25/09/01 23:07:15.17 AyrJq/rYz
雪がちらついているのに意外なほど遠くがよく見えた。
厚い雪雲の下面と函館市との間の空気層の間隙の先に大沼公園の山並みが見えた。
雪雲の底の平面は、鉛色をした海と平行したまま遠のいて行って、水平線との間に、くっきりと一条、青空を残して終わっていた。
そこには春のような輝きがあった。
函館市の背後の山稜を覆った雪雲の暗さから想像すると、間もなくはげしい風を伴った、嵐にでもなりそうな光景であった。
函館としては珍しいことである。
若者は、その雲の底を生まれて初めて見る怪奇な現象であるかのように見詰めていたが、首が痛くなると、目を足もとの函館市街とそのつづきの海にやった。
函館に生まれて、函館に育っていながら、このたった、334メートルの函館山の頂上に、こんなすばらしい景観が展開されることをこの瞬間発見したような気がした。