【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目at CAFE40
【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目 - 暇つぶし2ch472:名無しさん@お腹いっぱい。
18/12/30 05:35:26.43 .net

結局、その夜は「くるまや」夫婦の好意に甘えて、寅ゴルゴが帰郷した時に使う部屋を一夜の宿とした花形ゴルゴであった。
同行してきた秘書やボディガード、運転手は先に帰した。そんな連中をさも大名行列の如く帯同してきたことに感じた言いしれぬ羞恥を持ち帰らせながら。
昨日から目にした、名も知れぬ市井の人たちの貧しくとも明るくまっすぐに日々を送る生活ぶりに触れたことは、幼い頃から家柄、しきたり、
富裕な者たちがむしろ礼儀として身につけるある種のスノッブな環境で育った彼には見るもの聞くものが新鮮であった。
寅ゴルゴの妹、叔母による心づくしの煮物や、おみおつけ、焼き魚、手製の漬物などが小さなちゃぶ台にところ狭しと並べ立てられ、さくらの夫が勧めるサントリーの角瓶の肴となった。
さくらの夫、博ゴルゴが小さな印刷工場の職工ながらなかなかのインテリで、もう少し裕福であれば大学教育も受けられ、一角の人物になっていたであろうと刹那に思った自分をまた恥じた。
どうしても自分の生活環境と引き合わせてしまう不遜さが「くるまや」一家やタコと愛称で呼ばれている町工場の社長の前では卑小なものとなる。
「清貧」という言葉があるが、この人たちはまさにそれを地でごく当たり前のこととして行っている。
貧しいけれど皆お互い様とばかりに助け合い、お天道様に恥じるような了見やふるまいを嫌悪して、人としてまっすぐに胸を張って生きている誇りに満ちていた。
虚飾と虚栄心、時には権謀術数が渦巻き、シャンデリアの煌めきの下で数限りなく繰り返されるパーティで、高価な衣をまとい洗練された会話を気取ったふるまいで交わしあいながら、
内心では疑心暗鬼をもって互いを探りあう、というどす黒いものを鬱勃とさせている上流の紳士淑女たちの実像を思うと暗澹となる。


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