【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目at CAFE40
【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目 - 暇つぶし2ch367:名無しさん@お腹いっぱい。
18/12/22 21:22:09.75 .net
―3-
会食を終え外に出ると、いつの間に降り出したのであろうか。丹沢時雨は雪に変わっていた。ふたりの肩に、顔にと雪が降りかかる。
「では、横山さん、ワシはこれで失礼します。どうぞお体を大事にしてくだされ」そう言うと一徹ゴルゴは鎌倉駅の方へと歩き出した。
横山ゴルゴも、料亭で借りた番傘を広げ、鶴岡八幡宮の参道である国道に出た。
「兄貴!」二の鳥居の下あたりから叫び声が聞こえた。見ると稲原ゴルゴである。横山ゴルゴを見守っていた矢吹ゴルゴの知らせで駆け付けたのである。
稲原ゴルゴの姿が目に入った途端、張りつめていた横山ゴルゴの緊張が緩んだ。握っていた番傘が手から離れ、雪に舞った。早くも薄らと積り始めた
白い地面に、横山ゴルゴはよろけるようにして倒れ込んだ。「兄貴!」走ってきた稲原ゴルゴは横山ゴルゴを抱きおこし、一層腕に力を込めて抱いた。
「い…、稲原、俺の弔いはお前ひとりでいいぞ…、お前ひとりでな…」「兄貴!兄貴-っ!」
稲原ゴルゴの叫び声は、去りゆく一徹ゴルゴの背中越しにも聞こえたが、この男はついに一度も振り返ることなく駅の改札を通り抜けて行った。
車窓一面、鉛色の空から舞い降り、風でまた舞い上がる雪の白さ以外何も見えない。吊皮を握った一徹ゴルゴは目を閉じ、横山ゴルゴの冥福を祈った。
横山ゴルゴの通夜、ひとり人目も憚らず泣きじゃくる稲原ゴルゴの姿があった。横浜の加東伝三郎ゴルゴの元での駆け出し時代から、時に兄のように、
時に父のように、自分を導いてくれた横山ゴルゴとの別れは、稲原ゴルゴの胸を今にも引きちぎらんばかりの、言いようのない痛恨であった。
年が明け、風穏やかな良く晴れたある日、稲原ゴルゴは横山ゴルゴの墓に参った。墓苑を歩いていると、どこからか「神奈川水滸伝」が聞こえてくる。
「おや…」と目をやると、稲原ゴルゴを慕う、ある堅気ゴルゴが、紋付羽織袴姿でアイワのラジカセを首から下げ、物陰に隠れながら稲原ゴルゴの後を
付いてくる。少しばかり口元に笑みのようなものを浮かべ、その堅気ゴルゴに向かって頷くと、稲原ゴルゴはまた元の締った表情にもどり、
横山ゴルゴの教えをきっちりと胸に刻みながら、「神奈川水滸伝」が勇壮に流れる中、決意新たに後には退けぬ任侠の王道を歩いてゆくのであった。


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