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同書の「テストの定義」の項(p18)にこうある。
「“肢”が当初当用漢字になかったことから“枝”が使われたが,身体用語を避けたいということ,
英語で設問部分を“幹(stem)”といい,選択肢が“枝(branch)”にあたることから,
本規準では『選択枝』という用語を採用することにした」というのだ。
理由付けは確かにそうなのだろう。
だが,“肢”の字が当用漢字になかったから“枝”を代用字のように使うという根拠は,
国語審議会の「同音の漢字による書き換え(昭31)」には見あたらない。
また“枝“の文字にも“手足・四肢”の意味があることは多くの漢字辞典にも記載されているので,
「身体用語を避けた」とまでは言い切れないだろう。
また,日本語の漢字選択の説明に,英語の語彙を持ち出すのもすっきりしない。
だからといって,“肢”も“枝”も避けて,“選択し”と交ぜ書きにすると,
「選択する」の連用形と誤解される心配もでてくる。
今は“肢”と“枝”のどちらも常用漢字表にあるが,
ネット上では「“選択肢”が通用しているから“肢”でよい」
「“枝”に変えていくべきだ」などの意見が飛び交っている。
中には「国は漢字を間違っている」などと“断罪”する者までいる。
日本語能力試験の応募者は,2008年に国内外で 66万人を超えた。
「“せんたくし”はどの字が正しいの?」と日本語を学ぶ外国人の混乱を招かないように,
常用漢字表の改定にあわせて,この際「せんたくし」の基本表記を定めたらどうだろう。
田中浩史(たなか ひろふみ)