【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目at CAFE40
【元祖】こんなゴルゴ13は嫌だ!26発目 - 暇つぶし2ch366:名無しさん@お腹いっぱい。
18/12/22 21:20:38.52 .net
―2-
「山守ゴルゴと槇原ゴルゴは腑抜けも同然。事実上、山守組を背負っているのは武田ゴルゴ。問題は、あの武田ゴルゴをどう利用するかじゃ…」
中庭の雪見灯籠を眺めながら想いを巡らせていた一徹ゴルゴであったが、廊下から聞こえる足音で我に返った。
「失礼します。一徹様、横山様がお見えになりました」女将がそっと襖を開け、そう告げたのに続いて、ぬっと横山ゴルゴが部屋に入ると、ゆっくりと
一徹ゴルゴの正面に座った。両者の目と目が合った。共に射抜くような目である。お互いを確かめ合うにどんな饒舌よりも勝る刹那の刻であった。
「横山新二郎だ。今日は遠いところをお呼び立てしてすまなかった」
「星一徹です。お噂はかねがね」
「堅気のあんたに足を運んでもらってすまねえが、どうしても聞いておきてえ事があってな。ま、悪気があってのことじゃねえ、心配しねえでくれ」
穏やかに話す横山ゴルゴだが、一語一語に任侠の世界の鉄火場でその半生を生き抜いてきた男だけが持つ重厚さが感じられた。
「ワシに用とな。どうぞ何なりと言ってくだされ」一徹ゴルゴは答えた。
「そうか。それじゃ言おう。繰り返すようだがあんたは堅気だ。だが最近、あたしらの世界でちょくちょくあんたのことを見聞きする。息子さんを
あそこまで育て上げたあんたのことだ。無論、何か考えがあってのことだろう。しかし、いってえどういう了見なんだい?はっきり聞かせちゃ
もらえねえか?」。
一徹ゴルゴは答えに窮した。横山ゴルゴに嘘を付くことを、一徹ゴルゴの心中の奥深いところにある何かが躊躇わらせた。一徹ゴルゴは横山ゴルゴを
じっと見据えた。隙を探したのである。噂には聞いていたが体調があまり良くないようにも見える。顔色が悪く頬もこけている。最後の力を振り絞って
自分と対峙しているようですらある。
(この男、残念じゃがそう長くは生きられまい。いや、もはや死んだも同然。死んだ者との口約束など何の意味も成さぬ)
黙ったままの一徹ゴルゴを促すかのように横山ゴルゴは続けた。
「稲原組と明石組は、今でこそ対立しているが、これからの時代はそういうわけにはいかねえんだ。抗争だの喧嘩だの、歪み合ってちゃいけねえ。
共存共栄していかなけりゃ共倒れになっちまう。お互いが大きくなりすぎて、全面抗争にでもなったらそれこそ何百何十という死人が出る。そんなことに
なっちゃいけねえ。それに、お上の取り締まりも厳しい。稲原組と明石組はもっと仲良くやらなくちゃならねえ。そこへ、堅気のあんたが何かと揉め事を
持ち込んでもらっちゃ具合が悪い。俺が言いたいのはそういうことだ」一気に喋ったせいで横山ゴルゴは何度か咳き込んだ。
「わかり申した。横山さん。あんたの顔も立てねばならん。これからワシは何の手出しもせぬと約束しよう」無論、本心ではないが、一徹ゴルゴには
嘘をついているという罪悪感はない。非情ではあるが、死んでゆく横山ゴルゴに手向ける一徹ゴルゴなりの精一杯の言葉であった。
「そうか…ま、礼を言わせてもらうよ」そう言うと横山ゴルゴは中庭に目をやった。築山の紅葉はすでに僅かを残して散ってしまっている。池の水面に、
散った葉が、まるで紅を撒いたように浮かんでいた。


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