暇つぶし2chat OCCULT
- 暇つぶし2ch150:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 23:50:02.04 uO4SmEpe0.net
その後、隣人は部屋の中で毎日荒れていて、夜になると女の人のすすり泣く声とそれに話しかける男の人の声が聞こえて複雑な気持ちになりました。
ある日、壁にもたれてTVを見ていたら、ドンッ!と爆発した音と衝撃があり部屋が揺れました。
ビックリしたもののしばらく様子をみてなにもなかったので通報はしませんでした。
ところがそれからしばらくしたある晩、ベットに入り寝ようとしていたら、やけに隣が静かでふと隣の人死んだんかなと思いました。
で、眠りに落ち急に目がパッと覚め部屋の空気が生温かく異様なことに気づくと同時に人の気配も感じました。
怖いけど枕から少しだけ離れるか離れないかくらい頭を持ち上げチラっとみて布団をかぶって目をつぶりました。
灰色のズボンを履いた男の人が立っていたんです。もう言葉にならないくらいの恐怖で逃げたくても逃げれない。
ジッとしていると、気配が消えた!今や!とベットから飛び出そうとした瞬間、バンッ!とその男の人の両手が私の両足を叩きつけました。
もうパニックになった私はワーなのかギャーなのかわからない声を出しながら跳び上がり部屋中の電気という電気を無我夢中で付けて回り朝まで眠れず、昼前頃、経験したことのない臭いがしました。
なんの臭いかと思っていたら、マンションの廊下から「早く来て下さい!」「たぶん死んでます」「この部屋の◯◯さんやと思います」と電話してる人の声が聞こえてきました。
その数十分後に警察や鑑識の人が来て話をしました。
警察の方の話では部屋に灯油を撒き火


151:を点けたが失敗に終わり、結局のところ隣人の死因は餓死で死後2週間くらい立ってますとのことでした。 警察の人達はよく火事にならなかったもんやと首を傾げていました。 昨日まで私が聞いていたあの声は一体なんだったんでしょうか?流石にそれは警察には言えませんでした。 終



152:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 23:51:26.38 uO4SmEpe0.net
35本目の蝋燭が消えました・・・

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未帰還 ◆H3nLk5uPzさん、第36話をお願いします
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153:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/29 23:52:24.29 rKZkpF2O0.net
【36話】未帰還 ◆H3nLk5uPzc 様
『呼吸』
私が小学生の頃、曾祖母が亡くなった時の話です。
母方の曾祖母が亡くなったという報せを真夜中に受け、母の実家に急遽帰省する事になりました。
親戚はとても多いのですが私達は親戚の内では近くに住んでいたため私達より早かったのは伯母の家族だけで、母の実家の大きな家にはあまり人が居ませんでした。
両親とともに顔布を掛けられた曾祖母と対面したのですが、恥ずかしながらその頃私はまだ「死」というものを理解しておらず、何故曾祖母の顔を隠すのか分かりませんでした。
その後集まってくる親戚の出迎えなどで家中が忙しくなり、とんでもない話ですが曾祖母の部屋に小学生の私一人しかいないという時間がありました。
なんとなく「今は大人しくしていなければならない」というのは伝わっていたので、悪戯するような事はありませんでしたが。
その時、私は曾祖母の顔に掛けられた布が、曾祖母が呼吸しているかのように上下に動いているのに気付きました。
しかし「死」を理解していない私はその事を特に不思議には思わず、ただ「自分が吸って吐くのと、ひいばあちゃんが吸って吐くのが一緒だな」と考えていました。
そんな不自然な一致や、真夜中だった事から今考えてみると、単にうとうとして夢を見ただけだったのかもしれません。
ただ、戻ってきた両親に「顔布が乱れている、悪戯するな」としこたま怒られて、「自分は悪くない」とかなんとか泣き出してしまったのは覚えています。


154:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/29 23:54:46.28 uO4SmEpe0.net
36本目の蝋燭が消えました・・・

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スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第37話をお願いします
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155:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/29 23:57:42.11 WCE2gmw+0.net
『誘(いざな)われたら気をつけて』

 俺はかつて駆け出しのライダーだった頃、地元のバイクショップが主催するツーリングクラブに所属していた。そこで俺はバイクのメンテナンスやツーリングのノウハウを
諸先輩の皆様に色々と叩き込まれたものだ。そうした先輩の一人にNさんという方が居た。
 飄々としたいでたちのそのNさんはひと口で言えばホント『いいひと』。
 つまらない相談にも笑顔で接してくれる上に、クラブの新参者で年下で、しかも中型バイクまでしか乗れない俺にすら、いつも敬語で受け答えしてくれたものだ。
 とある春の日に、ショップのテーブル越しに彼が語ってくれたのが以下のお話。

 大型免許取りたてだった頃のNさんは、1週間程度のスケジュールで東日本をのんびりと旅した事があったらしい。そして道行きには、彼の友人の住む地に立ち寄り旧交を
温めるというプランも含まれていたそうだ。
 それは、まさにその旧友の実家に立ち寄らんとしていた時の出来事であったと言う。
 盛夏の深夜、Nさんを乗せたカワサキGPZ900Rは、心地良いエキゾースト・ノートを奏でながら緩やかなカーブの続く路上を疾走していた。
 開通したてであるとのその道路は、路面の各種表示も綺麗に真っ白真黄色、アスファルトはひび一つ無い濡れ羽色、雨でも降れば湯気のひとつも立ちそうなそれこそ文字
通り


156:の『ヴァージン・ロード』だったそうだ。自然とNさんの心も躍る。 「気持ちのいい道だなあ。この分なら早朝にはあいつの街に着けるかもな」  その時、Nさんの目には前方で扇状に揺れる赤い灯が見えた。  細かく点滅する光源に近づくにつれ、それが道路工事における片側一車線規制の交通誘導員が振る誘導棒の生み出す赤色灯である事が判ったNさん。  ちなみに『片側一車線規制』とは、中央線を挟んで上下を通過出来る車両が一台分ずつの道路の片側どちらか一方で路面工事などの作業が行われている場合、作業中の 車線を通過しようとする車両をとうせんぼしてから反対車線の交通状況を確認後、一時的に反対車線での通行を促して工事区間終了後に本来の車線へと復帰させる規制の 事であるッ!…って、頭じゃ判ってても文字に起こすと何言ってるのか判んない状況ですね。ですからあんまり鵜呑みにしない方がいいです、責任持てませんので…閑話休題



157:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/29 23:59:20.73 WCE2gmw+0.net
「開通してさほど経って無いってのに、この真夜中に保守作業か何かかな…大変だなあ」 扇状に振られていた手の動きを止め、頭上に誘導棒をピタリと静止させた誘導員の数メートル手前まで
徐々に減速してゆくNさん。それに伴い愛車GPZのエンジン音も、まるで鍋物でも煮ているかの様なアイドリング時のそれに変わってゆく。
 そんなNさんに今度は深々と頭を下げる誘導員。
 バイクを停車させたまではよかったものの、Nさんはちょいと首を捻った。
 それも当然、通常ならば派手な注意標識や進路指示灯、そして何よりも五月蠅い作業音がこれでもかとばかりに自己主張する工事現場が前方に見える筈であるのに、そこには静寂に包まれた
深夜の暗がりしか広がっていなかったわけなのだから。
「してみりゃ、誘導員の前に『○○メートル先工事中』の看板、あったっけか?」
 そんなNさんの心中を知ってか知らずか、今度は誘導員は頭上にかざしていた誘導灯を自分の体と平行に、下半身沿いの半弧を描く形で進行方向へと向けて何度も何度も振り流す。これは
常識的に考えると、勿論『青信号』と同等の意味を有するジェスチャーだ。
『え、いいの?対向車両はまだ一台も通過して無いんだよ。いいの?』
 前方を指さしながらフルフェイスのバイザーを開き、アイコンタクトを試みるNさん。 誘導員はそんなNさんを一瞥し、薄明かりの下でその表情までは窺い知れなかったものの、確かにこくりと頷いた。
「本当にいいのかなあ」
 納得いかぬ気持ちのまま、Nさんのバイクは対向車線へと躍り出てゆく。
 走り出してから十数秒、左車線をいくらチラ見しても相変わらず工事の『こ』の字も窺えない。ただのっぺりとした路面だけが、青白い道路照明灯にぼんやりと照らされているのみである。
 不可解な誘導員の存在に対する疑念が心中を支配していたせいか、Nさんの集中力は若干弛緩していたのであろう。けたたましいクラクションの響きでふと気がつくと、彼の僅か前方には猛然と
迫り来る一対の馬鹿でかいヘッドライトが目映い銀光を放っていた。

158:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:00:24.13 ujnfAOrg0.net
「…うぉっ!」
『視覚情報が脳みそに届く前に、反射的に舵切ってました』とは後日のNさんの弁。間一髪で本来の走行車線へ流れた彼をあざ笑うかの如く、轟音と共に傍らをすれ違ってゆく大型貨物…。
「あのまま行ってたら、逝ってたわ。しかしあの立ちんぼ野郎、どこの誰だか知らないがこんな辺鄙な山ん中でタチの悪い悪戯しやがって…」
 本来は温厚である筈のNさんの怒りは、翌日彼の友人に会うまで治まる事は無かったそ
うだ。
「…しかしな、お前の『こっち来る時はこの道来いよ。出来たてのホヤホヤだから走り心地いいと思うよ』ってな台詞を真に受けて、えらい目に遭いそうになったぞ」
 Nさんの愚痴をひと通り聞いていた彼の友人は、一部始終を聞き終えて口を開いた。
「悪い事したなあ。お前が言ってたその場所で、ちょうど開通する一年ほど前に工事作業車の誘導してたおっさんが、よろけたはずみでダンプに巻き込まれちゃったんだそうだよ。炎天下の
誘導だったから頭がボーッとしちゃってたのかもって事で、現場の安全管理ミス含めてこっちじゃ当時、さんざんニュースで取り上げられてたもん。それかもな」
「それかもなってお前、あっさり…ってか、それ知ってたんなら何でそんな道を俺に!」「仕方ないだろ、俺だってそんなもんが出るなんてのは初耳だもの。しかしまた何でだろうね、昔の現場が
懐かしくて出ただけならともかくその誘導員、ひょっとしたら寂しくてお前をこの世じゃないどこかへ誘導しようと…」
「やめてくれよお…」
 先程までの腸の煮えくり返りもどこへやら、終いにはすっかり涙目のNさんだったそうで…。

159:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:01:52.63 ujnfAOrg0.net
「…それでですね、俺ってビビリなもんだから、帰りは不案内ながらも別ルート駆けて来たんですよ。そこでもかなり怖い思い、しましてねえ」
「そいつは大変でしたねNさん、口調が稲川淳二ですよ。それからどうしました?」
 そこまで話し終えた後、トレードマークのバンダナ頭を掻くNさんのネクスト・ストーリーに更なる興味が湧いた俺。
「別ルートも同じく深夜走行を余儀なくされたんですよ。そしたら漆黒の闇の中、延々と砂利道の続く九十九折れの山道でしょ…ちょっと気を抜けば谷底ですよ、谷底!ようやっと
舗装路に出たら今度は対面から威勢のいい四輪の走り屋どもが中央車線はみ出して特攻紛いのコーナリングして来るしで、あの晩何度死にかけましたかね俺」
「…ひょっとして、今ここにいるのは本当に生きてるNさんなんですか?はははは」
 おちゃらけてテーブルの下を覗き込み、足の有無を確かめる素振りの俺にNさんは少し唇の端を歪める。
「笑いごとじゃありませんよ。ホントにあの誘導員、どうせなら他人の迷惑顧みねえあの走り屋どもの前に化けて出て、奴らをまとめてあの世へいざないやがれってんだよ。使えね
野郎だぜ、全く…」
『Nさんのその喋り方、面前で初めて聞いた!』
 前半と後半との彼の口調の見事なギャップがやたらと可笑しかった半面、ちょっとNさんの本性が垣間見えてどことなく怖い気がした春の夕暮れだった…。

【了】

160:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:03:28.73 ujnfAOrg0.net
37本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第38話をお願いします
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161:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:04:54.26 slHZZ5U50.net
【38話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『子供の記憶』
うちの子がお腹にいた時から不思議な体験をしました。
めったに雪の降らない土地に雪が降った日、どうしても用事があった私が車で出かけました。
交差点の信号が青だったのですが急にお腹が張り、ブレーキをかけて停止した瞬間に
信号無視で雪で滑った車が勢いよく目の前を通過しました。
停止していなければ衝突していたでしょう。
子が生まれてからもドライブ中、機嫌が良かった娘が突然泣き出しました。
唐突でビックリして路肩に止めた瞬間に対向車のトラックが横道からきた乗用車と衝突しました。
部品はこちらに飛んできましたが停止していたために巻き込まれずに済みました。
そもそも、この子の出産は大変で本当に命の危険がある難産でした。
医者からも覚悟をして欲しいと言われ、万が一を考えた対応で出産に挑みました。
その時点で私はすでに虫の息で必死で我が子を出すだけで意識を繋いでいました。
酸素マスクを口につけられ、数々の点滴や機械に繋がれ、暴れないようにと手足を固定されての出産。
出産中に私意識を失い、どうも生死の境をさまよい、世で言う三途の川に行った様子です。
川ではなく光の集合体が暗い闇の中で川のように真横に流れていました。
フワフワとホタルより大きく、けれど暖かみのある光が周囲に幾つかフワフワと舞っていました。
川の向こうで亡くなった祖母を見つけ、私はただ嬉しくて「おーぃ」と手を振ったのです。
すると祖母は険しい見た事もない顔でこちらをにらみつけ、何も言わずに手でシッシッとあしらわれました。
シッシッって犬かよ!!と私がイラついた瞬間に小さな、でもはっきりした声で
「おかーさーん」って声が聞こえて目が覚めました。
婦長さんが私にまたがって私の頬をたたきがら「目を覚ましなさい」と叫んでいました。
そしてなんとか出産もできましたが、子はとても小さな子でした。

162:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:09:43.71 slHZZ5U50.net
私には霊感がありませんが、霊を否定する気もありませんでした。
ですが子が3歳程度になるまでは、見えない場所と会話をゴニョゴニョとしていたり手を振ったり
娘の写真に光が写っている確率が高かったりと色々と迷いました。
今でも娘の小さい頃の写真には、そんな不思議なモノが写っています。
持っている石が人の顔だったり、撮った背景の鏡に見知らぬ老人がいたりです。
3歳程度の時に娘とお風呂に入っていると娘が急に言いました。
「お腹の中でおかーちゃんの声きいてたよ?はやく会いたかったんだよ。
あのね、お空でどのおかーしゃんにするって時に、おかーしゃんがいいって思ったの
ずーっとお腹でここにいるよーってキックキックしてたんだよ」
それからも不思議な事は保育園時代まで続きました。
保育園に珍しく行きたくないと言った日は近くの山が家事になったり
あのトンネルは嫌と行った次


163:の日に、そのトンネルで事故があったり。 ですが小学校に入る頃には収まり、今では怖いテレビを見て「キャー」なんて言ってます 今では普通の子ですが、親としてはこの方が安心できます (終)



164:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:11:59.20 AgCPeYID0.net
38本目の蝋燭が消えました・・・

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165:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:13:17.69 ujnfAOrg0.net
『鏡よ鏡よ鏡さん』

 学生だった当時、某サークルでの会報作成に忙殺されていた頃の話だ。
 夕暮れのサークル室、同期のY子と二人きりで与太話をしながら作業を進めていたのであるが、どんな経緯を経たのかは失念したものの、やはり話はそっちの方向へと…。
「小学校の頃なんだけど、私、変な目に遭っちゃってさ…」

 彼女の実家は信州だったか甲州だったか、とにかくその辺りだとの事。勿論彼の地でも神社の縁日ともなれば沿道に露店が軒を連ねるワケで、その晩は当然お祭り好き
のY子も兄と連れだって賑やかな人混みの中にいた。
 さっそく輪投げに興じ始めたY子の兄であったが、何度投げても狙った的に嫌われるばかりで持ち輪はどんどん少なくなってゆく。
 そして業を煮やした挙げ句に気合いを込めて放った最後の一投は、ようやく彼の執念が通じたものか、狙いは外したとは言えとある景品の台に見事すっぽりと収まった。
「つまんねえなあ。こんなの、俺使わねえからお前にやるよ」
 狙っていた超合金のおもちゃを取りそこねていささかご機嫌斜めの兄がY子に手渡したその景品とは、『ひみつのアッコちゃん』の商売道具でお馴染みの丸形コンパクト
ミラーだったのである。
「やたっ!ありがとう兄ちゃん」
「知らない誰かが使った鏡を貰うのって、お婆ちゃんあんまり感心しないねえ」
 家に戻って家族に件の戦利品を見せるや否や、彼女の祖母は眉を顰めてそう呟いた。
 そのコンパクトは直径6㎝程度の年季物ではあるものの、いわゆる『いい仕事してますね』的な完成度を誇る、素人目に見ても極上の一品だったと後のY子は述懐する。
 微細なエングレーブで縁取られたその上蓋の面には薄紅色に咲き誇る夾竹桃の周りを舞う蝶の群れが、精緻を尽くした螺鈿細工の技法により美しく描かれている。そして
金粉の散らされた裏蓋にはススキの穂を思わせる放射状の飾り絵の中、元の持ち主の名前と思しき草書体の文字が彫られていた。
 何れにしろ、およそ露店の香具師が子供騙しのアイテムとして扱う様な代物では無い。
 信心深かったとのY子の祖母は、なおも心配げに小さく囁く。
「今からでも遅くないよ。返しに行った方がいいんじゃないかえ?」
「いやだもん。古道具屋さんから買ったと思えばいいじゃない!」

166:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:15:16.03 ujnfAOrg0.net
 翌日からY子はそのコンパクトを肌身離さず持ち歩き始めたと言う。学校では先生に見つからぬ様に休み時間ともなればこっそりとそれを取り出し鏡に映る己の顔を飽きもせずうっと
り見つめ、放課後はそれを繰り返し友達に見せびらかして…という具合。
 照れくさ気に頬を掻きながらの彼女曰く、
「ちょっと大人になったかな?みたいな気にさせてくれたあのコンパクトに、何て言うか、情が湧いちゃってねえ」とか。
 やがてY子がコンパクトの異変に気づくのには、さほどの日数を要しなかった。
「あれっ?」
 その日もいつも通り鏡の中の自分に見惚れていた彼女であったのだが、ひと重で自他共に認めるドングリ目玉である自分の目がほんの一瞬、二重で切れ長のそれに見えたのだと言う。
 そしてまたある時は自分の背後に吊されているカレンダーの文字が、普通であれば反転されるはずであるのに当たり前の表示のままで鏡には映っていたりして。
 何れの場合も共通するのは、ハッとして鏡を二度見した時にはいつも同様に普通の映り具合に戻っているという事であった。
 一度であれば見間違いと言う事もあろう。しかしそれが二度三度と続くとなると、さすがの彼女も一抹の不安を覚えざるを得なくなると言うものである。
 その他にも、確かに洗面台脇に置いたはずのコンパクトが、顔を洗い終えて見ると玄関の下駄箱の上に鎮座していたり、パチンと閉じたかと思えば少し目を離した隙にバネ仕掛けの
蝶番でも無いその蓋が、囲炉裏で炙ったホタテの如く何故かパックリと開いていたり。
 にも関わらず、Y子はコンパクトを手放す気にはなれなかったそうである。そう、まるで何かに魅入られたかの様に…。
 そしてある夜、決定的な出来事が起こった。
 ここ数日体調が思わしくないものの、それでも就寝前にいつもの如くコンパクトを開いて鏡の中の自分と対面するY子。
「あたし寝るよ。あんたもおやすみ…」
 そして蓋を閉じかけたその時、上蓋と下蓋の隙間で何かが瞬いた様に彼女には思えた。
「え?」
 閉じかけていた蓋を再び開けたY子はコンパクトに顔を近づけ、青光りする鏡面を再びまじまじと覗き込む。
 その瞬間彼女は見たそうだ。鏡の中の自分の唇が、本来無いはずの八重歯を覗かせてニヤリと薄気味悪く微笑んだのを…。
「パリンッ!」

167:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:16:14.12 ujnfAOrg0.net
 後の記憶は霧中の如く漠然としているために彼女には思い出せない。ただどこか遠いところで、
「タイヘンダ!カアサン!タオル ト ホウタイ ダア! アト ハヤク イシャ…」
「ダカラ イッタンダヨ!アンタ ガ ヘンナモノ ヲ コノコ ニ アゲルカラ…」
「ンナコト イッタッテ オ オレ シラネエヨオ…」
 そんな喧噪が聞こえていたのだけは覚えている…との事。

「次の日、コンパクトはお婆ちゃんが近くのお寺に持ってっちゃったみたい。今でこそ兄貴も『あの鏡さ、多分お前が美しすぎるから割れたんだよ。ほら、パタリロのオープニングみたいにさあ』
なんて茶化しやがるけど、その後は普通の鏡さえもしばらくの間見られなかったもんね、あたし」
 言い終えた後に、小さく肩をすくめるY子。
「ほう。怖くて普通の鏡も、か。Y子も男勝りに見えて結構、可愛いとこあるじゃないの…しかしその話、本当かい?」
 自分の話を疑われ、Y子は紅潮して頬を膨らませた。
「嘘じゃ無いのに!ホラ、もっとこっち来てあたしの顔、じっくり見なさいよ」
 言われた通りお互いの吐息が交錯するほどの間近でよく見ると、なるほど彼女の両頬には確かに鋭利な何かを散らされたかの様な小さい古傷の窪みがうっすらと数カ所見て取れる。
「ね、判ってくれた?」
「ああ、よ~く判ったよ。お前さんの厚化粧の理由がな」
 俺の何気ない失言が彼女の中のデリケートな何かをいたく刺激したものか、その後しばらくの間Y子はひと言も口を利いてはくれなかった。
 もっともその後、丁度彼女に顔を近づけていたところを忘れ物を取りに来た同サークルの後輩が偶然目撃した様で、誤解を解くために俺はさんざん要らぬ苦労を強いられる羽目になってしまった
のだが、それはまた別の話。

【了】 

168:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:19:11.97 ujnfAOrg0.net
39本目の蝋燭が消えました・・・

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儚 ◆Um9yHBDNIMLwさん、第40話をお願いします
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169:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:19:28.99 AgCPeYID0.net
【40話】儚 ◆Um9yHBDNIMLw 様
『無題』
小6の時に私が体験した話です
当時通ってた小学校にはいくつか怪談がありました
いわゆる学校の七不思議というやつです
休み時間中に仲のいい友達3人とその話で盛り上がり放課後確認することになりました
私たちは1つずつ確認していくも
6つ目まで何も起こらず
?やっぱ七不思議なんて全部ウソだよね~?なんて言いながら最後の7つ目を実行すべく体育館に向かいました
7つ目の七不思議は
一人で体育館の真ん中にボールを置いて?一緒に遊ぼう?と3回言いボールに背を向ける
霊が来るとボールが勝手に動き出すというものでした
これは一人でやらなければならないためじゃんけんで負けたアヤちゃん(仮名)が実行役になりました
その間私たち3人は舞台横の用具室に隠れることに
ドアの隙間から覗いてましたがやはり何も起こらず
がっかりしていると一緒に覗いてたはずのカナちゃんがいません
名前を呼ぶと?みんなこっち来てー!?と舞台の方から声がするので行くと
?放送室空いてる!?と興奮気味
放送室は舞台横の階段の上にあります
普段は先生や放送委員の人しか入れない上いつもは鍵がしまっている場所
中に入ると当然普通の放送室ですが脇にある窓から体育館が見下ろせるのでいつもと違う気分が味わえました
秘密基地みたいだねなんて話してたらアヤちゃんが?ボールなくなってる?と…
確かに窓からさっき使ったボールは見当たらず

170:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:20:32.80 AgCPeYID0.net
?アヤちゃんが片付けたんじゃないの??
?私触ってない。そのままにしてこっち来た?
?見回りの先生もう来ちゃったんじゃない!??
?見つからないうちに逃げよう?
私が先にドアに近づくと向こうからコツコツコツコツと足音が
私は人差し指を立て?静かに?の合図をして小声で?先生こっち来てる?と伝えました
カナちゃんが?鍵、鍵しめて見つかったらヤバい?と言うので私はなるべく音が出ないようそっと鍵を締めました
鍵が閉まってればわざわざそこを開けたりはしないはずです
私たちは息を殺してドアを見ながらじっとしてました
すると突然ガンガンガンガンガン!!とものすごい勢いでドアが叩かれました
とても一人でやってるとは思えない勢いでガンガンガンガンガン!!ガンガンガンガンガン!!
?アケテーアケテーアケテー?
ノックの音に混じって歪んだような女の声
こんな声の先生は知りません
瞬時に得体の知れないナニカだと思いました
他の3人もこれは先生ではないと気付き真っ青になりました
ヤバいきっと七不思議なんか試したりしたから変なのを呼んでしまったんだ
どうしようどうしようとみんなパニックっておろおろするしか出来ない
私はランドセルに付けてたお守りを握りひたすら?神様お願いします守って下さいお願いします?と心の中で唱えました
しばらくすると音は止み去ったかと思ったら今度はペシャペシャと湿り気のある気味の悪い音
ドアの向こうで何をしてるのか
ぞっとしました
窓の一番近くにいたリサちゃんが?先生来た!先生来た!?と言うので見たらちゃんと知ってる先生がそこに!
私たちはもう怒られるとかそんなのはどうでもよくなって必死に窓を叩いて?先生!先生!?と呼びました
それに気づいて舞台の方に駆けていく先生を見てホッとしました
いつの間にかペシャという音はなかなっていて階段を登ってくる音

171:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:22:00.21 AgCPeYID0.net
?どうしたの?何かあったの??
私たちはドアを開けて正直に今起こっていたことを話しました
先生は?誰かのイタズラじゃないの??と言って舞台の周りなどを見て回るも誰も見当たりませんでした
先生もこちらに向かうさいに誰かとすれ違うこともなかったとのこと
怖がってる私たちを可哀相に思ったのかこの事は担任には言わないでおいてくれました
それから半年ほどして私たちは卒業式を向かえました
式の後あの先生にも挨拶に行くと
?あの時あなたたち怯えてたから言わなかったけどあそこ出るみたいなのよ。
ほら去年までいた保健のサトウ先生(仮名)覚えてる?サトウ先生霊感強かったみたいでね体育館は“アレ”がいるからなるべく近づきたくないてよく言ってたのよ。
アレって何?て聞いても教えてくれなかったから先生もよく分からないんだけどね。
もしかしてあなたたちが遭遇したのはサトウ先生が感じてたアレなのかもしれないわね。ごめんなさいね今更怖がらせちゃったかな。でもアレはあそこから動けないから憑いたりはしないそうよ。だから安心して?
今も体育館にアレはいるのか
確かめようがないし確かめたくありませんが母校の前を通ると思い出します


172:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:23:41.61 slHZZ5U50.net
40本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第41話をお願いします
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173:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:25:51.80 AgCPeYID0.net
【41話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『道向いの家の影』
私の家系は昔から猫が好きで自然と猫がいます
現在も縁で猫が4匹いるのです
昔から我が家に何かあると猫が消えたり亡くなります
私の身内は「身代わりになってくれたんだね」と土地に埋めて拝みます
我が家の猫は完全な室内飼育です(事故とか嫌なので)
家の窓から外を見張るのが大好きです
車が窓外に通ると「ナーナー」ときたよきたよと教えてくれます
飽きもせずジーッと何時間でも見ているのですが、この前のお盆から
どうも様子がちょっと違います
決まっているのが夜7時過ぎからの時間で道向いの家の小さな小窓を見ています
気づいたのは小さく唸り声をあげている時があるからです
実は霊感のない私は向いの、その小窓を見るのが嫌です
近所づきあいしないので、だいたいの家族構成しか知りません
夜はカーテンを閉めて向いを見えないようにしていますが
猫がヒョイっと自分の顔をつっこむスペースを開けて観察しています
私には何も見えないし、なんとなく黒いカーテンがたまに人影に見えるのが
嫌なだけなんですけど、この前ここの息子さんが言うんですよ
「寝ようとすると、女がずっとこっちみてる感じがして気持ち悪い」って
似たヤンチャな友達に笑われてました
今日もずーっとカーテンは閉まったままです
(終)

174:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:27:39.32 slHZZ5U50.net
41本目の蝋燭が消えました・・・

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スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第42話をお願いします
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175:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:29:44.89 ujnfAOrg0.net
『感性の違い』

「あのさ、ただであげるからこのチケット、要らないか」
 映画マニアである父の友人は気さくな口調でそう笑い、俺の手にとある名画座のチケットを握らせた。
「え、いいんですか。何の映画?」
「ああ、アンドレイ・タルコフスキーってソ連の監督が昔撮った作品。君は若いからちょっと退屈するかもなあ。だけど、それでもまあ話の種にはなる思うよ」
 翌日そのチケットを胸ポケットに忍ばせて、俺は早速夕暮れの街に踏み出した。
 街外れにその名画座はある。それまでも何度か訪れた場所だがこの映画館、採算性に牙を剥いているとしか思えぬ様な、趣味的で超マニアック作品しか扱っているのを
見た事のない、小ぢんまりとしたシアターだった。
 ライブハウスを改装したとされるこのシアターは一般的な映画館のスクリーン設置位置と比しても遥かに低いそれに加え、リノリウム貼りの上に据えられたシート数はほんの
百席弱。フロアそのものが平坦であるため、通常でも鑑賞の際は観辛い事この上無い。
 そんな場内に足を踏み入れると、上映5分前だと言うのに来館者はた�


176:チたの俺一人。「まあこんなのも貸し切りみたいで、いいか」  4列目の真ん中辺りに腰を下ろし、あまり期待もせずに俺は開演のベルを待ったものである。 「やばい。貴重な時間を無駄にしたか」  始まってから俺がそう後悔するまでに、さほどの時間は要しなかった。肝心の題名は失念したもののこの映画、開演以降ろくな台詞も無いままに、河やら雲やら農村やらの 情景が延々と流れ続けている、いわゆる『アート系環境映画』的な代物だったのだ。  玄人にはおそらく高評価な作品なのであろうが、バカでも判るスペクタクル超大作を好む俺にとって、この展開は苦痛以外の何物でも無い。 「ひょっとしてこれが最後まで続くのかなあ。涙目のせいか、スクリーンが霞んできたよ」  欠伸を繰り返す俺の瞳の中で、銀盤の風景がじわりと滲んでいる。  いや、しかし…その滲み方が何か変?



177:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:30:46.27 ujnfAOrg0.net
 誰も座っていない最前列中央、ちょうど俺の視線の先が真っ正面に捉える席上だけが、丁度肩から上の人型に歪んでいるのだ。それ以外のスクリーンは鮮明に見えている。
 ほら、『光学迷彩』ってのを想像して欲しいんだけど、あたかもそれを纏った人間が前々々のシートにこちらに背を向け座っている様な不思議な構図。その半透明のシルエットが
動くと同時にその空間範囲だけ、映写されている光景が部分的にぐにゃりと歪む。
 その正体が何なのかはひとまず置き、普通であればスクリーンがもう少しはよく見える座席までの移動を試みれば良さそうなものであるが、上映作品も肩透かしな上に猛烈な
眠気に襲われた俺には、もうそれすら努力する意欲が既に残ってはいなかった。
 程なくして俺は睡魔に負け、深い眠りへ真っ逆さまに落ちていったものである。
「パチ、パチ、パチ…」
 神社を参拝する際の柏手にも似たその響きで、俺は目を覚ました。
「んん、やっと終わったか。しかしこんな映画でもブラボーするのがいるんだな。俺が寝てる間に他の客でも来館したか」
 館内照明が再点灯し始めた薄明かりの中、眠気の残る目を擦りながらフロア内をぐるりと見渡す俺。しかし劇場の中には入館時までと同様、俺以外の客は見当たらなかった。
「パチ、パチ、パチパチパチ…」
 若干速度を速めながらも続いているその拍手は、どうやら例の最前列中央の席から確かに聞こえているらしい。
『何だかなあ。さすが目に見えない誰かさんの芸術的感性ってのは、生きた人間のしかも凡夫たる俺なんかとはどうやら一線を画すみたいだわ…』
 かび臭いロビーを抜けて、今やとっぷりと日も暮れた街を吹く木枯らしに再び身を晒した俺は、肩を窄めながらも前方の空車タクシーに向かって右手を振ったものだった。
 蛇足ではあるが、当然の如くこの名画座は潰れてしまって今は無い。

【了】

178:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:31:25.73 ujnfAOrg0.net
42本目の蝋燭が消えました・・・

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まんじゅう ◆PP2Ugyol5sさん、第43話をお願いします
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179:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:31:46.60 AgCPeYID0.net
【43話】まんじゅう ◆PP2Ugyol5s 様
『ついてくる』
同僚の父、Kさんは山歩きが趣味で、よく休日を利用し関東近郊の山へ赴いていたそうです。
数年前ひょんな事からカメラに凝り始めたKさんは、山歩きのついでに四季折々の自然をカメラに納めるようになりました。
そんなある日の事。いつもの様に


180:トレッキングを楽しんでいたKさんは、山道から少し外れた場所に咲いた一輪の野花にカメラを構えました。 何枚か撮影してみたものの、なかなか思うようなアングルで写真が撮れません。 焦れったくなったKさんは、思わず身を乗り出し、その拍子に足を滑らせ数メートル下の斜面に滑落してしまいました。 幸い怪我もなくカメラも無事です。 「しまったなぁ。しかし夏も終わりとはいえまだまだ暑いし、この山は気軽なトレッキングが楽しめる初心者向けの山。遭難した話も聞かないし、まぁ大丈夫だろう」 そう楽観的に考えたKさんは一旦休憩し、山道に戻ろうとめぼしい場所に向けて道なき道を進みました。 しかし、何の手入れもされていない山の中を進むのは難しいものです。ましてやKさんは山歩きが趣味とはいえ、藪漕ぎの経験などありません。 ようやく山道らしきものに行き着いた頃には、日は暮れかかり辺りには夜の気配が漂い始めていました。 Kさんは心細く不安になる気持ちを何とか奮い立たせ、リュックの中に入れていた携帯用ライトで先を照らしてみました。 山道は随分荒れており、長い間人が通った形跡は見当たりません。野草が繁茂し、大きな石が転がる道を見失わないようにKさんは必死で歩きました。 どれくらい歩いたでしょう。 同じ様な風景が続く山の中、ふとKさんは自分の後方に何かがいる事に気づきました。 草を踏みしだく音、時折石にあたる爪の「チャッ」という音。微かに聞こえる息遣い。 狸か狐か。それとも何か他の野生動物でしょうか。ここいらに熊が出る話は聞きませんが、Kさんはライトを向けて確認してみました。 薄ぼんやりした明かりに照らされた後ろには、見た感じ生き物はおらず、荒れた山道しか見当たりません。 隠れたか逃げたか、まぁ良い先を急がなければ。Kさんは明かりを前に戻し歩き続けました。



181:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:32:45.18 AgCPeYID0.net
一向に麓に近づく雰囲気がなく、暗い山道を足を取られながら進むうち、Kさんの中で少しづつ焦りと恐怖が膨らんできます。
後ろに先程と同じ気配をまた感じましたが、好奇心旺盛な狐か何かが自分を窺っているのだろう、
そう思ったKさんは相手にしませんでした。
「疲れた…」滴る汗を拭い、水分を補給しようと立ち止まったKさんですが、ふいに嫌な事に気付きました。
後方の気配は未だ変わらず、「ザサッ、チャッ…チッ」という足音に「…ハッ、ハッ…フーっ」という吐息。明確にKさんの後をつけてきている意思を感じます。
更に、最初に感じたよりも、かなり大きい。
足音の重さや雰囲気で、姿を確認せずとも人は大体の大きさを察することが出来ます。
少なくとも大型犬くらいはある、そう感じたKさんは追いつかれる事に恐怖を感じ、歩みを早めました。
「チッ、チャッ…ハッ、ハッ…」
これだけの大きさのある野生動物。Kさんはこの音の主に当てはまりそうな動物を片っ端から考えましたが思い当たりません。恐怖で散漫になる思考に、じわりと嫌な、嫌なイメージがKさんの脳裏に浮かびました。
「ガサッ、チャッ…チャッ」
石にあたる爪は、マニキュアの剥げたボロボロの女の爪。
「…フーッ、ハッハッハッ…」
ざんばら髪の合間から覗く、裂けたような大きな口から漏れる荒い吐息。
そんな訳ない!そんな訳ない!
自分はアイツを見ていないのだから、これは疲労と恐怖が見せる何かだ!!
そう必死に自分に言い聞かせるKさんですが、何故か後ろにいるのはアレに違いないと確信していました。
まるで自分の頭の後ろに目の様な器官があって、後ろの映像をKさんの脳内に流し込んでいる。そんな感覚でした。

182:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:33:36.13 AgCPeYID0.net
ボロボロの爪の赤いマニキュア。泥だらけの汚い長い髪。四つん這いの体もどこかおかしく、ギクシャクと部分がどこか欠損しているよう。
違う!違う!
恐怖のあまり走り出したKさんですが歩き詰めの体は限界で、のろのろと歩く速度でしか進めません。太ももや脹ら脛がビキビキと痙攣しているのが分かりました。
「…、…◯◯ぁ◯ー…」
ゆっくりとですが確実に後ろの気配はKさんに近づき、吐息に混じって何事か呟きが聞こえてきます。
痛いほど乾いた喉から嗚咽が漏れ、視界が滲んでいるのに、Kさんは自分が泣いているのに気づきました。
走って逃げ出したいのに、今にも止まってしまいそうな身体。
もう無理かもしれない。後ろを振り返って終わりにしてしまいたい。
Kさんがそんな事を思った時、鬱蒼とした木々の先にぼんやりとした明かりと人の気配がしました。
「おーい!…おーい!誰かっ」
弱々しい嗄れた声でしたが、Kさんの助けを呼ぶ声は幸いにも聞き届けられました。
Kさんに気づいた1人がライト片手に、木々の合間を縫ってこちらに向かって来てくれます。
どうやら壮年の男性のようでした。

183:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:34:44.19 AgCPeYID0.net
「どうしましたー?」
大丈夫ですか?そう言おうとしたであろう相手はライトに照らされたKさんを見て絶句しました。
相手の恐怖に固まった顔と視線から、「あぁ、後ろのアレを見たなこの人…」そう思ったのを最後にKさんは気を失ってしまいました。
Kさんが意識を取り戻した時、既に時刻は明け方でした。
痛む体を引きずって寝かされていたテントから出ると、そこは見知ったキャンプ場で、どうやらKさんはここの裏手に辿り着き、倒れたところを介抱されていたようです。
心配していた周りの人が車で病院まで送ってくれる事になり、ほっとしたKさんですが、皆の中に1人だけKさんと視線を合わさず遠巻きにしている人がいます。
昨夜、Kさんを発見してくれた、あの男性でした。
爽やかな早朝の光の中では、あの夜の事が嘘の様に感じられ、Kさんは一言お礼を言おうと、その男性に近づきました。
口を開きかけたKさんは、しかしその男性に遮られ、
「あのね。あなたもう山に入らないほうが良いと思うよ。私ももう行くことはないと思う」
そう一方的に告げられたそうです。

〈完〉

184:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:35:15.63 slHZZ5U50.net
43本目の蝋燭が消えました・・・

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猫虫 ◆JmJaz0BtVcさん、第44話をお願いします
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185:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:40:36.06 slHZZ5U50.net
【帰る】
俺のじいちゃんは漁師だった。
10歳の時から船に乗り、家族の反対を押し切って80歳まで現役を続けた生粋の海の男だ。
これはそんなじいちゃんから聞いた話だ。
夜に沖へ船を出していると、奇妙な事象に出くわすのはそう珍しくもない事なのだそうだ。
霊と思しきものや人魂のようなものばかりではなく、もっと謎めいたものも多く見たという。
それらは恐らく神や妖怪に分類されるものと思われるが、そういったものについてじいちゃんは多くを語らなかった。
一度その理由を尋ねたら、「人が触れちゃなんねぇ領域ってもんがあるんだ」と言っていた。
ちなみに、じいちゃん基準で人が触れてもいい領域の端っこにあたるのが幽霊だったらしく、海で見た霊のことはたまに話してくれた。
じいちゃん曰く、霊というものは光を求めるものなのだそうだ。
霊といえば夜に出るという概念があるから闇の方が好きそうに思えるが、霊にとって光は生者の世界の象徴であり、そちらに戻りたいという思いが彼らを光に惹き付けるのだろう。
特に、海で死んだ者は真っ暗な海に取り残されている事がつらくて仕方ない。
そんなわけで、じいちゃんのイカ釣り漁船にはそういった霊が時折寄ってきたらしい。
いつの間にか甲板に乗ってきていたり、引き揚げてくれとばかりに海の中から手を伸ばしてくる者もあったそうだ。
といっても、じいちゃんはそこまで霊感が強い訳ではない。
顔かたちまではっきり見えるようなことはほとんどなく、霊の声も聞こえないから話もできない。
半端に相手をすると厄介な事になるので、基本的にじいちゃんは霊に対して無関心を貫いていた。
海中から助けを求める霊は気の毒だが無視し、船に乗ってきた霊にも気付かないふりをした。
そうする事がお互いのためなのだそうだ。

186:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:43:42.82 slHZZ5U50.net
ある時、じいちゃんの仲間が海で事故に遭った。
同じ船に乗っていた者がすぐに引き揚げて病院へ運んだのだが、残念ながら助からなかった。
頼れる兄貴分だったその漁師の死を悼み、多くの仲間達が彼の葬儀に集まった。
悲しみを抱えながらも、漁師達は翌朝からまた海へと出ていった。
葬儀から半年ほど経った頃。
沖に停めた船の中でじいちゃんがあぐらをかいて作業をしていると、突然猛烈な眠気が訪れた。
寝ちゃいかんと思いながらも、瞼が重くて仕方ない。
必死で睡魔と戦っていると、背後に誰かが立っている気配がした。
眠くて振り返れないじいちゃんの頭の上から、テツ、とじいちゃんのあだ名を呼ぶ聞き覚えのある声が降ってきた。
「テツ、悪いがちょっと陸まで乗っけてくれな。俺、足がなくて戻れんから」
夢うつつのじいちゃんは、声の主である漁師が亡くなった事を忘れていた。
「ああ、兄貴か…どうした?」
じいちゃんの問いに背後の人物は答えず、「悪いな、頼むよ」と返した。
ああ、分かった…と呟いた時、じいちゃんは唐突に覚醒した。
辺りを見回すが、気配はすっかり掻き消えている。
それでもじいちゃんは兄貴の霊がこの船に乗っていると確信し、同じ船に乗っている仲間達に今見た夢を話した。
その場所が偶然にも兄貴の落ちた海域だった事もあり、仲間達はじいちゃんの話に納得すると、すぐに漁を打ち切って港へと戻ったのだそうだ。
じいちゃんが『無関心』の鉄則を破ったのは、それが最初で最後だった。
じいちゃんによれば、人は命を落とした場所に魂まで落っことしてきてしまう事があるらしい。
そうなると、体は埋葬されても魂はそこから帰れず、誰かに連れ帰ってもらう必要があるのだろう。
「幽霊に足がないってのは上手いこと言ったもんだな。足(交通手段)がなき�


187:瘁A生きてるもんでも遠くからは帰れんもんなぁ。タクシーやらバスやらに出る幽霊ってのも案外そんな理由なのかもしれんね。俺の船は幽霊のタクシー代わりだったわけだ」 そう言って笑った後、じいちゃんは海の方を向いて深いため息をついた。 「死ぬ瞬間まで俺は海の上にいたい」と言ってなかなか漁師をやめずに家族を困らせたじいちゃんは、海に魂を落っことした彼らの事を少し羨んでいるようにも見えた。 【了】



188:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:46:52.27 slHZZ5U50.net
44本目の蝋燭が消えました・・・

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suu_o◆QfeyGUP37WSwさん、第45話をお願いします
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189:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:47:11.00 AgCPeYID0.net
【45話】suu_o◆QfeyGUP37WSw 様
『ひっぱりっこ』
私の祖父は、私が小学二年に上がる直前に病気で亡くなりました。
突然の変調で入院してしまい、一年近く会わないままの他界でした。
それから半年以上経ったある日。不意に祖父が思い出されて懐かしくなり、お墓が近かったこともあって一人でお寺に行ってみることにしました。
当時両親は忙しく、親しい友達もいなかったので暇だったのだと思います。
しかしお寺には着いたもののお墓の場所が分からず、途中で生えていた草で遊んだりしたため帰りが遅くなってしまいました。
やっとお寺の敷地から道路に出た頃には日が傾き、見渡す限り人ひとりいません。
そんな時、路側帯の白線の上に綺麗なビー玉が落ちているのが見えたのです。
夕陽に照らされてキラキラと光を反射させる様子は、子供心を惹き付けるのには十分でした。
一応左右を見て安全なことを確認し、ビー玉に近づきます。
拾おうと屈んだ時でした。いきなりスカートが引っ張られ、私は数歩前に出ていました。
よろよろと進めば、そこは車道です。あわてて戻ろうとしましたが、スカートにかかる力は強くてびくともしません。
何が起きているのか理解できず、ただただ「車が来たらはねられちゃう! はねられたら死んじゃう!」と怯え、涙ぐみました。

190:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:48:20.98 AgCPeYID0.net
……しかし、いつまで経っても道の奥から車が現れる気配はありません。
(それもそのはず、いま調べてみると曲がり角の先は行き止まりでした)
静寂のなか立ち尽していると、その何かは痺れを切らしたのか再び強い力で引っ張りだし、私はフラフラと道の端まで引きずられていきます。
ついには歩道に乗りあげ、助かったのかと思いきや……目の前には石の階段があり、下方に続いているのです。
(えっ、やだ落ちる!)
そう直感し、脇の柵にしがみつきましたが7歳の筋力で自重が支えられるわけもなく。あっさり手は離れ、坂の下へと転落しました。
しかし抵抗したことで、軌道が石段から横の草むらの上に逸れ、幸運にも肘を擦り剥いたくらいで済みました。
腰を抜かし、呆然としたのも束の間。いきなり右足首を掴まれる感覚に飛び上がりました。
そればかりか足は勝手に宙に浮き、ずるずると私の体を持っていくのです。
その諦めの悪さから執念じみた殺意が伝わり、言葉を失っていると。
今度は、左の手首を掴まれました。
見れば空中からガリガリに細くて骨と皮だけの腕が現れ、食い込むほどの力で手首を握ってきたのです。
冷えた指先と骨の固い感触が生々しく、度重なる異常事態に私はパニックになりました。
正体不明の二つの存在が協力して、自分に危害を加えるとしか考えられなかったからです。
ところが腕は予想とは裏腹に、私をもと来た方向へと引っ張りだしました。
すると足を持つ側も異変に気付いたのでしょう、連れていこうとする力が急に増しました。
両者のあいだで私の体は限界まで伸び切り、膝の関節が捻られ、手首は圧迫痛に悲鳴をあげ……ちぎれてしまうのではないかと不安になるほど痛かったです。
辛くて苦しい引っ張り合いの末、ふと足元の気配が消えました。
勢い余って地面に投げ出された後は無我夢中で、どうやって帰ったかは覚えていません。
でも、家に着くまで腕の存在感は残っていたように思います。

191:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:49:17.28 AgCPeYID0.net
私を助けてくれた手の正体が判明したのは、その十一年後。祖母の葬儀が


192:終わり、遺品を整理していた時です。 沢山の写真のなかに一枚だけ、入院中の祖父の姿を写したものがありました。 闘病生活に痩せ細り、顔も別人のようにやつれていましたが、優しい目は思い出と全く同じ。 そして袖口から伸びた腕は非常に細く骨ばっていたものの、拳はあの日見たように頼もしいものでした。 実はこの話には続きがありまして、今回百物語を投稿するにあたり地形を確認しに歩いてみたのですが……。 当時階段の少し先に用水路があり、子供が二人亡くなっているそうです。 一人目の事故が起きたあと、対策として厚い鉄板を被せたのですが、二人目はそれを外しての溺死と聞きました。 大人でも重くて容易には動かせない板を、小学生がどうやって取ったのかは、分からずじまいだったとか。 なお、周辺には古くから「乳飲み子を亡くして狂い死にした母親の幽霊が、健やかに育っている子供を妬んで悪さをする」という恐怖話がありましたが、用水路が埋められて以降不幸な出来事は起きていないので関連性は不明です。 【了】



193:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 00:52:46.11 slHZZ5U50.net
45本目の蝋燭が消えました・・・

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スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第46話をお願いします
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194:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:53:48.82 ujnfAOrg0.net
『ウォータースライダー』

 唐突な話で面目ないけど、皆さんは『夏』と言えばまず何を思い浮かべますかな?
 まあ人それぞれとは思うけど、『海』『プール』とかの回答がやはり多いかも知れない。
 実は大学時代、夏休みに帰省した際に必ずお世話になるバイトがあった。いわゆる『プールの監視員』というやつである。市から管理委託されたファミリープールの運営団体のお偉いさんが
顔見知りで、毎年書き入れ時になると声をかけて貰っていたものだ。
 じりじりと肌を焦がす炎天下での2時間×3セット、端で見るよりもかなりハードな仕事なのだが、貧乏学生にとって時給900円の実入りは当時なかなか魅力的だった。
 そんな遠い夏の日のお話である。

 お盆の最中だったろうか。前日までの猛暑もどこへやら、その日は雲行きも怪しかったせいかシーズンの割にはお客が少なかった。いつもはけたたましいばかりに鼓膜を襲う子供たちの喧噪も、
この日はさほど苦にならない。俺はいつもの様にウォータースライダー(流水滑り台)の櫓の最上に陣取り、次から次へと登ってくる子供たちを2本あるレーンに誘導し、頃合いを見てスタートの
ホイッスルを鳴らすルーティンワークを続けていた。『あ~、次のローテーション交代まであと何分だよ。冷たいスイカバーが食いたいな』
 気だるさの中でそんな事を考えていたところ、ふと何者かの気配が…いつの間に登って来たものか、右側のレーンにちょこんと座っている小さな姿が俺のすぐ足下にあった。
「う、ごめんね。ボケっとしてたよ。…じゃあ、準備はいいかな?」
 見たところ小学4~5年と言ったところか、他の児童が皆こんがりと日焼けしているにも関わらず、その痩身の少年はなぜか透き通る様に真っ白な肌だったのが印象に残っている。 そして彼の
被るスイミングキャップには、もう十数年前も前に統合合併により廃校となって久しい、付近の小学校の校章が見て取れた。
『お兄さんか誰かのお下がりかな?しかし最近には珍しく物持ちのいい家の子だなあ』

195:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:54:51.18 ujnfAOrg0.net
 不躾な俺の興味もどこ吹く風とばかりに、無言のままレーン上で脚を伸ばす少年。
 大抵の場合、今まさに滑ろうとしている子供はテンションが上がりまくりでウキウキソワソワせわしないものなのであるが、その子は無表情な顔貌を崩す事無くスロープ下の着水プールを、
切れ長ではあるが妙に虚ろな眼差しでぼんやりと見つめているばかり。
 確かに緊張して固くなる子も居るには居るが、その少年の醸し出す雰囲気はそれらともまた異なった、名状しがたい違和感と言ったらいいものか…紙ヤスリで擦られたかの様なザラついた
感覚が俺のうなじを不気味に撫でる。
「じ、じゃあ、行くよ」
 心中にじわりと広がる不可解な何かを振り払うかの如く、勢いよくホイッスルを鳴らす俺。それと同時に、少年は無表情のままで約12メートル下にあるひさご型の着水プール目がけて音も無く
滑り出していった。
 少年がスロープ半ばにさしかかるのを認めた直後に管理棟の大時計に目をやる。錆び付いたフレームに縁取られた年代物の時計の針は、14時45分を指していた。
「あと10分で最終ローテか、もうすぐだな」
 ここで本来であれば、プールに着水する際の豪快な水音と共に稚気を孕んだ歓声が沸き上がるはずであった。
 はずであったのであるが…「?」
 とっくに着水しているタイムであるにも関わらず、水音も何も聞こえないのである。慌てて目をやった着水プールでは、湿りつく風に煽られたさざ波だけが、まるで何事も無かったかの如く
かすかに水面を彩っているだけ…。
「ま、まさかスロープの途中でコースアウトして下に落ちたって事は無いだろうな!」
 勿論、スライダーには両脇に危険防止のための柵が張り巡らされている。しかし万が一のことを考え、慌ててスライダー下のプールサイドを確認する俺。幸いにも…と言って良いものか、
眼下のプールサイドには安物のビーチボールがただ一個、あても無くタータンエリア上を転がっているのみであった。

196:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:56:39.71 ujnfAOrg0.net
『どういう事なの?俺が目を離した2秒ちょっとの間に一体、何があった?』
 訳が判らず、流水プールのほとりに配備された同じバイトの地元学生に向かい、インカムのマイク越しに俺は絶叫にも似た金切り声を叩きつけたものである。
「おい!今滑った男の子、どうした!」
 そんな俺の焦燥感を逆なでする様にイヤホンから聞こえてくる、同僚の呆けた声。
「何言ってんすか?さっきから誰も滑って来てませんよお。俺なんか、誰も居ないのにあなたが上でいきなりホイッスル鳴らすもんだから、どうしたんだろと思いましたもん」
「う…、ホントかよ」
 そうこうしているうちに小雨がぱらついて来た。早めに休憩せよとの本部からの指示を受け、俺は釈然としない思いを残したまま櫓を降り始める。ビーチサンダルと階段に
敷かれた鉄板とが織りなすパタパタと軽い足音までもが、何故か自分をせせら笑っているかの様に感じられたものであった。
『頭が暑さで沸いちまったかねえ…』
 半ば強引に自分を納得させつつ、翌日以降もスライダーの櫓上に俺は佇む。気の早い風が、刺す様な熱波にさんざん痛めつけられた赤銅色の肌をくすぐり始めてバイト
期間が終了するまでの数週間、あの少年に再び相まみえる事は無かった。
 北国の夏は短くバイトも既に最終日。お世話になった礼もそこそこに、俺は現場を仕切る齢60絡みの管理主任の爺さんに件の話を軽く振ってみた。爺さん曰く、
「ああ。そんなしょっちゅうじゃないけど、たまにあるよ。昔はここで心臓マヒになって可哀想な事になった子も居たもんさ。以前は夜中のプールで笑い声を聞いた人も居たし、
誰も居ない更衣室の防犯センサーがひっきりなしに反応したりなあ…。まあ、お盆時期なんだからそんな事もあるわな」
 屈託無く、笑みすら浮かべながら話すその爺さんの顔を見て、俺は別の意味で背筋が寒くなりましたよ、ええ。

【了】

197:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 00:57:20.79 ujnfAOrg0.net
46本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第47話をお願いします
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198:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:58:22.96 AgCPeYID0.net
【47話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『押入れに住むモノ』
これは知り合いから聞いた話です
彼女の一番最初の記憶は住んでいた団地の押入れの暗闇だそうです
いつも襖に隙間が空いていて、閉じても閉じても気づけば2~3センチの隙間があったそうです
その隙間から何かがみているようで怖くて仕方なかったそうです
夜、母親とその部屋で寝ていると毎晩うなされて、ひどいオネショで母親は病院によく連れてったそうです
保育所で赤鬼・青鬼という絵本を先生が読んでくれた時に、なぜか彼女だけ泣いてしまい途中で迎えがきたそうで
団地の自分の部屋に帰って、あの隙間が気になって仕方なかったそうです
普段なら近づかない見ないようにしていた幼い彼女も、その日は早退で日もまだ明るく母親も近くにいる
あの絵本の話がきになると、なぜか導かれるように押入れの襖の隙間に手を入れて開けようとした瞬間
幼い彼女の腕が突然、中から強い力で引っ張られたそうです
「いやぁぁあああ!!!」

199:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 00:59:15.48 AgCPeYID0.net
大声でビックリと恐怖で泣きだした彼女に反応して母親がすぐに駆けつけました
見たのは押入れの襖の空いた数センチの隙間に片腕をつっこんで泣いている娘
腕がピーンと突っ張って娘はパニック状態で「腕を抜きなさい!!何してるの!!」
と言っても、その状態のまま泣きわめく娘
母親が襖に手を開けてガラッと勢いよく襖を開けて押入れの中を見たら
そこは何もない普通の荷物が入れられた押入れだったそうです
泣く娘を抱きしめて慰めて、娘が怖がるならと祖母の家に避難してその日は寝たそうです
寝ている最中にオネショが気になった母親は何度も夜中に娘の様子をみます
そして何度目かに娘を見ると、片腕だけ上にふりあげてグルグルとまわす動作をしていたそうで
寝ぼけているのかな?と思って娘に「何してるの?寝れないの?」と聞くと娘は
「鬼さん達とダンスを踊ってるの」と言って、スーッと腕をおろして静かになったそうです
母親の勘でしょうか、娘に何かあったのかな?と思った母親は娘を神社に連れて行き
押入れは襖を外して、かわりに薄い透けるカーテンにしたそうです
その日からオネショもマシになり娘も落ちついてきたので、一時的なものだったんだと皆が忘れたそうです
彼女が中学校にあがる頃に団地から一戸建てに引っ越す事になり荷物をまとめていたら
あの普通に戻った押入れの荷物を全て出した途端にヒラリとお札が舞い落ちてきたそうで
とても黄ばんだ古い札で赤文字で何か書いてあり黒で鬼の絵が描かれていたそうです
たぶん天井にあったんだろうとの事ですが、それで彼女は昔を思い出して怖くて急いで
部屋を飛び出したそうです
いまでも、その団地はあります、そしてあの部屋も誰かが入っています
もうお札もはずれた押入れがまだ使われていると思います
(終)

200:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:00:08.25 slHZZ5U50.net
47本目の蝋燭が消えました・・・

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201:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:06:13.24 slHZZ5U50.net
【生霊】
俺の従兄は生霊をやたらと見てしまう体質だ。
死者の霊を見る事は稀だが、生霊はほぼ毎日見てしまうのだという。
従兄はたいてい、生霊と普通の人間の見分けがほとんどつかない。
呼び出されて一人で来た俺にも「おっ、彼女連れてきたの?」と言ってきた。
俺の斜め後ろに女性がいるのだという。
従兄が説明した風貌に俺は非常に心当たりがあったので、その時は心底肝を冷やした。
数日前、彼女と別れて自分と付き合え、ダメなら二股でもいいから付き合えと無茶を言ってきた女性だ。
勿論、従兄とは何の面識もない女性だし、彼女についての話を俺がした事もない。
そんな従兄と飲みに行った帰りの事だ。
住宅街の細い路地を並んで歩いていると、前から車が走ってきた。
歩道のない細い道だったので、俺と従兄は道路脇の塀にくっついて車が通り過ぎるのを待った。
スピードを落として横を通り過ぎる派手な赤のアルファロメオを横目で見遣ると、チャラそうなカップルが乗っていた。
無事に通り過ぎたので歩き出そうとした瞬間、前方にいた従兄が塀に手をついて座り込んだ。
「なんだよ、酔った?」
吐きそうになっているのかと思い、隣にしゃがんで従兄の顔を覗き込むと、従兄は真っ青な顔で口元を押さえていた。
「…ヤバイの見た」
「見たって、何を?」
「生霊」
もはや生霊を見る事が慣れっこになっているはずの従兄が震えている。
これは余程のものを見たのだろう。

202:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:11:27.67 slHZZ5U50.net
「ちょっと待ってね」と言って従兄は二三回深呼吸をしてから立ち上がり、「よし」と言ってから何事もなかったかのように歩き始めた。
慌てて後を追いながら、何を見たのか問いただすと、従兄はあまり言いたくなさそうな様子ながらもぽつりぽつりと話してくれた。
「車の屋根にね、女が乗ってたんだよ。白っぽいヒラヒラした半袖着て、茶色いスカート穿いた若いコ。それが髪振り乱しながら、運転席の上を包丁でメッタ刺しにしてんの。ありゃマズイよ」
従兄曰く、生霊はたいてい手ぶらなのだそうだ。
それが包丁なんか持って車をメッタ刺しにしているというのは、ただの執着を超えて明確な殺意を抱いている証拠だという。
「お前も早く後ろのコなんとかした方がいいと思うよ。今はまだ手ぶらだけどさ」
そう言われ、俺は改めて肝を冷やした。
【了】

203:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:14:35.21 slHZZ5U50.net
48本目の蝋燭が消えました・・・

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204:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:14:47.54 AgCPeYID0.net
【49話】suu_o◆QfeyGUP37WSw 様
『ごく普通の家が心霊スポットになるまで』
私の母が、高校の途中まで過ごした家の話です。
祖母の趣味は庭いじり。自然の樹木を活かしつつ、四季折々に花が咲くよう工夫を凝らした庭は、とても美しく見応えがあったそうです。
門扉は通りすがりの人にも見えるよう開放し、ご近所さん達が気軽に寛げるようオープンな場所にしていたと聞きました。
ある日のこと、高齢の男性が長いあいだ庭の椅子に腰掛けていたそうです。
体調を心配した祖父が様子を見に行ったところ……男性は庭木を褒め、手入れに感心し、和やかに歓談したのち長居を詫びて帰っていきました。
しかしその方は駅へと向かう道の途中で倒れ、病院に搬送されましたが亡くなってしまったそうです。
─しばらくして、庭に不可解な現象が起こるようになりました。
植え込みの中に白いモヤのようなものが見える、何か呟いてると言う方が何人も出てきたのです。
祖父母と母には霊感がなく、モヤの気配すら察知出来なかったのですが、分かる方はハッキリと老人の影に見えるらしく……。
そのため霊の噂は先日亡くなられた男性の件と一緒になって、瞬く間に周囲に広まりました。
やがて、庭が面した通りは昼間でも閑散とする一方、夜になると車やバイクで肝試しに人々が訪れるように。
無断の写真撮影に始まり、霊が出た出ないで大騒ぎ。心ないイタズラや、庭木を踏み荒らされることに一家で悩まされました。
もちろん門を閉ざして貼り紙をし、不審な人物を見つけては注意したそうですが、無断で立ち入る人は絶えなかったとのこと。

205:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:16:30.86 AgCPeYID0.net
そんな日々が、一ヶ月ほど続いたでしょうか。
昼間祖母が庭にいると、五十代くらいの上品で身なりの良い女性が「お庭を拝見してもいいですか?」と声を掛けてきました。
久々に、霊ではなく庭をと言われて嬉しくなった祖母は、丁寧に説明して回りました。
話を聞き終えた女性は、ここが幼い頃過ごした家に似ていること、植えてある木が同じなことを懐かしそうに語ったそうです。
そして「父が、最後の日をこの場所で過ごせて良かった」と、涙ながらにお礼を言われたと……。
女性が帰るとき入れ違いにに帰宅した母が、彼女と一緒にうっすら白いものがついていくのが見えたと話してくれました。
それ以来モヤの目撃もピタリと途絶え、ようやく心穏やかに暮らせる日が戻ってくるかと思いきや。
心霊現象は収まったにもかかわらず、恐怖体験を期待して集まる人の数はほとんど減りませんでした。
何も起きないと分かれば次第に飽きられるだろう、と一家で考えていたらしいのですが、数人の若者が予想もしなかった行動に出たのです。
今聞くとそれは、『曰く付きの場所で降霊術を行う』という試みでした。
しかし、オカルトとは縁の無い人生を歩んできた祖父に、降霊の儀式が理解出来るはずもなく。
集団で呪文を唱えているさなかに割って入り、中断させてしまったのです。
彼らは術を中途半端にしては霊を怒らせてしまう、きちんと除霊しなければ場に留まって悪影響を及ぼすと粘ったらしいのですが、無理やり追い返したとのこと。
「困ったことが起きるかもしれませんよ」という声に、母だけは強く不安を掻き立てられましたが、祖母の疲れのほうが気になり黙っていたそうです。

206:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:17:52.02 AgCPeYID0.net
異変は、すぐに始まりました。
昼間でも日の光を入れていても家の空気は淀み、絶えず吐き気をもよおす臭いがするようになりました。
物は前触れもなく落ち、家電の誤作動が頻繁に起き、無言電話からはうめき声が。
戸棚や壁の内側からカリカリと爪の音がし、ドアの下方には子供の手形。
夜も、夢のなかで家族を刺したり自殺をしたり。悪夢に目を覚ますと、暗闇のどこかから貫くような視線を感じ、一家を震えあがらせました。
そのうえ肝試しの人たちが、遠慮なしに庭へ入っては恐怖を求めて歩き回るのです。
結局耐えきれなくなって引っ越した……と、当時を思い出したらしい母は、ひどく怯えた顔で私に話してくれました。
なお、誰も住めなくなった家は、今や傷んで半


207:壊状態。 取り壊そうにも霊障がひどく、お祓いしても効果がないとかで、名の知れた心霊スポットになっているそうです。 【了】



208:猫虫 ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:19:20.76 slHZZ5U50.net
49本目の蝋燭が消えました・・・

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スヴィトリアーク◆lBDllPVzBwさん、第50話をお願いします
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209:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:20:13.02 ujnfAOrg0.net
『むかしばなし』

 俺が小学校中学年頃の話なんだけどね…。

 我が家もご他聞に漏れず、お盆の頃には数日間ほど先祖の墓参りをするのが常であった。 行き先は県境をふた跨ぎして車で約4時間ほどの場所にある長閑な穀倉地帯、地元がそこそこ栄えた県庁所在地である
自分には、毎年見る物全てが新鮮に感じられ、朝は山歩きに昼は湖沼巡りと大人の注意も上の空、滞留先の隣家にいる同い年の腕白たちに案内されながら日がな遊び呆けていたものだ。
 その隣家の奥さんってのが歳の頃は40半ばのいかにも農家の働き者って感じの恰幅のいいおばちゃんでね、いつもお昼時には俺を招いてアイスやらスイカやらを振る舞ってくれたっけなあ。
 何だったかの用事で腕白どもが不在であったその日も、俺は朝から独りで近隣探検としゃれ込んだ。さほど大きな集落でも無し、散策範囲もたかが知れているのであるが、それでも俺は畦道を巡り野原を駆け、
束の間の夏の日を満喫していた。
 2時間ほどはめを外してさすがに疲れた俺は、山道入口にある古い祠の脇でひと休みする事にしたものである。
 その祠は高さが2メートルくらいかな?虫食いだらけの太い角材に支えられた簡素な雨除けの中には、風化のために掠れつつある文字がびっしりと彫られている石碑が鎮座しており、申し訳程度の菓子類と花とが
供えられている。何を奉っているのだろうか?
 傍らの日陰に腰を下ろし、リュックから生温くなった缶ジュースとカレーパンを取り出してさっそくパクつく俺。ん-、バカウマ!いつもは五月蠅く感じられるアブラゼミの熱唱すらも何故だか耳に心地良い。
「あれ!こんたらとこまで来てだんだあ。この山がら上は藪だがら、入れば駄目だんだよお~」
 聞き慣れた快活な訛り声。見上げると、野良着に身を包んだ隣のおばちゃんがひと仕事終えたものか、汗を拭きなら笑っている。
 「知らないうちにここまで来ちゃったんだよ。でさ、このでっかい石、何?」
 小柄な俺が弾き飛ばされそうな程大きな深呼吸をしながら真横にどっかと座り込んだおばちゃんに、何の気無しに問いかける俺。
 

210:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:22:13.72 ujnfAOrg0.net
 「あ、これ?これさ、ケガジのイレーヒちゅーものだの」
 「ケガジ?イレーヒ?何それ、面白いもの?」
 俺ときたらいきなりパンを咥えてのキョトン顔。恥ずかしながら、歳幼くして頭の出来が残念な俺にしてみればしごく真っ当な反応だったと理解して戴こう。
 「ん~ん。お天気悪くて米とか野菜も取れねくて、お百姓さんがお腹へって死んだりするのをこの辺じゃケガジって呼ぶのっす…」
 それまで闊達過ぎるほど明るかったおばちゃんが、何故か目を伏せつつ軽く肩を震わしている。焚き火の中で勢いよく爆ぜる竹の如く威勢のいいいつもの彼女の声も、だんだんとくぐもって来ている様に
思えて…、こんなおばちゃん、見た事無い。
 「どしたのさ?おばちゃん」
 「…この辺りも昔、そんただ感じだったのすや。食う物無くてはあ、みんなばたくらばたくら倒れでいってや。あんださまみてえぐ、そうした美味そうだものも食えねえではあ…」
 おばちゃんのいつもの口調は訛りは強いが聞き取れる。しかしそのイントネーションは徐々に、俺が聞き取るのが困難になるくらいにネイティブなそれに変化していった。こうしてテキスト化してる時点でも、
皆さんに理解しやすい様に極力翻訳しているつもりだ。「粗末でも食い物あったうぢだばまだ良がったよ。そしてるうぢに物無ぐなってや、ネズミっこだのヘビだのミミズだの、干上がりかげだ池で跳ねでるカエルば
生食いしたっきゃ、腹膨らんで死んだ若げえもん達も居たもんでさね…」
 曇天の下、いつの間にやらアブラゼミは鳴き止んでいる。その替わりに今度は背後の藪が、温めいた風に吹かれてシャワシャワと乾いた合いの手を入れ始めた。
「あんださまの今いるどごろ、一番酷がったんだ。年寄りがら子供まで腐ったまんまムシロみたぐ敷がさってあったもの。その人だぢ騒いでるのさ、『俺だぢさも、それ食わせでけろ、飲ませでけろ』ってやあ」
「………」
「…あんださま、判るべが?娘売ってわつかの銭ば貰っても、売ってる食い物何も無え。なんぼか栄えだ街さ買いに行っても途中で銭握ったままくたばったり、買えでも山の盗人さみんな盗られで殺されだりよお。
死んだ子にたかるカラスだの犬だの追っ払って、その子ば食わねば生ぎらんねがった俺ら…判らねえべなあ…」

211:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:23:16.37 ujnfAOrg0.net
 そうした曰く付きの場所で、知らぬ事とは言え無神経にパンを食らってた自分を諌めるかの様な語調に我に返った俺は、顔を上げておばちゃんの顔に目をやる。その瞳に映ったものは、いつもの福々しい彼女の
それでは無く、げっそりと痩せこけた老婆の浅黒い皺面であった。一瞬だけの幻だったのかも知れないが、確かに俺にはそう見えた。
「俺らの子も、ケガジ過ぎで生ぎでれば、あんださまぐらいの歳だったべが…」
 先程とはうって変わり、穏やかな口調。空を覆う灰色の雲が多少は薄くなりかけたものか、少しづつではあるが真夏の陽光が途切れ途切れに降り注ぎ始める。と同時に、ゆっくりと腰を上げる彼女。
「どれ。暮れまでに今日生ぎる分の食い物探すがの…」
 覚束ない足取りのままによろよろと山道を登っていく彼女を、その場に固まって動けぬ俺は、その姿が深い藪に覆われ消えるまでぼんやりと目で追うしか無かったものである。
 翌日、帰り支度を急ぐ俺たちの見送りのために隣家から現れたおばちゃん。
 前日の出来事は何処かに置いてきたかの如く、いつも通りに満面の笑みをたたえた彼女の手には、大きめのダンボール箱が抱えられている。
 その箱から覗く、スイカやトウモロコシを初めとする豊穣なる大地の恵みの数々…。
「あっちさ戻ったら、腹破れるまで食ってやってけれ。まだ食いたぐなったらいつでも来なんせ。こっちにゃあコンビニも何も無えどもよ、食い物だけなら掃いて捨てる程あるんだがらの!」
『昨日と同じ口が、それを言うか…!』
 ドアミラーの中で腕白どもと手を振りながら徐々に小さくなってゆく彼女の姿を見つめつつ、前の日との言動のギャップに思わず頬が緩んだ俺であった。
 正直、初めは驚いたものの怖くはなかったね。と言うよりもむしろ、相手をしているうちに茅葺き屋根ん下の民家の囲炉裏端で古老の語る昔話に耳を傾けているかの様な、妙な郷愁めいたものを覚えたひとときであったと
すら感じられたものだ。
 時間にすれば約5分ほどではあったが、あの鳩尾から絞り出すかの様な嗄れた声は今でもまだ鮮明に俺の鼓膜にこびりついている。

212:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:25:37.66 ujnfAOrg0.net
 皆さんも、全国各地の知らない土地を訪れる事も多いでしょう。全てがそうだとは勿論思わないけど、その土地土地にまつわる多種多様な因縁話もあるワケで、まあ無理にとは言わないものの、初めての地に降り立つ
際には予めその場所の簡単な予習ぐらいはしといた方がいいんじゃないかなあ。
 悪気も無しに及んだ行動が、俺みたいに妙なものを呼び込んだりする事もあるやも知れませんからねえ…。

【了】 

213:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:26:26.93 ujnfAOrg0.net
50本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMboさん、第51話をお願いします
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214:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:27:26.50 slHZZ5U50.net
【51話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『防空壕』
田舎で昔の話だから、わりと怖い話は多かったんですけど
これは私が直接見たのではないです
小学校の近くに踏み切りがあるんです
そこを超えると小高い山があって昔の防空壕があったそうです
話は聞いてましたが地元の誰もが近づくなというので私は行きませんでした
同級生の男の子たちが肝試しにそこに行くというのを聞いて誘われたけど断りました
やんちゃ坊主の4~5人のうちA君がリーダーな感じで、そこに行ったそうです
次の日に女子たちに彼らが興奮した様子で教えてくれました
「最初はおもしろ半分でさ」「古い神社の奥に穴があったよ」「墓みたいだっけど人の手で掘られてた」
「入ろうってAが言ったけど俺たちは気持ち悪いって言ったらあいつ入ってった」
「でAが笑って、弱虫って出てきた時に俺らみたんだよ」「ああ見た」
そこで一旦何かに怯えるように話は止まりました
「なんか緑の人影がさ…ゆらゆらついてきてた」「目だけリアルにギョロギョロしてて」
「あ、やべーってAに言ったらさ怒るんだよ、脅すなとか」「でもいたよな」「ああ」
「だからAに後ろ振り向けって言ったんだ」「Aが振り返る直前に目玉が上からAを睨んでスッで全部消えた」
「だからAは見てない、見てないから俺らにめっちゃ怒ってきたけど」「もう無理だって俺たち帰ってきた」
何それ?と女子たちや他の子がざわついてる時に当人のAが教室に入ってくるなり一緒に行った仲間を見て
「やい!!弱虫野郎ども!!どうせ昨日のオバケみたみたいに話してんだろ」と彼らと言い争いになりました
それが朝のホームルーム前の時間で、そのうち時間がきて担任の先生が来ました

215:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @\(^o^)/
15/08/30 01:34:09.25 slHZZ5U50.net
先生は男の先生でした
田舎では寺の息子が先生になる率が高くて、その先生もその一人でした
先生は最初は「何を騒いでるんだ」と言ってましたが、Aの顔をみるなり初めてみるような険しい顔でいきなり
「おい!!Aお前なにしたんだ!!何あったんだ!!」と怒鳴り始めました
私たちは先生の剣幕と突然の出来事に固まっていた、その時に
突然大きな「プォーン!!」というサイレンのような音とキキキーッという大きな物が止まる音がしました
皆が窓際に走っていくと、近くの踏切で電車が止まっているのが見えました
そんな光景は


216:初めてで、他のクラスの子達も「わー」とか「すげぇー」と窓際に集まってパニック状態でした 先生たちも茫然としていたり、われに返って席に付けと怒っていたり、わりと長い時間に感じまし 私の担任はともかく座れと私たちを席に座らせ「ちょっと他の先生を呼んでくるまで、皆はここで待ってなさい」 と、なぜか不思議そうなAだけ連れて教室を出ようとした時に、教頭先生が私の教室に走ってきました 「Aは!〇山A君はいますか!はやくきなさい!」 と担任とAとで教室を出て行き、そして二人ともにその日は帰ってきませんでした 子供心に何かあったんだなと不安で嫌な気持ちになったのを覚えています 次の日の朝に母が新聞を見ながら「〇山A君って、あんたの同級生?」と聞かれました 言葉を濁す母に無理に聞いたところ、あの日に踏み切りに飛び込んだのはA君のお母さんだったそうです 大人たちは「せめて子の近くにいたかったから、あの場所」と言っていましたが 私たちは別の原因があったような気がして仕方ありませんでした その日からA君は転校してしまい、担任の先生は厳しい顔で 「二度とあの場所には近づいてはいけない」と言い、実際に子供たちに危険との事で何か月かは 大人のバトロールがその付近を巡回していました (終)



217:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:35:41.46 Mp8aiubx0.net
51本目の蝋燭が消えました・・・

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チッチママ ◆pLru64DMbo さん、引き続き第52話をお願いします
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218:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:36:41.96 AgCPeYID0.net
【52話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『キューピットさん』
中学生の頃に流行したコックリさんではなく、キューピットさん
コックリさんは怖いけど、キューピットさんは大丈夫とか言う事だった
鉛筆一本を皆でにぎって白い紙の中心の点を書いた場所に置く
そして呪文を唱える
「キューピットさんキューピットさん、なんたらかんたら」
するとゆっくりと鉛筆が時計周りにグルグルと回り出す
鉛筆の線が少しずつ、ゆっくりと大きくなると来た証拠
ここで聞きたい質問をする
「〇君は私が好きですか?」「今度のテストは良い…がとれますか?」
YESなら大きく丸を描くが、いいえなら中心の点に戻って動かない
そして、これだけはしてはいけない約束が二つある
一つは人の生死を聞かない、願わない事
一つはちゃんと帰って貰う事
教室の隅でキューピットさんをしていた友達が「キャー」と騒ぎ出した
なんでも、ある子が「私と一緒にいて守って下さい」と願ってしまったそうだ
あくまで質問しかしてはいけない、願いをかけてはいけないのにかけてしまった
鉛筆は大きく勢いよく丸を描いたあとに、今度は鉛筆から凄い振動がきたそうだ
ガクガクと震えはじめ、鉛筆を持っていたみんなは
「お帰り下さい」まで離してはいけないのに気持ち悪くて離してしまった
その日は何かあったら怖いね、と皆が口数少なくその場は解散になって自宅に帰った
夕方の綺麗な太陽が出ているのに、雨が降って虹が出た
狐の嫁入りだーと、なんとなく感動した
次の日に、願った女の子が言った
「うちの犬が死んだんだよ、昨日の雨にうたれたあとに泡ふいて死んだ」
皆が自然とその子をさけるようになってしまった
オカルト好きだけど大人しい性格だったその子は、性格が豹変して荒れた
ああいうのは自己催眠だと思ってるけど、いまだにひっかかる出来事です
(終)

219:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:38:58.37 Mp8aiubx0.net
52本目の蝋燭が消えました・・・

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こげ ◆b9EIe80Jrg.5 さん、第53話をお願いします
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220:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:39:58.54 AgCPeYID0.net
【53話】こげ ◆b9EIe80Jrg.5 様
『無題』
十年以上も昔の話になる。
会社の先輩と中学以来の友人と俺の三人で、盆休みに有給を足して十一日間の北海道旅行へ出掛けた。
車一台にバイク一台の、むさ苦しい野郎だけの貧乏旅行だったが、
それは素晴らしいものになるだろうと胸を弾ませていた。
しかし、出発当日から台風に見舞われ、フェリーは大時化の中を航行、
無事に苫小牧港へ到着はしたが、何の因果か、北の大地に足をつけてから連日、
怪異と遭遇する羽目になった。
艱難辛苦を乗り越え?旅は知床で折り返して六日目、道東の海岸沿いを一気に南下して根室へやってきた。
花咲港で名物のハナサキガニを食し、日本最東端の納沙布岬で北方領土の歯舞群島を間近に臨み、
双眼鏡で水晶島の監視塔で小銃を肩にかけて警戒にあたる兵士の姿を捉えた。
また、西の彼方へ沈み行く夕日を、男三人が肩を並べて見守ったりした。
チャシ跡群や、旧日本軍が建造したトーチカや掩体壕の遺跡群は時間も時間なので
明日、見に行くことにして本日の宿を探しに根室市内へ向かう。
根室駅前にある観光案内所へ着いたのは時間は午後6時を過ぎていた。
パンフを見比べながら、あーでもないこーでもないとやっている俺達。
そこへ軽トラに乗ったおっちゃんが現れ、宿を探しているのかと話しかけられた。
ホテルではなく安価な民宿で、魚介類とハナサキガニが手頃な価格で食えるような所へと条件を提示すれば、
それなら俺の所に決定だと、おっさんは親指を立てる。
どことなく、映画『プラトーン』に登場したバーンズ軍曹に似たおっさんだ。
おっさんは民宿を営みながら、漁師もやっているのだそうだ。
宿泊代に二千円を足せば、晩飯にハナサキガニ+αを付けると言った。
宜しくお願いしますと、俺達はおっさんに向けて、ホッチキスも斯くやの身体を折り曲げ頭を下げた。

221:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:41:07.18 AgCPeYID0.net
美味い飯を食い、美味い酒を飲み、風呂に入って、久しぶりに屋根の下で布団へ入って眠った。
テントとは違って寝心地が段違いだ。それに熊等の襲撃を恐れる心配がないのは最高だ。
これで22:00(フタフタマルマル)就寝、02:00(ゼロフタマルマル)起床でなければ至福だったのだが…
なんでも、おっさんが操舵する船で、すごいところへ連れていってくれるのだそうだ。
午後11時まで食堂で俺達と飲んでいたのだが、午後2時きっかりにおっさんは起こしにやってきた。
船で摂る朝飯の支度も済んでいるとか…何時、寝てんだ。
厚着して眠い目を擦りながら外へ出ると、エンジンをかけた軽トラが待っていて、
有無を言わさず荷台へ乗せられ港へ向かい、おっさんが操舵する船で真っ暗な海原へ出る。
出港してしばらく無言だったおっさんが、ちょっとショートカットしていくからと俺達に断りを入れた。
深夜で島影どころか目の前の波すら見えない海の上だ。
何をショートカットするのかと思えば、現在は別の国家が占有している日本固有の領土がある海域だった。
北海道に来て熊と相対する覚悟はしていたが、流石に拿捕までは想定外…気構えとかなんか出来ていない。
極寒の牢獄に囚われ、餓死と貧困に怯えながら、空缶に用を足すことになるのは絶対に御免だ。
俺達は船長兼民宿の親父のおっさんに向かって本気で土下座したよ。
地図にしか見えない赤い一点鎖線の内側へお願いだから帰しておくれと…
それに対しておっさん…
「お前等、俺がどこでカニを捕ってくるか知っているか?
 道内では船影がちらりと見えただけでカニは岩陰に隠れてしまうが、
 こちらでは真上を船が通ろうと、のうのうと行列を作って歩いているくらい擦れていないから捕り放題だ。
 まあ、言ってみれば俺の庭みたいなものだ」
もし、露助の警備艇に臨検されそうになっても漁船には分不相応な高出力エンジンを積み、
操舵室うしろの壁には分厚い鉄板が仕込まれているから小銃の弾くらいなら耐えられると鼻で笑った。
強力な鼻薬も常時、搭載済みだと。
もうおっさんに全てを任せるしかないと、腹を括るしかない。
彼がトム?べレンジャー(軍曹)なら俺達はチャーリー・シーン(新兵)でしかないからな。
それって●漁?とか、おっさんに訊ねる余裕も無かった。

222:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:42:00.94 AgCPeYID0.net
波を蹴立てて船は進み、おっさんが俺達に何を見せたかったのか…
空が白み始め、360度全てに島影すら見えない大海原…
しばらくすると水平線から顔を出す、黄金色に輝く朝日だった。
北海道へやって来て、二十歳をとうに過ぎた男三人が、
景色に目を奪われ、息を呑み、胸を詰まらせた事が幾度となくあったが、
この朝日の神々しさは格別だった。
今現在、俺達が地球上のどの辺りにいるかを忘れるくらいに…
地理的になかなか見れない御来光を拝んだ後、おっさんの用意してくれた朝飯を食った。
海苔と塩だけの握り飯にカニ味噌と身の入った味噌汁。
それらを頬張りながら、俺は艫で甲板に腰を下ろして海を見ていた。
二、三メートル先、波間に顔を出している白いのがいる。
ゴマフアザラシの幼獣…ゴマちゃんかと思ったが、天に向けてにょっきり伸びる一対の長い耳があった。
前脚を出し、水面へ置いたかと思うと、そこを支点によっこらしょと胴体を海中から引き抜く。
波の上に乗って後脚二本で立ち上がり、鼻をぴくぴくさせて周囲を警戒する一匹の白ウサギ…
俺の右手から握り飯がこぼれて海へ落ちた。
こちらを一対の赤い目が見て、それから小首を傾げる…その仕草が妙に人間臭い。
ウサギはくるりと俺に背中を向け、後脚二本で立ったまま波の上を走り去っていった。
まるで、『不思議の国のアリス』のワンシーン…何だったんだ今のは…と、呆気に取られる暇も無く、
また一匹、また一匹とウサギが浮き上がってくる。
海面へ這い出たウサギ達は後脚二本で立ち上がり、先程のウサギを追うように同じ方向へ走っていった。
気が付けば、船の周囲はウサギで埋まるほどになっている。
海域が沸き立ったかのように白く染まり、無数のウサギが海面へ這い出て列を作り、同じ方向へ去っていく。
白波が立ったみたいな有様だ。
数千羽、数万羽いるのだろうか、走るウサギが作る白い線は、水平線まで到達しそうな勢いだ。
船上にいる全員が、その光景に圧倒され、言葉を失った。

223:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:44:01.34 AgCPeYID0.net
その中で最初に、我へ返ったのはおっさんだった。
慌てて船を動かし、海上に這い出たウサギ達を蹴散らして回頭、船を根室の港へ向けて走らせる。
その揺れで俺達も自我を取り戻したのだが、おっさんのとばし方が尋常ではなかった。
まるで何かから必死で逃れようとしているかのように、操舵輪を握る顔は青ざめ引き攣っている。
「ウサギが立った。大津波が来るぞ」
アイヌの伝承にあるそうだ。海で『ウサギ(イセポ)が立つ(テレケ)』と、大海嘯の前触れであると…
大海嘯とは大津波のことだ。
道内の古い漁師達は伝承を信じ、ウサギやアイヌ語の意である『イセポ』を海上で口にすることを禁じていたと言う。
アイヌ達が海上にいる時は『イセポ』の代わりに『カイクマ』という言葉を用いた。
「奴等は南…内地へ向けて走っていったな…今回はこっちに被害はないかれもしれない」
アイヌの昔話で、ある男がトンケシと言う場所を通りかかったとき、丘の上にウサギが立っていて
海の方へ手を突き出し、しきりに何かを招き寄せるような仕草をしているのを目撃する。
彼は丘の下にある集落で周辺六ヶ所の首領が集まり酒宴を開いているので、
津波が来るから早く逃げろと警告したが、首領達は酔っていて津波など怖くないと刀を振り回し相手にしなかった。
男は呆れ、内陸へ向けて去っていった。
その直後、トンケシの集落は津波に飲まれ、全滅してしまった。
トンケシの丘にいたのはウサギの大将=津波を呼ぶ神で、
海にいる無数の仲間を呼び寄せる儀式を行っていたのだと…

224:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/
15/08/30 01:45:23.46 AgCPeYID0.net
「ウサギが立つ(イセポ・テレケ)を白波が立つことだなどと今では言われているが…
 じゃあ、俺達が見たアレは一体なんなんだ!?」
おっさんが必死になる理由は分かる。
1994年に起きた北海道東方沖地震による津波の記憶が新しい。
道内での被害は少なかったが、北方領土では死者行方不明者を出し、一万人近い住民がロシア各地へ移住を余儀なくされた。
あのウサギの群れが津波の予兆現象であるとしたら…
道内に残る、ウサギと津波に纏わる伝承では予兆現象があった即日から十年程の間に津波が起こったとされる。
宿まで戻った俺達は早々に根室を後にした。
今日は釧路湿原の脇を抜け、阿寒国立公園を目指す。
観光化されたとはいえ、アイヌの伝承や文化が残っている場所だ。
それに内陸部だから津波に襲われる心配はまず、無いだろう。
結局、俺達が北海道にいる間、津波は起こらなかった。

(了)

225:統括者 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/
15/08/30 01:45:49.45 Mp8aiubx0.net
53本目の蝋燭が消えました・・・

                      γ
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            _ノ;し  i}  {J  |
         ,、-,、'         ハ- 、
         ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
        ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
        (  _   ,、'"    ̄
         `ー--─'"
スヴィトリアーク◆lBDllPVzBw さん、第54話をお願いします
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語り部希望は【準備スレ:2ch.net】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

226:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:48:20.96 ujnfAOrg0.net
『春の掌編』

 俺がその夜、何故そんな行動に及んだものか、今考えても腑に落ちない。
 いや、温かな布団の中の俺を無遠慮な尿意が襲い、夜半の身を切る肌寒さの中を、トイレで用を足してから自室に戻ろうとした辺りまでは鮮やかに覚えているのだが、その直後の記憶がすっぽりと抜け落ちて
いたのだ。
 どうした経緯を経たものかは知らない。我に返るとあろう事か、俺は自室と逆方向の父母の寝室の扉を開けてボーッと突っ立っていたものである。
「あれ?俺、何でこんなトコに居るんだっけ…?」
 そんな俺の様子を、目覚めた両親は怪訝そうに見つめている。
 たとえ両親のものとは言え、仮にも寝室はそこを用いる主のプライベートスペースだ。そんな侵すべからざる聖域に、あろう事か深夜にノックも無しにいきなり闖入するなんて行為は、肉親云々抜きにして無神経
だとの誹りを受けても弁明できぬ事案であった。
「ん、どうした。何か用か」
 欠伸を噛み殺しながら俺にそう問いかける父。母も、
「こんな夜中にどっか行くの?扉が開かる音で目が覚めたらいきなり滅多にここ来ないあんたが立っててさ、『もう行くよ』とか言ってるんだもの、ビックリだわ」
 などと、意味不明な事を口走っている。
「もう行くよって?…俺、そんな事言った?」
「たった今言ったろ。人騒がせな奴だなあ、寝ぼけてんじゃ無いのか?」
 事態をよく飲み込めぬまま、照れ隠しに後頭部をボリボリと掻いて苦笑いの俺。
「いやあ、そうかも知れないな。取りあえずはご無礼をした…さあ、どうか引き続き惰眠をむさぼって下さい」
 自室へと続く狭い廊下で、俺は納得ゆかずに何度も首を捻り続ける。
「おっかしいなあ。こんな事今まで全く無かったのになあ」
 それだけで済めばこの一件は、『寝ぼけたせがれの愚行』としてあっさりと片付けられる筈であった。

227:スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw @\(^o^)/
15/08/30 01:49:54.21 ujnfAOrg0.net
 翌朝、階下の茶の間から聞こえてくる据え置き電話の着信音。どうやらそれに長々と応対していたらしい母親が、ドタドタと階段を登ってくる気配がする。
「あ、あんた起きてる?あのさ、茨城に居るあたしの兄さん、さっき夜中に死んだって」
「え?」
 母の兄。つまり俺にとっては叔父に当たるわけだが、彼が体調を崩して入院していたのは知っていた。しかしそこまで深刻な状態だったとは、それこそ寝耳に水である。
「あんたの喪服、汚れて無いでしょうね。明日朝一で行くんだから用意しときなさい」
 取るものも取りあえず、俺は会社にその意を伝え、3日間の忌引き休暇を許された。

 何とか翌日午前中には上野に到着、JRに乗り換えて…というJ字運行の末、俺たち家族は寄り道も許されずに茨城県某市中心部にある葬儀会場へと向かう。久方ぶりに再会した叔母や従妹はある程度の覚悟は
出来ていたのであろう、その表情からは不思議と悲壮感は感じられない。
 細々とした手伝い事で何かと忙しなく進行する一連の葬儀行程も滞りなく終わり、肩の荷を下ろした俺たちは会場であるセレモニーホールの一室を借りて故人の生前話に花を咲かせていた。
 亡くなった人を賑やかな笑顔で見送ろうという趣向か、この会場ではお酒も振る舞われる。その勢いで舌も滑らかになった俺は、隣に座る女子大生の従妹に先日の話を何の気無しに振ってみた。
「あ、それね。多分お兄ちゃん、まんまとうちのパパのチャンネルにされたよ」
 昔からオカルティックな話題に目がないこのお転婆は、普段のしおらしい仮面を脱ぎ捨てて決壊したダムの奔流の如くここぞとばかりに語り出す。
「チャンネル…、テレビに付いててカチャカチャ回すアレか?」
「『チャンネル回す』って、お兄ちゃんいつの時代の…じゃ無くてねえ、チャンネルってのは一般的な日本語に訳すと『憑依』ってのかな?パパ結構シャイだったもの、顔見せるのが恥ずかしいからお兄ちゃんの体を
借りて叔父さんたちへお別れしに行った可能性も否定し難いと私的には思うワケ」
「なるほどなあ。してみりゃあの時の『もう行くよ』ってのはそっちの意味か」
 自分の体をたとえ短時間でも乗っ取られた腹立たしさよりも、俺の心中にはどこか気弱気な表情を浮かべた叔父の顔が懐かしく思い出される。


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