15/12/02 07:21:41.93 Ulky8SnG.net
こういうのはどうだろう。
その未来では、社会と技術の進歩により、人類はありとあらゆる困難を解決した。
そこは戦争がなく、災害は全て防ぎ、病気はたちどころに治り、貧富の差もなく、
ロボットが全ての仕事をこなしてくれて、人類全員が幸せに暮らせるこの世の楽園だった。
人はすべきことが何もなくなった。楽しい遊びは無限にあれど、義務は皆無になった。
そうしてあるとき、遊び飽きて少し退屈になった人がこう思うんだ。
「自分はなぜ生きているんだろう?」
「確かに楽しい暮らしだけど、子供を産む必要ってあるかな?」
「どんなに幸せでもいつかは死んじゃうのに、生きる必要ってあるかな?」
何しろすべきことがない。だから時間は有り余ってるわけだ。ひたすらに考え続けるわけだ。
彼は考えて考えて、けれど答えなど出なくて、気晴らしに出かけた古本屋さんで
1冊の古い本を見つける。その本こそデビット・ベネイター著、Antinatalism。
「なるほど」
と、何かに納得した彼はその本を買って、友達の家に遊びに行くことにした。
何日もかけて、知人全ての家を訪ねた。全ての友達に、自分の考えを話して回った。
誰もが目を丸くしたけれど、真剣に語る彼の話は、誰にとっても魅力的な提案だった。
なぜならそれは、遊び疲れた人々に残された最後の1つの「すべきこと」だったからだ。
彼の話を聞いた人は、自分の友達にもその話を伝えた。その友達もまた友達に話し、
いつしか反出生主義は世界中に広まった。誰もがそれを受け入れた。
反出生主義はついに『便宜的な正しさ』になった。
その後、もうしばらく時間が経ったとき、人類は。
妄想垂れ流しもいいところだが、せっかく書いたから恥を恐れず書き込むとするよ。
読んでくれた人、ありがとう。