25/02/20 23:39:57.70 .net
書き途中です。
雷鳴轟く夕立の最中、男は駆けた。脱兎の如く、引き絞った矢の如く。男は逃げていた。他でもない、鬱屈とした現実を具象化した存在、つまり借金取りから。
あそこで諾々と怒号を受け止めていたとしても、利子で遥かに膨張した借金の返済を強いられるだけで、ならば一か八か、運否天賦にかけて逃走した方が良い。かのような拙い打算を持って足を駆動させていた男は、案の定後悔をその足取りに滲ませていた。男はそのように人生を悪戯に消費していたのであった。
ともかく、身を隠さねば。
裏路地を雷光の刹那の閃きの中、無我夢中に駆けながらそう思った男は、廃ビルに飛び込んだ。
「対価」 錦之宮 秋雨