22/07/26 18:05:25.72 .net
>>665つづき
989この名無しがすごい!2022/07/26(火) 17:47:57.55
>983
一方のらんた
まずはここがどういう場所かを説明すべきところ、設定解説をはさんだことでリズムが損なわれている
「エスリーン、君との婚約は解消する!」
「何で!?」
周りは冷笑、嗤いで渦まいている。
「当たり前だ! こんなヒキコモリ令嬢をピピン家に迎え入れられるとか思ってるのか!」
アトゥール=エスリーンは三女であった。長男、長女、次女に比べて学力も魔力も圧倒的に劣る。こういった貴族の子は家庭教師ではなくキーウ魔導学院へ放り込まれるのだ。うまく魔法を習得できるものは小貴族として生き延びることが出来る。逆に平民も入学でき、平民は卒業すると一代限りの貴族になれるのだ。
エスリーンは食堂では汚物を入れられて、模擬戦では魔法の餌食となっていた。エスリーンは弓使いだが全く持って戦力にならなかった。初歩的な魔法すら碌に使えなかった。
そんなエスリーンをなぜピピン家に迎え入れるのか。そうだ。政略結婚だ。しかしアトゥール家も没落していたので用済みだったのだろう。ザクル=ピピンも生き残るのに必死だ。相手を選ぶのには慎重にならねばならぬ。
エスリーンはいつも寮や図書館に引きこもっていた。閉架図書エリアだけがエスリーンの居場所だった。
そもそもエスリーンは睡眠薬を飲まされ袋に詰められてザーク魔法学院に放り込まれたのである。しかもこの魔法学校で落ちこぼれたら貴族籍剥奪、つまり自動的に追放処分になるのだ。
「私は……要らない子なのね」
爆笑の渦から逃れるべくエスリーンは夜会を抜ける。