16/05/21 18:04:41.14 O/eMOpbn0.net
5つ星のうち 4.0 「認識」と「自我」を巡る血みどろ幻想譚。若干詰め込み過ぎの部分もあるが、新人らしいチャレンジ精神が随所に光っている, 2016/5/21
Amazon.co.jp: ふあゆ (ガガガ文庫)の ヤボ夫さんのレビュー
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703:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:04:54.78 prxE1mvM0.net
第10回小学館ライトノベル大賞「優秀賞」受賞作
704:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:05:06.41 bxuwoS4N0.net
物語は主人公の高校生・龍胆ツクシが朝食の席で法医学者である祖父のカイが昨晩執刀した三人分の奇妙な遺体について聞かされる場面から始まる
首元から下腹部にかけて縦に切り割かれた胴体に潰された二人分の体が詰め込まれていたという奇怪な事件について昔から妙な事に巻き込まれ易い
孫の身を案じるように語る祖父の顔は幼少時に両親を失った事故で自らも頭部に重傷を負ったツクシにはシベリアンハスキーにしか見えていなかった
漁港と温泉が売り物の田舎町の高校に通う道すがらツクシは早くも事件が他の生徒の間にも知れ渡っている事に驚かされるが、転校生にして双子の後輩
寿ユラ(サザエ)・ユキ(ヒメジャコガイ)、クラス委員長の天津カエラ(額縁に嵌った「泣く女」)、男勝りな幼馴染・森宮タクミ(ガゼル)の集う学校は平和そのもの
家に帰ったツクシは祖父が再び急な仕事に呼び出されたこともあり、夕食がてら温泉に入りに行くが、その帰り道に傍を通った廃ビルから助けを求める
声がするのを耳にする。廃ビルに忍び込んだツクシが見たのは人相の悪い男の死体とその傍らに立つ赤いコートを着たハシビロコウ頭の怪人だった
建物の奥に姿を消したハシビロコウを追ったツクシは突然足元に絡んできた影に足を取られて転んだあげく逃がしてしまう事に。警察での調べを終えて
迎えに来た祖父とともに帰宅し、ベッドに寝転がっていたツクシだったが、ふと気が付けば腹の上にオレンジ色のワンピースとフード付きのローブを纏った
魔法使いの様な格好の女の子が座っていた。仰天するツクシに向かって「ジブンタチはジブンになりたい、だからジブンタチにジブンを教えて!」と大騒ぎする
その子の姿は何事かと部屋に入ってきた祖父には見えていない様子。仕方無しに少女にジュゲムと名付けたツクシだったが、ジュゲムは自らを他人が
観測する事で存在を確定し、観測者の無意識に眠る願望を昇華させた存在「意識の住人」であると名乗るが、その姿はツクシの幼馴染タクミの幼い頃の
姿に酷似していた。その間にも町を舞台に凶行は続き、やがてその手は祖父のカイへと及ぶ事に…
705:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:06:14.75 09ts3IE10.net
…いかにも個性的な作品の多い事で知られるガガガ文庫らしい、としか言い様が無い。まさに個性大爆発な新人さんが出てきたな、という印象
冒頭で「ホットドッグ」と形容される様な奇怪な死体が形作られる凄惨な事件の描写が生々しく描写される辺りから「おおぅ…」と唸らされたけど、終始この
血生臭い展開が続いて作品を埋め尽くしている辺りは同文庫で名を馳せる江波光則とタメを張れるぐらいに凄まじい。ガガガ文庫はそういうレーベルだと
知った上で読まれる分には良いけど、血が苦手なまま、そうと知らずに手にした方は「まあ、お気の毒」と言うしか無い
706:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:06:54.11 e0d2gEMwM.net
物語の方は事故で頭に大怪我を負い、他人の顔が、もっと明確に言えば死んだ人間以外の顔は他の生物や無生物に見える少年・ツクシが自分の影に
住み着いた「意識の住人」を名乗る少女・ジュゲムと共に恐るべき膂力を持ち次から次へと凶行に及んでは惨死体を創り上げるハシビロコウ頭の怪人の
正体を追い、その怪人を産み出した事件の黒幕に挑むというある種のミステリ的な展開となっている
707:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:07:57.02 PXfqIL2LH.net
上で述べた様に恐ろしく血生臭い物語で、つい先ほどまでツクシと話をしていた人物が、それもツクシにとっては掛け替えの無い人物があっさりと肉塊に
姿を変える展開が続くので「「血の気の多い作品はダメ」という方は回れ右をした方が良さそう。逆に凶行の場面を描かずに、その直前までを描いた上で
ツクシに想いを寄せていた、あるヒロインが「顔だけは残されている」状態にされていたと語られる場面では「うわぁ」となった。直接的に描かず読者の
想像力を利用する事でより残虐な物を思い浮かべさせるという作者のテクニックはなかなかの物かと
708:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:08:10.13 S+IorXBHM.net
それじゃ単にショッキングな描写に頼ったタイプの作品かと思う方もおられるかも知れないが、そうじゃない。ジュゲムやハシビロコウの怪人の正体も
含めて、「他者の認識に依って成立する自我」というテーマを巧くストーリーに練り込んである点は新人離れした物を感じさせた。他人を観測者に仕立てて
その無意識下に眠る願望を反映して存在を確定させる、という「意識の住人」や、そのベースとなる「八百万現象」の設定はユングの「集合的無意識」で
あったり、ラカンの「鏡像段階」をベースにしている物と思われるが(どっちも20年以上前のいきがった学生時代に挑戦してあまりの難しさに読むのを
放棄したから偉そうな事は言えんけど)作者の精神分析学に対する拘りの様な物が見えて実に面白かった。この手のテーマを掲げた作品をぶつけてくる
新人作家は今日び珍しいのでそれだけでもこの今慈ムジナという作家をデビューさせたガガガ文庫編集部のチャレンジ精神は大いに買いたい
709:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:08:19.39 MDZGmpNA0.net
登場人物の方も主人公のツクシを始め、かなりの個性派揃い。異様なぐらいに体を鍛え込んでいるが、普段は飄々とした態度で物事を真正面から
受け止めようとせず、韜晦し切った態度を取り続けるツクシが祖父を惨殺され、自分を想ってくれていた後輩を肉塊にされる度に少しずつ壊れ具合が
進行し、ツクシにとっての「世界の見え方」がグロテスクな方へとシフトしていく様は幻想描写として見ても相当なレベルにあるかと。そんなツクシが
事故に遭うきっかけを自分が作ってしまったという負い目を抱き、普段はぶっきらぼうな態度を取り続けながら誰よりもツクシの身を案じているタクミは
ボーイッシュ系美少女が好きな方には堪らないタイプのヒロイン。そして事件の黒幕であるもう一人のヒロインは…ここまでトチ狂ったヤンデレキャラは
久しぶりにお目にかかった。終盤で正体が明らかにされても、その「認識された」状況自体がツクシを追い込むという展開に、頭が切れる狂人の仕組んだ
多重の罠の厄介さもあって読者には非常に強烈な印象が残る事になるかと
710:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:08:36.34 76GMnacAH.net
ただ、非常に強い意気込みは買う一方で「詰め込み過ぎ」という印象が残ったのは否定できない。特に作中に登場する組織「八百万対策課」の存在は
ちょっと中途半端だったかな、という印象を受けた。登場したと思ったらあっさりと全滅する組織を出すぐらいなら、タクミや黒幕とツクシの過去の関係を
もう少し掘り下げた方が、終盤の愛憎が入り混じりまくった展開はより引き立ったのではないかと思えた(ついでに言えば、何で「警視庁」の一部署が
若者が次々と上京する他府県の田舎町で堂々と活動しているのかと…一昨年の新人賞作品でも指摘させて頂いたが同じミス繰り返してないか?)
特にジュゲムが幼い頃のタクミがツクシに「女の子っぽい姿」を見せる場面は実に良かったから、この繋がりはもっと強調するべきであったし、黒幕が
ツクシに過剰な幻想を抱く過程ももう少し掘り下げた方が終盤で見せるヤンデレっぷりが更に強烈な物になったのではないかと惜しまれて仕方ない
711:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:09:21.87 ZoiqGM2bH.net
この手の書くべき部分の取捨選択なんかは書き慣れれば向上すると思うので、新人作家なりに肩に少しばかり力が入り過ぎた結果かと思われる
むしろ本作で見るべきは精神分析学が取り扱って来た「自我」や「認識」の問題を臭みを出す事無く巧みにストーリー展開に取り入れて見せた作者の
テクニックであり、またそういったテーマを掲げて見せたチャレンジ精神の方かと思われる。どこかで見た様な作品しか書こうとしないデビューの意義を
感じさせない新人作家が多い中で、こういう「自分はこういう物を書きたい!」と強烈にぶつけてくるタイプの作家さんがデビューしてくれる事は大歓迎
やれ異世界だのチーレムだの俺TUEEEだのに逃げる新人作家にゲンナリされている方には「まだこんな強烈な個性が眠っていたぞ!」と強くお勧め
したくなる個性大爆発な新人作家さんのデビュー作であった
712:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 18:10:11.15 cxHjF9sPH.net
5つ星のうち 4.0 「認識」と「自我」を巡る血みどろ幻想譚。若干詰め込み過ぎの部分もあるが、新人らしいチャレンジ精神が随所に光っている, 2016/5/21
Amazon.co.jp: ふあゆ (ガガガ文庫)の ヤボ夫さんのレビュー
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713:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (アウアウ Sa22-MTTD)
16/05/21 22:15:37.88 WRWFTldIa.net
友崎くんよりもふあゆの方が気になってるんだけど誰か読んでないのか
714:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/21 22:32:50.23 .net
>>687
>>676-686
715:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ワッチョイ 1c37-xKv1)
16/05/21 23:36:05.66 oP4IHF/80.net
>>687
買ったがまだ積んでる
716:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ペラペラ SD78-MTTD)
16/05/22 01:08:44.78 fah7mMLCD.net
ふあゆの感想まだかな。
717:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (アウアウ Sa22-MTTD)
16/05/22 13:13:55.29 EWpxUP5sa.net
日曜だから一息で読んじゃったけど
まあガガガらしくはあった
718:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ベーイモ MM86-KAQ4)
16/05/22 17:01:21.14 qcauoKXVM.net
バニー2読みたい
ささやき、詠唱、祈り、・・・、みたいな多少衝撃受けるようなネタも入ってるといいな
七日2は1に比べて面白くなかったから3以降は買わない
作者を批判したくないから編集者怠慢過ぎと言ってみる
弱キャラは1章読んだけど学園物っぽくて読破前にお腹いっぱい
ふあゆはまだ読んでないけど買った
七日2とスバル1にがっかりしすぎて半年近くガガガ買ってなかったけど
面白いのがまた読めるといいな
719:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ワッチョイ bce6-H34t)
16/05/22 17:11:39.26 GqgaJmRW0.net
さすがに買う前から学園物なことくらいはわかるだろう…
720:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ワッチョイ d0db-xKv1)
16/05/22 18:04:41.37 7Um9+T3i0.net
トンチキだな
721:イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/
16/05/23 08:34:30.30 OdAKYPAj.net
>>641
青春ブタ野郎と俺ガイルは水と油らしいな
どっちか楽しめる奴はもう一方を楽しめないらしい
722:過去ログ ★
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