19/05/12 18:35:08.80 .net
彼女が盲目なのをいいことにベランダにいつも覗きに来るおじさんが、そう言い残してから足を滑らせて落ちていった。
51:名無し物書き@推敲中?
19/05/12 20:47:10.21 .net
僕の不安は募るばかりだ…
52:名無し物書き@推敲中?
19/05/12 23:37:57.76 .net
目が見えなくてもわかる。私の周りで良くないことが起きてるって。私がいるとそうなるって。
53:名無し物書き@推敲中?
19/05/13 18:05:11.39 .net
シロ、助けてシロ、悪い人達が来るよ。苛められていたあの時みたいに助けて!
54:名無し物書き@推敲中?
19/05/13 18:43:53.96 .net
彼女は毎晩うなされているんだ……
55:名無し物書き@推敲中?
19/05/19 00:24:55.45 .net
つぐみ、ごめんなさい。ボクは今、君を助けられないんだ。でもクロならできるかもしれない
56:名無し物書き@推敲中?
19/05/19 10:38:25.15 .net
クロというのは近所の白い野良猫。 いつもつぐみがご飯をあげている猫。
57:名無し物書き@推敲中?
19/05/21 16:58:23.77 .net
クロも元は人として生きた過去を持つ転生組
58:名無し物書き@推敲中?
19/05/21 23:54:54.02 .net
黒いとか犬だとか猫だとか、私には見えないけれど、いつもモフモフでそばにいてくれるよね
59:名無し物書き@推敲中?
19/05/24 15:58:58.52 .net
モフモフのこの子達はどんな姿なのかな。一度だけでもいいから見てみたい…
60:名無し物書き@推敲中?
19/05/24 22:15:02.24 .net
モフモフ言うなー!私は元人間だっ!でも撫でられると心地よいのだ~たまらぬ~
61:名無し物書き@推敲中?
19/05/25 13:59:51.34 .net
クロはちょっと性格がきつい。だけどとても優しさがあるんだ。
62:名無し物書き@推敲中?
19/05/25 21:17:20.60 .net
シロはいいよな いつもつぐみにモフモフされてて
63:名無し物書き@推敲中?
19/05/25 23:41:31.00 .net
とりあえず今はニャーと叫んでおこう。腹が減ったので。
64:名無し物書き@推敲中?
19/05/27 12:55:32.89 .net
シロ~クロ~ご飯ヨー そういってつぐみが出してくれた今夜のご飯は─
65:名無し物書き@推敲中?
19/05/27 23:40:31.28 .net
フギャー!また、かつお節のパックと間違えて、乾燥わかめご版かニャー!
66:名無し物書き@推敲中?
19/05/29 03:02:35.48 .net
まあ、これはこれで…カリカリカリカリ
67:名無し物書き@推敲中?
19/05/31 14:30:30.20 .net
シロ「あ、待ってクロ。ベランダを見て!いつものおじさんがまた部屋を覗いてる!」
68:名無し物書き@推敲中?
19/05/31 18:12:34.09 .net
クロ「ん?…まーいつもすぐスベって落ちていくからほっとくニャー」
69:名無し物書き@推敲中?
19/05/31 22:52:56.97 .net
カリカリカリカリ「でもここ4階なのにいつもよく無事だよニャー」カリカリ
70:名無し物書き@推敲中?
19/06/02 01:53:26.82 .net
〈ドーン!)って普通の人間だったら俺死んでるわ‥ 「本部へ連絡、現在、対象の異常無し」
71:名無し物書き@推敲中?
19/06/08 19:04:02.72 .net
こうして、ベランダおじさんによるつぐみの監視は毎日のように続いていたんだ…
72:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 09:11:08.59 .net
そんなある日の事だった 外から僕とつぐみが家に戻ると つぐみの部屋にベランダおじさんが侵入していたんだ
73:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 09:46:19.50 .net
部屋の中央にドカリと鎮座するおじさんの気配を敏感に感じ取ったつぐみは
74:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 09:58:16.80 .net
ゴクリと唾を呑み込み 驚くでも怖れるでも無く 落ち着いた静かな声で「また 時が来たのね」そう言ったんだ。
75:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 10:52:43.68 .net
つぐみのその言葉を受け おじさんはゆっくり立ち上がった「本当にすまない、決断が下された。申し訳ないが君の出番だ。」
76:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 11:01:20.19 .net
僕は呆気にとられた 二人の会話の意味がまるで分からないからだ
77:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 11:28:41.71 .net
その時 このタイミングで部屋にクロがやって来た
78:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 11:32:26.56 .net
室内でジッと対峙している二人。オドオドキョロキョロしているだけの僕。
79:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 11:51:34.86 .net
この状況をみたクロは、いつものおどけた表情を一変させ、二本の後ろ足だけでスクッと直立した。その姿勢はもはやまるで人間そのもの。猫なのにもう猫にはとても見えない。
80:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 11:59:54.37 .net
「またか!この世界も駄目だったと?お前達は何度つぐみを…」━突如流暢に人語を操るクロに僕はただただ仰天するしかなかった。
81:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 12:15:11.80 .net
「黒い犬のほうとばかり思っていたが…使い魔は白猫のほうだったか…」
82:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 16:55:03.37 .net
「黙れ!これ以上魔力をつぐみに使わせる訳にはいかない!」
83:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 17:17:38.87 .net
「これは決定済みの案件だ。お役目は果たしてもらうしかない。」
84:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 17:55:45.39 .net
「貴様~!」「やめて!」飛び掛かる勢いのクロをつぐみが抱き止めた
85:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 19:04:09.48 .net
そのままクロを強く抱きしめるつぐみ「クロ…あなたやっぱり」「…すごく…モフモフしてる」モフモフモフモフモフモフ
86:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 19:43:13.12 .net
「こ、こんな時にやめるニャつぐみ」「…こんな時だからよ。もう少し、もう少しだけモフモフさせて。」モフモフモフモフ
87:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 19:56:38.29 .net
つぐみは、呆然としているだけの僕を「さあ、シロもおいで」と呼び寄せて、僕にも思い切りモフモフしてきたんだ。
88:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 20:05:40.10 .net
モフモフモフモフモフモフ…モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ…モフモフモフモフフモフモフモフモフモフ…
89:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 20:09:39.39 .net
「私は全部思い出した…でもこれから全部忘れてしまう。シロの事もクロの事も…自分の事も、なにもかも。」モフモフモフモフ
90:名無し物書き@推敲中?
19/07/05 20:22:15.77 .net
僕にはつぐみの言葉がよく分からなかった。だけどクロは泣いていた。声をあげるような泣き方じゃなく、堪えても堪えても大粒の涙がボロボロと溢れ出すような切ない泣き方だった。
91:名無し物書き@推敲中?
19/07/06 17:12:09.73 .net
「モフモフしてるところ悪いが、お役目は今すぐに果たしてもらうよ。さあ。早く。」
92:名無し物書き@推敲中?
19/07/06 17:46:24.15 .net
おじさんに急かされて、つぐみは名残惜しそうにモフモフをやめて黙って僕達から離れたんだ。
93:名無し物書き@推敲中?
19/07/06 18:32:57.24 .net
部屋の真ん中につぐみが立つと、つぐみを中心に7色に眩しく光る球体の立体魔方陣のようなものがボワッと現れた。
94:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 10:40:35.14 .net
「私…の役目は…良くない方向に傾いた…穢れた世界…を…ゼロに…リセットする事…」
95:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 12:15:41.05 .net
つぐみがその両目をゆっくりと見開くと周りの空間が捻れ更に世界そのものがグニャリと歪み始めた。
96:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 14:50:52.42 .net
僕はここでやっと理解したんだ。もうつぐみとは一緒にいられない事に…。だからありったけの力で吠えた。喉が潰れるほどに…
97:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 16:52:30.54 .net
「シロ…シロ、いつも一緒にいてくれて本当にありがとう。あなたは私の親友…いえ、それ以上の存在だったわ。大好きよ…。 クロも、心配…しないで…きっと、きっとまた…会え…る━か………
98:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 19:30:12.15 .net
━━ 全てが白い光に包まれ、その後全てが黒い闇に覆われた ━━
99:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 21:28:37.03 .net
無の空間 そこに僕の意識だけがあった 僕はなにも分かってなかった 彼女は目が見えなかったんじゃ無く 力を━その能力を━封印…していたんだ━
100:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 22:10:21.10 .net
穢れていく世界を、その目で見ることがないのも彼女の宿命。何らかの因果だったのかもしれない━。
101:名無し物書き@推敲中?
19/07/07 22:58:02.27 .net
…あれ?彼女…?…あれ?彼女の名前は━━…彼女?━???…
102:名無し物書き@推敲中?
19/07/12 18:50:01.45 .net
目の前に二つのドアがあらわれた。
103:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 12:11:08.91 .net
左の扉は洋風、右の扉は和風であった
104:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 13:23:05.47 .net
気分は和食だったので、和風の扉を勢いよく開けるとそこは
105:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 15:45:08.61 .net
山の中といった感じでポツンと洋館が建っていた
106:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 17:28:00.81 .net
ノックをして扉を開ける。「ごめんくださーい!」虚しく声が響き渡る
107:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 20:41:18.64 .net
誰もいないのか? 人の気配が無い…
108:名無し物書き@推敲中?
19/08/10 23:34:51.14 .net
「空き家かな?」俺は疲れが溜まっていたので、少し休もうと中に入った
109:名無し物書き@推敲中?
19/08/11 14:08:49.94 .net
客間のソファに横になっていると
110:名無し物書き@推敲中?
19/08/11 18:48:59.81 .net
ガタッと二階から音がした
111:名無し物書き@推敲中?
19/08/12 00:35:30.82 .net
恐る恐る2階に上がってみたところ
112:名無し物書き@推敲中?
19/08/12 20:06:51.58 .net
そこには目隠し猿轡をされたうえ、後手に縛られ両足を鎖に繋がれた若い女性がいた
113:名無し物書き@推敲中?
19/08/12 21:43:15.38 .net
しかしその鎖はどこにも固定をされてはいなかった
114:名無し物書き@推敲中?
19/08/15 23:15:55.31 .net
ど、どうしたんですか?声をかけてみると
115:名無し物書き@推敲中?
19/08/16 14:26:45.24 .net
「フガフガッフガフガ」
116:名無し物書き@推敲中?
19/08/16 21:35:00.76 .net
猿ぐつわや鎖から開放して事情を聞くことにした
117:名無し物書き@推敲中?
19/08/17 13:07:35.31 .net
しかし猿轡も鎖も目隠しでさえも、いったいなんの素材なのか全然とれやしなかった。
118:名無し物書き@推敲中?
19/08/17 17:15:07.57 .net
「フガフゴーフガッフゴー」女性は苦しいのかたまに身じろいでいる。
119:名無し物書き@推敲中?
19/08/17 23:49:06.65 .net
その身じろぎが妙に色っぽくて、
120:名無し物書き@推敲中?
19/08/18 11:52:30.29 .net
動けないのを良いことに、僕は
121:名無し物書き@推敲中?
19/08/18 22:56:46.88 .net
お尻を触ろうとしてしまった。でも、寸前で踏み留まった僕は女性にこう話かけたんだ。
122:名無し物書き@推敲中?
19/08/18 23:17:07.14 .net
付き合ってください
123:名無し物書き@推敲中?
19/08/19 11:04:57.52 .net
ジタジタジタ ドッムゥ 彼女の芋虫キックが僕の腹に炸裂
124:名無し物書き@推敲中?
19/08/19 19:51:17.32 .net
意…識…が………
125:名無し物書き@推敲中?
19/08/20 21:36:29.35 .net
目が覚めると、手足を縛られて猿轡をされていた
126:名無し物書き@推敲中?
19/08/22 13:11:59.97 .net
とりあえず体勢を直して周りを見ると部屋の隅に女性が座っていた
127:名無し物書き@推敲中?
19/08/25 11:40:31.75 .net
女性は申し訳無さそうな顔をしていた
128:名無し物書き@推敲中?
19/08/27 05:08:03.87 .net
目隠しも外れた彼女の顔は、僕が想像したよりも整い、とても━とても美しかった。
129:名無し物書き@推敲中?
19/08/27 09:10:56.63 .net
キリッとした眉、つんとした鼻、小さめだけど肉厚な唇。
130:名無し物書き@推敲中?
19/08/27 16:33:57.79 .net
あまりにも完璧なその顔立ちは、まるで美術品のようだ。
131:名無し物書き@推敲中?
19/08/27 17:07:12.93 .net
しかしただひとつ、違和感が。━彼女の瞳。キラキラと金色に光っているのだ。
132:名無し物書き@推敲中?
19/08/28 11:24:17.32 .net
「フガフガッフガフガッ」僕は彼女に喋ろうとした。でも猿轡で喋れない。
133:名無し物書き@推敲中?
19/09/08 19:16:31.72 .net
女とコミュニケーションを取ることは後回し。俺は腹が減っているのだ
134:名無し物書き@推敲中?
20/06/27 23:47:10.67 .net
盛大になった腹の音を聞きつけ、彼女は台所からスープを運んできて俺の猿轡を外した。