18/12/21 18:43:10.63 .net
全体の文体を意識して、セリフも現実味のある生き生きとしたものに換えてみました。
『塩対応』
「先生!」みっちゃんはまっすぐ右手を挙げて叫んだ。「ちっちゃい人が見えてます!」
すると理科室はみんなの笑い声にあふれた。みっちゃんの瞳はそれでも顕微鏡を覗いている。
「はいはい、みっちゃん。ちゃんと真面目にやりなさいね。」先生は場を静めようと手を二度叩きながらもほがらかに注意した。
「今は授業中ですよ。どうですか、みなさん。塩の粒は見えてますか。じっくり観察しましょう。」先生は教室中を見渡しながらそう言っているようだった。
「いるいる、ほんまにおる! 丸い粒から出てきた! ……ああっ、めっちゃ増えてるわこいつら! あかん、あかんわ!」
そう叫ぶみっちゃんの声に、もう誰も本気で取り合わない。めいめい机の上の顕微鏡を覗き込んでは、初めて見る塩の結晶にやいのやいのと感想を述べ立てている。
授業が終わり、みっちゃんはふと窓の外に目をやった。
「雪や……。ああ、そうか、あれは雪や。せや、雪やったんや。」
みっちゃんはすっかり嬉しくなって小さな人のことなどすっかり忘れてしまっていた。今夜は雪になりそうだと思うと、わくわくしてくる。
「ところでみっちゃん。なんで『すっかり』を二度書いたん?」隣の席の男子が聞いた。
「そんなん、大事なことやからに決まっとるやろ。大事なことは二度書く。これは当たり前だのクライシ倉之助や。」
「そうなん。知らんかった。しかしいろいろ勉強になるなあ、ほんまありがとう。」