短編推理 あなたは解けるか? Part5at MYSTERY
短編推理 あなたは解けるか? Part5 - 暇つぶし2ch857:縁の下の怠け者
20/05/05 20:51:30.59 3eDb79l3.net
問題編 1/2
あれは平成が始まった頃の事だった。
私立探偵、鶴見川御南はセブンスターの煙を事務所内に燻らせながら、1枚の紙と睨めっこ。
事の発端は友人、木津戸からの電話。
「久し振りだな、どうした?」
「実は……お前に頼み事があるんだ。」
「飼い犬探しか浮気調査以外で頼む。」
「この間死んだ俺の爺ちゃんが遺した未練を断ち切って欲しいんだ。」
「霊能力や都市伝説なら担当外だぜ。」
「まあ、聞いてくれよ……。」
木津戸の祖父は定年まで刑事として現場を走り続けたまさに警察官の鑑であった。
その彼が戦前、捜査に当たったある連続殺人事件について、突如思い出したように孫に語り出したのが2週間程前の事だ。
既に命に拘わる大病を患い、痴呆も進み、不意に気絶したり錯乱状態になる事も。
全身が痺れ、慣れ親しんだ言語すらももはや満足に操れなくなる程であった。
しかし、その事件の話の時だけは何故だかハッキリと話せるようになるのだ。
7名を殺害した殺人鬼が残した暗号を解読し、その潜伏場所を突き止めた彼は、断片的にしか思い出せなかったが、日本海に面したある土地で犯人を追い詰めた。
だが、犯人は観念したのか自ら海の藻屑へと消え去ったのだ。
結局遺体が発見される事は無かった。
こうして、被疑者死亡のまま事件は終焉を迎えた…はずだった。
ところが、半世紀以上も経った今際の際になって、毎日のように彼の最期の光景が夢に現れるようになり、白い人型の靄がむせび泣くように語りかけて来るのだという。
「私はやってない。私じゃない。」
「もしかしたらワシは…無実の人間を死に追いやってしまったのかもしれない。」と。
罪の意識に苛まれるようになったという。
「ワシにはもう時間が無い。」
と言って当時使用していた手帳を孫に手渡すと、意識を失い、そのまま還らぬ人となったのがつい3日前の事であった。
葬儀を終えた木津戸は、祖父の手帳を読み返すやいなや、早々に白旗を上げて私に電話をしてきたわけだ。
「すまない、手帳は所々穴が空いていて虫食い状態になっていたから分かる範囲で手書きの表でまとめておいたからファックスで送る。」


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