CHEMISTRY No.262at MUSICJG
CHEMISTRY No.262 - 暇つぶし2ch487:名無しさん@お腹いっぱい。
18/02/12 16:20:13.60 MvNrVmPF.net
281 :俺より強い名無しに会いにいく [sage] :2018/02/11(日) 20:18:51.93 0
 男は友と並んで、浅草の町を歩いていた。
モヒカンに剃り上げた頭にサングラス、羽織っているM65は所々が血で汚れていたが、それは間違い無くかつての友であった。
思いも寄らなかった再会に、二人の会話は弾んだ。
「それにしても、まさかお前が生きているとはな。俺は名古屋に向かっていたんだが、もしかしてと思って浅草に寄ったんだ。それで正解だったよ」
「力丸に知らせたらさっきの俺達みたいに驚くだろうね~。それにしてもなんで名古屋に?そこになにかあるわけ?」
「名古屋には、今でも都市機能が残っている。日本最後の都市だよ」
「まーーーーーーーじか!」
「今でも、夜に明かりが絶えることなく、万博のように人が活気づいている。別名・夜万博と呼ばれているらしい」
 そこまで話すと、友は立ち止まり、晋剣な表情で男に語りかけた。
「お前も来ないか?いや、来てくれ。いきなりで悪いが、それでもここで暮らし続けるよりいいだろ?」
「そうなんだよね・・・・・・でもさぁ~」首を横に振りながら、男は答える「俺にはこの町の皆がいるんだよね」
 友は「何をいっとるんじゃ! たわけ! どこをどう見ても無人の廃墟じゃ!」と怒鳴ろうとしたが、それよりも早く、男はポケットからリモコンを取り出し、スイッチを入れた。
するとその信号は、男が設置したのであろう町中のケーブルに伝わり、ケーブルに繋がれたスピーカーから人々の声が流れ出した。
商店街は浅草に暮らす人々の声で満たされ、浅草神社に近づけば観光客の声が、ゲームセンターの前を通れば格ゲーマー達の歓声が聞こえた。
「いやー驚いたね」
 一瞬にして生を取り戻した浅草を前にして、友は唖然としながら呟いた。
 夜中三時半。ビルに到着した二人の会話は止むことなく、晋也にまで及んだ。
友は、男が寿司と焼き肉だと言うアナゴと肉の缶詰をつまみながら、時折ふと暗い表情を浮かべながらも、男の問いかけには笑顔で応えていた。
「そろそろかな~」男はそういって立ち上がると、隣の部屋に向かいながら話す「今日は王国復活といかない?」
「復活?」
「最近はまた配信してるんだよね。けっこう見てくれる人がいてさぁ」
 そういって男が持ってきたのは、壊れたノートパソコンだった。
男は電源ボタンを押すと、真っ暗な画面に流れるコメントに向かって返事をしていく。
その姿を見ても、友はもう「いやー驚いたね」とは言わず、男と一緒に一夜限りの王国復活配信を楽しんだ。

282 :俺より強い名無しに会いにいく [sage] :2018/02/11(日) 20:20:51.08 0
 翌朝、友は旅立った。無理矢理にでも名古屋に連れて行こうという思いが決して無かったわけではない。
だが、男がたった一人で築き上げたこのネバーランドを壊す権利が、自分にあるのだろうか? 共に暮らしているという力丸について、尋ねる勇気さえ持たない自分が?
自分にできるのは、ただ黙って、笑顔で別れの言葉を交わすことだけだった。
 男はビルの屋上から、友の武装タクシーが地平線の向こうに消えていくまで見つめた後、部屋に戻った。
そして、机に置かれた快楽器具に「力丸」と呼びかけると、スイッチを入れた。力丸の電動音が部屋に響き渡り、男は力丸を肛門に近づける。
「やめろ!力丸!」
ウィン
「んっ!」
ウィンウィンウィンウィンウィン
「んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!」
「ウィンウィンウィンウィンウィン」
「んっ!力丸!」


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