19/09/24 15:25:46.21 .net
「信じないかもしれないけど、あの時さ・・・俺もあそこにいたんだ。
あんなギリギリで回避したのは見事だったよ。立て直し方もスマートだった」
グラスをUFOに見立て、ペンのキャップで俺の飛び方を表わした軌跡は正確だった。
・・・今なんて言った? よりによって、偶然入ったバーで俺は目撃者と会ってるのか!?
全身が総毛立ち手が震える。
だがあの日は雲が多くて地上から空はほとんど見えてなかったはずだ。もっと晴れていれば
多くの目撃者がいたはずで、何度悔しがったことか・・・
「うそだろ・・・アレが見えてたのか!?」
「ふふ・・・『見えてたのか』はこっちのセリフだよ。驚いたなあ・・・ここにも見える奴がいるとは思わなかった」
ちょっと何言ってるか分からない。
「アレは、君らとは少しズレた周波数の空間だから決してぶつからないし、君らには探知も撃墜も出来ない。
見える奴もいない・・・と思ってバリア切ってたせいで、君に回避なんて余計な事させたのは俺のミスさ・・・優秀なのに、
ほんと悪いことしちゃったなぁ。・・・ごめんよ」
・・・こいつ精神疾患か?
「マスター勘定頼む。彼の飲んでる変な黄色い・・・何だっけ?・・・とにかくそれは俺のおごりだ」
そいつは紙ナプキンに素早く何かを描いた。俺の見たアレそっくりのものを。ドヤ顔で「ジョン画伯」とかサインしてる。
「世界は、あんたらが想像するよりもはるかに広大でね。この星のしょうもない固定観念なんて
生きる世界や可能性をちっぽけでつまらなくするだけさ」
「会えてよかったよ。うそじゃないぜ。またな☆」
茶目っ気たっぷりに言うと、そいつは描いたモノを俺に渡し、あっけにとられる俺を残して店から颯爽と消えた。