18/10/22 09:27:45.84 .net
>>689
比喩が合ってるw
717:ゆーじん( ̄з ̄)
18/10/22 10:15:29.88 .net
今日から仕事し放題!頑張れよ!
朝っぱらから嫌がらせメールが来て
更年期でもないのに、なんだかイライラしちゃう!…のゴルゴw
718:ゆーじん( ̄з ̄)
18/10/22 10:21:46.39 .net
ついでに温めといたネタ放出するか…
G「あっちゃん、いつものやったげてぇ~!」
あ「聞きたいか?俺の伝説ベスト10!」
あ「切符も買わずに改札口直進!」
G「凄い!そのまま駅長室直行!」
温めたどころか丸パクりのゴルゴ……
719:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/22 11:41:18.71 .net
>>693
隠喩 ちょっ、おま…
720:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/22 15:39:29.89 .net
明石組の快進撃はとどまることを知らなかった。新しく若頭となった宮地ゴルゴは組きってのイケイケ武闘派であり、
愚連隊の頃から天塩にかけて育てた、別名「殺しの軍団」と呼ばれた柳沢組組長柳沢二郎を切り込み部隊として、
岐阜、名古屋、浜松と、東海道を縫うかのように激しい抗争をくりかえしながら地場のやくざ組織を次々に傘下にお
さめてさせた。
すでに横浜に橋頭堡として事務所を構えた益田組はおもに芸能関係をその資金源とし、明石組が経営する明石芸
能社が擁する、当時日本一の人気を誇った女性歌手を駒に東京の大手芸能プロの興行になにかと横槍を入れだし
たのである。
こうして関東方面になにやらキナ臭い匂いがのぼりたちはじめたある日のこと。熱海の歓楽街にあるキャバレー「ホ
ットシー」で、稲原ゴルゴは一部の側近を引き連れ、一夜の宴を張った。
そこへたまたま遊びに来ていた岩井ゴルゴが一徹ゴルゴを伴い、稲原ゴルゴの席に表敬に訪れた。時が時である。
内心の緊張を抑えながら表向きは双方とも笑顔で名刺を交換しあい、岩井ゴルゴが「ああ、稲原さん。ご存知かも知れ
まへんが、紹介しときますわ。こちら星一徹はんいいまんねん。まあ、わしとこのアドバイザーみたいなことをお願いして
ますねん」と一徹ゴルゴを引き合わせた。
「星さんですか。お噂はかねがね伺っております。さ、どうぞおかけください」。岩井の顔もあることだし、なによりも自分よ
りも年長の男、長幼の序よろしく稲原ゴルゴはうやうやしく一徹ゴルゴに着席をうながした。
「ああ、あんたが稲原君ですか。さすがは関東一の親分さん、若いというのにこの貫禄はたいしたものです」と、それまで
稲原ゴルゴが座っていたソファ中央部にどっかりと座り、両手をソファの背もたれにかけて、稲原ゴルゴに付いていた左右
のホステスたちを交互に見やりながら「おなご連も粒ぞろいじゃのう。今夜だけはわしだけにサービスしてくださらんか。
うははは」と大笑い。
自分の親分を「あんた」「君」呼ばわりするわ、親分の席に図々しくも座るわ、といった一徹ゴルゴの傍若無人なふるまいを
臍を噛むを思いで、それでもなんとか辛抱しながら見ていた、出水ゴルゴ、別名モロッコの辰がついにその堪忍袋の緒を
切ってしまった。
鼻の穴を大きく広げて「おい!いいかげんにしやがれ!このジジイ、うちのオヤジに向かって「いなはらくん」だとお。この
やろ。表ぇ出やがれ」と手にしたビール瓶をテーブルに叩きつけて割った。
「やめろ、モロッコとこれも稲原ゴルゴの懐刀である石河ゴルゴが一徹ゴルゴとモロッコの間にわって入った。岩井ゴルゴも
「星さん、いくらなんでも無礼が過ぎますわ、謝っとくなはれ」と一触即発のなりゆきをなんとか止めようとする。
売り言葉に買い言葉、一徹ゴルゴも激情型の男である。「血気盛んなお若いの。わしに勝とうと思いなさんな。落ち着け
落ち着け、アハハハハ」と火に油を注ぐように小馬鹿に笑うのであった。
721:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/22 20:28:15.09 .net
モロッコゴルゴと石河ゴルゴのもみあいが落ち着いたところで、ソファに腰を下ろしたままの姿勢で稲原ゴルゴが、
「一徹さん…、とお呼びすればよろしいか。ここはこのふたり、若気の至りと堪えてやってもらえませんか。責任は親であるこの私にある」と、
堂々と謝意を示した。これにはさすがの一徹も、(この男、なんという器の大きさ。西の明石、NYのマイケルと渡り合えるのはこの男
ぐらいのもんじゃろう。残念じゃが広能ゴルゴや岩井ゴルゴより一段も二段も上じゃ。そんな男にわしゃ、なんと無礼な真似をしてしまったことか…)と
悔恨の念を募らせ、「いや、稲原さん、悪かったのはこっちじゃよ。酒のせいにするのは下衆な話じゃが、わしゃ、酒癖が悪くての。
あんたの顔に泥を塗るような真似をしてしもうた。潔く謝ろう。このとおりじゃ」と深々と頭を下げた。
一徹ゴルゴに頭を下げられて、場のパワーバランスが崩れた。岩井ゴルゴが強気に出ることができなくなったのである。
ここは一徹に任せるよりほかにない。
「稲原さん、いや稲原の親分、いっぺん、明石組の明石親分と会ってみる気にはならんかね?ワシも同席しよう。
これに稲原は、「ほかでもない一徹さんのお頼みを断るわけには参りやせん」と二つ返事。
こうして日本を二分する明石組・稲原組の話し合いの場が設けられることになったのである。
しかし明石組の全国制覇への野望は、明石ゴルゴをして、「百戦して百勝」といわしめた若頭宮地ゴルゴら獅子奮迅の活躍で北陸、山陰、
四国と拠点を築いていく。中でも「マテンの黒シャツ」こと柳川ゴルゴと並んで猛威をふるったのが、
夜桜の彫物で名を馳せた「夜桜の寅」ゴルゴである。
明友会との抗争で福岡に潜伏中の寅ゴルゴは、夜になると博多のネオン街へと繰り出した。
襟を立てたままコートを羽織り、帽子を目深にかぶって歩く姿はあっという間に博多のホステスたちの間に浮名を流した。
店に入ると、「よ、やってるかい。そりゃ結構、結構毛だらけ猫灰だらけってねぇ、あのさ、一番奥空いてんだろ、そこ座るからそこ。
角ビン持ってきて角ビン、もたもたしてんじゃないよやんなっちゃう。東京の人間はね、気が短いの」と、やたらとよく喋る。
酔いが回ると皿を箸で叩きながら唄う。その姿にホステス達は「ウチもいっぺんでよか。あんな男に抱かれてみたか」という始末。
店を出る時も、「これで払ってきてくれ」と500円しか入ってない財布ごと渡す気風のよさは博多中の人気者であった。
しかし、夜遊び続きで不摂生な暮らしが祟ったか、風邪を背負いこんでしまい、アパートで寝込んでいるところを
マッサージ師に変装したさくらゴルゴに見つかってしまい、
「お兄ちゃん、何やってんのこんなとこで!おいちゃんもおばちゃんも心配してるのよ!」と、柴又へ送還されていったのである。
722:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 06:52:22.11 .net
>>692
それな。
723:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 08:01:45.08 .net
「四代目は宮地、あんたがやったらええと思うわ」。明石辰雄の亡き後、その偉大すぎた三代目の跡目をめぐって疑心暗鬼が渦巻いていた組内の大勢は、次第に宮地派と岩井派の二つの派閥に収斂されていた。
派閥間の綱引きが奇妙な、しかし綱渡り的なパワーバランスを生み、それを巧妙に操っているのが三代目姐である久美子未亡人である、久美子の下に明石の代紋は今のところ割れる気配はない、というのが兵庫県警の分析であった。
しかし、この均衡も去年の事始めの後、久美子姐宮地をひそかに自室に呼んで、冒頭の言葉を「あくまでうちの希望やで。あんたら幹部会が決めたことが一番肝心やから、そこを間違うたらあかん」との断りを添えて告げたことで崩れてしまう。
宮地ゴルゴは「姐さん、それはよう心得とりま」と返した言葉とは裏腹に三代目姐の言葉をほとんど正式に近い跡目相続認定と受け止めたのである。
(岩井のアホめが広島あたりの田舎極道とつるんで勝手なことばかりしくさる。せやからあんな槇原みたいなゴミにまで親分の盃をくれ、ちゅうてナメたこと言うて来くさるんや)と常々苦々しく岩井ゴルゴの動きを見ていた。
(岩井をイワさんことには明石の代紋に傷がつく。この際岩井を消さなあかん)とさえ結論づけていた。
岩井ゴルゴとて、この宮地の腹のうちを読んでいた。もともと折り合いが悪い相手で「若頭(かしら)は前へ前へいくばっかりで危なっかしいて見ておられん時がある。
鶴橋の明友会を潰した時もそうや。相手はたかが愚連隊やんけ。それも『青い城』での親分に対する狼藉は向こうの幹部一同指を出してまで詫びと入れてきとったんや。
それを受け取らんといらんドンパチ起こして、大阪府警にまでわしら目ェ付けられるようになったんや、と宮地のいないところでこぼしていたことさえあった。
岩井にも跡目の魅力は何事にも代え難い。今のうちに宮地一派を一挙殲滅する絵を描き始めていた。
また最近知り合った広能ゴルゴ、一徹ゴルゴの二人も捨てがたい「人材」であった。
広能は田舎極道にしておくには惜しい男。なにかと自分を慕い頼ってくれる可愛い弟であり、なにより極道としての筋目が一本ビシと入っている。人間に裏表がなく根性と度胸が据わっている。
一徹ゴルゴは筋目と義理の重さを古風といえるほどわきまえており、若い者の人望も厚く、堅気にしても極道にしても若い者がその背中を見て大きく育てさせる術を身につけている。
酒が好きでその上での失敗もままあるが笑って済ませてやりたい可愛げめいたものもある。
一徹ゴルゴはまた娘婿というつながりで、今や日本を代表する花形コンツェルンとのパイプも深い。その総帥である花形ゴルゴはマフィアに友人がいる。
腕を組んで目を閉じ岩井ゴルゴは思う。これからの極道は斬った張っただけじゃあかん。正業でしのいで伸していく時代に来とる。世間や警察の目も昔と違うて厳しなっとる
、その意味でも花形ゴルゴというカードは大きいんや・・・
明石組が名目ともに日本一の組織となり、ゆくゆくは世界を相手に暴力でのうてまっとうなやり方で版図を拡げるためにも、イケイケドンドンだけが取り柄の宮地なんぞはさっさと消えてもらわんなあかんのや。
わしが宮地に変わって日本の首領となったる!武者震いが岩井ゴルゴの全身に波となって伝わり、あくなき野望が彼の胸底でさかんに熾りだしていた。
そこへ若衆が「岩井の兄貴、若頭の行動パターンがようやくつかめましたわ。
若頭は金曜の夜、必ず江坂にあるこれ(小指を立てて愛人の意)のマンションに行きはります。堅気がぎょうさん住むマンションでっさかい、弾よけ(ボディガード)には若衆は連れていきはりません。
宮地組の若頭を同行させてるみたいです。あとはクルマの運転手だけらしいですわ」と伝えた。
「たった3人でかい。カシラらしいの。わかった。ご苦労やった」
「若頭がどうかしはったんでっか」
「あほんだら。おのれは余計なこと知らんでええんじゃ」
岩井ゴルゴは一喝して手をシッシッと振って若衆を部屋から追い出し、「さて」とデスクの上で組んだ両手の上に顎を乗せ「チャカと腕の立つ奴見つけなあかんな。どうしたもんか」と思案にふけるのであった。
724:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 09:43:42.91 .net
岩井ゴルゴは考えを巡らせた。岩井組とて、明石組の中核をなす名門中の名門である。その組長である自分が跡目を継ぎ、
巨大コングロマリットである花形コンツェルンを利用しつつ、コルレオーネファミリーとの杯外交を活かせば欧米進出も夢ではない。
日本の極道でそこまで上り詰めたものはいない。
そこで得られる利権と比べれば、たかが日本国内で全国制覇に奔走する宮地ゴルゴなど取るに足りぬではないか。
問題は宮地暗殺の具体策であった。
弾よけを連れていないとは言うものの、相手は自分の若頭、宮地ゴルゴである。万が一にも仕留め損なうことは、即、己の身の破滅に繋がる。
よって、第一に、腕が立つ人間であること。
また、成功しても身柄確保され口を割られるようでも困る。よって、実行犯にも「物理的に」喋れなくなってもらうのが一番である。
よって、第二に、仏になっても問題にならない人間であること。
の2点が要求された。縁遠いとはいえ槇原ゴルゴのような人間にやらせるべき仕事でないのは明らかであった。
岩井ゴルゴはかつては鶴田ゴルゴにウイスキーのポケット瓶で殴りかかったことがあるほど粗暴であったが、綿密に策略を練る一面も
もち併せていたのである。そこで彼は、一徹ゴルゴ、広能ゴルゴに相談を持ちかけたのである。
場所は、念には念を入れ、岩井組が所有するリンカーンのリムジンの車中であった。
「昌ちゃん、うちの若頭のことやねんけどな」
「宮地さんかい、あん人になんかあったんかいの?」
「いや、そうやないねん。姐さんの考えでは、跡目は頭に…ちゅうのが組内部でのうわさやねん」
「ほうか。じゃけん、よその組のことじゃけ、ワシぁどうこう言う立場じゃないがよ」
「はっきり言うで。昌ちゃん、ワシは宮地いてもたろ思うとんねん。あれが跡目では組の行く末は知れとる。あれ殺ったらやで、自然と
跡目はこのワシが継ぐことになる」
「な、何を言うちょるんなぃ!頭殺るちゅうて、そんなおっとろしいこと!洒落でも誰かに知れちょったら、
こんな、どうなるんかわかっとろうが!本気か!」
「ああ、本気や。問題は、誰を鉄砲玉に使うか、そこで相談させてもろたちゅうわけや」
「こんなが本気言うなら、ウチの若いモン出してもええがの、手柄欲しい言う奴は、えっとおるけん」
「いや、すぐ足がつく人間ではあかんのや、それに口封じで死んでもらわなあかん」
「岩井さん、あんたがそがぁな考えの人間とは知らんワシがバカじゃったよ。一徹さん、あんたの意見は?」
ここで一徹が、
「岩井さん、もってこいの人間をわしがひとり知っておる。その男には戸籍がない。仏になっても誰にも気づかれんじゃろう。
腕もなにせ拳闘で鳴らした男じゃから確かじゃ。少々老いてはおるが、3人程度なら素手ゴロで片づけるじゃろうて。ふふふふ…」
と非情な笑いを浮かべる一徹ゴルゴであった。
725:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 09:46:54.90 .net
ビビりの加須雄くん
どうしたのかな、元気ないよwwwww
726:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 10:35:25.78 .net
>>702
呼ぶなよwってもう来ないんじゃないのww
727:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 11:26:55.48 .net
>>703
日本語でok.
728:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 13:35:16.68 .net
雨か。加須雄、傘ぐらい自分で買いや。
729:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 15:17:06.80 .net
>>705
わしに関わるな。あんまり調子に乗りなや。
(-""-;)
730:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/23 15:47:58.78 .net
雨やんでも「だれか、忘れるか落とすまで待ってんね~ん」て鼻垂らしながらおんなじ場所で突っ立ってたのう。ケッタイなやっちゃで加須雄は。
731:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 01:28:41.64 .net
>>707
なぁ駄仁夫よ、もうやめとき。
お前の回りのゴロツキどもにもそう言うとけ。
改めて言うわな。
もうこれ以上、ワシに関わるな。絡むな。
732:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 04:59:22.52 .net
♪僕の名前はカスオ、僕の名前はダニオ
二人合わせてカスダニだー 君と僕とでカスダニだー
733:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 06:15:05.54 .net
>>708
私の回り?
私の周り、でしょ。
それはともかく…
いちいち相手にするからおちょくられるの。
学習能力ゼロだな。
734:ゆーじん( ̄з ̄)
18/10/24 08:01:05.42 .net
せっかくのネタが色褪せるわw
カスオでもダニオでも
どーでもええわw
笑わせた者勝ちですわw
つーかまた今日もめっちゃ笑いたいんですけどー!お願いしまーす !私スランプなんで!
735:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 11:19:25.05 .net
『人生が変る1分間の深イイ話』にゲスト出演。
「スランプに陥った時はどうされてはりました?」と今田耕司に質問され、
「いい質問です」と言ってからしばし沈黙。その形相が鬼神のようでスタジオ全体が固唾を飲んで待つ。
やがておもむろに口を開き「スランプなんてスランプりすることで~す」とりゅうちぇる声でおどけて答えるお茶目な一徹ゴルゴ
736:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 18:29:29.61 .net
なけなしの金を投入し、自販機でストロングタイプの缶チューハイ、それもロング缶を2本買い、自販機前でガブ飲み
しながら「ちくしょー、一徹ゴルゴの野郎、結果的にわしを放り出しやがったんだ。クソッタレが」と喚く段平ゴルゴ。
一徹の話に乗り、あわよくば丹下拳闘クラブ再建の夢も夢のままで終わり、相変わらずの人夫仕事で日銭を稼いでは
全部安酒につぎ込み、寝泊まりする場所さえままならぬ毎日である。
ただでさえ酒にだらしない上に狷介で傲慢な性格ゆえ、山谷にある無料診療所に集うホームレスが自然に形成した
「山友会」のメンバーもシカトという形で外されてしまい、絵に描いたような孤独な老人となって、このドヤ街をさすらうこと
だけが彼の慰藉であり、また居場所でもあった。
一張羅でツギハギだらけのツイードのジャケットの胸ポケットから、震える指先で取り出した、縁が破れた一枚の写真に
「丈、ジョーよ、なんで死んだのだよ!おまえさえ生きててくれりゃ。昔はよかったなあ。このあたりもすっかり変わっちまった。
昔に戻りてえよ。一徹の野郎がチャンスを与えるふりをしてさんざん俺を利用して、結局ポイだもんな。だったら最初から
俺の前に現れるこたあなかったんだ。チキショウあの野郎」と自販機の前であぐらをかき、小便垂れるがままにグチグチと
独りごちるのも日課になってしまった。
「おいおい、段平さん困るよ。こんなところで座り込んでくれちゃあ。うわ。臭いとおもたらまたションベンこいてら。水撒いたり
して大変なんだから、さっさと立って。立て立�
737:ツんだ!段平、立ったら行った行った」 と店から出てきた酒屋のオヤジに怒鳴られ「うるせー、わかってらい。俺のセリフはじゃねえか。おめえとこの泥水みてえな酒 がションベンになっただけよ、掃除くらい文句言わずやっとけ」 むちゃくちゃな屁理屈をブツクサ垂れながら、よろよろ立ち上がり、ふらつきながら歩を進めたとたん誰かにぶち当たった。 なんと、にっくき一徹ゴルゴとどこかで見たことがある、たしか関西のヤクザ者だった男がニコニコと笑いながら立っていた。 「い、い、一徹ぅ~、何しに来やがったんだ!」とその胸ぐらをつかもうとしたが、酔余の手先はそれをさせない。 「相変わらず、呑んだくれとるのう。どうじゃ、もう一度わしに利用されてみる気はないか」と一徹ゴルゴが言った。 「てめえ、人をからかうのもいい加減にしやがれ」左に右に揺れる身体のまま段平は両手の拳を握りしめファイティングポーズを とったものであった。
738:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 20:53:26.38 .net
一徹ゴルゴは広能ゴルゴを伴い、泪橋の丹下拳闘倶楽部を訪れたのである。用件は当然、宮地ゴルゴ襲撃の依頼である。
土産は剣菱を2本用意した。これを広能が段平に黙って差し出すやいなや、段平の表情が変わった。
「段平の、今日はあんたにひとつ頼みたい事があって来たんじゃよ。これはその依頼主からの差し入れじゃ」
「ななな、灘の生一本じゃないかね!それも2升!何年、いや何十年ぶりじゃろう!こりゃありがたい。わしゃ生きとっってよかったわい」と喜びを隠さぬ段平ゴルゴ。
間をおかず一徹ゴルゴが、「紹介せねばならん。こっちの方は広能さんと言っての、ワシが呉の現場で働いておるときにずいぶん世話になったんじゃよ」
これに続いて広能が、「呉の広能言うもんです。一徹さんにえろう気張ってもろうたおかげでワシもずいぶん助かりましたわ」
広能は珍しくネクタイをしている。その日焼けした精悍な顔は、さしずめ大手ゼネコンの所長を思わせる。これは、事情を知らぬ段平ゴルゴに、
やくざの仕事であることを隠すためである。全ては岩井ゴルゴの描いた絵であった。
「広能さんは呉、広島ではビジネスマンとして活躍しておられる。本来ならワシら日雇い人夫が口をきける御人ではないんじゃが…」と、
一徹ゴルゴが言いかけた言葉を遮るように広能ゴルゴが、
「一徹さん、それは言わん言うたでしょうが。わしゃ男として、ひとりの人間として一徹さんを尊敬しちょるんですけ」
もともと厄介で頑固な性格は一徹と似たところがあり、義理人情に厚い段平ゴルゴである。この光景に心を打たれぬはずがなかった。
てっきり広能を大手ゼネコンのエライさんと思いこんだのである。日雇い人夫の段平ゴルゴからすれば総理大臣も同然である。
「ま、ワシのジムへでも上がってくださらんか。ちゅうても、今は誰もいやしないんじゃが」と二人を案内。
事務の土間に車座になって座った。広能が剣菱を茶碗に注ぐ。「さあ段平さん、じゃんじゃんやってつかあさい」
30分ほど飲ませたであろうか。剣菱が一本空になったところで一徹ゴルゴが切り出した。
「実はのう段平さん、大阪に、あんたに是非ボクシングを教えてほしいという人がおってな。この酒を差し入れてくれた人の知り合いなんじゃが、
喧嘩は強いらしいが、それを鼻にかけて悪さばかりしおる。無論拳闘はずぶの素人。身体が頑丈にできておるゆえ、スパーリングで
好きなだけ殴って教え込んで欲しいという話なんじゃよ。手加減は無用。足腰立たなくなるまで叩きのめして拳闘の厳しさ、
強い者はいくらでもおるということを教え込んでやってくれんか」
「うい~ひっく…ワシに拳闘を
739:お、お、教わりたい、じゃと、どこの馬鹿じゃそりゃ、1Rでパンチド、ドドランカーにしてやろうとも」 広能が、「場所は大阪のマンションです。ワシが案内しますけ、約束は金曜日の夜いうことになっとります」 こうして広能は江坂のマンションの駐車場で段平を下ろし、 「相手がエレベーターから出てきたら試合開始ゆう話になっとりますけ、思い切っていってつかあさいや」と言い残して姿を消したのである。 段平はスパーリングの積りである。まるでリング中央に立つように隠れもせずエレベーターの前に仁王立ちしていた。 そんな段平の肩を後ろからトントンと叩く者がいる。 「だれじゃ!これから大事なスパーリングというときに!」 「へへ、おっつぁんよ、ご老体が無理しちゃいけねえぜ。オレがやるのを黙ってみてな」 「ジョ、ジョ!ジョじゃねえか!おめぇ、生きてたのか!おらぁてっきりおめぇが死んだものとばかり思っておったぞ!」 「へへ、ホセごときのパンチで参る俺じゃねぇよ」 そのときエレベーターが開いて宮地ゴルゴらが出てきた。「なんじゃいわれこらぁ!」「ぶち殺すど!」と怒声が2、3飛び交ったあと、 バタ、バタ、バタと人間が床に倒れる音が立て続けに3回した。宮地ゴルゴは再起不能であった。 段平ゴルゴが隠れもせず突っ立っていたため、丈が現れた頃には通報されており警察の到着が早かった。 丈ゴルゴは傷害罪とはいえ未成年者ゆえ東光特等少年院に送られたのである。
740:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 22:09:07.77 .net
長編レスの人か人らか知らないけどもうやめたら?
741:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/24 22:36:50.39 .net
>>710
ほらぁ、また簡単に引っ掛かる…。釣ろうと思ったら、わざと間違えれば必ず指摘マンはここぞとばかりにパクっと食らいつく。
キミは「自分は賢しこいんだよ、オレは賢いんだぁ!分かってくれよ!」っと、必死だな。
お腹が空いた赤ん坊がママのお乳が欲しいの~と訴えるために、オギャオギャと鳴くのと同じだよ(笑笑笑)
何だか恥ずかしいね、情けないわ。
と苦笑うゴルギョ
742:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 00:42:30.55 .net
>>710
ワシに絡むな。もう一度言うわな。わしに絡むな、関わるな。(-""-;)
743:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 06:12:04.66 .net
本名、住所、顔まで割り出されているのにそれにきづかない、ある意味幸せといえるゴルゴ
744:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 07:24:59.70 .net
ゴルゴのストーカー見たわ(゜ロ゜)
745:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 08:29:51.06 .net
>>718
それな。
746:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 09:38:44.72 .net
天下の明石組の若頭と直参の親分が一人の少年にあっという間に打ちのめされたのである。。
それもステゴロで、である。「すげえー!」「神パンチ」といった大見出しがスポーツ紙や夕刊紙の第一面右肩に
踊った。
「こんな情けないことあるけえ!恥さらしもええとこじゃい!相手は堅気のそれもガキやいうやないけ!」
明石組本部大広間に非常召集を賭けられた直参組親分衆を前に岩井ゴルゴは吠えた。
しかし内心は、いよいよわしに追い風が吹いてきよったで、とほくそ笑んでいた。宮地派の親分たちの誰もが
誰とも顔を合わせないように身をすくめて下を向いたままである。
「次代を背負う男が弾よけも付けんと女のマンションへ遊びに行くやて無防備もええとこや。明石組の代紋の
重さをなんやと思てけつかるねん。
たとえ再起不能にならんでもや、明石組は素人の子供にナメられとるがな、と評価するのがわしらの世界や。
若頭はそんな理由で、あの明友会をいてもたんや。ほたら同じ理由で責任とるのが筋とちゃうけ」
容赦ない岩井ゴルゴの叱責は続く。
「そしたら何かい、若頭の指飛ばすんけ岩井よ。そんなことやったら余計に世間に笑われるで」中間派の組長が
岩井の咆哮にたじろぎながらでもなんとか発言した。
「あほか。何もそんなこというてない。どやろ?この際、カシラには引退してもらおやないか。そしてやな、ガキ
を後ろで手ぇ引いてたヤツが必ずおるはずや。そいつからケジメ取ろやないけ」
と言いながら、しもた!と慌てた岩井ゴルゴであった。
そんなことをすればいずれ広能や一徹に目が向けられる。それは自分が若頭たる宮地に矢を向けた事実に
たどりつくことであり、すなわち明石組そのものに反目であると当然みなされる。明石組の親分になるならん云々
以前に自分の極道生命が絶たれる結果を招いてしまうのは目に見えている。
しかし「ケジメ取ろうやないけ」と吐いた唾は今さら飲み込めない。広能はわしを裏切らんとしてもや、問題はあの
一徹のおっさんや。あいつはどうも信用出来ないのである。広能が太鼓判を押した人物でも油断ならないヤツや…
一徹ゴルゴをどないかせんといかん、喧々諤々の異見で紛糾する大広間いっぱいに漂う煙の中で、一徹のタマ取り
を模索する岩井ゴルゴであった。
747:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 11:29:20.88 .net
毛玉だらけのきちゃないジャージをこれも何日も穿きっぱなしの柄パンごと下げて人に尻向けて屁ぇこく癖は治しや、茄子雄ちゃん
748:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 12:41:00.95 .net
「捜査の手が及ぶ前に一徹を消さんことにはワシの身が危ない。仮にワシが描いた絵やと認めて突っ張ったところで、菱が割れる」
岩井ゴルゴは逡巡していた。
ところが事態は予想だにしない方向へと進み始めたのである。
まず、少年Jの証言では、彼と暴力団は無関係であった。彼はあいりん地区から山谷に戻る途中で偶然段平ゴルゴの姿を見かけ、
喧嘩の身代わりを買って出ただけである。三度の飯より喧嘩好きという荒々しい気性もあって当局は事件の計画性を疑わなかったのである。
一徹ゴルゴもまた一計を案じた。「けじめ取り」では自分が的にされる。よって段平ゴルゴを野放しにしておくのは危険である。
といって、その口を封じるのがたやすいことであることも一徹ゴルゴにはよくわかっていた。手を汚す必要すらなかった。
段平ゴルゴのもとに酒を届けさせ、毎日のように浴びるほど飲み続けさせればそれで事足りたのである。
取り調べに対し段平ゴルゴは事件当日のことはおろか一徹らと会った経緯さえ全く覚えておらず、事件は迷宮入りとなったのである。
「ケジメ」を主張した岩井ゴルゴであったが、これによって態度を変えた。定例幹部会では次のようなやりとりとなった。
「実行犯が恨みのない子どもやで。こんなもん始末したところで何になる?組が笑いもんになるだけや。それよりも、はよう跡目を立てて、
組にビシーっと筋通すんが先決やないか」と岩井ゴルゴ
宮地ゴルゴの独断専行に疑問を抱いていた竹中ゴルゴ、自分の後に打本ゴルゴと兄弟杯を交わされたことで個人的に宮地ゴルゴに
否定感情を抱く相原ゴルゴも「4代目は岩井ゴルゴ」で異存はなかった。
「そうや、そのとおりや。この際、岩井はんでええやないか」と、岩井支持を表明。
しかし、宮地を推す一派の中に、「頭はまだ生きておられる。無事やったらどうするのや。岩井さん、跡目跡目て、自分が立ちたいだけちゃうんか」
という声
749:が上がり、険悪なムードとなったため、幹部会で採決は行われなかった。 宮地ゴルゴは三代目姐御前の口利きで関西労災病院に入院中であった。少年Jのコークスクリューパンチによってテンプルにひびが入る 重症であったが、パンチが直接の死因ではなかった。彼は末期の肺がんであった。ニコチンガムにニコチンパッチでも禁煙に失敗。 最終的に禁煙外来で史上最強の禁煙薬「チャンピックス」を処方されても、ついに禁煙することができなかったのである。 医者から「これでやめれんかったら無理です。死ぬまで吸い続けてください」とさじを投げられたのである。 宮地ゴルゴの死後、宮地組は明石組から厳重な処分を下された。 宮地は戦闘に際しては無敵の男であったが、やはり明石組という組織の中で足並みを乱す側面があったのである。 宮地ゴルゴの死後、岩井ゴルゴが4代目を継ぐことになることに異を唱える者はなかった。 4代目襲名披露も兼ねて、岩井ゴルゴは一徹ゴルゴを訪問したのである。 「一徹はん。今回のことではえらいお世話になりまして」 「いやいや、お役に立てたならわしはそれで結構。しかしお主もこれからが本当の勝負じゃのう」 「勝負て、一徹はんや花形はんがいてくれたらワシの天下は見えてまんがな。これも一徹さんのお陰ですわ」 「ふふふ、岩井さん、お言葉を返すようじゃが、わしはそんなに甘い男ではないぞよ」 「…と、いいますと?」 「獅子はわが子を千尋の谷に落とすというじゃろう?天下を取る厳しさはあんたも味わって損はない」 「またそのお顔で珍しく冗談を…、何を言い出しますねんそんな芝居がかったこと(笑)」 「丹下君のところの若いモンを憶えておろう?何を隠そう、白木財閥の一人娘のお嬢様があの若者に惚れておる。わしゃ、あの若者が 少年院を出たら、稲原の親分に面倒を見てもらうつもりじゃ。もう話はついておる。あの若者は段平のところでは手に負えまいと思うての」 「あの小僧、いや子を稲原さんに、でっか。それに白木財閥ちゅうたら花形財閥と明治時代からの宿命のライバルでんがな」 「そう。あんたと稲原、どっちが日本の覇権を取るか。しかと見届けさせてもらおうかの」 …この日雇い上りのおやじ、なんちゅう真似をさらすねん、どついたろかと、膝に置いた手の指先を太ももに食い込ませながら 「そうでっか、相手に不足なしいうやつでんな。稲原さんとはお互い仲良うするよう気いつけますわ」と返事する岩井ゴルゴであった。
750:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 15:04:55.61 .net
「しかし、ほんまのワルは一徹のオヤジかも知れんで。信ちゃんよ」と明石組直系舎弟分相原ゴルゴは脇息にだらし
なく左ひじを預け右手に持った猪口を机に置き、つぶやくように言った。
「わしらと稲原はんを手のひらで踊らすやてええ度胸しとるがな。思わんか。アハハハ」とだみ声で笑う。
「笑いごっちゃおまへんで。オジキ。一徹のおっさん、きっちりわしらの足下見てけつかる。せやけどわしらもそれが分か
ってながらどないもでけんことも計算しとる。ほんま食えんオヤジですわ。正直往生しとりま」
相原の猪口についだ徳利を今度は自分の猪口の上に持ってきて、苦い笑いを相原に向けた。
「あのおっさんと花形一族のつながりはわしらにも美味しい餌なんや。一徹はそこよう見とる。それをええことに堅気が
菱と稲の代紋をオモチャにしてくさる。信ちゃんのいうとおり笑い事やないんや。こんな情報があるんや。一徹に桜の代
紋の偉いさんが接触したがっとるみたいやで」
脇息から肥った体を脇息から起こし、相原ゴルゴはそのタヌキ面を引き締め、岩井ゴルゴを見据えた。
「桜の代紋でっか。兵庫県警、大阪府警、警視庁あたりでんな」
「そうや。信ちゃんの四代目襲名披露の日時と場所はもちろんのこと、全国から親分衆が集まるわけやが、その顔ぶれ
とかな。探りを入れたいんやろな。おまはん、一徹のおっさんにどこまで喋った?」
「オジキ、いくらオジキでも今の質問は失礼でっせ。あのおっさんには跡目を継いだことしか言うてまへん。その辺のチン
ピラやあるまいし堅気相手にいらんこと唄いまっかいな」
「すまん。そない怒るな。おまはんが正式に若頭となったら、わしらもおまはんとは盃直しせなあかんのや。座布団一枚
下げて、わしら舎弟はおまはんの子になるわけや。竹中や渡辺ら若手はもちろんのこと、松本や岡の長老衆も異存は
ないちゅうとる。山広や加茂田がなんやグズグズ言うとるらしいが、そこはあいつらの顔も立つようにわしらが抑える。
わしはな、信ちゃん、なんて言うたらあかんな。岩井ちゅう若頭を日本一の侠にしたいんや。襲名披露ちゅう晴れ舞台を
しょうむないことで汚したない、せやよって神経質にならざるを得んのや」
「オジキ!すんまへんでした。ずつない思いさせましてからに」岩井は座布団を尻の下から外し、両手をついて深々と頭を
下げる。
「おいおい。大層なことしな。さ、頭上げてくれ。・・・警察が披露の場所について神戸・大阪のホテルや旅館、料亭に国家
権力が持っとる許認可権をカサに着て圧力かけとる。こんな時こそ一徹のおっさんを利用させてもらおやないか」
「一徹のオヤジを?」岩井ゴルゴは怪訝な面持ちで首を傾げる。
「若頭ほどの男でも灯台下暗しみたいなこと言うんやな。花形グループにホテルがあるやろ」
「あ。そうか」
「そうや。ハナガタグランドホテルちゅう立派なホテルが足下にあるやないか。「花形ゴルゴも『私は堅気の企業人です』ちゅ
う顔して澄ましとるけど、叩けばなんぼでもホコリが出てくる男や。使うのを断ってきたらそのへん匂わすんや。あの男もわし
らとは持ちつ持たれつしといた方が得になるちゅう算盤を弾いとるから断ることはないけどな。さ、辛気臭い話はここまでや」
相原ゴルゴは手を打った。正面のふすまがさっと開いて芸者衆が「こんばんわ。おおきに。相原の親分さん」と声を揃えて
入ってきた。一挙に部屋に華やぎが満ちた。
芸者衆の中に寅ゴルゴの妹であるさくらゴルゴがまじっていることなど知る由もなく、相原、岩井ゴルゴは相好を崩して粋筋
たちを迎えたのであった。
751:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 17:31:22.08 .net
>>718
「匂わせ行為」って知ってるか?
「駅では前の方に立つなや」「お前には若い娘がおるらしいなあ」
752:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 18:01:31.25 .net
>>725
続き…
みたいな事を言うのは「匂わせ行為」と言って、脅迫以外の何物でもない。と、判例ではっきりしてるんやで。
「本名、顔、住所が割り出されてる…」って、わしの個人情報を割り出して、それからどないするんや?って話や。
お前、えらい事を書いたなぁ。
753:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 19:55:43.63 .net
和歌山県南紀白浜。この関西を代表するリゾート地にホテルハナガタグループ随一の高級ホテル「ホテルグランド花形南紀白浜」がそびえる。
夕日が太平洋に沈む壮大な風景を眺めながらの露天風呂と黒潮が運ぶ新鮮な海の幸はここ南紀白浜でも他の追随を許さない。
ミシュランでも三つ星の豪華なホテルである。
しかし公安当局はこれを機会に代替わり阻止、明石組の解散を狙っていた。
相原ゴルゴは一徹ゴルゴを訪ねた。襲名式場の件ももちろんあるが、稲原組と明石組を競わせるようなやり方に抗議のひとつもせねばならぬ。
温厚、老獪な性格で知られる相原であるが、極道として言うべきは言う。それも相手を気遣いながら言う術がこの男にはある。
「一徹さん、岩井が色々世話んなっとるそうで、ワシからも礼言わしてもらいますわ」
「いやいや。で、今日は何のご用じゃ?」
「岩井が跡目を継ぐんは決まった。ところがどこも襲名式場を貸してくれん。それで相談させてもらいに来たちゅうわけですわ」
「式場を貸してくれるなというお達しがあったことは満からも聞いておる。誠にすまんが花形グループのホテルも使えまい」
「やっぱりそうでっか。ほかにどこか襲名披露にふさわしい場所おまへんやろか」
「梶原の親父の話では、白木さんのところには圧力はかかっておらんということじゃった…」
「か、梶原の親分が…でっか?」さすがの相原も動揺を隠すのに苦慮した。梶原ゴルゴといえば短髪に角型のサングラスで空手家、
野球界、ボクシング界、プロレス界は言うまでもなく、極道社会にもいまだ隠然たる影響力をもつ戦後日本伝説の大親分である。
(その梶原ゴルゴを「おやじ」とは、この一徹という男、若衆の杯でも受けておるのか…)
「さよう。警察も白木さんのところはあなた方のような人との関わりがないと見てのことじゃろう。
熱海にある白木コンチネンタルホテルなら、梶原の親父が白木さんに頼んでもよいが…とワシにいっておった」
「熱海で!なんぼなんでもそんなことできまへんがな。稲原さんの庭で明石が襲名披露やるわけにはいきまへんで一徹さん」
「相原さん、あんたの心配はごもっともじゃ。梶原さんはそれも考慮して、稲原さんを説得して下さるというておった」
「いくら説得されてもでっせ、稲の代紋の庭で襲名披露したいうことになったら岩井が、いや明石組が笑いもんですがな。だいたいでっせ、
白木さんのお嬢さんは宮地いわしたチンピラのこれ(小指)やないでっか、そのチンピラが稲原さんとこの若いモンになっとるんも、
一徹さん、あんたが仕組んだことでっしゃろ?稲原さんとことうちは今のところ、『明石組は多摩川を超えん』いう条件で休戦状態に
なっとるんです。そこへわざわざガソリンにマッチ放り込んで、いったいどういうつもりだんねん?」
温厚な相原が語気を強めて言った。
「無理にとはいっておらん。喧嘩になるリスクもあろう。じゃが、逆の見方もできよう。熱海で敢えて襲名披露をやる。それこそが、
熱海すらも明石組のシマ内だということを関東の、いや日本の極道全体にアピールするチャンスとは思わんかね?」
「どっちにしても、ワシの一存で決められめへんよって、いっぺん組で相談してみますわ」渋面で引き上げる相原ゴルゴを見送りながら、
「梶原の親父が稲原に口利きなんぞするまいて。稲原がどう動くか楽しみじゃ。
両倒れになってくれれば、それも恩の字。そのときこそ、いよいよこのワシが日本を制するときが来ようて…ふふふ」
と、驚くべき野心を覗かせる一徹ゴルゴであった。
754:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 20:59:42.43 .net
どう事態が推移するのか今後が楽しみだ…ゴルゴ
755:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/25 22:15:52.87 .net
そだねー!何が起こるかわからないし((o(´∀`)o))ワクワク
756:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 07:46:04.24 .net
新宿大ガードから新大久保よりに歩くこと5分。高層ビルやタワマンがやたらに増えた北新宿周辺の風景に埋没している8階建ての古ぼけたマンションに、梶原ゴルゴが弟の真樹ゴルゴと共同経営する「カジワラプロモーション」の事務所があった。
その応接コーナーで一徹ゴルゴは事務員の女の子が出前で頼んでくれたコーヒーを啜っていた。
壁には兄弟が原作を手がけた漫画の原画や芸能人、梶原本人とツーショット、あるいは弟とのスリーショットで撮られた芸能人や格闘家の写真などが額に収められて所狭しと掲げられている。
もちろん一徹ゴルゴの絵もそこにあった。飛遊馬ゴルゴと明子ゴルゴ長屋の井戸端に立ち、自分が夜空を指さしている有名な構図の絵を、なんとなく面映ゆい気持ちで眺め「わかば」を3本ほど灰にした頃、社長の梶原ゴルゴが「お待たせ」とやってきた。
一徹の正面のソファにでかいガタイをどかっと下ろし、両脚を広げた間に両手をだらりと
垂らし、応接デスクの上の客用煙草ケースから煙草を抜き取りくわえると、梶原の背後で直立不動で立っている、上司同様イカツい顔をしたお付きらしい若者が腰を曲げ「失礼します」と梶原の煙草に火を点けた。
「君、悪いけどこの場をはずしてくれ」と、その顔に似合わず意外にやさしい声で若者に命じた。
若者も武道者とみえて「押忍!」と両手を突っぱね首だけ下げる挨拶で立ち去った。
なにかと世間に誤解されているが、この梶
原ゴルゴ、面貌とナリは筋者そのままだが、若い頃は文学青年というインテリであり、心根はやさしく繊細な気配りが出来た。
ただ激情熱血型の性格のゆえ、筋が通らない話には荒くれることもあるが、基本的には紳士で話せばわかる立派な大人である。それは弟の真樹ゴルゴも同じだった。
この男のペン先から一徹以下、飛遊馬、花形満、矢吹丈、力石徹、白木葉子、太賀誠、早乙女愛などが創造され、一流漫画家たちによって造型され世に出たのである。
今なお愛されるキャラクタたちであり、それを思えばこの男こそ、ある意味日本の巨星ともいえた。
その巨星に一徹ゴルゴは岩井ゴルゴとの会談のあらましを伝え、岩井の襲名披露の場所問題に力添えを頼み、そのためには稲原さんとの間を取り持って、梶原さんのお墨付きをもろうて、あらためてわしからも岩井さんを同行して白木さんにお願いしたい旨を話した。
「わかった。一徹さんも葉子もみんな俺の子供みたいなものだ。子供の頼みを聞かない親はいない、逆に親のいうことを聞かない子もいない、今時古い考えかも知れんが、それが俺の人生観みたいなもんだから」
スーツの胸ポケットから、えらく旧型の携帯電話を取り出し、ピポパと電子音を鳴らしながらダイヤルした。
「梶原です。会長いるか?」と野太い声を電話に送り込み、携帯を手で覆って「龍ちゃん、いるみたいだぜ。よかったな」と梶原ゴルゴは茶目っ気たっぷりにウインクしてみせた。
関東任侠の世界では右に並ぶ者はいないとされる稲原龍二を龍ちゃんと気軽に呼ぶその貫目の大きさに一徹ゴルゴは今さらのように畏怖を覚えた。
また自分が話した内容を一聞しただけで呑み込む頭のよさ、それを聞いて納得すれば即断即決ですぐに実行に移す行動力にはいつもながら畏れ入るしかない一徹ゴルゴであった。
757:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 10:09:55.73 .net
稲原はこのとき、熱海の事務所にいた。何かと行儀が悪い井沢ゴルゴの処遇について、鶴田ゴルゴに注意を受けている最中であった。
梶原ゴルゴからの電話を取ったのは、若い者になりたての矢吹ゴルゴである。長髪だった髪を坊主にし、若衆が着る濃紺の制服を着ている。
「はい稲原。…親分ですか?いらっしゃいますけど今、大船の叔父さんと話されてます。どちらさんですか?」と、丁寧ながらも、
自分の親分を「龍ちゃん」と呼ばれたことに抵抗を感じつつ、「親分、梶原さんとかいう人から電話です。なんか失礼な奴ですね」と矢吹ゴルゴ。
「梶原の親分が!この馬鹿、なんでもっと早えとこ言わねぇんだ!」と血相を変えた稲原は矢吹ゴルゴの顔に平手打ちを入れるやいなや、
受話器を取り直立した。「梶原の親分。ご無沙汰しておりやす。うちの若いのがとんだ間違いをやらかしちまって…」と頭を下げる。
「龍ちゃんか、元気か、六本木に寄る用事でもあったらいっぺん遊びに来なよ。今ホットシーで龍ちゃんと会った徹っちゃんが来てる。
用件は手っ取り早く言うと、明石の4代目の襲名披露、熱海でやらせてもらうから龍ちゃんにも言っとかなきゃだめだと思って電話したんだ。
「あ、明石組の襲名披露をこの熱海で、ですか…、へい、そりゃ、よろこんで。白木コンチネンタルホテル?そりゃあ明石組さんにふさわしい、
いいホテルですよ」
「あ、そうだ、龍ちゃんついでにさ、媒酌人やっちゃいなよ向こうも襲名式と杯直し一緒にやりたいだろうからさ、その方が手っ取り早いよ。
龍ちゃんとこにも無くなった明石組3代目や、ガンちゃん(岩井のことである)と杯してるのいるんじゃない?見ておいて損は無いよ。
ああそうだ見届人はさ、京都の山本小鉄会に頼もうよ、あすこと龍ちゃんとこでやったら式も見栄えがいいしさ」
と、一気に話を進めてしまう梶原ゴルゴに圧倒される形で稲原ゴルゴは電話口で汗を拭き拭き「へい」「へい」と返事するのがやっとであった。
「じゃ、具体的に決まったらまた電話するから、うんうん、ああ気を付けるよ。じゃあな大船のとっつぁんによろしくな」と威勢よく
電話を切る梶原ゴルゴ。
「徹っちゃん、龍のやつ、OKしてくれたよ、さあ、飯でも行こうか、ステーキでも食うか?それとも鰻?めんどくさい、両方食っちまおう」
と勢いの止まるところを知らない梶原ゴルゴは、ついに、一徹ゴルゴを徹っちゃん、稲原を龍、岩井をがんちゃんと呼んだのである。
758:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 14:28:58.49 .net
>>726
>>718はどう見たってゴルゴネタなんだけど( ゚д゚)ポカーン
漫画のキャラに向かって脅迫どうのこうのって。
おかしいというよりあんたがコワイよ。
とりようによってはあんたが>>718に
「そういう書き方をしていると脅迫罪になる」(実際はなるわけないけど)
と恫喝しているとも解釈できるけどね。この方が問題じゃね。
759:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 16:08:40.76 .net
禿同。こんな>>726みたいな解釈されたらなんにも書けなくなるわな。
760:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 16:30:07.88 .net
↑ゴルゴは住所や本名は隠されているけど、顔は、例えばマスク等を被って隠しているわけではない。普通に晒している。
つまり、顔を晒してる人に「顔を割り出す」って言うのはおかしいよな。ゴルゴに対しては当てはまらないということだわ。
つまりゴルゴに対して書いてることにはならないよな。
761:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 19:31:31.53 .net
↑穴だらけの理屈こねるのはどんなもんかね。
まず、なぜゴルゴが素顔だと言い切れるのか。たかをに裏取ったんでしょうか?
次に、仮にゴルゴが素顔だったとして、外観だけでは誰もその人物をゴルゴと特定できないのだから、
「顔を割り出す」のは自然(顔が周知されていない状態の者の顔を割り出すのだから)
762:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 20:24:48.95 .net
>>718さんのカキコが脅迫罪を構成し成立させる要件を書いて欲しい。その要件を使い、どうしてこのカキコが脅迫罪と言えるのか論理的に説明できるか?
このカキコだけなら、一体誰が誰を脅迫しているのかまるで不明だから、まずは無理だと思うけど。
掲示板で人のカキコにいちいち悪意の言いがかりを付けて荒らすのはいい加減にしてくれと言いたい。
長編ゴルゴという新しい手法でとりあえずは読ませてくれる楽しみなレスも続いている中で、あなたの振る舞いは嫌がらせ以外のなにものでもない。
763:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 22:07:34.54 b7w4snVqX
寒いね。
764:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 21:35:30.59 .net
>>718が最近来た人で匿名性と
秘匿性を大事にするゴルゴを
単に茶化したつもりで書いた
のなら、この人引くだろうね。
ジジイの新参者イビリまる出し。
見ているこちらも不快だよな。
765:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/26 23:31:40.10 .net
アホのくせして小賢しげに屁理屈こいて叩かれて。いつものミジメな負けバターンをいつまでやっとるねん、ええ加減ちゃっちゃっとこのスレから失せさらせダボがwww
766:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 02:47:20.42 .net
だからね、顔は普通に出してるのに、割り出すも何もないだろ?
つまり、ゴルゴに対して言ったレスではない事は明白だろ。
顔を普通に出してる人に顔を割り出した…って、意味が通じない。
わざと何でもかんでも屁理屈こねて、わしを否定してるわけやろが、アホどもよ。
駄仁夫もその走狗もわしに絡むな、ドアホ!
(-""-;)
767:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 03:36:31.43 .net
起床したらアダルト漫画ポルノ18とかになってた股間も起床したらターゲットに騎乗されアン撮完了
という夢だったら良かった
午後のゴルゴ
768:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 05:27:30.20 .net
結果がすべてだが、その結果を自分の目で確かめることは不可能であるのは、何につけ悲劇だな、ゴルゴ
769:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 07:17:55.01 .net
日本橋の「ウェスタ」で三田肉の最高級ステーキを奢られ、それだけでも満腹堪能したのに「いいじゃねえか、徹ちゃん。つきあってよ」と若い衆が運転するクルマに無理矢理押し込まれ、南千住の「尾花」で鰻をつき合わされた。
梶原親分の相変わらずの高級店好きと健啖ぶりには呆れるわい、と梶原のクルマのテールランプを見送りながら、あらためて苦笑した。
千住から長屋がある町屋まで近い。送るよという梶原の好意を丁重に断って、一徹ゴルゴは荒川の堤防道を歩いた。美食と名酒にほどよく酔った体を川風が気持ちよく覚ませてくれる。
考え事をするには格好の逍遙となった。
「あれでよかったのだろうか」と彼は思う。梶原に一任したことで自分のイニシチアブが奪われた感もしないではない。
東西に君臨するやくざ組織を自分の手中に収める動きは結局梶原の掌中に委ねられたことになったのも同然だ。
いいようもない焦燥と策謀が渦を巻きながらかたち作っている黒い影が一徹ゴルゴの胸に広がっていった。
あわよくば菱と稲を相討ちにさせ、それに乗じて梶原も屠ってしまう方策はないか。スカイツリーが夜空に電飾を映えさせている姿を遠望しながら河原の土手に座り、煙草をふかしながら思案投げ首に耽る。
菱の代紋に稲の代紋か・・・。代紋バッジ!そうだ、熱海でたむろっている稲原のまだパシリクラスのチンピラどもに喧嘩をふっかかけさせる。�
770:桝Rコミ合う。その現場に菱の代紋バッジを落としておく。 当然稲原側が明石側が「悪さ」を仕掛けてきたものと断ずるとまではいかなくとも疑う。稲原側に疑心暗鬼を生じせしめることになる。 稲原ゴルゴはいかな相手が梶原ゴルゴとて、その誠意をまるごと信ずるわけにはいかないと思い始めないか。 一徹ゴルゴは思わずにやりとしたが、さて、では菱の代紋バッジをどうして手に入れるか、である。 代紋はやくざにとって命に次に大事なものだと聞いている。たとえバッジでもそんなものを落とすとはもっての他だろう。 夜露に濡れるのも構わず、一徹ゴルゴは腕を組んでしばし沈思黙考し続ける。 そんなところへ通りかったのが寅ゴルゴであった。この男は川と見るとなぜか土手道を歩きたがるのである。 「いよーっ、一徹ちゃんじゃないの。久しぶりだねえ。こんなとこでナニしてんの? また明子ちゃんにでも叱られて家をおっぽり出されたか。 それともこんな晩にこんな寒いところで日向ぼっこなのかい。お天道様はとっくに沈んじまってるよ」と一徹ゴルゴの肩をぽんと叩いて、勝手にその隣に座り込んだ。 「おお、寅さんかい。これは奇遇じゃのう。啖呵売の帰りかな。儲けたかい」 考えすぎて頭と肩を凝らせているところへ、こういう軽い男とおしゃべりするのもいい気分転換である。 「いやあ、世の中しけてるねえ。こんな安いバッジですらきょう日のガキは見向きもしねえよ」 と寅ゴルゴはトランクを開け、いかにも安物そうな、人気漫画の主人公だろうか、著作権も版権もまったく無視の、これまた下手くそなデッサンで顔が描かれたブリキのバッジを見せてくれた。 「寅さんよ、こういうのはどこで仕入れてくるのじゃな?」 「こんなもん、昔はこのあたりの町工場、今じゃ埼玉あたりのパートのおばちゃんが作ってるやつを、俺たちの親方みてえなのが上野や御徒町あたりの問屋から仕入れて俺たちに渡すんだよ」 「なに!作る!?作れるんじゃと。そうか。それだ!」 一徹ゴルゴの両目の中で炎が立った。炎は飛び出して寅ゴルゴの頬を撫でる。 「あちあちちちち、あちいよ一徹さん、いい加減にしなよ。いちいち何かのたびに目から火出してりゃまわりのもんがみんな火傷だよ」 寅ゴルゴが顔に手をかざし避けるのも無視して、一徹ゴルゴは立ち上がった。 「これじゃ、これじゃて」不適な笑みを浮かべて「うははははは」と呵呵大笑するのであった。
771:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 09:15:40.08 .net
>>740
>脅迫以外の何物でもない。と、判例ではっきりしてるんやで。
その判例をここに見せてくれ。判例があるんだろ。見せなさい。ほら。
もしかしてそんな判例もないのに判例があるようなことを書いて、
まったく「脅迫罪」を成立しようがない書き込みやその書いた人間に
さも「脅迫罪」が成立するように書くのは虚偽告訴の第一歩だよ。
逆にいうと刑法172条の条文に君が抵触しているおそれがあるな。
「他人に刑罰や懲戒を受けさせる目的で、虚偽の告訴をする行為を
内容とする。告訴だけでなく虚偽の告発や、処罰を求めての申告も
含む」
なまじ何も知らないくせに判例だの知ったかぶって出したりすれば
とんだ返り討ちを受けることもある。それを頭に入れておいた方が
いいよ。
>お前、えらい事を書いたなぁ
ブーメランになっちゃったね(笑)
772:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 11:03:53.63 .net
元々、DIYで大リーグボール養成ギプスを作ってしまう一徹である。バッチの偽装など容易かったのである。「週刊実話」に載っていた
稲の代紋のデザインを克明に再現し、石膏で型を作った。そこへ鋳鉄を流し込み、乾いたら型から外してめっきを施せば完成である。
熟練技能を有する職人は一徹の長屋にいくらでも住んでいた。「けど一徹さん、こんなもん作って、いってぇ何に使うお積りで?」
怪訝そうに尋ねる長屋の仲間たちに、「金地金の高騰で、どこの組もバッチつくりに難儀しておってな、試しに商売してみたいから、と
寅さんに頼まれたんじゃよ」と口から出まかせの一徹ゴルゴ。義理堅く一本気な性格とは裏腹に、あっさり他人を売ってしまう冷酷さも、
この男にはあった。これもまた、極道社会でのし上がるには不可欠な才である。
偽装バッジが完成するとすぐさま一徹は東海道線に乗った。熱海に付くころは夜である。車中から宵の明星が見える。あの星を飛雄馬と
目指した日々を懐かしみながらも、いま己が目指している別の星…、即ち全国制覇の野望が頭から離れることはなかった。感傷に浸る暇は
ない。
一徹は熱海のネオン街から神社の方へと歩いて行った。ちょうど縁日である。道の向こうから、肩で風を切って歩いてくる若者一行が
目に入った。稲原組の連中に相違ない。暴力の世界に憧念を抱き、この渡世に飛び込んできたばかりであろう。刺青とバッチを見せれば
皆が自分たちを怖れ、時には金を出す。最初に勘違いし始める頃の若者たちと見受けられた。このまま歩けば十メートルほど先ですれ違うはずである。
その時である。一徹の前を歩いていた着物姿のふたり連れの男の一人が、鮮やかにその若者たちを張り倒して見せたのである。その男は
何事もなかったかのように「おい、いくぞ」ともうひとりに声をかけ、そのまま去って行った。稲原ゴルゴと横山ゴルゴであった。
横山ゴルゴは侠として銭の使い方についての教えを稲原に説いていた最中であった。
(稲原と横山め(頭の中ではすでに呼び捨てである)、いらんことをしおって。じゃが、あの若者たちは稲原のところの者たちではなかった
のか…、たすかったわい)と、大きくため息をついた一徹ゴルゴであったが、気を取り直してまた歩き始めた。
次は小柄で痩身ながら、どう見ても与太者と思しき若者の姿が見えた。薄暗くて顔までははっきりわからぬが、稲原組の者に違いない。
「やつだ。やつと肩でも当たったことにして胸グラのひとつも掴んでやればよい。殴られるかも知れぬがワシのこの身体、そう軟にはできて
おらぬ。傷跡を付けられたら、バッチをその場に落とし、有難く岩井に見せればあとは勝手に事が進もうというもの。ふふふ…」
今度こそ作戦成功かと思われたそのとき、その若者が聞き覚えのある声でこう言ったのである。
「よう、一徹のおっつぁんよ、奇偶だな。あん時は段平のおっつぁんがすっかり世話になっちまったみてぇで、悪かったな。
俺もお陰で年少行き食らっちまってよ、2回目だぜ。へへ、あんたにゃたっぷり礼しなきゃなんねぇと思ってたとこよ」
「丈、丈くんかね。どうかね、あれから稲原さんのところでは、しっかりやってるかね?」と焦りまくりの一徹が答えた。
「しっかりも何も、稲原さんに紹介してくれたあんたが、今度は稲原さんを嵌めようとしてるんじゃねぇのかい?バッチ出しなよ」
「な、なに?どうしてそれを?(そうか、寅の野郎、稲原のシマで商売してやがったのか)」と言いながらも、
丈ゴルゴ相手にタイマンでは秒殺されるのは見えている。偽バッチを渡すよりほかに助かる道はなかった。
「へへ、こいつを稲原さん�
773:竓′エさんに見せたら、あんたどうなるかな?見せる見せないは、あんたの出方しだいだけどね」と丈ゴルゴ 「ワシに頼みごとでもあるのかね。言うがよい。できることはなんでもしてしんぜよう」 「頼みってのはほかでもねぇ。俺もよ、明石組の宮地って若頭倒してよ、いつまでも三下じゃ面白かねぇ。それこそ豚にでもまたがって 脱走しちまいてぇんだよ。だからあんたに、梶原さんに言ってくんねぇか。この矢吹丈を稲原の若頭、いや舎弟頭にでも据えてもらうようにってな。せいぜい期待してるぜ。 それまでこの偽バッチは預っとく。じゃあな、言い返事期待してるぜ」と無理やり一徹ゴルゴの肩を組んで 育ちの悪さを露呈させながら迫る矢吹ゴルゴの無理難題に、「策士、策に溺れるとはこのことか…、ワシもまだまだじゃの」と 薄笑いを浮かべる一徹ゴルゴであった。
774:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 14:42:28.38 .net
花形モータースが開発したドローン搭載のカメラで一徹ゴルゴの行動は終始監視、
撮影されていた。
画像データは花形邸のリビングの隅に設えられたホームシアターの画面にも逐一
送られてくる。
「いったい父ちゃん、何がやりたいんだよ!熱海に行ったと思ったら東京に戻って、
梶原先生とステーキと鰻を食ったと思ったら、荒川の土手で大笑いして一目散に
長屋に戻って、今度はシコシコとバッジ作りに励んで、ほいでまた熱海に行って。
わからん…俺にはわからんっ!」と頭を抱えてしまう飛雄馬ゴルゴ。
「たしかに最近のお父さん、少し変ねえ。満さんもこの頃お父さんと行動すること
が多くなってからどうも変だし」
いったいこれからどうなってしまうのだろう…どこか危なかしい父の行動を思い
顔を見合わせる姉弟であった。
775:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/27 19:35:54.83 .net
「おやっさん、これ!これ見てつかあさいや!」鬼の首でも取ったような勢いで山守ゴルゴの事務所にVHSのビデオテープを持って
駈け込んで来たのは槇原ゴルゴである。「なんじゃこんな朝の早うから。わしゃこれからトルコ風呂でも行こう思うちょるんぞ」と
不服そうな山守であったが、槇原に促されるままにビデオを観た。
「なんじゃこれは、いつぞや広能と呉をうろついとった一徹いうボンクラじゃあるまあが。何をしちょるんな、こん馬鹿たれは?」
そのビデオには花形モータースのドローンで撮影されていた一徹ゴルゴの一挙一動が収められていたのである。
「こん外道。日雇いがどぶねずみみたいな真似しおって。明石組か稲原組に知れたらどうするつもりじゃ」
槇原ゴルゴはこのビデオを花形ゴルゴの側近、速水ゴルゴから密かに入手したのである。
金と自己保身に目が無く、卑怯な手段で相手を陥めることが得意という点でこの二人は似ている。
速見ゴルゴは花形ゴルゴにも一徹ゴルゴにも私怨がある。それで密かに録画して持ち出し、槇原にはした金で売ったのである。
「おやっさん、一徹殺るいうんなら、ワシんとこの若いモン使うてつかあさい。全員カープファンで一徹は親の敵みたいに思うちょりますけ」
これを聞いた山守は、呆れたような表情を見せ槇原を見据えた後、再度画面を見ながらつぶやいた。
「こんなの考えの浅いのには呆れるわい。さぁて、このビデオ、どう使おうかいの。どっちにせい、いよいよ長編ゴルゴでワシの出番がきたちゅうことじゃ…」
とほくそ笑む山守ゴルゴであった
776:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/28 05:51:02.29 .net
ハハハハゲェ!?ウ~ン。分かるかぁ。どう言うかなぁ~。鏡を見るだろ。するとな、髪の毛の分け目がな、日に日にハッキリしてきているんだ。頭頂部は頭頂部で、つむじの渦巻きがだんだんなくなってきて、地肌があらわに
777:なってきている。 ちょっとイヤな流れが髪の毛にきている(泣)。まぁいい。気にしたら、余計に抜けてくるだろ。狙撃に専念だ… ハンドミラーに向かってブツクサブツクサ独り言を口にしている間にターゲットに逃げられたゴルゴ
778:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/28 07:48:06.06 .net
後ろ手に縛られた西条ゴルゴを木刀で「こんくそ、タコめがクソ頭にのぼりやがって」と訳の分からないことを口走りながら広能ゴルゴは容赦なくぶちのめす。
「こ、こらえてつかあさい、後生ですけん、ギャーッ」
身動きとれない体で悲鳴を上げながら砂の上を転げ回り広能の折檻から逃れようとする西条ゴルゴ。
「お、女がテレビ欲しい、ちゅうたんもんやさかい」と喘ぎながら組の金をネコババした理由を吐くその姿に興奮した広能が「なんじゃと!」といっそう激しく木刀を打ち下ろす。
広能組の若頭である水上ゴルゴ、同じく若衆岩見ゴルゴが広能を羽交い締めにし、木刀を持つ手をなんとか押さえて「それ以上やると西条たら死によりますけん、こらえてやってつかあさい」と広能をなだめる。
子分らの必死の仲裁に肩で息をしながら木刀を放り出し「こんくそが」と西条に唾を吐き、それとなく海を見やり、煙草に火を点けた。
足下で西条は嗚咽し「大丈夫か」と水上たちが彼を介抱する姿を漠然と見下ろし、広能ゴルゴはいいしれようのない虚しさにおそわれた。
槇原ゴルゴが巧妙に立ち回り、自分が明石組の直盃を欲しがったことを棚にあげ、むしろ広能が明石組若頭である岩井ゴルゴと結託し、山守組を明石組に丸ごとを売ろうとしているという根も葉もないことを山守ゴルゴに讒言したらしい。
その苛立ちと怒りを自分の可愛い若衆にぶつけてしまったのである。おのれのあまりの器量の小ささに自分で呆れてしまったことへの悔恨もあった。
山守ゴルゴにとっても昔から広能ゴルゴはなにかと自分に反抗的で煙たい存在であり、そこへ槇原の佞言である。徐々に広能のシノギを取り上げていき、いわゆる兵糧作戦に出て広能の弱体化をはかっていた。
「槇原、おまえに言われんでもあれはわしにしちゃ獅子身中の虫じゃけ、虫は今のうちに駆除しとかにゃあなるまいて」
「そうですよ。広能は昔から腹に一物ある男ですけえの。なに考えちょるのがわからんとこがあります。あれが岩井と組んだら、なにせ明石組がバックについたようなもの。わしらひとたまりもありゃせんですよ」
海岸の方からは見えない場所に停めたタントの中から、浜辺の模様を眺めながら一徹ゴルゴの一件で山守の屋敷に訪れた時の会話を槇原は反芻していた。
(そうじゃ、あん時、オヤジにわしとこの若いのを一徹取りにと言うたが、なにもわしが矢面に立つことはあるまいて。あれだけ自分とこの親分にどつかれちょったら西条の盆暗とて面白うありゃせんわ。
細る一方の組のシノギで広能の若いモンも干上がっちょる。あいつらをけしかりゃええんじゃ。
岩井さんが心服しちょる一徹ゴルゴを殺ったのは広能んとこの若衆だとわかりゃ岩井さんも黙っちゃおれんはのう)
槇原はほくそ笑みながらカップラーメンをひと啜りしてダッシュボードの上に置いた。気を利かしたつもりか、もう食べ終えたと思った若衆がダッシュボードの上のカップ麺を「これ、放かしてきますけん」と手にした。
慌てて「まだわしが食うとるじゃろうが!」とタコの口を思い切り尖らせて鼻息荒く、若衆からカップ麺を奪い取り胸元に抱き寄せる槇原ゴルゴであった。
ちょうどカーラジオから、さだまさしの「
779:北の国から」のハミングが「あ~~ああ~あああ~♪」と、間が抜けたように流れてきたのだった。
780:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/28 10:22:34.28 .net
>>734
どうしたのかな?尻尾巻いて逃げちゃっのね多分wwwハッタリくん。
もう2度と来ないでね。
781:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/28 11:14:35.97 .net
西条ゴルゴはあらためて詫びを入れに土産を持って広能ゴルゴを訪れた。ただし土産は手首ではない。8Kチューナー内蔵SONYの55型ブラビアである。西条も槇原同様、自身の利害損得だけを行動原理とする点で、シリーズの中ではヒールとしての存在感を示している。
西条は槇原ゴルゴと、このテレビと引き換えに一徹を始末する密約を交わしながら、あっさり反故にして、広能に事のあらましを説明に
訪れたのである。
それを聞いた広能は、「ほうか。槇原の考えそうなことじゃのう。それはそうと、一徹さんには動き読まれとるいうんは知らせにゃなるまい。それから速水じゃ。あン外道、花形さんに言うて飯食えん身体になってもらおうかの」
気が収まらないのは山守ゴルゴである。打本ゴルゴが相原ゴルゴと杯を交わしている以上、打本と敵対する山守組としては、
安全保障上、一徹ゴルゴの動きを稲原組に伝え、義理を売って稲原の傘に隠れる、というのが山守の描いた絵であった。
「槇原が余計なことしくさって。明石と喧嘩にでもなったらどうするつもりなら。こうなりゃ大久保さんにでも立ってもろうて稲原に
縁組の話持ってくしかないの」
また、広能からこの件を告げられた一徹ゴルゴは、「ワシとしたことが、それは迂闊じゃった。じゃが何も後ろめたいことはしておらん。
ワシは明石組の襲名式が無事に終わって稲原組との休戦が続けばそれで結構。戦争を経験しておるこのワシじゃよ。平和が一番なのは
身にしみてわかっておる。わはははは」と口から出まかせの大笑いをしてみせるのであった。
「いよいよこの男、信じられんわい。打本と杯しちょるけん、明石組の反目に回るいうことはない。そうなったらそうなったで、
稲原を敵に回すことになる」
こうして様々な思惑と裏切りが交錯する中、日本を二分する巨大勢力の均衡に左右されながら、一徹らをも巻き込んだ広島やくざ戦争は
激化の一途を辿るのであった。
782:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/29 07:37:31.56 .net
様々な人間関係が縦横に輻輳し、それが徐々に収斂しつつあるのであればまだしも、おもに一徹ゴルゴを中心にした縦軸に明石組、稲原組、山守組、広能組の主立った関係者が複雑にからんでいくプロセスはもはやラビリンスの様相を呈していた。
広能ゴルゴでさえ、自分の一挙手一投足の糸が、そんな迷宮の中でどう絡んでいるのかまるで見えていなかった。
岩井ゴルゴに絡めば山守ゴルゴの思惑にがんじがらめとなってしまい、そのことは明石組ドクトリンの中に否応なしに組み込まれてしまう。
一徹ゴルゴと通じれば通じたで稲原組のそれに翻弄されてしまい、おのれの立ち位置の置き場に右往左往してしまう。
ある夜、このもつれ爛れた人間関係の綾から、一夜はずれてほぐしてみたいと、久しぶりに広島は流町の歓楽街の小さなスナックに身を置いた。
「つくづく極道をやっていることに疲れた」とこぼした坂井ゴルゴに「そんなことを言っちょると寝首をかかれてしまうで」と忠告した自分だったが、今度は逆にわしがあの世にいる坂井に言われてしまいそうじゃ、
と苦い笑いを琥珀色の液体に浮かぶ氷に溶かしてしまいたくなる。
昔収監された刑務所の檻の中で、組み合った腕を噛み流れ出た血を互いにすすりあったことで五分の
783:兄弟分となった岩井ゴルゴが今では手の届かない場所に行った気がして仕方がなかった。 「わしは極道に向いちょらんかもしれんの」と思わず口に出してしまい、残りの水割りを一気に呑み込み、完全に角が取れた氷をがりがりと噛み、空になったグラスをカウンターに音をたてて置いた。 音を聞きつけてカウンターの中の女が「お代わりしましょうか」と広能ゴルゴの前にやってきた。 「ああ、お願いしますけ」 この店はごくたまにやってくる。カウンターだけの小さな店でカラオケも置いていず、古ぼけたテレビがカウンターの隅にあって、しかしほとんど消したままであった。 したがって独り客が多く、静かにゆっくりと酒と話を交わしあいながら日々の慰安を求める、そんな店だった。 そんな雰囲気が広能ゴルゴは気に入って、ここに来る時は極力極道者の匂いを消す。地味な色合いのポロシャツにデニムかチノパン、ローファーあるいはスニーカーを履いてサングラスも外していた。 もちろん光り物も装着せず、時計はごついロレックスでなくカシオあたりの安物のデジタルをはめていく。財布は長財布ではなくこれも安革の折財布をパンツの後ろポケットに入れる。 マスターとその関係が今一つわからない30代とおぼしき女が店を切り盛りしている。彼らは必要以上に客に関わってこない。話しかけた時だけ愛想よく控えめに応対するその奥ゆかしさも好もしい。 地味すぎる店だから、自分と同じ筋者客も来ないとみえて、胡散臭い客を見たことなど皆無だった。だからこそ余分な神経を使わずに済む。 今宵の客は広能ゴルゴ一人だった。 「お客さん、お退屈でしたらテレビ点けますか」とカウンターの中でグラスを磨きながら、初老のマスターが声をかけた。 「ああ、頼みますけん、チャンネルなんぞなんでもええですわ」 マスターがオンにしたテレビから、9時のNHKニュースの映像が出てきた。 「・・・温泉客でにぎわう熱海温泉でまたも暴力団同士の争いが起こりました。 今夜午後7時、温泉街の中心にあるクラブ『ホットシー』から稲原組系暴力団出水組組員が店から出てきたところ、店の前を走行する一台のセダンから数発の銃弾が撃たれ、クルマはそのまま伊豆方面へ逃走。 撃たれた組員は病院に緊急搬送され心肺停止のまま医師たちの治療を受けております。神奈川県警は現場を中心に2キロにわたって規制線を張り、厳重警戒体制に入り交通隊員による検問をおこない逃げたクルマの行方を追っています。 現場から堀越アナウンサーが伝えます。堀越さん・・・」 広能ゴルゴはスツールを倒して立ち上がり「なんじゃと!どうなっちょるんじゃ。カチ込んだのはどいつじゃ!」と大声で叫び、つい、やくざの地を出してしまったのであった。
784:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/29 10:19:22.14 .net
長編ゴルゴてものすごいご都合主義な展開なんやね
785:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/29 14:14:51.88 .net
明石組内では既に、「襲名式が終わるまで稲原組と揉め事を起こすな」という通達が出ており傘下の組にも徹底させていた。
この銃撃事件は跡目問題とは関係が無く、全く偶発的に起こったものであった。すなわち、個人的に稲原組系出水組組員と
金銭の貸し借りでトラブルを起こしていた、東京・荒川区に本拠を構える伴組の組員の犯行であった。事件後、伴組長自ら実行犯を連れ�
786:ト 荒川署に自首したことで大事に至ることはなかった。 伴組は、あの伴宙太を親分に担ぐ小さな組である。宙太ゴルゴは道楽のデコトラ三昧で伴自動車工業の経営を行き詰まらせ、 ヒューマゴールデンイーグルに株式を買い占められた挙句、花形モータースに買い取られたのであるが、宙太ゴルゴはその後、持ち前の 横暴な気性と柔道で鍛えた腕力で小さいながらも組を立ち上げ、クルマの違法改造などをシノギに細々と身を立てていたのであった。 事態は事なきを得たように見え、梶原ゴルゴは水面下で白木葉子ゴルゴと式会場の手配を整えている。全ては一徹ゴルゴ、いや梶原ゴルゴ の思惑通りに進んでいるかのようであった。 しかし山守ゴルゴはこの発砲事件を見逃すはずがなかった。伴ゴルゴと言えば、一徹ゴルゴの指導を受けた教え子である。これを利用しない 手はない。 「伴なんぞには知恵言うもんがまったくないけ、しょうもないまねしおるわい。じゃが裏で一徹が絵描いちょるゆうことになってみぃ、 稲原が一徹を的に掛ける大義名分になろうが。そうなりゃ明石組も一徹派と稲原派に割れて打本どころじゃのうなるわぃ。そうなったとこで、 打本のボンクラにどないもならん恥かかせて引退させちゃれぃ。そうすりゃ広島は村岡も打本もみんなワシのもんじゃ、のう、のう、 やさしいお父ちゃんじゃのう」とホステスの股ぐらに顔を突っ込みながら卑猥な嬌声を上げる山守ゴルゴであった。 こうして、「伴が一徹の指示で反・稲原として動いたと」の怪情報が、「ご都合主義」と言われながらも、まことしやかに囁かれだし、 一徹ゴルゴとその背後に控える梶原ゴルゴに対する稲原ゴルゴの信頼は大きく揺らぎ始めたのである。
787:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/29 18:16:00.23 .net
>>702
駄仁夫の走狗よ、もう駄仁夫にゴマするつもりでわしにゴチャゴチャ絡むのはやめとき。
わしに難癖を付ける事によって駄仁夫にゴマすってるつもりやろけど、駄仁夫って単なるアホやで。
そんなゴマするような価値のある人間やない。
ええ加減に目を覚まして、もう田舎に帰り。
アホに必死で付いて行ってどないすんのや。
意味のないことをすな。
788:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/29 19:38:06.29 .net
↑なんだこれ?????
789:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 00:03:47.33 .net
告発状出しとけば意思表示したということになるのか、ちょっと訊いてこよう。
790:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 05:18:15.66 .net
↑誤爆乙
791:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 05:38:02.06 .net
委 寒 カ
員 い ス
会→ね→ダ→
時 時 二
代 代 時
代
次の政権を握るのは!?
792:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 08:46:14.98 .net
↑そがいなもん、わしに決まっちょるけんのう、なあ、とおちゃんは金持ちじゃけ、金の玉を二つ持っちょるけんの、がはははは。
とホスちゃんの股ぐらから顔を出してニヤケる山守ゴルゴ
793:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 09:38:29.40 .net
>>759
委員会、寒いね、ダニはともかくカスが「政権の座」にあったことなんかいっぺんもないでwww
あのカスはそれを勘違いしてスレを仕切りたがるクセが抜けきってないんや。
みんな大人やから適当に遊ばせて踊らしてただけや。
2ちゃん時代にそれで脚光を浴びて、そんなしょうもない栄光にすがりたいから、いらんこと書いては叩かれる、情けないただのハゲオヤジやがなw
794:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 11:53:22.50 .net
>>761
それ一部違うよ。「委員会」「寒いね。」「カス」は同一人物だったんだよ。
795:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 12:00:12.88 .net
>>755
この人まだこんなこと言ってるんだな。
「じゃダニオって誰よ、走狗は誰よ」って訊いても答えはないしね。
この人がよく「駄仁夫がちょっかいかけるから」文句を言わざるを得ないってゆうけど
ちょっかいにいちいち乗る方がおかしい。
それを承知で乗るのは結局カマッテさんですね。
と断言せざるを得ないんよ。
796:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 12:06:01.33 .net
【ジョニー・デップが水俣病映画】 水銀公害が起きていた同じ頃に、歯に水銀を詰めてた歯科を告発せよ
スレリンク(liveplus板)
キャーッキャーッ
797:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 17:52:09.37 .net
>>763
ちょっかいに乗るわしにはゴチャゴチャ難癖を付けるけど、ちょっかいかけてくる駄仁夫とその走狗
798:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 17:58:30.80 .net
>>765
続き
駄仁夫とその走狗には何も言わないこの矛盾についてはどう思う?
最初に手だしした駄仁夫には何も言わないで、応じた私にばかり難癖をつける不条理についてどう思う?
まっ、無視だろうけど…笑笑笑
だってお前も駄仁夫の走狗だからな 笑笑笑
799:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 18:35:52.45 .net
>>766
ちょっかいに乗るあなたがすべて悪い。以上。
それがこのスレの結論です。
これ以上こういう不毛な議論はなし。わかりましたね。
800:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/30 19:50:10.82 .net
熱海・稲原組の広間には道具を持った組員が集結していた。
「伴組のやつらが稲原に喧嘩売ってきやがった!今から殴りこみに行くぞ!」と号令をかける井沢ゴルゴ。
「兄弟、組を挙げての喧嘩は親父の許可がいるぜ。それに伴の後ろには一徹が付いてるじゃねぇか」と、再考を促す石河ゴルゴ。
しかし、「親父もくそもあるかい。一徹?上等じゃねぇか、一徹のタマ、取っちまえ。だいたいあの野郎が明石組とウチとの間を出たり
入ったりしてるからこういうことになるんじゃねぇか!」と井沢の憤怒は一層激しく燃え上がった。
一行はダンプに乗り込み、一路、東京は荒川区の伴組事務所へと向かった。
伴組でも井沢の動きは察知されており、拳銃や日本刀を手にした組員たちが迎撃態勢を整え、今や遅しと井沢らを待ち構えていた。
4尺近くあろうか。床に立てた長い鞘付きの日本刀の上に両手を組み、彼らの一番奥にどっかと腰をおろしているのは宙太ゴルゴである。
「井沢とかいうガリガリ野郎、煮ても焼いても食えまい。犬にでもくれてやるわ」と一文字に結んだ口元に決意が現れている。
戦いの火蓋を切って落としたのは、井沢組が投げ込んだダイナマイトの爆音であった。脱兎のごとく稲原組の若衆が伴組事務所に押し入る。
銃声が何度も鳴り響いた。激しくぶつかりあう井沢たちと伴組。
「おまえら手だしするな」伴が日本刀を抜き鞘を放った。相手は井沢ひとりである。
「井沢、てめえ、いい根性してるじゃねぇか、ぐふふふふ」
そのときであった。一徹ゴルゴが駆け付けたのである。
「待て!伴。その人と喧嘩をしちゃいかん」
「星の親父さんじゃありませんか、じゃがこの男、この伴宙太に楯突く以上、生かすわけにはいきませんぜ」
「おまえさんの気持ちは分かる。じゃが相手は天下の稲原組。これ以上の喧嘩はやめい。若衆を止めるのじゃ!」
一徹ゴルゴの介入で乱闘は収まった。双方とも数人ずつ撃たれたり斬られた者がいる。
「怪我人を病院へ運んでやれい。それから伴、一緒に来い。井沢さんと仲直りするんじゃ」
伴組と稲原組は五分の手打ちであった。格の違いを考えれば断然、伴組に得がある手打ちであった。
801: 稲原ゴルゴ、横山ゴルゴがこの事態を見逃すはずはなく、井沢ゴルゴは破門されたのである。 さらにふたりは事の責任を問うため一徹ゴルゴを呼び出したのである。 一徹にとって稲原はホットシーで面識があるが、横山は初めてである。 「一徹さん、喧嘩を止めてくれたのはありがてぇ。感謝しよう。だけどな、稲原と伴じゃ貫目が違いすぎる。五分ってわけにゃいかねぇなぁ」 と横山ゴルゴ。「それにだ、あんた、明石さんとこにもちょくちょく顔出してるって話じゃねぇか。いってぇどういう腹なんだ?この際 はっきり聞かせてもらうってわけにゃいかねぇかい?」 ― 続く ―
802:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 09:54:53.41 .net
>>767
何だよ、何だよ。理論的に勝てないと見ると、ゴリ押しかよ(笑笑笑)
まぁ、駄仁夫の低レベルさからみて、駄仁夫の走狗のレベルってそんなもんだわな。
しかし、ほんまに笑ってまうわ。
論理で勝てないとみた時の断末魔の叫びだな。チンピラにお似合いだわ 笑
803:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 12:14:25.77 .net
そうですか。では公的な場で是非を判断してもらいましょう。
804:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 15:16:57.60 .net
長編ゴルゴ書きたいけど>>769みたいな人がいると正直引くものがある
805:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 20:05:21.14 .net
>>769
なんの理論だよww
論理的と言いたかったのか?wwww
806:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 20:12:59.10 .net
横山ゴルゴには押しも押されもせぬ剛健さがあった。極道の世界でずっしりと、十分深く、太く根を張った侠がもつ風格である。
広能ゴルゴや岩井ゴルゴら近年のゴルゴ達にはない重みである。それには一徹ゴルゴもある種の畏敬の念を抱かざるを得なかった。
「横山さん、それに稲原さん。このたびは伴のやつが大変な間違いを起こしてしもうた。あれはかつてのわしの教え子じゃ。
ワシからも謝る。どうか勘弁してやってはもらえぬか」
ちらっと横山と顔を見合わせると稲原が言った。「一徹さん、伴とあんたの関係がどうであれ、ともかくあんたは堅気だ。堅気のあんたが
やくざの喧嘩で謝ることはありません。どうか頭をあげておくんない。ウチも井沢が組の許可なしに突っ走った喧嘩です。幸い、お互い、
大した怪我人が出たわけでもない。この喧嘩、いったん梶原の親分に預ってもらうわけにゃいきやせんかね?」
「稲原さんがそう言われるなら、ワシもそう望むところです。梶原の親分にお任せできれば、それに越したことはありませぬ」と一徹。
何か言いたげな横山であったが、稲原の横顔を伺って言葉を発することはなかった。
「それから稲原さん、明石組さんの襲名披露のことなんじゃが…」ここぞとばかりに一徹が踏み込む。
「ぜひ梶原の頼みを受けてやってはもらえまいか。これはあんたを関東一の侠客と見込んでの話なんじゃ。もしあんたがこの程度の頼みを
断る器しか持ち合わせておらんお人じゃったら、ハナから梶原の親父もあんたに媒酌人を頼んだりはしまいて。どうじゃろうか」
「…、わかった!引き受けよう。そう梶原の親分に伝えてくれ!」と投げ捨てるように稲原が答えた。
「ありがたい。これで関東、関西とも丸く収まりそうじゃわい。じゃ、わしはこれで失礼しますが、よろしいかな?」と一徹。
一徹が帰った後のことである。稲原ゴルゴは横山ゴルゴの言葉に聞き入っていた。
「稲原、おめぇも人が良すぎるぜ。伴との喧嘩、梶原さんに預けちまって。もともと伴は梶原さんとこの出だぜ。知らねぇのかい?
まぁ五分の手打ちはねぇにしてもだ、シマ切り取るのは無理だろうよ」。
「それにだ、おめぇ、一徹って男のことも知らな過ぎるぜ。世が世なら、ミスタージャイアンツは一徹だったとしても少しもおかしかねぇ。
あの男の目は星を目指す男の目だ。天下を取ろうって気がない堅気�
807:ウんが、なんでわざわざおめぇに会いにくるかい?気をつけろよ、 一徹は必ず梶原と組んで、いや、梶原の跡を取って、明石やおめぇに挑んでくるぜ」 と、世間のいざこざに戸惑いながらも続いて行く長編ゴルゴのカキコであった。
808:名無しさん@お腹いっぱい。
18/10/31 21:34:23.26 .net
>>772
だからそういちいち噛みつきなさんな。
挙げ足をとるなって。
駄仁夫とその走狗にもそのぐらいの勢いで、物を言って欲しいもんだわな 笑笑笑←居酒屋じゃないよ。
809:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 07:53:35.85 .net
稲原が師と仰ぐだけあって、横山ゴルゴの言葉ひとつひとつには千鈞の重みがあった。
それを思い出すと稲原・横山コンビとの会談を終えた後、稲原のシマでの襲名披露を納得させた安堵感に陰がさしてきた。
おそらく横山ゴルゴは今頃稲原に叱責まじりの入れ知恵を吹き込んでいるに違いない。
どこの世界に自分の縄張りで、世間が反目と見ている組織の襲名披露をやらせるバカがいるか。稲の代紋が泣いているぜ。関東やくざの物笑いの種にされてしまうぜ・・・
一徹ゴルゴは考える。
世間的には明石組の強引ともいえる関東進出に危惧を抱いている東京や横浜の組はごまんといる。
西日本が「菱の傘」の下にいることをもって、組織維持とシノギの担保を得ているのと同じことが、関東各組織にも言えることではないか。
強大な「稲の傘」をさしてもらって、「汎稲原体制」の一員となり安全保障としている組も多いことだろう。
彼らが集団安全保障を名目に稲の代紋を押し立て、大同団結すれば箱根から先は攻めあぐねるどころか、むしろ関ヶ原あたりまで押し戻されてしまう可能性が高い。
明石組傘下一門約1万人の組員を数えるが、たちまちのうちに霧散瓦解され、明石組本体もへたをすれば元の神戸の港湾荷役だけを糧とする地方の一小組、初代の頃と同じ規模に縮小してしまう。
そうなればあの老獪で小狡い山守ゴルゴが、盃外交なんか知ったことじゃないけんの、と言わんばかりに逆に虎視眈々神戸に乗り込み大阪や京都まで触手をのばすに違いない。
弱い相手には徹底的に強く出る。そのためには昨日の友さえ平気で斬り捨てる。
山守こそ冷酷なリアリストかつマキャベリストであり、現代やくざのお手本みたいな男である。
義理と人情や侠客としてのプライドなんぞ一銭の得にもなるまあて。そんなもんにこだわっちょったら銭儲けはでけんわ。
とうそぶく山守の哄笑が聴こえてきそうである。
田舎クラブの芋ホステス相手にスケベオヤジぶりを見せて間抜けさと弱みをはばかりなく見せているようで、その実山守ファーストの姿勢はまったくブレていない。
わしにとっての本当の敵は横山ゴルゴと山守ゴルゴじゃわい。一挙にこの二人を殺るしかないか。
広能だの岩井だの稲原だのに拘泥していては頂上には登れまいて。
長屋に戻り、渋茶を啜りながら懐手を組み、天井をにらみつけながら熟考を重ねる一徹ゴルゴであった。
810:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 11:09:31.53 .net
秋の加須雄大感謝祭
811:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 11:41:20.82 .net
明石組はしかし、梶原ゴルゴの話を稲原ゴルゴが了承したものとみなし、岩井ゴルゴの四代目襲名披露を決行したのである。
場所は熱海の白木コンチネンタルホテルであった。媒酌人は不本意ながらも稲原が務めることとなり式は無事終了した。
明石組、稲原組とも小競り合いがあるとはいえ、これほどの規模になると双方とも組を挙げての全面抗争には発展させたくないのである。
�
812:P名式を終え、湯に浸かって緊張を解き、相模灘に遠く伊豆諸島を望むホテルのインペリアルスイートのバルコニーで風に当たりながら、 若い者に持ってこさせた生ビールのジョッキを片手にタバコをふかす岩井ゴルゴには万感胸に迫るものがあった。 「山崎一家の時代から何度も跳ね返されてきたのがこの熱海や。ついに明石組はこの地を踏んだのや。先代が、そしてこのワシがどれだけ この日を待ち望んだことか…。これは明石組にとって歴史的な一歩や…」 「親分、梶原さんからお電話です」若い者の一言が容赦なく岩井をつかの間の休息から過酷な現実へと引き戻した。 苦々しく受話器を受け取ると梶原らしき声がした。岩井は梶原とは面識が無い。 「がんちゃんか?式は無事に済んだかい?今からそっちの部屋行きてぇんだけど、いいかな?ちょっと大事な用なんだけど」と梶原。 「いきなり馴れ馴れしいやっちゃ。わしを誰や思とんねん」と思いながらも、 「梶原さん、今回の件では色々お世話になりまして。ほんまやったらこっちが先、お礼に伺わなあかんとこでけっけど、梶原さんは 今どこに…」 「わしもこのホテルに泊まってるんだけど、今夜のうちに東京に戻りてぇ。今からそっち行くよ」 「そうでっか。わかりました。お待ちしてますよって。へい」 「おい、背広出せ。着替えるぞ。おまえらもや」と若衆に命じる岩井ゴルゴ 暫くして梶原が訪ねてきた。連れの若い者がゴルフクラブのケースを担いでいる。てっきり道具と勘違いした岩井の部下が懐に手を入れる。 「待て待て、そんなんじゃねぇよ、これ、襲名祝いに。もっといいやつ持ってるかも知れねぇけど」とあいさつもそこそこに梶原。 岩井が若いものに顎で合図して確認させたところ、リンクスマスターモデルのクラブセットであった。 「これはまた結構なモンもろうて。ありがとうございます」 「いいっていいって。それより四代目、襲名おめでとう。用事ってのはな、がんちゃん、ウチの伴知ってるだろ?縁組してやってくんねぇかな」 「伴…を、でっか?」 この男は何を考えているのだろう。稲原と喧嘩した伴組を傘下に収めることは、明石組関東進出にとっては好都合である。しかし稲原との 関係はもつれる。 「ま、考えといてくれ、俺、今日は帰るからさ、また電話するよ」と出された水割りのグラスを一気に飲み干しポンと置くと梶原は言い 残して部屋を後にした。 梶原には、一徹とは違った野心があった、 これまで黒幕として日本の表裏両面で暗躍した自分である。しかし、自分は極道ではない。極道でないがゆえに自由であったが、侠としての 価値が見過ごされた側面があるのもまた事実である。自分を継ぐ者には、堂々と代紋を掲げさせ、極道として名実ともに日本の覇権を取らせたい。 そこへたまたま一徹ゴルゴが稲原ゴルゴと岩井ゴルゴを引き合わせる機会を作った。一徹ゴルゴにも野心はあるが、自分の跡を継ぐ者としては年齢的な問題があると梶原は考えていた。 といって、花形ゴルゴや矢吹ゴルゴ、伴ゴルゴはまだ若すぎる。 岩井ゴルゴが盤石の基盤を築いた上で、伴ゴルゴが五代目として跡をついでくれるのが理想である。これが梶原ゴルゴの思惑であった。 戦いによって最初に流されるのはいつも若者の血である。そしてそれは、ついに報われたことはない
813:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 12:17:28.02 .net
>>2
「松本か」って?
いったい、どういう意味?「松本」やで。
ちょっと気になる。
宜しくご教示願います。
「松本」やで、「松本」な。
814:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 13:50:28.83 .net
しかし、よく続くね…長編ゴルゴ、一
815:人であるいは二入で 書いているのか知らないけど、これだけの文章だから読 ませることは読ませる。飽きるまで続けてください(笑)
816:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 13:56:40.12 .net
↑
>>1ゴルゴの末尾が「ゴルゴ」で終わっとろうが。
それをええことに、>>2ゴルゴが お笑いタレントのゴルゴ松本を引き合いに出して
洒落たつもりじゃないんかのう…
と回答するゴルゴ
817:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 17:40:01.53 .net
>>780
えっ、すまん。よく分からん。
わしみたあいなアホでも分かるように、噛み砕いて説明してくれや。
ゴルゴ松本は知ってるんやけっどな。
778さん悪いけど、もうちょっと分かるように頼むわ。
818:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 18:44:16.77 .net
↑そやから、>>1と>>2をつなげたら「ゴルゴ松本」になるやろ?
>>2は、これがおもろい冗談でバカ受けすると勘違いしたわけや。
どうせその程度や。そない気にせんどき。
819:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 20:09:33.18 .net
たまに銭湯に行く。
勃起した陰茎を潜望鏡に見立て、仰向けで湯に浮く。
「せんすい~か~ん」と叫びながら少しずつ移動するのが好きな俺だ。ゴルゴ
820:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 21:27:53.37 .net
ゴルゴ松本か。懐かしい。「命!」ってギャグ。いのちをおもちゃにしたから消えちゃったのかねえ。命は大切にせねばと身勝手なことをほざくゴルゴ
821:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 21:34:01.10 .net
>>783
何や、チンチン坊主かいや。糞しょ~むな。出てくんなや!
822:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 22:06:57.20 .net
>>785
ほう、えらい元気だねw
823:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 22:46:01.49 .net
>>785
あんたさあ、人のレスにいちいちケチつけんなよな。だから嫌われるんだよ。駄仁夫がどうだつっても誰も聞いてくれないのはそこなんだよ。
824:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/01 22:50:11.10 .net
追加。>>782さんにお礼ぐらいいいなよ。丁寧にあんたの質問に答えてくれてるじゃない。子供でも「ありがとう」ぐらい言うよ。バカじゃないの?
825:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 03:00:12.46 .net
>>788
780は駄仁夫、お前は駄仁夫の走狗。
わしに関わるな、ゴマすり坊主よ。
826:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 03:53:08.19 .net
>>789
780は駄仁夫… わしゃ駄仁夫たらいうモンとは別人じゃけ。
どう解釈しようがこんなの好きにすりゃええがの。事実は事実じゃけ言うとっちゃるわい。
827:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 05:12:55.66 .net
いずれ結果は目に見えている。その時は腹を据えてかかろうと決意するゴルゴ
828:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 07:12:47.47 .net
明石組四代目襲名式が、あろうことか稲原組の膝元である熱海のホテルで敢行された、というニュースはあっという間に裏社会に激震を走らせた。
すでに噂として、しかしまことしやかに囁かれていたが「菱も稲穂もメンツがあるわな。まさかそれはないで。なんで菱が関東まで出張らなあかんねん。タチの悪い冗談はためにならんで」とは明石組の二次団体の組長が実話誌の記者の取材に答えたものである。
警察もそれは同じであった。予想だにもしなかったことであり、見事に裏をかかれてしまったわけである。
ことは警察の威信にかかわることであり、もろくもそれが崩れ去った現実がそこにあった。
警察庁長官は神奈川県警本部長以下暴対担当幹部を呼びつけ、全員首を洗って処分を待っていろと、長官室で怒気も露わにして言い放った。
長官は長官でしばらくもしないうちに国家保安委員長、そして総理に大目玉を食らう羽目になるはず�
829:セ。すでに長官は進退伺いを制服の胸ポケットに用意していた。 さて襲名式の直後に話を戻そう。式場となった百畳の大広間は後片付けに忙しい業者関係者でごった返していた。 そのうち作業服に身を包み、作業帽を目深にかぶった数人の男たちが、大広間の各所からある物を回収していった。 ボーイや仲居たちが忙しく立ち働く中、そんな彼らに注目するものは誰もなかった。 男たちの一部は梶原ゴルゴと岩井ゴルゴの部屋に出向き、室内電話の受話器と部屋内のコ ンセント部分を素早くこじ開け小さなコイン電池状のものを取り外す。 部屋でもホテル関係者が男たちの様子を見ることなしに見ていただけで誰一人注意深く観察する者はいなかった。 男たちが不注意だったのは、岩井ゴルゴの部屋の玄関柱と冷蔵庫の間にそのコイン電池状のものを一つ落としていったことである。 部屋掛のボーイが部屋の入り口がこれを見つけて「なんだろう、これ」と同僚らに見せた。 物を子細に見れば小さな穴が無数に開けられている。「イヤホンかなにかじゃね?」と一人がいうと「イヤホンならコードが付いてるよ」と、もう一人が首をひねる。 結局、それはフロント裏にいるホテル支配人のもとへと届けられた。支配人はそれを手のひらに乗せてしげしげと眺めているうちに顔が蒼ざめていった。 「盗聴器だよ。これ。たしかに岩井様のお部屋にあったのだね」と届けたボーイに確認した。首肯するボーイ。 ボーイにこのことは他言はならないと命じ、「えらいことになった」と支配人は東京にある白木コンチネンタルホテル社長室に通じる直通ダイヤルを押したのである。
830:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 09:10:49.20 .net
>>791
見ものだね、ゴルゴww
831:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 09:34:51.95 .net
長編ゴルゴの作者1号が、またしても凝ったネタを織り込んできたので
次のストーリー展開に思いをめぐらせながら庭を眺めると
薄紅の秋桜が秋の日の 何気ないひだまりに揺れている長編ゴルゴ作者2号
832:あぼーん
あぼーん
あぼーん
833:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 10:49:47.31 .net
>>789
駄仁夫がらみであんたに忠告めいたことを書けば走狗だゴマスリ坊主だと。あんたにそんなこといわれる覚えはないからな。自分が書いたこと忘れんなよな。
834:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/02 19:56:39.49 .net
白木グループの総帥・白木幹之介と、その孫娘であり、白木コンチネンタルホテルズのCEOである白木葉子が暮らす大邸宅は東京、武蔵野の雑木林を切り開いて建てられた。東京ドーム3個分の敷地を有し、プールはもちろん、乗馬コースやテニス
コート、自家用ヘリポートまで備えている。熱海からの直通電話はすぐ葉子ゴルゴへと渡された。髪を後ろに回し、白いドレス
を華やかに、優雅に着こなす葉子ではあるが、秘めたプライドの高さと芯の強さはまさに権勢を誇る女王の風格を漂わせている。
内容を聞いた葉子は、とっさの判断で、電話ではなく直接報告に来るように支配人に伝えた。
警戒心が強い葉子は、支配人からの直通電話すら盗聴されている可能性をも葉子ゴルゴは排除しなかったのである。
支配人の報告では、何度調べても宿泊室から見つかった盗聴器は岩井ゴルゴの部屋の1つのみであった。梶原ゴルゴの
部屋の電話にも仕掛けられた痕跡かもしれぬ工具の疵とも見て取れる跡があったが、断定はできないとのことであった。
明石組内部には山広ゴルゴや加茂田ゴルゴら、四代目問題で岩井ゴルゴを快く思わぬ連中がいることも、�
835:Pなる富裕層の娘ではなく、 白木グループを統率する立場として幅広く見聞のある葉子は知っていた。 「この盗聴が単なる明石組の内紛で終わるなら問題はないわ。けれど、もし、梶原先生も盗聴されていて、その身に何かあるような ことはあってはならないわ」葉子は、梶原にだけは盗聴事件について伝えたのである。 「そうか、知らせてくれてありがとな。ま、気を付けるよ。だけど岩井と聞かれちゃ困るような話もしちゃいねぇよ、安心しな」 葉子にとって、話す前からそう答えられると分かっていた梶原ゴルゴの一言であった。 しかし梶原は急いだ。伴を岩井の若衆にするという既成事実を早く作ってしまうべきだと考えた。要らぬ噂が先行して物事がうまく 運ぶことはない。盗聴した小賢しい者を探し出すより、むしろ正面突破を臨む…。梶原特有の男気がそうさせた。 一方、町屋の長屋では、胡坐の上で腕組みをし、目を閉じて梶原ゴルゴと岩井ゴルゴの客室での会話を何度も聞いている男がいた。 盗聴は一徹ゴルゴが一徹軍団を動かして行ったのである。日本最大の暴力組織の一大イベントを一斉に盗聴するという、 日本の民間組織では考えられない鮮やかなミッションであった。しかし一徹には明石組襲名式の立役者の座を梶原に奪われた想いが未だ払拭できない。 録音された会話のどこに梶原の本心があるのか。一徹ゴルゴは探ろうとしていた。 「稲原組の若衆にはあの丈がおる。そして、岩井組とは伴…。いったい梶原の親父の本心はどこにあるのじゃ。覇権を争うライバルとして 自分の子らを競わせる…。しかし丈はあの気性からして、鉄砲玉で終わるか、よくても若頭止まりの才覚しかあるまい。伴は…」 一徹が目を開いた。「伴だ。梶原の本命は、明石組五代目・伴宙太に違いない…。梶原が世に送り出したキャラクターの中で、 他界した力石ゴルゴのほかには、伴以上に人望の厚い人間はおらんじゃろう。胆力は無論、捕手として培った知力とマネジメント力は極道の 頂点を極めても不思議ではない逸材ではないか…」 一徹ゴルゴは再び目を閉じ、黙想に入った。次の問題は、誰より覇者の座を狙う己自身の身の処し方である。 同じころ広島では明石組4代目襲名と、近いうちに行われる縁組で関東進出が安定しそうだという憶測が流れた。山守は窮地に立った。 打本組を支援する余力が、再度明石組に生じたからである。 流町の行きつけのスナックで、「山守殺るいうんなら今で…」とポツリと呟いた広能に「え。すんません。なんか言われましたか」と聞き 返され、「い、いや、なんでもないですけん。で、どうなっちょりますか日本シリーズは?」と誤魔化しながらも、 「あとがないんじゃ…あとが」と、グラスの中で氷が揺れるのを見つめる広能であった。
836:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/03 10:29:33.59 .net
「わしも山守のことは言えんわい」
一徹ゴルゴは独りごちてほろ苦く笑った。自分を友として信じてくれているらしい梶原ゴルゴを裏切るのも同然の盗聴行為である。
その目的がおのれの野望の実現というのだから、山守ゴルゴとどこがどう違うのか。
かつて俺は魔送球の一件で川上哲治に巨人軍を追われた。
「走者を威嚇するような一塁への送球は卑怯すぎる。球界の紳士たる巨人軍のプレイにふさわしくない」と彼は弾劾したものである。
物心ついた頃から飛遊馬ゴルゴを肉体的に痛めつけてまで過酷な訓練を施し「巨人の星となれ」と命じたのも畢竟巨人から排斥した
川上や球団へのちんけな復讐に過ぎなかった・・・
遠い昔の感傷と悔恨の念がないまぜになった思いを断ち払うのように一徹ゴルゴは首をふり、空になり茶渋がこびりつく湯呑み茶碗
を長火鉢に置いて立ち上がった。
「こうなれば毒食らわば皿まで。どうせなら日本の裏世界の星となるまでよ」と不敵に笑い、かねてからの野望達成が、おのれの男子
の本懐と決めた覚悟を再確認したうえで、梶原ゴルゴが伴ゴルゴを岩井ゴルゴの膝下に押し込めようとしていることへの対策を講じた。
伴宙太の弱点は彼が「情の男」であるということだ。彼はとかく心意気が思いこみとなって暴走する癖(へき)が往々にしてあった。
だからこそ飛遊馬と花形の二人に会社を乗っ取られたのである。
夕日に照らされた甲子園球場のマウンド上でひしと抱き合う飛遊馬と花形、その二人の友情に感動して俺は立ち尽くしたまま涙を流し
た・・・
あの夏の高校野球決勝戦の思い出こそ俺たちの友情の証ですよ、と聞いているこちらが恥ずかしくなるようなことをいい年をして口に
するようなバカである。
おまけにこの図体ばかりがでかい純情男はいまだに明子に惚れておるようだわい。これをなんとか利用できんものか。
明子はれっきとした花形ゴルゴの妻。そこへ横恋慕させて、しかし嫁いだとはいえ可愛いわが娘に指をふれさせず、不倫も同然のふ
るまいに誘い込み、これを煽りに煽る。
自分の会社を乗っ取った経営者の妻にリベンジで手を出すような男に盃を下ろした梶原ゴルゴは大恥をかくと。これで梶原ゴルゴは
当分おとなしくせざるを得んじゃろう。
「一石二鳥とはこのこと。フフフフ、笑いが止まらんわい。さて一段落したことだし、ひとっ風呂浴びてこようか」
と、浴室が3つもある娘婿の邸宅の一隅に豪華な和室を与えてもらいながら、依然町屋にある長屋が忘れられず、特に最近は考えを
巡らせることが多い一徹ゴルゴにとって、独りで誰にも邪魔されずに考え事に耽るのにここは格好の場所であり、頭を酷使した後の銭
湯で広い湯船に浸かること彼には何にも代え難い至福のひとときであった。
837:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/03 10:30:05.25 .net
風呂桶に石鹸とタオルをぽんと入れて、下駄に素足を突っ込み、立て付けの悪い引き戸をガタガタと音を立て開ける。
隣のおかみさんに「ちょっと湯に行ってくるよ」と声をかけて、長屋の路地を抜けて大通りに出た。
しばらく歩いていると自分をつけてゆっくりと転がせているクルマの気配を感じる。
免許を持っていない一徹ゴルゴにその車種はわからないにしろ、振り向いて見た全体のフォルムからしていかにも高そうなクルマだと
いうことはわかった。
彼は立ち止まりクルマを凝視する。
後部座席が開いて一人の女が出てきた。テーラードスタイルのカシミアコートにブラックレザーパンツが細身の身体によく似合い、コーチ
のサングラスをかけ長い流れるような黒髪をかきわけたその女はどこかの令夫人風。
「お久しぶりね。星さん」口元に笑みをたたえて女は言った。
「はて。このあたりではめったに見かけない貴婦人のご様子じゃがどちらさんでしたか」
「これは失礼しました」
女はサングラスをとり、素顔をさらして小さく
838:頭を下げた。 「白木です。お忘れでしょうか。白木葉子」 「おお。黒眼鏡のままじゃわからんかったが、なるほど白木さんじゃな。こちらこそ無沙汰をしておりました」 「同じ雑誌でご一緒していた頃はなかなかお目にかかれませんでしたが、大変失礼な言い方ですが同じような下町にお住まいの方として、 うちの丹下さんよりもはるかにダンディでジェントルマンな方と憧憬おりましたのよ」 「いやいや、わしの娘の明子も白木さんみたいな女性に生まれたかったなどとよく申しておりましたな」 「おほほほ。星さんもお上手ね。実は星さんに折り入ってお話がありますの。梶原先生のことで。お食事でも楽しみながらで如何でしょうか」 笑顔を絶やさぬままでも、葉子の瞳に強い意志が現れていた。「梶原先生のことといえば覚えがあるでしょう」と言わんばかりの視線に一徹 ゴルゴは内心の動揺を隠すのがやっとであった。 「梶原さんのことでとな。なんのことかわかりませんが、懐かしいお名前に昔話に花でも咲かせましょうか。お供いたしましょう」 精一杯の虚勢を張りながら、どうぞ奥にお乗りくださいと招いている葉子の手のひらに背中を強く押されているような気がしながらも一徹ゴル ゴはロールスロイスファントムの深々としたバックシートに尻を沈めたのであった。
839:名無しさん@お腹いっぱい。
18/11/03 13:18:14.01 .net
葉子ゴルゴが案内した先は、銀座四丁目交差点の大時計を正面から見下ろすフレンチレストラン「ティエリーマルクス」であった。
銭湯にいくはずの一徹ゴルゴは裸足に下駄履きという、普段とあまり変わらない服装であったが葉子の口利きで特別室へと案内された。
ソムリエがワインを注ぎに来ると、「一徹さんは花形さんとよくここに来られるそうね。花形さんから聞いたのよ」と葉子ゴルゴ。
「いや、満君とは明子も一緒に一度か二度来ただけじゃが、どうしてそれを…」
葉子は答えずにギャルソンと何やら話している。
「花形コンツェルンと白木グループといえばかつての二大財閥。政財界のパーティで、そのトップ同士に交流があっても不思議はあるまい…」
料理はすでに注文してあるらしく、ギャルソンが退くと暫く銀座の夜景を眺める葉子ゴルゴ。その葉子ゴルゴの話とはいったい何なのか…
「私も男に生まれればよかったわ」唐突に葉子ゴルゴが切り出した。
「一徹さん、あなたが欲しがっているものは、梶原先生と同じね。私にはわかる。かつて矢吹君と力石君を見てきた私には分かるの」
何とも意味深いがいきなり核心をつく発言に、一徹ゴルゴのこめかみに汗が一筋流れた。
ギャルソンが最初の料理を運んでくる。最初はフォアグラ。ペアリングは白ワインである。
「だけど、あのふたりと違うのは、梶原先生も一徹さん、あなたももう大人。お互いの面目を汚すようなことはしないでほしい」
梶原の邪魔をするな、とい言外の意味であろう。一徹ゴルゴは言い返した。
「葉子さん。どうやら全てをお見通しのようじゃ。じゃが、これだけはこの星一徹、譲るわけには参りませぬぞ。覇を競うなら日本一。
それは勝負の世界に生きる男なら、誰もがおのずと目指す道なのじゃよ」
2品目は鶏肉のムースをパン生地で挟み、その上にたっぷりとキャビアが流してある。これを泡の濃いシャンパーニュで合わせる。
「ふふ。勘違いしないで。何も、一徹さんに夢をあきらめてと頼んでるんじゃないの。同じ夢を追う梶原先生と協力して欲しいのよ。ふたりで成し遂げた