チームは全員、スタート地点の部屋から一歩も出ずに…
運動場に面した窓に向かって狂ったように射撃してました。
話しかけられる雰囲気じゃありませんでした。
結局、彼等は弾切れになっても引金から指を離さず撃ち続けてて…
私達のチームのリーダーが大きな拍手を打ったんです。
それで、相手チームの人達は我に返り…
窓の外に、鈴なりとなった子供がいて、部屋の中を覗き込んでたそうです。
というか、窓を抜けて中へ侵入しようとしていたみたいだったと…


あるチームのお話なのですが、河川敷で夜戦をしていた時…
最終ゲームを終えたらメンバーの一人がフィールド中央にある木へパラコードを巻き付け…
首を吊って亡くなられていたそうです。
昔からその木でかなりの数の方が自殺されているそうで、首吊りの木と呼ばれているのだとか…
ゲーム中にいつ、その方がいなくなったか覚えている人は誰もいなかったそうです。
私は心霊スポット探検を趣味としていまして、その話を知って見に行ってみたいと言ったら…
その木を見に行く為にはサバイバルゲームフィールドの中にあるのだから、
サバイバルゲームをやらない人間には絶対に見せてやらないという掟があるという、
考えてみればすぐ分かる嘘に引っ掛かってサバイバルゲームを始めました。


(了)

334:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:47:29.80 Mp8aiubx0.net
88本目の蝋燭が消えました・・・


                      γ
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         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
猫虫 ◆5G/PPtnDVUさん、第89話をお願いします
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語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

335:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 04:48:01.58 slHZZ5U50.net
【鏡の向こう】

これは高校時代に俺が体験した話だ。

俺の通っていた学校には、1階と2階をつなぐ階段の踊り場に巨大な鏡が設置されていた。
端っこに『昭和○○年度卒業生寄贈』みたいな事が書かれている物だ。
中央昇降口の手前なので、その鏡で身づくろいをしてから下校する生徒が多かった。
かく言う俺も日々利用していたのだが、まさかあんな目に遭うとは思ってもみなかった。

その日、俺は文化祭の仕事で遅くなった上、「雨ひどくなりそうだし、後は俺がやっとくから帰っていいよ」なんてかっこつけたもんだから、帰る頃には辺りはもう真っ暗になっていた。
荷物をまとめて階段を下り、いつものように鏡の前で髪を整えていた時の事。
突然、轟音と共に昇降口の方から青白い光が放たれた。
落雷だ、と思った瞬間、頼りなげに踊り場を照らしていた蛍光灯の明かりが消え、辺りは一瞬で暗闇に包まれた。

突然の停電で暗闇に目がついていけず、夜目がきくようになるまでの間、右も左も上も下も分からないような真の『真っ暗』を体験した。
目が見えない時は不安になるもので、とにかく何か固定されたものに触れたくなり、俺は鏡に手をついた。
その瞬間、急にめまいを覚えた。
あ、なんかやばい、と思って咄嗟にしゃがみこんだのだが、まるでそのまま前転するかのようなめまいの感覚に、俺は吐きそうになった。
両手と頭を鏡に押しつけてしばらく吐き気をこらえていると、急にチカチカッと蛍光灯が瞬いて明かりが戻った。
安堵したのと同時にめまいも治まり、吐き気も急激に退いていった。

336:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 04:48:52.63 rrgQ+nhr0.net
昇降口を振り返ると、外ではまだ雷が激しく光っており、俺は帰るべきか留まるべきか迷った。
とりあえず親に電話して、あわよくば迎えに来てもらえないかと考え、俺は公衆電話のある職員用の玄関へ向かう事にした。
が、鏡に背を向けて階段を降りようとした瞬間、妙な違和感を覚えた。
(あれ…下りの階段って、こっち側だったっけ…?)
上の階から降りてくる時、自分の感覚としては半時計回りに螺旋を描くように降りてくるはずだった。
だが階段を見ると、下りは時計回りだ。

奇妙な感覚のズレ。
だが目の前の階段が紛れもなく時計回りなのだから、違和感は気のせいなのだろう。
俺は深く考えない事に決め、階段を降りようと手すりに手を伸ばした…のだが。
俺は何故か利き手ではない左手で


337:無意識に手すりを掴んだ。 (え、なんで左手?) 慌てて手すりから手を離し、自分の左手をまじまじと見つめる。 その時、いつも嵌めているはずの腕時計がない事に気が付いた。 (あっ、やべ!時計なくした!) 思わず右手で左手首を掴んだ、その時。 明らかな異変がそこにあった。 時計が、右手の手首に付いている。 混乱する頭が、さらに混乱を招くものに気付く。 文字盤のデジタル表示が、反対向きの鏡文字になっているではないか!



338:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 04:49:47.42 rrgQ+nhr0.net
ありえない、と思いながら鏡を振り返ると、左手首に時計を付けた自分と目が合った。
鏡に駆け寄り、バンッと音を立てて両手を叩きつけると、鏡の向こうの自分も全く同じ動きを返した。
ガラス一枚隔てて、正しいはずの俺の姿と真反対になった俺の姿が向かい合う。
「何だよ、これ…戻れ、戻れ戻れ戻れ戻れ、戻ってくれって!!!」
鏡面に頭をこすりつけるようにしながら、俺は叫んだ。

「んぁー?そこにいんの、Iかぁー?」
突如、能天気な声が背後から掛けられ、俺は慌てて振り返った。
階段の下から、去年担任だった先生が訝しげにこちらを見上げていた。
「お前、何やってんだ?もう校舎閉めるぞー?」
「あああ、先生!あの、俺、その、ちょっともうなんかアレなんスよおぉー!」と、俺は意味不明な事を喚きながら半泣きで先生のもとへと駆け下りた。
「おうおう、どーした、何だ、なんかあったか?フラれたか?」
先生は勢い余ってぶつかってきた俺を受け止めると、幼児にするように背中をぽんぽんと叩いた。
混乱と安堵と訳の分からない苛立ちがごちゃまぜになり、俺はただ号泣するしかなかった。

泣きじゃくる俺を職員室の応接スペースに連れていくと、先生は校舎を閉めるために校内の見回りへと出かけた。
ひっくひっくとしゃくりあげながらも、俺の頭は少しずつ冷静さを取り戻していった。
先生は後で話を聞いてやると言ってくれたが、こんな事を話しても気がふれたとしか思われないだろう。
鏡の世界にいる事など証明のしようもないし、もしかしたら本当に俺の頭がおかしいのかもしれないと自分で思い始めてもいた。

339:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 04:51:22.53 rrgQ+nhr0.net
全部気のせいなんじゃないかと辺りを見回すが、壁に貼られたプリントもマグカップの英文も全て違和感だらけの鏡文字。
だが、何故か視線は自然に文頭から文末へと動き、普通に内容は読めた。
その上、ノートとペンを出して試しに自分でも字を書いてみると、利き手ではない左手でスラスラと自然に鏡文字が書けた。
逆に、もともとの正しい文字を書こうとすると、脳内で形や向きをひとつひとつ意識しないと書けず、書き上がった文字を見ると「この字ほんとにこれで合ってるのか?」とゲシュタルト崩壊に近い感覚を覚えた。
左右の手で書き比べたりもしたのだが、今の利き手はどうやら左手のようだった。

見回りから戻ってきた先生はノートにひらがなを必死で並べている俺の姿を憐みの目で見つめると、左ハンドルの日本車で自宅まで送ってくれた。
泣いた理由を車内で尋ねられたが、今は話したくないですと言うと「まぁ若い頃にはいろいろあるもんだしな」と言って話を終わらせてくれた。

それからしばらくの間、俺は左右反対の世界で過ごした。
初めのうちは違和感に苛まれ続けたし、なんとか戻れないかと試行錯誤していたのだが、恐ろしい事にだんだんとこちらの方が正しい世界なんじゃないかと思い始めた。
厳密に言えば、俺がおかしくなっただけで世界は何も変わってはいないんじゃないかという感覚だ。
左右反対に道を辿って学校へ行き、左手を使って鏡文字でノートを取る。
そんな生活に慣れ始めたあたりで、「いやいや、やっぱヤバイだろ」と思い直した。


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