暇つぶし2chat OCCULT
- 暇つぶし2ch213:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:26:26.93 ujnfAOrg0.net
50本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第51話をお願いします
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語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

214:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:27:26.50 slHZZ5U50.net
【51話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『防空壕』
田舎で昔の話だから、わりと怖い話は多かったんですけど
これは私が直接見たのではないです
小学校の近くに踏み切りがあるんです
そこを超えると小高い山があって昔の防空壕があったそうです
話は聞いてましたが地元の誰もが近づくなというので私は行きませんでした
同級生の男の子たちが肝試しにそこに行くというのを聞いて誘われたけど断りました
やんちゃ坊主の4~5人のうちA君がリーダーな感じで、そこに行ったそうです
次の日に女子たちに彼らが興奮した様子で教えてくれました
「最初はおもしろ半分でさ」「古い神社の奥に穴があったよ」「墓みたいだっけど人の手で掘られてた」
「入ろうってAが言ったけど俺たちは気持ち悪いって言ったらあいつ入ってった」
「でAが笑って、弱虫って出てきた時に俺らみたんだよ」「ああ見た」
そこで一旦何かに怯えるように話は止まりました
「なんか緑の人影がさ…ゆらゆらついてきてた」「目だけリアルにギョロギョロしてて」
「あ、やべーってAに言ったらさ怒るんだよ、脅すなとか」「でもいたよな」「ああ」
「だからAに後ろ振り向けって言ったんだ」「Aが振り返る直前に目玉が上からAを睨んでスッで全部消えた」
「だからAは見てない、見てないから俺らにめっちゃ怒ってきたけど」「もう無理だって俺たち帰ってきた」
何それ?と女子たちや他の子がざわついてる時に当人のAが教室に入ってくるなり一緒に行った仲間を見て
「やい!!弱虫野郎ども!!どうせ昨日のオバケみたみたいに話してんだろ」と彼らと言い争いになりました
それが朝のホームルーム前の時間で、そのうち時間がきて担任の先生が来ました

215:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:34:09.25 slHZZ5U50.net
先生は男の先生でした
田舎では寺の息子が先生になる率が高くて、その先生もその一人でした
先生は最初は「何を騒いでるんだ」と言ってましたが、Aの顔をみるなり初めてみるような険しい顔でいきなり
「おい!!Aお前なにしたんだ!!何あったんだ!!」と怒鳴り始めました
私たちは先生の剣幕と突然の出来事に固まっていた、その時に
突然大きな「プォーン!!」というサイレンのような音とキキキーッという大きな物が止まる音がしました
皆が窓際に走っていくと、近くの踏切で電車が止まっているのが見えました
そんな光景は


216:初めてで、他のクラスの子達も「わー」とか「すげぇー」と窓際に集まってパニック状態でした 先生たちも茫然としていたり、われに返って席に付けと怒っていたり、わりと長い時間に感じまし 私の担任はともかく座れと私たちを席に座らせ「ちょっと他の先生を呼んでくるまで、皆はここで待ってなさい」 と、なぜか不思議そうなAだけ連れて教室を出ようとした時に、教頭先生が私の教室に走ってきました 「Aは!〇山A君はいますか!はやくきなさい!」 と担任とAとで教室を出て行き、そして二人ともにその日は帰ってきませんでした 子供心に何かあったんだなと不安で嫌な気持ちになったのを覚えています 次の日の朝に母が新聞を見ながら「〇山A君って、あんたの同級生?」と聞かれました 言葉を濁す母に無理に聞いたところ、あの日に踏み切りに飛び込んだのはA君のお母さんだったそうです 大人たちは「せめて子の近くにいたかったから、あの場所」と言っていましたが 私たちは別の原因があったような気がして仕方ありませんでした その日からA君は転校してしまい、担任の先生は厳しい顔で 「二度とあの場所には近づいてはいけない」と言い、実際に子供たちに危険との事で何か月かは 大人のバトロールがその付近を巡回していました (終)



217:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:35:41.46 Mp8aiubx0.net
51本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMbo さん、引き続き第52話をお願いします
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218:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:36:41.96 AgCPeYID0.net
【52話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『キューピットさん』
中学生の頃に流行したコックリさんではなく、キューピットさん
コックリさんは怖いけど、キューピットさんは大丈夫とか言う事だった
鉛筆一本を皆でにぎって白い紙の中心の点を書いた場所に置く
そして呪文を唱える
「キューピットさんキューピットさん、なんたらかんたら」
するとゆっくりと鉛筆が時計周りにグルグルと回り出す
鉛筆の線が少しずつ、ゆっくりと大きくなると来た証拠
ここで聞きたい質問をする
「〇君は私が好きですか?」「今度のテストは良い…がとれますか?」
YESなら大きく丸を描くが、いいえなら中心の点に戻って動かない
そして、これだけはしてはいけない約束が二つある
一つは人の生死を聞かない、願わない事
一つはちゃんと帰って貰う事
教室の隅でキューピットさんをしていた友達が「キャー」と騒ぎ出した
なんでも、ある子が「私と一緒にいて守って下さい」と願ってしまったそうだ
あくまで質問しかしてはいけない、願いをかけてはいけないのにかけてしまった
鉛筆は大きく勢いよく丸を描いたあとに、今度は鉛筆から凄い振動がきたそうだ
ガクガクと震えはじめ、鉛筆を持っていたみんなは
「お帰り下さい」まで離してはいけないのに気持ち悪くて離してしまった
その日は何かあったら怖いね、と皆が口数少なくその場は解散になって自宅に帰った
夕方の綺麗な太陽が出ているのに、雨が降って虹が出た
狐の嫁入りだーと、なんとなく感動した
次の日に、願った女の子が言った
「うちの犬が死んだんだよ、昨日の雨にうたれたあとに泡ふいて死んだ」
皆が自然とその子をさけるようになってしまった
オカルト好きだけど大人しい性格だったその子は、性格が豹変して荒れた
ああいうのは自己催眠だと思ってるけど、いまだにひっかかる出来事です
(終)

219:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:38:58.37 Mp8aiubx0.net
52本目の蝋燭が消えました・・・

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こげ ◆b9EIe80Jrg.5 さん、第53話をお願いします
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220:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:39:58.54 AgCPeYID0.net
【53話】こげ ◆b9EIe80Jrg.5 様
『無題』
十年以上も昔の話になる。
会社の先輩と中学以来の友人と俺の三人で、盆休みに有給を足して十一日間の北海道旅行へ出掛けた。
車一台にバイク一台の、むさ苦しい野郎だけの貧乏旅行だったが、
それは素晴らしいものになるだろうと胸を弾ませていた。
しかし、出発当日から台風に見舞われ、フェリーは大時化の中を航行、
無事に苫小牧港へ到着はしたが、何の因果か、北の大地に足をつけてから連日、
怪異と遭遇する羽目になった。
艱難辛苦を乗り越え?旅は知床で折り返して六日目、道東の海岸沿いを一気に南下して根室へやってきた。
花咲港で名物のハナサキガニを食し、日本最東端の納沙布岬で北方領土の歯舞群島を間近に臨み、
双眼鏡で水晶島の監視塔で小銃を肩にかけて警戒にあたる兵士の姿を捉えた。
また、西の彼方へ沈み行く夕日を、男三人が肩を並べて見守ったりした。
チャシ跡群や、旧日本軍が建造したトーチカや掩体壕の遺跡群は時間も時間なので
明日、見に行くことにして本日の宿を探しに根室市内へ向かう。
根室駅前にある観光案内所へ着いたのは時間は午後6時を過ぎていた。
パンフを見比べながら、あーでもないこーでもないとやっている俺達。
そこへ軽トラに乗ったおっちゃんが現れ、宿を探しているのかと話しかけられた。
ホテルではなく安価な民宿で、魚介類とハナサキガニが手頃な価格で食えるような所へと条件を提示すれば、
それなら俺の所に決定だと、おっさんは親指を立てる。
どことなく、映画『プラトーン』に登場したバーンズ軍曹に似たおっさんだ。
おっさんは民宿を営みながら、漁師もやっているのだそうだ。
宿泊代に二千円を足せば、晩飯にハナサキガニ+αを付けると言った。
宜しくお願いしますと、俺達はおっさんに向けて、ホッチキスも斯くやの身体を折り曲げ頭を下げた。

221:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:41:07.18 AgCPeYID0.net
美味い飯を食い、美味い酒を飲み、風呂に入って、久しぶりに屋根の下で布団へ入って眠った。
テントとは違って寝心地が段違いだ。それに熊等の襲撃を恐れる心配がないのは最高だ。
これで22:00(フタフタマルマル)就寝、02:00(ゼロフタマルマル)起床でなければ至福だったのだが…
なんでも、おっさんが操舵する船で、すごいところへ連れていってくれるのだそうだ。
午後11時まで食堂で俺達と飲んでいたのだが、午後2時きっかりにおっさんは起こしにやってきた。
船で摂る朝飯の支度も済んでいるとか…何時、寝てんだ。
厚着して眠い目を擦りながら外へ出ると、エンジンをかけた軽トラが待っていて、
有無を言わさず荷台へ乗せられ港へ向かい、おっさんが操舵する船で真っ暗な海原へ出る。
出港してしばらく無言だったおっさんが、ちょっとショートカットしていくからと俺達に断りを入れた。
深夜で島影どころか目の前の波すら見えない海の上だ。
何をショートカットするのかと思えば、現在は別の国家が占有している日本固有の領土がある海域だった。
北海道に来て熊と相対する覚悟はしていたが、流石に拿捕までは想定外…気構えとかなんか出来ていない。
極寒の牢獄に囚われ、餓死と貧困に怯えながら、空缶に用を足すことになるのは絶対に御免だ。
俺達は船長兼民宿の親父のおっさんに向かって本気で土下座したよ。
地図にしか見えない赤い一点鎖線の内側へお願いだから帰しておくれと…
それに対しておっさん…
「お前等、俺がどこでカニを捕ってくるか知っているか?
 道内では船影がちらりと見えただけでカニは岩陰に隠れてしまうが、
 こちらでは真上を船が通ろうと、のうのうと行列を作って歩いているくらい擦れていないから捕り放題だ。
 まあ、言ってみれば俺の庭みたいなものだ」
もし、露助の警備艇に臨検されそうになっても漁船には分不相応な高出力エンジンを積み、
操舵室うしろの壁には分厚い鉄板が仕込まれているから小銃の弾くらいなら耐えられると鼻で笑った。
強力な鼻薬も常時、搭載済みだと。
もうおっさんに全てを任せるしかないと、腹を括るしかない。
彼がトム?べレンジャー(軍曹)なら俺達はチャーリー・シーン(新兵)でしかないからな。
それって●漁?とか、おっさんに訊ねる余裕も無かった。

222:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:42:00.94 AgCPeYID0.net
波を蹴立てて船は進み、おっさんが俺達に何を見せたかったのか…
空が白み始め、360度全てに島影すら見えない大海原…
しばらくすると水平線から顔を出す、黄金色に輝く朝日だった。
北海道へやって来て、二十歳をとうに過ぎた男三人が、
景色に目を奪われ、息を呑み、胸を詰まらせた事が幾度となくあったが、
この朝日の神々しさは格別だった。
今現在、俺達が地球上のどの辺りにいるかを忘れるくらいに…
地理的になかなか見れない御来光を拝んだ後、おっさんの用意してくれた朝飯を食った。
海苔と塩だけの握り飯にカニ味噌と身の入った味噌汁。
それらを頬張りながら、俺は艫で甲板に腰を下ろして海を見ていた。
二、三メートル先、波間に顔を出している白いのがいる。
ゴマフアザラシの幼獣…ゴマちゃんかと思ったが、天に向けてにょっきり伸びる一対の長い耳があった。
前脚を出し、水面へ置いたかと思うと、そこを支点によっこらしょと胴体を海中から引き抜く。
波の上に乗って後脚二本で立ち上がり、鼻をぴくぴくさせて周囲を警戒する一匹の白ウサギ…
俺の右手から握り飯がこぼれて海へ落ちた。
こちらを一対の赤い目が見て、それから小首を傾げる…その仕草が妙に人間臭い。
ウサギはくるりと俺に背中を向け、後脚二本で立ったまま波の上を走り去っていった。
まるで、『不思議の国のアリス』のワンシーン…何だったんだ今のは…と、呆気に取られる暇も無く、
また一匹、また一匹とウサギが浮き上がってくる。
海面へ這い出たウサギ達は後脚二本で立ち上がり、先程のウサギを追うように同じ方向へ走っていった。
気が付けば、船の周囲はウサギで埋まるほどになっている。
海域が沸き立ったかのように白く染まり、無数のウサギが海面へ這い出て列を作り、同じ方向へ去っていく。
白波が立ったみたいな有様だ。
数千羽、数万羽いるのだろうか、走るウサギが作る白い線は、水平線まで到達しそうな勢いだ。
船上にいる全員が、その光景に圧倒され、言葉を失った。

223:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:44:01.34 AgCPeYID0.net
その中で最初に、我へ返ったのはおっさんだった。
慌てて船を動かし、海上に這い出たウサギ達を蹴散らして回頭、船を根室の港へ向けて走らせる。
その揺れで俺達も自我を取り戻したのだが、おっさんのとばし方が尋常ではなかった。
まるで何かから必死で逃れようとしているかのように、操舵輪を握る顔は青ざめ引き攣っている。
「ウサギが立った。大津波が来るぞ」
アイヌの伝承にあるそうだ。海で『ウサギ(イセポ)が立つ(テレケ)』と、大海嘯の前触れであると…
大海嘯とは大津波のことだ。
道内の古い漁師達は伝承を信じ、ウサギやアイヌ語の意である『イセポ』を海上で口にすることを禁じていたと言う。
アイヌ達が海上にいる時は『イセポ』の代わりに『カイクマ』という言葉を用いた。
「奴等は南…内地へ向けて走っていったな…今回はこっちに被害はないかれもしれない」
アイヌの昔話で、ある男がトンケシと言う場所を通りかかったとき、丘の上にウサギが立っていて
海の方へ手を突き出し、しきりに何かを招き寄せるような仕草をしているのを目撃する。
彼は丘の下にある集落で周辺六ヶ所の首領が集まり酒宴を開いているので、
津波が来るから早く逃げろと警告したが、首領達は酔っていて津波など怖くないと刀を振り回し相手にしなかった。
男は呆れ、内陸へ向けて去っていった。
その直後、トンケシの集落は津波に飲まれ、全滅してしまった。
トンケシの丘にいたのはウサギの大将=津波を呼ぶ神で、
海にいる無数の仲間を呼び寄せる儀式を行っていたのだと…

224:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:45:23.46 AgCPeYID0.net
「ウサギが立つ(イセポ・テレケ)を白波が立つことだなどと今では言われているが…
 じゃあ、俺達が見たアレは一体なんなんだ!?」
おっさんが必死になる理由は分かる。
1994年に起きた北海道東方沖地震による津波の記憶が新しい。
道内での被害は少なかったが、北方領土では死者行方不明者を出し、一万人近い住民がロシア各地へ移住を余儀なくされた。
あのウサギの群れが津波の予兆現象であるとしたら…
道内に残る、ウサギと津波に纏わる伝承では予兆現象があった即日から十年程の間に津波が起こったとされる。
宿まで戻った俺達は早々に根室を後にした。
今日は釧路湿原の脇を抜け、阿寒国立公園を目指す。
観光化されたとはいえ、アイヌの伝承や文化が残っている場所だ。
それに内陸部だから津波に襲われる心配はまず、無いだろう。
結局、俺達が北海道にいる間、津波は起こらなかった。

(了)

225:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:45:49.45 Mp8aiubx0.net
53本目の蝋燭が消えました・・・

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スヴィトリアーク◆lBDllPVzBw さん、第54話をお願いします
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226:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:48:20.96 ujnfAOrg0.net
『春の掌編』

 俺がその夜、何故そんな行動に及んだものか、今考えても腑に落ちない。
 いや、温かな布団の中の俺を無遠慮な尿意が襲い、夜半の身を切る肌寒さの中を、トイレで用を足してから自室に戻ろうとした辺りまでは鮮やかに覚えているのだが、その直後の記憶がすっぽりと抜け落ちて
いたのだ。
 どうした経緯を経たものかは知らない。我に返るとあろう事か、俺は自室と逆方向の父母の寝室の扉を開けてボーッと突っ立っていたものである。
「あれ?俺、何でこんなトコに居るんだっけ…?」
 そんな俺の様子を、目覚めた両親は怪訝そうに見つめている。
 たとえ両親のものとは言え、仮にも寝室はそこを用いる主のプライベートスペースだ。そんな侵すべからざる聖域に、あろう事か深夜にノックも無しにいきなり闖入するなんて行為は、肉親云々抜きにして無神経
だとの誹りを受けても弁明できぬ事案であった。
「ん、どうした。何か用か」
 欠伸を噛み殺しながら俺にそう問いかける父。母も、
「こんな夜中にどっか行くの?扉が開かる音で目が覚めたらいきなり滅多にここ来ないあんたが立っててさ、『もう行くよ』とか言ってるんだもの、ビックリだわ」
 などと、意味不明な事を口走っている。
「もう行くよって?…俺、そんな事言った?」
「たった今言ったろ。人騒がせな奴だなあ、寝ぼけてんじゃ無いのか?」
 事態をよく飲み込めぬまま、照れ隠しに後頭部をボリボリと掻いて苦笑いの俺。
「いやあ、そうかも知れないな。取りあえずはご無礼をした…さあ、どうか引き続き惰眠をむさぼって下さい」
 自室へと続く狭い廊下で、俺は納得ゆかずに何度も首を捻り続ける。
「おっかしいなあ。こんな事今まで全く無かったのになあ」
 それだけで済めばこの一件は、『寝ぼけたせがれの愚行』としてあっさりと片付けられる筈であった。

227:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:49:54.21 ujnfAOrg0.net
 翌朝、階下の茶の間から聞こえてくる据え置き電話の着信音。どうやらそれに長々と応対していたらしい母親が、ドタドタと階段を登ってくる気配がする。
「あ、あんた起きてる?あのさ、茨城に居るあたしの兄さん、さっき夜中に死んだって」
「え?」
 母の兄。つまり俺にとっては叔父に当たるわけだが、彼が体調を崩して入院していたのは知っていた。しかしそこまで深刻な状態だったとは、それこそ寝耳に水である。
「あんたの喪服、汚れて無いでしょうね。明日朝一で行くんだから用意しときなさい」
 取るものも取りあえず、俺は会社にその意を伝え、3日間の忌引き休暇を許された。

 何とか翌日午前中には上野に到着、JRに乗り換えて…というJ字運行の末、俺たち家族は寄り道も許されずに茨城県某市中心部にある葬儀会場へと向かう。久方ぶりに再会した叔母や従妹はある程度の覚悟は
出来ていたのであろう、その表情からは不思議と悲壮感は感じられない。
 細々とした手伝い事で何かと忙しなく進行する一連の葬儀行程も滞りなく終わり、肩の荷を下ろした俺たちは会場であるセレモニーホールの一室を借りて故人の生前話に花を咲かせていた。
 亡くなった人を賑やかな笑顔で見送ろうという趣向か、この会場ではお酒も振る舞われる。その勢いで舌も滑らかになった俺は、隣に座る女子大生の従妹に先日の話を何の気無しに振ってみた。
「あ、それね。多分お兄ちゃん、まんまとうちのパパのチャンネルにされたよ」
 昔からオカルティックな話題に目がないこのお転婆は、普段のしおらしい仮面を脱ぎ捨てて決壊したダムの奔流の如くここぞとばかりに語り出す。
「チャンネル…、テレビに付いててカチャカチャ回すアレか?」
「『チャンネル回す』って、お兄ちゃんいつの時代の…じゃ無くてねえ、チャンネルってのは一般的な日本語に訳すと『憑依』ってのかな?パパ結構シャイだったもの、顔見せるのが恥ずかしいからお兄ちゃんの体を
借りて叔父さんたちへお別れしに行った可能性も否定し難いと私的には思うワケ」
「なるほどなあ。してみりゃあの時の『もう行くよ』ってのはそっちの意味か」
 自分の体をたとえ短時間でも乗っ取られた腹立たしさよりも、俺の心中にはどこか気弱気な表情を浮かべた叔父の顔が懐かしく思い出される。

228:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:51:34.65 ujnfAOrg0.net
「でもねえお兄ちゃん。死んじゃった人間はまだいいよ」
 急に声を潜めて、俺の耳元で囁く従妹。
「どういう事?」
「だってさ、これ系の話じゃ定番の締めだけど、やっぱ『生きてる人間の方がよっぽど…』ね。生身でも厄介な性悪女に取り憑かれでもしたら最後、お兄ちゃんお先真っ暗だよ。
…あのさあ、何ならあたしが虫除け役としてお兄ちゃんに貰われてあげよっか?」
「い、要らねえよ!たた、確かに民法上では親族同士での四親等以上の婚姻は認められてはいるもののだなあ…」
「…あはは。ウソウソ!本気にした?」
 俺の顔が少々火照りを増したかに思えたのは、おそらく酒のせいばかりでもあるまい。
 そんな俺の表情を値踏みするかの様に見つめていた彼女は、初めて闊達に笑ったものだった。
 
 未だ雪も解けやらぬ地より訪れた者にとっては、麗らかな陽気の中で咲き誇る梅の花が妙に眩しく感じられた、そんな春の日のひと幕でしたとさ。

【了】

229:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:52:53.19 ujnfAOrg0.net
54本目の蝋燭が消えました・・・

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ぺそ ◆qyVZC3tLJoさん、第55話をお願いします
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230:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:53:57.38 slHZZ5U50.net
【55話】ぺそ ◆qyVZC3tLJo 様
『捨て台詞』
中学生の頃の話です。
その日私は友達だったのか見知らぬ人とだったのか今となっては思い出せませんが大喧嘩したゆめをみました。
こんな喧嘩今までしたことないってくらいの喧嘩だったと思います。
そして最後に相手がいった捨て台詞は
「お前の家、思いっきり揺らしたるからな!!!!」でした。
その瞬間目が覚めました。
本当に家が大きく揺れていたのです。
びっくりして「あれ?ゆめだったんじゃないの??」と思いましたが自他から突き上げるような揺れは数秒続きました。
ゆめか本当かわからないけど確実に揺れて、部屋のものがバッタンバッタン倒れキッチンでは食器の割れる音もしました。
父が慌てて部屋に「大丈夫か!?」と聞きにきました。
・・・・それが阪神淡路大震災、直前にみた夢です。
何かを予知したのかさっぱりわかりませんが本当の話です。
おわり

231:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:54:59.88 Mp8aiubx0.net
55本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMbo さん、第56話をお願いします
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232:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:56:00.36 AgCPeYID0.net
【56話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『お化けトンネル』
地元に有名なお化けトンネルがあります
峠の急なカーブで事故が多発するそうです
私は以前はバスガイドをしていました
よく運転手さんから、そこのお化け話を聞きました
テレビも取材に来たことがあります
貸切の観光の仕事でした
日帰りで帰りは夜中です
二台での仕事で先輩が2号車、新人の私は1号車です
それぞれのお客様を所定場所まで送り届けます
予定では2号車のが早く本社に帰路するはずでした
バスの規定でお客様を降ろしたバスは車内の電気を消すという
決まりがありました
例のお化けトンネル内で2号車とすれ違ったのです
2号車は車内灯を消しており先輩はガイド補助席に座っていました
私「あ、先輩だ。あれ?電気消えてるのに後ろに誰かいますよね?}
運転手「だな?冷蔵庫前の席に女の人が座ってる」

233:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:57:23.39 AgCPeYID0.net
老人ばかりのお客様だったはずですが、確かに私と運転手さんは
客席の入口側の前の一番前のバス冷蔵庫の席に若い女性が乗っていたのを見ました
運転手「本社に家族が迎えに来る客は本社まで乗せていくから、それだろうな」
私「ですね、予定表にはなかったけど、たまに飛び入り変更ありますし」
とバス同士がすれ違いにクラクションを鳴らしてすれ違いました
こちらの仕事を終えて本社に帰り、バス車内の清掃や報告書・明日の予定確認と
色々していると先輩が明るい声で「おつかれー」と声を掛けてくれました
私「ああ、先輩、あの女性はどうしたんです?車こっちに迎えにきたんですか?」
先輩「あんた何言ってるの?」
話が噛みあいません
そうです、先輩は誰も乗ってなかったと…2号車先輩の運転手もいなかったとの事
なので私と私の運転手さんの見た・いた・いなかったで少し揉めてしまいました
でも気になったんでしょうね、次の日に2号車担当の運転手さんが塩を持ち込んでいました
それを見た私に
「まー仕事柄よくある事だしなぁ、いちいち気にしてたら仕方ないけど粗末にできんわな」
と苦笑いしていました
仕事関係でよく仏閣や訳あり旅館にも行くので、ちょっと怖い話は割と体感できる職場だったかも知れません
(終)

234:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:58:20.94 Mp8aiubx0.net
56本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMbo さん、引き続き第57話をお願いします
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235:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:05:37.06 Mp8aiubx0.net
失礼しました
予定を変更しまして、逝く雄 ◆wu7WOib83U さん 第57話をお願いします。

236:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:15:13.56 Mp8aiubx0.net
え~予定を再度変更しまして
チッチママ ◆pLru64DMbo さん 第57話をお願いします。

237:逝く雄 ◆wu7WOib83U @\(^o^)/
15/08/30 02:16:59.78 PUKTKYfW0.net
57話
【泥】
40をとうに過ぎた従兄弟に聞いた話
従兄弟は水に入るのを嫌がった、ただし泳ぎは達者だった
プールは平気なのだそうだ、彼が嫌うのはスネから下くらいの浅い水、そして中が見えない濁った水や波立った水、要するに川の浅瀬や海の波打ち際に足を付けるのを異様に嫌がっていた
さすがにいいおっさんとなった今では大騒ぎすることはないだろうが、子供の頃の水遊びを嫌がる様は今でも親戚中の語り草だ
去年法事で顔を合わせて飲んでた時のこと、話の流れがたまたまそっちの方に向かった
「俺は水が怖かったわけじゃない、現に今でも泳ぎは得意だしな」
「俺が本当に嫌なのは泥だ…」
小学生の頃だそうだ
近所の悪童達とともに裸足のまま田んぼで泥遊びをした彼は田んぼの真ん中で足が抜けなくなったのだそうだ
それ自体は良くある話で、笑ったり笑われたりで済むはずだったが、その時は違った
「泥の中に何かいたんだよ」
脛までもぐった足を、何かがつかんだり突ついたりなで回したりしていたのだそうだ
それこそ半狂乱になった彼を弄ぶかのように泥の中の手のようなものはぬらぬらぬらぬら足指の間や土踏まずを撫で回し、足首を掴み、引きづったという

それ以来泥には一切、本当にただの一度も足を踏み入れておらず
あらたまって話すのは今回が初めてだという
「どうして今まで…」という問いには何故か言葉を濁して語ろうとはしなかった


238:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:18:54.00 Mp8aiubx0.net
ちょっ、逝く雄 ◆wu7WOib83Uさんこられたようですね
57本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMbo さん、第58話をお願いします
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239:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:20:46.77 AgCPeYID0.net
【58話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『赤い地蔵』
小学校の通学路に気持ちの悪い地蔵を祀った所がありました
子供は皆知る限り「なんか気持ち悪いと」
そこを参っているのは歳よりと女性ばかりで女性もなんというか
暗い感じの人ばかりでした
たまにその場所で泣いている人がいたり
あと不思議だったのは、よく動物の死骸がありました
あと深い溝があるのですが、よく子供がはまりました
中のお地蔵さんは道から見えるのですが、いつも真っ赤な服を着せられ
ヨダレかけ?みたいなのも真っ赤で、ともかく赤いし顔が怖いんです
石なのに、たまに睨まれている気がしたり友達も目が赤かったと言ってました
なんとなく皆がその道を避け別の道で通学するようになりました
母にきくと、そこは子が亡くなった人が参る所で水子供養をしているそうです
地蔵を入れる祠や周囲の柵は新しく綺麗なんですが、地蔵だけはなんというか
黒いススみたいな感じを受けたのですが、いじると祟りがあるとかで
地元では怖がられているそうです
大人になってから、その前を通過した時は何も感じませんでしたが
娘が「なんかここ嫌」と拒否していたので何かあるかもしれないですね
(終)

240:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:21:30.60 Mp8aiubx0.net
58本目の蝋燭が消えました・・・

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第59話をお願いします
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241:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 02:24:04.90 slHZZ5U50.net
【59話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
「渓流釣りの注意」

友人の話。
仲間と一緒に、山奥の渓流に釣りに出掛けた時のこと。
車で現地まで行って車中泊し、暗い内から釣りにかかるという行程だった。
普段と同じような内容だが、ただ、そこの常連からしつこく注意を受けた。
「ここで休む時は、絶対ドアロックしてなきゃダメだぞ。
 それと、何かあっても車からは出るな。放っとけ」
変わった注意だと思ったが、素直に聞き入れることにしたそうだ。
その夜、車の中で毛布を被って寝ていると、突然ドアがガチャガチャと音を立てた。
慌てて寝惚け眼を擦りながら起き上がり、「誰?」と尋ねてみる。
返事は無い。ハンドライトを点け、外を照らすが何もいない。
「気のせいかな」と再び寝ようとすると、またドアがガチャガチャときた。
……何かが車の中に入ろうとしている? やはり外には誰も見えない。
「それで、どうしたの?」ドキドキしながらそう聞く私に、
「どうしたもこうしたも、毛布引っ被って強引に寝たよ。
 次の日は早いんだ、釣りの邪魔されちゃ適わんからな」
しれっとした顔で答えた彼だった。


242: (終)



243:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:24:16.34 Mp8aiubx0.net
59本目の蝋燭が消えました・・・

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きみこ ◆JAZt4WtNrE さん、第60話をお願いします
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244:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:25:48.86 AgCPeYID0.net
【60話】きみこ ◆JAZt4WtNrE 様
『無題』
実話です
私が中学1年生のときの話です。父は商社のサラリーマンで、出張が多く、
半年ほど東南アジアを回っているときもありました。
母は、自宅の和室を使って茶道教室を開いていましたが、
謝礼は実費程度のもので、十数人、生徒さんがおりました。
そのときはまだ妹がいなかったので、一人っ子で甘えてばかりいた記憶があります。
10月のある日曜日のことです。そのときは珍しく、
父は会社関係の人たちと釣りに出かけていました。
私は部屋でのんびり過ごしていたんですが、10時過ぎになって、
母が部屋にきて「ちょっと出かけるから、一緒に来なさい」と言いました。
そのとき、びしっと和服を着ていましたので、
これはきっと外で食事をするんだろうと思って、ウキウキしてついていきました。
ところが母の車は、駅前通りを過ぎて、高速に入っちゃったんです。
「ねえ、どこへ行くの」そう聞いたら、「〇〇市のお寺」って言われて驚きました。
それは同郷の両親の実家がある市で、9月のお彼岸のときに行ったばかりだったんです。
「またお墓参り?」と聞いたんですが、母は答えてくれませんでした。
それで私はずっと、車のモニターでアニメのDVDを見てたんです。
〇〇市までは2時間ほどかかりました。高速を降りてすぐのファミレスに入って、
昼ごはんを食べました。もっと高級なところに行くのかと思ってたので、
ちょっとがっかりでしたが、その後向かった先が、お寺はお寺でも、
いつも行っているお墓のあるところとは別で、初めて行くところでした。
「えー、ここ何?」って聞いたんですが、それには母は答えず、
「ご住職にきちんとあいさつしなさい」そう言って、玄関口の呼び鈴を押しました。
出てきたのは、たぶん60歳ぐらいの作務衣姿のお坊さんで、母と私がおじぎをして、
かなり広い和室に通されました。おそらくお葬式のときの控え室になるようなところです。

245:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:26:50.54 AgCPeYID0.net
座卓が4つ縦に並べられていまして、その床の間に近いほうに座りました。
そこで、お茶とお菓子をいただいたんですが、母とお坊さんが長話を始めると、
私は正座してた脚がしびれてつらくなりました。
しばらくしてお坊さんが「じゃあ、持ってきますので」と言って出ていき、
すぐに木の箱を持って戻ってきました。
それで、母とお坊さんが向かい合う形で座って箱を開けました。
私ものぞき込んだんですが、中には古くなって黄ばんだ写真が、
そうですね、200枚以上乱雑に入っていました。
ほとんどがモノクロの写真で、見たことがない家族を写したものでした。
ええ、出てくる人が同じだったんです。品のよさそうな和服のおばあさん。
その人が祖母だと思いました。それと今どき見ない丸い黒縁のメガネをかけたお父さん、
お母さんはきれいな人で、お父さんよりかなり若く見えました。
それと、ちょうどそのときの私と同じくらいの女の子。
いえ、私とは顔が似ているということはなかたっと思います。
髪型も、その子はテレビのサザエさんのワカメちゃんみたいなおかっぱでしたし。
そうですね、今になって考えると、戦前、昭和一桁くらいのものだったと思います。
その写真の中で、女の子が写っている写真を一枚一枚、テーブルに敷いた和紙の上に取り出し、
母がその写真の上に右手の人差指をのせたんです。
ほとんどの写真に対して、母は「これは大丈夫です」と言いましたが、
「これはちょっと」とか「障りが残ってます」こう答えた写真は脇に寄せられました。
そういうのは10枚に一枚くらいでした。
私は、足がしびれたのと飽きてきたのとで、母の袖を引いて、
「お母さん、お庭見てきてもいい」と小声で聞いたんです。
それが聞こえたのか、お坊さんが「いいですよ。いってらっしゃい」そう言ってくださったので、
なかば這うようにして部屋を出て、廊下に座り込んで親指を引っ張ったりしました。
それから玄関を出て、本堂のまわりをぐるっと回ってみました。
いつも父母と行くお寺とは違って、どこにもお墓がなかったんです。
それと、本堂の入り口の上のほうに、大きな亀や龍の彫刻がついてて、
そういうのを見たりして時間をつぶしました。
いえ、怖いという気持ちはなかったです。さんさんと陽光が降り注いでいましたし。

246:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:28:56.08 AgCPeYID0.net
30分くらい外にいて戻ってみると、あらかた写真は仕分けされていました。
二つになっていた写真の山の、少ないほうをお坊さんが和紙に包み、
「ではよろしいですね。こちらはご供養に回しますよ」
懐に入れて立ち上がり、部屋を出て行きました。母は一仕事終えたみたいに肩で息をついていて、
「今の写真は何?」って聞きたかったんですが、そうできませんでした。
これについては、今になっても何であんなことをしたのかわかりません。
私を連れていった意味も。外で日が陰ったのか、急に障子が暗くなりました。
そのとき気配を感じたんです。横を見ると、座卓が縦に4つ並んだうちの、
私から近いほう2つ目の座布団の横に、海藻のようなものが落ちていました。
もじゃもじゃで、黒っぽい緑色の。「何かな」と思って見つめていると、
それがだんだん上に浮き上がってきました。「え?」海藻の下には、
白いぶよぶよしたやわらかいもの。
あの、傷口にずっと絆創膏を貼っておくと、下の皮膚がふやけますよね。
ちょうどあんな色で、かぼちゃみたいな形の。だんだん上に出てくるにつれて、
二つ黒い眼窩があるのがわかりました。「人の頭? それが畳から生えてる?」
私は固まってしまったんですが、放心したような状態の母の袖をなんとか引っ張りました。
「あ、あれ!」母がそちらを見て、ビクンと体が震えました。
私の体をつかんで後ろに下げるようにし、自分は正座の姿勢のまま、
それのほうに出たんです。それはもう口のあたりまで浮き上がっていて、
やはり真っ黒く開いた鼻の穴、それと厚く腫れた唇。
唇はかっと開いて、やはり黒い口と、ぼろぼろになった歯が見えました。
「いやー、何あれ!!」私は叫び声を上げてしまいましたが、母が私を手で制して、
ゆっくりした動作で数寄屋袋を引き寄せ、中から茶道の扇子を取り出しました。
それはもう肩まで畳から出て、こちらに向かって腕を伸ばしていましたが、
母は自分の前の畳に扇子を横一文字に置いたんです。
それが「おああああああ」というような声をあげると、
母は静かに、しかし強く首を振りました。
そのとき、血相を変えたお坊さんが部屋に走りこんできました。

247:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:32:19.08 AgCPeYID0.net
するとそれは、上半身だけで畳にうつ伏せになり、そのまますっと消えたんです。
母が、数珠を持った手を前に伸ばしたお坊さんに向かって「まだ許されていないようです」
こんなことを言いましたが、なんとなく恥ずかしそうな響きを感じました。
怖いことはこれだけでした。その後は寺を後にして車で家に戻っただけ。
帰りの車中で、よほどさっき畳から出てきたもののことを聞こうと思ったんですが、
できませんでした。母の背中から、全身で質問を拒否してることがわかりましたから。
車を降りるときに、「今日のことはお父さんには内緒」母が言いました。
その後も、何度もこの日のことを思い出して、その度に母に質問しようと考え、
いざとなって言い出せなくなってやめる。そのくり返しでした。
あのことを聞いたら、せっかく幸せにやっている家族の関係が、
崩れてしまいそうに思えたんですよ。畳から出てきたものは、
写真の家族の誰とも似ているとは思いませんでした。というかあまりにも白くふやけて
ふくらんでいたので、もし写真の誰かだとしても見分けられるとは思えないです。
・・・その後、震災があって、私も長く水に漬かっていたご遺体を、
いくどか目撃したんですが、それと同じ状態だと思いました。
これでほとんど話は終わりなんですが・・・今年になって、私に妹ができることになりました。
生まれてくるわけではなくて、出張中の父が、インドネシアの孤児の女の子を、
養子に迎えることに決めたんです。2012年のスマトラ沖地震で両親を失った子どもです。
私たちも東日本大震災を経験して、幸い家族に被害はありませんでしたが、
人事とは思えなかったということです。母も手放しで賛成しています。
父の同僚のアメリカ人たちにも、現地の子を養子として育てている人は多いんだそうです。
その子は人身売買の組織から取り戻されたばかりということでした。
今、そのための手続きを、NPOにお願いして進めているところなんです。
それで、父からはその子の写真を見せてもらったんですが、
あのお寺で見た写真の女の子によく似てるんです。でも、時代も違うし、
日本人とインドネシア人だし・・・ どういうことなのか不思議でなりません。
おわり

248:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:33:02.68 Mp8aiubx0.net
60本目の蝋燭が消えました・・・

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ここで一旦休憩に入ります。
∧_∧
( ´・ω・) みなさん、お茶が入りましたよ・・・・。
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
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249:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:35:15.14 AgCPeYID0.net
再開は【2:50】を予定しております

250:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 02:54:41.62 AgCPeYID0.net
……時間となりました。
それでは雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、第61話をよろしくお願いいたします。

251:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 02:56:03.90 slHZZ5U50.net
【61話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『入ってはいけない小路』
知り合いの話。
彼の実家の山村に「入ってはいけない」と言われていた袋小路があったという。
駄目と禁止されると行きたくなるのが子供心。
という訳で、ある時、従兄弟と二人で足を踏み入れたのだそうだ。
小路の終わりには赤く錆びた鎖が掛けられていて、その先に獣道のような細い道が続いていた。
鎖を跨いで猶も進んでいくと、割りと広い川に突き当たる。
川にはボロボロに朽ちた橋が架けられていて、それを渡った向こう側に廃屋が二軒並んでいた。

気持ち悪くなって引き返したのだが、このことを祖父に話すと酷く怒られた。
「橋は渡ってないだろうな!?」
聞けば、随分と前の大雨で、その橋は流されているのだそうだ。
「お前等、誘われてたんだよ。渡ってたら多分帰ってこれなかったぞ」
そんな馬鹿な、と次の日もこっそり二人で確認しに向かったのだが。
昨日有ったはずの橋はどこにも見当たらず、川が轟々と流れているだけだった。
(終)

252:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 02:56:26.23 Mp8aiubx0.net
61本目の蝋燭が消えました・・・

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、引き続き 第62話をお願いします
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253:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:00:01.32 AgCPeYID0.net
【62話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『違法駐車』
知り合いの話。
まだ学生だった頃のことだ。
彼が違法駐車をして車を離れ、しばらくしてから戻ってくると、
自分の車の下から人間の足が飛び出していた。
周りのアスファルトが赤黒く汚れている。
吃驚して覗き込むと、それは人ではなく、精巧に造られたマネキンだった。
何か重い物に踏まれたのか、頭が半分潰れている。
赤黒い液体も、血ではなくて何かの塗料のようだ。シンナー臭い。
「誰の悪戯だよ、タチが悪いな!?」
そう怒ったものの、違法駐車をしていた自分も決して褒められたものではない。
マネキンを車の下から引っ張り出し、邪魔にならない場所に退けると、
そこを後にした。
おかしなことになったのはそれからだった。
彼が路上駐車をする度、必ずマネキンが車の下に放置されるようになったのだ。
頭が潰れていたり、胴が抉れていたり、腕や脚が千切れていたりと違いはあったが、
毎回同じように事故を模していた。
幾度も隠れて見張ってみたが、その時には悪戯はされない。
油断して車から離れた時に限って、マネキンが出現したという。
すっかり根負けしてしまい、彼は違法な駐車をしないようになった。
以来、不気味なマネキンも現れなくなったという。
(終)

254:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:00:26.36 AgCPeYID0.net
そしてつい最近の話。
久し振りに、彼と再会する機会があった。
話が弾んでいると、途中でこんなことを言ってくる。
「そういや、あのマネキンストーカーの話を憶えてるか?
 俺の車の下で、事故者の格好させてたって奴」
「憶えているよ」と返すと、続けてこんなことを言う。
「アレがまた出やがった。この前、女房の実家へ里帰りした時だよ。
 一寸の間だけ路上駐車したんだけど、車を実家へ移動させようと戻ってみたら、
 昔のようにマネキンの足が突き出していやがった。
 だあぁー! しつこいよ、一体誰なんだよ、何がしたいんだよ!?」
彼はそう言って頭を掻き毟っていた。
「……まぁ、路上駐車は出来るだけ止めた方が良いね」
私にはそう言うことしか出来なかった。
(終)

255:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:00:27.40 Mp8aiubx0.net
62本目の蝋燭が消えました・・・

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、引き続き 第63話をお願いします
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256:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:02:59.81 slHZZ5U50.net
【63話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『髪の毛


257:』 友人の話。 彼は偶に、口の中から長い髪の毛が出てくるのだという。 特に口を開けたりしていないのに、ふと口内に違和感を感じることがある。 そういう時は決まって、口の中に髪の毛が出現しているのだと。 以前、私と一緒にゼミのレポートをまとめていた夜に、いきなり彼が口をモゴモゴし始め、 次いで口から長い髪の毛を引っ張り出した際にはかなり驚いた。 二人とも短髪で、とてもその髪の持ち主には成り得ない。 その時初めて、彼のその特異な体質を聞かされたのだった。 理由は不明で、もう気にしないことにしているのだと、平然と彼は言った。 レポートが完成するまでに、彼は都合十五本の髪の毛を吐き出していた。 「今度から、俺の部屋でレポートはまとめないからね」 そう宣った私に、彼は苦笑を返してきた。 (終)



258:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:04:21.85 Mp8aiubx0.net
63本目の蝋燭が消えました・・・

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キツネ ◆8yYI5eodys さん、第64話をお願いします
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259:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:07:47.17 AgCPeYID0.net
【64話】キツネ ◆8yYI5eodys
『ナナツカ様』
(1/4)
昔、親戚の爺さんの家にひと夏の間預けられた時の話。
親戚の爺さん、というのは私の大叔父に当たる人だと後に知りました。
大叔父が住んでいたのは山に囲まれた農村。
山一つ越えると駅や新興住宅地の造成が進んでいましたが、叔父の住むのは寂れた農地。
家が十数件そこらあるか無いかのド田舎でした。
その農村には7人ほどの子供たちがいて、最初はおっかなビックリではありましたがすぐに馴染むことができました。
中でも小学6年の1番年上のお姉ちゃんは面倒見が良く、
よそ者の私と妹に色んな山遊びや川遊びを教えてくれたものです。
その日はちょうど8月の終わりに差し掛かった頃。
ちょうど今日のように朝晩が涼しく感じる時期でございました。
いつものように田んぼ沿いの沢でカニ捕りや水遊びに興じていた時でした。
1人の地元の子が、橋げたに何か引っかかっているのに気付きました。
拾い上げてみると、それは布のようなもの。
小さな子供用の服でございました。

260:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:09:17.18 AgCPeYID0.net
(2/4)
その服を投げたりしていると、いつの間にでしょうか。
1番年上のお姉ちゃんが集落のお年寄りを連れてきて、その服を指差していました。
しばらくすると集落の大人たちが集まって参ります。
そして口々に、
「流れてきてしまったか」「今年もナナツカ様が気に入らんかった」
「今年は何年目ね?」「…7年目だ」
「どう思う?」「来るやろうな」
そんな事を言っていたのを記憶しています。
私たち子供はすぐに川から上がり、すぐに家に帰るよう言われました。
後に知った話をまとめると、
集落の傍の山には『ナナツカ様』という7基の石の塚が並んでいて、
その塚に毎年、夏の初めに子供用の服を1着お供えする風習があるのだそうで。
『ナナツカ様』が気に入らないと、その服が山から集落の沢へ流れて来る。
その年は7年続けて沢に流れてきた、ということらしいのです。
そしてその日の夕刻。
私たち兄妹は大叔父に連れられて集落の公民館へ。
そこには集落の子供全員、それどころか集落の大人たちも集まっておりました。
大人たちは公民館の庭で火を焚き、子供たちは公民館の中へ追い遣られます。
「朝まで出ちゃいかんぞ」
普段優しい大叔父が怖い声で言ったのが印象的でした。
子供たちはと言うと、強張った顔の大人たちとは対照的でした。
普段は夕方には別れる友達と夜も遊べる――
そう思ったのか、大人が公民館の外にいるのをいいことに、テンションMAXではしゃいでおりました。

261:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:11:05.08 AgCPeYID0.net
(3/4)
夕飯を終える頃には幾分か落ち着いたのか、小さい子たちを中心に眠そうな目。
そんな子たちを年長者のお姉ちゃんと一緒に布団へ運んでいると、
妹がガラス戸の方を見るなり、ギャーっと火のついたように泣き始めました。
瞬く間に鳴き声が小さい子たちに伝染。
そんな子たちを宥めて寝かし付けるうちに、私も眠ってしまっておりました。
翌朝。
公民館の中に年長者のお姉ちゃんが居ません。
周囲を見回すと、ほかの子は静かに眠っておりましたが、お姉ちゃんだけが見当たらない。
外に出ると、大人たちが沢の橋の方に集まっているのが見えました。
慌てて駆けて行くと、すぐに気付いた大人に頭を抱きすくめられ、
「見ちゃいかん!」
と怒鳴られました。
聞こえたのはすすり泣く声。
雰囲気は重く、蝉の声と沢の水音がやけに大きく聞こえたと記憶しております。
そしてポツポツと、
「流されてきたのは○○ん家の長女か」
「服は着ちょらん」
「うわっ!皮まで持っていかれとる」
確か、そんな事を言っておりました。
その後すぐに私は公民館へ連れて行かれました。
沢で亡くなっていたのはやっぱり年長者のお姉ちゃんで、翌々日にはお葬式に参加。
最後のお別れにと、お棺を覗こうとした子が親にビンタされて吹っ飛んだのを見て、
――ああ、あのお姉ちゃん大変な目に遭ったんだな、と怖さと寂しさで泣いたのを覚えております。

262:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:12:59.69 AgCPeYID0.net
(4/4)
後に妹から聞いたのですが、あの公民館での晩のこと。
妹はガラス戸の向こうに見たのだそうでございます。
ガラス戸の向こうには子供が数人、あの年長者のお姉ちゃんを指差していたとか。
その子供たちは一様に真っ赤な目でニイっと笑っていたそうです。
また別の子は、夜中に目を覚ました時。
たくさんの真っ赤な目をした子供達にお姉ちゃんが囲まれ、
じたばたもがきながら引きずられていくのを見てしまったそうでございます。
その後、親戚の集まりで大叔父に会った時に聞いた話なのですが、
酔った大叔父が言うには、昔、戦時中に1度だけ子供の服が流されてきたことがあるそうです。
その時は学童疎開してきた子供の1人が、同じように身ぐるみを剥がれて沢を流れてきたのだそうで。
それから大叔父と疎遠になり十数年。
集落からはどんどん人がいなくなり、とうとう大叔父だけになったと聞いていました。
先日、久々に実家へ大叔父から電話がかかってきて、こう言っていたそうです。
「今年も流れてきた。7年目だ、今後は盆も一切、夏には誰もあそこに近づくな」
そのまま大叔父はすぐに高齢者施設に入所し、集落からは誰もいなってしまったのです。
そうです、ナナツカ様に服を納める人は、誰も。
今年は例の七年目。
ナナツカ様は集落に下りて来るのでしょうか。
それとも誰も居ないのに気付いて、山向こうの住宅地に下りるのでしょうか?
夏も終わりに差し掛かりました。
山沿いの住宅地にお住いの皆様。
どうぞ窓の外には目を向けない方がよろしいかと。
真っ赤な目をした子供達が、笑いながらあなたを指差しているのかもしれませんから。
【完】

263:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:15:37.62 Mp8aiubx0.net
64本目の蝋燭が消えました・・・

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Big ◆iq3nGde8rU さん、第65話をお願いします
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264:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:16:31.87 slHZZ5U50.net
【65話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『フィールドアスレチック』
これから話すのは、全部わたし自身が目撃したものです。
最初は、あそこで働き始めて1ケ月目のことです。
ある小学校の5年生が一泊で来てて、
子どもらは東の広場のフィールドアスレチックで遊んでたんですよ。
木とタイヤとロープでできた遊具が10以上あるところで、
遊んでも面白いし、障害物競走にも利用できる。
しかも体力もつきますしね。
わたしは、事故がないように近くで見張ってました。
小さい子どもさんは、ロープがからまってしまうことがときおりあるんです。
でね、見ていたら一人の男の子が、「ヘビ」と呼ばれてる遊具に入ってったんです。
タイヤ15本くらいを並べて、ロープで中空に吊ってあるんです。
そのぐらぐら揺れる中をくぐっていくやつです。
でも、アスレチック遊具の中では、そんなに難易度は高くないんです。
見ていたら、その子は足場にのって上半身をタイヤにくぐらせ、
その格好で止まってしまったんです。揺れるのが怖くて動けないんだと思いました。
で、30秒以上その姿勢のままだったんで、助けに行こうかとしたとき、
もう一方のはしからひょっと男子の子が顔を出したんです。
「え!」と思いました。だってね、中にいるのはその子だけなんですから。
タイヤの列は4mほどの長さがあるんですよ。
顔を出した男の子もね、わたしと同じように「あれ?」という顔をして、
そのまま頭から下に落っこちていったんですが、
胴体がびょーんと長く伸びたように見えたんです。

265:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:19:47.03 slHZZ5U50.net
で、男の子の頭が地面に着くあたりで、入り口のほうに見えていた
その子の足と腰が、すっとタイヤの中に飲み込まれた・・・
わたしは話が下手なんで、状況を想像できますかね。
男の子が落ちるとき、長く伸びていた胴体がしゅっと縮んだように見えたんです。
そうですね、蛇笛ってありますでしょう。
ピーと鳴らすと伸びるやつ。あれが縮んでいくときのような感じでした。
地面に横たわっている男の子の体は普通に戻ってたんです。
その子は医務室に運んでしばらくしたら目をさましました。
脳震盪が疑われるので、両親を呼んで病院に連れていってもらいましたが、
その子は、アスレチックのタイヤに入ったとたん、大蛇に飲み込まれたような
気がしたって言ってました。蛇みたく伸びてたのはその子のほうなんですけどねえ。
(終)

266:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:21:39.45 Mp8aiubx0.net
65本目の蝋燭が消えました・・・

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267:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:23:38.55 AgCPeYID0.net
【66話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『電撃柵』
宿舎のほうと、野外炊飯場は電撃柵に囲まれてるんです。
これは熊用のもので、まだ大きな事故は起きていませんが、
その施設から続く山には熊は普通にいるんです。
私らが山に入って作業するときには、熊よけの鈴をつけますし、
宿舎の建物のすぐ近くで、熊が木につけた縄張りのしるしを見たこともあるんです。
それで、宿舎と炊飯場は食べ物をあつかうでしょう。
ですからね、臭いにつられてこないよう柵で囲ったわけです。
電撃は三千ボルトで、これで熊が死ぬということはありません。
やつらも学習しますしね。だんだん自分から近づかないようになりますから、
今ではね、バチッとなるのは年に数回のもんです。
で、その夜はわたしが宿直だったんです。
郊外にあるので、警備保障が来るまで時間がかかる。
それで宿直制度が残ってるんですが、翌日は休みです。
その日はどこの学校も来てなくて、飲酒等はもちろんできませんが、
気楽なもんでした。でね、夜10時の見回りのときでした。
懐中電灯をつけて宿舎の外を歩いていると、バチバチ音がしたんです。
そっちに回っていくと緑色の光が明滅してるのが見えたんで、
何か動物が柵にひかっかって動けなくなり、
電撃を浴び続けてるんだろうと思ったんです。
建物の東側でしたね。光ってる柵の正面にいくと、
外側で何が起きてるのかはっきり見えました。熊・・・でしたけど、
立ち上がって両腕で何かを抱えてたんです。

268:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:24:13.81 AgCPeYID0.net
で、それを電撃柵に押しつけている。熊自身も感電してるんだろうけど、
その抱えてるものを通してだから、たいしたことはないんです。
最初、抱えているものは狸だと思いました。それくらいの大きさでしたから。
ところが、バチッと光るたびに、柵に押しつけられたそいつの顔が見えて・・・
体つきは猿に見えましたが、顔に木の面を被っていたんですよ。
つるつるした材質の無表情なお面です。面の目の穴から、
本来の猿の目がのぞいてて、それは白目になってました。
もう電撃で気絶してたんでしょう。熊のほうはわたしが来たのに気がついたようで、
その生き物を抱えたまま後じさりするようにし、生き物を口に咥え直して、
四つんばいに戻って駆け去っていきました。ねえ、変な話でしょう。
あの生き物が猿だとして、誰が何のために面をかぶせたんでしょうか?
(終)

269:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:26:27.26 Mp8aiubx0.net
66本目の蝋燭が消えました・・・

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270:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:26:43.97 slHZZ5U50.net
【67話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『玄関の絵』
これが今回最後の話です。宿舎の正面昇降口には、ずっと靴棚が並んでいて、
その上に大きな絵が飾られてあるんです。
わたしは美術はあまり詳しくないんで、何号とかはわかりませんが、
2m×2mもあるようなものです。油絵でして、寄贈品なんです。
これを描いたのが、この○○の家の初代の所長さんです。
元は中学校の美術の先生で、校長で退職してからここの所長になったんです。
山が好きな人で、施設まわりをよく歩き回っていたそうですよ。
で、この絵の題材が、山の中にあるダム湖なんですが、
実際にスケッチしたものを元に油絵に仕上げたんです。
施設の東の方面、数km離れたところにあるダム湖ですね。
その下には、数十件の世帯でしたが、小集落が沈んでいるんです。
いえ、すべてダム造成のときに立ち退いていただいて、
たいそうなお金をもらっ街中に移ってったはずです。
その工事のときに死者が出たって話もありませんでした。
だからね、この絵が祟る理由なんて一つもないんです。

271:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:36:32.85 AgCPeYID0.net
なのにねえ、これも年に数回のことなんですが、
朝になると絵の前のコンクリの床が濡れていることがあるんです。
そこは昇降口だし、生徒が来ているときには泥足で踏むところですから、
濡れても別にかまわないんですが、施設に宿泊者がないときでも
それが起きるんです。ねえ、考えられないですよね。
まさか絵の中のダム湖の水がこぼれてくるわけはなし。
ある晩、これも宿直のときでした。
照明をつけては消ししながら、宿舎内を回っていたんです。
でね、ここの昇降口は最後のほうになるんです。
異常なし、と思って照明を消そうとしたとき、ボコッボコッという、
泡が弾けるような音が聞こえたんです。壁の絵のほうからでした。
そっちに懐中電灯を向けると、絵の中央の表面が盛り上がってました。
あのほら、2つ目の話で出てきたお面ですよ。
あれが絵の中から浮き上がるようにして出てきていたんです。
同じものだと思いましたね。ただ、目の穴の中は空洞で黒々としていました。
そのときは動けなかったです。呆然と見ていると、面はあるとこまで出てきて止まり、
横長の口の穴から大量の水を吐いて、そして引っ込んでいったんです。
絵の表面は元のダム湖の油絵のままで、何の痕もなかったですよ。
(終)

272:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:38:31.60 Mp8aiubx0.net
67本目の蝋燭が消えました・・・

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ぺそ ◆qyVZC3tLJo さん、第68話をお願いします
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273:ぺそ ◆qyVZC3tLJo @\(^o^)/
15/08/30 03:39:23.94 5Ask03Be0.net
[68話]
『今の出来事』
今現在起こっている出来事。
21話で我が家にいるであろう誰かの話をしました。
それからです。
2階を走り回る音、今までなかった電気をつけたり消したりする音(これは見に行きましたが本当についたり消えたり)
階段の上り下り、私がいるのに換気扇が回る、エアコンついてないのに寒い・・・・
おまけに胃痛がすごいです。
見世物みたいに扱われて怒っているのか、ヒャッホー状態なのか・・・・
でも私はいいたい。邪険になど扱ってないことを。
共存を認めていることを。
なので深夜は静かにしてください。
そして胃痛を治めてください、お願いします。
おわり

274:ぺそ ◆qyVZC3tLJo @\(^o^)/
15/08/30 03:40:52.97 5Ask03Be0.net
68本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第69話をお願いします
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275:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:41:47.26 AgCPeYID0.net
【69話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『隠れ里』
結婚時代の話です
夫の実家は私の田舎よりさらに田舎(高速道路もまだでした)
けれど古い歴史だけはある山奥でした
そんな夫の実家で初めての正月を迎えた時の話です
夫の家は先祖が武士だったらしく、姫をかばって山奥に隠れ住んだとの事
その末裔だとかいう話を上の空で聞いていました
夫の祖母が「生まれた村に私の親神様がある、あんたを新しい嫁として紹介したい」
との事で夫も初めての廃村である祖母の生まれ故郷に行くことになりました
確か午前中に出発しました
地図のうえでは隣の村で、地図明記はただの山地で祖母の記憶だけを頼りに
車も通れるのか?という獣道(舗装されていない)を一時間もかけてグルグルと向かいました
途中で霧のようなのも出てきて視界も悪くなり崖も多くて危険でした
印象的だったのは、奥の山のところどころに赤い布きれが巻かれていました
人気もなく生き物の気配がしない場所に突然と崩れかけた木造の建物が見えました
数はそんなに多くなかったと思います、ボロボロの家
見た時に「えっ?ここに降りるの?」と怖くなってしまいました

276:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:42:33.02 AgCPeYID0.net
昼過ぎ暗いなのに霧と青い光で気味悪く、まるでホラー映画みたいだと思いました
人はいないのに人が住んでいた感じで、昭和より古いというか、家具とかも割れた窓から見えました
戸口も横開きの木の板で土間とかまども見えたのですが、かまどに木がつっこまれたまんまでした
祖母いわく国の命令で手荷物だけしか持って行けなかったそうです
私が「ここに降りるの?」とこわごわと聞くと祖母は「降りちゃなんねえ降りなくていい」
と静かに言い、ゆっくりとそこは通り過ぎました
なんというか落ち着かない雰囲気で帰れるのか?と冷や汗が出ましたが
祖母の故郷だし失礼な事を言ったら可哀想と思って黙っていました
少し一本道をそのまま奥に進むと、ボロボロの白い神社でよくみる白い紙が沢山ついた
縄が見えてきました
でも白い紙もボロボロで黄色がかかっており、奥に大きな木が見えました
とても大きな木で手前に小さな赤い鳥居と賽銭箱が見えましたが
「これ行っちゃダメだ」と瞬間的に口から出てしまいました
車がそこで突然エンジンが切れてしまい、私は祖母の親神様はアレだ
祖母は車から降りて行くのだろうか?と恐る恐る祖母を見ましたが
なぜか祖母は悲しげに「もういい」と言いました
霧となぜか道が雨水を含んだようにドロドロで見えにくかったのですが
白い縄の奥に木の橋がかかっており、その橋は潰れていました
とりあえず帰ろうと、何回かエンジンをかけてやっとかかり、Uターンをするために
バックでそのまま廃村集落の辺りまで戻りました
その間は私は助手席ですが前方の親神様の木の方向を見るのが嫌で夫と共に後ろを見ていました
廃村は少しくぼんだ土地にあったので、その入り口の下り坂に少し車を入れて、やっと方向転換ができました
さぁ帰るぞと私は後ろを振り返ると、誰もいないはずなのに壊れた家の一軒から
色鮮やかな着物の帯のようなのがヒラヒラと舞っていました
「え?何あれ?」と思いましたが夫に「気のせい」と言われてしまい、そのまま舗装された道路に出た時に
やっと安堵し、自分が汗ビッショリなのに気づきました
あれからあの場所には行っていません、そして行った話を誰もしません
地元の地図や歴史も調べましたが、過疎村の移動は書いてあっても、あの場所の詳しい事はわかりませんでした
(終)

277:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:43:35.94 Mp8aiubx0.net
69本目の蝋燭が消えました・・・

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もうやだ ◆GC4X4Nuhmkさん、第70話をお願いします
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278:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:44:12.72 AgCPeYID0.net
【70話】もうやだ ◆GC4X4Nuhmk 様
『山に居たおじさん』
中学2年生の頃の話
当時俺は思春期っで母親や父親にゴミ箱の中身を見られたくなかった訳だ
んでバレずにどう処理するか考えててそこで外に捨てようって考えに至ったんだよね
んでどこに捨てようかとか考えながら親が寝てる深夜にゴミ袋をデカイ鞄に入れて静かに外出たわけよ

んで適当に歩いてたら公園があって隣に山がある場所があったわけさ
おここで適当に捨てればいいんじゃねって思ってよさげな場所探してたら
ビニールの??????て音とビニールに水を入れて振ったら出るような??????????って言う水の音がしたんだ

んで何かと思うとおじさん?お兄さん?まあ男がデカくて黒い袋担いでて そこで俺に気づいたらしく近づいてきて
「君もゴミ捨てるの?」って質問してきたんだよね
まあ見つかったし仕方ないかって思ってそうですよ~って答えたんだがおじさんが自分のゴミと一緒に捨ててくれるって言ってくれたのね
まあ勿論そこでお願いしておじさんはまあ埋める作業に入ってたんだが俺は勿論手伝いますとも言えなくてすぐ帰ったんだよね
んで5日くらい経ってからかな?隣町の小学生?中学生?かどっちか、女子学生が深夜出歩いて誘拐されたってニュースになってたんだ

んでニュースで誘拐されたと思われる映像って言って監視カメラっぽい映像映されたんだが…
監視カメラの映像はまあ犯人は勿論真っ黒い服で誰かわかんないんだが
まあ映像の内容は殴って蹴って動かなくなって黒い袋に詰め込んで1台車が来て車が逃げていくって映像だった
ニュース見た後俺は怖かったね、あの映像で詰め込むのに使ってたのは黒くてデカい袋 あのおじさんは殺して袋に詰め込んだ女子学生をあの山のどこかに埋めたんだって
[終]

279:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:45:22.56 Mp8aiubx0.net
70本目の蝋燭が消えました・・・

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デッドエンド ◆JY70SElFKIさん、第71話をお願いします
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280:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:45:37.13 AgCPeYID0.net
【71話】デッドエンド ◆JY70SElFKI 様
『六甲山』
神戸で有名な山、六甲山。友人3人と私を含め四人で夜のドライブをしていた時、老人が1人歩道を歩いていました。
こんな時間にこんな場所を歩いてるのおかしくない?と友人達と話しながらゆっくり横を通り過ぎました。
そしたら、友人のうち1人が「老人1人で道に迷ったんかも?乗せてあげた方がいいんちゃう?」と言い出しました。
私たちはどう考えてもおかしいし軍服みたいなの着てるし正直気持ち悪かったので全力で拒否しました。
翌日、職場で昨日こんなことあったと話してたら、1人の先輩がその話なんか知ってるぞ!と言い、どっかに走って行きまた走って戻ってきました。
「これ!この本のここ読んでみ!自分と同んなじ話が載ってるわ」そこには私たちと同じ体験をした人たちの話が載っていましたが、、その人たちは車に老人を乗せたみたいでそのうちの1人が行方不明になったとかなんとか書いてありました。
あの時、乗せてたらヤバイことになってたかもとゾッとした話でした。


281:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:46:28.45 Mp8aiubx0.net
71本目の蝋燭が消えました・・・

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コソコソ ◆.PiLQRq.0Aさん、第72話をお願いします
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282:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:47:26.52 AgCPeYID0.net
【72話】コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『雑木林に潜む』
あるバーで、毎年夏になると怪談会が行われている。
マスターが怖い話好きで、もう何年も続いている恒例行事だ。
毎年参加させてもらっているが、選ばれた何人かの語り部が順番に話していき、
最後の方は飛び入りで参加者から語り部を募るという形式は変わらない。
今年も用意された語り部たちの話が終わり、会場は良い感じに冷え切っていた。
飛び入りの参加者を募るが、当然ながら手を挙げる人は少ない。
いつもはしばらく時間がかかるのだが、今年はすっ、と手が上がった。
五十路を少し過ぎた、がっしりとした体格の男性だった。仮にAさんとしておく。
「上手く喋れるかどうか……」と一人ごちながら、Aさんは席に着く。
もう四十年近く前の話である。
当時小学生だったAさんは、虫を捕まえるために朝早く家の近くの雑木林に出掛けたらしい。
一人じゃ危ないということで、Aさんの父親が着いてきたが、
父親的には早く帰りたい気持ちでいっぱいだっただろう。
「今となっては親父の気持ちが分かるんですよ。仕事で疲れて、朝早くから虫探しなんて……」
正気の沙汰じゃない、とAさんは苦笑いした。
「それでもその時は、そんな親父の態度が気に食わなかった。だから悪戯して困らせてやろうと思って」
Aさんは父親が見ていない隙に藪の中に隠れたそうだ。
しばらくしてAさんがいないことに�


283:Cが付いた父親が声を上げ始めた。



284:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:48:28.12 AgCPeYID0.net
―お父さん、困ってる困ってる
Aさんは父親の狼狽する姿を想像してほくそ笑んでいたらしい。
「最初は『しめしめ』と思っていたんですけどね、だんだん父親の声の調子が変わってきて…」
―お父さん怒ってる……
父親は突然居なくなった我が子を必死になって探しているのだろうが、
子供のAさんからすると「怒っている」と感じられて無理はない。
Aさんは藪の中から出るに出られなくなってしまった。
―出たら怒られる。
そう思いながらじっと身を縮めていると、徐々に父親の声が遠ざかっていった。
途端に辺りの音が大きくなる。遠くの方でかすかに父親が自分を探す声がする。
―このまま置いて行かれたらどうしよう……
段々と心細くなってきた。
怒られるのを覚悟で声を上げようとした時、
「Aー Aー」
自分のすぐ横から声がした。
自分の名前を呼ぶ声。父親の声。
でも、それは抑揚がない。合成音のような平坦な調子で
「Aー Aー」
と繰り返す。
「……誰?」
泣きそうになりながら、Aさんが声をかけた。

285:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:49:20.35 AgCPeYID0.net
「だれー だれー」
声が変わる。自分の声になった。
Aさんは声の正体を探して藪の中を見渡しても誰もいない。
でも自分のすぐ隣で
「だれー だれー」
と声は繰り返している。
「お父さーーん!」
耐えられなくなったAさんは藪から飛び出して、父親の声のする方に泣きながら走っていった。
大泣きしながら現れたAさんを父親が抱きかかえて宥めてくれた。
背中をさすられながら、雑木林を父親と連れ立って抜け出した。
「―そして、親父の車に戻りました。ずっと怖くて泣いていたんで、親父はなんとかご機嫌取ろうとしたんでしょうね。
 『大丈夫大丈夫』って頭を撫でて『また来ような』って言ってくれました。
 『もう来たくない』って断ろうとしたんですけどね……」
Aさんはここまで話して、難しい顔をして黙り込んだ。
「気のせいかもしれないし、もう記憶も定かじゃないんですけど……」
Aさんの父親が『また来ような』とAさんに声をかけた直後、
車の後部座席から
「またいくからー」
と、声がしたそうだ。


286:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:49:46.71 Mp8aiubx0.net
72本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第73話をお願いします
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287:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 03:50:37.70 slHZZ5U50.net
【73話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
「老人施設」
私の母は介護福祉士で施設で働いています
病院と一緒で人が亡くなる場所であり母も何度かみたそうです
夜勤をしていると4階のエレベータ前でよく影が出るそうです
不思議なのは黒い影ではなく白いそうで、担当者だった人には
「あ、亡くなった〇さんだ」とわかるそうです
何度か内緒でお坊さんにも来てもらい供養はして貰ったそうですが
なぜか4階だけに出るそうで、ここの職員は長持ちしないそうです
母は幼い時に色々と霊体験はしていますが本人は恐怖漫画を笑ってみるタイプ
そんな母ですので皆が4階の夜勤を嫌がる中で母だけが移動もせず働いていたそうです
そんな母ですがお盆が終わって、その当時一番懇意にしていた担当の方が亡くなられました
なんでも正月と盆を過ぎると亡くなる率が高くなるそうです
母はいつもの通り夜勤をしていると、なんとなくゾワッとした感覚になったそうで
「ああ、こりゃいるな」と思ったそうです
ですが、気にしたらダメと無視しようとすると、いつもはエレベータ前から動かない気配が
スッと母の前に出たそうです
母の体を白い影がつきぬけて母は「あっ」と思ったそうです
白い影は母が担当していた、あの患者さんだと直感でわかったそうで
その影は母の前にたち母においでおいでをしたそうです
母は「ダメ!!ちゃんと家族さんの所に行きなさい!!私は私の家族があるの〇さんダメ!!」
と必死で咄嗟に言うと、影は少し停止したあとに、小さく頭を下げて消えたそうです
流石に母もその次の週から2階に移動して貰いました
(終)

288:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:52:58.57 Mp8aiubx0.net
73本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、第74話をお願いします
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289:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:53:07.69 AgCPeYID0.net
【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『土蔵の狸』

知り合いの話。

彼の実家には�


290:テくて立派な蔵があるそうだ。 これは、彼がまだ幼い頃のこと。 夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。 「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。 同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。 取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。 「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。 数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。 ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。 人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。 家人たちは口々に不思議だと言い合った。 ただ祖父だけは笑ってこう言った。 「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。  昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」 まだ幼かった知り合いは、 「え? あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。 彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。 家族皆に大笑いされたそうだ。 「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」 祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。 (終)



291:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 03:54:25.26 Mp8aiubx0.net
74本目の蝋燭が消えました・・・


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292:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 03:59:05.01 AgCPeYID0.net
【75話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『義実家の人々』


元同僚の話。

彼の奥さんの実家は、人の死が見える家族なのだという。
義両親は共にはっきりと、義妹はボンヤリと見えるのだそうだが、
なぜか奥さんだけはまったく見えない質らしい。

夫婦で実家に遊びに行くと、
「あぁ、君は○○で死ぬだろうから、準備をしておいてくれ」
「娘を必要以上に苦労させたくないから、保険とかもきちんとしておいてね」
などと反応に困るようなことを言われたそうだ。

奥さんが泣きながら「あの人たちには、本当に人の死に目が見えるの」と訴えた。
「ま、用心しておくさ」と彼は返し、自分が可能な対応をすることにした。
○○から連想される場所に、絶対に近寄らないよう暮らし振りを変えてみる。

その少し後、再び訪れた実家で、今度はこんなことを言われた。
「おや、○○で死ななくなったみたいだねぇ」
「でもまだ△△かもしれないし」

「だから今は△△を避けて生活しているんだ。
 かなり天然入っているけど、義実家の人たちって悪い人じゃないんだよ。
 見方を変えれば、危険を未然に注意してくれているとも言える訳だし」
ニコニコとそう述べる彼の横で、乾いた笑いを浮かべる奥さんが印象的だった。
彼自身も強烈な天然であるのだが、当の本人はそれに気がついていない様子である。

(終)

293:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:00:23.34 Mp8aiubx0.net
75本目の蝋燭が消えました・・・


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、引き続き 第76話をお願いします
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294:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:00:49.18 AgCPeYID0.net
【76話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『旧校舎の肝試し』


友人の話。

学生時代の夏休み、取り壊される予定の旧校舎で肝試しをしたのだという。
学校からかなりうるさく言われたので、かっちりとした計画を立て、
使用許可もちゃんと出して、スケジュール通り執り行った。
イベント自体は何も起こらず無事に終了したのだが、校舎から出た途端、
先生方が怒りながら飛んできた。

「こんな時間までどこで何やってた!?」

時計を見ると、もう少しで日が変わる刻限になっていた。
おかしい。
計画ではどんなに遅くとも、21時までには終了する予定だったのだが。

295:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:01:38.32 AgCPeYID0.net
先生方が言うには、帰りが遅いので心配し、旧校舎内を確認したのだが、
誰一人として姿が見つからなかったと。
さては連絡もせずに帰ったかと家に電話をすると、まだ誰も帰っていない
と言われたので、手分けをして探していたのだという。
しかし彼らは旧校舎からは出ていない。

彼ら生徒たちの腕時計は、皆揃ったように五時間以上遅れた時刻を指していた。

「結局、俺たちが時間を忘れて遅くなったという仕舞をつけられてさ。
 親にも学校にもえらく怒られたよ。
 でも、警察の人にまで怒られたのは困ったなぁ。
 あの人たち、マジに怖いんだもん」

彼はそう言うと肩を竦めた。

(終)

296:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 04:02:18.19 Mp8aiubx0.net
76本目の蝋燭が消えました・・・


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Big ◆iq3nGde8rUさん、第77話をお願いします
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297:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:03:11.50 AgCPeYID0.net
【77話】Big ◆iq3nGde8rU 様

山の中の濃霧は、登山界ではガスと言うことも多いですね。
ひどいときには、まったく視界を失って遭難の原因となることもあります。
実際、すぐ目の前を行く人の後頭部や、
自分のはいている登山靴さえ見えなくなることもあるのです。
登山をしない人でも、飛行機が雲海に突っ込み窓の外が一面に白くなるのを、
見た経験がある方もいるのではないでしょうか。霧と雲は基本的には同じものです。
「五里霧中」という故事成語があります。
国語の試験問題に出て、「夢中」という誤答例が紹介されることがありますが、
「五里霧」は五里四方に立ち込める深い霧という意味で、
中国の正史の一つである『後漢書』に初出します。
今夜させていただく話は、こうした山中での濃霧に関するものです。

『体をつかめ』

山行、この場合は近代的な登山ではなく、山菜採りや渓流釣り、
猟などで山に入った場合の山人の心得ですが、一寸先も見えないような濃霧の中では、
行動をせずに晴れ間を待つのがベストです。
しかしなかなかそうも言ってはいられません。時間的な制約もあり、
どうしても先へ進まなければならない場合、
例えば4人同行であれば、リーダーが先頭に立ち、
後ろの3人は両手を空けて前の人の腰をつかんで、そろそろと行動をします。
このとき、ザイルを伸ばしたものをつかんだり、
前を行く人のザックをつかんだりするのはあまりよくないことのようです。
こういう話があります。あるとき4人の一行が、冬に集団で巻き猟をした帰り、
ひどい濃霧に出くわしました。そこらの山塊一体がつつまれてしまったのです。

298:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 04:04:27.17 AgCPeYID0.net
リーダーの指示で、先にお話したように一列縦隊になり、前の者の腰をつかんで、
そろそろと下っていったのですが、3番目の男は手に獲物のウサギを下げておったため、
前の者の腰から手を離してザックの一部をつかんでしまいました。
そのまま20分ほど下ったところで、前の者がまったく動かなくなったのです。
視界はきかなくとも、ザックをつかんだ感触は間違いないので、
「おおい、どした。なんで止まっとる」と声かけをしても返事はなし。
今度は最後尾の者が声をかけましたが、やはり同じでウンともスンとも言わない。
そこで手探りでザックの前を探ってみると、驚いたことにザラザラとした木の感触。
立木がザックを背負っているとしか思えませんでした。
しかし、そんなことがあるはずはない。それはそうでしょう。
そこまで前の者をつかんで、立ち止まりもせずに歩いてき


299:たんですから。 これは何かに化かされていると感じた男は、後ろの男に、 その場に腰掛けるように言い、2人でブカブカと煙草をふかし始めました。 物の怪や獣の化かしには、煙草の煙がよいとされていたのですよ。 そうして、霧が晴れるのをじっくりと待ちました。 視界が回復してびっくり仰天、やはりさきほど手さぐりしたとおりに、 大きなブナの木がザックを背負った形になっていたのです。 そして、そのザックは2人目の男のものに間違いはありませんでした。 ためすがめつ調べても仲間のザックなので、少々気味悪くとも持って山を降りました。 幸いなことに、前にいた2人もすでに山を下りて里に入っていましたが、 2人目の男のザックは当然ながら、なし。両腕を通して背負っているものが、 本人が気づかないうちにするりと脱げてなくなってしまっていたのです。 (終)




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