百物語 2014  本スレat OCCULT
百物語 2014  本スレ - 暇つぶし2ch2:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 18:57:04.12 b5mYxBE60.net
よく似た次元の場所が発現しており、ときたまそちらのほうへ迷い込まれるお方がいるようです。
参加者の方は、一度こちらの扉をお通りください……。
スレリンク(occult板)

開宴は19時からとなります。
どうぞ今しばらくお待ちください。

3:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:00:24.43 b5mYxBE60.net
 
 
                     2ちゃんねる オカルト板百物語2014
 
 
 
 
 
 
                       まもなく "怪" 幕いたします
 
 

4:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:00:50.13 b5mYxBE60.net
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:::::::::.夕立過ぎて 風そよぎ . . . . . . . . .
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:;.:. .: .: . . . 夜の帳がおりるころ
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              百の蝋燭持ち寄りて  
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                     語り部たちが集まりぬ
                    ━━━━━━

5:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:01:25.94 b5mYxBE60.net
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  蝋燭の火は ゆらり揺れ
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     ━━━━━━
       怪宴を待つ あまた影
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             人ばかりでなくあやかしも   . . . . . .: .: .:.::
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           . . . . . . .仲間求めて 群れ集う.:.:.:.:.:::::::::
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6:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:02:43.04 b5mYxBE60.net
 
 
 
 
 
 ━━━━━━━ー───‐ ‐ -

        2ちゃんねる オカルト板 百物語 2014

                  開 演

           - ‐ ‐───一━━━━━━━
 
 
 
 
タメ人参◆i.m1cVbrghngさん、第一話をお願いします…
 

7:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:04:59.45 2yX9zsEM0.net
【第1話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『ラブホテル』

(1/2)

俺が以前働いていた建設で体験した話です
その日の現場はラブホテルの耐震補強工事の後片付けでした
現場へは俺とAさんBさんの3人でいきました
Aさんはこの現場には初期から
俺とBさんはこの現場はこの日が初めてでした
休憩時間となり
俺とBさんは仮設トイレを探したが見つからず
仕方なくAさんに仮設トイレの場所を聞くことにしました
Aさん曰わく
この現場の仮設は作ってなくて、ホテル内の既存トイレを仮設として使ってると
そのトイレは4Fにあると
その日はトイレ行くために4Fまでいちいち階段を上って
次の日も同じメンバーで同じ現場だったんですね
それでAさんに聞いたんですよ
何でトイレ4Fしかないんですか?と
そしたら実は以前は2Fの方を仮設トイレとして使ってたが監督から4Fの方を使ってくれと言われたと
じゃあ2Fは使えないんですか?
と聞いたら一応は使っても大丈夫という事だったので、次から2Fに行く事にしたんですよ 休憩時間となりBさんと
2人で2Fのトイレへ
まず俺が先に入ってると
トイレ内の電気が急に消えたんですよ
初めはBさんのイタズラかと思い
やめて下さいよ?とか言ってたら電気ついたんですね

8:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:05:48.68 2yX9zsEM0.net
(2/2)
トイレから出てBさんに言うと、そんな事はしてないと
Bさんも、ようを済ませ地上に
次の小休憩時に
Bさんが2Fのトイレに行ったんですね
Bさんトイレから帰るなり
B「おい俺、電気消えたわ
しかも消えた間、換気は止まらなくて電気だけ消えてた
でな、気のせいかも分からんが女の声がしてな
出た時にスイッチいれたら電気普通についたわ
おかしいぞあのトイレと」
次の小休憩に俺1人で2Fのトイレへ
ドアを開けると
水が流れてるんですよ
ジャーと
今しがたまで誰かいたように
ホテル内は見通しがいい通路なんで人がいればすぐ分かるんですよ
もう慌てて地上へw
その時からは4Fに変えました(笑)
この話には続きがありまして
次の日
俺が会社につくなりBさん

B「おはようさん
おい俺、ハズレひいたわ」

俺「おはようごさいます
ハズレってなにがですか?」

B「昨日な家でトイレしてたら電気が消えたんや」

【了】

9: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:06:44.97 JSbHM1NW0.net
1本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


                      γ
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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第2話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ(したらば):URLリンク(jbbs.shitaraba.net)】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ(したらば):URLリンク(jbbs.shitaraba.net)】でお願いします。

10:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:08:32.07 2yX9zsEM0.net
【第2話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『逃げるシミ』

(1/2)

これは友人から聞いた話です
その友人が中学生時代に体験した話を書きます
友人をAとします
Aには当時、親友が1人いました
その親友をBにします
夏休みのある日
BがAに家の近所にある心霊スポットにいこうと誘ったらしいです
Aは軽い気持ちで返事をしてBと共に
その晩、心霊スポットに行く事になったそうです
その心霊スポットとは、一軒家で1人暮らしをしていた男性が数ヶ月前に自殺をした所だそうです
いつしか近所から
その家から夜に声や物音がするとか
二階の窓に人が立っていたという噂が流れたそうで、それをBが知った訳です
当日の夜
AとBは問題の一軒家に忍び込みました
薄暗い中、ビビりまくりなAをよそに
意気揚々とBは二階にあがっていったそうです
突然
B「おいAちょっとこいよ」
とBの呼び声
AはビビりながらBの待つ部屋へ
Bがニヤニヤと
B「これ見てみろよ」
Aが言われた先を見ると壁に人の形をした大きなシミがあったそうです

11:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:09:07.05 2yX9zsEM0.net
(2/2)

声が出ないAをよそにBはなんと
その大きなシミに
オシッコをかけだしたんです
Aは止めましたがBは全然気にして無い様子
その日はそれで家に帰る事になったそうです
Aはその晩に夢を見ました
夢の内容は
薄暗い中、人型の黒い何かがAに近づいてくるというもの
翌朝Aは早速Bに昨晩見た夢の話をした所、Bは昨日の人型のシミに間違いないと、自分の夢に出てくるならまだしも
友人の夢に出てくるとは許せない
そう行って、またAを連れて、あの家へ行ったそうです
またBは部屋へつくとシミに向けてオシッコを…
その晩はAもBも夢は見なかったそう
でもBは何故か次の日もAを連れて、あの家へ
部屋へつくと何とシミがBのオシッコをよけている(笑)
シミが動いてオシッコをよけてるんです(笑)
AとBはそのあまりの光景に大爆笑
そしてBはオシッコをかけてAと共に帰宅
その晩とうとうBの夢に黒い物体が出てきた
その物体はBに近付くと
シミ「頼むから家には来ないでくれ(泣)」
と涙ながらに懇願したそう
可哀想になったBはシミがAにした事を許し
家には行かない事を決めたそうです

【了】

12: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:09:22.69 JSbHM1NW0.net
2本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


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成 ◆0ute.wyqdY さん、第3話をお願いします
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雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

13:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:09:47.35 b5mYxBE60.net
『ねむる』

(1/2)

後輩に聞いた話です
彼女の両親は共働きで、近くに住む祖母の家に預けられることが多かったそうです
彼女の祖父は彼女の父親が子供の頃に亡くなっていたそうですから、長いこと独りで暮らしていた彼女の祖母のためにも
なっていたのでしょう
祖母が大好きだった彼女ですが、彼女が特別楽しみにしていたのは夏休み
遠い都会から、叔父一家が祖母の家に泊まりにくることだったそうです
兄弟のいない彼女には、年の近いいとことのその夏休みは貴重なものでした

夏休み中のある日、いつものように祖母の家に訪れた彼女は首をかしげました
あまりにその小さな一軒家は、静まり返っていたのです
履物はあるのに、呼んでも誰も出てこない
けれど田舎特有の防犯意識の低さから、鍵は開いていましたから、彼女は黙って上がり込みました
居間のソファで本を膝にのせ、老眼鏡もそのままに、祖母がうたた寝をしていました
二階の部屋で、まるで神経衰弱でもするようにトランプを散らばして、いとこがすやすやと寝息をたてていました
いつもならこの都会っ子は、トランプの一人遊びなんて目もくれず携帯ゲームに夢中でしたから、彼女は不思議に
思いました
おばあちゃんを起こしてこよう
彼女はそう思い、部屋を出ようとしました
そのとき
ぱたん
軽い音が、部屋の中から聞こえました
振り向くと、いとこが寝転んだまま、裏返しのトランプをひっくり返していました
その目はかろうじて開いていたものの、手元を見ている様子はなく、むしろ何を見ているようでもなく、虚ろでした

14:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:10:14.02 b5mYxBE60.net
(2/2)

ぱた、ぱたん
ひっくり返されるトランプを、彼女は何気なく目で追っていました
ハートのエース
ダイヤの10
ダイヤのキング
ハートの5
ぱたん、ぱたん、と紺地の模様が白くなっていく中で、彼女はふと気がつきました
全て、赤の札なのです
5枚、10枚、15枚、20枚
ゆっくりと、紺は赤に変わっていきます
恐ろしくなった彼女は慌てていとこの体を揺さぶりました
ぱちりと瞬きをひとつして、いとこは彼女を見上げました
「あれ、来てたの?……うわ、なにこのトランプ。片付けないと怒られちゃうよ」
そう言ういとこはいつもの顔で、彼女は心からほっとしたそうです

いとことカードを拾い集めていた彼女は、何気なくカードを数えてぞっとしました
表を向いているカードは、ハートが13枚、ダイヤが12枚
いとこを起こすのがあと一瞬遅れていたら、赤いカードが全て表を向いていたら、一体何が起こっていたのでしょうか

【了】

15: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:11:25.54 JSbHM1NW0.net
3本目の蝋燭が消えました・・・
成 ◆0ute.wyqdY さん、ありがとうございました


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妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、第4話をお願いします
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16:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:12:36.33 YcYHo/b60.net
【第四話】「サリー」

(1/2)

叔父が幼い頃、よく学校近くの路面や空き地に色々な露天商が来ていたそうな。
大抵はひよこなどの動物や子供だましのおもちゃなどだが、その時は珍しく人形を売っていて、覗いてみたらしい。
指人形を初め、小さな人形が並んでいたが、一つだけぽつんと大きな人形があったのが印象的だった。
その人形は30センチくらいの大きさの布製のもので、外国人の女の子を模した可愛らしい物。
目を模した石が宝石のようにキラキラと青く輝いていて、その石だけ欲しいな、なんて不謹慎なことを考えた。
人形の値段は500円位だったと記憶している。
しかし、当時の子供たちのおこずかいは一日数十円程度で、1月分のおこずかいを使うには高すぎるし、親などにプレゼントとして買ってもらうには安すぎるということで、誰もその人形は買わなかった。
次の日も、また次の日も人形売りは現れたが、相変わらずその人形は売れ残っていた。

人形売りが現れてから五日後、ついにその人形を買った者がいた。
それは、叔父と同じクラスの女の子で、仮に名前をマリちゃん、とでも呼ぼうか。
マリちゃんは偶々、親戚が遊びに来て臨時のおこづかいをたっぷり貰ったとかで、ずっと気になっていたその人形を買ったのだという。
人形はサリーと名付けられ、マリちゃんの一番の友達となった。
一番の大物が売れて満足したのか、次の日には人形売りはいなくなった。

しばらくして。
マリちゃんが病気になった。
手足が硬化してしまうと言う難病に侵され、周りが気付いた時にはもう足が殆ど動かなくなってしまっていた。
それでもマリちゃんは車いすで健気に頑張っていた。

17:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:13:09.93 YcYHo/b60.net
それからまたちょっと経って。
マリちゃんが死んだ。

家の鴨居から首を吊っていたらしい。
足の不自由なマリちゃんが、どうやって……なんて疑惑もあったみたいだけど、結局自殺として処理されることとなった。
ご両親の憔悴っぷりったらなかったそうだ。
叔父も親に連れられお葬式に参加したのだが、特に母親は声を掛けても無反応で呆然と座り込んでいたかと思うと、突然棺にしがみついて泣き出したりと、見ていられない程だったという。
仲のいい女の子たちは泣きながらマリちゃんの棺に手紙やプレゼントを入れてあげていた。
それを見た父親も、祭壇に飾っていたサリーを棺に入れてあげて、みんなで最後のお別れをして出棺をした。

そしてお葬式から1週間くらい経ったころ。
町でマリちゃんの母親を見かけた。
なぜかマリちゃんの車椅子を押して、にこやかに笑っていた。
車椅子には、あの時棺に入れたはずのサリーがちょこんと座っていて、ぞっとしたらしい。

大人は、マリちゃんを亡くしたショックで母親の頭がおかしくなったのだろうと言っていた。
けれども。
足が人形の様に動かなくなったマリちゃん。
マリちゃんの代わりに車椅子に座っていたサリー。
もしかしたら、最初からサリーとマリちゃんを入れ替えるのが目的だったのでは……。

あの人形は結局何だったのか。
確かめようにも、しばらくしてマリちゃんのご両親はどこかへ引っ越してしまった。
そしてその後、一度もあの人形売りを見かけることはなかった。

【了】

18: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:13:41.64 JSbHM1NW0.net
4本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


                      γ
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ハンズ・ポチ◆2DtjuJLYoI さん、第5話をお願いします
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19:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:15:00.13 2yX9zsEM0.net
【第5話】 ハンズ・ポチ ◆2DtjuJLYoI 様
『知らない女』

(1/2)

ひいおじいちゃんの家の2階には、知らない女がいる。

初めて見たのは幼稚園の頃。
正月のお祝いだったかな、従兄たちと遊んでいたら膳のまわりで騒ぐなと怒られて。
3人集まって気が大きくなっていたのかもしれない。普段なら絶対近づかない2階への階段を駆け上がった。
2階の窓は家具で遮られ、昼間でも真っ暗の状態。

俺たちは急に怖くなって、上がったところで立ちすくんだ。
だって、ほんとに一寸先は……って感じで、進むのもやだし背中を向けるのもやだったんだ。
そんなに時間はたってなかったと思うけど、ひいおばあちゃんが「ごはんよ」と階下から声をかけてくれた。
何だかほっとして、俺は勢いよく駆け下りた。従兄たちも同じような気持ちだったと思う。先を争って下りたから。

ひいおばあちゃんに「お菓子ある?」なんて聞きながら、なんでそうしたかわからないけど俺たちは後ろを振り向いた。
最初に言ったよね。知らない女がいるって。その彼女がさ、2階からじっと見てたの。
俺たちはぎょっとして、それから叫び声をあげて親のところに逃げてった。そこからはパニックですよ。
「女の人がいる!女の人がいる!」って。

あの時はごまかされたけど、高校に入った頃親父が打ち明けてくれた。
自分が高校の頃2階に寝起きしていた時があって、知らない女の人に顔を覗き込まれたことがあるって。
子供たちが騒いだとき、まだいるんだなってぞっとしたんだって。

これでおしまい、って言いたいところだけどこの話には不名誉な続きがある。

20:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:16:16.49 2yX9zsEM0.net
(2/2)

高校を卒業する前に、ひいおじいちゃんの家は主を失った。
そこで相続問題が持ち上がったわけだけど、ひいおじいちゃん達の子供はもう皆亡くなってて、
相続人は親父と親父のお兄さんだけ……じゃなくて、もう一人いたんだ。
ひいおじいちゃんと前の奥さんの息子さん。

親父のお兄さんって強欲な人でね、親父にウソを言い、その人にもウソを言ってひいおじいちゃんの
財産を総取りしちゃったのね。
もちろんあの家も。
ひいおじいちゃんの家はすぐに壊され、おじさんは新居に招待してくれた。
家には手を付けない。おじさん自身が言ってた事だった。
うちの女どもは怒り狂ってたから、親父は俺を引きずって挨拶へ。そこにはあの人までいた。
「彼が父に一番似ましたね」って苦笑いしてた。

ところであの家の周り、新築ラッシュで影の具合がずいぶん変わったんだね。昔とはまるであべこべだ。
おじさんの家に入ると、2階にあふれた太陽光がスポットライトみたいに階下に降り注いでいる。
ごちそうが一杯並んでいたけど、薄暗いリビングではあまり美味しく感じられない。
あの人がおじさんの顔をじっと見ている。下りてきた彼女と一緒に、熱心に。

彼女は祟るようなものかな?
ちょっとわくわくしながら、俺は家路についた。

【了】

21: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:18:06.87 JSbHM1NW0.net
5本目の蝋燭が消えました・・・
ハンズ・ポチ◆2DtjuJLYoI さん、ありがとうございました


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妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、第6話をお願いします
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22:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:18:53.20 YcYHo/b60.net
【第六話】「濡れてる」

(1/3)

「なんかw怖い話とか知らないすかwwww」
百物語に向けてネタを探していた俺は、飲み会でそう切り出してみた。
結構みんなノッてくれて、中々の収穫があったのだが、今回はその中でも特に印象に残ったN先輩に聞いた話をしたいと思う。

N先輩は学生時代の夏休みに、夜間警備のアルバイトをすることにしたそうだ。
配属されたのは古い製薬会社のビルで、詰所に詰めるのとは別にベテランのOさんと二人でローテーションを組み、日に二度、定期的にビルの巡回を行うこととなった。

アルバイトを始めてから1週間程経ち、慣れて来たN先輩は一人、深夜のビルの巡回に出向いた。
そして、2階の廊下の突当りで、妙なものを発見した。
「あれ、濡れてる」
ちょうど一跨ぎで飛び越せるかどうか、くらいの大きさの水たまりがあったそうだ。
N先輩はどこかで掃除道具でも探して拭こうかとも思ったんだけど、なんか危ない薬品だったら嫌だなと、一旦そのままにして巡回を終わらせ、Oさんに判断を仰ぐこととした。

「Oさん、廊下に水たまりがあったんですけど、薬かなんか撒いてあるみたいな報告ありました? 拭いた方がいいなら行ってきますけど」
そう問いかけた途端、Oさんの顔色が変わった。
「どこで見つけた!?」
「へ? いや、2階の廊下の突当りですけど。 やっぱりあれ薬品かなんかだったんですか?」
「そうか……。いや、アレは触らんでいい。今後見つけても絶対に近寄るな。」
Oさんが苦い顔で念を押したので、Nさんはそんなにヤバい薬品だったのか、触らなくて良かったと胸をなで下ろした。

23:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:19:35.33 YcYHo/b60.net
(2/3)

しかし、次の晩も、また次の晩も、N先輩は巡回中に水たまりを見つけた。
場所は様々で、玄関ホールにある時もあればトイレの中にあるときもある。
大きさも形もいつも同じくらいで、軽く匂いを嗅いでも無臭だし、色もない。
段々N先輩はこの水たまりがなんなのか気になって仕方がなくなってきてしまった。
そこである晩、ついにアクションを起こすことにした。

その日、巡回中にいつもの水たまりを発見した。場所は奇しくも最初に発見した2階の廊下の突当りだった。
N先輩はポケットに忍ばせていた物を取り出した。
用意していた、スポイトとビニール袋だ。
これでこっそり液体を持ち帰り、薬学部の友人にでも分析をしてもらおうという算段である。
跪いてスポイトを水たまりの中央に突っ込む。意外に深い。

すると突然、スポイトがぐい、と強い力で引っ張られた。
N先輩は驚いてバランスを崩してしまい、水たまりに伸ばしていた手を着いてしまう。
ところが、手は床に触れることなくひじの辺りまで突き抜けてしまった。
そして。
何かが手首を掴んだ。
そのままもの凄い力で、水たまりの中に引っ張られる。
(なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ)
パニックになりながらも、N先輩は必死に引きずり込まれまいと腕を引き抜こうともがく。
まるで手首にロープを巻き付け、何人もの人が引っ張っているかのようだった。
(もう、ダメだ……)
肩まで引き込まれ、諦めかけた瞬間、パシャン、と何かが水たまりに落ちた。
胸ポケットに差していたボールペンが、弾みで落ちたらしい。
ボールペンはそのまま、すぅっと水たまりの中に消えていく。
その直後、引っ張られる力が不意に弱まったのを感じた。
「うごおおおおおおおおおおおお!!!!!」
渾身の力を込めて、N先輩は腕を引き抜いた。

24:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:20:00.56 YcYHo/b60.net
3/3)

「それで、どうなったんすか?」
「それで終わり。詰所に逃げ帰って、また次の日から普通にそのバイトもしてたし、やっぱり水たまりは色んなとこに出来てたな。まあ、流石にもう近づけなかったけど。」
淡々とそんなことを言うN先輩はちょっとおかしいと思う。
「でもさ、俺、見ちゃったんだよね。」
「何をです?」
「暗かったし、ほんの一瞬だったから見間違いかもしれないけど」
N先輩はぐびりとビールに口をつけると、意を決したように教えてくれた。
「腕を引き抜いた瞬間、俺を引っ張ってたやつが見えたんだよ。消炭みたいに真っ黒で、なんかもの凄い長かったけど。
アレ、人の手だった。」

【了】

25: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:21:37.59 JSbHM1NW0.net
6本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


                      γ
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備担◆.1AOTdzS5s さん、第7話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

26:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:24:05.46 2yX9zsEM0.net
【第7話】 備担◆.1AOTdzS5s
『神隠し』

同僚とはよく実家の田舎っぷりを自慢しあう。まあ自虐のふりをした郷土自慢みたいなものだ。
あるとき私は、兄が神隠しにあったことを話した。結論から言えば、捜索範囲が広大だった単なる迷子の話。
しかし同僚は、ふっと真顔になり、ぽつぽつと話始めた。

地元の集落で「お山」と呼ぶ山がある。小さなお社があったり、山頂近くには古い墓石のようなものが並んでいたり
するけど、いまはその云われはわからない。山腹には集落からも見えるような目立つ大きなクスノキがあった。
根本には小さな祠もあって、年寄りは大クスノキ様と呼んで拝みに行ったりしていたらしい。

あるとき、未就学の年齢の同い年の子供が居なくなった。
集落じゅう総出で、田んぼや畑を探してもどこにもいない。
夏の長い日も暮れて、集会場に集まった大人たちが、やれ明日は朝から山狩りかと話していると、その子がひょっこり
戻ってきた。

聞くと、大クスノキに木登りして遊んでいた。気が付いたら日が落ちていて、木から降りられないし暗くて怖くて泣いて
いた。すると、知らない老人が木から降ろしてくれて、お八つをくれ、ここまで送ってくれたという。

半ば呆けた年寄りは大クスノキ様のお陰だと合掌したが、他のものは首を傾げた。というのも、大クスノキは
半年前の落雷で木が裂け、危険だからということで切り倒され、今は切り株だけになっていたからだ。

「にっぽん昔ばなしみたいだよね」と同僚は続けた。
その子も今はやはり集落を出て、そこで世帯を持って普通に暮らしているという。

【了】

27: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:25:44.36 JSbHM1NW0.net
7本目の蝋燭が消えました・・・
備担◆.1AOTdzS5s さん、ありがとうございました


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29:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:26:49.11 YcYHo/b60.net
【第八話】 「上下さん」 

(1/2)

赤マントって知ってる? 昔流行った都市伝説なんだけど。
なんでも、トイレに入っていると「赤いマントほしいか」って聞かれて、イエスと答えると首を切られて殺されて、まるで赤いマントを着ているように見えるって話なんだけど。
地域や年代によって赤いちゃんちゃんことかちり紙とか色々派生形があるみたい。

最近俺が聞いたのが「上下さん」
うちの近所に古い大学があるんだけど、そこのエレベーターに一人で乗っていると
「上か下か」
ってしゃがれた老婆の声が聞こえるんだって。
「上」って答えると、髪の毛を切られる。
「下」って答えると、足首を切られる。
何も答えないと、異次元に連れて行かれる。
だから、必ず「上」って答えなければならないんだって。

ここからが本題。
その大学の生徒が、ある晩酔っぱらったノリでその話を試してみようってことになったらしい。
7~8人いたのかな。深夜こっそり大学に侵入してさ。
卒論時期だったからか残って作業してる人もいて普通に這入れてしまったんだ。
で、全員で一番上の階までまず上がって、一人づつそのエレベーターで下に降りることにした。
まあ、ちょっとした肝試しだよね。
それで、一人、降りてはまた一人、と間隔を置きつつも次々降りていった。
でも何も起きなくって、さっさと帰ってまた酒盛りするかってなったんだけど、最後の一人が中々降りてこない。
携帯鳴らしても通じなくて、誰かちょっと見に行けよって話が出始めた時、エレベーターが動きだした。

30:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:27:17.39 YcYHo/b60.net
(2/2)

4階



3階



2階



1階

ポーンと音がしてエレベーターが開いた。
真っ赤だった。
中に凄まじい量の血が飛び散っては流れ、最初から赤い壁紙が貼ってあったかのように濡れていた。
そしてそのエレベーターの真ん中で、その最後に残った奴が倒れている。
腰の辺りで、まるでペンチでぶちんと捻じ切ったように千切れて真っ二つになって死んでいたらしい。
その後は警察とか色々大変だったらしいんだけど、結局迷宮入りしそうって聞いたな。

で、上下さんの噂に新しい伝説が付くことになった。
どうもその学生、上下さんに聞かれてこう言ったらしいんだ。

「真ん中」

【了】

31: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:29:01.29 JSbHM1NW0.net
8本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


                      γ
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妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、第9話をお願いします
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32:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:29:52.02 YcYHo/b60.net
【第九話】 「青い影」

(1/2)

私は数年前、連日の激務に耐えきれず体を壊し、職を失った。
暫くは休息期間だとぐうたら過ごし、例にもれず昼夜逆転生活になってしまった。
夜通し起きてゲームやネットをし、日が昇ってから眠りに着く日々。
ただ、部屋に籠りきりは流石に体に毒だと散歩だけは毎日することにした。

朝方4時過ぎ。
その日も日課の散歩に出かけた。
辺りは薄明るく、耳が痛くなるほど静かである。
ふらふらと歩いていた私の目に、ふと色鮮やかなものが飛び込んできた。
道路の上に、真っ青な部分があるのだ。
地面にのっぺりと張り付いたそれは人の形をしていて、まるで青い影だけがそこに取り残されているかの様だ。
誰かがペンキで落書きでもしたのだろうか。
私はその影の横を通り過ぎようとした。
と。
おぞましいことに気が付いてしまった。
動いているのである。
青い影がぶるぶると、小刻みに震えているのである。
私は、見なかったことにしようと小走りで影の横を通り抜けた。
しかしつい、後ろを振り向いてしまい、ぞっとした。
着いて来た。
影が、私の方へするすると向かって来ていたのだ。
捕まる!!
私は言い知れぬ恐怖に一瞬にして囚われた。
そしてその場から全速力で逃げだした。

33:妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/
14/08/23 19:30:24.49 YcYHo/b60.net
(2/2)

だが、何度振り返っても影は私の後方数メートルの位置を維持し、ぴったりと着いて来る。
走る。走る。
体力の限界が近づいてくる。
当てもなく角を曲がると、大通りに出た。明るく光る、コンビニが見える。
私はすがるような気持ちで、コンビニの中に滑り込んだ。

背後で、自動ドアが閉まる気配がした。
肩で息をしながら、私はゆっくりと振り返った。
直後。
べちゃり。
閉まった自動ドアに、追いかけて来た青い影がぶつかった。
影はドアに張り付いたまま、その場でうねうねと身を捩る。どうやら入っては来れないようだ。
暫くして諦めたのか、影はずるりと地面に落ち、そのまま何処かへと消えていった。
へたり込んだ私を見て、店員が奇妙な顔を向けていた。彼にはあの影が見えなかったのであろうか。
私は完全に日が昇るまでそのままコンビニで時間を潰し、人が何度も出入りしているのを確認してから漸く外に出ることができた。
影は何の痕跡も残してはいなかった。

それから、私は散歩を止めた。
少しして新しい職を見つけて規則正しい生活に戻り、早朝に出歩くことはなくなった。
あの影は2度と見ていないし、あれが何だったのかもわからない。
しかし、あれに捕まっていたら一体どうなっていたのだろうと、今でも恐ろしく思うのだ。

【了】

34: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:32:18.67 JSbHM1NW0.net
9本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


                      γ
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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第10話をお願いします
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35:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:34:57.92 2yX9zsEM0.net
【第10話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU様
『憑依、そして命拾い』

(1/2)

1995年1月16日、兵庫県の某ドーナツショップで勤めていた私は、21時から翌朝7時迄の夜勤だった。
出勤時、大きく赤い不気味な満月を見たが、そんなに気にしなかった。

仕事を始め、23時に閉店。しかし、その日に限って洗い物等の作業がとても面倒くさく感じ、
食器類を所定の棚に並べずに、洗ったまま洗浄機のカゴごとラックの奥に仕舞い込んだ。

日報を作成後、清掃業務があったが、やる気なく手を抜いて終わらせ、長めに休憩をとった。
日付が変わり1月17日午前4時30分に仕込みを開始、気が進まないながらもドーナツを作り始めた。
約40リットル・温度190℃の油で満たされたフライヤーに、機械でカットしながら生地を落としていく…。
フレンチクルーラーをフライしていた。

すると突然、飛行機が離陸する時の様な感覚が身体を襲った。
そして一瞬にして、自分の思考回路が完全に停止し、誰かに操られる感覚に陥った。
亡き母が乗り移った様な気がした。操られるまま機器の電源を切り、キッチンから外へ走り出た。

36:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 19:36:15.55 2yX9zsEM0.net
(2/2)

六甲山辺りか、それとも瀬戸内海辺りか分からないが、空が稲妻の様に明るく光った。
ほぼ同時に激しい揺れに見舞われ、街頭も駅の電気も全て消えた。電柱は45度に傾いていた。

映画を観ているのだろうと思っていた。幸いにして、店内は非常灯が点いていた。
キッチンへ行くと、高温の油がほとんど床に巻き散らかっていた。フレンチクルーラーと共に…。

そこで、ようやく我に返り、事の重大さに気付いた。
あの時、肉体や意識を亡き母に乗っ取られていなければ、私は全身が高温の油で焼けただれて、
今こうして、ここに書き込む事はなかった


37:と確信している。 お分かり頂けたであろう…。それは「阪神淡路大震災」、震度7。 発生直前からその直後の体験である。 霊的には助けられたが、リアルでは恐ろしく地獄絵図の出来事であった。 【了】



38: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:37:39.84 JSbHM1NW0.net
10本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました


                      γ
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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第11話をお願いします
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39:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:38:52.50 HxZdyY1N0.net
【第11話】 白孔雀◆EiiyoouYFo 様
『金縛り』

今年になってからの話。

その日いつものように布団で寝ているとキ―ンと音がして体が動かなくなった。
隣に寝ている夫を起こそうとしたが声が出ない。金縛りだ。
もがいていると『何か』が寄って来る気配がした。
私は必死で目を閉じ、その『何か』を見ないようにした。

目は閉じていたのだが、私はそれを人のようなものだと感じた。
なんというか、寝ている自分とは別の眼で周囲の映像をとらえている、そんな感じである。

近づいてきた物の背丈は子供くらいで、顔はわからない。
黒い影のようなそれは、私の顔をのぞき込むと、せかせかと布団の周りを落ち着きなく歩きはじめた。
早くどこかへ行ってくれないだろうか…動かない体でそればかり考えていた。

やがて朝が来た。いつの間にか気配は消えて金縛りは解けていた。
私は夫に「昨日怖い夢を見てあなたを起こそうとしたのに起きなかったのよ」と言った。
でもそれ以上のことは言えなかった。
金縛りだ、幽霊だなんて笑われてしまいそうで。
そして私は気配の主に心当たりがあった。なんだか遠方に住んでいる叔父に似ている気がしたのである。
叔父は最近足を悪くしたそうだ。単なる気のせいだと思いたいのだが…。

【了】

40: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:40:35.17 JSbHM1NW0.net
11本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、ありがとうございました


                      γ
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                      _ノ

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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第12話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ(したらば):URLリンク(jbbs.shitaraba.net)】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ(したらば):URLリンク(jbbs.shitaraba.net)】でお願いします。

41:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:41:45.43 HxZdyY1N0.net
【第12話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『軍事病院』

(1/2)

軍事病院というものをご存知ですか?
戦争があった時代に主に兵士であったり戦争によって傷を負った人が運ばれる所
今は使われず廃病院になっています
そんな軍事病院
未だに取り壊されずに残っているんですが
やはり病院というのは生死が日常の場所
戦争のあった時代ともなれば尚更
やっぱり出るんです
夏になると誰かが言い出す
軍事病院に肝試し行こうと
この話は友人が10代の夏に体験した話です
軍事病院のある場所は山でして、行くまでには少し困難な場所にありました
友人は3人で肝試しに行くことにしたんですね
A、B、C君にします
軍事病院に着いて中に入ると空気が明らかに変わったとAは後に言っていました
3人は院内を一緒に行動しながら見て回ってたそうです
もう想像以上に気味が悪かったらしく
早々に帰ろうという事になりました
その時ふとBが
B「Cがいない…」
AとBは怖いことも忘れて必死に探したけどCが見つからない
もう俺たちでは無理だ
でも不法侵入になるから警察は呼べない
でも意を決して警察に電話したそうです

42:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:42:37.20 HxZdyY1N0.net
(2/2)


警察が来て事情説明をして、応援の警察きて廃病院と付近の大捜索が始まりました
でもCは見つからなかったそうです
AとBは警察署で事情聴取、Cの親も来てたそう
その日から約1週間
警察は懸命に捜索をしたけど結局Cは見つからなかった…
警察が捜索の範囲を変えようとした頃
Cの実家に電話がかかってきたんです
Cの母が受話器をとると

謎の声「C君のご自宅ですか?」

母「はい、そうです」
謎の声「C君の手術が終わりました」

それで電話が切れたそうです

C君の母は不謹慎なイタズラ電話だと憤慨したけど、念のため警察に相談をしたそうです
警察も話しをうけ
翌日もう一度廃病院を捜索したら
ずっと気付かなかったけど、二階に上がる階段の近くに地下に行く隠し扉が見つかり、
地下にC君の遺体があったそうです
数年たった今でも犯人が見つからず
電話の声の相手も分からないまま
今も未解決のままです

【了】

43: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:43:50.31 JSbHM1NW0.net
12本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参 ◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第13話をお願いします
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44:海猫@\(^o^)/
14/08/23 19:44:43.47 W3yKSUXf0.net
お父さんが登山好きでいろいろ道内を縦走してたんだけど
トムラウシ山で三角テント張ってビバークしてた時の話

晩ご飯食べてウイスキーのんで寝ようかって思ってたら
テントの周りをザッザッて何かが徘徊する音が10分ほど続いた
お父さんはてっきり食物の匂いで羆が来たかと思ったが
よく聞くと登山靴履いた音っぽい(特殊な靴なんだよね)

んでお父さんも寝たいし気になるしで試しに
「お前も明日早いんだろ、寝ろよ俺は寝るぞ」
って声かけたら立ち去る靴音もなくすっと足音が消えたんだって

20年前の話だけど最近聞いて背筋ぞっとした(´・ω・`)

45:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:44:58.39 HxZdyY1N0.net
【第13話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『人形屋敷』

(1/3)

後輩の話。

彼女の家の近所に、一軒の家がある。
T字路の突き当たりに位置する、古い洋館だ。
そこへ嫁いだ女性の様子がおかしくなり、気狂いになったと言われた。
その後、その嫁が目撃される時には、いつも人形を抱えているようになった。
ビスクドールと呼ばれる類いの古い人形らしく、結構高価な代物だったらしい。

話を交わした近所の人によると、嫁は奇妙なことを述べていたという。
「この人形は、目を離していると、凄く悪いことや、凄く酷いことをするの。
 だから、見張るために、こうしていつも、抱いていなくちゃいけないの」
焦点が合っていない目で、途切れ途切れにそんなことを言うのだと。

祖母にこの話題を振ったところ、気持ち悪そうにこう言った。
「あそこの家、前に来た嫁さんもおかしくなっちゃったんだけど。
 その人もいっつも、あのお人形さんを抱えていたんだよねぇ」

46:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:45:43.52 HxZdyY1N0.net
(2/3)

彼女自身は他所の家ということもあり、大して心を配ってはいなかったのだが、
学校の課題で地元史をまとめている最中に、気になる写真を見つけてしまった。
着物姿の若い女性が人形を抱えているという、古い白黒写真だ。
気になったのは抱えられている人形。
あの家の嫁がいつも持っている人形そっくりに見える。
抱いている女性の目は焦点が合っておらず、何処を見ているのかわからない風で、
嫁の表情を思い出させたという。

「この写真って何の写真なんですか?」
近くにいた先輩にそう尋ねてみた。

「あぁ、これね。人形屋敷って呼ばれた館に由来する写真なんだって。
 何でもその館には呪われた人形があって、家人を祟っていたというの。
 祟られるのは嫁に入った女性だそうで、子供を産んだ後は大抵おかしくなって
 早死にしていたんだって。
 まぁオカルトめいた話。
 こんな小さい田舎町にもそんな話ってあるんだね」

嫌な考えが浮かんでしまう。
「ひょっとして、その人形屋敷、私の家の近所なんじゃないですかね?」
恐る恐るそう聞いてみた。

「いや、もうないよ。
 戦後間もなく、火事で焼け落ちちゃったんだって。
 残ってる写真なんかも、これくらいしかないみたいだし。
 え、場所はどこだったかって? さぁそこまでは知らないなぁ」

47:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:46:20.96 HxZdyY1N0.net
(3/3)

件の嫁は段々度が外れた言動が増えていき、やがてその姿を見せなくなった。
噂では遠くの病院に入れられたとか、実家に帰ったとか。
正確なところは不明である。

現在、残された旦那さんが祖父と協力しながら子育てをしているようだ。
あの人形がまだそこにあるのか、今も彼女はひどく気になっている。

「旦那さんもお爺さんも普通の人で、きちんと挨拶も会話もしてくれるんです。
 でも聞けないんですよねぇ。
 もしも、何か得体の知れないモノが本当にあったとしたら。
 それが自分をターゲットにしたらとか、そう考えたら怖くて堪らないんです」

「……それと、あそこの家の子供さんって男の子なんですよね。
 この子自身はすごく良い子なんですけど。
 将来、お嫁さんを貰った時、またあの人形が出てくるんじゃないかと……」
それがすごく不安なのだという。

【了】

48: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:48:27.27 JSbHM1NW0.net
13本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました

さあさあ異界より迷い混まれたあなた、どうぞ受付スレにお越しくださいませ
あなた様の席を設けさせていただきます


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成 ◆0ute.wyqdY さん、第14話をお願いします
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49:成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/
14/08/23 19:49:51.88 b5mYxBE60.net
『母の話』

この間たまたま機会があったので、百物語のことは伏せて、親に夏だし何か怖い話でもない? って聞いてみたんだ。
そうしたら母は、えー……と少し考えた後で思い出したかのように
「怖い話というか、不思議な話ならあるよ」
というので、どんな話? と聞いてみた。それが、今から書く話。
……それにしても、私の話とは思わなかったから、少し驚いたよ。

3人兄弟の末っ子長女だった私は、実によく泣く子供だった。
幼稚園の頃も、小学校に上がってからも、兄がいじめたといっては泣き、お菓子が少ないといっては泣き、
誰も構ってくれないといっては泣き。
そんなふうだったから、私が泣いたからといって誰ももう困ったり焦ったりはしなかったのだ。
それがまた、私が泣くことに拍車をかけていたのだけれど。

夏休みのある日、母がパートから帰ってくると、兄ふたりは近所の友達とゲームをして遊んでいて、
私が違う部屋でひとりで遊んでいるのを見つけたのだそうだ。
いつもならこんなときは兄たちが仲間に入れてくれないとめそめそしているのに、その日に限って、
たった一人で楽しそうに遊んでいたらしい。

「今日は泣いてないね?」
母は思わずそう尋ねて、それから失敗したと思ったそうだが、私は笑って頷いたそうだ。

「ないてたから、かわってあげたの」

それから私はまるで別人になったかのように泣かなくなったそうだ。

実は私は小学校低学年以前のことは断片的にしか覚えていない。それも、兄や母から聞いたエピソードばかりだ。
もし、「かわってあげた」のだとしたら、元の私はいったいどこにいってしまったんだろう?
今の私は、いったいどこの誰なんだろう?

【了】

50: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:51:29.32 JSbHM1NW0.net
14本目の蝋燭が消えました・・・
成 ◆0ute.wyqdY さん、ありがとうございました


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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第15話をお願いします
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51:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:53:51.35 HxZdyY1N0.net
【第15話】 釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『夜釣り』

(1/2)

これは去年の春の話。
この年も3月くらいから春のミズイカ狙いで毎週末、仲間と佐賀・長崎方面に釣行にでていた。
今回は平戸・生月方面に向かうこととなり、参加は俺と師匠の2人、金曜日朝出発で土曜日のお昼~夕まづめ~深夜まで釣りをし、
仮眠をとり、日曜日の朝まづめを狙い、帰路につくという予定であった。
木曜日に師匠から『土曜日急用ができちゃったから、
土曜日深夜に合流する。酒買い込んで行くから合流したら酒盛りしよう 』という連絡があった。

師匠が遅れて合流するってことで俺はひとりで出発した。お昼過ぎにお目当ての釣場に着き、釣りを始めた。
ミズイカは2はい釣れたが、根掛かりしての海藻をその数十倍釣り上げていた。
リールを巻きながら海藻の固まりが海面に上がってくると、
人間の髪の毛に見えるので、深夜にひとりだとかなりビビるよ。
深夜12時もすぎ、ロッドにぐぐっと負荷がかかる。
また、海藻かと思いきや、海面に上がってきたものは、なんと長靴ではないか。
ため息をつきながらタモを出し、ルアー(エギ)を回収しなければならないため、長靴ごとタモ入れしすくい上げた。

長靴に引っ掛かったルアー(エギ)を取ろうとした瞬間、長靴の中(足をいれる部分)から
ひょいって手が出てきてルアーを取ったと思ったら、エギを握ったまま長靴の中に手かは戻っていった。
私は、いきなりなことに腰を抜かし、道具も置き去りにして、這いつくばりながら、車まで逃げ帰った。
なぜに長靴から手が?寝ぼけていたのか?
車に逃げ帰ってから数分のドキュメンタリーが過ぎたと思うが、
コンコン、コンコンと車の運転席側のガラスを叩く手が、長靴の手がここまで追ってきたのかと思いブルブル震えていたが、
それはなんと師匠の手であった。遅れていた師匠が到着したのであった。

52:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 19:55:01.79 HxZdyY1N0.net
(2/2)

師匠と釣場に長靴を確認するために戻ることとなった。
ぶっちゃけ明るくなるまで戻りたくはなかったが、高価な道具もあったんでやもえずね。
現場に戻ると長靴はタモの中にあり、ロッドから伸びるラインは長靴の中に入っていた。
恐る恐る長靴の中も覗きこんだが中には例の手は潜んでいなかった。
やっぱり目の錯覚だったのか、寝ぼけていたのか・・・
師匠が、なんだこれ?指差す方をみるとタモ脇に濡れた掌の後が4跡、
防波堤際までついているのを発見した。やつは海に戻っていったのか?

長靴の中に伸びたラインを引っ張りルアー(エギ)を取り出そうとしたところ、
『ジャラジャラ』と、自分のエギに古びた錆び付いた十数個のエギやルアーが絡み付いて、一緒に出てきたのであった。
あの手はルアー集めをしていたのか?
まあ気持ち悪いよな(笑)長靴の中のルアーは全部海に捨てることにした。

釣りをしていると根掛かりでルアーをロストすることがあるが、もしかすると・・・
いや間違いなくあの手の仕業なだろうと酒盛りをしながら師匠が納得するのであった(汗)

【了】

53: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 19:57:02.77 JSbHM1NW0.net
15本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました


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備担◆.1AOTdzS5s さん、第16話をお願いします
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54:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:01:40.66 HxZdyY1N0.net
【第16話】 備担◆.1AOTdzS5s 様
『父の入院』
(1/2)
祖母が亡くなって四十九日も経たないうちに父が倒れた。
原因は祖母と同じ、脳卒中だった。相当悪かったらしく病院に行くなり即入院、その日のうちに手術という流れだった。
術後の説明で主治医は「ほんとうにどうなるかわかりません」と言った。医者っていうのは普通、むやみに希望を
持たせることは言わないもんなんだけど、この場合はつまり、駄目でも諦めろって予防線をはったわけ。

私は父も祖母も好きじゃなかった。祖母は、田舎の農家にありがちな長男溺愛タイプで、早くして夫、つまり私の祖父を
亡くしてからはその傾向に拍車をかけたらしい。その結果甘やかされた父は、酒を飲んでは癇癪を起こし、箪笥の財布
から金を抜いてはパチンコにいくようなダメ人間になっていた。
だけど、そんなダメ人間でも母にとっては夫で、だから母の動揺は大変なものだった。

麻酔が切れても、父は眠ったままだった。次の日も、次の日も、その次の日もずっと。
座薬を入れても熱が40度代から下がらず、体中浮腫んでパンパンで、親類は祖母が父を連れて行くんじゃないかなんて
噂してた、まぁ無理もないけど。母は連日病室に泊まり込んでいたけど、体力的にどうかと思ったのでさすがに
一週間も続いたころ強いて家に帰らせた。私が代わりに泊まるって条件で。

病室に簡易寝台もあったけど、ナースステーションの隣にあるベンチで寝ることにした。消灯時間になれば人はめったに
通らないとはいえ、廊下からまる見えの場所で落ち着かないし慣れない場所でもあるしで、夜半過ぎても寝付けず。
明りを付けることもできないから、目を閉じて時が過ぎるのをじりじり待っていたんだけど、そのうち寝落ちしたみたい。

55:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:03:25.63 HxZdyY1N0.net
(2/3)

ふっと目が覚めると、私のすぐ横の廊下を誰かが歩いて、エレベーターのあるホールから病室のほうに向かっていった。
トイレかなぁなんて思ってまた寝ようとしたときに、ふと気づいた。並び順として、ホール→ベンチ→ナースステーション
→トイレ→病室なわけで、ホールから病室のほうに向かって歩くのは、外から来た人しかいないわけ。
入院患者がエレベーター使ってどこかに行って戻ってきたってこともありうるけど、脳外科患者のいる病棟だから、
ほとんどは車いすか介添え付きで移動する。
あれ?と思って見ると、暗いからよくわからないけどナース服着てる感じじゃない。

その人はナースステーション近くの病室に入った。ちなみに父の病室もそのあたり。
やっぱり入院患者だったのかなぁなんて思いながら寝なおそうとして、でも目が冴えてしまったんで、トイレに行くついで
に父の様子を見に行くことにした。仮眠中なのか、ナースステーションに看護師の姿はない。深夜の病院の廊下は、
床も壁も天井もグレーの濃淡で、非常灯の緑色の明りだけが唯一といっていい色彩。人影もないし、まともに見ると
ちょっと怖い。なので、あまりきょろきょろせず病室をひょいと覗た。
4人部屋で、父は右側の奥のベッド。

起さないように静かに…と思ってたら、ぐぐぅというか、へんな声が聞こえた。
イビキかと思ったら、小さな咳っぽい音もする。
ん?と思った。私は喘息持ちなんだけど、その音、気管が炎症起こして息ができないし咳をする体力もない時に出る
咳っぽいのに似てたんだよね。そうっと病室に入って確認すると、音の出所は右側の奥のベッド、つまり父だった。
暗かったけど、酸素のマスクが少しずれているのが見えた。

56:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:04:23.17 HxZdyY1N0.net
(3/3)
後は、深夜のひと騒動。
ナースコールのボタンを押すと、看護師がふっとんできて、当直の医師もふっとんできた。医師は父の口をこじ開け、
咽喉の奥を見て、器材を口の中に突っ込み、何かを引っ張り出して、金属の皿の上に置いた。
どろどろの体液にまみれた、ぱっとみ軟骨のような、直径3,4cm程度の薄い円盤状のもの。
これが父の咽喉を塞いでいたらしい。

その軟骨っぽいのが何時父の咽喉に入り込んだのか。
手術したのは脳だから手術のときに紛れ込むわけはないし、食事をとれる状態でないから飲み込む機会があるわけでも
ない。
何より、それの正体が何だかわからず、医師も首を捻るばかり。

ともかく、処置は済み、父の呼吸は元通りになった。
それから三日程度して父は目覚め、半年後には完全に退院した。

私が見た人影と、父の咽喉に詰まった物との関連はわからない。
主治医はそれを調査に出すと言っていたけど、聞くタイミングを逃したし、彼は今は別の病院に移動したという。
【了】

57: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 20:06:34.74 JSbHM1NW0.net
16本目の蝋燭が消えました・・・
備担◆.1AOTdzS5s さん、ありがとうございました


                      γ
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ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、第17話をお願いします
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58:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:08:44.22 HxZdyY1N0.net
【第17話】 ヤプール ◆v0h8dExI/ytY 様
『気まぐれなカーナビ』

(1/2)

大学時代に友人のSから聞いた話。
お盆の少し前、彼の地元の友達が遊びに来たとき。

Sの友人の一人が、近くに最近テレビで紹介された心霊スポットがあるとの情報を入手し、
SとSの彼女、地元友人2人の4人でその心霊スポットへ肝試しに行くことにしたそうだ。

友人の一人がだいたいの住所まで調べてきたので、Sの車のカーナビに目的地を登録して出発した。

だがこのカーナビ、かなり旧式のもので、新しい道がまだ登録されてなかったり古い道がまだあったりと、
かなり使い勝手の悪いものだった。
それでも最終的につけばいい、という考えのSは使い続けていたが、目的地到着までかなり寄り道させられることも多かった。
さらには電波も入りずらいのか、ちょっと山奥に入るとそのままフリーズ状態になることも多かった。

そしてその日も、山に入るとすぐにフリーズしてしまった。
一応地図も持ってきたものの、初めて行く場所だし道も複雑だしでかなり迷ったそうだ。

30分ほどさまよったとき、ふいにカーナビが
「目的地周辺です、音声案内を終了s目的地周辺です、音声案内を終了s…」
と、壊れたようにしゃべりだした。さっきまではフリーズしたままだったのに。
ほかの3人は驚いていたが、Sは、「まぁもう寿命だから、こんなこともあるか」程度にしか考えなかったそうだ。

車を止め、周囲を見回すと、前方に廃墟らしき影が見えた。
おそらくここが目的地だろうと思い、4人は中を探索することにした。
Sの彼女と友人の一人はそれぞれカメラを持ち、何かうつりそうな場所を見つけては写真を撮っていた。

そして、ある程度進んだところで、カメラのチェックをしていたSの彼女が
「あ、これやばいかも…。」とつぶやいた。

59:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:10:04.04 HxZdyY1N0.net
(2/2)

なにがやばいんだよ、とSたちが近づこうとすると、彼女は出口に向かって一目散に逃げて行ってしまった。
何やらやばい空気を察した彼らは彼女を追いかけ、そのまま車に乗り込みその場を後にしたそうだ。

「…で、この場所に一緒に行ってほしいと?」

Sの彼女は逃げる時にカメラを落としてしまい、それを一緒に見つけてほしいとSから依頼が来た。
Sの彼女はもうあそこに行きたくないそうだし、地元の友人たちは帰ってしまい一人で行くのも気が引けるらしい。

「これがそのカメラなんだけど…。」
Sがその廃墟で撮られた写真の一枚を見せてきた。
ぶっちゃけ、ガッツリよからぬものが写っていてカメラどころではなかったが、Sは触れなかったので私もそっとしておくことにした。

翌日、今度はちゃんと道順を調べてきたSとともに例の廃墟へ向かった。
一応カーナビにもダメもとで目的地設定したが、今回はあっけなく到着した。

しかし、到着したSは第一声「…違う。」と言い放った。
「俺が来たのは、この廃墟じゃない…。」

暗くて見間違えたんじゃないの?という私にSは一枚の写真を手渡す。
「あの夜とった廃墟の全体像だ。全然違うだろ…。」

目の前にある廃墟は二階建ての木造のこじゃれた家。
しかし、写真に写っているのは、暗くてはっりは見えないがどうもコンクリート造りのようだ。
少なくとも、今目の前にある家とはまるで別物。
辺りを見渡すが、ほかに建物らしいものは見当たらない。

結局その場所はわからずじまい。カメラも当然見つからず、写っていたものがなんだったのかも結局不明。

あの気まぐれなカーナビは、あの夜彼らをどこに連れて行ったんだろう…。
【了】

60:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:11:10.52 af0oyBtJ0.net
17本目の蝋燭が消えました・・・
ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、ありがとうございました
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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第18話をお願いします
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61:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:13:21.06 HxZdyY1N0.net
【第18話】釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様

『虫の知らせ』


俺がガキの頃の話なんだけど、当時、母方の婆ちゃんが入退院をくりかえしていた。婆ちゃんはあまりよくない病状だった
らしい。お袋は4人兄弟の末っ子で婆ちゃんからはかなり可愛がられたとのこと。あっお袋の母ってことな。
ある日寝室で寝ていたお袋は明け方近くに金縛りにあった。そして閉めてあった寝室のドアがすーってゆっくり開いた
らしい。
でも人の気配はなかったんだって。数秒後、電話が鳴った。その電話で金縛りはとけ急いで電話を出たところ電話は母の
実家からで婆ちゃんが亡くなったって連絡だったんだって。
婆ちゃんが自分の娘のところに亡くなる寸前に会いにきたんだろうな。

【了】

62:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:14:21.93 af0oyBtJ0.net
18本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました
                      γ
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かーん ◆UiIW3kGSB さん、第19話をお願いします
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63:かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/
14/08/23 20:16:05.83 MZyfIGDL0.net
【第十九話】 
『ずっと前からそこにいた』
(1/2)

私が夏休みを利用して父の実家近くの教習所に通っていた時の話。
進路の決まった高校生や夏休みの学生が合宿を利用して通ってくる、いわゆる繁忙期の前に入校した私は
ほぼ毎日学校に通いあっという間に路上での実習が始まっていた。
当然車に慣れたともいえないまま他の運転手に混じり道路を走る五十分間は
その頃の私にとって常に緊張と恐怖との戦いでした。
そして初めてのトンネルの走行時に私は有得ないものを見てしまったのです。


64:> 「昔はこの辺りも事故が多かったんやけど、工事してからはもうすっかり」 道路開通に合わせて数年前に対面から二車線に変えたこのトンネルは時間帯もあって車が通っている気配もない。 そうは言っても山を切り開いて作ったトンネルの入り口出口は中々の急カーブ。 一人緊張感をつのらせる私に気付かず指導員は話し続ける。 助手席の指導員が話す他の2種の教習者のライトの説明に耳を傾けながらハンドルを握る私が見たものは こちらに近づいてくる対向車のライトでした。 「えっ」 「ん?」 「いや、前…あっと…いえ、何でも…」 思わず声を出した私にのんびりした声でどうしたと返されてしまったのでつい横を見てしまう。 がちがちにハンドルを握っていた為に車が揺れ自分が車を運転していることを思い出す。 車体をまっすぐにする為に前を見た時にはライトもなければ前を走行する車もありませんでした。 パニックになる気持ちを静めて何でもないと返すだけで精いっぱいでした。 不意に蛇行運転なんかした私に指導員は笑いながら早く慣れなよと言われ 復讐項目にハンドル操作とバッチリ書かれてその日は何もなく終わりました。 きっと不必要なほどに緊張していた私の頭が勝手に作り出したものとその時はスルーしていたのですが



65:かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/
14/08/23 20:18:12.45 MZyfIGDL0.net
(2/2)

そんな出来事からしばらくたったある日。
路上での運転にもそれなりに慣れた頃の学校の帰りに興味深い話を聞いたのです。
単発の送迎バスに一人乗り帰途に着く道すがら運転手さんと話していた時の事。
「お。そうそうこの前ね。とうとう見たよ」
「何ですか?サルですか?」
「サルはここらへんどこにでもおるよ。そうでなくて、前は影も形もなかったけどね
 …このトンネル出るようになったらしいんだわ」
「出るって幽霊ですか?マジで?」
「まあ幽霊言うてもライトだけや。トンネル入ってしばらく走ると向こうからライトが近づいてくるっていう」
「それってこのトンネルなんですか?」
その話は場所は違えど私が先日体験した話に酷く似ていました。
聞くとその車は赤だったり白だったりスポーツカーであったりワゴンであったりと様々なようですが
決まってライトが近づいてくると思った瞬間消えてしまうのだそうです。
「ここ最近は大きな事故もなかったのに何でそんな噂が出るかねと仲間と話しとったんやけどね」

その時何故だか私は話に乗る気になれなくて、不思議ですねと簡単に返し違う話をしてしてしまいました。
きっと姿を確認できるようになったのがつい最近というだけなのだろうと思ったのです。
彼らはきっとずっと前からそこにいて、でも気付かれなかっただけなのだと。
対向車のなくなったトンネルではきっとよく見える。
そして…当然私たちが使っているこの車線にもきっと、運転する私たちに紛れるように…
彼らはずっと前からここにだっているのかもしれません。

【了】

66:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:19:36.47 af0oyBtJ0.net
19本目の蝋燭が消えました・・・
かーん ◆UiIW3kGSB さん、ありがとうございました
                      γ
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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第20話をお願いします
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67:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:22:41.03 HxZdyY1N0.net
【第20話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU 様
『幽体飛行』

(1/2)

一昨年まで祖母の介護を独りでしていた。ある日、彼女の体調が急変、緊急入院となった。
最初は治療も順調だった。3月中旬、いつも通り見舞いに行ったが、瞳が今までにない程澄んでいて、
僕の顔を無言で見つめた。

  ●深く深く 澄みて清らな大き眼に 菩薩宿れりぢっと見つめる

もう、半月も持たないという直感が働き、覚悟して一旦帰宅した。

数日後、病院から「もう危ない」と電話があり、大急ぎで向かった。まだ意識のあった祖母の第一声は
「私は死ぬる事になっとる。苦労かけて…。」幼少期に両親と死別した僕は、初めて祖母の前で泣いた。
約10日間、病院に寝泊まり、最期は添い寝して看取った。

  ●吾が手首程の太腿さすりつつ 幾度握り計りしてみる

「嬉しい」と「ありがとう」が最後の言葉。
うっすら目を開け、僕の顔を見て静かに息を引き取った。

  ●限られし命に主治医 優しかり事のみ せめて嬉しかりける

68:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/23 20:24:21.37 HxZdyY1N0.net
(2/2)



月日が流れ穏やかになるかと思いきや、幽体離脱が頻繁に始まった。まず身体から魂が抜け浮遊する。
壁や窓、扉まですり抜け空中を飛び交い墓地へと向かう。そして我が魂を入れ込もうと試みるが、
祖母が光りに囲まれて跳ね返し、現世に戻ってしまう。
ある時は、家の仏壇から我が魂を送り込もうとするが、結果は同じ。
これらの現象が2年に渡り続いている。しかし、その間は安堵感で満たされている。

ある日、友人が来て言った。「もう一人いる。おばあさんやね。」
別の日、別の友人が言った。「俺らの話し、おばあちゃんに聞かれてる…。ここにいるよ。」
近所の人たちが口々に言う。「おばあちゃんに護られてるね、幸せになるよ。」

これらの現象は、全て事実で現在進行形である。ほら、今日も……。

【了】

69:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:32:26.42 af0oyBtJ0.net
20本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました
                      γ
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二十の怪異が語られました
皆様緊張でお疲れではございませんか?
ここから少々の休息とまいりましょう
うっかり暗闇に近付いてそのまま囚われたりなさらぬよう、重々お気を付けて…

それではまたしばし後に

70:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:38:16.15 af0oyBtJ0.net
皆様ご無事でいらっしゃいますか?
それは良うございました
百が終わるまで、どうぞ皆様揃ってお付き合い下さいませ



それでは百物語2014 続きとまいりましょう

かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM さん、第21話をお願いします
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71:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/
14/08/23 20:40:10.07 zA3/GSW60.net
【第21話】かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM
『ガリ、ガリ…』

(1/5)

臨死体験をご存知でしょう。
死に面した人間が、息を吹き返す。
そして死と戦っていた間、その意識の端に焼き付けた景色。
ぽつり…ぽつりと、物語る…。

ある科学者が、臨死体験者に統計をとった。
それによると、臨死体験として語られる映像に、その人の意識が深く関わっている、というのはほんとらしい。
生まれた国と染まった文化、信じた宗教によって、語られる景色にはクラスタがある。
日本だと三途の川。キリストの国では、長い白い階段…。

所詮、朦朧とした意識の中で見た、深層心理の夢のようなものにすぎないと、ときに乱暴に片付けられる、ひそかな伝説。

それが、臨死体験。
果てのないトンネルの闇、いつかは己が吞み込まれて行く、その闇の、向こう側を、恐れ、ときに憧れて…。

では、そのあべこべは?
言うなれば、「臨生体験」。

死者が噂し合う、生者の世界の記憶…。
もっとも、古くから盆には死者が”黄泉帰り”、生者の世界に里帰りすると言いますから、死者達にとって故郷は死の世界であって、生者の世界は思いつきの旅行でしかないのかもしれません。
それでも僕らがそうであるように、旅から戻ったあとに、それぞれの旅した場所を肴に退屈をしのいでいるかもしれませんよ。
闇の帳から、死者たちの囁き声が聞こえてはこないでしょうか。

ガリガリ…ガリガリ…。

72:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/
14/08/23 20:40:47.37 zA3/GSW60.net
(2/5)

東大阪の画材屋に、絵の具を買いに行った帰りでした。
一見、ありふれた道でした。現場の変形は僅かなもので、そこにある違和感といえば、色彩だけでした。まるでチューブからひねり出したかのように血の飛び散ったガードレール。
今でも忘れられません。
兄はまだ二十歳でした。

兄には、恋人がいました。

2人について知っていたことは、そう多くはありません。
一度だけ、家の玄関にいたそのヒトを、ちらと見かけたくらいでしょうか。
兄の通夜の席で、喪服に身を包んだそのヒトと、二時間ほど話をしました。
2人の出会い。
つき合いだして二年だったこと。
彼女が引き継ぐ家業のこと。
兄が語った夢のこと。

お腹に宿した命のこと。

兄はいつも街へ出ていた。
兄のいない、キャンバスと、iMacと、粘土と、いろいろの作品のあるだけの空っぽの部屋は、だから普通の部屋のはずだったけれど。
僕にはそうは思えませんでした。

―部屋が寂しく思えたんじゃない。
感じるんだ。
布団に腰を埋めていると、背中に兄の息づかいを……。
もしかしたら生きていたときより、ずっと生々しい……―

葬儀も終わって大分落ち着いてきたとき、あのヒトにその話をしました。
彼女は何も言わなかったけれど、話を聞くその瞳は誠実でした。

73:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/
14/08/23 20:41:25.97 zA3/GSW60.net
(3/5)

彼女が母の家事を手伝っている間に、僕は兄の部屋に上がると、あの絵の描かれた画用紙を外しました。

晩ご飯を一緒にしながら、彼女に絵の話をしました。
絵のおおよそは出来上がっていたようでした。
だから僕にも、描かれているのが京都のある有名な寺の景色らしいことは分かっていました。
僕にとっての謎は、絵の具についてでした。
絵の中の、濃密な緑の世界に、バーミリオンを施すような余地は、どこにもないように思われました。
そして兄は絵を始めた子供の頃から、一度に二つの作品に取りかかることは決してしませんでした。

玄関でその絵を見せると、彼女は欲しいと言ってくれました。
僕は油絵の具のそこら一面に散らばったパレットと、まだそこに加わっていないあの赤い絵の具を渡しました。あのヒトもまた、絵描きでしたから。

ある晩、僕は彼女と2人で話をしました。
ずっと兄を憎んでいたことを。
母との喧嘩を治めるために包丁を持ちだしたことがあることを。
勉強をまともにやらず、母を泣かせてばかりいた兄を見下していたことを。
ある日を境に、口をきかなくなったことを。

僕が中学に上がった辺りの頃から、隣の兄の部屋からはガリガリと、何かを削る音がしていたことも、話しました。
彼女は、その音は多分油絵の具を削っている音だと言ったけれど、僕はそれの正体を、結局知らずじまいだった。
その頃から、僕も母も、兄の部屋をノックすることはなくなっていたから。
僕はただ、蛍光灯の下で、静かに兄を呪っていました。
食事も別々にとるようになっていたから、兄に対する憎しみとは、もはやその音に対する憎しみでした。不思議なことに僕はその音を、兄が家を開けることが多くなってからも、空のはずの部屋の向こうから、時折聞いたのでした。

二週間後、彼女は入院しました。
そしてひと月も経たないうちに、死産しました。
赤ん坊の、世界への扉は少しだけ開かれて、むなしくも閉ざされたのです。
死んだ赤子は、僕らの世界に何を見て、何を持ち帰ったのでしょう。

74:かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/
14/08/23 20:42:27.33 zA3/GSW60.net
(4/5)
少しして、僕と母は彼女の実家に招かれました。
襖で仕切られただけの畳の空間が、古い農家における、彼女のプライバシーでした。
あの絵が額縁に嵌って、部屋の仕切りのところから僕らを見下ろしていました。
彼女は椅子を持ってくると、その上に立ちました。シャツから背中が見えるくらいに背伸びをしたあのヒト。
代わりにやりますとは言えずに、僕はただ見ていました。
彼女は絵を下ろし、部屋の障子を少しだけ開けると、光の差した壁に立てかけました。
絵は生まれ変わっていました。

対比の技法。
色のグラデーションを描くと、ぐるりと輪になる。
この環を色相環<しきそうかん>といいます。
色相環の、それぞれ反対側に位置する色同士を補色といって、お互いを引き立て合う。
そして、緑の補色は、赤。

彼女はあの赤い絵の具で、新緑の寺の風景のところどころをなぞったのでした。
それだけで、葉っぱの一枚一枚が魔法がかけられたかのように命を宿したのです。
描かれた景色の瑞々しい空気が、こちら側に流れ込んでくるかのようでした。

僕らは洋服を着たまま和室に八の字に正座したまま、しばらくの間、このすこしちぐはぐなこの時を過ごしました。
僕は気付かれないよう、横に視線を流しました。
通夜の席での、あどけない顔に似合わない喪服に身を包んだ彼女の、しかし黒の中で不思議と鮮やかに見えた彼女の、あの表情を思い浮かべていました。
彼女の横顔は薄暗くてよく見えなくて、線香の匂いと古い家の匂いに混じって、今風の香水の匂いがほんのわずかに漂っているだけでした。

彼女が学生としてこうして絵を描いていられるのも、もう長くはないのだと、ふと僕は思いました。
その日は九月でしたが、あの人の人生もまた、夏を終えようとしていました。
部屋照らす日の光が、赤みを帯びてきました。遠くで虫が鳴いています。
実りの秋が近づいていました。

75:かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/
14/08/23 20:44:39.58 zA3/GSW60.net
(5/5)
この家と田んぼを1人で継いで子を育てていく、彼女の将来のことを思いました。
暗闇の中に沈んだ彼女の横顔を、じっと眺めました。
彼女の白い横顔と、赤い唇を、じっと見つめました。
汗がぽたぽたと畳に垂れる音を、彼女は聞こえていたでしょうか。
ジーンズの上から太ももをつねって、獣の衝動と闘っていました。
背中から、彼女の名前を呼ぶ声がしました。
雨はいつの間にか止んでいました。
庭の木々や土のそれに混じって、飯の匂いがしてきました。
釜で炊いたであろうその匂いは、都会育ちの僕には、不思議と現実離れした、嗅ぎ慣れぬものに思えました。
彼女に続いて縁側へと歩きながら、振り返りたいという欲求を僕を押しとどめました。
あの絵はまるで、死と生を繋ぐ窓のようにも思えました。
けれど。どちらが生の世界で、どちらが死の世界なのでしょうか。
しわがれた声が僕らを呼んでいます。
僕は彼女の少し後ろを続きながら、彼女をろくに見ることができずに、庭のほうを眺めながら、兄の部屋から、生々しい”匂い”が消えたんです、と言いました。
死を見失うということは、生を見失うのと同じことなのかもしれません。
あの絵の緑が、赤い絵の具で息を吹き返したように。
明日の朝、この田舎の山道を駅まで歩いて行くことを、僕は思いました。待ち遠しいと思いました。
人生で一番清々しい朝になると、予感していました。
彼女と、兄の遺骨に手を合わせました。
いつものように呪いの言葉を吐き終わった後、少しだけ、兄に感謝をしました。
―ありがとう。僕は変われたよ。
きっと誰かが。
誰かが僕の緑のキャンバスから、赤い絵の具を削っていたのです。
ガリガリ、ガリガリ、と。その音がいつしか消えて。
チューブから、赤い絵の具がひねり出された。呪いは終わりました。
僕は、生まれていたことを知ったのでした。

あれから一年が経ちます。
あの日を迎えたら、僕は必ず、しかしこっそりと、こうつぶやくのです。
ハッピーバースデー。

76:かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/
14/08/23 20:45:49.46 zA3/GSW60.net
                         【了】

77:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:47:10.04 af0oyBtJ0.net
21本目の蝋燭が消えました・・・
かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM さん、ありがとうございました


                      γ
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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第22話をお願いします
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78:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 20:49:08.27 2yX9zsEM0.net
【第22話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU
『神か死神か…』

(1/2)

一昨年、祖母を看取ってから、周囲の高齢者の人々が旅立っている。
祖母が他界したのは春の彼岸の中日。四十九日・初盆を終え、秋の彼岸になった。
近所の友人のお父さんの体調が悪化し、救急搬送された。お母さんは早くに海で転落死しており、
病気で入院中の兄しか家族がいない。そこで、私が付き添う事となり、救急車の後を車で追った。

病院に着くと、即座に様々な検査が始まった。
友人のお父さんは、夏前に一度体調を崩し治療を受けており、その時も私が付き添い喜んで頂いた経緯がある。
自宅療養中、私が背中をさすった時に不思議な言葉を発していた。
「○○さん(私の名)の手には不思議な力がある。まるで神の手だ。」という内容だった。
私は笑いながら「この手で元気を送ってるからね。」と、冗談めかしに返答した。

更にこの救急搬送される数日前には、「貴方と話しをすると、頭の中の霧が晴れたみたいだ。もうワシは長くない。
感謝してるよ。」と言われた。悟っていると感じた私は無言で頷くだけだった。

この様な事が頭の中を駆け巡っている間に、検査が終わり主治医との面談が始まった。
今夜は付き添って泊まり込みして欲しいという内容だった。私は快諾し、書類にサインをした。
お父さんは意識はあるが、酸素マスクをして、もはや話す事ができない。しかし、しっかり目を開け私の顔をジッと見た。
澄み切ったとても美しい瞳だ。そして彼はベッドに横たわりながらも、三度お辞儀をし目を閉じた。

一夜を越え夜明け前、友人のお父さんは旅立った。そして、他人の私が葬儀の手配をするという異例の事態となった。
離れた土地から帰郷した親族に感謝されつつ、無事に葬儀を終えた。

79:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 20:50:59.82 2yX9zsEM0.net
(2/2)


月日は流れ12月上旬、私は歯医者の帰りに、見知らぬお婆さんが道路で倒れるのを目の当たりにした。
慌てて駆け寄って声をかけたが、全く反応がない。通りすがりの男性に声をかけ手伝ってもらい、すぐ119番通報した。
幸い近くに医者があり、AEDを持ってきてもらったが、ショックの必要なしとのガイダンス。
心臓ではなく脳だと直感したが、救急車が到着するまで20分以上かかり、お婆さんは意識を取り戻す事なく他界した。
親族は御礼をしてくださったが、複雑な気分だった。

年が明け4月。親戚の叔母の訃報の連絡が入った。3月に会った時にはとても元気だったので、耳を疑った。
叔父は既に他界しており、子は息子一人だけ。また葬儀だ。関わった人たちが次々に亡くなり、精神的に参ってしまった。
「俺は死神かもしれん……」と思うようになった。
葬儀が終わり自宅へ帰ってベッドに横たわった。ウトウトしかけると金縛りに合い、また離脱した。
先祖の眠る墓へ飛んで行こうとするが、大きな力が邪魔をして家から出られない。いつもは簡単にすり抜けるのに…。
「また、ばあちゃんか…」と思ったが違っていた。亡くなった身内が総出である。こんなの初めてだ。
母が一歩近づいて言った、「安心しなさい。後は私に任せなさい。」……そして元に戻って眠った。

近所の高齢者の人たちは言う。「○○君(私の名)は、人を見送る運命なのよ。それが貴方の役割。」
友人のお父さんが言った"私の神の手"でも、命を救えなかった。神か死神か…、答えは未だ見つかっていない。
もしかしたら、答えは私があの世に行ってから、遺った人が出すんじゃないかと最近ふと思う。

【了】

80:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:53:22.34 af0oyBtJ0.net
22本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました
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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第23話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

81:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 20:56:16.36 2yX9zsEM0.net
【第23話】  白孔雀 ◆EiiyoouYFo 様
『指先』

私が高校生の時の話です。

夏だというのに毎日勉強で忙しい日々でした。
時々父が「映画を見に行こう」と誘ってきてもタイミングが合わないくらい。
そのせいか私と父が顔を合わせることなんて休日以外なかったような気がします。

その日はどういう訳か、昼から父が家にいたのです。遠方の祖母もなぜか一緒でした。
学校帰りの私は二人に誘われるままに父の車に乗り込んだのです。
私はどこかへ食事にでも出かけるのだろうと思っていました。

車に乗ると父と助手席の祖母が談笑しています。
目的地までには思ったより距離があるようでした。車でゆられているうちに私は瞼が重くなってしまいました。
そして眠りに落ちる寸前、すーと何かが私の頬をかすめたのです…。

目が覚めて車から降りてみるとそこは山奥の墓地でした。
今日の外出は曾祖母の墓参りが目的だったのです。
そして私はその葬式に、学業が忙しいという理由で出席していなかったことを思い出しました。

私の頬を撫でたのは死者の指先だったのでしょうか。

【完】

82:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 20:58:12.70 af0oyBtJ0.net
23本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、ありがとうございました
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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第24話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
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83:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 21:01:26.53 2yX9zsEM0.net
【第24話】釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『人面魚』

35年前くらいに、ワイドショーなんかで人面魚が話題になってたよね。
結構各地の池で人面魚が発見されてて、俺の地元の庭園の池でも人面魚を発見されたのよ。

たぶん20年前くらいかな、飲んだ勢いだったんだけど、その地元の池の人面魚釣っちまおうって話になって、
3人でその発見された庭園に忍び込んだのよ。
すんなり忍び込んで、マルキューの練り餌さ練って釣り始めたんだけど、全然釣れないのね。
釣れないもんだから、しまいにはタモですくいあげて、20ひきくらいかな、
すくいあげちゃって確認したんだけど、全然人面模様ないのよ。

とりあえずその庭園には池が3箇所あったんで、次の池に行こうとさっきの20ひきの鯉を元の池に戻したんだけど、
戻した瞬間池の水面が逃がした鯉が暴れて波だったのね。
その瞬間、うなり声のようなのが聞こえたと思ったらその波立った水面に、ハッキリと大きな顔が浮かび上がったのよ。
それを3人共にはっきり見ちまって。怒った武士っぽい顔立ちだったのを今でも思い出す。ありゃなんだったんだろうな?

そういやあん時、竿持って慌てて逃げ帰ったんだけど、タモと練り餌さは忘れてきちゃってさ。
庭園の入口に忘れ物って貼り紙貼ってタモがあったのを後日見た時は笑っちまった。
あっさすがに練り餌さは忘れ物コーナーに置いてなかったわ(笑)

【了】

84:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 21:04:25.31 af0oyBtJ0.net
24本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました
                      γ
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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第25話をお願いします
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85:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 21:07:37.15 2yX9zsEM0.net
【第25話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『あついよー!』

知り合いの話。

彼女が以前住んでいた町には、小さな公園があった。
家の近所にあるその公園は、夕暮れになると焦げくさい臭いがしていたという。
と言っても、臭いを感じていたのは、家族の中でも彼女だけだったらしいが。

ある夜、遅い時間にそこを通りかかると、これまでにないほど強い焦げ臭がした。
吃驚して公園内を見ると、真っ黒焦げの人型が、よろよろとこちらに向かってくる。
所々に赤い燦めきが見えるのは残り火であろうか。
あまりのことに、彼女は立ち竦んでしまった。

「あついよー!」

人型はいきなりそう叫ぶと、彼女に向かって走り出した。

必死で逃げ出したそうだ。
家に辿り着き、わんわんと泣く彼女に驚いた家族は、公園へ確認しに行ってみた。
何も怪しいモノの姿はなく、焦げた臭いも感じられなかったという。

その後すぐに別の町に引っ越したので、その公園が今どうなっているのかは、
家族の誰も知らないのだそうだ。

【了】

86: ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/
14/08/23 21:10:41.35 JSbHM1NW0.net
25本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました


                      γ
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ヨサック ◆skAMDOCpdQ さん、第26話をお願いします
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87:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 21:13:31.19 2yX9zsEM0.net
【第26話】 ヨサック ◆skAMDOCpdQ 様
『お気に入りのワンピース』

(1/2)

知人の祖母・Nさんが若い頃体験した話だ。

Nさんにはお気に入りの服があった。生成り地に小花が少し刺繍された、可愛らしいデザインのワンピース。
Nさんはその日も、お気に入りのワンピースを着て買い物に出かけた。
そして帰宅後はすぐに着替え、ワンピースをハンガーに通して鴨居にかける。湿気を飛ばしてからしまう為だ。
そうしている内に、外出の疲れからか、ついうたた寝をしてしまったのだそうだ。

しばらくして目が覚めたNさんは、ぼんやりとあたりを見回した。
すると、鴨居にかけたワンピースが、風もないのに揺れているではないか。
不思議に思い目をこらすと、裾から見え隠れする物がある。
生成りのワンピースより、もっと白い何か。
それは音もなく降りて来た。

人の爪先であった。

凍りつくNさんをよそに、白い脚はゆっくりと降りて来て、その姿を現して行く。
爪先から甲、くるぶし、ふくらはぎ…
だがいつまでたっても膝は見えず、それが更に不気味だった。
とうとう、力なく垂れた足先が床まで届いた。
その途端、脚全体がぐにゃりと曲がった。まるで飴細工の様だったという。
脚はなおも伸び続け、白く長く、畳に二筋のとぐろを巻いている。


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