09/04/14 15:32:11 .net
資本主義の段階的達成が社会主義や共産社会へと至る前提条件だとか、ブルジョワ社会の成立
がプロレタリアート革命の前提条件だという、エンゲルスやマルクスの提示した歴史的条件に対し、
マルクス主義のなかにもいろいろな議論があり、立場の違いがたしかにありました。資本主義を
経ずに労働者革命が実現できるという議論はとりわけロシアの進歩的知識人の間で起こりました。
ロシア革命当時のロシア帝国は、まだ資本主義(ブルジョワ)社会以前の封建社会の段階にあり、
絶対王政の時代でした。都市部では工業化が進みはじめていたけれども、帝国全体からすれば、
ブルジョワ階級もプロレタリア階級もごく僅かしかおらず、もちろん多数派を占めていないわけで、
ブルジョワ支配の無いところでブルジョワ支配を転覆するプロレタリア革命を起こすというのは、
実に奇妙な話です。ロシア革命は正統なマルクス主義の仮定から随分と逸脱してしまっています。
マルクスやエンゲルスの考えでは、まず、ブルジョワ社会が成熟した民主主義社会を実現してゆき、
それら諸々の遺産の上に、やっと多数派になったプロレタリア階級によるプロレタリア階級のための
政治が実現可能になるだろう、ということでした。
でもマルクス主義がロシアに取り込まれてゆく過程で、当時のロシアの地元の思想の影響を受けてか、
マルクス主義の従来の考えに対する大幅な修正が施されることになりました。ロシアのマルクス主義者
の間でもこれが論争になり、ロシアではそのような考えはレーニンらによって経済主義として徹底的に
批判されたのです。こうしてロシアバージョンに大幅に修正された社会主義が誕生することになりました