18/11/28 00:15:46.53 q+FbBAPy.net
今回は普段の「ゆるーい雰囲気の導入部」と異なり冒頭から仕掛けてきているのが大きな特徴。
前巻で描かれた銀子の三段昇格や孫弟子あいや天衣、実の娘の桂香の女流棋士昇格といった
一門の繁栄を身銭を切って名士を招き、盛大に祝う清滝師匠のご機嫌な姿が描かれるのだ けど、
八一の発した不用意な一言で棋士として「自分が信じてきたもの」を弟子に否定されたと受け止めてしまった清滝師匠が
一巻冒頭の様なおちゃらけ要素抜きで本気でキレた姿は挿絵を担当するしらび氏の見事な仕事もあって
この巻全体が纏う「ただ事でない雰囲気」を「いつもの明るい入り」を予想した読者に突き付けてくる。
前半は順位戦で降級寸前にまで追い込まれている状態での一局で勝ちを確信した僅かな油断から信じられない大ポカをやらかし、
表を歩けないほどの屈辱的敗戦を喫したのを皮切りに、清滝師匠の転落をこれでもか と描き続けている。
「名人位に二度挑戦した事がある」
「かつてはA級に在籍していた」
そんな屁のツッパリの様な「実績」に縋り、衰えていく肉体・気力・棋力から目を逸らし続けて酒に逃げていた
「怠慢のツケ」を支払わされる老棋士の姿は読者をして目を覆わしめるものがあった。