作り話なら何でも書いていいのかな [無断転載禁止]&at BUN
作り話なら何でも書いていいのかな [無断転載禁止]& - 暇つぶし2ch1:名無し物書き@推敲中?
23/09/24 16:05:15.91 .net
私はきっと、人よりたくさん恋人との別れを経験した。
男好きだとか淫乱だとかいうのではない。
むしろ私は恋愛に興味がない。
ひとめぼれなんてしたことないし、性行為に興味を持ったこともなかったし、一生誰とも結婚もしたくなかったし、彼氏もほしくなかった。

ただ、気が弱いだけ。男の人を怒らせたら、殴られる。
母は、私が5歳の時、私の父親を怒らせて私の目の前で殴られて、コンクリートの階段の角に頭を何度もぶつけられて血だらけになって、そのシーンしか覚えてないけど、でもたぶんその時死んだ。
親代わりに私を育ててくれた叔母も祖母も、母が頭の鈍い田舎者だから父をあんな風にしたんだと怒るばかりで、具体的なことはなにも教えてくれなかった。

ろくに覚えてないし、何も教えてもらえなかったけど、男の人を怒らせたら、きっと殴られるし、母のように殺されるかもしれないということは学んだ。
男の人の目が不満の色を一瞬でも見せると焦る。
だから、男の人が機嫌を損ねないように、男の人が期待しているだろうと思われる言葉を一生懸命に選ぶし、男の人が期待しているだろうと思われる態度をとる。
結果、気づくと私はいろんな人の恋人になってしまった。

私のことをいつのまにか恋人だと思い込んでる人たちとの関係を抱えきれなくて、 田舎を出て東京の大学入学して以来、この10年間で17回も引っ越しをした。

大学2年の夏、もう逃げられないと思った時、私のことを「妹のように思ってる、いやらしい気持なんか絶対持てない」と言ってたアルバイト先のお客さんに助けを求めて、結婚してもらって、やっと救われたと思った。
これからはこの人のために生きて、この人に守られて生きていける、と信じた。

それなのに、私の気の弱さは変わらなかった。
夫の兄、弟、夫の同級生、夫の上司…
相手を怒らせるのが怖い、ただそれだけなのに、また私を恋人だと信じる人が増えた。
着の身着のまま最終電車に乗って、キャバクラの寮に入った。
お金がたまってキャバクラをやめて大学に復学して、やっと卒業して、
でも今も、やっぱり私のみじめな性格は変わらない。

2:名無し物書き@推敲中?
23/09/27 07:47:56.81 .net
なんでこうも続くんだろうか

3:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 10:55:50.49 .net
私は今、窓のないオフィスで働いている。
​ここでは、誰も私の過去を知らない。
​知っているのは、私が優秀な事務員だということだけ。
​書類の山に埋もれていれば、男の人の不満げな視線を感じることもない。
​だが、夜になると、私の気の弱さは再び蘇る。
​なぜなら、私はまた、恋人を作ってしまったからだ。
​それは、私を雇ってくれた社長だ。
​社長は言った。「君は、誰よりも僕を理解してくれる」と。
​違います。私はただ、社長が怒らないように振る舞っているだけです。
​あの日の記憶が、私の背骨に染みついている。
​コンクリートの角、母の血、そして、あの鈍い音。
​あれは、私の運命を決めた音だ。
​社長が残業を命じる。私は断れない。
​「明日でいい」と言う勇気を持てない。
​断ったら、彼の目が曇る。彼の顔が硬直する。
​その一瞬が、私にとっては殺人予告なのだ。
​誰もが私を「優しい」と言う。
​誰もが私を「気遣いができる」と褒める。
​それは、私の命綱だ。手放せない、みじめな防御策。
​ある日、彼の妻が会社に乗り込んできた。
​怒りに燃えるその瞳は、私の父と同じ色をしていた。
​私は震えた。次に殴られるのは、私かもしれない。
​妻は私を罵倒し、髪を掴み、私の鞄を奪った。
​私は抵抗できなかった。ただ、息を止めて、やり過ごした。
​私は、彼女を怒らせた。
​彼女が去った後も、私はその場に立ち尽くしていた。
​私はきっと、永遠に被害者であり続けるのだろう。
​そして、同時に、誰かの家庭を壊す加害者でもある。
​ああ、私のみじめな性格は、これからも誰かを傷つける。

4:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 10:59:44.91 .net
私は震えた。次に殴られるのは、私かもしれない。
​妻は私を罵倒し、髪を掴み、私の鞄を奪った。
​私は抵抗できなかった。ただ、息を止めて、やり過ごした。
​私は、彼女を怒らせた。
​彼女が去った後も、私はその場に立ち尽くしていた。
​私はきっと、永遠に被害者であり続けるのだろう。
​そして、同時に、誰かの家庭を壊す加害者でもある。
​ああ、私のみじめな性格は、これからも誰かを傷つける。
​その日以来、社長は私を見る目が変わった。
​彼はもう、私を「理解者」として見ない。
​彼が見るのは、ただの「トラブルメーカー」だ。
​彼の視線が、父や、怒った夫と同じ冷たさになる。
​私は焦る。彼の機嫌を直さなければ、殺される。
​私の心臓は、コンクリートの角にぶつかった母の頭の鈍い音を、繰り返し響かせる。
​私は、彼の怒りの源を探し、オフィスを掃除し、彼のコーヒーを淹れ直した。
​だが、一度曇った目は、簡単には晴れない。
​数日後、社長は私の席に無言で一枚の紙を置いた。
​そこには、「退職願」の二文字と、サインの場所が赤く示されていた。
​私はそれを拒否する言葉を持たなかった。
​「怒らせたら、終わり」なのだ。
​私は、彼の望む通りに、静かに会社を去った。
​キャバクラの寮に戻ろうか。いや、それももう怖い。
​私はただ、人のいない場所へ行きたい。
​誰の期待にも応えなくていい、暗く、静かな場所へ。
​結局、この気の弱さだけが、私をどこまでも追ってくる。

5:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 11:01:01.38 .net
結局、この気の弱さだけが、私をどこまでも追ってくる。
​私はまた、着の身着のままで街をさまよった。
​どこへ行っても、誰かが私に期待し、私はその期待に応えられず、怒りを生む。
​その怒りが、いつか私を殺す。母のように。
​電車に乗るのも怖い。隣の人が怒り出すかもしれない。
​公園のベンチで夜を明かした。そこも怖かった。
​暗闇から誰かが出てきて、私を責めるのではないかと。
​ふと、小さなコインランドリーの看板が目に入った。
​24時間営業。そこに、誰もいない空間を見つけた。
​私は洗濯機と乾燥機の間に座り込んだ。
​機械の轟音が、外の世界の音を全て遮断してくれた。
​誰も私を見ていない。誰も私に期待していない。
​この轟音の中でなら、私はやっと、私でいられる。
​そこへ、一人の老人が入ってきた。
​彼は何も言わず、ただ静かに洗濯物を放り込んだ。
​そして、私に気が付くと、ゆっくりと口を開いた。
​「お嬢さん、ここで寝ちゃいけないよ。」
​彼の目に、不満の色はなかった。ただ、心配の色だけ。
​私は反射的に立ち上がり、謝ろうとした。「ごめんなさい…」
​彼は私の言葉を遮り、暖かい缶コーヒーを差し出した。
​「怒ってないよ。ただ、ここは寒いからね。」
​私はその缶コーヒーを握りしめた。生まれて初めてかもしれない。
​誰の期待にも応えず、誰の怒りも買わずに受け取った、優しさ。
​私は彼に、何も媚びを売らなかった。何も約束しなかった。
​ただ、熱い缶に両手を当てて、その温もりを感じていた。
​この老人を、怒らせてはいけない。ただそれだけを、心に刻んだ。

6:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 11:22:39.71 .net
​この老人を、怒らせてはいけない。ただそれだけを、心に刻んだ。
​しかし、その感情は、これまでの「恐怖」とは少し違った。
​怒りを買いたくない、ではなく、この「優しさ」を壊したくない。
​老人は自分の洗濯が終わると、私に深々と頭を下げた。
​「温かいコーヒーをありがとうね。これで風邪を引かずに済むよ。」
​私が何かしたわけではないのに。彼はそう言って出て行った。
​私はその夜、初めてコインランドリーでぐっすり眠った。
​翌日も、またその翌日も、私はその場所に戻った。
​老人は毎日同じ時間に来て、必ず私に缶コーヒーをくれた。
​彼は私の過去を尋ねないし、未来も尋ねない。
​ただ、「ゆっくり休みなさい」と言うだけだ。
​その無償の優しさが、私の張り詰めた心に静かに染みていく。
​この場所だけが、私の「安全地帯」になった。
​ある日、私は思い切って、彼に声をかけた。
​「あの、私、何かお手伝いしましょうか?」
​老人は目を細めて笑った。「ありがとう。でも大丈夫だよ。」
​その笑顔は、父や夫たちが私に向けていた、期待を裏切らないか試すような笑みではなかった。
​初めて、私は自分の意思で誰かに何かを提供しようとした。
​だが、彼に断られても、私の心は少しも痛みを感じなかった。
​怒りを買わなかったからだろうか。いや、それだけではない。
​彼は、私が「できない」ことに対して、怒らないことを、私は知っていた。
​私は、この見知らぬ老人の優しさという名の「庇護」の下で、初めて呼吸をしている。
​でも、この関係もいつか終わる。私はまた、一人になる。
​そして、また誰かを怒らせて、その結果、傷つけられる。
​私の人生は、このコインランドリーの扉の外では、まだ始まっていない。

7:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 11:24:38.59 .net
でも、この関係もいつか終わる。私はまた、一人になる。
​そして、また誰かを怒らせて、その結果、傷つけられる。
​私の人生は、このコインランドリーの扉の外では、まだ始まっていない。
​老人は毎朝、必ず新聞の切り抜きを私にくれた。
​それは、犯罪記事でも、経済ニュースでもない。
​「どこかの誰かが、ひっそり小さな親切をした」という記事だった。
​ある時は、迷子の猫を助けた少年の話。
​ある時は、車椅子を押した警官の話。
​老人は言った。「世界は、君が思うほど冷たくないよ」と。
​私は知っている。世界は冷たくない。怖いのは、男の人たちの怒りだ。
​でも、この切り抜きを集めることが、私の新しい日課になった。
​小さな優しさが、世界に点在していることを知る。
​それは、私の星屑だ。集めて、ひっそり隠す秘密の財産。
​私はいつの間にか、老人の洗濯物を畳む手伝いを始めた。
​彼に頼まれたわけではない。ただ、自然に体が動いた。
​「ありがとう」と言われると、胸の奥がじんわりと温かくなる。
​これは、誰かの期待に応えるための行動ではない。
​ただ、この温かい空間を維持したいという、純粋な願いだった。
​ある朝、老人は来なかった。
​昼になっても、夜になっても、彼は来なかった。
​私は不安で、いてもたってもいられなくなった。
​怒らせたのだろうか。昨日、洗濯物の畳み方が悪かったか?
​私の気の弱さが、再び恐怖に変わって、私を締め付ける。
​私は初めて、彼のことを尋ねる勇気を持った。
​店の店主に、「あの毎朝来るお爺さんは?」と。
​店主は怪訝な顔で答えた。「ああ、あの人かい?もう三ヶ月前に引っ越したよ。」
​三ヶ月前?
​私の手のひらには、彼が最後にくれた缶コーヒーの温もりだけが、残っていた。

8:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 11:27:26.77 .net
店主は怪訝な顔で答えた。「ああ、あの人かい?もう三ヶ月前に引っ越したよ。」
​三ヶ月前。私がコインランドリーに来てから、ずっと彼はそこにいたはずなのに。
​私の手のひらには、彼が最後にくれた缶コーヒーの温もりだけが、残っていた。
​老人は、私がこの場所にいることを知っていたのか?
​引っ越した後も、毎日この店に来て、私にコーヒーを渡していたのか?
​なぜ、そんなことを。
​彼は私に何も求めなかった。怒りも向けなかった。
​ただ、毎日、小さな優しさを置いていった。
​私はまた、誰かの厚意の上にあぐらをかいていたのか。
​彼の優しさすらも、私の気の弱さが作り出した幻想だったのか。
​私は、店主が差し出した新聞の切り抜きを受け取った。
​それは、私が見覚えのない、新しい日付のものだった。
​記事には、「老夫婦、寄付した施設で静かに暮らす」とあった。
​ああ、彼はもう、遠い場所で平穏に暮らしている。
​私は、彼の優しさに報いることも、感謝を伝えることもできなかった。
​しかし、その新聞の切り抜きを見て、私は悟った。
​彼は私を「救おう」としていたのではない。
​ただ、彼の日常の中に、私という存在を静かに受け入れていたのだ。
​私は、このコインランドリーから出ていくべきだ。
​もう、誰かの無償の優しさに寄りかかるのは終わりにしたい。
​私は、壁の張り紙を見た。「アルバイト募集」
​誰も私の過去を知らない、この場所で。
​私は初めて、自分の意思で、扉の外へ向かうのではなく、扉の中へ足を踏み入れた。
​私の気の弱さはまだ消えない。だが、私にも、誰かの小さな優しさを守る力が、少しだけあるかもしれない。

9:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 14:47:32.93 .net
1に言いたいのは、確かな拒絶が無ければ、優しさも親切もあり得ない。

10:名無し物書き@推敲中?
25/10/27 15:58:12.47 .net
私の気の弱さはまだ消えない。だが、私にも、誰かの小さな優しさを守る力が、少しだけあるかもしれない。
​私はすぐに店主に話しかけ、アルバイトとして働き始めた。
​コインランドリーは、夜になると特に静かで、私の安全地帯だった。
​私は、老人がかつて座っていた場所を丁寧に拭いた。
​あの場所で、私は初めて「怒り」以外の感情に守られたのだ。
​仕事は単純だった。洗濯機の清掃、両替、そして、お客様の忘れ物管理。
​お客様は皆、自分のことに忙しく、私に深い関心を持たない。
​それが心地よかった。誰も私に「恋人」になることを期待しない。
​私は、老人が教えてくれたように、小さな親切を実践した。
​使い方が分からず困っている人に、そっと操作盤を指さす。
​取り残されたハンカチを、丁寧に畳んで棚に戻す。
​その一つ一つが、私の心を微かに温めていく。
​ある夜、若い男が入ってきた。彼は泥酔しており、私に絡んできた。
​「おい、姉ちゃん。コーヒー奢ってくれよ。それとも、もっと良いもの?」
​彼の目が、一瞬、あの父の時のように、不満と下卑た色に曇った。
​体が硬直する。心臓が跳ねる。また、この恐怖か。
​私は逃げ出す代わりに、老人がコーヒーをくれた時のように、ただ黙って彼の隣に座った。
​そして、静かに言った。「ここは、洗濯をするところですよ。」
​彼は予想外の反応に拍子抜けしたように、目を丸くした。
​「洗濯?ああ、そうか…」
​彼はそれ以上絡んでくることなく、ぼんやりと自分の洗濯物を眺め始めた。
​私は怒りを買わなかった。そして、迎合もしなかった。
​ただ、現実を静かに突きつけただけ。
​母の死以来、私を縛り付けていた鎖が、その時、音もなく、一つ切れた気がした。
​私の気の弱さは、私の最大の防御になるかもしれない。
​静かに、そして強く、私はこの奇妙な安全地帯で生きていく。


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