百物語 2014  本スレat OCCULT
百物語 2014  本スレ - 暇つぶし2ch123:@   ̄          `ー--─'" コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、第38話をお願いします  ----------------------------------------------------- 語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ 雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。



124:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 22:40:00.94 2yX9zsEM0.net
第38話  コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『自殺者の末路』

(1/3)

自殺した者の魂は浮かばれない、という話を良く聞く。
賽の河原で延々と石を積むとか、成仏できないまま現世をさまよい続けるだとか、色々な話がある。
毎夏、怪談が好きな人間を集めて怪談会を開いているが、今年は何の流れだかそういう話になった。
「自殺はやっぱ駄目だね」と場が収まりかけたとき、その中の一人が神妙な面持ちで話し始めた。
「自殺者の末路ってさ、ちょっと違うと思うんだけど……」と前置きをして。

この話をしてくれたSという男の知り合いに梶という男がいた。
梶は弱いくせにギャンブルが好きで好きで仕方なく、いつもどこかに借金をしていた。
そのくせ、プライドは一人前以上に持ち合わせており、『いつか俺はビッグになる』と信じているような奴だった。
当時、梶は都内の割と広いマンションに住んでいたと言う。
しかし、そんな男だから、家賃や光熱費などは滞納し放題。ついには管理会社から立ち退きを命じられてしまったらしい。
梶は新しい部屋を探すとき、彼が不動産会社に出した提案は『とにかく安く、とにかく洒落ていて、都内のマンション』だったそうだ。
不動産会社は最初の内はくつか安い物件を紹介していたが、梶の無茶な要求に対して、
「決してお勧めではないんですが、もうこれくらいしか……」と、一つの物件を紹介した。

都内の一等地、広さは前に梶が住んでいたマンションよりも広く、家賃はなんと10,000円だと言う。
ただし、確実に「出る」と紹介された。

梶は即座にこの物件に決めた。
再三バツが悪そうに止める不動産会社を振り切って、部屋の中を見ることもなく、その場で契約を結ぼうとしたそうだ。
しかし、不動産会社は契約するためにある条件を出した。
『その部屋に梶が一週間泊まり、その間毎日、不動産会社へ連絡を入れること』
梶は二つ返事で頷いた。

125:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 22:41:02.50 2yX9zsEM0.net
(2/3)

一日目、梶は一週間の宿泊に必要な物を持ってそのマンションを訪れた。
玄関を入るとダイニングキッチンがあり、曇りガラスがはめ込まれた仕切戸の向こうには広々としたリビング広がっていた。
梶は荷物を置くやいなや早速パチンコへ出かけ、帰ってきたのは深夜0時に近い時間だった。
缶ビールを何本か空け、不動産会社が用意してくれた布団に身体を預けた。

どれくらい眠ってしまったのかは分からない。『ドスンッ!』と言う大きな音で目が覚めた。
音の出所に視線を向け、梶は思わず息を呑んだ。
リビングとダイニングキッチンを隔てる曇りガラスの仕切戸に影が映っていた。
最初は何か分からなかった梶も、しばらく見ているとようやくその正体が分かった。

―首吊りだ。
それは地面から数十センチほど浮きあがり、頭を垂れている人間の影だった。
首を支点にして左右にゆらゆらと揺れ動き、その度に『ズリ…ズリ…ズズッ……』という縄がこすれる音が辺りに響く。
梶はまんじりともせず、その影を睨み付けていた。
徐々に影の振れ幅は小さくなり、こすれる音が止むと同時に影は消えた。

二日目、梶は昨夜に体験したことを不動産会社で夢中になって話した。
不動産会社からは『やめておきませんか?』と何度も薦められ、他の物件も紹介されたが、
『特に何をされるわけでもないから』と梶は首を横に振り、その部屋に泊まり続けることを決めた。

その夜も次の夜も、梶の眠りは首吊りの音で妨げられた。
しかし、四日目ともなるとさすがに少しは慣れ、梶はその音が決まって深夜2時に鳴ることに気がついた。
―じゃあ、その時間、部屋にいなければいいじゃないか。
五日目、そう思い立ち、0時近くに部屋を出て安い居酒屋で酒を煽っていた。
頃合を見て部屋へ戻り、何事もなく朝まで過ごすことが出来た。
―こりゃあいい
梶はそれから毎日、飲み歩くようになった。

約束の一週間が過ぎ、梶はなおも渋る不動産会社から部屋を契約した。

126:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/23 22:42:22.41 2yX9zsEM0.net
(3/3)

「でね、ここからは俺の想像なんだけど……」
そう前置きをして、酒を舐め、Sは話を続けた。

「梶はもともと金が無い奴だし、さすがに毎日飲み歩くわけにも行かなくなったんじゃないかな。
 しばらくは知り合いの家に泊まったりしたのかもしれない。
 でも、それも出来なくなって、仕方なくあの部屋に戻ったんだと思う。
 それで、多分また見たんだよ、首吊りの影」
 
「俺さ、自殺者の末路ってさ、賽の河原で石積みでも浮遊霊になって彷徨うんでも無いと思う。
 きっと繰り返すんだよ、自殺を。死んだ瞬間からずっと。
 だから『死ねば楽になる』なんて絶対嘘だと思う。死ぬ思いってのが延々と続くんだし。
 死に続けて、死に続けて、もう何がなんだか分からないようになって……
 代わりを見つけて、引きずり込むんだろうなぁ」

Sはそう言って話を終えた。
梶の訃報が届いたのは、Sが都内の不動産会社を辞め、地方で再就職をしてから四日後のことだったそうだ。

【了】

127:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 22:44:49.19 af0oyBtJ0.net
38本目の蝋燭が消えました・・・
コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、ありがとうございました

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仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、第39話をお願いします
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128:卍3286卍ss@\(^o^)/
14/08/23 22:44:55.39 NF0S3q2R0.net
「2時20分」

あの出来事は 高校受験が終わり やっと肩の荷がおりた 中学3年生の時の出来事です...

何時ものように午前0時を回った頃 当時買ったばかりのステレオで音楽を聴きながら寝るのが日課になっていました。
自分の部屋は自宅二階の北側にあり 脇の倉庫によじ登り屋根伝いに窓から出入り出来る状態で 悪友達が急に
夜中に窓から遊びに来ることもしばしばで それが普通になってました。

ある夜 仰向けで寝ているところを逆さまに頭から覗かれた感じがして 目が覚めました...
オレは夜中よく遊びに来ていた友人が来たのだと思い 起き上がりながら「Sなのか?」と声をかけましたが そこに友人の姿は無く
「何だ...ユメか...」って感じでまた直ぐ寝ました。

翌日学校でS君に「昨日の夜 ウチに遊びに来なかった?」と聞いたところ。。
「オレ昨日は行って無いよ 誰か違う奴じゃないの?」とS君に言われ そうなのかナって感じで深く考えませんでした。。

その夜 何時もの様に音楽を聴きながら眠りにつくと 夜中に目が覚め 寝ながらステレオのデジタル時計を見ると「2時20分」
それと同時に ゾーッともの凄い殺気に襲われ 足元を見ると暗闇に誰かが立っている...
誰だっ!っと思ってもカラダは動かず声も出ない... だんだんボンヤリと青緑色の姿が近づいてくる...
「これはいったい何なんだ?」と心の中で叫ぶが 声にならない...
動けない状態のオレに そいつは徐々に足元から覆い被さってくる...
「ヤバイ...人間じゃ無い...」幼い頃から不思議な体験が多かったせいか 直ぐに判った。。

「どーすりゃいいんだ? 」恐怖で半分パニックになりながら考えるがどーにもならない...

129:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 22:51:40.58 af0oyBtJ0.net
>>122
おやお客様  いえ、迷い人でしょうか?
狐狸妖怪に惑わされたのか、入り口とお席が違うようでございます

どうぞこちらの入り口URLリンク(jbbs.shitaraba.net)
からお入りになって下さいませ

130:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 22:54:05.04 xjoFQ2ov0.net
【第三十九話】
『幽霊実験』

(1/2)

A子さんはある晩、テレビで心霊番組を観ていたそうだ。
その時やっていたのが、自分の部屋に幽霊がいるかどうか調べる方法というものだった。
やり方は、
1、自分の部屋の玄関をイメージする
2、そのまま部屋に入り、窓を開けていく
というもので、その間に誰かがいればそれが部屋にいる幽霊だ、とのこと。
お手軽だしちょっと面白そうだと感じたA子さんは、自分でも試してみることにした。
一人暮らしの自分の1ルームマンションの玄関をイメージする。
ドアを開けると右手にキッチン、左手にトイレとバス。誰もいない。
さらにドアを開き、狭い自分の部屋を見渡す。

誰か居る。

部屋の右奥、ソファーの真横。天井まで頭が付きそうな程背の高い、全身真っ黒な男が俯いて立っていた。
「きゃっ!」
驚いて目を開け、その場所を振り向く。もちろんそんな男はいない。
多少気味は悪かったが、心霊番組を観ていたせいで変なイメージが残っていただけだろうとA子さんは納得することにした。

その日の深夜。
A子さんは寝苦しさで目が覚めた。
どうも視線を感じて眠れない。頭の中に先ほどの黒い男のイメージが浮かび離れない。
怖いテレビ見たから。気のせい、気のせい。
そうやって何度も自分に言い聞かせ、その日はどうにか眠ることができた。

131:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 22:54:32.97 xjoFQ2ov0.net
(2/2)

しかし、次の日からふとした時に部屋の中のあの場所から視線を感じるようになった。
毎日というわけではない。だが、気味の悪さは抑えきれない。
しかも、日が経つにつれその視線を外でも感じるようになってきてしまった。
ふとした瞬間の電柱の影。職場のロッカーの隅。電車の窓の向こう側。
気が付くとあの男の姿が見える気がしてA子さんは精神的にまいってしまっていた。
あんな実験したから。あんな部屋に住んでるから。
友人に愚痴をこぼすと、「じゃあ、引っ越したら?」と軽い返事。
でも、案外いい考えかもしれない。
このままだと気が狂いそうだし、そういえばそろそろマンションの賃貸契約の更新があった。ついでにもっと職場に近い所に引っ越そう。

引っ越しの日、A子さんは久しぶりに晴れ晴れとした気分で新居の荷物を解いていた。
疲れたな。ちょっとソファーで横になろう。
ごろんと横になり、目を閉じて休憩していたA子さんが再び目を開いた時、自分を見下ろすあの男の姿があった。

【了】

132:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 22:56:57.02 af0oyBtJ0.net
39本目の蝋燭が消えました・・・
仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、ありがとうございました

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ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、第40話をお願いします
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133:ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E @\(^o^)/
14/08/23 22:57:30.72 fYC5LdIC0.net
【第四十話】『怖い夢』

[1/2]
夢っていうものは大概、見ている最中はまるでそれが現実のように感じられて、目が覚めた瞬間は内容を鮮明に覚えているのに、
起きて顔でも洗っているうちに頭に霧でも掛かったみたいにそれがどんな夢だったかを忘れてしまう、そんなものだと思う。
俺が普段見る夢も大抵そういう感じなんだが、昔見た夢で、その内容の隅々まで克明に覚えているものがある。

それは俺が小学1~2年生くらいの頃に見た夢だった。
はじめ、当時小学生の俺は、壁一面に変な象形文字みたいなものが書かれた古代エジプトの遺跡の中で、
無機的な表情のマネキンみたいなお化けに追いかけられていた。
(同年代の人には分かると思うけど、寝る前に読んでた某カードゲーム漫画の影響を多大に受けてるw)
そこまではしょっちゅう見るようなありふれた怖い夢だったんだけど、マネキンお化けから逃げるうちに、
ふと俺はそれが夢であることに気づいた。
何かきっかけがあったわけでもないんだけど、何故か「あ、これ夢だ」って分かったんだ。
自分が夢を見ていると気づいた瞬間、いつのまにか俺は古代エジプトの遺跡ではなく、
背丈と同じくらいの高さの草(芦?)が生えた土手みたいなところにいた。
そして不思議なことに、まだ何かに追いかけられているという実感があった。
さっきみたいにマネキンお化けの姿は見えないが、逃げなくてはいけないという気持ちに駆られた俺は、
それが夢だと分かっていながらも何となく怖くて、草をかき分けながら走り続けた。

走って逃げいている途中で、何人かの大人が立っていた。
もちろん俺は助けを求めるために話しかけたんだが、そこに立っていたモブキャラみたいな大人は皆、
顔がムンクの叫び?とは少し違うけど、そんな感じの人間とは思えない形相をしていた。
俺は走りながら、懲りずに何度も出会う大人の顔を覗き込むけど、揃いも揃ってムンク状態。
そうして逃げているうちに、俺はなんとなく、この夢はこのままずっと覚めることがないんじゃないか?
という予感がしてきた。
それに気づいた時はマジで怖くなって、誰でもいいから助けて、と泣きながら立ち止まってしまった。

と、そこで後ろから、俺の肩にポンと手が置かれた。

134:ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E @\(^o^)/
14/08/23 22:58:40.57 fYC5LdIC0.net
[2/2]
ヤバイ、捕まった。
そう思った俺は怯えながらも、反射的に後ろを振り向いた。
だけど、その手は俺のことを追いかけていた「何か」ではなかった。
後ろに立っていたのはお婆ちゃん。しかもその顔は、他の大人みたいなムンクの叫びじゃなくて、
凄く穏やかな表情だった。
え?誰?
そう思った次の瞬間には、俺は自分のベッドの上で寝ていた。

で、なんでこんな昔の夢の話を今しているかというと、理由がある。
今は大学生で一人暮らしをしているんだけど、つい先月の末頃、ひい祖父ちゃんが死んで、その葬式で地元に帰った。
ひい祖父ちゃんは天寿を全うして静かに往生したんだそうで、お通夜も物悲しい雰囲気は全然なく、
親戚が集まった食事会みたいな感じだった。
そこで田舎の婆ちゃん(ひい祖父ちゃんの娘、祖母の姉)が、ひい祖父ちゃんの写ってるアルバムを持ってきて、
一同で思い出話が始まったんだが、そこにあった一枚の集合写真を見て、俺はギョッとした。
写真に写っている一人に、まさに俺の夢に登場したあの婆ちゃんがいたんだ。
聞いてみるとその人は、ひい祖父ちゃんの妹で、20年くらい前に病気で死んでいるらしい。
写真が撮られたのは今から26年前で、俺は生まれていない。
俺はその日、写真ではじめてその婆ちゃんの存在を知ったはずなのに、俺が小学生の頃に見た夢の婆ちゃんと間違いなく同一人物だった。
よく聞いてみると、その婆ちゃんは俺が生まれたばかりで首も据わらない頃に一度だけこっちに来て、
俺を抱っこしてくれたことがあるらしい。(もちろん俺は覚えていないけど)
今思えば、きっと親戚のよしみで婆ちゃんが俺のことを助けてくれたんだなって思う。
見てから10年以上経っても、登場した婆ちゃんの顔の詳細まで鮮明に覚えているあの夢。
そもそもなんだか「忘れてはいけない」ような気がしていたんだけど、不思議なことってあるんだなって本気で思ってる。
そしてあの夢で、婆ちゃんが俺のことを助けてくれなかったら一体どうなっていたんだろう、と思うと、
今でもどうしようもなくゾッとする。

【了】

135:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/23 23:01:10.17 af0oyBtJ0.net
40本目の蝋燭が消えました・・・
ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、ありがとうございました

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四十話まで参りましたが…もはや怪異に見舞われているお客様もおられるようで
半ばにも達しておらず、時刻も百物語にとっては宵の口ですのに
百話を終えたら一体どうなってしまうのでしょうねえ…

あまり画面ばかりを見つめていては、妖しのものどもにつけこまれやすくなるのかもしれませんね
この辺りで一息入れてみましょうか


10分後に再びご案内を開始致します
それまで皆様、どうぞごゆっくり            お気を付けて

136:卍3286卍ss@\(^o^)/
14/08/23 23:05:07.70 NF0S3q2R0.net
「2時20分」②

そうこうしてるうちに 完全に乗っかられた状態になり 首を絞めてくる...
オレは直視出来ず 薄目を開けながら苦しむのが関の山。。
そいつは首を絞めながら「殺・し・て・や・る ...」と聞いた事も無いような 低いダミ声で囁く...
オレは恐怖におののき 隣の部屋で寝ている兄貴に助けを求めようとしたが 苦しくて全く声が出ない...

そいつは片手で首を絞めながら もう一方の手で頬を掴まれ口があくような状態にさせられた...
怖い... とにかく怖い...
次の瞬間 そいつの口から水のようなものがオレの顔に吐き出された...!!!
「何だ!何なんだ! どーなってんだ!」オレは心の中で叫び続ける...

137:卍3286卍ss@\(^o^)/
14/08/23 23:07:46.21 NF0S3q2R0.net
>>123
すいません 受け付けルールがあったんですネ...
よく読まず 連投してしまい失礼しました。

138:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:12:07.22 xjoFQ2ov0.net
どうやら異界から迷い込まれた方がいらっしゃったようですね

はてさて皆様、ご無事でしょうか
背後の確認はお済みでしょうか
百の言葉が尽きるまで、どうぞこのままお付き合いを……



それでは百物語2014 続きとまいりましょう

ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、第40話をお願いします
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139:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:14:24.54 xjoFQ2ov0.net
大変失礼いたしました
私過去へ飛んでいたようです

ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第41話をお願いします
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140:ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/
14/08/23 23:19:40.70 0yX1QsY/I.net
【第四十一話】『足が欲しい』
大学時代、一つ上の先輩(♀)から聞いた話。
小学4年生の頃、学校から帰るときいつもある脇道からでてくる中年の男性がいた。しかも常に彼女がその脇道を通りかかる時に出てきてぼんやりと立っていたという。
幼心ながら不気味に思っていた先輩はそのことを母親に相談した所しばらく車で送り迎えをすることになった。
1ヶ月ほど車で送り迎えを行った後、もうそろそろいいだろうと言いことになり再び徒歩での登下校になった。そして実際、それからしばらくは何も無かった。

しかしその男は再び現れた。彼女がいつものように帰り道を歩き例の脇道にさしかかったときだった。ヌッと誰かが脇道から出てきた。
あの中年の男だった。そしていつも黙って立っているだけだった男は彼女の方をみてこう言った。
『足が欲しい』
気がつくと彼女は自宅の前にいた。しかしその間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっていた。それ以降、その男には一度もあっていないという。
そういえば、そのおっさん腰から下がどんな風だったか全然思い出せないんだって
と先輩は話の最後にそう語った。

141:ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/
14/08/23 23:23:59.06 0yX1QsY/I.net
すいません、【了】 とつけるのを忘れていました。

142:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:25:02.12 xjoFQ2ov0.net
41本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、ありがとうございました


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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第42話をお願いします
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143:ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/
14/08/23 23:31:47.13 0yX1QsY/I.net
【第四十二話】 『足が欲しい 二』
同じ先輩がやはり小学生の頃に体験した話。
その日は風邪気味で学校を休んでおり自宅の2階にある自室で布団にくるまっていた。
ぼんやりと外を眺めていると家の前にある道に喪服のような黒い服と帽子をまとった髪の長い女性が俯いて立っていることに気がついた。
何故かその女性のことが気になり彼女はベランダに出ていった。(なぜそのようなことを考えたのか後になって振り返ってみてもよくわからないという。)すると彼女がベランダに出ると同時にその女性がふっと顔をあげた。
その顔は雪のように白かった。比喩ではなく本当に肌が真っ白だったのだ。
そしてつぶやいた。そのつぶやきは離れているはずの彼女にもはっきり聞こえたという。
『足が欲しい』
気がつくと彼女はベランダで倒れていた。時計をみると気を失った時から2時間ほどたっていた。

ちなみにその先輩は今でも五体満足で生活している。また20数年の人生の中で手足を失うような病気や事故が起きたこともないという。
彼女が幼い頃に遭遇したものがなんだったのかは未だにわからないそうだ。
【了】

144:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:32:59.92 xjoFQ2ov0.net
42本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUEさん、ありがとうございました


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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第43話をお願いします
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145:ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/
14/08/23 23:37:35.15 0yX1QsY/I.net
【第四十三話】『転落』

職場の同僚(♀)から聞いた話。

彼女が通っていた小学校のすぐ隣には昼間でも薄暗い森があった。
ある日、何を思ったのかそこを探検してみたいと思い、昼休み一人で森へ入っていった。
一応、道らしきものはあったためそこをたどりながらしばらく歩いていくと開けた空き地に出た。そこの真ん中にはこじんまりとした祠と小さな地蔵があるのみだった。

なんだつまらないと思い、そこを後にした。残りわずかになった昼休みの時間は校庭のすみにあるジャングルジムに登ってそこでぼんやり校庭を眺めながら過ごすことにした。
ジャングルジムの頂上で校庭や、さっき行ったばかりの森を眺めていると突然何かに背中を押された。
気がつくとジャングルジムとは反対方向の校門前に倒れていた。
ズボンをみればボロボロにすれていた。まるで何かに引きずられたかのように…
ちなみに校庭には彼女の同級生もいたはずなのだが誰も彼女学校ジャングルジムから校門前に異動するのをみていないという。

そういえばウチの学校の前、結構車とおるんだよね。と彼女はこの話を語った時、最後にそう付け加えた。

【了】

146:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:38:21.37 xjoFQ2ov0.net
43本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUEさん、ありがとうございました


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会計 ◆QAI42rkje6 さん、第44話をお願いします
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147:会計 ◆QAI42rkje6 @\(^o^)/
14/08/23 23:39:04.72 gGSU/C180.net
【四十四話】会計 ◆QAI42rkje6
『法事』

これは妹が小学五年生くらいの時に体験した出来事です。
当時はお盆の時期で、法事をしていました。
始まる前にお坊さんが餓鬼の話をして「部屋の隅には霊が出やすい」と言ったので、
母が「こっちくる?」と言いましたが私はそのままでした。(特に深い意味はありません)
それが終わってからお経が始まりました。
そして、お経を唱えている最中にクラッとしたと同時に目の前が何も見えないくらい
真っ暗になりました。(正座のままで倒れたりはしていなかった)

「    」

暗くなっている間に左ななめ後ろ(母や祖母や坊さんは右斜め前あたり、私は
母たちから見て左ななめ後ろの部屋の角にいた)から耳元で何か聞こえたんです。
お経が聞こえたとしても近すぎだったし、耳元に直接話すようなかんじでした。
体感時間は3秒くらいだったけど、一秒もたってないくらい一瞬でした。
それは男性の声の様だということ以外分からなくて、何を言ったのかもわかりませんでした。
家に帰るまで恥ずかしかったのか言わず、家について車を降りてから母に言ったら
「おじいちゃんが来てくれたんやわ」
といいましたが結局わからずに現在を過ごしています。体の方もこれといって
なんともないし害はなさそうだったんですが、
あれは何だったのか…
ただの眩暈だったのか…
餓鬼の話をしていて霊が寄ってきたのか…
本当に祖父が来てくれたのか…
おそらく一生分からずに過ごしていくのでしょう。

【了】

148:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:42:36.03 xjoFQ2ov0.net
44本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6さん、ありがとうございました


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ヨサック ◆skAMDOCpdQさん、第45話をお願いします
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149:50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/
14/08/23 23:47:09.75 ALSJsfvd0.net
第45話 ヨサック◆skAMDOCpdQ様
『旅館の旧館』(1/2)

真夏のある日、涼を取る為にと上司のKさんがこんな話をしてくれた。

今から30年程前、新入社員だったKさんは、慰安旅行でとある旅館に泊まる事になった。
当時Kさんは、社長の親族である先輩からパワハラを受けていた。本当は旅行になど参加したくない。
しかも部屋は修学旅行のような大部屋。どうしても先輩と顔を合わせてしまう。だが断る事が出来なかったそうだ。

夜も更けて、酒の回った先輩は案の定絡んできた。Kさんと同僚の二人で肝試しをして来いと言うのだ。
場所は宿泊している旅館の旧館。
渡り廊下で新館と繋がってはいるものの、「立ち入り禁止」の看板があり封鎖されている。
流石にまずいでしょう、と説得するが先輩は聞く耳を持たない。
部屋に備え付けの懐中電灯を持たされて、とうとう旧館まで連れて行かれたという。

旧館は昔ながらの日本旅館といった様子だった。当然ながら玄関や雨戸も開かない。
これは無理ですよ、戻りましょう、とKさん達は口を揃えるが、先輩は入れる場所があると言う。
新館からは見えない方向に回り込むと、雨戸が壊れている所があった。ガラス戸は割れ、鍵が開いている。
ほらな、ここから行ってこい。先輩の言葉に二人は顔を見合わせた。
先輩は常識を欠いたところがあり、よく無茶な行動に出る人だった。
まさか雨戸を壊し、ガラス戸を割ったのは…
疑念を抱いたが何も言えず、結局強引に中に入らされたのだそうだ。

旧館の中は明かりひとつ無く、懐中電灯を頼りに板張りの廊下を進んだ。
しばらくすると曲がり角に差しかかった。もうこの辺で帰ってもいいんじゃないか、
そう同僚と話していると、奥から足音が聞こえてきた。
まずい、旅館の人だろうか。慌てて側の障子を開け、物陰に身を潜めた。
見つかったらただ事では済まない。緊張する二人がいる部屋の方へ、足音はどんどん近づいて来る。
明かりを持っているのか、障子にうっすらと影が映った。細身で長い髪。女性のようだ

150:50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/
14/08/23 23:48:00.94 ALSJsfvd0.net
(2/2)
しかし、この世のものでない事もすぐに分かった。
その女は逆さまになり、天井を歩いていたからだ。

息を殺して見つめる中、女はゆっくりと部屋の前を通り過ぎた。
ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、またすぐにぎしり、ぎしりと音がする。
さっき姿を現した方から�


151:トび、女が天井を歩いて来るではないか。 女は同じ方向からやって来ては、部屋の前を通り過ぎるのを繰り返し続けた。 これでは部屋から出るに出られない。しかも、もしここに入って来たら… そんな不安に、Kさん達はひたすら耐えたのだそうだ。 どれだけ時間がたったろうか。部屋の中は暗いが、耳をすますと外から鳥の囀りが聞こえる。 朝だ。いつの間にか女の往来も止んでいる。二人は涙ながらに喜びあったそうだ。 怯えながらも何とか侵入口まで戻り、やっとの思いで表に出たその時だった。 ―――背後の暗がりから「ちがう」と女の声がした。 もう闇雲に走った事しか覚えていない、とKさんは言う。 気付くと新館の大部屋で、同僚も一緒に戻って来ていた。 早朝に大騒ぎで駆け込んで来た新人二人。睡眠を妨害された先輩はKさん達を怒鳴りつけた。 もちろん事情を説明しようとしたが、先輩は一言「知るか」と言って寝直してしまったそうだ。 慰安旅行から帰ってすぐにKさんは辞表を提出し、その後現在の会社に入社した。 同僚の方はそのまま勤め続けたそうで、しばらくの間Kさんと交流があった。 彼から聞いた所によれば、先輩は旅行後一年程で退職したらしい。 退職前の先輩はよく、天井を見ては怯えていたそうだ。 【了】



152:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:48:39.70 xjoFQ2ov0.net
45本目の蝋燭が消えました・・・
ヨサック ◆skAMDOCpdQさん、ありがとうございました


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葛 ◆.zethFtqnU さん、第46話をお願いします
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153:50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/
14/08/23 23:50:10.09 ALSJsfvd0.net
【第46話】 葛 ◆.zethFtqnU様

『肝試し』
(1/2)

先輩はよく、一番仲のいい友人と一緒に、あちこちの心霊スポットを巡っていた
でも一度も霊を見たことは無かったそうだ
そして怖いもの知らずの先輩たちは、ある日とうとう、地元にある全国的に有名な心霊スポットに足を踏み入れた

車のライトに照らされた山道は舗装されておらず、轍跡を雨水が削り、剥き出しの岩がごろごろ転がっていた
封鎖されたゲートをくぐり、道なき道を進んで辿り着いた先は、トンネルの前だった
トンネルは通れないよう、入り口にバリケードが築かれ、中を窺い知ることはできない
車を下りた時、辺りは一面の深い霧に包まれ
湿気を含んだ山の空気は、真夏であるにも関わらず身震いするほど冷たかった

深夜2時。先輩と友人は、懐中電灯を手に、辺りを散策し始めた
深い夜霧のせいか、星のまたたき一つ、月明かりさえ見えない。そしてこの霧。
先輩たちは、「今度こそ何かあるんじゃないだろうか」と期待しながら、付近をぐるりと一周した
だが期待に反して、何もなかったし、何も起こらなかった。獣の鳴き声に驚くことさえ無い
二人はガッカリしながら、悪態を吐きつつ車に戻った
運転は先輩。助手席には友人
先輩が車を発進させようとしたその時だった

車の前に、誰かが居る

154:50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/
14/08/23 23:51:01.65 ALSJsfvd0.net
(2/2)

一瞬にして、先輩の全身から冷たい汗が吹き出した
ライトに照らされ、車の前に立っていたのは、女だった
丈の長い白いワンピースから覗く足は、山中であるにも関わらず、裸足だった
俯いているのに加え、長い黒髪のせいで表情は見えない
先輩は口の中がカラカラに干上がって、身動き一つ取れない
一秒が一時間にも感じられるような長い時間。女がゆっくりと顔を上げる……
「うわあああああああ!!!!!」
突然、先輩の隣で友人が悲鳴を上げる。その声で、呪縛が解かれたように先輩が我に返った
友人は助手席で、半狂乱になって手足をばたつかせながら女を指し、先輩に向けて叫んだ
「轢(ひ)け!轢(ひ)き殺せ!!」
言われるがまま、先輩はアクセルを踏み込んだ
車が急発進し、ドンッと強い衝撃があってから、車が停まる
荒い息を繰り返し、ハンドルに寄りかかって、先輩は呼吸が落ち着くのを待った
「ハハハ……幽霊殺(や)ってやったぜ……やった……」
しばらくそうしていた先輩は、ふと気になって顔を上げた
気付くと女はいなくなっていた
だが、女が幽霊だったのなら、さっきの衝撃は何なんだろう
そしてふと気付くと、助手席の友人がいない
扉が開く音はしなかったはずだ。だとしたら、友人は何処へ……?
「……」
先輩は、何かに誘われるように車を下りた
恐怖は既になく、妙に頭が冴えていた
その時には霧は晴れていた、そして車の前方、ライトに照らされた先で、友人が冷たくなっていた

事件は警察沙汰になり、先輩は殺人の罪に問われ、刑務所に入ることになった
先輩は今でも、刑務所の中で叫び続けている

「俺じゃない!霊がアイツを殺したんだ!」

【了】

155:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:51:33.24 xjoFQ2ov0.net
46本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん、ありがとうございました


                      γ
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 はーい ◆1MYw3QRraoさん、第47話をお願いします
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156:50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/
14/08/23 23:56:38.90 ALSJsfvd0.net
【第四十七話】はーい ◆1MYw3QRrao様


一台6人で霊感のあるDを含め6人でとある廃トンネルへ行くことになりました

トンネルの前まで着き運転手がみんなに「着いたよーほんとに中までいく?怖くない?」と、
入りたくない気持ちはわかりましたが「行くー!!大丈夫だよなにも怖くないよ」と私はワクワクしながら返事をし、
1度トンネルを通り抜けUターンをしてトンネルの真ん中でエンジンとライトを切ってクラクションを二回鳴らしました

『バンッ!バンバンバンッッ!!!』

突然車を激しく叩く音がして急いで車を走り出しました。するとDが「気持ち悪いから外の空気を吸いたい」と。
急いで車を止めみんな外に出て「さっきのなんの音だろう?怖かったー」ワイワイキャーキャー言っていたらDが

「誰か私を呼んでる!!!早く行かないと!ウワァァァア・・・・」

突然山の中へ走り出しました。そのあとを急いで追いかけて引き止めていたんですが
Dの興奮がおさまらないまま車へと連れ戻されてきました

力の強い友達がDを押さえつけ30分くらいで冷静さを取り戻しました。そのあと突然すごい速さで真っ暗な山へと走り出し

「お願い・・・・ちょっと待っててぇぇぇぇええ!!!待っててねぇぇえ!!!!!!痛いよぉおおおお」

私は急に尿意を催し真っ暗な山へ枝で足に傷をつけながら急いでみんなから見えないところまで行きおしっこしました

とてもスッキリした顔で車へ戻り山を降り明るいところへいって車をみると車内から凄い数の手形がありました。
Dの記憶はトンネルから全くないみたいです・・・・

【終わり】

157:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/23 23:58:33.73 xjoFQ2ov0.net
47本目の蝋燭が消えました・・・
はーい ◆1MYw3QRraoさん、ありがとうございました


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マダム ◆eHH0iBizH6 さん、第48話をお願いします
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158:50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/
14/08/24 00:03:14.67 JeOcyvlKi.net
【第48話】 マダム ◆eHH0iBizH6様
『函館までドライブ』

北海道の道央自動車道(高速道路)が、札幌ー苫小牧までしか無かったころの、昔の話です。
ある夏の夜、友人2人が札幌から函館までドライブに行きました。
当時、函館までは普通に運転してだいたい6時間位かかりますが、
午後9時頃に出発して現地に着いたのは午後11時半頃だったといいます。
近道があるわけではないし、時速200キロでノンストップで走ってたとしても
到底たどり着けない時間です。
道中はカーラジオを聞きながら(その時間帯にかかる番組を聴いていたので間違いがない)
飛ばすこともなく普通に走っていたそうです。
もちろん本人達が一番不思議がって、到着時間は何度も確認したそうです。

絶対にありえない事なので今でも不思議な話として心に残っています。

【了】

159:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/24 00:04:40.58 xjoFQ2ov0.net
48本目の蝋燭が消えました・・・
マダム ◆eHH0iBizH6さん、ありがとうございました


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 怪人 ◆fAwBJYVS5Qさん、第49話をお願いします
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160:50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/
14/08/24 00:07:42.05 JeOcyvlKi.net
【 第四十九話 】怪人◆fAwBJYVS5Q様
『W駅の怪』

これは都の西北のそばにある駅構内のお手洗いでの話
24時頃、飲み会の後、大きいほうの便意をもよおした私は駅のお手洗いに駆け込みました
小さいお手洗いですが、幸いなことに洋式の個室が空いており、そこにこもりました
しかし、私が入ったすぐ後、駆け足の音がすると、一息ついて、その足音の主は私の個室の扉にどん、と寄りかかったのでした
あぁ、一足違いだったな、と思いながら用を足していました
扉の前の方には悪いけど、便の通りが悪くなかなか終わりません
そのうちどこかに行くかな、とも思っていたのですが、その方も緊急事態なのか扉の前から動きません
扉一枚隔てて、足踏みや息遣いが聞こえます
すこし苛立っているような気もします
私もなるべく早く終わらせると、
「どうも」
などとすまなそうにして、会釈しながら個室を出ました
誰もいない
「えっ」
と思わず声が出てあたりを見渡したが、もとより、お手洗いは一瞥して見渡せるような大きさである
向かいの和式個室は空で、洗面所にもだれもいない
改札口へ向かう廊下へ飛びだしたが、人影はない
気のせいかなと思い直し、洗面所へ戻り手を洗っていると、
私が入っていた個室の横にもう一つ個室があることに気付きました
なあんだ隣の個室に誰か入っていただけか、と思うのもつかの間、
よく見るとそれは大の個室ではなく、細く小さな用具入れでした
全身、総毛立ちました
私は急いでその場を立ち去りました
あのとき、あの用具入れを覗いていたらどうなっていたのか、何を見ることになったのか
今では、気のせいだったんだと自分に言い聞かせるようにしています

(了)

161:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/24 00:08:55.76 ixm8gm6D0.net
49本目の蝋燭が消えました・・・
怪人 ◆fAwBJYVS5Qさん、ありがとうございました


                      γ
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抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s さん、第50話をお願いします
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162:抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s @\(^o^)/
14/08/24 00:10:38.34 ZDQhoG2gi.net
【第五十話】 おもちゃの電話と消えた訪問者

第18話と少し似たことを私も体験いたしました。
15年以上前の話になりますが、
私の曾祖母(祖母の母)がなくなった時に起こった
不思議な現象のお話をいたします。

曾祖母が亡くなる数日前から危篤の知らせが入っていましたが
曾祖母の入院先が北海道、祖母は私達と長崎県に住んでおり、
遠方であることと、経済上の事情もあいまってすぐに向かうことは出来ませんでした。

そんなおり、17時頃、学校から帰った私が一人で留守番をしていると、
突然、物置部屋に使っている部屋から
「プルルルルル」「プルルルルル」と、電話に似た音が突然聞こえてきました。

家族の携帯電話がなっているのかと思い、
見に行きましたが、それらしいものは見当たりません。

「プルルルルル」「プルルルルル」

そもそも物置部屋に携帯電話があることがおかしいのですが、
音のする場所を探っていると、ダンボールの中で音がしています。
中を開けると弟が昔遊んでいた携帯電話型のおもちゃが鳴っていました。

何かの拍子に、ボタンが押されたんだろうな・・・そんなことを思いながら
ボタンを押して電源を切ろうとしたのですが、音が鳴り止みません。

???困っていると

1/2

163:抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s @\(^o^)/
14/08/24 00:12:06.33 ZDQhoG2gi.net
ガラガラガラと、隣の居間の窓が開けられた音がしました。
「Sちゃんいるかい?」とお年寄りの声が聞こえました。

Sちゃんとは祖母の名前で、町内会の人が用があって訪ねてきたのかと思い
慌てて居間に向かったのですが、誰もおらず、窓が開けっ放しになっているだけでした。。
外を伺っても誰も居ません。

おかしいな、と思いながら物置部屋に戻ると、さっきまで鳴っていたおもちゃの電話が止まっていました。

なんだったんだろう・・釈然としませんでしたが
おもちゃの電話をダンボールに戻そうとしたところ、ぞっとしました。
おもちゃは電池で動く仕組みなのですが、電池が入っていなかったのです。

ちょうど、祖母が帰ってきたので
先ほどのおもちゃと消えた訪問者の話をしました。

「実はね・・」

親戚から、先ほど曾祖母が亡くなったとの知らせがあったばかりだったそうです。

「きっと私に会いに来てくれたんだろうね」

それ以後、おもちゃの電話が鳴ることは2度とありませんでした。
あれは、虫の知らせというやつだったのでしょうか。

2/2

【了】

164:仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/
14/08/24 00:12:41.84 ixm8gm6D0.net
50本目の蝋燭が消えました・・・
抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0sさん、ありがとうございました


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マダム ◆eHH0iBizH6 さん、第51話をお願いします
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165:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:13:10.43 iVpQyD8K0.net
【第51話】 マダム ◆eHH0iBizH6
『道路でお絵かき?』

結構昔の話になりますが
ある夏の日、夜中に友人と二人でドライブしていました。
簡素な住宅街の、上り坂の幹線道路を走っていると
前方の車道に子供がいるのが見えました。
這いつくばって、道路に何かを描いている風です。
当時は、チョークで地面や道路に落書きするなんていう
子供の遊びが珍しいものでは無かった時代です。

先ほどからこの付近を走っているのは私たちの車だけで、
対向車も後続車も見当たらず道路は閑散としてましたが
それにしても危ない。
しかもその子は、私たちの車が近づいても避けることなく
ずっと下を向いてお絵かき?を続けていました。
蛇行してその子を避けて通り過ぎましたが
まるで、周りのことは意に介さずという感じで
顔を上げるわけでもなく自分の行為に没頭しているようでした。

通り過ぎてから振り返ってもまだそこに居ました。
車が遠ざかって見えなくなりましたが
白いランニングで短パン、小学校中学年くらいの少年。。。
人通りも車通りもまったくと言っていいぐらい無いこんな路上で
しかも時刻は深夜2時過ぎ。。。

生のある人間としか見えなかったのですが
この世ならざるものだったのかも知れません。
どっちだったとしても薄ら寒い経験でした。

【了】

166:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:13:33.04 Dh7XLcnW0.net
51本目の蝋燭が消えました・・・
マダム ◆eHH0iBizH6 さん、ありがとうございました

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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第52話をお願いします
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167:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:15:43.65 iVpQyD8K0.net
【第五十二話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6 様

『気がつくと』
(1/2)

以前派遣現場で一緒に仕事をしていた福本君の話。
ある夜、福本君はずっと残業続きのクタクタの状態で、乗客もまばらな終電近い電車に転がり込んだ。
あいにく電車は各駅停車だったが、とにかく座りたかった彼は、まぁいいや、と思いながらぐったりと座席に沈み込み……
それからの記憶が無い。
どれくらい時間が経ったのかはわからない。
意識が無くなっていたのは一瞬だった様な気もする。
なんだかやたら寒くて冷え込んでいるのにふと目を冷ますと、何故かあたりは真っ暗だった。
「……え?」
反射的に寝過ごした、とハッとなったが、事態はそういう状況ではない様だった。
福本君は電車の中ではなく、どうやら屋外にいる様だった。
どこかの小さな駅のホームの様だが、全く見覚えのない駅で、しかも明かりも人の姿も全く無い、真っ暗なベンチに座っていた。
「どこだ、ここ?」
まだぼんやりとした頭のまま彼はあたりを見回したが、やはりまるで知らないところだった。
月明かりの下、腕時計を見ると、すでに午前2時を回っていた。
季節は晩秋だったがやけに寒く身体が冷え切っており、コートを身体に巻き付けてガタガタと震えた。
どうしてこんな事に、とまだ混乱しながらもとにかくどうやって帰ろうかと思っていると。
向こうの方に、改札口の様なところが見えた。
真っ暗で無人だったが、ここがどこかはわかるだろうと見に行くと、
改札口の様なところの向こうは何故か急な下り斜面になっており、コンクリートで舗装されている斜面にはレールが敷かれて、
ずっと下の方にまでレールは延びている様だった。
福本君がいたところは。

168:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:16:31.03 iVpQyD8K0.net
(2/2)

某私鉄の小さな支線の、観光地になっているケーブルカーの終点だった。
福本君が乗り込んだのは地下鉄で、その私鉄とは連絡していない。
しかも、その観光地のケーブルカーは夜遅くまで動いてはいない。
「……」
福本君は自分がどうしてこんなところにいるのかさっぱりわからず、あたりをウロウロとしてみたが、
小高い山のてっぺんにある観光地の駅の周りには、
ひとけの無い真っ暗な展望台とシャッターの閉まった土産物屋と神社があるだけで、近くには人家も無い。
また、駅から下りて行こうにも、ハイキングコースの様な山道を行くしかない様だった。
夜の暗いハイキングコースを下りてゆく気力も体力も、福本君には残されていなかった。
それゆえ仕方なく、福本君は改札口の、駅員が立つボックスの中で丸くなって朝を迎えた。

それから福本君は酷く風邪をひき、高熱を出して一週間仕事を休んだ。
どうやったら真夜中にあのケーブル線の山の上の終点にたどり着けるのか。
いまだにわからないという。

【終わり】

169:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:18:28.82 Dh7XLcnW0.net
52本目の蝋燭が消えました・・・
UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、ありがとうございました

                      γ
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りんご酢 ◆.un5wFVaHw さん、第53話をお願いします
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170:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:20:48.65 iVpQyD8K0.net
【第53話】 りんご酢 ◆.un5wFVaHw 様
『無題』

(1/2)

6年ほど前の夏に体験した話です
その日私は彼氏の運転する車で高速を使い東北に向かっていました

午後4時くらいだったと思います
彼がトイレ休憩したいということでパーキングエリアに入りました
そこはトイレと自販機だけの簡素な場所で売店などはありません
そのせいか利用客は私たちだけでした

私も行っておこうと思い私たちはそれぞれトイレに向かいました
他のサービスエリアなどと違いここのトイレは個室が6つしかありません
なるべくきれいな所を使いたかったので私は中を見つつ奥へ
結局どこも変わり映えしなかったので6つ目の個室に入りました

用を足しているとコツコツと足音がして、前の方に入る音がしました
私は用が住み個室から出ると、一番前のドアが閉まっていました
中からは「うぅっ」と唸り声
相手も旅行中かは分かりませんが大変そうだなと思いつつトイレを去りました

外に出ると車にもたれてタバコを吸ってる彼がいました
あとは広い駐車スペースにセミの鳴き声が響いているだけ…
利用客は私たちだけ
後から他の利用客は来てないんです

171:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:22:01.86 iVpQyD8K0.net
(2/2)

だとしたらさっきトイレに入った人はどこから?
場所は高速道路です
徒歩で来る人なんているわけがない

何かおかしいと思ったのでそのことを彼に話しました
「ドアが壊れてて勝手に閉まっただけじゃない?誰かいると思ったからすきま風が人の声に聞こえたんだろ」
と言われもし変質者とかだったら気味が悪いし、そういことにしておくことしました

私も彼も車に戻り出発しようとした時です
彼が「なんかいる」とトイレの方を差しました
トイレの小さな明かり取りの窓
ちょうど一番前の個室のあるあたりに青白い顔のようなものが張り付いていました
すり硝子越しにもこちらを見ているのが分かります
瞬時あれは生きている人間ではないと感じました

彼は慌てて車を発進させ私たちはそのパーキングエリアを去りました

今もそのパーキングエリアはあるようです

【了】

172:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:22:26.30 Dh7XLcnW0.net
53本目の蝋燭が消えました・・・
りんご酢 ◆.un5wFVaHw さん、ありがとうございました

                      γ
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チャゴ ◆ePOonrVZq6 さん、第54話をお願いします
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173:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:24:02.42 iVpQyD8K0.net
【第54話】 チャゴ ◆ePOonrVZq6 様

『のっぺらぼう』
(1/3)

あるとき、会社の飲み会でとある同僚の隣になったことがありました。
飲み会はだいぶ盛り上がって、寝始める人や帰る人もいる中、
お酒が強い私と同僚はほとんど飲み比べのようになっていました。

しばらくして、ふと同僚がグラスを載せる紙の丸いコースターに
人の顔を描いていることに気がつきました。
ずいぶん子どもっぽいことをするなあと思った私は、
「それ何してるの?」
と同僚に訊ねました。

すると同僚は、ああ、と返事をして、
「酔っていると思って聞いて」
と言いました。
「鼻からそのつもりだよ」
と私が答えると、同僚はこんなことを言い始めました。

「実はさ、俺むかしからしょっちゅうのっぺらぼうを見るんだよ」

同僚の地元は温泉街で、家にあるお風呂に入るよりも
近所の温泉に行くことの方が多いような土地だったそうです。

同僚は毎日夕方になると近所の同級生たちと温泉に行っていたのですが、
温泉は朝の5時から開いており、たまに朝風呂に行くこともあったのだとか。

174:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:25:15.98 iVpQyD8K0.net
(2/3)

そんな彼が小学生のとき、朝風呂に行くと一人のおじいさんが身体を洗っていました。
同僚が「おはようございます」と背中に声をかけると、おじいさんは
「あーい、おはよう」と答えました。

その声としゃべり方で同僚は、近所のあのおじさんだ、と分かったそうで、
自分もお風呂に入って身体を洗うことにしました。

しばらくして同僚が湯船に浸かろうとしたときでした。おじいさんがふと
「きれいになったか?」
と聞いてきたそうです。

声につられておじいさんを見ると、おじいさんは眼も鼻も口もなかったそうです。

怖くなった同僚は慌ててお風呂を出て、一目散に家に逃げ帰ったとのことでした。

この話を聞いて私が
「狐にでも化かされたんじゃないの?」
と言うと、同僚は
「それなら良かったんだけど……」
と歯切れの悪い言い方をしました。

175:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:26:12.07 iVpQyD8K0.net
(3/3)

気になって話を聞いてみると、実はそのおじいさんはその日の夕方警察に捕まったのだとか。
なんでも前の日の夜、奥さんと口論になって殺してしまったそうで、
同僚と一緒にお風呂に入っている時にはすでに奥さんを殺した後だったとのこと。

「ニュースにもなったからビックリしてさ。それから俺なんか分かんないけど
○を見ると怖くなるっていうか、どうしても顔を描いちゃうんだよね」

そんなことを良いながらコースターに顔を描いている同僚に、
「へえ、不思議なこともあるね」
と言っていたのですが、私はあることが気になっていました。

それは同僚が最初に言った台詞。
「実はさ、俺むかしから『しょっちゅう』のっぺらぼうを見るんだよ」

殺人を犯した人が、同僚にはのっぺらぼうに見えるのだとしたら、
彼は今までどれくらいの「のっぺらぼう」を見てきたのでしょうか。

【おわり】

176:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:27:23.19 Dh7XLcnW0.net
54本目の蝋燭が消えました・・・
チャゴ ◆eP


177:OonrVZq6 さん、ありがとうございました                       γ                       (                       _ノ                    /                 __              ,、'"   .  `' 、              i`ー  _    ', .             l| !|      i""!|                  }: }i    |{  !j                〈| 'J |!   }j  :}             _ノ;し  i}  {J  |          ,、-,、'         ハ- 、          ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )         ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"         (  _   ,、'"    ̄          `ー--─'" 蓬莱◆hB4rS4et48Vf さん、第55話をお願いします  ----------------------------------------------------- 語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ 雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。



178:蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/
14/08/24 00:31:47.05 eHuULVV/0.net
「第五十五話」『たどり着けない聖地』

(1/4)
これは友人との会話を文章にしたものです。
彼は霊は一切感じない、むしろそれを楽しんでいる感じのタイプ。
ある日、いつもの居酒屋で飲んでる時に心霊の話になった…

「お前は心霊とか信じるか?」
「富士の樹海にテントを貼って、数日過ごしたら面白いかもなあ(笑)」
って本気で言ってる人間で、聞いてみるとけっこう悪さもしてた。

「霊なんて見えないから怖くないって。子供のとき夜中に墓場に行って、
お墓の前で丑三つ時にカッターを歯に仕込んで鏡を見たら後ろにヤバいモノが見えるって怪しげな儀式をきいて試したんだ」
「でも結局、何もなかったし、そのとき歯ぐきにカッターの刃が刺さって血が止まらなかったのは困ったな」
「腹が立ってお墓にオシッコかけてきてやったな(笑)」

「あと、むかしコックリさんが流行ってる時に、わざと十円玉の指を強引に、
“み・な・ご・ろ・し”って動かしてやったら、参加してた女子生徒の何人かが本当に具合が悪くなって、
その子たち一週間ほど学校を休んでたっけ(笑) 俺はそれを見て腹の中で笑ってたなー。要は「集団ヒステリー」ってやつだ」

そうやってケタケタ笑うを友人をみてこいつは一生、霊とは縁がないなって思った。
しかしふっと思い出したように彼は、
「でも…今でも何故か不思議だな~って思う出来事があるなあ…ユタって…知ってるか?」
「ユタ?霊媒師のことだろ?」

・ここからいわゆる体験談になるのです。

彼は沖縄出身で、知らない方もいらっしゃると思うので、
彼女ら“ユタ”とは沖縄の独特の霊能者の呼称です。
「巫女」とか「シャーマン」と呼ばれる人たちのことです。
まれに呪術めいた事を行なったりすると聞きました。
彼にとって「ユタ」は意外に身近な存在だったらしいですが…

179:蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/
14/08/24 00:33:40.48 eHuULVV/0.net
(2/4)
小学6年生のとき、「ユタの聖地」に興味本位で行ってみたくなって、そこで何か起こったらそれを
夏休みの自由研究にしようと思い立ったんだ。
要はユタの女性たちが修行場で使っていた所なんだけど、そこって男子禁制って云われてる場所で、
地元の特にお年寄り連中は絶対に場所を言おうとしないんだ
でも色々と情報を集めて、ある程度ここだなって場所は割れたんだ、で
とりあえず計画を立てて、お金を貯めて、いざ「聖地」へ行こうって時の3日前に、
友人たちとグラウンドでサッカーをしてる最中に、ボールを蹴るつもりが地面の出っ張った所を思い切り蹴って左足を骨折してな
そのまま病院へ運ばれて、レントゲンを撮られてギブス付けられて痛み止めを処方されたけど、
じつは俺は薬のアレルギーがあって、
薬アレルギーの旨をドクターに告げたんだけど、たまたま同じ苗字の人物がいて、ぜんぜん合わない薬を処方されて、
そのショックで2日間意識不明になってな
あと5分処置が遅れてたら助からなかったと言われて…、その年はそれで聖地巡業は断念したんだ。まあ偶然だろうな。

2年目の年の、中学1年生の夏休みに、また自由研究で例のユタ聖地に行こうと思ったんだ
でも行くと決めた前日に、俺を含める家族全員が食中毒になったんだ、未だに原因は分からない、
またまた入院してしまって、夏休みラスト4日目だったし、下痢はひどいし仕方なくその年も断念した。
ま、これも偶然だろうな

3年目…中学2年生の夏休みに、今年こそは絶対に行くぞ!って決めて、また例の場所へ行こうと綿密な計画を立てたんだ
行くと決めた日の5日前に、家族で車でドライブに出かけてて俺は後部座席に座っていて、
そのドライブ中に、俺の後ろの座ってた席に横から狙い撃ちするように、ホロの付けたトラックが追突してきて、
シートベルトしてなかったから思い切りガラスに頭を痛打してな気を失って、額から血がダラダラ流れて気を失ってな、
気がついたらまたも病院のベットの上だったんだ。
2週間ほど入院して、退院の時はすでに学校が始まってから、その年もユタの聖地巡礼は断念するかたちになってしまったんだ。

180:蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/
14/08/24 00:36:28.93 eHuULVV/0.net
(3/4)
4年目…中学3年生の夏休み、今年こそは何もないように、早めにきちんと計画を練ってその年は前回のこともあって、早めに計画を立てたんだ
その時は友人にも声をかけて、行こうと意気込んでた心霊好きな友人2人を誘えることに成功した。
出立2日前に、余裕があったし、俺を含め一緒にその行く友人と関係ない2人、全員5人で近くの浜辺で�


181:aBQして海水浴をしていたんだ。 その海でみんなで泳いでいて、一緒に行く2人が同時に溺れたんだ。しかも肩が付く程度の浅瀬でな… 俺ら3人は必死に救助して、浜辺に引き上げたら2人の両足首にくっきりとミミズ腫れができてた 沖縄はクラゲもいるから、それに刺されたと思ったけど、他の友人は手の跡に似てるとか騒いでたよ そのおかげで2人ともビビって聖地行きはキャンセルしたけど、おれは一人でも行くぞ!って意気込んでいたよ で、当日はもしやの沖縄独特の、台風が来るかもしれない天気だった まあ大丈夫だろうと思って部屋で寝てたんだ いきなりドーンって感じの衝撃があって気がついたら、部屋の柱が落ちてきて、 壁に穴が空いていて、屋根も一部壊れてて、それは庭のヤシの木が折れて俺の部屋だけに倒れてたんだよ 柱に挟まれ動けなくなったけど、どうにか抜け出して家から家族で祖母の家に避難してな、台風が去った次の日 ヤシの木をどかして部屋の片付けをしてたんだ。部屋には行くための準備をしていたリュックがあったんだけど 中には食料とか、衣服などを入れてて、行くまでのバス乗り継ぎ、タクシー代として6000円だったから、カンカンの中に入れてたんだ でもなぜかリュックはあるのに中から、カンカンだけがそっくり消えていて辺りを探しても見当たらなくって、また仕方なく断念したんだ 次の年に、高校を中退して上京したから結局は行けずじまいでな…



182:蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/
14/08/24 00:37:40.33 eHuULVV/0.net
(4/4)
「たしかに偶然ぽいといえばそうだが、余談があってな…」

じつは…4年目に聖地に行こうって誘った友人のうちの1人だけど、あの後すぐ家族に不幸があってな
とつぜん父親が倒れたんだ
で、介抱していた母親が疲労から卒中になって半身不随。
ちょっとして弟が家の前で突然車の交通事故
家を出た途端に、とつぜん車に跳ねられて重症でそのまま入院。
あまりにも不幸が続いてたので大騒ぎになって、なにかの呪いかと噂になってしまって、
結局ユタを呼ぼうって事になったんだ
内容はよくわからないけど、お祓いしてもらったときに、その儀式で鶏の首をはねたらしい
たぶん身代わりなんだろうな…
まあ結局、不幸は収まっんだけど働き頭の父と母は亡くなってしまった…
その後、父が隠していた借金が発覚してな、家を差し押さえという状態になってしまった
友人は借金返済のために働き詰めになってな、
3年くらい頑張ってたかな…、友人は借金返済のため頑張っていたけど…あと2、3ヶ月で差し押さえ期限が近づいてたんだけど
その最中に、そいつは車で事故死。たまたま助手席に座っていたらしいんだけどな
幸か不幸かそいつは生命保険に入っていて、おかげでその金でどうにか借金は返済できたんだ
でな…その依頼したユタってのが、例の聖地で修行を積んだ人物だったんだ……

【了】

183:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:38:26.57 Dh7XLcnW0.net
55本目の蝋燭が消えました・・・
蓬莱◆hB4rS4et48Vf さん、ありがとうございました

                      γ
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葛 ◆.zethFtqnU さん、第56話をお願いします
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184:みかん山 ◆.TybZR8Ddk @\(^o^)/
14/08/24 00:39:50.20 8PvyQZd70.net
【第五十六話】黒い神様

(1/2)
自分の祖母が生まれた東北の漁村の話
昔そこの村に信心深いおばあさんがいて、どこからか拾ってきた白木のエビス像を家の離れの祠に
祀っていた。
その像を祀って以来、おばあさんは翌日の天候や漁の具合を頻繁に予言し、それがよく当たるので
いつしか村の人たちは おばあさんとおばあさんが祀っているエビス像を崇めるようになっていった。

昭和20年頃そのおばあさんは亡くなり、おばあさんのエビス像は地区を見下ろす丘の上に
お堂を作って安置された
村の者たちはよくそのお堂に手を合わせていたそうだ
しかし数年たった頃から、お堂の中の真っ白だったエビス像が黒っぽくなってる事にみんな気付いた
木でできた物だからそういうこともあるだろう、と思っていたが
像の黒ずみは年々ひどくなって、ほとんど灰色に近い像になってしまった。
さすがに村の人たちも気味悪がって「何か不吉なことが起こるんじゃなかろうか」と思い始めた。

185:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:40:01.04 Dh7XLcnW0.net
失礼致しました

みかん山◆.TybZR8Ddk さん、第56話をお願いします
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186:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/
14/08/24 00:41:54.99 8PvyQZd70.net
(2/2)
ある時、通りすがりの旅の山伏が、「この像は多くの厄を吸い過ぎて厄の塊になっておる」
「祈祷して厄を浄化しないと村に災いが起こるだろう」と言ってきた
祈祷を頼んだところ、当時としては高額な金額を要求されたが、丸一日の祈祷の結果、
エビス像は見事に元の白い像に戻った。
みんな大変驚き、信心深い村の人たちは「こりゃ大したものだ」と満足していた。

それから数年は何事もなかったが、ある年の春、またエビス像の様子がおかしいなってきたので
調べてみると、エビス像の表面が剥げてきているのが分かった-あの山伏は像の表面に白い塗料を
塗っただけだったのだ。
村の人たちは憤慨したが、それ以上の問題があった
塗料の剥げた下から出てきたエビス像の肌は以前に増してどす黒い色に成り果てていたのである。

いよいよ不吉な予感が高まる中、5月になってエビス像の置いてあるお堂が深夜に急に発火した
村の人たちは大変だとお堂に駆け付けたが既にお堂は全焼でエビス像は真っ黒の炭になってしまった
突然の火事に驚いた村人が段々と集まってくるうちに周囲が変事が訪れた
突然、轟音とともに巨大な津波がその地区を襲ったのだ。
周囲の村が大きな被害をだし、その村も多くの家が倒壊したが、住人は丘の上のお堂に集まっていたため
死者はほとんど出なかったという。

津波の原因は外国の地震だったそうだが、村人の日頃の信心にエビス像が応えてくれたのかもしれない。

【終わり】

187:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:42:29.32 Dh7XLcnW0.net
56本目の蝋燭が消えました・・・
みかん山◆.TybZR8Ddk さん、ありがとうございました

                      γ
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葛 ◆.zethFtqnUさん、第57話をお願いします
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188:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:43:31.84 iVpQyD8K0.net
【第57話】 葛◆.zethFtqnU 様

『声』

普段はメールでやり取りしているのに、その時だけは何故か電話で話をした

『でさ?、この御時世(…ザザッ…)に、仕事があるだけいいのかもしれないけど、(…ザザッ…)毎日残業でさ、
 帰るのいつも10時(…ザザッ…)くらいになってさー』
その日はやけに彼女の声に混じってノイズがひどく、聞きづらかった
そのうち、ノイズがどうも人の声のように聞こえてくるので、彼女に聞いてみた
「……今、テレビかなんかつけてる?」
すると彼女は、『あ、またかぁ?』とあっけらかんとして教えてくれた
『ここ(…ザザッ…)最近さ、電話して(…ザザッ…)るとよく言われ(…ザザッ…)るんだ。
 「今テレビつけてる?」と(…ザザッ…)か、「後ろ、誰かいる?」とか』
他にも、電話でなくても「今何か言った?」と最近になってよく聞かれるようになったと彼女は言う
その時ちょうど会話が途切れて、ほんの少し沈黙が下りた
『……ザザッ……ザザッ……ボソボソ……ザザッ……』
やっぱり人が喋っているように聞こえる。こちらが聞き取ろうとしているのを察してか、彼女も息をひそめる
耳を澄ませ、受話器の向こうに神経を尖らせると、
『ボソッ……、……ロ、…ゲ…、……ザザッ……、……』
聞きづらいノイズに混じって微かに聞こえた一つの単語
「……気のせいかもしれないけど、この声『逃ゲロ』って言ってない……?」
恐る恐る切り出すと、怒るかと思った彼女はむしろ持ち前の明るい声で、
『ヤだ、怖いこと言わないでよ。「逃げろ」って、一体何から「逃げる」って言うのよ。そもそも何処に逃げればいいのよw』
「そう……だよね。やっぱり気のせい……かな。ごめんね、変なこと言って」
そう言って他愛のない話をしてから電話を切る

2011年3月7日
それが、彼女の声を聞いた最後になった

【了】

189:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:45:34.32 Dh7XLcnW0.net
57本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん さん、ありがとうございました

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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第58話をお願いします
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190:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:46:06.36 iVpQyD8K0.net
【第五十八話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6 様

『クワッ』

弟の友人の野崎君は学生時代、倉庫作業のバイトをしていた。
運送会社の倉庫の中で、ダンボールに入った商品の詰め替えをしたり、出荷時に入れ忘れた付属品などを入れたり、
商品規格が印刷されたシールを延々貼り付けたり、といった作業内容だった。
ある日も倉庫で、炊飯器の入ったダンボール箱をひたすら開封する作業をしていると。
箱の中に、炊飯器ではない妙なものが入っていた。
それは人の頭ほどの大きさで丸い形をしており、縁が白くて真ん中あたりは濃い茶色で、その中心は黒い……
はじめは何かわからなかった。
が、どうやらそれは大きな目玉であるらしかった。
ダンボール箱の中いっぱいに収まっている大きな目玉は、
野崎君をよく見ようとでもするかの様に、真ん中の黒い瞳の部分がクワッ、と拡大した。
「……!」
野崎君は声にならない声をあげた。その後の記憶が無い。
どうやらそのまま昏倒してしまった様で、
様子を見に来た倉庫会社の社員にダンボール箱の中で倒れているところを発見され、事務所に担ぎ込まれた。
野崎君が事務所で意識を取り戻すと、社員たちが貧血でも起こしたのか、救急車を呼ぼうか、と言うので
「何か変なものがダンボール箱の中にいた様な」
とまだぼんやりとした頭でこたえると
「ああ……そう」
と社員たちは顔を見合わせそれきり何も言わず、その日の帰り間際に
「これ、取っときな」
と何故か課長が五千円札の入った封筒をくれた。

現場にはいくつかの倉庫があったが、以降、目玉を見た倉庫では、野崎君が作業をする事は無かった。

【終わり】

191:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:47:34.99 Dh7XLcnW0.net
58本目の蝋燭が消えました・・・
UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、ありがとうございました

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いそべ ◆8JXCKM3oNw さん、第59話をお願いします
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192:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:48:49.51 iVpQyD8K0.net
『観葉植物の話』

あるとき、父と母と私、家族3人で近所の大型スーパーに行った。
ちょうどなにかのキャンペーンをやっていて、1人1つずつ観葉植物がもらえた。
3人それぞれの分として、リビングの日当たりのよいスペースに並べて置いた。

1週間後に母が倒れ、まもなく死んだ。
持病もなかった母との、突然すぎる別れだった。
時を同じくして、母の植物は枯れた。
母が倒れる直前まで青々としていた葉っぱが、見る見るうちに枯れた。

それからしばらく経ち、今度は父の植物に元気がなくなってきた。
やがて、父から打ち明け話をされた。
交際している女性がいるという。
父は家族ではなくなった。
父の植物も、すぐに枯れた。

家族がいなくなるたびに、家族でもらった観葉植物は消えていく。
それとも、自分自身が他のもののエネルギーを吸い取ってしまっていたのだろうか。
悪いオーラのようなものを、自分の周囲にまき散らしてしまっていたのだろうか。
1つだけ残った私の観葉植物は、部屋の片隅でぽつんとしながらも、今でも不自然なほどに元気で成長を続けている。

【了】

193:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:51:37.28 Dh7XLcnW0.net
9本目の蝋燭が消えました・・・
いそべ ◆8JXCKM3oNw さん、ありがとうございました

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酒カス ◆H5txFPpUg2 さん、第60話をお願いします
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194:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:52:44.93 Dh7XLcnW0.net
5が次元の彼方に飛んでいました
59本目の蝋燭が消えたところでございます

195:いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/
14/08/24 00:53:23.33 iVpQyD8K0.net
【第60話】 酒カス ◆H5txFPpUg2 様
『東京オフ』

2chの心霊スポットオフで心霊スポットへ凸した時の話。
その日は都内で待ち合わせして現地へ向かったんだけど、ひとり待ち合わせ時間に間に合わないのがいて、先に
出ちゃったんだ。一応、遅れたヤツには待てないので出発することを捨アドで伝えました。
1箇所目、2箇所目ってスポットを回っていた時に、その遅れたヤツからメールがきたんですね、
「現地待ち合わせしたいです。」とか「次は何処にいきますか?」って。
最初は断りの返信をしてたんだけど、こっちは車で相手は電車だから到底スポットで待ち合わせすることが難しいの。
もう終電の時間も過ぎてたしね。釣りだろうなってことで返信するのはやめました。

深夜3時に千葉最恐の東金の○○廃ホテルに憑き、俺はユーストで配信始めてぐるぐる回り始めたんだけど、
2階にいる時に何人か女性の声聞いたりとか1階の時は2階で足音が聞こえたりとか。
配信見てた人からは女性の声が聞こえる、配信してる人の隣に霊らしき者いないかってコメントが入ってきて。
俺もビビりながら前後左右確認したんだけど、まったくわからず。動画にも何も写ってないようだった。

同行者には話してないんだけど、廃ホテルを出た後に携帯をチェックしたら捨アドにメールが10件ほどきていた。
遅れたヤツからのメールだった。全部は確認しなかったのだが3時頃からの3メールくらい確認したら、
「○○廃ホテルに着きました。もう中にいますか?」
「今、あなたの隣にいます。」
「早く気づいてください。」とかって内容だったんでびっくりしちゃって。
2chスレでもユーストでも凸時は通報対策でスポット名伏せてたから遅れたヤツが○○廃ホテルに俺達がいることって
わかるはずないんだよね。
配信中に俺の横にいた霊らしき者ってその遅れたヤツだったのかな。俺、霊とメールのやり取りしてたってこと?
気持ち悪かったんで使ってた捨アドのアプリは削除したよ。

【了】

196:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 00:54:18.40 Dh7XLcnW0.net
60本目の蝋燭が消えました・・・
酒カス ◆H5txFPpUg2 さん、ありがとうございました

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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第61話をお願いします
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197:ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/
14/08/24 01:00:19.83 UA2hn1p9I.net
【第61話】『飛ぶもの』
これは私が唯一体験した不思議な出来事。
今から5年ほど前の早春の黄昏時、私は自転車をひきながらトボトボと家路をたどっていた。
時刻は5時半ごろだっただろうか。あたりは薄暗く大気もひんやりと冷たかった。
ふと空をみあげると白い光点が空を飛んでいるのがみえた。一瞬、飛行機かな?と思ったがよくみると動きがおかしかった。
その光点は左右にふらふらと移動しながら飛ぶという奇妙な動きをしていた。
それは東の空から西の空へと飛んでいきやがて私の視界から消えていった。
あの光は何だったのか、あれから5年たつが今でもわからない。
【了】

198:進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/
14/08/24 01:01:25.37 Dh7XLcnW0.net
61本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、ありがとうございました


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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第62話をお願いします
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199:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:02:09.34 bIEXoD6G0.net
【第六十二話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6様

『作業現場』
(1/6)

派遣現場で一緒に仕事をしていた中尾君から聞いた話。
以前、中尾君は某個人商店のプ
ログラム作成を担当していた。
開発作業場所に提供されたのは、商店裏庭の二階建て倉庫の二階の、六畳程の狭い部屋だった。
そこにリーダー、設計者、プログラマー、テスト担当者、
といつも6、7人の20代から30代の男性ばかりがひしめいて作業していたという。
プログラムの多くは自社ですでに作成されていたが、
それを本番環境に乗せて調整するのに手間取り、本番稼動日を目前に毎日終電帰りを余儀なくされていた。
本当なら徹夜の突貫作業をして遅れを取り戻したいところだったが、その現場では出来なかった。
その現場は半端なく<出る>ところだったので。
商店のオーナーたちもその事はよくわかっており、
「そこにはあまり遅くまでいない方がいいよ。徹夜作業をするのはいいけど、何かあってもうちは知らないから」
とはっきりと釘を刺されていた。
商店のオーナーや家族たちも、同じ裏庭の敷地に建てられた家や店舗の二階に住んでいたが、
そこでは妙な事は起こっていない様だった。
作業場所に提供された倉庫というのは古い、木造モルタル建ての建物で、元々は倉庫として建てられたものではなく、
普通の住まいとして建てられたらしい家だった。
実際、建物のあちこちには生活臭のあるテーブルや箪笥や本棚や子供の玩具や、
オークションに出せばレトロ品として売れそうな古いテレビやラジオが乱雑に置かれており、
箪笥の引き出しには、埃まみれになって変色した衣類がきちんと畳んで詰まったままになっていたという。

200:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:03:06.62 bIEXoD6G0.net
(2/6)

そういった物を隅に押しやって、商店のイベントの看板や景品の残りや、
もう使わない様なものがまた乱雑に積み上げられているだけの、倉庫とは名ばかりのガラクタ置場の様なところだった。
「酷いでしょ。そんなとこで作業させるのって。もちろん本番稼動でパソコンやプリンター置くのはお店の事務所なんですけど。
 その事務所が狭くて僕たちが座る場所が無くって、準備作業はボロ倉庫でやる事になったんです。
 作業してたのがまた真夏の暑い時期で。
 クーラーはとりあえずありましたけど、これまた年代物の古ーい、昼間はほとんど冷えない様なボロで。
 狭い部屋に野郎ばっかりひしめいて、汗ダラダラかきながらプログラム作ってたんですよ。それで痩せましたもん、僕」
と中尾君はブツブツ言っていた。
「で、そこで毎日同じ時間の頃に見られたのがね」
中尾君たちが作業していた部屋には、高さ1メートル80センチ、幅1メートル程のスチール製の本棚があり、
棚にはプログラム仕様書の分厚いファイルや環境設定マニュアル本などがぎっしりと並べられていた。
それが夜の8時くらいになると

ドッスンドッスン
ガタガタグラグラ

とひとりでに、派手に動くのだという。
「百キロニ百キロのもんですよ。それが勝手にガタガタ音をたてて動くんです。それも縦揺れ横揺れ斜め揺れ入り乱れて。
 みんなの見てる前で。やかましいわそのたんびに本が落ちて散らばるわ。
 初めはびっくりしましたけど、しばらくしたら慣れちゃって。時間になったらコンビニで買ってきた弁当食べながら
 『そろそろはじまるぞ……ほれ、はじまった』
 ってみんなで見物する様になっちゃいました。


 中にはカリカリきて『うるせー!やめろ!』とか『散らかるだろ』とか言って
 棚が動いてる前で本を拾った奴もいましたけど、他には何も起きませんでした」
また、怪異はこれだけではないらしく
「これも決まった時間なんですけどね」
と中尾君は続けた。

201:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:04:33.85 bIEXoD6G0.net
(3/6)

「倉庫の裏には細い路地があって、その向こうにはよその家が建ってて、路地と倉庫の間は生け垣になってるんですけどね。
 夜中の11時を過ぎると、そこの路地を下駄でカラコロ歩く奴がいるんです。
 ただ歩いて通り過ぎるんじゃなくて、僕たちがいる倉庫のあたりを何度も何度もずーっと行き来し続けるんですよ」
 路地は舗装されていない土が剥き出しの道で、昼間でも通る者はほとんどいない。
 夜中であたりが静かだとはいえ、地面が土なのだから下駄の音もそんなに聞こえるわけでもなさそうなのにやけに響き、
 うるさいなぁ、と窓を開けてみると誰もいない。窓を開ける直前まで、そのカラコロという音は路地から聞こえていたのだが。
「僕は電車通勤だったらその時刻まではあんまりいなかったんですけど。でも何回か聞きましたよ。
 はじめはね、僕たちが遅くまで部屋の明かりを付けて作業してるから、
 近所の人が何か文句を言いたくて来てるのかと思ってたんです。でも、窓を開けてもいつも誰もいないし。
 で、いつだったか僕が帰った後に、作業してた奴の一人がいきなり窓を開けて
 『うるさいッ!』
 って怒鳴った事があったらしくて。そしたら」
窓を開けた時にはやはり路地には誰もいなかったが、しばらくすると、自分たちがいる二階の部屋の窓の真下の、一階の壁が

ドンドンドンドン!

ともの凄い勢いで叩かれたという。
その音に部屋にいた者たちは顔を見合わせて
「怒ったぞ」
「あ、あんな事言うから」
などと言ったが、もう後の祭である。そう言っている間にも、元々ボロ屋の倉庫の壁が砕けそうな勢いで壁を叩く音は続いている。
音は深夜のご近所に鳴り響いており、
騒ぎを聞きつけた商店のオーナーたちが来てくれないかな、などとも思ったがその様子は無さそうだった。

どうしよう、とみなで顔を見合わせ、いい歳をした男たちがおびえまくるものの音は依然として鳴りやまず、
揃って青い顔をしているとやがて壁を叩く音がふっと止み、代わりに

ガリッ

と、壁を引っ掻く様な音が聞こえてきた。

202:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:05:51.33 bIEXoD6G0.net
(4/6)

それに
(何だ?)
とまたも顔を見合わせていると

ガリッ、ガリッ、ガリッ……
と。その音はどうやら近づいて来ている様だった。
一階から、自分たちがいる部屋の窓へと壁を這い上って。
(……!)
みなは目を見開け、いいっと歯を食いしばった表情でお互いの顔を、そして音が近づいて来る窓を一心に見つめた。
と、次の瞬間、路地に向かってうるさいッ!と怒鳴った同僚が部屋にあった電気ポットを持ち上げ、蓋を開けると、
窓の外を見ないように顔をそむけたままいきなり窓をガラッと開けて
ポットの熱湯を窓の真下にぶちまけた。

音はパタリと止んだ。

窓の外には何もおらず、同僚は顔をそむけたまますぐに窓をピシャリと閉めた。部屋にはポットを持ったままの同僚の、
荒い息だけが響いた。
その夜はさすがに作業を切り上げ、みなで逃げ出したという。
それからも路地での足音は変わらず毎日聞こえたらしいが、もう誰も相手にはしなくなった。

「他にもホンットに色々あったんですけどね。物はよく無くなったし。確かにそこにあったのに、
 ちょっと目を離したら無くなっててとんでもないとこに移動してるとか。作業してたら肩を叩かれたとか。
 トイレで用を足してたら後ろから押されたりとか。
 一階の玄関の扉が開いて誰かが入ってくる音とか、階段を上ってくる足音がして、
 僕たちが作業してる部屋のあたりまで来るんだけど、見てみたら誰もいないとか。
 一階には誰もいないはずなのに誰かがドタバタする音がしたり、子供の声がしたり。本当にキリがないとこでしたよ。
 どこから持ち出したのか知らないけど、僕たちが帰ろうとしたら玄関のたたきのところに、
 でかい洋服箪笥が斜めに突っ込んであったり。そんな事商店のオーナーたちはやらないし、何人かでないと出来ないし、
 でもそんな物音は全然しなかったし。で、リーダーと、他の何人かはね……」

203:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:07:02.20 bIEXoD6G0.net
(5/6)

倉庫の戸締まりは、商店側から予備の鍵を渡され、中尾君たちが行っていた。
ある日も午前0時近くまで作業をして、現場リーダーと2、3人の者が戸締まりをして最後に玄関を施錠して帰ろうとした。
玄関の戸はやはり時間が止まったままの様な、真横にガラガラとスライドさせて開閉する古びた木とガラスの引き戸で、
現場から出る時は玄関の明かりも消してしまうので真っ暗になり、
鍵をかける時は鍵穴のあたりを懐中電灯やペンライトで照らしていた。その日も
「ほいリーダー、見えますかぁ?」
「お、さんきゅ」
と手元を照らしてもらいリーダーが鍵をかけていると、ガラス戸に映る、同僚が照らしてくれている明かりの輪が、何か
ぼわん
といきなり大きくなった。
が、リーダーは気にせず、そのまま鍵を鍵穴から抜き取って振り向いた。そして
「じゃ、帰りま……」
と言っている同僚たちの後ろに
大きな白い光の球が、こちらへと向かって飛んで来るのが見えた。
「う、うわわわわわ!」
それを見てリーダーがわけのわからない声をあげると、同僚たちも振り向き、すぐに気付いて
「げっ!」
「ぎゃっ!」
などと悲鳴をあげてそれぞれに逃げ出した。
リーダーもすぐに逃げようとしたが、その時まだ、玄関の施錠確認をしていない事を何故か思い出し、
この非常事態だというのに、ガラス戸の鍵がちゃんとかかっているかどうか後ろ手で戸をガタガタと動かして確認……
しているすぐ真横を1メートルはありそうな巨大な、しかも車のヘッドライトの様に強烈な白い発光体が
ガラス戸を突き抜けて、建物の中へと入って行った。
光の球の中には何か人影の様なものも見えたが、そんな事はどうでもよかった。
リーダーは大きな発光体を目の前で見ながら施錠を確認し、飛んで逃げた。
「もし施錠し忘れてたら、責任問題だろうが。俺の立場としてはそっちの方が怖いから。幽霊よりも」
と後にリーダーはぼやいていたという。

204:OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/
14/08/24 01:08:21.93 bIEXoD6G0.net
(6/6)

「結局なんとか納品できましたけどね。まずはメインの部分だけ。
 でも本番に乗せてからも普通なら考えられないバグやエラーが出まくるし、ディスクも何度か飛ぶしプリンターも何台か壊れるし。
 買ってきたばかりの新品のケーブルがどういうわけか壊れてるとか、マウスの中のボールがいつの間にか割れてるとか。
 もうお手上げでしたよ。僕は本番が動きだしてから他の現場の担当になりましたけど。
 ホント、あらゆる意味でとにかく早く逃げ出したかったです」
その商店は今も営業しており、裏庭の倉庫もまだあるという。

倉庫についてのいわくは
<聞くな>
と会社から命令されていたので、わからずじまいだそうだ。


【終わり】


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