CHEMISTRY No.273at MUSICJG
CHEMISTRY No.273 - 暇つぶし2ch436:名無しさん@お腹いっぱい。
21/06/10 08:26:22.78 zfXVpFcsd.net
421+3 :俺より強い名無しに会いにいく@転載禁止 [sage] :2018/12/16(日) 17:22:17 HOST:CTqAsYbs00 (1/2)
「グラブルバーサス公式アンバサダーに就任された、梅原大吾さんです!」
司会者のアナウンスに会場は"二度"どよめいた。
一度目は「あの"レジェンド"が復活するのか?」という、歓喜と疑念の入り混じったどよめき。
そして二度目は、スタッフに連れられ登壇した男の、異様な風貌に対してのどよめきであった。
「Cygames Beast」のロゴがプリントされたシャツはパツンパツンに張り、その文字を読み取れない程であった。
登壇前にスタイリストが整えたであろう髪は、掻き毟るのをやめない手のせいでボサボサに跳ねていた。
表情はうつろで、厚ぼったく腫れた瞼からわずかに見えた瞳は、会場のどこにも焦点があっていないようだった。
"破裂寸前の風船" 観客の一人は後にそう証言した。
「梅原さん、公式アンバサダーとしての意気込みなどをお聞かせ願えますか?」
「あー…俺がガキの頃はゲームやると馬鹿になるって言われてて…」
ウメハラが口を開くと、会場には安堵の空気が広がった。
まともに喋れるのか疑わしいほどの風体では無理もない。
しかし、その安堵も一瞬の"凪"でしか無かった。
「ありがとうございます。それでは実機プレーを交えて梅原さんに…」
「図体がでかかったからさぁ、ガキ大将やってて」
噛み合わない会話に、会場は少しずつ理解していく。
ウメハラは"まとも"ではなかった。
過度な飲酒によって破壊された彼の脳は、もはや耳から入る情報を整理することができなくなっていた。
ただマイクを持つという条件反射により、幾度となく繰り返してきた昔話を再生しているに過ぎなかったのだ。
会場に動揺と緊張が広がる中、事件は起こった。
ウメハラが司会者の飲む水を酒と勘違いし、奪おうと襲いかかったのだ。
悲鳴と怒号。会場は瞬く間に恐慌状態に陥った。
イベントは中止となり、一週間後、公式生放送にてCygames Beastの解散が発表された。
ウメハラは自宅のソファの上で、その放送をぼんやりと眺めていた。
優しい同居人と酒を酌み交わしながら。


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